※断り
本来なら1作品につき1万文字程度でビッシリと書くのがmAbのスタイルになりますが、
今年は特にテンヤワンヤで、まともな時系列で映画評論を投稿していません。
今回は九月以降に劇場公開され、鑑賞した日本映画を短めの寸評付きでご紹介致します。
※断り2
下にスクロールするにつれ最新の公開作品となります。
(九月公開作→十月公開作→十一月公開作と)過去から現在へと書いていくことになります。
シネマコンプレックスが主体な時代となり、最新作も、よっぽどの人気が出ない限り、長生き(ロングラン)しなくなりました。
2・3週間(回)で上映終了してしまった作品も多くあるので、その点は私の都合になりますが、了解いただき読んでください。
では、暫くの間、お付き合い下さいませ。
『三度目の殺人』
本年度劇場鑑賞作品vol.84
(日本映画鑑賞作品vol.23)
監督【是枝裕和】
【役所広司】
【福山雅治】
【広瀬すず】他
「人を殺しました」
自ら出頭してきた容疑者を担当することになった弁護士。
負け戦に報酬はない。だから受け手側も渋る。しかも殺人で自首してきた容疑者が突然無罪を主張してきた。面会するたびにコロコロ変わる被告の記憶、主張。そして問われるこの国の司法制度。
「気持ちの良さ」や作品が滲ませる「もどかしいメッセージ」は鑑賞終盤になって直接あなたの心を訪れてくる。その確実な来訪に、鑑賞中は備える準備をしよう!
加害者と被害者。悪人は当然のことながら加害者だ。それは学校で教えてくれなくても、普通の価値観で人は理解し判断する。しかし、結局のところ本人が伝えなければ真相は闇の中に葬り去られる。他国に比べて平和な日本だからこそ、時々こういう映画が作られる。
関係はないが、アメリカのように犯人を射殺した後に行われる「死人に口無し」の裁判が日本にはないのに、なぜに日本は黒を真っ黒に出来ないのだろうか?「法に縛られている」とよく言うが、その法がおかしければ、同じところをぐるぐる回り続けれているだけ。堂々巡りで宙ぶらりん。
個人的には3種類の色が揃った不思議なキャスティングです。お三方ともタイプの違う演者なので私的には意外なキャスティングでした。さすが是枝マジック。
【役所広司】さんの怪演が一際目立ちますが、調和剤のようにどんな作品にも色を染める事ができる【福山雅治】さんはやはり魅力的。そこに『怒り』で駐在米兵に強姦される沖縄少女役を演じた【広瀬すず】さんが、中盤以降に見せ場を作り、3種が見事に中和した。このキャスティングは、まるで漢方薬みたい。
見事な作品で、トータルしてバランスがいい。演者の熱演も光り、制作側の熱も感じる。一言「賞レース向き」。
脚本 14点
演技 15点
構成 13点
展開 14点
完成度14点
〔70〕点
__________
『ユリゴコロ』
本年度劇場鑑賞作品vol.89
(日本映画鑑賞作品vol,25)
監督【熊澤尚人】
【吉高由里子】
【松坂桃李】
【松山ケンイチ】
【木村多江】
【高山侑哉】他
久しぶりにドキドキしながら鑑賞した。
怖い!
