前回の記事の流れを汲みつつ今回からタイトルを「平成映画100選」とします。
平成時代に日本公開されたものは年齢的にもリアルタイムで観た洋画が多いので背景として語りやすいです。
平成=日本の時代じゃない?とは突っ込まないでくださいね(笑)
それと自分のお気に入りの映画を語るので、1作品ごと思い入れが強くあります。
タイトルにした100作品も「きちんと」紹介できないと思いますが、そこは「なんとなく」のキリの良さで名付けた定番タイトルだとご理解ください。
最初に10選に設定した場合、後で「これもあった」「あれもあった」と必ずなるので、100くらいの単位の方が私には丁度いいのです(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎
映画評論としましては約10年間書いてきましたので、ロードショウ映画をココで書いた本数は延べ1000作品を超えてます。
読書の足しにもならない書物ブログですが、お時間のある時に再読して頂けたらと思います。(当時は今よりも変換間違い・脱字がありますのでご理解の上でお願い致しますm(_ _)m💦)
ではでは。今回もエピソードトークを交えて紹介致します。
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日本で好きな男優・・私には数名しか居ません。
そもそも日本人であるゆえ日本人男優(同性)を好きになる条件って「憧れ」や「尊敬」の意識が強い方になると思うのです。
これがハリウッド俳優の中で好きな男優になると・・三十名ほど用意をしていなくても瞬時に口に出来ます。
その中から10人限定で告げるとしたなら、必ず入れる男優は【トム・ハンクス】[63]です。
トム・ハンクスからは『mAb100選』の中に入る映画が5作品あります。
いつの日か記事に起こすと思いますが、とりあえず前以ってカウントだけをさせてください。
①②は前記事。
③『ビッグ』1988年作品(昭和63年ですが、強固として推薦)
④『フォレスト・ガンプ』1994年作品
⑤『グリーンマイル』1999年作品
⑥『キャスト・アウェイ』2000年作品
⑦『ターミナル』2004年作品
トム・ハンクスは日本式で例えると「平成の大横綱」ですよ。レオナルド・ディカプリオやブラッド・ピットやジョニー・デップなどが一級映画に登場する21世紀末頃からイケメン顔が主流の時代になっていきますが、その中で堅実な実力派の路線を貫く俳優。まぁ最近はディカプリオもトム・ハンクスのようになってきましたしね。
全ての主演作品を厚く熱く語れますが、今回はその中から特に思い入れのある『グリーンマイル』を紹介致します。
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1999年のアメリカ映画です。日本での公開は翌年ミレニアム2000年でした。
この時代の制作にしては全体的にオレンジかかった暖色の画質が特徴的。
さらに黒人+刑務所+夜間の陽の当たらない場所でのシーンが多いので、画面が真っ暗でよく観えないシーンもあります。
原作は【スティーヴン・キング】。
監督は【フランク・ダラボン】。
フランク・ダラボンは『ショーシャンクの空に』で長編映画デビューした監督です。
これまでの監督4作品の、うち3作品がスティーヴン・キング原作小説の映像化という・・・ある意味恵まれた人物でしょう。
ホラーミステリー作家。アメリカ人が大好きな至宝スティーヴン・キングは、私の記事でも度々登場します。
ちなみに⑧『ショーシャンクの空に』もmAb100選の中にカウントしますのでいずれ書きます。と言う事前報告です。
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21世紀に入ったばかりの頃。読売巨人軍の長嶋監督が好調の自軍を「ミレニアム打線」と呼び、世間に浸透した時代。
アメリカ郊外の老人ホームでは、1人のご老人がホーム内で知り合った恋人の女性に過去の物語を聞かせる、というキッカケのから映画が始まっていきます。
老人が語り部になって回想録(本編)を相手に聞かせる。
この当時のアメリカ映画で多く観られた定番の展開移動です。
時代は1935年のアメリカ。
1929年にニューヨークで起きた株価の大暴落から始まった世界的大恐慌により、アメリカ全土で失業者が溢れていた時代です。
その混沌とした時代の中、舞台となるのは刑務所です。建物の名前はコールド・マウンテン刑務所。
映画内で描いていたのか?は分かりませんが、この恐慌下のアメリカの刑務所って収容人数的に賑わっていたのだろうか?
