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THE映画評論『劇場再開:5作品』

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東京でシネコンが再開されて早3ヶ月が経過しました。

その間で私が観た新作映画の中から数作品を紹介致します。

 

 

以前のように何も考えずに劇場に足を運ぶことは出来なくなりましたが、体温と同じで、現在は熱が上がりすぎるのも良くないと思いますので、ゆっくり落ち着いて映画を楽しんでいこうと考えている所存です。

 

 

 

_________

 

 

 

『ANNA』

 

 

 

 

監督は『ニキータ』『レオン』『LUCY』など女性アクションの第一人者で、フランスを代表する【リュック・ベッソン】。

 

 

本編時間[119]分。配給会社キノフィルムズ。フランス=アメリカ映画。

 

 

時代背景は1990年のロシア首都モスクワ。以下はmAbの記憶頼りの物語文。

 

 

モデル捜しのために訪露したパリの敏腕スカウトマンが、モスクワの市場で金の卵を発見する。

彼女の名前はアナ。マトリョーシカの売り子をしていた女子大生だ。スカウトマンはアナを口説き落とし来仏させる。

 

 

モデル事務所の女子寮で共同生活。到着早々から大きな仕事を任されるアナは、トントン拍子に出世。その後、事務所の顔として様々な業界人の集まるパーティーに同伴。そこで紹介された実業家と交際に発展する。

 

 

彼女の魅力にスッカリぞっこんラブな男。男は惚れた女に弱いもの。

 

 

キスから先を頑なに拒むアナの信頼を得るために、自身の素性である裏稼業を告白する。

 

 

「裏向きでは武器商人をしている」。男からその告白を聞いた瞬間、アナは隠し持っていたピストルで男を射殺するのだった。

 

 

(暗殺後、時系列巻き戻し)

 

 

ホームレスのアナは小悪党の男に拾われ、長らく彼の家で施しを受ける代わりに奉仕をする日々を送っていた。

そしてある夜、事件が。彼の仲間たちと一緒に強盗に付き合わされるも、失敗に終わり逃走。

 

 

荷物をまとめてトンズラしようと自宅に戻ってきたところ、部屋には正体不明の男が座っていて彼を射殺する。

そして謎の男はアナに尋ねるのだ。「KGBに入らないか?」と。

 

 

旧ソビエト連邦国家保安委員会:現ロシアの対外諜報機関[KGB]。

 

 

「軍事訓練1年、現場勤務4年、その後は自由」という口約束を信じ、KGBの暗殺者候補生となったアナ。

 

 

過酷な訓練を経て、女性上官のオルガから不可能に近い暗殺ミッションを与えられながら、それらを次々と達成しプロの暗殺者となる。

 

 

そして次なるターゲットが武器商人となったために、KGB総出で長期に渡る武器商人の暗殺計画が進行する。

 

 

(時系列テロップ「5年後」暗殺後〜)

 

 

計画通りフランスのモデル事務所にスカウトされ、ターゲットに近づき、暗殺を果たしたアナ。

 

 

ここで約束の5年の歳月が流れた。

 

 

しかしKGB長官から「KGBから解放される唯一の方法は死ぬことだ」と伝えられ、騙されていたことを知る。

 

 

絶望の淵に落ちながらも、アナは生き残るための手段として諜報活動を続けていた。

 

 

そんな中で彼女に秘密裏で接触してきた外国の諜報機関が現れる。アメリカ中央情報局・CIAだ。

 

 

CIAに拘束されたアナは死ぬか二重スパイになるかの究極の選択を迫られ、生きることを選択する。

 

 

___

 

 

 

リュック・ベッソン監督は私にとって大好きな監督の1人ですので、ハナから良作の期待をして鑑賞に望んでいます。

 

 

鑑賞時間が経過するたび何度も思うのは、この作品の特徴でもあると思います「巻き戻し編集」が多い事。

最初はいいです、初見なので。しかし何度も同じパターンが続くと「またかぁ・・」と少量のため息を吐くことに。もちろんマスクの中で。

 

 

スパイアクション映画ですから、現在進行形の主人公の行動には「裏」があると思って観ていきますが、それらの行動を遂行するたび「実はコレ、仕組まれていたんですよ。ビックリしたでしょ!?」とアカラサマなドヤ顔な時間帯に入るので、少々飽きが来てしまいました。

 

 

個人的には最後に大どんでん返しみたいなスパイ映画の展開が理想的なんですけどね。作中内の巻き戻しは1度でいいよ、多くて2度で。

 

 

__

 

 

 

主演はロシア出身のスーパーモデル【サッシャ・ルス】[28]。

 

 

劇中ロシア人スパイとして潜入する国フランスでは「ロシアからやって来たスーパーモデル」という設定になるので、いい意味で本業の地の利がある印象です。ただ演技面では特に表情にあどけなさは感じます。女優としてのキメ顔がないのか、ふとした瞬間に綻んで(緩んで)しまうのでKGBぽくはないかな。

