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THE映画評論『この子は邪悪』

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・・タイトルが非常にいいですね。『この子は邪悪』。『○○ is ○○』式ネーミング。

 

 

ジャケ買いじゃないですが、映画のタイトルを見て「面白そうだな」と予感しました。

 

 

邪悪の言葉の意味を事情で引いてみます。

 

 

じゃあく【邪悪】

(名形動)文ナリ不正で悪いこと。心が拗けていて悪意に満ちていること。また,そのさま。よこしま。「―な考え」

 

 

タイトル・・私は映画で最も重視するポイントです。タイトルを考えれば、映画全体の答えがあると思っております。

 

極論「タイトルは答えということでオチになる」だと思っています。

 

 

雰囲気で名付ける人もいるでしょうから、実際にどれくらいの表現者がタイトルを最重要視して名付けているのかは解りませんが、この監督さんは脚本家出身とのことで、全体を把握した上でコダワリぬいて名付けたタイトルであるのはおそらく確実です。

 

 

ある家族のドラマ。登場人物は多くありません。

エキストラを含め出演者が少ないというのは、コロナ渦での撮影という事情もいくらかあるのかな。

登場人物が多くないので、自ずと絞られてきます。

 

 

今回名付けられたタイトルが『この子は邪悪』になりますが、貴方はどう想像し、どう音読しますか?

 

 

劇中のセリフにはなかったです。

 

 

私のイメージだと、目の前にいる人間を指して伝えるような感じ。それも心の中でね。

 

 

面と向かって「この子は邪悪な子よ!」とは言いづらいので、心の中で「・・この子は邪悪よ」と忌み恐れるようなセリフに想像します。

 

 

日本語は面白いです。1つだけ言葉を変えると印象が変わります。言葉遊びをします。

 

 

これが例①『あの子は邪悪』だと他人(第三者)から見た伝え方になるし、例②『その子は邪悪』でも他人行儀な印象なので、この映画に相応しいタイトルではない気がします。

 

 

(あの子・その子・どの子・・いい子・悪い子・普通の子みたいに書くなΣ(゚Д゚))

 

 

やはり『この子は邪悪』が適したタイトルだと思う。

私は倒置法を好んで用いる書き手なので『邪悪なこの子』でも良いでしょう。

邪悪な子。忌み嫌われた子。捉え方はいくらでもあるので、鑑賞された方の解釈で結構です。

 

 

ジャンルはサイコスリラー&ドラマだと思います。

 

 

スリラーというジャンルは胸がザワザワとしますね。ホラー映画のジャンルではありません。

 

 

精神科の医者による洗脳・催眠になるので、映像的な怖さは殆ど御座いませんが、心理的な恐怖は各々に生じることと思います。劇中に流れるBGMはオドロオドロしい音楽で、ここにも造り手のこだわりを感じます。

 

 

 

 

心理学(フロイト派)は大学で専攻していたので、自分としては、とても興味があります。

 

 

___

 

 

 

では映画を語る前に、いつもの鑑賞動機を前書きで伝えます。

 

 

私事ですが、長年シネコン上映のロードショーは殆ど観ておりましたが、今年に入ってからは観る作品を選んでおります。

以前はシネコンでロードショーしている作品は全て知っている自負がありましたが、分かりやすいもので、今では「今、何が上映しているんだろう?」と観る時に知る感じです。一般的には後者のほうが普通の感覚でしょうね(^_^;)

 

 

私がこの作品を鑑賞に選んだのは、まずホラー物・スリラー物だと思ったのと、キャストに【玉木宏】さんの名前があったこと。

他のキャストを見ても、ジャニーズのタレントさんはいますが、これといってネームヴァリューの高い方はいません。この場合のネームヴァリューは、出演経歴の格みたいなもので、玉木宏さんの経歴はS級です。「持ってる俳優」だと思います。た行の発音の時だけ滑舌悪くなりますけどね玉置さん(^_^;)

 

 

ジャニーズのタレントさんを入れることで、女性の観客も増えます。人によっては作品の善し悪し関係なく何度も観に行くとのことなので、興行的にはプラスなこと。拝借させて頂いた舞台挨拶の写真には、作品のファンと言うより俳優のファンでしょうね。男性の観客が確認できず、違った意味で怖いものがありますm(_ _)m

 

 

 

 

松竹系シネコンMOVIXを作品検索をしたところ、この作品の存在を知り、作品情報を読みます。

若手俳優の中に、玉木宏さんの名前があり「興味深いキャスティングだなぁ」と思ったのが鑑賞の決め手です。

 

 

主演女優は現在勢いのある女優【南沙良】さん[20]。

ドラマ『ドラゴン桜2』は、初期作品の時の生徒役の出演者が、その後殆ど大ブレイクを果たしていますので、今回も、そういう理由(各事務所の一圧し)でこのドラマを毎週観ていました。