失業=治安の悪化をイメージするので、軽犯罪も増えるでしょうし不況ショックで殺人だって起きていたでしょうから、安易な想像ですが気になるところです。
本映画は基本的に室内(スタジオ)での撮影が多いので、セリフや描写などからもその背景はあまり重要的には描かれていない映画だと思います。などで予備知識などは特に必要としませんので映画と向き合える時間が多くなります。
刑務所の中で描かれるのは死刑囚の棟。
死刑執行日が決まっている囚人を短期間収監し、当日は同じ棟内を移動し裁きを受けさせます。
この時代の死刑といえば電気椅子ですね。
(昔、訪れた外国で電気椅子に使われていた椅子を見せてもらったことがあります)
この棟の死刑囚が歩く廊下の床が緑色ということで、ここは世間で(タイトルにもなる)グリーンマイルという呼称で認知されています。Greenは「緑色」、Mileは「通路」を意味します。
映画の開始時点では二名の死刑囚が収監されています。この棟に入る条件は既に死刑日が決まった囚人のようです。
死刑の施設が整っているということで、この刑務所に重罪人が送られてくるのだと分かります。
気になったのは、刑務所といえば『ウォーリーを探せ』のウォーリー囚人のように棒線の入った囚人服をイメージしますけど、この独房では囚人の服装は自由だということ。臭いまでは伝わりませんが、死刑日までずっと同じ服なので体臭はヤバいだろうな(^◇^;)
この棟を担当する看守員は五名。
看守主任が冒頭の老人の若き日の姿。役名はポール。演じるのは【トム・ハンクス】。
ポールの右腕であり親友でもあるブルータルも印象に残ります。俳優は【デヴィッド・モース】。
5人中、中年が三名。既婚者の若者が一名。独身の若者が一人。
この五名が死刑囚を死刑執行日まで監視し、当日も自らの手で裁きをかけます。
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ある時、新しい死刑囚が収監されてきます。
ジョン・コーフィー死刑囚。農夫の2人の娘を殺害した罪。
黒人の大男。身長180cmを超えるトム・ハンクスやデヴィッド・モースが小さく見えるほどです。
演じる俳優は【マイケル・クラーク・ダンカン】。残念ながら2012年に心筋梗塞により54歳で亡くなりました。
黒人の大男なのにとにかく優しい瞳や表情が印象的で、私はハクション大魔王みたいに想って好きな俳優でした。
ここに収監される囚人は、とにかく死刑に値する重罪を犯しているのでここにいるわけですが、「本当に極悪人なの?」と思う方々が多いです。
そう自分が思った理由を考えますと、
殺人犯って性根が悪というイメージがあるのですが、
死期が近いからか、自分の人生を振り返り過ちを後悔し、表情が柔らかい人物が多いからなのかな、と。
そこに観客の情がプラス要素で加われば、死刑囚にも愛着が湧くのでしょう。
それでも遺族にとっては心の底から憎い相手ということを忘れてはいけません。この映画を見ていると看守員を通し死刑囚に感情移入をするので、死刑執行日に会場に集まり「死ね!」と叫ぶ遺族や関係者側に対し怖さや非情さを感じてしまうという不思議な感覚になります。「生きて!」と思ってしまう。
そして感服するのが死刑囚棟の看守員たちの姿勢です。たとえ殺人犯だとしても人の命を扱う役目。入念にリハーサルをします。そのリハーサルの模様もこの映画では丁寧に描かれています。
死刑日の前日に本人を別室に移します。
理由は様々。家族の面会、それすらない人物にも何かしら用事を作り外に出すから印象的。
オツムの弱い囚人をリハーサル役に使います。この囚人の刑期が短くなるのかは不明です。
グリーンマイルを歩き会場に入ると木製の死刑椅子に座らせ手足を拘束。第一スイッチの電源を入れる。そして事前に剃毛した頭の上に濡らしたスポンジを乗せます。そして第二スイッチ。死刑囚が完全に亡くなるまで電気を流します。
このシーン。重要な悪役となる新米看守が頭角を現します。
役名はパーシー。グリーンマイルと言えばパーシーです。
パーシーは喧嘩など弱いくせにイキがっている若造で、劇中にハンクス演じるポールがパーシーという人間について表現します。
「残忍で不注意でバカ」と。この言葉通りのキャラなので、フォローするような、いいところが1つもありませんね(^◇^;)
一番のペーペーなのだからキツく指導したらいいじゃないか!?と誰もが思いますが、それを出来ない理由は1つだけです。パーシーは州知事の夫人の甥っ子なのです。何かあったら「オバさんに言いつけてやる!」です。ホント子供ですね。
大恐慌による就職難の時代で、生意気な部下を叱って、クビにされたら堪らない。
郊外の刑務所が舞台ですが、街に行けば明日は我が身の失業者たちを沢山見ているわけですからね。
他の看守員たちは主任を含め何度も我慢の限界に達しますが、そのたび踏みとどまる。
そんな厄介者パーシーが、次の死刑で俺に指揮を取らせてくれたらここを出て行ってやるよ、と言います。
指揮をするのはトム・ハンクス演じるポール主任の役目です。
「残忍で不注意でバカ」という三拍子(代名詞)が揃っている新米看守のパーシーに、そんな大役を任せられるのか?