 

 

しかし今伝えたように、ドラマ演技になるとあどけなさが出てしまいますが、今回は本業のモデル業を劇中で披露しますので、178cmというスーパーモデルの身長美から見下ろす表情は「ヨッ!モデル屋!」と思わず屋号を叫びたくなるような「顔の変化」を魅せます。

 

 

 

 

まるでマダム・タッソーの蝋人形館に展示されているような芸術品。

 

 

スパイ映画の女諜報員。女性は男社会で生きていくために、女を売ったり、男を立てるための行動に徹したりする。

 

 

特に今作はロシアの諜報機関ということで、国のイメージに冷酷さがあると思います。

普段日本で上映されるスパイ映画は9割が米英もしくは英語圏の製作です。

 

 

その米英のスパイ映画が華麗に描きすぎているのでしょうけど、ロシアや旧ソは柔らかいイメージがないですよね。

 

 

そしてこれも女性スパイの人物像だと思いますが、女を売るにしても、肝心のターゲットが彼女に惹かれなければ意味ないですよね。

 

 

美人なだけではダメ。知的なだけでもダメ。(思いつくだけでも)美人➕色気➕品➕頭の回転がなければダメ。そして絶対条件として戦闘スキルが圧倒的でなければ論外!相手にするのは屈強な男たちで、マフィアに殺し屋!

 

 

そういう基準を全てクリアし、見た目も中身もスパイとしての総合的なスキルを兼ね備えた女性。

 

 

その全てをクリアしている女優を演じるのも難しいと思いますが、サッシャ・ルスのアクションやロシア人女スパイという役柄は、立ち姿や姿勢が美しいので気にはなりません。彼女の演技を視るのは監督の前作以来ですが、178cmという高身長を活かしたアクションは本当に綺麗。身長の高い女性のアクションは特に股下ですね。かかと落とし的なキック大好き(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

 

 

男性ほどの身長がありながら、線が細くスラっとした足で直角なキック。これホント女性だからこその美!!

 

 

ただし冒頭でも書いた、時々見せる「あどけなさ」。これは映画鑑賞に完璧を求める方には気になる点かもしれません。

KGBの潜入スパイだと考えて観ると、素の表情を見せがちだし、随分と人間的な見え方で描写されているんですよね。

 

 

KGBに所属したアナはセミプロ状態。プロになるために常人では考えられない訓練を積み、最終試験には超過酷な内容の暗殺課題を与えられます。レストランに出向き写真のターゲットを射殺する任務です。しかしいざ本番、渡された拳銃の銃弾は抜かれていて空砲。その瞬間、レストランの至る所にいたターゲットのボディーガードが襲いかかり、超大乱闘を繰り広げる・・・というシーンです。

 

 

この時のアナの風貌が、私が持つロシア人女スパイのイメージです。

 

 

 

 

この白のコサック帽、可愛いですよね。

 

(今日本は真夏だけどねΣ(・□・;))

 

 

真っ白なフワフワのコートに大量の血が付着。もちろん返り血。任務完了・・・(上官)合格。

 

 

___

 

 

 

共演者⬇︎。

 

 

英国が誇るオスカー女優の【ヘレン・ミレン】[74]。演技派ドラマ女優を経て、老人の年齢を迎えてから『RED』などのアクション映画に精力的に出ている印象がありますが、今回はKGBの伝説の女暗殺者オルガ役。同じ孤独な女スパイとしてデビューするアナを厳しくもどこか親目線で見守っている印象があります。

 

 

70代を超えてこれほどキレのある動きをなさるので、見せ場という見せ場は少ないですが存在感がありました。

 

 

そしてヘレン・ミレンが演じる諜報機関の国設定が、CIA(アメリカ)ではなくKGB(ロシア)なのにも意外性があります。

 

 

ヘレン・ミレンは「イギリス女優」という印象が強いのですが、母親はイギリス人で、父親はロシア革命時にイングランドに亡命したロシア帝国の貴族だったそうです。ロシアとイギリスのハーフ・・それを知れば作品の設定といえ深みを感じた私です。

 

 

主要男性キャストから【ルーク・エヴァンス】[41]←露、と【キリアン・マーフィー】[44]←米、の中堅俳優がご出演。

 

 

ルーク・エヴァンスが演じるのは主人公アナの上司アレクセイ。彼女をKGBにスカウトしたのも彼ですし彼女を心から愛しています。俳優はイギリスはウェールズ出身。役柄の設定はロシア人スパイ。

 

 