この子、怖いΣ(・□・;)
自然豊かな場所でレストランを営む主人公のオーナー。年齢は30代前半辺りか。ある日、病魔に侵された父親を心の底から心配し、その後主人公は何度か自宅と実家を行き来することになる。その最初の一日、実家を訪ねた主人公は、通院日で病院に行っている父親の帰りを待つまでの間、押入れの中を整理し、その中から父親が所持する曰く付きの女性の手記を発見する。
「なんだこれ?」読み進めていると、どうやらそれは殺人者が書かれた手記であると知る。なぜ殺人者の女の手記が実家にあるのか!?主人公は手記を読むたびに何かに取り憑かれたようにシンクロし、父の留守中を狙い盗み見するようになっていく。
(防犯カメラなどの)セキュリティがなかった時代の日本。女は殺人犯として追われることなく、警察には捕まらないでいく。今では設定できない時代背景が、観客にもやもやとした気持ちを与えるだろう。
松坂桃李演じる映画の主人公同様、映画を鑑賞中の私が続きが気になって待ち望んでしまった。正直、鑑賞中は「松坂の回はもういいから、早く吉高の手記回想のシーンにして!」なんて思ってた(笑)結果としては、私が飽きていた主人公の独特な間の使い方などの作品空間は、人格形成的に重要な要素があるのだけれど。
この映画の舞台挨拶の場にて、撮影では全裸になってお尻を出したのに、それを上映した場合(映倫が判断し)R指定になる為にカットしたと発言。裸よりも狂気的なシーンが盛り沢山なんだから、レーティングを気にするのはそこじゃないでしょ。と突っ込んで笑いにしていました。
そんな性行シーンよりも、とにかく強烈にインパクトを残したのが、残酷さと、生き物の生命の生死の有無を見て興奮を覚える犯人の変態さ。
そんな出来事を鮮明に写した手記を、どうして父親が持っているのかは謎なまま、留守の時間帯を狙って盗み見る【松坂桃李】君演じる主人公。ここで思ったのは、実家だから不法侵入にはならないこと。多分ここがこの映画のミソ。実家、そして家族=血。
松坂桃李君は表情筋がとにかく良く、口周りは、淡々としながら自分の中で消化するようにセリフを言う演者の印象。
個人的には毎回ピチッとしたスキニーなお尻の形が、好みではないので、体型が無難。もう一ギア、上げて欲しい。
手記回想となる昭和の男を演じる【松山ケンイチ】さんは、失礼だと思うが、今作品で印象が変わり、演技派として化けた。『ノルウェイの森』などセリフの多い哲学的な役柄などを積んだ経験が、ようやく活きてきたと視えました。
__
(公開終了した状況で伝えるのが申し訳ないですm(__)m)
印象的だったのは観客の反応です。
開幕週の水曜日の夕方、若い女性が多くいる回に鑑賞をしました。劇中ではオープニングから、友人を池に突き落とし殺害(事故)したり、幼い兄妹の一人を殺したり、激しめのリストカットをしたり、相当生々しい。
周りに座っていた女性たちが、そのたびに「きゃー」と発したり、目を伏せたりしているのが視界に入ってきて、その様子から、なんだか映画の質を高めているような気になりました。
話は変わりますが、ここ数年の日本のニュースや事件は、現実にこういった特異で兇悪な事件が多くなってきていますね。そういった人がこの映画(息絶える映画)を見たら、どんな心理状況に、またはどんな行動を起こすのだろうか?考えただけでもゾッとしてしまう。心が正常な人がこの映画を見て、普通に怖がる反応をしてほしいものです。
脚本 14点
演技 15点
構成 13点
展開 14点
完成度13点
〔69〕点
__________
『亜人』
本年度劇場鑑賞作品vol.92
(日本映画鑑賞作品vol.27)
監督【本広克行】
【佐藤健】
【綾野剛】
【城田優】
【千葉雄大】
【川栄李奈】
【玉山鉄二】他
この記事を読まれる業界関係者は少ないと思いますが、個人的に今後の俳優業界に指南したいです。
この映画の肉体改造にライザップが協力されたと知りましたが、そもそも映像で見せる筋肉と魅せる筋肉は違うと私は思っているんですね。映像俳優ではなく、舞台俳優みたいな体付きになっていました。
もう一つ、漫画の実写化について。
