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THE映画評論『大河への道』

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 『大河への道』

 

 

 

 

監督🎬

【中西健二】

 

 

【中井貴一】

【北川景子】【松山ケンイチ】

【岸井ゆきの】【和田正人】

【田中美央】【溝口琢矢】

 

【西村まさゆき】

【平田満】

 

【草刈正雄】

 

【橋爪功】

 

 

原作と出演

【立川志の輔】

 

 

 

配給[松竹]

 

 

本編[1時間52分]

 

 

 

伊能忠敬[1745-1818]は江戸時代に自らの足で全国行脚し、日本地図を作成した人物。

現代の技術で照らし合わせても、ほとんど正確で、度肝を抜かれる。

 

 

それだけ当時の日本には優秀な暦学・数学者がいたということか?

 

何もないところから、1を作り、2に拡げていく、そういう意味では、探究心・好奇心は現代人の数倍上を行くだろう。

 

 

根気も必要だ。

 

まるでピラミットを古代人が製作したように、人間の技とは思えず、言葉一つで表すことが難しい。

 

 

幕府からの援助が合ったにしても、これを1800年代の日本で、1代で達成してしまうのは・・わけがわからない。

 

 

___

 

 

 

まずは、そんな伊能忠敬についての情報を紹介します。

 

 

下総の佐原村の豪商だった伊能忠敬は、商人としてかなりの才能の持ち主。

 

 

齢50を過ぎると、家督を譲り、江戸に出て隠居生活を始める。

そして江戸幕府の天文方である19歳年下の暦学者・高橋至時に弟子入りする。

 

 

高橋至時(YOSITOKI)は大阪出身。『天地明察』など、よく江戸城内で関西弁で喋る暦学者が時代劇にいますので、想像しやすかったです。長男にこの映画の主人公・景保。次男に現在の日本の暦を作った天文学の名家・渋川家に養子に行った渋川景佑。

享年は41で現代の感覚だと若いけれど、数々の功績を残した人物。

 

 

伊能忠敬は高橋至時から西洋天文学、測量術などを学び、自らも天文観測を行う。師匠の高橋至時からは「推歩(計算)先生」と仇名されていたほど、熱心に情熱を注いで熱中する。

 

 

高橋至時に相談し、幕府に願い出て自費による測量の許可を得る。

 

 

伊能忠敬56歳。

1800年閏4月に江戸を出発居し蝦夷地、奥州街道において測量、同年12月に幕府に献上。

 

 

(蝦夷地:明治以前,北海道樺太千島の総称。特に,北海道の称。)

 

(閏:暦の上で一年の日数や月数が平年よりも多いこと。暦の上の季節と実際の季節とのずれを調節するもの。)

 

 

その4年後の1804年に、師匠である高橋至時は死去し、長男の高橋景保が父に替わり事業を引き継ぐ。

 

 

以後、約17年間にわたって北海道から九州までを測量に明け暮れた。

 

 

測量隊の踏破距離が実に4万4000km。

 

伊能忠敬自身も3万5000kmの走行距離を記録している。

 

 

この間、幕府の支援が拡大し、測量隊を支える。全国の測量を終えたのが1816年。

 

その2年後、伊能忠敬は永眠する。

 

 

___

 

 

 

この物語は、そこから始まります。

 

さぁ楽しい映画の時間です。

 

 

 

___

 

 

 

1818年。時の徳川将軍は第11代徳川家斉公。

 

 

伊能忠敬は地図製作半ば、江戸は八丁堀の屋敷で亡くなった。

 

 

伊能忠敬が臨終する床間の風景から映画は始まる。

布団越しに腕を擦る女性、静かに涙を流す門下生たち。

 

 

平田満さん演じる、測量隊の年長者が堰を切ったように言う。

もう暫く伊能先生には生きていていただきましょう。。。一同「えっ?。」

 

 

えっ?後、余韻を作らず、現代にチェンジ。

 

 