今回のルーク・エヴァンスが演じたアレクセイは、KGBのイメージとはかけ離れていて、何かと隙があるし、主人公に熱を上げてからは油断の多さが気になります。この映画をもしプーチン大統領が鑑賞されたら「なんだこれ?」と呆れて帰っちゃうんじゃないかな(^◇^;)(そもそも遅刻して劇場に入りそうだ)

 

 

キリアン・マーフィーが演じるのはCIAエージェントのレナード。

俳優はアイルランド出身。主役も出来るし脇役で存在感を出す名バイプレーヤーという印象です。上と同じで、CIAのエージェント役としては隙が多いかな。

 

 

ロシアKGB・アメリカCIA。両国2名の屈強な男が、主人公である女スパイを愛してしまう。

この映画の最大の大売りがココ。2人の男が虜となることで主人公のアナが引き立つ

おそらく続編を意識しているのでしょう。

 

 

 

___

 

 

 

この映画で最も面白いのは「設定」で、私にはそれ一択。

 

 

アナはCIAエージェントのレナードに捕まり、二重スパイを行うことで生かされます。詳しい作戦の内容については書きませんが、その後、上のKGBアレクセイ、CIAレナード、二重スパイ先である両名と恋仲になるのです。つまり二股を掛けるわけですね。

 

 

これも女スパイ映画の醍醐味ですが、男性の気持ちは本物でしょうけど、女性の「本当」の気持ちは最後まで分からない。

 

 

主人公のアナと、ロシア・アメリカ両国の諜報機関エージェント、この三角形。勿論、ピラミッドの頂点はアナ。頂点が揺るがなければ続編は作れます。

 

 

CIAとKGBをフランス人のリュック・ベッソン監督が撮りますから、どこか中間の視点でwin-winに描いこうとしているのは視て取れるのですが、自分としてはやはりアメリカ寄りのハリウッド映画で売り出すためCIAに有利な描写に感じます。

 

 

作品の冒頭に書きましたように、巻き戻し系の展開をメインとしますが何度も続くと流石に飽きが来ます

 

 

逆算に次ぐ逆算。仮にその逆算を感じ取れれば秀作なのですが、私はそれを感じ取ることが出来ず、もう少し段階を踏んだ上で次に進んで欲しかったです。

 

 

それともう2つ。アナはパリのモデル事務所に所属し、所属タレント達との共同生活を送ることになりますが、その施設の描写をもう少し多めに描いて欲しかったのが1点。その共同生活を経てパートナーになる同性の描き方(裏のなさ)がもう一点。

 

 

 

 

相手の女性は感情描写を分かりやすく描いているので安易に理解できますが、アナに対してはレズビアンなのかバイセクシャルなのかが、この映画を見ていて分かりません。プライベートで一緒にいるから前者かなとは単純に思いますが、個人的には恋人となる女性にもう少し設定の深みがあればこの作品はもっと「誰も信用できないスパイ映画」になったのかも知れません。

 

 

ロシア人スパイ映画といえば『ソルト』の【アンジェリーナ・ジョリー】が私には印象に残っていますが、新たなシルエットを思い浮かべる選択肢が増えました。

 

 

 

最後に。

 

 

興味深く思ったのはモスクワ時代の話(きっかけ)。

 

 

身寄りがないホームレス状態だったアナが、男の家に転がり込み自堕落な(生きているのか死んでいるのか解らない)生活を送っている。

 

 

そんなある日。自立をしようとパソコンから海軍のホームページにアクセスして志願をします。中途に父親像も描かれるので、前から考えていたと思いますが、劇中の冒頭ではそんな素振りは見せません。自堕落な生活から抜け出して自立するにしても、アルバイト募集のサイトではなく、いきなり軍隊ですからね。やはり素振りは映像で魅せるべきだと思います(^◇^;)

 

 

そうして彼女の元に現れたのがKGBです。

 

 

例えば、この記事を読んでいる貴方様のパソコンやスマホ。その画面の上に当たり前に付いているカメラは某国の某人によって盗撮(監視)されている。などの都市伝説があります。長者番付けに載るような人物は電子機器のカメラにテープを貼っている。実話を元に描いた映画『スノーデン』より。

 

 

アナは海軍に履歴書を送ったはず。しかし現れたのは秘密警察・スパイ機関。

「軍隊=秘密警察」なのか、そもそも彼女が見ていた海軍のホームページがフェイクなのか?映画とはいえ想像の奥は深そうです。

 

 

これから本作品を鑑賞される方は、その点にも注目して『ANNA』を楽しんでください。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 13点

構成 15点

展開 12点

完成度13点

 

 

[67]点

 

 

 

____________

 

 

 

 

『ストーリー・オブ・ライフ  若草物語』

 

 

 

 

 

監督【グレタ・ガーウィグ】

 

 

主演

長女【エマ・ワトソン】

次女【シアーシャ・ローナン】

三女【エリザ・スカンレン】

四女【フローレンス・ビュー】

【ティモーシー・シャラメ】【ローラ・ダーン】【メリル・ストリープ】

 

 

配給[ソニー・ピクチャーズ]

本編[2時間15分]

 

 

 

今までの古典文学小説:若草物語に、新しいストーリーや新解釈を加えた新作。

 

 

若草物語の原題は『Little women』。

そもそもがティーンや20前後の女性を「若草」と表す表現は深みがあると思います。

 

 

今回の邦題は『ストーリー・オブ・ライフ』

 

 

邦題に「オブ」や「イズ」って多いですね。

変にカタカナ邦題で名付けずに原題をそのまま訳した方が深みがあると思うのは私だけかな?