 

 

南沙良さんは、乃木坂の早川聖来さんに顔の雰囲気が似ているなぁと思って『ドラゴン桜』を見ていましたが、女優さんってキャリアを積めば(多くの目に晒されるため)顔の作りも変わりますし、観るたびにオーラを纏っていくように感じます。

 

これまでは肩に力が入っているようにセリフを言う女優だなと思って観ていたのですが、今回は肩の力が抜けていて自然体な演技を視れました。肩の力が抜ける事で透明感が出るんですよね。一気に清純派に感じました。

 

 

公開第一週目の月曜日に鑑賞。

 

 

それでは、この映画の作り方が中盤以降に伏線回収が行われるため、作品を鑑賞しやすいように前半〜中盤に描かれている内容(映像)をmAB節で紹介していきます。

 

 

さぁ楽しい映画の時間だ。

 

 

(前書きに3000文字Σ(゚Д゚))

 

 

(この下から読んでくださった方は丁度1万文字で読み切れます。)

 

 

____

 

 

 

『この子は邪悪』

 

 

 

監督🎬

【片岡翔】

 

 

ハナ

【南沙良】

 

 

マユコ(母親)

【桜井ユキ】【桜木梨奈】

 

 

ルナ(妹:月と書いてルナと読ませる)

子役【渡辺さくら】

 

 

【なにわ男子:大西流星】

 

 

純の祖母

【稲川実代子】

 

 

父親

【玉木宏】

 

 

 

配給[ハピネスファントム・スタジオ]

 

本編[1時間40分]

 

 

 

パソコンのネット検索画面に「精神科 甲府市」の文字が打ち込まれる。

 

 

観客はその文字を読むわけで、物語の舞台が山梨県の甲府市であることが分かる。

 

 

この映画の劇中には、甲府という地名を知らせる文字がよく出てきます。

 

 

最近では地名を全面に出す日本映画も少なくなりました。現在公開されている阿部寛さん主演の『異動先は』も執拗に所在地を消す努力をしている映画でした(記事にする予定はありません)。

 

 

明るい映画なら地域のイメージアップに繋がるのでしょうけど・・・作中の街の様子は、人っ気のない住宅地に精神疾患の人達が何人か目立つように暮らしている・・という少し近寄りがたい雰囲気です。

 

 

更に、精神病院という主人公宅の職業・町医者の精神科=(私は)少し暗い気持ちになるので、甲府市にお住まいの方々は、きっといい気持ちがしないでしょうね(^_^;)。仕方のないことですが。(聖地巡礼で甲府を訪れてお金を落として欲しい・・って撮影は日野市かぃΣ(゚Д゚))

 

 

パソコンを打つ少年が暮らす街の風景に映像が切り替わります。

 

 

映されるのは、精神に障害を持った男女で、推定40代の役者さんが中心でした。この年代にも意味があります。

 

 

団地のベランダの柵を両手で掴み、なんとなく楽しそう。一見すると少年のような雰囲気の中年男性

二足歩行ではなく四つん這いの体制。その後、柵を登る毛虫を食べる。手を使わずに口で行くところもポイントです。

 

 

続いて、印象的だった(三階建てだったかな?)アパートの廊下で四つん這いになる女性。

何をするわけでもなく、中腰で佇んでいるので、他の住民はどう思っているのでしょう。

何をするわけでもない、無言の圧は恐怖映像です(^_^;)

 

 

「まるでカエルだな」と連想しました。両足を曲げて、背筋はピンと伸ばして、両手は地面に。いずれにせよ人間の動きには観えないので、何らかの動物の動きをしていることは冒頭で明らかでした。

 

 

例えるなら、下北などのアングラでコンテンポラリーダンスを観に行くと、こういう動きをされている方が1人はいます。

今回演じていた方々もちょっとしたダンサーにも感じましたけど・・役柄の表現内容は複雑です(^_^;)

 

 

私達日本人が暮らす人間界では(身内以外)「見てはいけない人」「関わってはいけない人」という人々がいますね。

例えば、電車の中で奇声を発したりする人や、脳神経に問題がある人などは、周りの理解が必要ですが、やはり他人となる私達はなるべく見て見ないふりをして、その時々を過ごしています。

 

 

今回の映画は、それよりももっとシビアで、40代くらいの男女が、自宅で、四つん這いに歩いたり、ベランダの柵の毛虫を食べたり、かなり異常な光景から始まります。

 

 

更に、それ以上に異常行動に思えるのが、その様子を堂々と盗撮している男子高校生です。

 

 

 

 

(スマホでなく、今時珍しいデジカメ。)

 

 

普通の感覚なら、あまりこういう方を写真に収めようとはならないと思います。もし撮っているのが見つかった時にトラブルになったら困りますからです。興味本位に障害者をからかうというよりは、写真を撮っている様子からサイコパスな人格に感じました。

