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THE映画評論『1月公開4作品:邦画』

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『カイジ ファイナルゲーム』

 

 

 

 

 

監督🎬

【佐藤東弥】

 

 

出演者

【藤原竜也】【福士蒼汰】【関水渚】【新田真剣佑】【吉田鋼太郎】【天海祐希】【伊武雅刀】他

 

 

公開日

[1月10日]

 

 

あれ?こんなにワザとらしいセリフの言い回しをしていたっけ?

今年の夏に開催予定の東京オリンピック。その後は日本国民全体がオリンピック症候群に陥り不景気となる想定で発想された脚本ですが、大阪万博、そして2030年の招致を目指す札幌冬季オリンピックへと先を先を見据えて盛り上がっていけたらいいな。

 

 

 

 

 

 

脚本 [15]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [13]点

完成度[13]点

 

 

TOTAL[68]点

 

 

 

________

 

 

 

『太陽の家』

 

 

 

 

監督🎬

【権野元】

 

 

出演者

【長渕剛】【飯島直子】

【瑛太】【山口まゆ】【潤浩(ユンホ)子役】

【広末涼子】

 

 

公開日

[1月17日]

 

本編

[123分]

 

 

 

「今年はいい映画が多いなぁ」(心の声)

 

 

長渕剛さんの癖は強め。しゃべりも表情も。それを消して俳優として観ることは少々困難だろうと予想した。

 

 

私が持つ長渕さんの俳優としてのイメージは・・ど直球で書きますが「もろヤクザ」(^◇^;)

 

 

なかでも1989年放映の『オルゴール』という映画を小学生の頃に俳優をしていた叔父がビデオレンタルで借りてきて、自宅で見た時はホラー映画よりも衝撃的でした。後半の結婚式のおめでたい席でヤクザが日本刀を持って乱入し斬り殺すというシーンは子供の私は震え上がりましたね。

 

 

当時はR指定という制度がなかったので、アダルトビデオ以外は(笑)なんでも借りられましたけど、その作品を観て以降は結婚式に参列すると、出入り口から現れるのがダスティン・ホフマンではなく、日本刀を持った長渕剛さんと想像してしまう時期がありました。完全にトラウマです。

 

 

【長渕剛】さん[63]。20年ぶりの映画主演として1月17日に全国公開された本作品。しかしTOHOシネコンでは、公開初週の時点で2週目(翌週)での上映終了の表記が出ていました。限定上映という表記はなかったのでTOHO系では短期上映となった模様です。

 

 

 

 

え?どうして?

・・こういう作品こそ、ロングランすべきなんだと腹の底から申します。

 

 

それも若い世代が映画館で映画を観る時間帯「16時〜21時」に調整すべきです。

 

 

シネコン時代。客入りが悪いとその作品の1日の上映数を減らしますが、基本的に午前中の1回上映となる傾向です。この1日1回が午前中ではなく、夕方や夜に変われば、多少、日本は変わると思う。

 

 

それだけ今作品に可能性を感じましたし、私が今作品を見て想ったのは、文部科学省指定の映画にして欲しい作品だなぁ・・って。

中学校のレクリエーションや道徳の授業で、この映画を上映して欲しいですね。そう思うくらい愛に満ちた作品です。

 

 

少しだけ映画を語ります。今回の1月期の邦画記事では4作品を語りますが、文字量を多く使うのはこの作品と次の作品の予定なので文字量は気にせずに・・書きまくります(笑)!!

 

 

長渕剛さん演じる大工の棟梁は、職人気質で強面な見た目で、筋を通した性格です。

 

 

家族構成は、しっかり者で夫を支える元ヤンの妻と、高校生の長女。そして一番弟子である長男は訳あって家を飛び出し、現在は近くのアパートを借りて一人暮らしをしています。その4人家族の川崎家の元に、この度1人の男の子が加わることになります。

 

 

冒頭。仕事中の棟梁は、通りかかった生保レディのシングルマザーをナンパします。

 

 

女優は女優業でセカンドブレイク中の【広末涼子】さん[39]。自分の学生時代のスーパーアイドル女優なので、最近のご活躍は嬉しい限りです。

 