市役所勤めのミキプルーン・・いや間違えた、【中井貴一】さん。

 

 

年齢的に定年間近だろうけれど、おそらく50代くらいの設定のほうが、映画的には都合が良いだろう。

 

 

右腕となる部下役を、【松山ケンイチ】君が演じる。

 

若い頃に飛ぶ鳥を落とす勢いだった松山君。中堅となり、ここ最近、再ブレーク感がある。

 

 

松山君のツッコミも悪目立ちしないで、セリフの間合いが昔より上手になっていた。

 

中井貴一さんとのアドリブ風なやり取りが多く、観客のおばさま・おじさまたちからクスクス笑い声が聞こえてきた。

 

 

(舞台地)千葉県香取市佐原。

 

香取市役所総務課・池本主任。

 

 

(鑑賞中、それぞれの役名と、現代での肩書がずっと知りたかった。ウィキペディア先生でようやく知り得ました。)

 

 

運転中に流れるラジオ。届いたお便り、読み上げるパーソナリティ。「伊能忠敬はどうして大河ドラマにならないの?」。頷くミキプルーン。

 

 

その後、観光課での企画会議案の流れで「大河ドラマ」を制作しようとなり、その題材となる人物に池本主任は「チュウケイさん」を推薦。「佐原といえばチュウケイさんでしょ!?」

 

 

地元民の多くが、伊能忠敬の「忠敬」を、敬意を表して「チュウケイさん」と呼ぶらしい。

劇中でも、当然という顔をする人と「チュウケイって誰ですか?」と頭にハテナを浮かべる面々があって面白い。

 

 

(私の曾祖母は徳川慶喜公のことを「ケイキさん」と呼んでいた。劇中それを思い出す。)

 

 

こうして池本主任が大河ドラマ制作のプロジェクトリーダーに任命され、次々期(?)のNHK大河ドラマを目指すべく「千葉県」が動き始める。

 

 

(映画の規模は、香取市内だが、最終的には千葉県庁に出向くので、県規模と捉える)

 

 

まずは肝心な本作り。

 

 

脚本家には地元の名士を選出。かつて作品が映像化されたことでも有名な人物だが、現在は作家業を休業している状態の老人。

 

 

(他にも千葉出身の作家はいると思うのだけれど、池本主任は「先生でなければ駄目なんです」と確信を持っている。)

 

 

雨の日も風の日も・・熱烈アプローチが遂に実る。作家は執筆準備のための取材段階に入り、彼らも取材に同行する。

 

 

しかし作家が調べ上げた結果。「伊能忠敬は日本地図を作成する途中に死亡したため、『伊能忠敬』をメインにした脚本は書けない」と伝える。

 

 

 

 

一同「えっ?」再び。

 

 

冒頭の臨終シーンに戻る。

 

 

____

 

 

 

江戸⇔令和。交互展開。

 

 

この映画一番の特徴になるのが、役者の殆どが、2つの時代で登場することだ。

「役名は違くても、役者は同じ」。とてもエコだと感心するし、チームプレイが求められる。

 

 

リンク(輪廻転生)させているのか? それとも予算的に、1人2役をさせているのか? 

・・おそらく両方だと思うけれど、要領が分かっているぶん、見慣れてくるから利点が高い。

 

 

以後、作家が語り部となり、現代(会議室)と江戸時代を行き来するが、出演者の顔ぶれは同じなので、銀幕に馴染むと、せわしなくは感じなかった。

 

 

伊能忠敬の亡骸のもとに、幕府天文方である高橋景保とその助手の又吉が駆けつける。

 

 

書き出し部分でも紹介しましたが、

高橋景保の父・高橋至時は、伊能忠敬の師という存在。

 

 

___

 

 

 

(主要)測量隊の面々は、景保に先生の死を公表せずに、地図が完成するまで隠して欲しいと懇願する。

測量は終わった。あとは地図を仕上げるだけ。自分たちの手で残りを完成させたい。なので言わないで欲しい。

 

 

日本地図作成は幕府が巨額の資金を出す一大プロジェクト。

今、それがわかると、事業の中止が予想される。

 

 

ここで皮肉屋の私としては、いくら健脚とはいえ高齢の伊能忠敬が、仮にプロジェクト中に死んでしまった場合について、幕府であり、チームも、想定していなかったのかな?、と疑問に思ったのだけれど、映画の都合もあるだろうから、持ち帰り宿題にしたい。

 

 

死んだことを伏せる!?