 

 

これまで何度となく映像・舞台化されてきた『若草物語』。

1860年代のアメリカ合衆国マサチューセッツ州を舞台に女性の生き方を描いた人間ドラマ。

私にとってはウィノナ・ライダーが人気絶頂だった『若草物語』が最も思い出に残っています。

 

 

アメリカではアカデミー賞に合わせて昨年の12月に公開され、本番では6部門(主演・助演・作品・脚色・作曲・衣装デザイン)がノミネートされ、衣装デザイン賞でオスカーを獲得しています。

 

 

日本での公開は当初3月27日・全国128館での上映でしたが、新型コロナウイルスにより公開は延期に。

 

 

ご存知のようにシネコンは新作映画が最も旬です。6月の劇場再開後はスクリーンを埋めるために、3月公開以前の作品や過去のリバイバル映画を上映していました。

 

 

そうした状況下(新作不足)で劇場再開。その真っ先の作品が『若草物語』となったのですが、なんと当初128館の3倍近くとなる340館での公開となりました。

 

 

シネコンは47都道府県で合計3165館ありますが、ざっくりと「どこでも上映している作品」の状態に。

 

 

公開前の作品が増えることは珍しいと思います。

 

 

怪我の功名と言いますか、6月中に新作公開出来ればウチだって・・と砂を噛んだ配給会社もたくさんあるのでしょう。

特に今作品は良質な映画でしたので、このタイミングで映画公開出来て、通常よりも多くの方が鑑賞することになり良かったと思います。

 

 

____

 

 

 

製作段階からアカデミー賞を狙いに造っていることは明らかだった。

 

 

ティーンの頃から演技力の評価がズバ抜けて高い【シアーシャ・ローナン】[26]や

 

ティーンの頃から世界的人気と存在感を誇った【エマ・ワトソン】[30]の2大スターの共演が売り。

 

 

特にシアーシャは出演する作品のほとんどが賞レースに絡む女優だし、そういう星の下に生まれたんだと思います。個人的には外見のタイプは違いますがケイト・ウィンスレットに似た演技域だと視ています。

 

 

さらに公開順で先に日本公開された衝撃作『ミッドサマー』で主演を演じた【フローレンス・ビュー】[24]は今作エイミー役でアカデミー賞助演賞にノミネート。出始めの頃のアマンダ・セイフライドを彷彿とさせる容姿で、今後間違いなく大活躍する若手女優です。

 

 

時代は1860年代のアメリカ。ちなみに本国での歴史的事件といえば、リンカーンが奴隷解放宣言を出したのが1862年です。

日本でいうと、1860年は桜田門外の変が起きた江戸時代です。1860年代は後半に薩長同盟、そして戊辰戦争の流れ。日本ではチョンマゲの武士がいた時代ですから、そう考えますと所変われば品変わるですね。

 

 

四姉妹を中心とした物語で、主役は小説家志望の次女。この時代の女性の幸せは家庭に入ること。

四姉妹は姉妹愛の絆で結ばれていて、性格や考え方は其々ですが、喧嘩をしても互いが互いを労わりあって優しさがある。

 

 

家族の優しさとは許すことだと私は思う。これは他人とは違うところ。

 

 

アメリカが世界に誇る女性を主軸にした古典文学の傑作。

 

 

今回の『若草物語2019』は

随所に拘りが織り込まれていて、例えば、女性が編み物をするように、じっくりと作られた温かみのある仕上がりです。

 

 

 

 

 

 

脚本 13点

演技 16点

構成 15点

展開 15点

完成度14点

 

 

[71]点

 

 

 

 

_____

 

 

 

『エジソンズ・ゲーム』

 

 

 

 

 

監督【アルフォンソ・ゴメス=レホン】

 

 

主演【ベネディクト・カンバーバッチ】

【マイケル・シャノン】【ニコラス・ホルト】【トム・ホランド】

 

 

 

原題は『the current war』「カレント・ウォー」。この場合のカレントはファイル装置を指します。

 

 

邦題『カレント・ウォー』では日本のお客様は入らないでしょう。

 

 

邦題は『エジソンズ・ゲーム』

 