 

 

彼は知っています、彼等が何もしてこないことを。「なに、撮ってんだよ!」と暴れだすこともないので、真正面で何枚かシャッターを切っています。

 

 

かなり大胆な行動に、お顔立ちはお目々クリクリのジャニーズタレントなんですけど、許可なく写真に撮っている悪趣味な男子高生だなとは思いました。

 

 

ベランダの中年男性。アパートの廊下の中年女性。

 

 

続いてもう1人登場します。やはり40代くらいの中年で、同じ精神障害を持った女性。

 

 

これまた同じ特徴で、膝を曲げて座っていて、殆ど声を発さない。そして顔は白粉を塗ったように白く、目はウサギのように真っ赤です。この映画に登場する精神障害の症状を持つ大人たちは、みな同じ見た目です。

 

 

変な想像ですけど、二足歩行の姿勢が保てていないので、昭和の公害病みたいな感じで、この地域の方々の一部が汚染された川の水を飲んだりしたのかな?なんて想像もしました。そうでなければ、複数人が同じような心が空っぽ状態の症状にはなりませんから。共通点を捜してしまいます。

 

 

ここで、先程から書いている「精神」という漢字の意味を辞書で調べてみます。

 

 

精神)

 

 

① 人間の心。心のはたらき。「健全なる―は健全なる身体に宿る」② 物事に対する心の持ち方。気構え。気力。「そういう―では成功はおぼつかない」「―を集中する」「スポーツマン―」「姨(おば)さんの頼なら…火水の中へでも飛込む―だ」〈金色夜叉紅葉〉③ 物事の最も根本的な意義。真の目的。理念。「憲法の―にもとる」「教育基本法の―にたちかえる」④ 〘哲〙〔英 spirit ドイツ Geist フランス esprit 〕(物質肉体に対して)心意識霊魂など。心の本質本体。感覚や情念などのはたらきとは異なる高次の普遍的性質をもち,理性理念意志愛などの主体となる一方,非個人的な実体として世界の秩序やその形而上学的原理ともされる。

 

 

先程は「心が空っぽ」と書きましたが、もう1つ角度を変えた表現をします。

冒頭に登場する合計3名の男女は、精神障害者ですが、いずれも共通して「心ここにあらず」という状態です。

感情を亡くしたように一点を見つめ、時々動いては、奇妙な行動を取ったりしています。

 

 

(劇中で彼等の出演時間は長いですが、さすがに画像は見当たりません。文章で伝えるのが難しい説!)

 

 

3人目の女性は、2階建てアパートの2階に住んでいて、室内の様子が映し出されます。

テーブル下で無表情&無言で「心ここにあらず」状態。

いつからそうしているのでしょうか?奥から子供のすすり泣く子をが微かに聞こえてきます。

 

 

その時、玄関のチャイムが鳴り、児童相談所の職員が突入し女性を確認。

そして、部屋の奥に生傷がある男児を見つける保護する流れに。

 

 

この状況を見て、母親による虐待だと誰もが想像します・・が、当の本人は抜け殻状態なので、暴力を振るったとは断定できません。

 

 

まるで虐待のバチが当たって魂を抜かれたような状態で、母子はそれぞれ職員に支えられアパートから立ち去っていきました。

 

その母親の行き先は、警察か精神病院か、こちらは分かりません。

 

 

NEXT。劇中・時間差で、そのアパートから出てくる人物が、玉木宏さん演じるヒロインの父親。窪司郎(クボ・シロウ)。

 

 

職業は精神科医の開業医。虐待に遭う子供を護る活動を自分の信念として長年続けています。

虐待事件のアパートから出てきたので、きっと子供を守りにきたのでしょう。

 

 

彼がアパートから降りてきて、自家用車に向かう迄の様子をデジカメで撮っているのが先程の男子高生です。

 

 

小高い坂の上から20メートルの距離間で、かなりシャッター音鳴らして大胆に撮っていますが、撮られているのに気付かない精神科医も、ちょっと鈍感と言うか・・映画的だなぁと思います(^_^;)

 

 

脳神経に異常がある3人の中年男女は、この冒頭のシーンが主な出演でした。

 

 

___

 

 

男子高生の部屋は、アメリカ映画でよく見るサイコ犯・または自警団のように、何らかの独自調査をしています。

 

 

甲府市の町内地図が壁には貼られていて、先程の精神科医と、周辺で見つけた精神障害者の写真と住所地を貼り付けています。

これにより男子高生が精神科医に狙いを絞って独自調査していることが判りますので、私もその線で映画を観ていきました。

 

 

男子高生は台所で夕飯の支度をする「育ての親」の祖母に話しかけます。台所のシンクで手を洗う流れの中で、料理をする祖母に話しかけるキッカケ。

 