 

生保レディのシングルマザーということで、生活は決して楽ではなく、仕事に育児と体も精神も限界の状態を迎えています。

 

 

この日の仕事終わり、帰り道。契約のキャンセルでメンタル最悪。建設中の一軒家を眺めていたところ、棟梁に話しかけられる。

積極的で人見知りのない棟梁は、数分後、初対面の生保レディのアパートの一室にお邪魔しています。

 

 

正直、随分、「警戒心のないシングルマザー」だとも思いました。出会ったばかりの強面の男を自宅にあげるんですからね。

 

 

棟梁も棟梁で、女好きなのか?人との交流が好きなのか?動機が見えづらいです。

 

 

しかし、したたか!と思います。家にあげて数分後、保険の契約をしています(笑)なるほどフリとオチ。捨て身で怪我の功名。

 

 

そして小学生の息子・龍生が帰宅。もじもじ君です。声が小さく、元気もない。そんなんで母ちゃん守れんのか!!

 

棟梁は、こいつを強い男にするため特訓する!と母親に伝えます。

 

 

翌日から仕事の合間を縫って龍生の面倒を見る棟梁。

 

 

 

 

生保レディ芽衣も「すみません、ありがとうございます」と子供を任せます。

悪い人ではなさそうという理由で息子を任せますが、それだけ頼れる人がシングルマザーの彼女にはいないのでしょう。

 

 

そうして過ぎていったある日のこと。以前から体調の不調を感じていた生保レディ芽衣は、自分の検査結果を知り愕然とします。病名は劇中で知らされませんが、おそらく余命宣告をされたのでしょう。のちのシーンで主治医に病状を聞いた長渕さんが「そりゃぁないぜ先生!!」と理性を失い項垂れるくらいですから、残酷な現実に直面し、その様子に観ているこちらの胸も痛くなります。

 

 

芽衣は病状を伏せ、検査入院という事にし、息子の龍生をしばらくの間棟梁の家で預かってもらうことになります。

 

 

棟梁の自宅の一軒家は現在3人暮らし。【飯島直子】さん[51]演じる妻と、【山口まゆ】さん[19]演じる女子高生の長女。

 

旦那の性格や生き方を理解している妻は、何も言わずに受け入れますが、長女にとっては龍生の存在が気に入らない。

 

棟梁は龍生の最高の遊び仲間となり、そして家業の手伝いを体験させる。

 

 

家業を継げずに家を飛び出した【瑛太】君[37]演じる長男の例がある。長女も同様、父親への尊敬や感謝で家業を継ぐべく建築家になるため勉強をしています。そこに現れた「男の子」。長女のメンタルも行き場のない不安に崩壊していきます。

 

 

その事を父親に告げ、頬を叩かれ家出。果たして家族は元に戻るのか?芽衣の回復は?清く正しく不器用な愛の物語。

 

 

___

 

 

自分が好きなシーンは、自分の病気を知った日、気が張っていた広末涼子さん演じる母親が、一人息子を送り届けた棟梁に対して、「他人のくせに」という表現を使い感情的になります。棟梁の目的が分からないからでしょう。

 

 

すると「他人じゃねぇよ!」と一歩も引かない棟梁の言葉が返ってきます。

 

 

一見感情的な言い合いかな?とも思いましたが、この台詞っておそらくかなり計算されて描かれていると思います。

「他人じゃない!」これってこの映画を表現する一番の深み。

 

 

だって家族間で使用する他人の定義は「血の繋がり」で使い分けますよね。

 

 

棟梁の、その場で解決して、腹を割って話す。決して逃げない。その姿勢が、職人気質が、私にとっては懐かしい。

 

最初は不純な動機が目的にあったのかもしれませんが、子供に会ってからは母子共々、家族のように接っする棟梁。とても「縁」を大切にする人間なんだなと思います。

 

 

___

 

 

長女の柑奈の心情が、演じた女優を通してとてもよく伝わりました。

 

 

長女は父親に対して言葉にできないくらいの感謝を持っています。言葉に出来ないぶん、建築士という資格を取って恩返しをしようと勉強に励んでいる。大工になるのは主に男性という事で家業を継げない無念さも長女は持っています。