結果として伝えると任せることになります。そしてそれが大きな悲劇を生むことになるのです。
「死刑囚棟(グリーンマイル)で起きた出来事は外部に出さない」が暗黙のルール。楽しいことも悲しいことも恥ずかしいことも口外しません。(作内一部の身内には話しています)
そしてこの「マイルの出来事は外部に出さない」というルールがあるからこそ奇跡が生まれたのです。
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冒頭から主任のポールは尿路感染症を患っていて、患部に強烈な痛みを感じるなかで生活しています。
仲睦まじい妻の夜の誘いを断り、一番可哀想なのはトイレの時間。寝ている時に尿意と痛みが同時にやってきて、倒れこむように庭で粗相をするというシーンは印象的でした。腎盂腎炎の様子は映画だとしても同性として痛そう辛そう可哀想(^_^;)
ある日の事です。
この映画に『グリーンマイル』を代表する2人目の厄介者が登場します。
死刑囚ワイルド・ビル。右腕に「ビリー・ザ・キッド」のタトゥーを掘っています。
俳優は【サム・ロックウェル】。
ビリー・ザ・キッドといえば、私なんかはステーキ屋を真っ先に連想しますけど、西部劇で登場するアメリカ西部開拓時代の強盗のことです。
ドロクロアは「人間として生まれてきてしまったバケモノ」な人間で、それまで死刑前ということもあり穏やかで静かだった死刑囚棟で大騒ぎを繰り返します。映画としてはアクションが生まれるのでメリハリ的な役目にもなります。
その大暴れ中にポールが金的を膝蹴りされます。ポールのボールが悲鳴をあげるわけです。
(そんな親父ギャグを言うキャラかΣ(・□・;))
蹲るポール。そこに「ボス。こっちにきて」と、静かだったコーフィーが呼びかける。
そして患部を握ると、棟の電球がパアッと明るくなり、助けを呼ぶため騒いでいた囚人も黙り込む。
しばらくして手を離したコーフィーは酷く体調が悪くなり咳き込むと、大量の黒い塵のような(悪い)ものを口から吐き出す。
何をした?と聞くと「元通りにした」とコーフィーが言う。ポールはトイレに行き、以前のように普通に用を足す。
この「元通り」という表現は作品全体を考えられる素晴らしいキーワードだと思います。
自宅に戻ったポールが奥様にアプローチする様子も面白くクスッと笑えますし、事情を聞いた奥様が旦那へのお礼としてコーンブレッドを焼くという展開も優しいです。
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最後に紹介するのは、この映画に欠かせないキャラクター。
名前はミスター・ジングルス。
自分としては、もしミッキーマウスが本来の姿に戻ったら、ミスター・ジングルスのようになるんだろうな、と想像できるようなネズミです。
フランス人死刑囚のドロクロア、通り名デルのペット。
演じた俳優の【マイケル・ジェッター】は『グリーンマイル』から3年後。エイズ患者・癲癇性発作で亡くなります。享年50歳。
死刑囚棟でネズミが出たと話題になり、看守員たちは衛生的にも捕まえようと試みるのですが、賢いネズミは「ペット」に一転。
人間に近づき餌をもらう。肝が座ってるぜ!と言われるような警戒心のなさで愛嬌たっぷり。
囚人デルに可愛がられ、彼のペットとなり「ミスター・ジングルス」と名前をつけられ、芸も見せる。看守員たちも公認。
女人禁制の現場で唯一の癒しとなるジングルスは、看守員と囚人を繋ぐ糸のように思います。(劇中の芸も糸車を転がしますので)
そんな中で協調性の無いパーシーだけがミスター・ジングルスを殺傷すると大騒ぎ。
看守員たちは、せめてデルの死刑が終わるまでは(ミスターと一緒に)と人としての向き合う気持ちで接しています。
そして2度目の奇跡が起きるのです。
今度は看守員の多くがその瞬間を目撃し、その誰もが思うのでジョン・コーフィーは冤罪だと。
3度目の奇跡は、ポールの友人である所長の奥様の脳腫瘍を「元通り」にすること。
死刑囚を外に出すという犯罪を犯してまで、友の妻の命を救おうとコーフィーを連れ出す。
ちなみに私はこの脳腫瘍の奥様のシーンで毎回涙を流します。
死刑囚の刑期は軽くなることがない。
ジョン・コーフィーの死刑執行日が迫ります。
会場にいる遺族は叫びます。「そいつを2度殺せ!」と。
第二スイッチオン。
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マイ・エピソード。
2002年にアメリカのロサンゼルスに留学していたのですが、アメリカといえばショッピングモールです。
週末になると大学の友人とサンタモニカのビーチに行ったり、何もすることがないとショッピングモールで出掛けました。