公金を拠出し、幕府を騙したら、全員死罪だ。

 

 

そんな事はできないと、邸宅を後にした高橋景保。

 

 

 

 

川辺で再会するのは北川景子さん。今回も安定の北川景子を観れて満足(^^)

 

 

北川景子さん演じるエイ(大崎栄)は、伊能忠敬の内縁の妻。

年齢は不詳ですが、史実だと伊能忠敬と同年に彼女も逝去しています。

老人の伊能と、30代の北川景子さんという組み合わせなので、随分若い妻を貰ったんだんだなぁ・・なんて思ってしまいますね(笑)

 

 

訃報を伝えると、エイは、伊能宅の書蔵に置き忘れてきた書を持ってきて欲しいと依頼。

 

 

なんで私が?君が行けばいいのでは?の疑問を口にするも、結局、取りに戻る高橋。

 

 

(この時代の女性が、幕府天文方であり、目上の侍に使いを頼むのも、変な話ですけどね。)

 

 

中井貴一さんは受けの演技をされる俳優なので、北川景子さんのように、キツネ目のSっ気のあるタイプの女優が相手だと非常に合っているように思えます。年の差二回り離れていても、女優さんだと「父と娘」には映りませんね。

 

 

(若い女優と初老男優の組み合わせはあっても、その逆(若手男優と初老女優)の組み合わは、現在の日本ではまず無い。)

 

 

先生の死を公表しないで・・・

 

伊能組測量隊の主要メンバーは、皆グル。

 

 

臨終シーンから、高橋景保が邸宅を後にしてからの僅かの間に、

 

書の中に偽装の借用書を忍ばせておき、それを見た高橋景保は非常に混乱する。

これって、長男の僕が払わなくちゃいけないの・・・・????

 

 

(もしかすると、偽装の借用書を作成したのも伊能忠敬本人で、彼の未来予想なのではないか?説)

 

 

父の大両の借金を払うくらいなら、彼らの言うように死んでいないことにしよう。

 

 

最後を看取った医者に・・「伊能先生は・・その後、生き返りました!」

 

 

踵を返す。再び伊能邸。一蓮托生。師匠の隣に「名無しの権兵衛」として埋葬。

 

 

測量隊が、ピンチのたびに機転を利かせて相手を騙すシーンは何度かあるけれど、

ここまで誰にでも分かりやすい騙し描写を用意しているので、借用書を書の中に忍ばせるシーンだったり、中盤の祈祷師に扮する変装の仕込みの段階の様子も映像で紹介して良かったのではないかなぁ。

 

 

こうして測量隊は亡き伊能忠敬の意思を継ぎ、地図作成を継続する。

 

 

 

高橋景保は、幕府に嘘を付き続けるわけですから、バレないよう最大限に周囲を警戒しながら、1818年の忠敬逝去から実に3年の月日を経て、1821年「大日本沿海輿地全図」を時の将軍・徳川家斉公に献上するのです。

 

 

 

 

____

 

 

 

2時間超えが当たり前となった近年。

今作は劇場予告を入れて、ちょうど2時間。

私にはこのくらいの尺が心地よく観れる。勿論、出来上がりがいいから、その気分になれた。

 

 

上映時間が2時間以内の時代劇だから、削ぎ落としもあるだろうと覚悟してはいましたが、程よく集約・要約されていたし、年表に載るような出来事はおそらく描いていたと思います。

 

 