 

(キレイキレイを使ってました(^^))

 

 

「今日ね、母さんと同じ人を見たよ」

 

 

(※セリフは正確ではありません)

 

 

トントントン・・包丁の手を止める祖母。・・トントントン、祖母は何も言わず、孫がその話題を話すたびに手を止める、という繰り返しの演技プラン。

 

 

居間に移ると金魚の水槽。

そこには男子高生の母親がいました。金魚が泳ぐ水槽を無感情で見つめています。

肌は白粉を塗ったように白く、目は真っ赤。先程の子供を虐待していた母親と同じ完成度。

 

 

この映画の4人目。男女比で考えると女性3名、男性1名。女性の方が多い設定ですね。

 

精神に障害を持った方の特徴というより、やはり何らかが原因で同じ状態になったと考えるほうが自然です。

 

 

男子高生のこれまでの動機が少し判明します。

母親と同じ状態の大人を見つけ、写真を撮る。母親と同じならば、写真を撮っても何の反応がないことを知っている。

彼等を詮索しているうちに精神科医の存在を知る。

 

 

___

 

 

 

精神科の開業医【窪司郎】は、来院した新規患者に自分の過去を話し始めます。

 

 

5年前に家族4人で遊園地に遊びに行った帰り、対向車のトラックに正面衝突された。

 

 

その事故で妻は今も意識が戻らないまま病院のベットで人工呼吸器を付けて眠り続けている。

 

次女は命は助かったが顔にひどい火傷を負い、家の中で仮面を付けて生活している。

 

自分も左足の神経が切れてしまった。

 

 

長女だけは奇跡的に軽症で済んだが、自分だけ助かったという罪の意識に心を痛めている。

 

 

それでも家族4人の命が助かったことが救いなんです。

 

 

父親が患者に話す思い出話を、診療室の中庭で聞いている長女ハナ。この作品の主人公です。

 

 

 

 

それに気付いた父親が薄く微笑みながら、インサイドフラット式のガラス窓を閉める。

 

 

ハナは事故後から、白い仮面を装着した妹ルナの面倒を見ています。遊び相手や話し相手になり勉強も教えています。

 

 

ルナは目と口だけをくり抜かれた仮面姿で、火傷を負った事情を無視すればスケキヨに見えます(^_^;)

 

 

眠る時は家族別々。小学低学年くらいの次女もお姫様ベッドで就寝します。就寝する瞬間に仮面を外します。

 

 

大きな事故があったわけですし、母親は入院中ですから、そういう絆が大事な時こそ、家族で寄り添って寝ればいいと私は思うのですが、女の子2人ですからね。家族にもプライバシーがあるのかな??それとも伏線に気を取られた説明不足?(^_^;)

 

 

診療所と母屋の間に渡り廊下がある木族建築の古い民家。扉を開けるときや床を歩くときは軋んだ音が鳴ります。

 

 

どこかのハウススタジオか、実際にある住宅を撮影用に提供してもらったのか分かりませんが、味のある広い木造建築です。

 

 

___

 

 

 

先程、盗撮していた男子高生が、窪医院の前に自転車を停めます。視線を感じた方向を見ると、二階の窓にスケキヨがいてビクッとなります。

 

 

 

 

オバケを見たようにビクッとしたリアクションのあと、よく見ると小さな女の子が白い仮面を被っていると気付く男子高生。

 

 

しばらく見つめ合った後、少女の後ろに家主の精神科医が現れて、窓(カーテン)をピシャッと閉めます。

 

 

この時の窓の閉め方の音量(効果音)が強めだったので、精神科医に対して悪い印象を持ちます。それに表情がいつも半笑いなので、不気味さがあります。玉木宏さん、こういう(片方の口角だけを上げる)表現が上手いなぁ。

 

 

観られる方は、劇中に何度かある精神科医の窓の締め方に注目してください。優しい時もあれば、優しくない時もあります。

 

 

男子高校生・純(以下、純)は、診療所の庭先にフラフラっと侵入して、洗濯物を取り込んでいたハナに声をかけます。

 

 

((優しそうな)見かけによらず人の家や心にグイグイ入っていくタイプの男子)

 

 

あれ、僕・・この女の子と子供の頃にこの場所で遊んだことがある??・・確かウサギを触らせてもらったんだ・・・

 

 

「僕たち昔会ったことない?」 不審者に思い立ち去るハナ 「・・ウサギ!」

 

 

ハナは「ウサギ」に反応し、断片的に思い出す。

父親の診療所では数十羽のウサギを飼育していて、餌やりや小屋の掃除はハナの役目。

 

 

しかし5年前に起きた事故以来「家族以外の人間」と話して来なかったハナはコミ障気味で、会話を避ける。

 

 

その後、純は医院の周囲に張り込むようになります。

元々、精神障害を持った人達を捜して写真に記録しているような男の子です。

 

 

そしてある日。

自宅の庭から脱走したウサギを捜しに外に出たハナは、ウサギを抱きかかえている純と遭遇。

 

 

(関係ないけど、ウサギの文字がウナギに見えたりする(^_^;))

 

 

純の角度から考えれば、窪医院の周辺で張り込んでいたところ、ウサギが自分の元にやってきたという流れでしょう。

 

純はハナにウサギを渡し「友達になってくれない?」と言う。

 

 

 

 

どうして私と?

