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THE映画評論『Polite Society』

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ポライト・ソサエティ

 

 

 

 

監督🎬

【ニダ・マンズール】(初監督作品)

 

リア

【プリヤ・カンサラ】

 

リーナ

【リトゥ・アリヤ】

 

 

サリム

【アクシャイ・カンナ】

 

 

ラヒーラ

【ニムラ・ブチャ】

 

 

配給[トランスフォーマー]

本編[1時間43分]

 

 

_______

 

 

 

昨年の4月に世界的に公開された英国映画で、日本公開は1年遅れとなった模様です。

昔に比べて洋画の公開時期に大幅のズレがなくなっているのは配給会社さんの努力の証だと思います。

 

 

公開から1年が経過しての日本公開ということで、公開が終了した外国では既にディスク化されていて、ネットでも「製作結果」が如実に載っています。

 

 

 

 

映画を描く際に参考にさせて頂くウィキペディア先生情報によると、「興行的には失敗」だったけれど批評家の評価は高い、と書いてあります。この日本公開で少しでも興行的に貢献できたら良いと思いますが、、さぁどうでしょう。

 

 

個人的には「観客満足度が高ければそれでいいかな」と思います。

混雑劇場が苦手で、あえてガラガラに空いている映画館まで足を運んでいますので、興行的な結果は常に目に触れていない自分が言うのも何ですが。。

 

英国映画でイスラム系の俳優陣。

初見の俳優陣ですが、知名度重視で客入りが決まる日本映画とは違い、初見の俳優でも期待して足を運ぼうと思うから洋画の意識は素敵です。

 

 

Polite Society

日本語訳は「礼儀正しい社会」。

この映画を見た後は、そんなこと思わない(笑)

 

 

新しい監督、外国からの移民、新しい時代・価値観。

鑑賞する「側」も新しい価値観について行かなければならなくなりました。

 

 

では始めます。

 

 

_____

 

 

 

まず人種というものを私は理解して受け入れました。

一昔前・・と言っても数年前の話ですが、日本のシネコンで上映される英国映画の主人公は基本的に白人だったと記憶しております。

 

 

この映画の主人公一家はパキスタン移民のイギリス人。

南アジアに位置するパキスタン・イスラム共和国は、国面積が世界33位に対して、人口が世界第6位の2億2200万人というのだから驚きです。親中派の軍事国家という印象も強くあるので極東有事の際は脅威の存在でしょう。話を戻しますm(_ _)m

 

 

オープニングは空手道場のシーンから始まります。正拳突きの練習から、男性相手の組み手。

私は空手経験者で有段なので、「外国の空手」として観てしまいました。真剣な表情って万国共通で素敵ですね。

 

 

 

 

ちなみに主人公が空手の習い事をしているのは冒頭で紹介されますが、以降は一度も練習風景がなかったのが残念でした。

アクションスタント俳優を目指す設定で、映画でアクションといえばカンフーなので総合武術的なパフォーマンスの方が良かったのではないかと思います。

 

 

それと、空手道場に通っている主人公が一般人と殴り合いの喧嘩をするというのは・・「拳は凶器」と教わってきた空手経験者の自分からすれば信じられない行為です。・・とまぁバカ真面目にアクションコメディ映画に指摘する愚言をご理解くださいませ(^_^;)

 

 

かなり「クセつよ」の登場人物達。

 

 

女子校に通う主人公を含めた仲良し3人組は、同級生から「バージンズ(処女達)」と呼ばれて(揶揄われて)います。

 

 

カタカナ表記の方が、R指定はないので、以下はバージンズと表記します。

 

 

主人公の親友2人の相方は、黒人と白人で、ポッチャリ体型。

 

黒人系、パキスタン系、白人の3人組は・・私にはかなりの「時代の変化」を観る思いです。

 

 

そして・・世界的なルッキズムの時代に失礼しますが、3人とも見た目的に美人には感じません。

 

これってハリウッド映画を長らく観てきた私的にはとても違和感なんですよね。

主演女優=美人・美形というのが映画の定番定義として育ったので、個性派のお顔立ちの方は主人公の友人ABCに感じてしまうのです。

 

 

ちなみに「古い英国」は、アジア圏や有色人種に対しての人種差別・意識があったと思います。リアルな話、今回の映画を見た英国人は、その点はどう感じているのだろう?と考えました。

 

私の性格上、この視点を消化しない限り先に進めないため、正直に書かせて頂きました。

 

 

ロンドンの一軒家で暮らすパキスタン系イギリス人「カーン家」は仲の良い4人家族です。

 

 

仲の良い両親と、絵描きの姉リーナ、そしてスタントマンになることが夢の主人公のリア。

優しい母、落ち着いた姉、活発な妹。あと、父。そんな感じ。

 

 

お喋りな女3人。太ったパパは静かにニコニコ。

この映画を見ると感じる!女性のエネルギーが男性よりも断然強いのが(笑)!!