伊能忠敬は東京の深川というイメージが私には合りましたが、生誕である千葉県の佐原町の方々にとって見れば、伊能忠敬と言えば、深川ではなく佐原という認識で、町の誇りなのでしょうね(^^)

 

 

(江戸時代の有名人は松尾芭蕉もそうですし、この辺りに住み着くから勝手に親近感を感じていましたが、生誕地という故郷が一番大事なんですよね。人の心理的にも。(^_^;))

 

 

また。主人公チームが香取市市役所の「観光課」という設定なので、町の観光名所もロケ地として紹介されていますが・・

 

 

 

 

関東に多く在る香取神社の総本社「香取神宮」も映画の舞台に登場すれば尚良かった。。これはただの願望です。

 

 

寸評として。

話は壮大で広いですが、映画の製作・演出を含めた作品の規模は狭く思えます。

 

 

映画製作期間であったり、予算上の問題、更にご時世的な撮影ゆえ、規模の収縮は致し方ない。

 

 

話の内容は奥深いものに仕上がっているように感じた。

 

 

個人としては、いくつか劇中の内に追加して欲しかった場面・描写があったので、ここで紹介します。

 

 

まずは、日本史の偉人を取り上げた日本映画の紹介の際、ナレーションであり、学芸員だったり、役者のセリフを通して補足情報を紹介するのが邦画のセオリー。

 

 

これは米英、特に「アメリカの偉人映画」にはまずないですね。

アメリカ(ハリウッド)の場合は、それを演じる本人が補足情報を自らの手で紹介するのが基本。

日本はこういう補足情報をさり気ない方法で教えてくれる。

 

 

日本映画のこういう・・日本人だったり、外国の人達にも紹介するように人物像を描く習性は好ましい(*^^*)

 

 

「伊能忠敬は50代で自分より20も下の先生に弟子入りして、日本中を歩いて測量したんだよ。すごいよね。」

 

 

セリフは正確ではないけれど、まぁこんな感じなことを、劇中の中井貴一さんであったり、大人は子供に「偉人の話」を教える(聞かせる)のだと思う。

 

 

子供の頃は、大人からそういう話を聞いて、ふーんと聞いていましたが、アラフォーとなった現在は、へぇー!と感心するようになりました(笑)

 

 

劇中、伊能忠敬の補足情報は、50歳でこの道を志した「遅咲き」。

そして、江戸時代に通行手形を発行し、日本中を行き来するという難儀さ。

 

 

この2つは伊能忠敬を語る上での、常套句でしょう。

 

 

勿論、なにも50になってから突然才能が開花したわけではなく、

50になるまでの人生で、人並み外れた人生を送り、地に足をつけ世のため人のために功績を上げている大変立派な人物像なのだけれど、やはり「日本地図を作成した人」というイメージ先行型で・・そのイメージしかないのでしょう。

 

 

測量隊の踏破距離は、実に4万4000km。と記録されています。

ちなみに地球の周囲は約4万キロですから、江戸時代の人間が地球の大きさを知るために地球を1周したということ。

 

 

この映画の中でも冒頭でそれを伝えていたのだが、砂浜のシーンばかりなので、4万4000kmのうちの数100メートルしか映画では描いていないから・・正直な気持ちは「もっと規模を!」と思うんですね。

 

 

 

 

(上記写真のシーンを撮影するだけでも、大変な苦労が生じているのは承知ですけどねm(_ _)m)

 

 

測量隊は今はどの土地に居て、どの関所を経由したのか? 幕府の通行手形はありますが、関所でのトラブルやハプニングはなかったのか?