自分の母親もいないようなものだから、君に親近感が湧いているんだ、などで動機を説明する。

こうして以降、近所の道端で話をするようになる。健全なカップルです。

 

 

 

 

(しっかりソーシャルディスタンス。中学生みたいな距離感(^_^;))

 

 

仮定の話ですが、仮に、純を男性(異性)ではなく、同性の女性(女優)に設定した場合はどういう展開になったのかな?と。

 

 

映画全体の流れを見ていて、相手役は男性でも女性でもどっちでもいいと思いましたし、どちらでも成立するはずです。

 

 

これが肉体派だったりクール系の男優ならば、私としてはしっくりくるのですが、背が小さい可愛い系の男子ですから、主演と2人並んだ時に相手役は女性(同性)でもいいのではないのかな?と劇中ちょっと考えました。失礼しました、話を戻しますm(_ _)m

 

 

ハナは純に家族の話を打ち明けます。この映画は心理学が基になっていると思うので、私は以下を考えました。

身の上話は心を開いた相手にしか話しません。と言うことは、ハナはジュンに対して心を開いているのだろうと。

 

 

交通事故で眠ったきりだった母親が5年ぶりに帰ってきた。(中途省略)だけど・・母親ではない気がするの、と。

 

 

彼には調べていたことがあります。

純はハナとの会話で、独自調査していたカラクリを進展させていきます。

 

 

___

 

 

(5年前)自分が遊園地に行きたいなんて言わなければ、事故に遭うこともなかった。家族が犠牲になることもなかった。。

 

 

 

 

精神科医の父親は、心に傷を負った娘の治療し、催眠療法などを経て、ハナは平穏な暮らしを手に入れています。しかし映画を観ているとハナの1日は自宅や自宅の庭で殆ど終わるので、鳥かご(映画的にはうさぎ小屋かな)に囚われたような寵愛さも感じます。

 

 

そんなある日。

心に蓋をしたままのハナの前に、父親が「奇跡が起こった」と母親を連れて帰宅します。

 

 

妹のルナは駆け寄る。事故の時は幼児。5年ぶりの再会。

 

ハナは狐につままれたようなキョトンとした表情を見せますが、「信じられないわ」というよりは、「えっ、誰」という非現実的な戸惑いの方が感情に出る。

 

 

それでも「おいで」と言われ、行くしかない空気になり、父親が愛娘と妻の三人の背中を両手で包む。

 

 

1つの山のようになり次の展開へ。

 

 

____

 

 

 

父親が母親だと言っている女性を、本能で違うと感じているハナ。

 

 

母親は家に戻ってきた様子ですが、肝心な生活風景はそこまで描かれないので、シーン毎に登場している感じです。

 

 

白仮面(数種類のコレクションあり)を被った妹も同じです。

寝る時以外は主人公の姉と一緒に過ごす事が多いですが、就寝は各自が別々の部屋になるので、一家団欒に見えて、結構プライバシーを意識したバラバラな家族の距離感に視えます。

 

 

作品の中では触れていませんが、

5年前の事故の後から、妹は1人で寝ているということになるので、そう考えると幼児の頃から1人で寝させている家庭環境にも問題ありに感じますよ。

 

 

なんとなく私の中では、家族団欒のあとは川の字で眠るような家族のカタチを想像していました。

 

 

母親ではない!ハナの違和感は解消されないまま、5年ぶりに1家4人の時間を過ごしていく中のアクション。

 

 

(おそらく時刻は逢魔時)ハナは母親を名乗る女性から「ところで、あれは完成した?」と訊かれるのです。

 

 

あれ?とは、事故に遭う前にハナが縫っていた家族4人の顔の刺繍のこと。

 

 

母親と2人の会話。母親しか知らない情報。

 

 

ハナは自分の部屋に走り、カンカン箱を開いて、5年前の刺繍を取り出す。

 

 

「そう、それよ(^^)」。母親は懐かしそうに微笑む。

 

 

ハナは「帰ってきた母親」の胸で甘えるように泣くのです。

 

 

___

 

 

 

そんなハナが母親を母親と確信したあと。

 

 

独自調査をしているジュンが、重大な事実を当時の事故記事から発見し、ハナにその記事を見せます。

 