 

 

そんな時に、後継候補ともとれる小学生が家にやってくるんですから、長女は龍生に対し強烈な嫉妬心を覚えます。居場所がなくなっていく圧迫感みたいな被害妄想を味わいます。それだけ長女は心のどこかで孤独を感じていたのです。

 

 

パパは私のことが好きじゃない! (そんなことある訳ないじゃん)

思いを吐き出して、家出して、仲直りして、そうしてこの家族のあり方を映画を通して見せてもらいます。

 

 

柑奈という名前は、大工の方が木を削る時に使用する工具カンナから来ているでしょうから、シャレが効いているし、棟梁が毎日木を削る時に愛娘の事を思って働いているんだろうと想像すると胸がジーンとなります。

 

 

 

 

__

 

 

 

中盤。

 

 

棟梁は闘病中の芽衣ちゃんのために、龍生と暮らせる家を建てようと実行します。

 

すごい行動力です。柄本明さん演じる友人の美容整形院長に土地代や建設費用を融資させるべく、女ネタの弱みを元にユスリに行くシーンも楽しいです( ◠‿◠ )

 

 

そして芽衣ちゃん。アパート暮らしから、一軒家になるので、これって見方によっては贅沢な話ですよね。

 

建設中の家の名前は「太陽の家」。タイトルです。一軒家に名前が付くことで、施設みたいにも感じます。

 

太陽の家を、太陽のように明るく直向きな棟梁と家族が団結してトントントン。建築関係トントントン。関係ないけどりゅうちぇるさん元気かな?(ほんと関係ないΣ(・□・;))

 

 

このシーンに涙がこぼれました。

 

 

80年代90年代に、この作品や作風が公開されれば、抵抗のない時代なので、多分これほどの感動はないと思うのです。

むしろ昔は今作品と似たような作品が制作されていたと思います。

 

 

他人の子供と接するのが自然に出来なくなった今の時代にこのような人情味があったり、ヤクザ風な強面主人公だったり、家族の形のドラマを観れて幸せだ。まぁ長渕剛さんの筋トレシーンはイメージビデオを見ているようだったが(笑)

 

 

余所余所しさがなく、ある程度年齢を重ねてきた自分としては、人との関わりや人の優しさに沁みる描写が多くあった。

 

 

棟梁は昭和の人間かもしれないし、目つきは鋭く言葉は乱暴だけど、「このバカ」と叱ってくれるその根底に愛があるから、甘えられるし、厳しくも出来る。こういう作品が今の時代に必要だ。

 

 

鑑賞前は長渕剛さんの「癖」の強さや特徴的な口調(言い回し)の予想がつくぶん正直後回しにしていた日本映画でしたが、観ていくなかで「思ったより面白いぞ」となり、さらに「面白い!面白い!」と自分の感情が変わっていきました。

 

 

ただただ観て欲しい作品です。

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [13]点

構成 [14]点

展開 [14]点

完成度[14]点

 

 

TOTAL[68]点

 

 

 

余談を2つ書きます。

 

 

今作品に出演する瑛太が改名されました。

次回の作品から本名の【永山瑛太】で表記できるのが凄く嬉しいです。

個人的な話ですが、彼のことをずっと永山君と呼んでいましたので、これからの活躍が楽しみです。

 

 

私の地元である東京の下町は工務店が多く大工が多かったです。

子供の頃、小学生のクラスメイトには大工の家系の息子がいたし、家に遊びに行くと、ヤクザの組事務所なんじゃないかと子供心に思ったほど大きな熊手と神棚があって、強い柏手を打っていたし、帰るときにはメノウの火打ち石を鳴らしてくれて、その際に出来る切り火が子供心にカッコ良かったです。

 

 

銭湯に行けば、お客の背中に桜吹雪や龍のモンモンを見るのは普通の光景でした。

銭湯に行けば壁には富士山、洗い場には昇り竜。前方後方に見えた「絵」。慣れていない方には恐ろしい話かもしれませんが、今作品の大工の棟梁の生き様を見ていて、懐かしい気持ちになれ清々しい映画鑑賞でした。