きっとタイトルに発明王エジソンの名前を入れた方がお客が入ると判断したんじゃないかと私は思っています。

 

 

エジソンの名前が有るのと無いのとでは鑑賞の期待値が違うと思います。

 

 

子供の頃に「世界の偉人」の本で読んだ代表的な人物。ナイチンゲールにヘレンケラー、そして今作品の主人公エジソン。

 

 

 

主演は今やイギリスを代表する俳優となった【ベネディクト・カンバーバッチ】[44]

 

 

私の初見は10年前。小規模上映だった『僕が星になるまえに』でベネディクトが映画初出演してからは、物凄い勢いで駆け上って行った印象です。

 

 

そして、エッグ・ベネディクトを注文するたびに彼のことを1度意識するようになりました(笑)

 

 

 

 

 

伝記ドラマの主人公を演じるイメージがあります。

戦時中ドイツ軍の暗号機エニグマを解読するためにコンピューターの基礎を作った『イミテーション・ゲーム』のアラン・チューリング役。

 

 

チューリングとエジソン、どちらも世界を変えた偉人。

同俳優が演じるのは相当名誉なことだと思います。

 

 

 

 

 

今作品は公開される前の製作段階が非常に話題になった作品です。

 

 

プロデューサーのH・ワインスタインによるパワハラ・モラハラで、思うように映画製作が出来ず、監督のゴメスは心労のために体重が10キロ以上痩せてしまったそうです。作りたいものを一切作れなかった、この映画はそうした経緯があります。

 

 

本来の目的だったエジソンの人間性も、ワインスタイン氏によって「ただの善人」として書き替えられたそう。

 

 

ただの善人として描くなら、わざわざ映画化することはないんじゃない?と思ってしまいますよね(^◇^;)

 

 

だからじゃないけれど、今作品のエジソンは期待したほど深みがなかったです。

 

 

米俳優【マイケル・シャノン】[46]や、ベネディクトと同じく英国俳優の【トム・ホランド】[24](←スパイダーマン)と【ニコラス・ホルト】[30](←『X-MEN』ビースト)など英国を代表する俳優が揃っているので、役者を見るだけで楽しめる作品でした。

 

 

ワインスタインは告発され、逮捕起訴などされ、現在は「この作品に携わったことを誇りに思うなど」とコメントしていますが、エンドクレジットからは削除されています。名前を記すのも精神的に嫌って、結構すごいことですね、日本的に考えると。

 

 

映画以外の面で注目が集まった作品ですが、世界の偉人の伝記映画として鑑賞すれば多くの発見や真相に気付く内容になっていると思います。

 

 

最後に。

 

 

毎月毎週、金曜日になると、沢山の新作映画が日本で公開されますが、監督や演者、製作陣はその数ある作品のうちの1つを長い時間をかけて創り出しますので、鑑賞者である私自身もそれを忘れないでいたいですね。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 14点

構成 13点

展開 14点

完成度13点

 

[68]点

 

 

_____

 

 

 

『一度も撃ってません』

 

 

 

 

 

監督【阪本順治】

 

 

主演【石橋蓮司】

【大楠道代】【岸部一徳】【桃井かおり】

【佐藤浩市】【江口洋介】【妻夫木聡】他

 

 

 

 

 

 

小説を描くためだけに間接的に殺人を依頼し、その殺し屋から一部始終を伝えられ、作家は事細かくその描写を自らの小説で説明する。

 

あまりに実際の殺人事件と酷似しているため、警察は作家を疑うが証拠不十分。

 

作家には二面性がある。昼の顔と夜の顔。日中は売れない小説家の老人で妻と2人暮らし。夜はまるでギャングのボスのように薄暗いBARで編集者や仲間たちと落ち合う。

 

 

___

 

 

 

何を描きたいのかは明確に分かるが、それと面白さは別。

おそらく何度も観ていけば深みはあるが、初見だと正直退屈な時間が多い。

大御所俳優たちによる趣味の延長線上の映画のような気もする。

 

 

ゲスト出演する俳優陣は実力的に申し分がない。

したがって「いい映画ですよ」と肯定しなければいけないような重厚感もある。

 

 

最近はタイトルでストーリーを伝える日本映画が多い。どういう意図のネーミングかは分からない。

映画が産業であるアメリカでは、観客に想像させるため、このようなタイトルを名付けないと思うので、理解しがたい。

 

 

他のジャンルならば特別気にはならないが、今作のジャンルでこのタイトルには首をひねる。

タイトル(映画鑑賞前から)で『一度も撃っていません』と前以って真相を伝えてしまうのは、果たしてどうなのだろう?