 

ハナは(おそらく)携帯を持っていないので(&確か家にテレビがなかったので)外の世界の情報は分かりません。

 

 

当時の交通事故の記事には、次女の窪月(クボ・ルナ)が死亡したと書かれているのです。

 

 

・・・えっ、だってルナとは毎日一緒にいるよ。

愛する妹が死んでいるというショッキングな記事を見せられ、ハナは戸惑います。

 

 

そのことを父親に伝えると、そんなわけあるはずないじゃないか。とハハハと微笑む父親。

 

嗚呼そうだ!!今度ルナの誕生日に、その純君という男の子も招待しよう。ハナの友達に挨拶したいしね。

 

 

・・・「はじめまして四井純です。」

 

 

 

 

現代の男の子って感じがします(^_^;)

異性の友達の・・会ったことのない妹の誕生会に、1人で行くんだもん。

 

この純君って子。グイグイ入っていくけど、緊張感とかないのかな。

 

 

「いらっしゃい」

 

 

 

 

________

 

 

 

ここまでが映画で描かれている前半部分です。

 

 

監督は脚本家の【片岡翔】[40]さん。

 

 

邦画ということで、少しだけ出演されている役者の演技分析をします。

 

 

冒頭でも少し紹介しましたが主演の【南沙良】さん[20]は、ティーンモデルの御出身で、映像演劇の世界に入ったのは2017年とのこと。

 

 

 

 

 

プロフィール欄の憧れの女優に【二階堂ふみ】【満島ひかり】の沖縄出身の女優を上げていますが、意外でした。

 

 

(見た目から戸田恵梨香さん方面かなと勝手に思っていました)

 

 

この2名の特徴は憑依型。熱演する時にコメカミに血管が浮き出るような顔の皮膚を前に突きように演じるタイプです。

南沙良さんの魅力は透明感だと私は想うので、憧れる女優の良いところを吸収していただきたいですね。

 

 

映画館で主演作を観るのは今作が初見だと思いましたが、『太陽は動かない』(未記事)は映画館で、『女子高生に殺されたい』はアマゾンプライムビデオでスマホ鑑賞していました。事務所も大手ですし、吸収性・透明感がある女優さんで、今「最も勢いがある」と言える流れなので。私の予想としては、3年以内に朝ドラのヒロインに選ばれる可能性が高い。と予言しておきます。

 

 

(2作先までは既に決定済みなので2023年下半期以降。NHKの朝ドラヒロインが新人発掘をしない最近の流れを条件で予想した場合。)

 

 

ちなみに演技質はS/M2択ならMです。攻撃するよりも、打たれたほうが健気に見るので、先生役よりも生徒役、私が南沙良さんでイメージするのは『ガリレオ』のような天才科学者の助手や、吉高由里子のポジションのヒロインが合うと勝手に思っています。

 

 

ヒロインの唯一の友人役を演じているのは、ジャニーズアイドルグループのメンバーである【大西流星】さん[21]。

 

 

グループ名は「なにわ男子」さん。何度か仕事先で見かけたことがあります。あと渋谷駅からNHKに向かう道の途中にあるパルコや、その周辺で女の子たちが発売イベントで列を作っているファンの様子を何度か目撃したことがあります。

 

 

群雄割拠。7人組グループとのことで、人数いる中から映画の準主役で出演される事が出来たのは、ファンの方は嬉しいでしょうね!

 

 

平成10年代に大流行した男の子の名前が「リュウセイ」。

私の周りの20代男性にも流星君という名前の子が3人もいます。

役者の世界では横浜流星さんが筆頭ですね。アイドルの世界にも何名かいるそうです。

 

 

大西さん演じる純は、母親が精神障害者になり、甲府の町を注視して見回ると母親と全く同じタイプの障害者が複数人いることを突き止めます。

 

 

そこでカメラを持って、彼等の写真や、彼等を診察した精神科医を追っていくという・・学生探偵役。

 

特別カメラが趣味なカメラ小僧ではなさそうです。そういう設定を付けた方が役に入りやすいとは思うのですが・・。

 

 

所見、大西流星さんの役者としての素質は、セリフ・殻の破り方は平均点より少し下がりますが、現段階では「表情」が目立っていました。客観的に視ていて表情がいいと思いました。

 

 

 

 

(10年以上も前ですが、昔、金八先生のメインキャストで出演されていた東新良和さん系かな。この表情を観る限り。)

 

 

声質も耳障りが良いので、あとは言葉に深みが付いていけば良くなりそう。

この映画を観る限りだと、台詞の言い回しの質量が軽くて、声も思春期の男声なので中性的に聞こえます。

例えるなら声質。猫のニャーより、犬(大型犬)のワンのほうが、太く感じますよね。

 

 