 

 

______

 

 

 

『ラストレター』

 

 

 

 

 

監督🎬

【岩井俊二】

 

 

出演者

【福山雅治】

【広瀬すず】【森七菜】【松たか子】

【庵野秀明】【中山美穂】【豊川悦司】【神木隆之介】

 

 

公開日

[1月17日]

 

本編

[120分]

 

 

非常に・・・矛盾点の多い作品でした。評価も分かれると思います。

 

予告編の紹介文で、「岩井俊二ほどロマンチックな男を私は知らない」と紹介されていましたが、それがアダになったかな。

 

多分・・ロマンチックさだけなら・・私の方が上です(笑)

 

 

矛盾点・違和感は私にとってマイナスの見方ですが、この映画は良い点と悪い点をハッキリ分けて紹介できるので、正直に書きます。

 

 

物語を流れで書いていきます。

 

 

映画は徐々に(馴染むように)良くなっていくので、前半の大半は自分には耐える時間帯でした。

 

 

宮城県に住む姉妹の物語です。

 

 

姉の遠野未咲が亡くなり、弔いで実家に帰ってきた妹の裕里と2人の子供。中学生の長女と小学生の長男。

 

 

この弔いの冒頭のシーンがよく分からなかったのでWikipediaで確認しました。

 

>お弔い(初七日か四十九日かどうかは不明、通夜、葬式当日ではない)、と紹介されています。映画では悲しむ様子が見れなかったり、緊張感がないんですよね。ちょっと不満を持つ映画の立ち上がりでした。

 

 

このことを書く際に知ったことで納得したのが、妹の主人が式に参列せずに自宅のアトリエで仕事をしていたことです。

てっきり葬儀だと思っていたので、なんで妻の姉が亡くなったのに参列しないんだこの義弟!と書こうとも思っていました。(結果として書きましたけど(^◇^;))

 

 

夏休みがまだあるということで、裕里の娘・颯香は、おじいちゃん家に残ることになります。

亡くなった叔母の高校生の娘・鮎美がここに住んでいるからです。

 

 

とても仲のいい従姉妹のようですが、葬儀の前はどんな頻度で会っていたのかな?作り手さん。

 

 

映画は、これを機会に2方向になり展開していきます。

 

 

仙台の我が家に戻った【松たか子】さん[42]演じる裕里は、姉の訃報を知らせるために、市内のホテルで開かれる「姉の同窓会」に出席します。

 

 

受付で姉の同級生たちから、姉に間違えられます。そして誰も疑うことなく会は進んでいく。タイミングをつかめず本当のことを言い出せずに、途中で同窓会を退出。

 

 

ここで思うのが・・間違えますか?(^◇^;)

女優は、松たか子さんと広瀬すずさんですよ。顔の系統が違うじゃないですか。

 

 

姉の未咲は、高校時代に生徒会長を務めた皆の人気者です。

卒業してから20年近く経っていますが、普通に考えて体型は変わっても面影は残りますし、そこまで顔立ちって変わらないでしょう。

 

 

目立たない生徒だったら分かります。おそらく姉妹ということで=似てるだろうという間違え探し発想でしょうけど、間違い探しにもなりません。そういう設定にするなら、姉妹の顔立ちや面影は最低でも似せて欲しかったです。

 

 

同窓会会場を抜け出しバスを待つ裕里の元に、【福山雅治】さん[51]演じる乙坂が追いかけてくる。

 

 

小説家の乙坂は東京在住で独身で子供なし。劇中では説明されていませんが、おそらく運命の女性を思うあまり、この歳になっても独身を貫いているのでしょう。劇中で見るにあまりいい暮らしはしていません。

 

 

乙坂は亡くなった未咲のことが高校時代から忘れられない存在なので、わざわざ仙台まで新幹線を使って同窓会に出席したのでしょうし、再会できたことで浮き足立っています。グイグイ口説いてきます。

 

 

ここでも思いますね。運命の女の顔、間違えるか!?Σ(・□・;)って。

 

 

私は妹、ということを伝えられずに連絡先を交換し、この日は解散。

 

妹の裕里にとって乙坂は初恋の男性です。しかし乙坂は学生時代から姉のことが好きでした。

 

 

家に帰ってからも携帯には乙坂からのアプローチが止まりません。ノンストップ乙坂です!

