先月4月25日。
3ヶ月ぶり3度目の緊急事態宣言が発令されました。
連休前に期限を決めた短期集中の運びでしたが、結果として運ばれたのは災-WAZAWAI-で、
「緊急事態宣言地」となる都府県の「国民」と「国」の息が全く合ってないかったように感じます。
そんな不審感情を、私が愛する映画の記事の中に書き出しとはいえ差し込むのは脱腸の思いですが、スルーも嫌なので自分と関連する考えはお伝えします。
(断腸ね)
関東では唯一、私が住む東京都が緊急事態宣言の対象地となり、映画館に関しては昨春以来二度目の休館となっています。
昨春の時は、宣言地がその後全国に拡張しましたので映画館も休館しましたが、
今回の場合は4都府県(5月11日までの宣言地)限定になるので、特に私のように商業施設内にあるcinema complexを利用して映画鑑賞する者にとっては気になることがあるのです。
4月25日ー5月11日の間。
東京や近畿3府県以外の映画館は営業されているため、予定通り新作映画が公開されているかと思いますが、
例えば『るろうに剣心』(先月23日公開)等は既に上映されていますが、緊急事態宣言下では鑑賞する術がありません。
23・24日で駆け込みで観られた方以外で、「るろ剣、鑑賞して来たよ!」なんて言うと「えっ?」と引かれてしまうかもしれませんね(^_^;)。それこそ信用問題に関わる。
映画館の受付で住所が判る身分証の提示はないので、例えば、荒川や多摩川や中川を超えて千葉・埼玉・神奈川県で鑑賞する術はありますけど、そこは何というか・・東京出身プライド(^_^;) あっしは緑のご貴婦人の下僕でございます。
「東京で映画が観れないのなら・・千葉や神奈川に行けばいいじゃないの!」
なんてマリー・アントワネットみたいに空気の読めない思考はありません。
気になるところの話に戻りますが、
緊急事態宣言が明けるのは今月下旬か、再々延長になった場合 来月の中旬辺りになるでしょう。
(東京都で話を進めて恐縮ですが)その時には『るろうに剣心』等の4月末〜5月に公開された新作映画は公開1ヶ月を過ぎていている状態。
(蔓延防止等重点措置の地域が緊急事態宣言地に変わる可能性も高いと予想しますが)
そうした宣言地以外で公開された新作映画は、公開第1週の扱いでリスタートするのかな?
他県では1ヶ月が経ち上映終了した作品が、東京では公開第1週扱いなんて状況になるのかな?
そこのところが気にあります。シネコンでロードショーされる映画は上映期間が短命。早く観なければロードショーが終わっちゃう!・・なーんて長年の映画館鑑賞気質でソワソワしてしまうのです(^_^;)
(『るろうに剣心』は数ヶ月上映するので余裕で待てますが、通常2週間ほどで上映終了になる洋画やミニシアター系の作品が他県のTOHO・MOVIX・Unitedのサイトで見つけるとソワソワする(^_^;)そもそもの上映本数が少ないので暫くは今ある作品で回してていくのでしょうけど)
前書きの段階で長く書いてしまいましたm(__)m
2004年、17年前の公開。
私が大好きな映画『ターミナル』のキャッチフレーズに「人生は待つこと」とあります。
母国で内戦(クーデター)が起きパスポートが無効。アメリカに入国出来ず空港内で暮らした主人公を描いた作品です。
COVID-19に感染した主演の【トム・ハンクス】の名作に習い、待つことの先に好転があると信じて。
_____
まず作品を書く前に。
先日。アカデミー賞の本番前に記事にした『ミナリ』で、予想した通り韓国人女優【ユン・ヨジャン】[73]が見事アカデミー賞主演女優賞を受賞しました。おめでとうございます👏👏