 

 

姉のリーナは、絵描きの夢に挫折中で通っていた美大も中退してしまいました。

自分には実力がない、向いていない、そんなことないよ!と妹は励ましています。

競争社会の中で心がギューとなってしまったのかな?夢を諦めた(逃げ出した)姉は未来が見出せない様子。

 

 

主人公の妹リアは【ユーニス・ハサート】という実在の女性スタントマンの大ファンで、自部屋の壁には大きなポスターを貼っています。

 

(スタントマンのポスターって、どこで仕入れるのだろう?)

 

 

この人物の存在は今回で初めて知りましたが、以前アンジェリーナ・ジョリーのスタントをした際に盗聴被害に遭い訴訟を起こしたとネット記事に載っていました。

 

 

 

女性を主役にしたアクション映画も増えてきましたし、女性スタントは今後需要が増えるでしょう。命の危険が付き物の体を張ったお仕事です。

 

 

リアはユーニス・ハサート氏のSNSにダイレクトメッセージや、自分のアクション演技の動画を送ったりして毎日を過ごしています。

撮影係は姉。大学中退で家に居る姉は毎回付き合ってくれます。喧嘩もするけれど非常に妹思いで協力的な姉さんです。

 

 

____

 

 

 

女子校での1コマ。

何かにつけて突っかかってくる大柄の黒人女性コヴァックスと決闘する事になります。

 

 

コヴァックスを観てアジャコングさんが私の意識に浮かびます。

 

 

いじめっ子に臆することなく、売られたケンカは買うわ!とストリートファイト。

場所は学校の廊下。トロフィーや賞状などが飾られている英国家具が壁に設置されています。

 

 

決闘が始まるわ!と集まってくる女生徒達。

 

 

ちなみに女子校の喧嘩ってどんな感じなのかな?

 

共学で育った私の感覚だと、学校で喧嘩が始まると、女子は女子同士で教室の隅で固まり、泣き出す生徒がいたり、先生を呼びに走ったりする役割の生徒がいた記憶があるのですが・・・「やれ!やれ!」と喧嘩に盛り上がるのですから・・お国違えど、男女逆転の世界を観ているようでした。

 

殴り合いの喧嘩の結末は、リアが習得しようと日々練習している空中回し蹴りが空振りに終わり、地面に倒れ込み終了。

 

 

 

案の定、棚のガラスを割り、先生が出てきて「放課後、職員室にいらっしゃい」的な流れになるオチ。

 

気性が荒く、生傷の絶えない日々です。

 

 

____

 

 

 

母親のファティマのある日の一コマ。

 

 

パキスタン系のママ友会は、英国式アフタヌーン・ブランチ。

 

 

(イギリス人のヌン活といえば、テーブルの上のケーキスタンドをイメージします)

 

 

優雅なひと時の中でママ達の話題になるのは、やはり我が子自慢。

 

 

他のママさんが家庭や子供の自慢をする中、愛想笑いしながら自分には話題を振らないでくれと願うも、「あなたの娘さん達は?」と質問されてテンパる主人公ママ。

 

 

長女は学校中退、次女は問題児のカンフーガール。冷や汗タイム。

 

 

会は盛り上がり、ママ友会のリーダー格【ラヒーラ】の自宅で行われるイード(イスラム教の祭日)に招かた事から物語は大きく動きます。

 

 

ラヒーラ邸は超豪邸。

母子家庭ですがロンドン郊外に豪邸を構え、1人息子の【サリム】は遺伝子工学で成功する博士。

この度のパーティは最愛の息子の結婚相手を探す会だと分かりやすく描かれています。

 

 

イード当日。招待を受けた姉妹は民族衣装に身を包み、美しいお姫様に変身。

どこかシンデレラの夜会を想像します。お金持ちの王子様のお城に招かれた母親と姉妹という点で。

 

 

ラヒーラ邸の玄関をくぐり、リーナと主人公リアの姉妹は、リビングのソファで女性に囲まれ上機嫌にお酒を飲むサリムを目にします。

一人の男性と十人(くらい)の女性。まさにバチェラー。

 

 

「うわぁ、いかにもって感じで、女も男もまじ最悪」。

リアは欲望丸出しの同族女性を蔑みますが、姉はサリムにビビビと感じたご様子。

 

 

することがなく豪邸の中を歩き回るリア。

(基本的に落ち着きがない子供です)

 

勝手に2階に上がり、勝手にサリムの部屋に入って(^◇^;)それをキッカケに・・・気色悪いものを発見してしまうのです。

 

 

それは机一面に並べられた今日のパーティーに出席している「年頃の女性達全員」の顔写真付きのプロフィール。

 

 

そのリストに姉と自分がいることを見て鳥肌。

このパーティーの目的が「医学博士サリムの相手探し」というのは、誰だって察しがつきますが、裏でこんなことをされていたなんて、気持ちが悪い。

 

 

リアは1階に降りて姉を連れて帰ろうとするが、時すでに遅く、リーナとサリムはお近づきになっていましたΣ(・□・;)b

 

 

そしてパーティーをキッカケに交際に発展、週三のペースでデートして、付き合って1ヶ月後にはスピード婚、イスラム教の盛大な結婚式が執り行われる。

 

 

 

婚姻関係となれば、大好きな姉が、あの束縛男の鳥籠に入れられるのは予想がつく。

 

何としても二人を別れさせなければ!!