こういう可愛い系が売りの男優さんって、役幅が広くないぶん、どこかで必ずスランプが来ますし、年を取った時にどういう役柄や作品が似合うのか不明なのですが、きっと役者としての経験を積んでいけば、セリフの軽さは解消されていくのだろうと思います。

 

 

あとは若者に多いストレートネックなのか。横から見た姿勢が少し残念に思います。正面からは爽やか男子で好印象(^^)

 

しかし背筋はピンとしているのに、クビだけ斜めに真っ直ぐ伸びて頭があるので、横から見る映像の時に、甲羅を背負った時の亀のような横半身の姿勢に感じます。これは今後役者として活躍するならば、胸筋を付けて胸を張る、もしくは顎を引くなど矯正したほうが良いと思います。

 

 

 

一番思ったのが、純の劇中に着ている服が「衣装」だと思ってしまったことです。

 

南沙良さんはモデルさんでもあるので自然に着こなしていますが、劇中の設定が祖母と精神障害の母親との3人ぐらしという家庭環境で、どうやって生計を立てているのか?成長期の男子高生という設定で着ている服が新品(綺麗)すぎる。

 

現実的に考えれば生活保護になるのかな。共済制度を利用しているとか。。いや、祖母の年金があるか。

・・なんにせよ、生活環境を映していても、生活費用はこの映画から視えてきませんでした。デジカメ1台買うだけでも、大変なんじゃないかな。そのデジカメは祖母が買ったの?こうなる前のお母様が買ってくれたの?そこまで想像させることが出来て、いい俳優になっていくのでしょう。今後に期待します!

 

 

偽の母親役を演じた【桜井ユキ】さん[35]。

 

 

個人的には30代を過ぎてからのブレイクは嬉しいですね。

 

 

ここ何年かで田中圭君や高橋一生さんや松下洸平君など、主演の脇を温めていた男優が主演でブレイクするブームが来ましたが、松本まりか然り松本若葉さん然り、ついに30代女優にも、その波が来たかと思っています。

 

 

30代女優ってヒロインもいけるし、母性的なタイプだと今作のような幼児の母親役としても違和感なく観れるので、一番映画として脂が乗っていると思います。

 

 

ユキさんは、Sっ気のある爬虫類系のお顔立ちと、スラッとしたプロポーション。そして姉御肌という雰囲気を纏っているのも魅力的に感じます。

 

 

交通事故で意識不明の状態のまま病院で5年間、目を覚ましていない母親。その母親がある日突然、家に帰ってきます。

 

 

長女は思う「この人、本当にお母さん。そもそも顔が違うじゃない。」

 

父親は言う「整形手術を受けたからね。それに5年も合っていなければ、印象も変わるよ。」

 

 

顔が違う→整形手術をした。精神科医として、なんて安易な返しなんだと思います。まるで子供に付く嘘みたい。

 

 

この父親の子供からの質問の返しに違和感を覚えました。

 

 

という事は長女は事故後の母親を見舞っていないのかな?

 

 

(そのことに関しては、劇中では説明がなされていません。)

 

 

事故後、父親は片足の神経を、母親は未だ意識が戻らず人工呼吸器、妹は顔に大火傷を負い白いお面を常に付ける生活を送る。

長女だけが奇跡的に軽症で済んだことで「自分だけが何事もなかった」という自責の念にかられます。

 

 

父親は「ハナのせいじゃないよ。」と温かく包み、そもそも精神科医ですので、メンタルケアも十分に行っているはず。

 

事故から5年。ハナは外出が出来ないワケではありませんが、庭先で父親が飼育するウサギを遊ばせたり、基本的に家の周辺でしか行動しません。

 

 

(食事担当はハナの役目なので、スーパーとかに買い出しに行っていると想像する。ならば、そういうシーンも劇中に用意して頂きたかったです。ついでに舞台地を甲府にしているので、舞台地を全面に出す以上、郷土料理のほうとうを夕食のメニューに用意してほしかったです。)

 

 

なるべく穏やかな生活を心掛けていた中で、突然、父親が母親を連れて帰宅する。

 

 

(おそらく)事故から5年の間、病室には足を運ばず、母親の状態は父親の口を通して聞いていたのだと思います。

ハナの記憶は5年前に家族で遊園地に行き、東武動物公園のメリーゴーランドに乗ったところで止まっています。

 

 

母親の顔が違う。

 

 

それ以上に確信があるのが、母親じゃないと感覚で捉える拒否感です。

 

 

例えば、動物の子供は親の顔を認識しますね。人間の子供で考えれば100%だと思います。

 

 

目の前に10人、20人、100人、似たような顔立ち・容姿の女性を並べても、我が子は母親のもとに歩いていくはずです。それが本能

 

 