歴史的大快挙。日本ではニュースで一報は伝えられましたが、そこまで大きな話題にはなりませんでしたね。本当は特集を組むレベルだと思うのですが。
過去に【菊地凛子】さんや【渡辺謙】さんが同賞の助演(女優・男優)賞候補になった際は、連日ニュースで盛り上げましたので、少々寂しい気持ちでした。
近くて遠い国。実力の距離まで遠く離されてしまいました。
『ミナリ』は心から良い作品でしたし、今年度は助演賞の顔ぶれの中にアジア系のお年寄りが1人いて、私の目には人種的にも目立って観えました。こうした条件が揃うのもタイミングなのだと思います。改めておめでとうございます。
では続いては作品賞・監督賞・主演女優賞と主要3部門を受賞した映画を語ります。
『ノマドランド』
監督🎬
【クロエ・ジャオ】
CAST:
ファーン
【フランシスコ・マクドーナンド】
デヴィッド
【デヴィッド・ストラザーン】
配給[ウォルト・ディズニー・ジャパン]
本編[1:48]
日本では3月26日〜の全国公開。
アメリカでは2月の公開とあります。前年1年以内でロサンゼルスで上映された作品がノミネートに該当する。アカデミー賞のルールとしては特例だと思いますが、大会直前に公開されたことにより、熱度や記憶を保ち、より受賞に近づいた印象を私は持ちました。
ジャンルはロードムービー調のドラマ映画。
2008年のリーマン・ショックの余波により家を手放すことになったシニア女性ファーン。
彼女は1人、自家用車でアメリカ国内を移動し、行く先々で日雇いのアルバイトをしながら車上生活を送り続けていく。そんな彼女の「人生ここから」な旅行記です。
メインキャスト(俳優)は主に2名のみ。
劇中で出演される登場人物は実際に車上生活をされている方々を起用しているそう。
彼等が演技経験者か未経験者かは分かりませんが、映画の中ではあまりに自然体で芸達者な素人様方。
ドキュメント映画で俳優の方が素人の方にインタビューする等のシーンをよく見かけますけど、
実際の方を起用する場合、プロの俳優と違い独特な空気感が出ますが、俳優と呼吸が合っていて誰の目にもちゃんとした演技が出来ているから、先程も書きましたが自然体で良いです。
今作で3度目のアカデミー賞主演女優賞受賞となった【フランシスコ・マクドーナンド】[63]。
まさに二足・三足の草鞋。主演でプロデュースも手掛けた彼女の、今作までの経緯を知ると、改めてアメリカという国は自己プロデュースに長けていると脱帽します(*_*)
Wikipediaに記載されている情報です。
2017年に原作本を読み感動→若き日に思い描いていた「自分のシニア像」はまさにRV車で放浪生活→しかし理想と現実は違う→マクドーナンドはこの原作本を映画化したいと動く→自分のお眼鏡に叶った監督を起用→翌年には主演で撮影が開始→3年後にアカデミー賞受賞。
「これを映画化するわ!」と使命感を得て製作し、その3年後に主演女優賞。
小説を読んで、ビビビと来て、製作すると言う流れは舞台に映像にと、非常に多いパターン(出逢い)ですけど、そこからアカデミー賞まで行くのは、それは運命でしかない!
さらに、自らが起用した監督の【クロエ・ジャオ】も今作でアカデミー賞監督賞を受賞しましたので、運命的な巡り合わせです。
若干39歳の女流監督。中国出身。有色人種の女性で初めてのアカデミー賞監督賞受賞です!!
(ジャオ監督は過去に故郷である中国批判を行ったそうで、中国ではこのオスカー受賞という大ニュースなど彼女の名誉は反感報道として扱われたそう。かなしー。)
過去の監督作品は日本では上映されていないので、お名前を存じず今作が初見です。
昨年は韓国人。今年は中国人。という流れですから来年は・・それは無理か。来年は難しくても将来は是枝監督が筆頭候補!