本屋で見つけたセール品。日本の本屋でセールは中々見かけないので気にして見る。
その際に購入したのが『グリーンマイル』のスクリーンプレイです。Screen Play=脚本。
12ドルの本が4ドルのセールなんてお得だな。
私はこの本を使って留学期間中に何度も外国人の友人とセリフの読み合わせをしたり、「グリーンマイルごっこ」をして演劇の真似事をしました。なので思い入れも強いし、今でも日本語字幕より英語台詞で覚えている箇所が多いんですよね。
あれから10年以上経ち、英会話は忘れてしまったけれど(^◇^;)よき思い出です。
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この映画で私が最も伝えたいのは、とにかく話が面白いということです。
ポール役を演じた主演のトム・ハンクスも、コーフィー役の【マイケル・クラーク・ダンカン】も、この映画に限っては名演技とまでは行かない見え方で、だからこそパーシーやワイルド・ビルのような悪役の印象が強く残ります。
スティーブン・スピルバーグ監督が、この映画を観て「途中で堪えきれずに、4回号泣してしまった」と言う当時のエピソードコメントは有名です。(どれだけ心が優しいんだよスピルバーグ!(◎_◎;))
記憶の扉をノックするので、誰しもに「強く泣ける」シーンがあるかもしれません。
そして映画鑑賞最大の難点は本編の時間が3時間を超える長尺だと言うことです。
最初は長いなと思って観るのですが、毎回いつの間にか時間が過ぎているんですよね、私の場合だと。
お時間の取れるこの時期にピッタリかと思いまして、この作品を紹介させて頂きました。
観て損のない映画とは、この映画のことを言う( ✌︎'ω')✌︎
レンタルや配信で是非ご覧になってくださいネ。
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COVID-19・新型コロナウイルス。
現在世界で最も多く感染者数を出している国がアメリカ合衆国。
おそらく正確な感染者数で考えると発生源である中華人民共和国の方が多いとは思っています。
10分の1で報告する国ですからね。
アメリカのロサンゼルスで映画監督をしている日本人女性がいます。
彼女がロサンゼルスでの状況を書かれた記事に感銘を受けたので、本人の了解を得てリブログさせて頂きます。
カリフォルニア州はニューヨーク州よりも速くロックダウンを実施し、感染数の少ない現在の状況をニュースで知るのですが、是非読んでほしいと願います。
記事の中で私が驚いたのは、彼女の知人にも感染者が出ていて、知人の家族が亡くなっている現実です。
日本のニュースは遺族を報道しませんから、とてもハッとさせられる文章に感じました。
NYよりも3日間早く対策をしたLA。その甲斐あって感染者数はNYを下回っている結果。
しかし家篭りに嫌気がさして外に出る人が続出したため、再びの外出禁止命令が出されたようです。
最初が肝心と言う言葉が示す通り、日本はユル〜く「お願い」をしてきたわけですから、そのために意識改革に時間がかかっているのでしょう。
都心や観光地は人がいなくても、商店街や私の住む下町には沢山の人が行き交っている現状を見ると、真面目に言われた通りにしている大半の人が不憫ですし、魔女狩りのように「あいつが悪い」「あそこが営業しているから晒せ」と言うコメントも不憫です。
正直者が馬鹿を見るではなく「正直者が利口なる」未来の日本に。
誰かが倒れる前に、休んでください、みんなで助け合いましょう、と手を差し伸べる人も公に出てきて欲しいです。
アベノミニマスクが全国に配布中の首相だって、休日返上大忙しで神経すり減らして働いているのだから、奥様のようにジャニーズを連れてお花見したり、暇だからと言う理由で飛行機旅行されたらたまったものじゃないでしょうね。。。でもまぁ・・一言、「妻が(制御不能で)お騒がせしてすみません」とだけ言って欲しいですけどね(^_^;)
(いいなぁ宇佐神宮・・個人的に前々から一番行きたい神社なので、状況が落ち着いて平穏が訪れたら・訪れたいと思います)
最後に。
新型コロナウイルスにより亡くなった文化人・映画人が世界各国で多くいらっしゃいます。
『E.T』などを撮影されたアレン・ダビューの逝去のニュースは本当に悲しいです。
この未曾有の世界危機の終息はまだ先になるのでしょうけど、今は1人1人が出来ることをするだけしかないのでしょう。
『グリーンマイル』のジョン・コーフィーが劇中に言います。
「慣れないところだと、暗闇が怖いのです」と。
同じ痛みは分け合えませんが心は1つだと思っています。
【mAb】