5年前位に何かの記事で予想していたと思いますけど、日本はアニメや漫画の宝庫で世界的に考えても作家の想像力が高いし、科学的な技術面でも世界トップクラスだから、理系と文系共にハリウッドを超えている。ただまだ要領も悪いし、容量も少ない段階。なので映像化困難な優れた原作は、ハリウッドにどんどん版権を売り込んで行って欲しい。
今後、次々に映像化作品が増えてくると思うが、日本の作品を日本で!という理想だけで制作できるような、日本はまだその段階じゃない。しかしアクション慣れがなく、そもそも危険地帯が少なく治安のいい環境を生まれながらに体験してきた日本人ゆえ演者の土壌は低い。〔撮る〕・〔放映する〕、世界的な技術力を持っていたとしても、〔演じる〕俳優陣が完成品として実写化できるには最低10年が必要だろう。
・・みたいな生意気な意見を私は書いていたと思うのですが、今や多くのアクション漫画が実写化される時代になりました。予想より数年速く訪れました。なのでまだ伸び代があると思います。
『るろうに剣心』の【佐藤健】君は、現俳優界の中でも間違いなくトップのアクション俳優ですし、おそらく(演技の根本的なスタイルこそ違いますが)5年後ぐらいにはハリウッドで大成功した韓国のイ・ビョンホン級になるのではないでしょうか。
(原作者の逮捕によりるろ剣の続編がおじゃんに(T . T))
何より「今が旬だ!」と流行り物の俳優やタレントを使う傾向が強い近年の芸能界とは違い、出演作の公開もいいペースですし、1作1作品を大事に演じ分けている公開状況に好印象を覚えます。演技力は目力に頼りがちなので、もう少し言葉の感情表現力が必要ですが、それは年齢を重ねれば備わるでしょう。5年後にはイ・ビョンホンです。
・・って亜人の話を全く書かずに一人で熱くなってしまいましたがm(__)m
死んでも生き返る不死身の人種「亜人」。
如何にも漫画(小説では描ききれない発想)の設定だと思いますが、それを見事に表現しています。劇中では何度も自殺したり、日本政府による人体実験があったり、観ていて気持ちのいいものでは決してないですが、NJ(ノット・ジャニーズ)俳優達が繰り広げる大熱演のアクション劇は必見だと思います。ヒロインの【川栄李奈】さんも個人的にチンチクリンでムチムチしていて良かったです☺︎
脚本 13点
演技 15点
構成 15点
展開 13点
完成度13点
〔69〕点
__________
『エルネスト』
本年度劇場鑑賞作品vol.93
(日本映画鑑賞作品vol.28)
監督【阪本順治】
【オダギリジョー】
【ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ】
【永山絢斗】他
キューバ革命の立役者【チェ・ゲバラ】。
ゲバラ映画といえば賞レースを賑わせたデル・トロ主演の『チェ』が大変有名だと思いますし、これまでハリウッド映画で長編大作を発表してきましたが、この映画は、ここを強調した謳い文句です。キューバ人の俳優がゲバラを演じることが初ということです。
キューバ人が英雄の革命戦士を演じる。
これは経緯的にも丁寧な種族である日本だからこその成功ではないでしょうか。
そんなゲバラ・・タイトルになる『エルネスト(・チェ・ゲバラ)』は冒頭、戦後の日本に滞在し広島の原爆ドームを取材し、核の無惨さを思い知ります。原爆病院を見舞い、被災した患者と接し、言葉は通じなくとも目を見て会話をしている。
平和記念公園では写真を撮り、礼をする日本人の例に習います。郷に入り、業になる、そして敬い、核という存在を遺憾に思う。「なぜ日本人はアメリカに原子爆弾を落とされても、憎しみを見せずに付き合っているんだ?」
このシーンだけで、私も随分単純でしょうけど、これまで持っていたチェ・ゲバラの印象がガラッと好転しました。
話は変わりますが、こういったゲバラの心根や性根を観てしまうと、トランプ大統領とは違う反応でしょうね。(オバマ元大統領も大差はありませんけど、アメリカ人以外の視点で描く原爆描写は日本人への共感を生むと思います)
そんなキューバ政府の日本滞在。当時の日本の関心は低く、その後の大物ゲバラの滞在は広島の新聞記者による独占取材のような形であったと劇中は紹介しています。日本編で記者を演じているのは、瑛太君の実弟で俳優映像界で勢いと脂の乗る【永山絢斗】!