フランシスコ・マクドーナンドに戻〜る。
アカデミーフリークの私としては、シニア女優でアカデミー賞に愛されている女優は【メリル・ストリープ】の一択だったのですが、
2017年(日本公開2018年)の『スリー・ビルボード』で二度目の主演女優賞を受賞されてからは、なんと言うか・・風向きが変わった気がします。
メリル・ストリープは私の目には女性的な演技で気丈や芯の強い女性像。対して今作のフランシスコ・マクドーナンドは男性的な演技で素朴。相手の目をじっと見る視線以外は対照な二人。
私が鑑賞して来た彼女の作品では母性的や女性的な部分をあまり魅せていないため、『スリー・ビルボード』の印象が強く、今作も正直、汚い言葉や乱暴な態度で演じていたら苦手だなぁ・・と思っていたのですが、とてもいい意味で「普通のおば様」だったので安心しました。
男性的と書きましたが、今作は車上生活者を演じメイクも薄いので、ケービン・ベーコン系の男性的なお顔に観える場面も多かったです。超越しているなぁ。。
主演フランシスコ・マクドーナンド=監督クロエ・ジャオ
ジョニー・デップとティム・バートン。レオナルド・ディカプリオとマーティン・スコセッシ。個人的にはソフィア・コッポラとエル・ファニング。監督と俳優の共同の絆って強いですから、今後も『ノマドランド』出発の女性コンビが賞レースの主役となる可能性は大でしょう。
Nomad Land
Nomadのノマドの意味は「遊牧民」や「放浪者」などを意味し、現代では「時間や場所の概念に捉われずに働く」ノマドワーカーと呼ばれる働き方もありますね。
Landのランドは普段から聞き馴染みのある遊園地を意味したり、国や領地を意味します。
直訳すると「遊牧民の国」。
深刻な経済危機の余波で仕事や家を失ったシニア世代の物語ですから、それを「遊牧民の国」と表現するのは、とても想像力があって良きタイトルだと思いますね。
(日本でも大ヒットした2017年の同賞受賞作『ラ・ラ・ランド』以来のランド名)
洋書を読まない私は原作となった小説を読んではいませんが、読んでいないから、「シニアの放浪体験記」を自叙伝に記し出版しベストセラーになったという見方を気軽にしてしまいます。
______
作品の流れを汲みながら、最後まで書いていきます。
主人公のこだわりが詰まった作風。
この映画を見て一番初めの率直な気持ちは「色々あるんだな人生って」でした。
一人旅をしてみたい。自分がリタイア世代になった時にそういう憧れを持っていた。
だけどいざリタイア世代になった時に、現実はあの頃に思い描いた未来ではない事が殆ど。
主人公のように、家を失い自家用車で移動する生活を送る事は、思い描いた方向性ではないはず。
私にとってアカデミー賞の作品賞に選ばれる作品=面白さよりも統一性・芸術性であることが受賞の決め手かなと思っていて、
その思考から伝えれば、今作品は特別面白くないし、人によっては見ていて飽きてくると思います。申し訳ないですが。
だけど、芸術性という面ではやはり素晴らしくて、自然の美しさの前に人間は一部でしかないと教わる。
何より「生き方」の貫き通し方だったり命が美しいことを考えられますし、この映画を見ていて(例えば鳥肌みたいに)肌で感じるようでした。
___
独り身の初老の女性が、自家用車(RV(レクリエーショナル・ビークル)車)で独り旅をしながら、「その日暮らし」をしていて・・
端から見れば、書き手の私から見ても、「孤独な人・変わっている人」に映るのですが・・
各々事情があって自分探しの旅をしているわけで・・本人からすれば「放っておいて」でしょうし、彼女と同じようにアテもなく旅を続けているノマドランド達は劇中に確かに存在している。ゴールのない旅をしている。
劇中の焚き火を囲んで語り合うシーンで言っていたけれど、彼ら(ノマド)の多くが主人公のように老人で、独り旅が多いらしい。基本はシニアの独り旅。。淋しい印象を受けるのは私だけでしょうか?
還暦や喜寿など、記念で夫婦旅をする境遇ではないから会話も少ない。
日本で考えると、お年寄りになってから独り旅に出かけるのはイメージが湧かないし・・四国のお遍路さんくらいかな。
そもそもアジアの高齢者の旅は仏になっていく道筋にあるからね。家族に頼らない
今来た道に話を戻します。
ノマド達の多くが老人という訳ですから、旅の途中で顔見知り(仲間)の訃報を聞いたりします。
こうしたオバ様同士の「息抜き」の画もあります。
ワンショットでもこういったポップなシーンを用意することで、数分間だけでも微笑ましく見ることが出来て良かったです。
_____
劇中を観察しながら「静かな雰囲気だな」と思いました。