 

そのような順序・経過も劇中に描いていたら、より詳しく覚えられたのかなとも思います。

 

 

 

理想を言えば、文科省推薦映画になる位までの出来に仕上げて欲しかったです。

 

 

義務教育の小中学校の「社会科の授業」でビデオ学習する機会があると想定した場合、

 

この映画を流すことで、「伊能忠敬や測量隊の人生をかけた情熱を知れる」となれれば・・いいのになぁと思ったのだけれど・・残念ながら、単なる歴史ドラマの人情系作品の1つに仕上がっていた。

 

 

(残酷なシーンも、ラブシーンもないから、青少年の社会科の授業に持ってこいなんですけど)

 

 

また、ここは少し脱線するのだけれど、劇中に測量隊の長老が、回顧セリフで外国人との攻防があったと振り返ります。

 

 

蝦夷地、現在の北海道を観測していた際に、北海道侵攻を企てるロシア人が攻撃してきたそうだ。

観測隊の仲間も、この時に死傷者が出ている。

 

 

この話の映像化は難しそうだけれど、数十年後に日本で大河ドラマ『伊能忠敬』を製作する際は、ぜひ描写して欲しい。きっとその頃は表現の自由が良くなっていることだろう。(大河ドラマは数年先まで既に決まっているそうです。)

 

 

鎌倉時代の蒙古襲来(元寇)。豊臣秀吉時代の朝鮮出兵。日本を統一した武将はまだ見ぬ大陸を目指した。世界は広いのだ。

 

 

戦国の世を経て、天下泰平の世を目指すために江戸に幕府を開いた初代・徳川将軍家康は、幕府の命により鎖国令を敷く。これは学校の授業で「徳川幕府」「鎖国」というワードを私達日本人は覚える。

 

 

20年ほど前。学生だった自分は、日本史の社会科教師に、「どうして鎖国令を敷いたのか?」と質問した記憶があります。

 

今はインターネットもあるし、解らないことがあってもすでに誰かが疑問を質問し、それを誰かが回答しているかも知れませんけどね。直接聞くのが、一番の吸収だった時代です。

 

 

学校やテストに出ない質問でしたが、色々と饒舌に教えてくれたその社会科教師とは、成人してからお酒を飲むまでの仲になりました。映画とは全く関係はないですけどね(^^)

 

 

こうした「鎖国=天下泰平の世」という江戸時代の印象付けが、平成時代に学生だった私にはあるのだけれど、教科書や社会科の授業でやらないだけで、大陸から外国人が武器を持ち日本列島を攻めていたんですね。

 

 

もう1つ。地図作成後に有名なのは没後10年の1828年「シーボルト事件」。ドイツからやってきたシーボルトが、日本地図を国外に持ち出そうとした事件。その後、国外追放されるのだが、今作で中井貴一さんが演じた高橋景保もこれに関与し、投獄され、享年45歳で獄中死を遂げる。

 

 

(享年45って・・中井貴一さんの年齢設定は、果たしていくつなの?(^_^;))

 

 

こうした高橋景保ら測量隊へ、視線や関心を向けられるのも、伊能忠敬のお姿を映画に出さないように工夫されていたからなのだと、「伊能忠敬が登場しない物語」の狙いなのでしょう。見事に釣られました。

 

 

___

 

 

 

【中井貴一】さんの「演技の特徴」である「二度見」をするようなリアクション。

サザエさんで言うところの「マスオさん」のようなリアクションをされる。

 

 

 

 

 

館内の観客の反応も空気感も良かった。

 

私はそのたびに、「よっ!中井屋!」と吠えたくなった(笑)

 

 

因果関係は不明だが、現代と江戸時代の2つの時代を役付の役者が1人2役で演じ分けている。

 

 

 

 

お三方とも普段からオデコを出している印象があったので、時代劇になった時もギャップなく映ります。

 

髪が長かったり、前髪を垂らしているような若手男優だと、おでこ出しのチョンマゲ姿は逆に新鮮かもしれませんけど。

 

 

【平田満】さん 【岸井ゆきの】さん 【和田正人】さん 【田中美央】さんなど、千葉県香取市役所のスタッフは、江戸時代でも伊能隊の測量員として登場する。

 

 

 

 

また勘定方スパイ役に【西村まさ彦】さん。医者役で原作落語も書かれた【立川志の輔】さん、など基本1人2役。

 