 

 

裕里は既婚者ですから、スマホの画面を見た夫は激昂。妻の携帯を水没させます。

夫役はアニメ界の巨匠【庵野秀明】監督。『風立ちぬ』の棒読みな声優ぶりが正直私は苦手だったのですが、今回は動画ということで期待しました。優しい口調なので、ちょっとオネェっぽくて面白かったです。今度は狂気的な役柄を演じてほしいな。

 

 

携帯の水没を機に、裕里は乙坂に手紙を書きます。

 

番号が分からなくなり、彼に貰った住所に手紙を書いたのです。そして交換日記が始まりました。

 

見ようによっては不倫関係にもなりますので、途中から、知り合った近所の一人暮らしのお爺さん(義母の恋人)の住所を手紙の投函先に指定します。

 

 

___

 

 

 

一方。

 

 

裕里の娘の楓華と、亡き未咲の娘・鮎美は、田舎の地でのんびりとした夏休みを送っています。

 

 

乙坂の手紙は、最初の頃は実家に届きますので、夏休み中で暇なこの従姉妹が手紙を読みます。

 

 

それで母になりすまし返事を書くことになります。従姉妹は乙坂との手紙のやり取りを短い夏の楽しみにします。

 

 

と言うことは、松たか子さんは、返信の手紙が来ないのに一方的に乙坂へ思いの丈の手紙を送っていたことになるのかしら・・・うーん。よく分からない。

 

 

乙坂は、手紙の相手だと思い込んでいるので、2人の出会いを事細かく手紙に描写します。

 

 

それを読んで、従姉妹はキュンキュン。

 

 

___

 

 

 

手紙のやり取りをしていくと、突然、裕里の元に乙坂が訪ねてきます。

 

仙台の(送り先の)住所に訪ねてくるのですが、すごい行動力ですし・・・

 

・・・この男は、既婚者の女性を最終的にどうしたいんだろう?という疑問を私は持ちました。

 

まだ好き、今も好き、という気持ちはわかりましたけど、かなりグイグイ来ますので、恐怖みたいな感情を私は乙坂に対して持ちます。

 

 

そして乙坂が追求します。「君、本当は妹の裕里さんだろ?未咲はどこにいるの?」

 

乙坂は分かっていました。そりゃそうですよね。好きな人を間違えるなんて恥なことはしませんよ。

 

そう考えれば、妹宛に、姉との青春時代の馴れ初めを赤裸々に送り続けていたということか。これもある意味では恥ずかしいと思うのですが、彼の職業は小説家ですから、小説の延長線上の手紙ということで解釈できます。

 

 

裕里が重たい口を開きます。姉の未咲が亡くなっていることを乙坂に告白するのです。

 

乙坂は呆然とし狼狽。

 

 

私もこの時、同じ同性として乙坂の気持ちになって、一緒に狼狽しました。

 

 

(あくまで私の想像ですが)そりゃないよ・・・。20年近く忘れられなくて、君が運命の女性だと信じ込んでいたから、僕は結婚もしなかったし、もちろん子供もいない。今でも独身の一人暮らし。それで再会のきっかけとなる同窓会に参加したんだ。でも君はもう死んでいるんだって・・・そりゃないよ。

 

 

私が儚く思うのは、やはり年数の重みですね。一途に初恋の人を想った乙坂は40過ぎで独身のまま。対して裕里や亡くなった未咲は結婚して子供がいます。この先からの乙坂の描写には「たられば」が多く含まれます。ナイーブなんです、この男。

 

 

前半が終わり、福山さんメインのシーンから、違和感たっぷりで退屈だった映画が急に面白くなりました。

 

 

___

 

 

 

妹の裕里から真実を知った乙坂は、傷心旅行と執筆のヒントに、当時通っていた学校を訪ねます。

 

 

そこには思い出は詰まっています。青春の思い出。君に恋した学生時代。

 

 