コミュニケーションは挨拶程度で、身の上話を語る相手もいるけど、それは時々で。広く浅くの関係性。
情報を共有はするけれど、つるむことは少ない。若者達はキャンプ場で騒ぐけど、老人ノマドは静かなもの。
駐車料金を支払って長期滞在する場合もあれば、許可なく停車して「車内泊はお断りだ!」と注意されることもある。
その注意されるシーンも印象的で、男性警備員に車を覗かれて「キャー」。「車内泊はお断りだ!」。
寒波が来ている地域では車内で毛布にくるまり震えて眠る。年齢も年齢ですし、なんだかお年を召した方がホームレス扱いで怒られていると、胸が締め付けられる気持ちになるんですよね(^_^;)
個人的には一番引っかかったのはアメリカの地図。
地図や位置情報が頭に浮かんでいるわけではないため、「今何処にいて、何処を走っているのか?」がよく分かりませんでした。ハリウッドのロードムービーは大体こんな感じ(説明なし。会話で拾う。)なので仕方ありませんが、彼女の出発点はネバダ州なので、願わくばラインが欲しかったですね。
____
映画はAmazonの配送工場のシーンから始まります。主人公の冬はここで短期の日当たりバイトをしていて、当面の生活費を確保します。お給料は良さそう。
毎冬ここで働き、それが終わると次のキャンプ地に移動し、キャンプ場の清掃員だったり、フードコートのファーストフード店で働くなどして「その日暮らし」をする様子を描きながら映画は進行しています。
ノマド民の平均年齢は高く高齢者が多いので、60代の彼女より年上の方々ばかりです。
ノマドは「遊牧民」と「時間や場所に捉われずに働く」という2つの意味がありますので、主人公は後者。
劇中で観る高齢のノマド民は明らかに前者になるので、アルバイトも出来ないでしょうから、どうやってガソリン代や食費を賄っているのだろうか?は私の気になる疑問です。
特にアメリカの場合は「保険制度」の手続きや問題が日本に比べると平等ではないと思いますので、
「職業・旅人」のノマド達にはどういう保険に加入されるのかな?・・気になる点は描かれていない。
2008年のリーマン・ショックで多くの国の国民が被害に遭いましたし、それに関連したドラマ映画は多く制作されてきました。
アメリカの場合はより身近にあるぶん、気持ちの入れようも入り方も強いと思うし、それが背景で作られたドラマは評されている気がします。
この映画は、リーマン・ショックが、現役ではないリタイア世代にも悪影響を与えたことを教えます。
家を手放すことになり、多くの高齢者が自家用車での寝泊りを余儀なくされる。家も職もない高齢者たちが、働き口を求めて国内を移動していた。
10年以上時が流れた現在のアメリカの様子は分かりませんが、その現状を私自身考えていなかったので衝撃を覚えました。
___
臨時教員として働いていた主人公は、リーマン・ショックの影響で職と自宅を同時に失い、自家用車に死別した夫との思い出品を積み込み旅を始めます。
劇中でのワンシーンで、車の修理代不足で妹に援助を頼み、妹宅に滞在します。久しぶりに戻った地元。「先生、久しぶり」と教え子に声をかけられる。だけど地元ではノマドになった彼女は噂の元。バーベキューでは「生き方」を聞かれて自我。コダワリの強い人の怒り方は怖い(^_^;)「一緒に暮らしましょう」と血縁関係の姉妹は言う。保留は続く。再び旅に出る主人公。
こうなってくると「1つの場所に落ち着く」と言う生き方はしなくなりますね。
不思議なもので、街育ちなのに、アメリカの荒野の方が似合うように見えます。
物々交換だったりフリーマーケットや無料譲渡の使用品。
会話だけに限定すると今作品は老人同士が多いですが、主人公の旅目線(ロードムービー)になると、喫煙用のライターをプレゼントした親子ほど年の離れた男性や、バイト先で知り合うヒッピー風の男女など、「その時だけ」「一期一会」の出逢いが描かれているのが見所だと思います。どこかの土地で再会したら「あぁあの時の」で盛り上がる。
主人公自身が彼らくらいの年齢の時は、1970・80年代だと思うし、社会的にも同じように旅をしていなかったはずですから。
アメリカの広大で壮大な山々や太陽に月、星空。
そうした「人類が作り出していないもの」を言葉少なめで眺めたり、女流監督の【クロエ・ジャオ】は中国の北京出身ですから、そうした自然を長じる感性を表現したかったのかな?と想像します。
(私なんて、あんな壮大で圧倒される景色に出会ったら溜め息の1つでも吐いてしまいます。)
人間は死ぬと土に還りますが、彼らノマドは、良く言えば現代の社会人がしたくても出来ない自分探しを遂行しながら逝くので、大地の一部になっていく感じがして、先住民族だったり、そうした地球に愛される存在にも思える。