キューバとの合作映画。実在した日系ボリビア人マエムラ氏が主人公です。ゲバラメインで冒頭のHIROSHIMA編を終えると、映画はキューバの葉巻臭く埃っぽい舞台へと移りマエムラ物語に。
もしこの映画が正式に日本映画扱いになるならば、日本アカデミー賞ならば確実に【オダギリジョー】さんの主演男優賞が堅いでしょう。ノミネートされたのならば確実だと予想します。(条件:ジャニーズ俳優がノミネート(参加)されなかった場合に限る)
本家のアカデミー賞では、役作り身体作り、そして言葉(イントネーション)が選考になりますが、正直、日本映画は「怪演」している、や、知名度で受賞している傾向。シンデレラ俳優ってほとんどいません。そう考えると、今作のオダギリジョーさん次元が違うでしょう。何しろ日本語を喋らない(喋れない?)現地人の役。極限の役作りは別格の域です。
戦前や戦後に南米や北米に渡った日本人の物語。今後も見つかる(発見・発覚)でしょうし、(小説が出版され)映像で描いていくのでしょう。
日系ボリビア人の大学生がキューバ危機の混乱により、自らが志願し立ち上がります。
例えばですけど、1960年代だと、日本人も日本への愛国心ってまだ残っていますよね?理不尽だ!と学生達が戦っていた時代です。血気盛んで血の気が多い。そんな時代に日本がもしもキューバと同じ状況だったとしたら、再び戦争していたのかも知れません。
そんなことを考えながら、日本人の顔をした現地のボリビア人が国のために戦う姿を観ていると色々と考えることがあります。
劇中にあるロマンスだとか、おそらく原作に登場する登場人物の設定なのでしょうけど、そういった点などの描写が弱いので、この映画が「面白い!」と絶賛できる迄の完成度には正直なところ達していないと視ますが、外国語映画として完成度が高いし、また教科書に載らない史学ドラマとして、日本映画として素晴らしい出来ですし、是非とも貴方様の知識の一環としての鑑賞をお薦めいたします。
脚本 14点
演技 15点
(オダギリジョー+1点)
構成 13点
展開 13点
完成度14点
〔70〕点
__________
『アウトレイジ最終章』
本年度劇場鑑賞作品vol.95
(日本映画鑑賞作品vol.29)
監督&主役
【北野武(ビートたけし)】
【金田時男】【白竜】【津田寛治】【大森南朋】【大杉漣】【西田敏行】【塩見三省】【ピエール瀧】【松重豊】他
シリーズを全て劇場鑑賞したので、思い入れだとか、思うことはありますが、内容的に徹底的に説明したい作品ではないので、少しだけ。
ビートたけしさんが番組宣伝されたTV番組で、これまで自身の作品は評論家に不評という歴史が付いてきたが、今回の作品は(評論家達から)評判がいいんだよ。といった内容のコメントを仰っていました。
それを頭に入れて今作を観たので、なるほどなと思いました。
だけどそれってこの映画に魅力(価値)が無くなったって事だと思います。
いい俳優、この映画シリーズの(最初の売り出しの)場合、強面の大物俳優、が前作前々作で起用し尽くされてしまい、残ったのは優しい役柄もこなす演技派俳優に、怖さより柔らかさを感じる結果に。残り物には福がある・・この映画ではブクブク。
逆に、女優様なら沢山残っているし今なら選び放題だから『アウトレイジ版極道の女』編を作ればいいのにな。事務所やイメージ的にNGが多そうだけど(^◇^;)
今作品の、大杉漣さん、岸部一徳さんや西田敏行さんも、なんだか人間的に優しい俳優のイメージがあるぶん、全く極道的ヤクザには観えなかったです。俳優の演技は諦めて脚本や物語性を観てました。そして1つの作品としての評価が高くなりました。今作の評価が批評家にいい理由だと思います。それを仕事にするとオブラートに包まなければなりませんけど、こればっかりは、演技力だけでどうこうなる、、、というものではないですね。
全員悪人=豪華俳優陣。
それがウリのシリーズ映画なので、
そのウリが、豪華俳優陣が、崩れてきたら、何がウリになるのか?