写真を撮ったり物思いに浸っていると、犬の散歩をする2人の少女を見かけドキッ。

 

 

 

 

あ💡この犬も意味が分からないです。

前半、乙坂からのメールに激昂した漫画家の旦那が、次回作のアイテムだとうたって犬を買って来ます。

世話をするのは専業主婦の奥様ですから、おそらく不倫の気配を察した奥様を外出させない狙いで買ってきたんだと想像します。

 

 

で、この犬、買って来た当初は2匹でした。おそらくツガイで購入したのでしょう。犬種はボルゾイだと思います。ロシアの狩犬という歴史を持つ大型犬。値段だって結構するはずです。数十万の買い物を妻に黙って・・そういう描写は一切ないです。

 

 

飼育が始まるとこの母親、直ぐに1匹を実家の両親に預けます。1匹を実家で飼い、1匹を我が家で飼う。

 

 

「2匹だと散歩などが大変だから」と預ける時に理由を言っていますが、犬にとってみれば一緒に飼われた方が幸せなはずだし、なんだか別々に飼っていいのかな?という疑問も、犬好きの身としては感じてしまいました。運命共同体であるツガイの犬種を離すということで、何か深読みの設定でも頭で描いていたのかなぁ?

 

 

妻の独断で1匹いなくなったことを知った旦那の描写なども絶対に必要だと私は思うんですけどね。やはり一切ありません。

 

 

話を戻します。

 

 

乙坂は2人に話しかけますが、2人(特に未咲の娘鮎美)は直ぐに彼の正体を見抜きます。夏休みの間ずっと彼と手紙のやりとりをして来たので直感で気付きます「もしかして乙坂さんですか?」。

 

 

一番好きな人が住んでいた家に上がり、彼女の遺影を見ながら仏壇に手を合わせる。

 

そして泣くのです。おいおいと。

 

 

帰る際に、乙坂は写真を撮ります。パシャりと。

 

 

 

 

 

この後半の【広瀬すず】さんと【森七菜】さんの2人の女優のカットが、神がかって純粋無垢な美少女に映っていると感じます。

近年稀に見る美少女ショット目も心も奪わる時間帯が15分ほど私に続きました。

 

 

これもあくまで私の想像なんですけど、映画の冒頭で夏休みの間しばらく泊まることになった中学生の楓香は、その間の着替えなどは持って来ていないと思います。それで劇中の衣装を見ていると毎回違うので、じゃあ・・高校生の鮎美の服(お下がり?)を借りてるんだな。そう思ったわけです。

 

 

これにより双子コーデ・姉妹コーデみたいになって、かなり映像の見た目が素晴らしいです。洋服のセンスもいいですね。

ノースリーブのワンピースが健康的ですし、2人とも色白なので透明感も強く出る。

 

 

まぁ、宮城県でも田舎町という舞台の設定ですし、こういうお洋服、どこで買っているのか?は気になりました。もしくは生前のお母さんの趣味かな。

 

 

広瀬すずさんは姉妹だと妹のイメージが強いと思いますが、今回、落ち着きのある鮎美役は相当ハマっていました。

 

冒頭は東南アジア系のハーフに視えましたが、経験則も最大の強みだし、それを感じさせる【森七菜】さんの妹キャラが【広瀬すず】さんを引き立てていて、どちらの女優もプラスに働いています。

 

 

単純に、この二人の女優の相性がとてもいいのかもしれません。是非とも違う作品でも共演して欲しいです。

 

 

森七菜さんは幼い顔立ちのわりに憂いがあるんですよね。まだ18歳とのことなのでオファーはできませんが、成人以降はしっとりとした恋愛映画で輝きを放ちそうな予感がします。

 

 

__

 

 

 

映画の直後に今作の評価を箇条書きしたスマホのメモを載せます。

今まで描いたことと同じ部分があると思いますが、ご理解ください。

 

 

こんなに極端な映画をあまり知らない。

前半と後半の映画の質、映像の雰囲気、見易さ、役者同士のコミュニケーションの取り方、こんなにも違うんだってほど極端すぎる。

 

 