 

 

撃つと書けば、真っ先に銃を連想する。

主人公の小説家はタイトル通り一度も銃を撃ったことがない。

しかしそれを作中で判明させるのは映画中盤になる。

 

 

もう少し先(前半)に判明させて欲しかったと思うが、2度目の鑑賞だったら気にならないかも知れない。

 

 

主演は【石橋蓮司】さん[78]

名脇役として沢山の映画で拝見してきましたが、この年齢で活動できるってカッコいいです。

身長も180cm近くはありますし、追い詰められた時に魅せる目を見開く表情が個人的に好きです。

 

 

失礼かもしれませんが、脚本だけで観るとワクワクする作品でした。

 

 

過去に出版歴があるハードボイルド小説家の市川。

現在は担当者とのやりとりだけの売れない小説家。

 

 

妻の年金を頼りに生活する。おそらく自分の年金は取材費に充てているのだろう。

殺し屋を雇ったり、その殺し屋から本物の銃を仕入れたりしているので、この老人作家の収入源・資産も知りたいところです。

 

 

主人公が書いている「ハードボイルド小説」を辞書で開くと、

 

 

>感情をおさえた行動的な主人公の登場する探偵小説の一ジャンル。D =ハメット R =チャンドラーなどがその代表的な作家。

 

と出てきます。

 

 

市川の小説は、とにかく状況説明が中心で、特に小説の中で被害者となる人物の臨終シーンの描写が至極リアルなのが特徴。

 

それ以外の例えばストーリー性だったり人物描写の評価は低い。

 

コアなファンはいるのだろうけど出版しても売れない。

 

 

 

映画の前半部分で描かれているのは、市川という主人公の老人作家が、物凄いポリシーと二面性を持っていること。

 

 

日中は『日本のリアル老人』という絵姿で、ゴミ出しをする様子はお爺ちゃんですし、しっかり売れない作家に見える。

 

 

夜中になると反転し、薄暗いBARに足蹴なく通い渋めにキメる。半グレの人間とも付き合いを持ち、自身の小説を描くために殺人者に依頼する。小説家としての彼のリアルな臨終描写が書けるのは、そのためだ。

 

 

どちらの姿も市川の素なのだろうけど、生き生きしているのは紛れもなく夜。

 

 

専業主婦の妻の1日は家事で終わる。収入のない夫を自分の年金で食わせている状態だが、それが夫婦だと割り切っている感じに見えた。夜になると家を出て行く夫のことは知っているが、これまで一度も追求はしなかった。

 

 

市川の描く小説と、実際の殺人事件とが酷似している為に、警察は市川を事情聴取したことが過去にあると本編にある。

 

 

タイトルで示すように、市川自身は『一度も撃ってません』なので、殺人には手を染めてはいない。

ただ銃は所持しているし、売人との繋がりなど、前科こその無いがかなりグレーな道を進んでいる。

 

 

警察が当時の彼を解放した理由も映画内で警察目線として知りたいところです。

 

 

夜になるとハードボイルドな男のモードになるため、夜の街の薄暗い場所にも怖がることなく足を踏み入れ、街の裏にも精通している主人公なのだけど、本業の小説家としては、完全に自己満足に見えるので、主人公に渋さを求めるように鑑賞された方がいいかもしれません。

 

 

___

 

 

 

登場人物と演じた俳優を。

 

 

主人公市川の妻役は昭和のスター女優【大楠道代】さん[74]。

中盤、長年の疑問だった外出問題を夫に問い詰めた瞬間から、殻を破った主婦の演技に変化します。

出かけていくことは知っていたけれど、外で何をしているのかは知らない。例えば興信所を頼ることもない。夫に仕える昭和の夫婦像。そんな妻は後半、お酒の力も相成って開放的(吹っ切れる)になるという映画の中でテンションが変わっていくキャラクターです。

 

 

市川が夜な夜な通うBARで落ち合う旧友は2名。

 

 

【桃井かおり】さん[69]と【岸部一徳】さん[73]。

 

 

桃井さんのねっとりとした喋り方と、岸部一徳さんのジメジメした喋り方に、石橋蓮司さんは感情的な喋り方ですから、そのお三方が揃うと・・なんだか生々しいです(⌒-⌒; )

 

 

同BARで打ち合わせる担当編集者・児玉役に【佐藤浩市】さん[59]。

mAbが日本人俳優の中で特に大好きな男優さんです(^ ^)

 

 

児玉は間も無く定年を迎えるということで、後任となる編集部の若手を連れて、市川と打ち合わせを行います。

児玉と市川には数十年の付き合いになる関係性があるのでしょう。しみじみと語り合います。

 

 

正直、ヒットを見込めない小説家相手に、担当編集者といえ、ここまでの経緯を払う必要性はないと思うのですが、彼らにしか分からない絆があり、そして「男として惚れている」のだと感じました。(打ち合わせはいつも夜の酒場ですが、担当の児玉が日中の作家の姿を知っているのか?という疑問は映画内で描いていませんでした。)

 