劇中に殺されてしまった役の俳優を無理やりにも生き返らせることが出来ないので、長く続いたシリーズはキャスティングに首が締まる。
作品自体の質は良いのですが、恐れ多くも世界の北野武監督には無難さが出ているように感じるので、そのことが残念に思います。
すでに売れている男優を使うシリーズ。名前の知られていない役者を、この映画の重要な役どころで起用しないでしょうし、そういう大胆さは今後も観れないのでしょうね。
俳優は垢付きで始まります。その後、作品や経験や出会いによって磨かれて光輝いていきます。
売れない役者が、いきなり大役を与えられても華や格がある状態にはならないでしょうけど、なにしろドル箱の邦画ですから最終章といえ続編はいずれ製作されるでしょう。
そのとき、映像演出だけで魅せてくれる新生アウトレイジを楽しみに観ていきたいと願っています。
脚本 13点
演技 14点
構成 13点
展開 15点
完成度13点
〔68〕点
__________
『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
本年度劇場鑑賞作品vol.96
(日本映画鑑賞作品vol.30)
監督【廣木隆一】
【Hey! Say! JUMP山田涼介】
【村上虹郎】【寛一郎】
【林遣都】【成海璃子】
【門脇麦】↔︎【鈴木梨央】
【萩原聖人】【西田敏行】他
まずはこのテーマから。
一般的にも広く知れ渡っていると思いますが、ジャニーズ事務所のタレントさんが俳優を演じる時は、主役か、主役のバーター(抱き合わせ)で準主役です。
そこに関しては、興業上の了解だと、大人になるにつれ理解するようになりましたが、こういう映画で面白い現象があって、それが若気の至りからか端役の同世代俳優が主役を食おうとする演技をすることです。
今回の映画でまざまざと視えたのは、親友A(翔太)役の【村上虹郎】さんが、完全に主役の【Hey! Say! JUMP山田涼介】さんを喰っていたこと。役柄にピラミッドがあるのに、主役みたいな存在感を出していました。
まるで金八先生で、ジャニーズを差し置いて、濱田岳が一番目立つ生徒になっていた頃を思い出します。
おそらく監督も彼の存在感が気に入ったんだろうなと、映画を観ていて思いましたが、村上虹郎さんは、UAさんの息子さんで帰国子女(父親は村上淳さん)。真剣佑さんのように二世で帰国子女の俳優が今後も出てきそうなパターンかな。
東野圭吾作品の大ファンである私は、もちろん原作小説を読んだ上で鑑賞に望みましたが、明らかに役より役者の特徴が強い。そういう意味ではマイナスに思いましたが、強盗役の若い男子3人のピリピリした現場の演技感が視えて、相乗効果も出てる。
冷静にみていて山田涼介さんは、元SMAPの木村拓哉さんタイプのジャニーズ俳優で、キムタクさんを小さく畳んだ感じでしょうか、いらいらする演技の時は口元をへの字にして舌打ち気味に小さく顔を振ります。ファンの方ならば何をしても認めてもらえるのでしょうけど、やはりどうしても男性目線だと彼は身長が低すぎるので、幕末の志士や、日中日露時代の日本兵だとか、猿飛佐助的な忍者アクション等がいいのではないのでしょうか。演技だけで勝負すると今作みたいに喰われてしまうので。
もうひと方、俳優を語りたいです。
女優の【門脇麦】さん。
・・劇中、女子高校生の制服姿が、個人的にはとてもコスプレ感があって、大学生ならいいですが、制服だと老け感も感じ、顔立ちのアップが正直キツかったです(^◇^;)
門脇麦さんの子供時代を演じるのが、天才子役とし名を博した【鈴木梨央】さんで、カメラアングルも演技派の俳優に対してよく観る固定でのフロントショットでした。完全に製作者側がこの女優さんに対して見せ場を作っている。