躍動感のない平坦な会話のシーンでも、カメラが揺れているから気になるし、正直気が散る。

カメラワークも真正面ではなく、斜めに撮ったり、手ブレなのかグラついているのが、いちいち気になる。

 

 

福山さん演じる独身中年小説家も、ずっと会いたかったと言っても、何も行方不明なわけでもないし実家の住所も知っているのだから、「だったらなんで行動しないの?」と疑問に思ったし、それなのに同窓会で再会してからの行動力は相当な積極性を見せるから、描き方に統一性がなく矛盾を感じる。なぜに会わなくなったのかの理由も作中で紹介すべき。

 

 

小学生の長男も見せ場は用意されているが印象に残らず、松たか子さんと息が合っていないように思えた。

 

 

つがいで飼った犬も、すぐに片方だけ実家に送るし、義母のボーイフレンドの一軒家に入り浸って、気色悪かった。

旦那の職場は自宅なので、普通に家を開けている専業主婦になるし、それなのに旦那は嫉妬しぃな性格。矛盾している。

 

義母役と旦那役、親子には見えないし余所余所しい。この家族自体が息が合っているようには見えない。家族ってたとえ演技だとしても「雰囲気」が絶対に必要になると私は思っているので、前半部分は偽装家族のようで気持ち悪さが勝ってしまった。

 

 

中盤以降に、メインが交代し、広瀬すず・森七菜・福山雅治・回想シーンとなると、それまでの映画の雰囲気がガラッと変わった。

各50点満点だとして、前半20点、後半45点となるような極端に良くなった。

 

 

・・・色々と書きましたm(_ _)m

 

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [13]点

構成 [15]点

展開 [12]点

完成度[13]点

 

 

TOTAL[67]点

 

 

 

 

______

 

 

 

 

 

『シグナル100』

 

 

 

 

監督🎬

【竹葉リサ】

 

 

出演者

【橋本環奈】

【中村獅童】他

 

 

公開日

[1月24日]

 

本編

[88分]

 

 

最近、邦画の作品紹介で語ることが多くなりましたが、

 

現在は役者の世代交代の時期です。周期でいうと5年・10年で訪れます。

 

特徴としてはその時期、学園モノのドラマ・映画が多く制作されます。その中から何人かが活躍すればメッケモンです。

 

この学園モノ制作は2年ほど続きます。おそらく2022年以降は、2年前と同じで学園モノは少なくなるはずです。

 

主演男優・主演女優を先頭に置き、そこから各事務所の一押しの俳優(分かりやすくセリフ量多め)を前列に並べ、残りをオーデションで選出。

 

 

こういう学園モノをなるべく観るようにしています。あと何年かしたら「シグナル100に出てた俳優」になるでしょうから。

 

 

___

 

 

 

原作は漫画のようです。

 

 

洗脳殺人なのでR15に指定されています。

こういうサブリミナル効果を利用した洗脳は90年代に日本でも問題になりました。

 

 

物語は【中村獅童】さん演じる高校教師が受け持つクラスの生徒全員を洗脳し、自殺に追い込むという、いかにも「漫画らしい」残酷な発想です。

 

 

ある放課後。クラス全員を視聴覚室に集めて、1つの映像を鑑賞させます。

 

 

そこには悪魔系のビジュアル系バンドが制作しそうなグロテスクなカットが何シーンも編集されている映像で、それはこの担任が仕掛けた集団催眠でした。

 

 

この映像を見たことによって、催眠状態・洗脳状態に陥った生徒たちは、以後、あらかじめ取り決めていた「100の行為」を行った時点で自殺を図る仕組みになっています。1度、自殺を図ったら、誰が止めに入ったとしても絶対に死にます。

 

 

この展開はジャンルは違いますが『リング』と全く同じですね。ビデオを観たら無条件で死と隣り合わせになるのですから。

 

 

100の信号(シグナル100)は、日常の些細な行為で発動してしまいます。

携帯電話をかけるとか、校門から出る、泣く、喧嘩する、などがドクロスイッチ。

 

 

助けてと携帯電話で助けを求めたら、逃げようと校門を出たら、怖かったり友達が死んで泣いたら、言い合いになったら等・・その時点で自制が効かなくなり、自殺をします。死に方は飛び降りたり、頭を壁に叩きつけたり、文房具で自らを刺したり様々です。