 

私が驚いたのは、児玉が連れているゆとり世代の新人編集者。

 

 

態度も悪いし敬意もない「イヤな若者」を演じています。

 

 

その役者は【寛一郎】さん[23]。

 

・・・まさかの親子共演Σ(・□・;)

 

 

ドラマや映画などで見る機会が多くなった新人俳優さんですが、佐藤浩市さんの実子さん。

 

親子共演で考えると三國連太郎さんを思い出すので、感慨深かったです。

 

 

 

 

他に市川のペンネーム【御前零児】を暗殺する為に、登場する敵キャラ。

 

御前零児が伝説の殺し屋という情報を得たヤクザが、殺し屋を雇い本名・市川進の暗殺にかかります。

 

 

ヤクザの組長には【柄本明】さん[71]

 

殺し屋には【豊川悦司】さん[58]

 

 

角刈りにサングラス、アジア系マフィアという役柄でセリフも少ないので、エンドクレジットで「豊川悦司さんだったんだ!?」と知った感じです。

 

 

続いて、前半部分に登場されますので紹介します。

 

 

小説を描く為に市川自身が雇う殺し屋役に【妻夫木聡】さん[39]。

 

 

標的にするのは善人ではなく悪人。悪を成敗。だからって小説家が個人的に殺し屋を雇うなんて・・それを小説にした方が発想力豊かなんじゃないかな。実際ノンフィクション作家なのだから。

 

 

冒頭に地下駐車場で殺害されるのは【堀部圭亮】さん[54]。

 

中盤のメインは詐欺社長【江口洋介】さん[52]。

 

 

そして個人的には、劇中に市川とヤメ検役の岸部一徳さんが通うBARのシーンで、女性バーテンダー役で出演されていた女優に懐かしさが込み上げました。

 

 

自分の世代ではアイドル的人気だった【前田亜季】[35]。

 

 

約20年ほど前のこと。ジュニアアイドル女優、通称チャイルドの代表格だったなぁ。お姉様の前田愛は梨園の妻になりましたが、当時の人気は妹の亜季の方が圧倒的でした。姉はボーイッシュ、妹は健気でガーリーな女の子、という対照的な姉妹像でした。

 

 

バーテンダーということで手際とか佇まいくらいしか視れる箇所がない役ですが、演者としては、元々演技の上手いタイプではないし、相手の目を見て演じる女優さんだったから、今作品の役は合わないと言い切ります。もっとバーテンダー役を習得してから演じて欲しかったけど・・これだと当時を知らない世代には「怖いイメージ」が付きそうで少し心配。

 

 

「豪華俳優陣」

この売り込みの邦画が年に10作品以上あります。

 

 

知名度のある俳優の量が増えている昨今の事情もあるでしょうけど、今作に限っては演技レベル的にも錚々たるメンツがご出演なので、【阪本順治】監督[61]のもと集われた名優(盟友)たちの作品を観るだけで、満足できました。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 14点

構成 14点

展開 13点

完成度13点

 

[68]点

 

 

 

_____

 

 

 

『水曜日が消えた』

 

 

 

 

 

監督【吉野耕平】

 

 

主演【中村倫也】

【石橋菜津美】【深川麻衣】【中島歩】【きたろう】他

 

 

 

公開時は新作が少なかった事も多少あり、この作品の上映回は、シネコンで上映された作品の中で最も観客の入りが多かった。

 

 

この時期、特に私は東京なので、観客は少ないに越したことはない。

 

 

日中と夕方は観客の入りが多かった。

ならばとレイトショー料金(一部のTOHOシネマズで実施するサービス。20時以降は大人1900円→1400円)が適応しない通常料金のTOHOシネマズ日本橋で今作品を鑑賞する。

 

 

観客は私を含めて3人だった。繁華街ではない都会の夜の街は空いている。時に今の時期は。

 

 

個人的な話だけれど、以前に比べてだいぶ観る作品を選ぶようになっている。

 

 

元乃木坂の【深川麻衣】さんの名前があったことが鑑賞の決め手。

 

 

 

 

前半の1時間は『世にも奇妙な物語』で既存してそうな発想の話と話の展開で拍子抜けする。

日本のサスペンスやミステリードラマ系の作品の発想は、全てが『世にも奇妙な物語』と漫画の『アウターゾーン』に繋がる、これが私の持論だ。

 

 

若い世代ならば今作品は新鮮かもしれないが、ある程度ファンシードラマ物に通じてきた比較対象が多くある鑑賞者は、ありきたりな物語を見せられると思います。

 

 

描きたいことが分かるからこそ平凡な作風で退屈でした。だがしかし!後半の1時間で「ようやく」と言いましょうか、役者の演技を試される魅せ場が表されて、私自身が楽しめた結果となった。

 

 

前に書いた『一度も撃っていません』と同じく、最近のタイトルにありがちな風潮。今作品もまさしくそう。

 

『水曜日が消えた』とタイトルが出落ち(ネタバレ)で、最初からその物語の設定を伝えているわけだし、こうなるとハードルも上がる。

 

 

冒頭。主人公には1週間それぞれ7名分の人格が存在していると紹介されます。

 

 

月曜日の人格・火曜日の人格・水曜日の人格・木曜日の人格・金曜日の人格・土曜日の人格・日曜日の人格。

 

 

幼い頃の自動車事故により、両親と兄弟を亡くしました。

その後遺症から?または幼い脳が現実逃避をしたからか?