芦田愛菜ちゃんに憧れて芸能界に入った鈴木梨央さん。演技面では憧れを越えていった見方。作品や今後の使い方次第で大化けするのでしょうね。
なのでこの(女優)のクオリティから(役柄が)成長した場合が門脇麦さんだと、結構ガッカリしてしまいました。最低限、顔の系統が似ている女優を。。。
冒頭から多くの伏線を引いて、1つ1つオムニバスな物語を紹介し、集結して解放させる←それが東野圭吾先生の常套的なSFドラマの流れだと思います。
その終盤(クライマックス)のネタバラシを、誰かの口頭であったり、映像で説明するのが、やはりこの映画でも難しかったようです。
東野圭吾原作作品は、今や日本で最も熱量を上げて製作されるものとなりました。全国のシネコンで上映されることが確約されているようなもの。
しかし原作ファンであり、映画を語ってきた私からすると、
証明や説明のできない出来事を分かりやすく(映像作品として)伝えることが、他の作家より東野圭吾先生は難しいと思えます。
その理由の1つとしては、喋る印象が強い小説が殆どないからです。会話よりも話の内容の印象が残る小説を書かれる方。なので映像化の場合にトークが活きない。
映画を観終わって、小説を読んで、「そういうことだったんだ」と理解するのもよし。小説を読んで、映画を観て、「こういうことなんだよ」と納得するのもよし。いずれにしろ原作の存在が大きな映像化作品です。『白夜行』みたいに何度か映像化に挑戦してくれないかな。感動したけど。
脚本 15点
演技 13点
構成 13点
展開 13点
完成度14点
〔68〕点
__________
『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』
本年度劇場鑑賞作品vol.97
(日本映画鑑賞作品vol.31)
監督【大根仁】
【妻夫木聡】
【水原希子】
【新井浩文】
【安藤サクラ】
【江口のりこ】
【松尾スズキ】
【リリー・フランキー】他
前の記事(と言っても1ヶ月以上前の記事m(__)m)の冒頭で触れたのですが、その後、予定を変更して鑑賞してきました。個人的に【妻夫木聡】さんが憧れなので。
映画自体は・・どうなんだろう。どう書けばいいのだろう。
気分的には生々しくて気持ちの悪い作品でした。
「生々しい」は日本映画特有のネチョネチョした男女の濡場で。「気持ちの悪い」は、男のナヨナヨした独占欲だとか支配欲だとか母性を求愛する様子から。
自分を正当化する働くモテ女で、魔性の女役を演じた【水原希子】さんが、濡れ場のオンパレードだったこと、その印象が強いかな。
ディープキスの連続で、私は何を魅せられてるんだろう?(笑)
日本も変わりましたね。フレンチ・キスばかりの日本映画に文句を言っていた頃が懐かしいです。最近のは肉肉しすぎるな。これじゃ綺麗なアダルトビデオみたい。
あとは、奥田民生さんが生き方になっているアラサー男性の話ですけど、憧れの対象が奥田民生さんでなくて、別の歌手に変更しても、成立する内容だと思いました。
タイトルの後者『出会う男すべてを狂わせるガール』のクセが強くて、前にどんな男性像を置いても飲み込まれてしまいます。男の幼稚さ、恋は盲目、ちょっと気色悪かった。男女で鑑賞すると気まずくなる映画ですね。お茶の間向きでもない(^◇^;)
脚本 13点
演技 14点
構成 14点
展開 13点
完成度13点
〔67〕点
__
お疲れ様でした。お読みいただき有難うございます。
15作品を一気に書くつもりで書き始めましたが、いつものことながら脱線を挟みながら一桁の行数とはならず、文字数がパンパンになってきたので、2回に分けて記事に上げます。
素敵な映画に出会ってくださいね。
【mAb】