それを踏まえて、この再会の場面で「母親じゃない」という最初に覚えた違和感は100%そうなのだと思いました。

 

 

現実ではなく映画なので、母親ではないことは分かっているし、タイトルにも『この子は邪悪』とあります。それにこの映画で流れるBGMはずっと不穏な音。明るくリズミカルな音は流れません(^_^;)

 

 

監督が脚本家で成功された人物なので、伏線を散りばめる策士的な構成に仕上げているのと、先程も書きましたがコンテンポラリーダンスのダンサーのように、演じ手は何かの役になりきった上で芸術性を表すカオス感もあります。

 

 

これが商業映画を撮られるような監督だったら、また違った表現をすると思いますし、ホラー映画の監督だったら、もっと無駄にお化け屋敷の展開を取り入れると思うので、表現者によって変わりそう。

 

 

「この子は邪悪」

 

 

やはり私にはタイトルが大事で、タイトル見ながらご飯が食べれます(笑)

 

 

この子の「子」の字は大人をイメージしませんので、やはり「子供」を指すのでしょう。

 

大人から視て「この子供は邪悪」という感じなのかな。。

 

 

このタイトルが言う子供は、見た目だと思います。そこは深読みしなくても良さそうです。

 

 

例えば、知能指数が低い脳に障害を持った見た目が大人の方は指さないと思います。

また、精神的に幼稚の方を形容した子供でもないと思います。

 

 

劇中で子供(未成年)は3名です。

主人公のハナ、次女のルナ、そして男子高生の純。

 

 

他に、大人から虐待された子供←こちらは子役を使わず、回想での説明のみなので、上記3名から考えるのが安易でしょう。

 

 

エンディング前には作者の遊び心も感じられるので、構成もしっかり計算しているのが分かりますし、観終わった後に逆算して考えることが出来ました。

 

 

____

 

 

 

指摘点はいくつかありますが、控えめにします。

 

 

まず視聴覚の部分。

 

劇中の精神疾患の人達は、共通して「顔が白く」「白目の部分が赤い」のですが、映画でそれを表すと・・結局「白塗り」なんですよね。最近はカメラの性能も良いので粉を吹いていたりもするので・・少し引いてしまいます。

 

 

この症状を持った方々を、見た目だけで表したい狙いはよく解ります。

 

 

しかし例えば、肌着で団地のベランダに一日中いる中年男性を考えてみると、他の症状者は屋内ですが彼だけは屋内のベランダにいる。と言うことで・・私がリアルに考えるのは日焼けとか熱中症なんですよね。

 

 

登場人物が半袖・ノースリーブなので季節は夏でしょう。そうなれば・・夏の甲府盆地って・・酷暑日が多いです。

 

 

(事情により1日の移動距離が短いため)ベランダに一日中いる男性は、真っ赤っ赤に日焼けしていたほうがリアルだと思うんですけど・・。

 

 

そういう症状者側への疑問はいくつかあります。劇中では、観客を怖がらせる不気味な存在として描かれていたり、大人が観れば何だか虚しいなと思って観れる存在として描かれているのですが、あくまでも脇役で、公式サイトの出演者名簿にも載っていません。白塗り役者の方々は怪演でした!

 

 

オープニングの数分間だけ男子高生が主人公の視点で、前半からは主人公の女性に交代する。

そして玉木宏さん演じる精神科医を通して「家族」をテーマにしたドラマであると知る。

大学で心理学を学ぶ上で、心理学に因われないようにという講義を受けたことがあります。精神科医にも精神鑑定が必要だ。

 

 

片岡翔監督は片岡翔監督でアリですが、願わくば、何回か日本映画や日本ドラマでリメイクして欲しいです。

 

 

それこそNetflixなど予算の規模が大きく、尚かつ名碗監督がメガホンを取り、演技派子役が演じれば、この原作はもっと活きるはずです。この作品が物足りないとは決して思いませんし、十分に楽しむことが出来ましたが、原案に可能性をとても感じるんです。

 

 

ハリウッドがリメイクしても評価されると思います。なんだか、日本の1作品で収まるのは勿体無いという気持ちがあります。

 

 

(個人的には『この子は邪悪』の続編として『この子も邪悪』『あの子も邪悪』を作って欲しいです)

 

 

伏線回収で腑に落ちる場面も沢山ありますが、なにかと状況説明に欠けています。

 

 

後半の展開は、人里離れた田舎町の出来事として考えれば納得しますが、目撃者のいるような住宅街で劇中のようなことが起こすなら、第三者の目線・証言みたいな客観的視点も描いてほしかったですね。

 

 

とは言え、観る価値は十分にある「これぞ日本らしい映画」といえる。

 

 

 

 

 

 

脚本 15点

演技 13点

構成 13点

展開 13点

完成度13点

 

&劇中サウンド +1点

 

 

[68]点

 

 

 

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