 

 

主人公は7つの人格を交互に所持するという多重人格障害になります。

多重人格だと、いつどこで誰が出てくるのか判断に困る時がありますが、この映画の主人公はハッキリしていて判りやすくていいです。

 

 

各曜日ごとに、性格、気質、職種、生き方などが異なります。

主人公は「火曜日の人格」。火曜日は穏やかで几帳面・世話好き。医学の研究材料として施設に出向くのも火曜日の仕事(日課)です。

 

 

 

 

 

この冒頭の時点で、翌日の水曜日の人格が出てこなくなるのだろう・・とタイトルでネタバレしているからこそ、分かってしまいます。個人的にはファンシードラマ物でネタバレタイトルはダサいと思って白けてしまうので、『水曜日が消えた』というより『ウォーリーをさがせ』みたいだなと思って観ておりました(笑)

 

 

タイトル通り火曜日の人格が「おやすみなさい」。寝るまでは火曜日です。睡眠時に翌日の人格に引き継ぐのでしょうけど、翌朝目覚めると「何かがおかしい」。本人は1週間後の火曜日だと思っています。

 

 

前日の人格である月曜日はバンドマンでモテ男。火曜日が目をさますと隣に前日一夜を共にした女性や時には男性が寝ていたり、灰皿に吸い殻が溜まっているパターン。

 

 

火曜日にとって密接な関係は前日の月曜日。何しろ上記のような後処理をしなければなりませんから。

対して翌日の水曜日は間接。部屋を綺麗にして引き継ぎノートに出来事を記すのみ。

 

 

何年もの間、火曜日のみを生きてきた人格は、1人(格)だけ2曜日分を生きれる喜びを得る。

恋もする。水曜日といい感じだった図書館の職員。この役を演じるのが深川マイマイ麻衣だ。

 

 

その地域では図書館は火曜日が休みで、水曜日の人格は読書好きなのに可哀想だ。

 

 

(文字数が13000を超えました。途中ではありますが、〆に入りますm(_ _)m)

 

 

個人的に思うのが、今作のタイトルのネーミングセンス。

 

 

水曜日が消えた、というネタバレタイトルを名付けるよりも、例えば主人公は火曜日ですから『火曜日が増えた』とか、逆にして『消えた水曜日』などにすると鑑賞前の段階で観客に「謎」を感じさせ、想像させると思うので、いい気がします。

 

 

___

 

 

 

スマホのメモ機能に、鑑賞後に箇条書きした今作の私の見方があったので以下はペーストします。

 

 

水曜日が消えた

 

 

前半の1時間は世にも奇妙などで「ありそうだな」と思える話の展開で、後半の1時間でようやく役者の演技を試される・楽しめるように切り替わる。水曜日が消えたと、出落ちで設定を伝えているわけだし、最近の邦画はタイトルでハードルを上げるのが好きだなと風潮を思いながら鑑賞していた。

 

 

これ以上は「設定的に無理がありそう」なので、2時間が限界、ちょうどいい尺。深川とのデートシーンでレイトショーを観るという場面があるのだが、どこが映画館?と思うような公民館や役所的な背景だったのは日本映画の典型的な安っぽさを感じた。今時、映画の映画館デートでシネコンを使用しない映画を久しぶりに観た。

 

 

曜日ごとに人格がある設定なので、役者の演技力が最も試される設定だが、こちらは見事に中村君が七変化していた。他の曜日の出会いや生き方など制作はもっと描きたかっただろう。それとなく匂わせていたが、匂わせるなら描いて欲しかった。人格隔離発生からの16年間。その最初の頃にも興味がある←削ぎ落としのハリウッドを真似ずに、邦画は丁寧に経過段階を描写してほしい。

 

 

それ以外の脳外科であったり役者に見せ場がないので特に印象に残らない。映画を見る前、「水曜日が消えた」というタイトルから、このブログで書く際は〆の文言に「レディースデイが無くなっちゃいますね」と書いて「mAb」で終わろうかと思ったが、ちゃんと映画内のセリフで言ってた。そんなもん。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 14点

構成 13点

展開 13点

完成度14点

 

[68]点

 

 

 

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【mAb】

 

 

 


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