 

 

そのためには、まずサリムが悪い男だという証拠を掴み、皆に知らせなければならない。

こうしてリアにとっての阻止戦争が始まるのです。

 

 

___

 

 

 

サリムは穏やかで優しい好青年で、お金持ちで博士で紳士と、非の打ち所がありません。

 

 

だけれどリアは、あいつは悪い奴だと直感的に確信していて、バージンズの二人の親友に、協力を求めます。

 

 

三人は日本で言う中二病みたいな感じで、たとえば悪の存在がいる、となれば地球防衛軍を結成して倒しにかかるような行動を起こします。

 

 

おそらく妄想が膨らんで行動を起こしていく主人公の描写が海外でウケたのだと思います。日本の少年ジャンプを読んで育ってきた私にとっては、結構見慣れた展開でしたが(^◇^;)

 

 

なかなか尻尾が掴めないゆえ、サリムのノートパソコンから「マル秘」を探るため、男装してトレーニングジムに潜入し、男性更衣室に侵入。

バージンズの女子高生が男子更衣室に・・という思春期ネタも用意されていました。

 

 

その後、さらにエスカレートして、深夜の自宅に侵入し、何とか姉と破局させようと必死に行動します。

 

 

しかしそこは所詮子供。行動を起こせば大人に見つかるように描かれています。

喧嘩をすれば先生に。ジムでサリムにあえば姉に報告が行く。サリム宅では普通に見つかる。

 

 

今の所、リアがサリムについて判っている情報は、自分にふさわしい女性のリストを作成していた事と、マザコンな事くらい。

叩けば埃が出てくると思っていたけれど・・いくら叩いても良い人エピソードしか出ない。

 

 

イライラして、バージンズの親友との間にも亀裂が入ってしまう。

学生時代に一緒にバカやってくれる青春仲間なのに。

 

 

さぁ果たして、サリムは良い奴か悪い奴なのか?

運命を分ける結婚式が始まる。

 

 

 

 

________

 

 

 

膨大な製作資金力を誇るインド映画をハリウッド映画とかけて「ボリウッド映画」と呼ばれています。

 

世界的に大ヒットし記憶に新しい『RRR』などが代表的ですが、私自身はボリウッド映画を劇場鑑賞したことは1度もありません。

 

ただインドカレー料理をよく食べに行くので、店内のテレビで終日流れているボリウッド映画?はボーッと観ています(笑)

 

 

冒頭に書きました、「興行的には失敗」だったけれど批評家の評価は高い、とウィキペディア先生に紹介されていた意味が何となく分かります。

 

 

まず主人公の強い先入観が起点となり、姉に近いた男の正体を暴くという展開になり、そこにアクションとコメディを入れていきます。

 

 

女子高生が素手で殴る蹴るという昭和生まれの自分としては信じがたい新時代(ジェネレーション・ギャップ)の描写の数々ですが、それ以外は普通に従来の王道コメディアクション映画といった感じです。

 

 

主演女優の【プリヤ・カンサラ】は

 

 

ニヤケ顔とイライラ顔の今の所2パターンのみ。


何か悪いことするぞ!って感じに企んでいる表情の女優さんなので、この役は合っていたと思います。

 

 

お淑やかだと思っていた姉との姉妹喧嘩が、家屋崩壊するほどの血まみれの乱打戦だったり、やりすぎ!と思いながら、これが海外ではウケるんだろうなと感心したり。

 

 

 

 

終盤になりますが、イスラムの結婚式で、大乱闘になって、出席者全員が敵となり新婦を結婚させるために集団で襲いかかる展開とか、思わず「一旦冷静になろう」と映画に突っ込んでしまったほどメチャクチャな自由発想(^◇^;)

 

 

 

個人的にはサリムの母親がツボでした。

 

 

 

 

(歌舞伎役者?)

 

 

これまでの王道映画のアイデアをいくつか切り取ったようで、盛り込みすぎなB級映画といった感じですが、とにかく若い女優が獣と化した表情でアクション演技をしているのは評価せざるをえません。

 

 

英国のアクション映画といえばスパイ映画を先ず思い浮かべると思いますが、(家族や友達の)チームで何か1つの目的のために行動する青春描写はハリウッド要素もあり、英国の女性アクション映画の新風を観た思いです。姉妹よく、終い良しの作品でした。

 

 

 

 

 

脚本 13点

演技 15点

構成 14点

展開 13点

完成度14点

 

 

[69]点

 

 

 

【mAb】

 

 


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