だけどやっぱり知りたいな・・・ノマドのお爺ちゃん・お婆ちゃんは、生命保険は加入しているの?とか、そうならば受取手のご家族とか、現実的なこと(笑)
演技面が高く評価されるが決め手不足なロードムービー調のハリウッド映画は沢山観て来ました。
ロードムービーの鑑賞法として、「自分と重ねられるか?」が1つの鍵になると思います。
自分と似ている要素があれば、共感も出来るし、こんな生き方羨ましいなと憧れる事も出来ます。
なにか特別な盛り上がりがあるわけでもないし、主演のマクドーナンドが完璧に演じていることで哲学的。
1つも自分と該当しなければ「他人の人生」をただ観ているだけですからね。気持ちが入らなければ退屈な作品です。
今作は女性が主人公ですから、男性の私にとっては、彼女に好意を寄せるノマドが、その該当部分なので彼を通して退屈しない事ができました。
(主要キャストで唯一の俳優。ハリウッドの名バイプレーヤー【デヴィッド・ストラザーン】[72])
この映画から、色々な経験を経てこれまで生きてこられた年配の方々が語る言葉に重みを感じ、上手くは言えませんが「前向きになる気持ち」を学びました。劇中に登場する年配の方々は実際のノマドの方々だと知りましたが、この年代の方は、セリフと言っていいのか、本音で物事や摂理を語っているように感じて人生の勉強になります。
劇中に登場する実際のノマドの方々は、後ろ向きな方がいなくて、めちゃポジティブなタイプか、「これでいいんだ」と自分の人生に納得して生きていらっしゃるタイプの2つに視えました。
人間の気質はそう簡単には変わりませんので、若い頃から旅人気質だった方もいると思います。
主人公のように喪失感をキッカケとして独り旅を始めた方もいるので、人其々の生き方を画面を通して鑑賞し、人生って喜劇だなと改めて思いました。
_______
最後に。
鑑賞後にスマホのメモアプリに箇条書きした今作品のコメントを。
これまで書いて来た内容と重複している点はご了承ください。
>
ロードムービー感が強め。抑揚があるわけでもないし、彼らノマドの生活風景を波風立てずに描いているように見えた。マクドーナンドとアカデミー賞ということで(Fワードなど荒い)言葉や表現が強めなのかと想像。
近年のオスカーで主演女優賞は泥臭い演技をした女優が受賞することが多いので個人的には(女性が汚い言葉を使い話し、それを熱演だと評価する傾向は)好みではないのだけれど、今回のマクドーナンドは淡々とシニアの未亡人を演じているぶん主人公像にそれ(汚い言葉遣い)はなくて、自然体に演じられていたから内心ホッとした。
状況説明はあるけれど特に経緯の説明がない。展開の中で誰かとの会話で話してしているものを鑑賞者は吸収する感じ。そもそも独り旅なのだからセリフよりも表情や態度で表現されているわけで、マクドーナンドのスキルは相当なもの。
ノマドは「老人が多い」という説明から多くは語らない。それが歳を取るということなのかもしれない。中盤あたりから、かなり淡々と描かれ、南部地方の乾燥地帯のように枯れ草や凪のように抑揚のない展開になる。鑑賞者はそこに魅力を感じられるかが課題。
経済危機により家を失い、旅に出ているシニア女性。
初見の場合、すでにノマド歴が数年目の状態で、旅の途中から映画は始まるので、ある程度の下調べがなければ「老人の孤旅」に見えてしまうかもしれない。
今に至るまでの説明は台詞などから拾うしか手段はないが、経緯を知り内容を理解した上で鑑賞すれば、ハートフルな要素を手に入れることになる。アメリカの経済や実情を描いているアメリカらしい作品なので、今年のアカデミー賞は作品賞を受賞する可能性が高い。
楽しい映画ではないけれど、昔、単館映画で上映されていたような哲学映画の要素もあるし、感じ方はそれぞれだろう。
主人公がノマド生活を経て何を感じたか?それを劇中内で表現出来れば、さらに素晴らしい作品になったのかもしれない。
脚本 14点
演技 16点
構成 15点
展開 13点
完成度13点
(各項目20点満点)
[71]点
前記事で私の鑑賞履歴を載せましたが、鑑賞数が落ちている中の4月に唯一TOHO-CINEMSで鑑賞した2作品が、アカデミー賞の主要部門を受賞したことは嬉しいですし「持ってるな」なんて思います(笑)
冒頭で書いたように、新作を鑑賞しておりません。
緊急事態宣言延長で一部緩和される施設やイベントがあるかと思いますが、映画館が再開するまで当面の間は映画評論を休止とさせていただきます。
・・・気持ちが高ぶったら過去の鑑賞作品や不定期なマイベストムービーを書くかもしれませんので、その際は読んでやってくださいネ。
【mAb】