 

役者の技量が試されるということで、人気先行型の役者は出演していない。

 

 

地域活性化も担っているし、人件は効率的だし、コストパフォーマンス的にも良心的。

 

 

まさしく地方の市役所が予算内で案を捻出した企画に思える。

 

 

あとは映画の興行成績。フレッシュな俳優陣ではないけれど、作品の雰囲気の良さで、右肩に伸びて欲しいところ。

 

 

親子くらいの年齢差がある、中井貴一さんが松山ケンイチ君を育てているようにも私には視えて、なんだか違うところで感動していた。お二方とも、最近の役者界で流行っている「ボソボソ喋り」がタイプ的に合っている。

 

 

 

時代劇に新しさのエッセンスはいらないと個人的には思っている。古いものは受け継ぐもので、美化するものではない。

 

 

いい意味で斬新ではなく、昔から見ている銀幕の映像色。

 

 

平成時代の日本映画のような色味で、安心感もあるし、出演している俳優も「いぶし銀」で安定感がある。

世代交代が起こり、一気に若い世代が主役を張るようになったけれど、個人的にはやはり若手は薄っぺらく観える。

 

 

近年は山田洋次監督のイメージが強い橋爪功さんや西村まさ彦さん、三谷幸喜監督のイメージがある中井貴一さん。

コメディ系・人情物の演技が出来る俳優がキャスティングされていることは、私にとって大いなる魅力(鑑賞材料)の1つでした。

 

 

日本の時代映画は、時代考証が大変で簡単に作れないぶん、あまり制作されないし、特にこういう「教科書に載らない」部分を描いた娯楽時代劇は、悲しいかなもっと制作されない。

 

 

江戸時代は250年以上も続いたのだから、もっともっと描いて欲しい人物や出来事も沢山あるはず。

「これからもこうした作品を観たい」そう思えた作品でした。

 

 

 

最後に。

 

 

江戸時代と現代人。町の景色や人の容姿は変化しても、お蕎麦を啜る風景は変わらないのが良かったです。

 

 

同じものを食べているって、なんだか不思議に思います。

江戸時代の人間も、数百年後の日本人も蕎麦を啜っていると分かれば・・嬉しいだろうなぁ(^o^)

 

 

劇中に食する鴨ネギ蕎麦。ネギは天正年間に畿内(現在の大阪・兵庫)から江戸の町に持ち込まれたそうです。

 

 

この映画は、立川志の輔さんのオリジナル落語が元になっているそうですが、落語と言えば江戸時代。

 

 

扇子を箸に見立て蕎麦を啜る落語家のジェスチャーはイメージもしやすい。

 

 

あと・・調味料も改良されましたが、江戸時代のお蕎麦って、いま食べても、美味しいのかなぁ?・・なんても考えました。

 

 

時代は大きく変化しましたが、日本食の文化は、令和の現在も変わらないのかも知れませんね。

 

 

 

 

 

 

脚本 13点

演技 14点

構成 15点

展開 13点

完成度13点

 

 

[68]点

 

 

 

_____

 

 

 

鑑賞後日談。

 

 

伊能忠敬の名前を検索し、ウィキペディア先生で読んでいたら、

 

 

墓所が、自分の母方の墓所と、非常に近い距離にあることが判った。徒歩数分。

 

 

・・と言うことで、思い立ったら吉日。

上野の源空寺さんを訪ね、伊能忠敬、高橋景保、高橋至時、3名の墓前に手を合わさせていただきました。

 

 

 

 

 

とても丁寧に手入れをされている境内。

 

 

 

 

そう言えば、ラストシーンに映る高橋景保の家紋が自分の家紋と同じでした。勝手に縁を感じたものです。

 

 

自分の母方の菩提寺にも江戸時代を代表する歴史的偉人の御墓があるのですが、この映画のおかげで改めて地元を再発見できるいい機会になりました(*^^*)

 

 

【mAb】

 


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