 

 

主人公は大ブレイク中の【橋本環奈】さんが演じます。

 

 

「橋本環奈さんは主人公(主役)だし死ぬことはないんだろうなぁ」と思いながら、この自殺の演出映像だけに特化させたような映画を観ていました。

 

 

 

 

 

『今日から俺は』の名コンビ。元乃木坂46の【若月佑美】さんが引き続き親友役。

 

 

若チュキは映画開始の早い段階で自殺をしてしまいます。私としては「視ていたい女優」が1人いなくなったので寂しい気持ち。

 

 

この映画の出演者の顔ぶれを最初に観た時に、期待したのは上の若チュキと、注目しているアミューズ女優【恒松祐里】さんの2人。恒松祐里さんはブレイク間近なので、作中もメインシーンが用意されていました。

 

 

恒松祐里の今作の演技について1つ苦言を呈します。彼女の役は気管支喘息を持った女子高生で、吸入器を常備しています。ミステリーやホラー映画で喘息のキャラクターは時々見かけますが、恒松さんの演技は酷かったですね。正直観ていてイラっとしましたもん(^_^;)実際に小児病棟や呼吸器内科を訪れて役作りするとか、極論・・私に聞くとか、して欲しいです。

 

 

女優以外には男優の生徒たちが、なんなら男優のほうが熱演していましたが、正直あまり印象に残りませんでした。

 

 

私の学生時代はやはり『バトルロワイアル』で今作と似たようなシーンが沢山ありますので、バトロワだったら最強の敵・安藤政信さんvs塚本高史のバトルシーンみたいな感じかな。漫画原作→映画化=高校生同士の殺し合いアクションは大体先駆作品の似たり寄ったり。

 

 

1人また1人とクラスメイトが死んでいく。

「泣くこと」はシグナルなので誰も泣きませんが、集団生活をすると必ず出てくる策士が登場。

もともとクラスでも孤立をしていた自殺志願者なので怖いものはなく、冒頭も屋上から指鉄砲でクラスメイトを妄想殺害している闇多めのキャラクター。

 

 

彼は集団催眠を利用して絶対優位に立つ王様になります。担任は最期に1人になれば生き残れると言い渡し自殺しましたが、それだけではなく必ずヒントがある筈だと、図書室にて今回の集団催眠の全容が書かれた本を見つけました。学校の図書室にこんな黒魔術的な著書があるわけがありませんから、きっと担任が愛読書を図書室に置いておいたのでしょう。

 

 

本の中には催眠をかけた場合は、やはり最後の1人になると生存できるという情報と、催眠が発動してしまう50の事項が記されていました。クラスに戻った彼はその情報を全て教えずに、自分だけが知り得た自殺発動事項を誘導し、クラスメイトを1人1人殺していくのです。

 

 

あいつはおかしい。そうなれば今度は仲間割れや派閥作りです。純粋にチームプレイを大事にする仲間思いの奴等は犠牲になりやすい。正直者が馬鹿を見る。

 

 

そうこうして全ての項目が出揃った100の禁止事項。残りの50個は展開の中で探し出します。

黒板に書いて各自が禁止事項を行わないように気をつけますが、やはり犠牲者が次々と。

 

 

最後の1人になれば助かる模様。果たして誰が生き残るのか?

 

 

____

 

 

 

橋本環奈さんの映画初主演作『セーラー服と機関銃』を2016年に映画評論で書いたことを昨日のことのように覚えています。

 

 

今ではバラエティも出来るコメディエンヌ女優として大車輪の活躍を見せています。

 

 

映画初出演となった是枝監督の2011年公開『奇跡』も当時ここで書いていますので、そう考えると彼女が小学生の頃から・・感慨深い。

 

 

「女子高生のカリスマ」などとも言われていますので、私が観た平日の夕方も、女子高生の観客が5割くらい入っていました。

 

 

個人的に思うのは・・ファンの人には申し訳ありませんが、もうそろそろ制服姿がキツくなってきたかなと、アゴ・クビ周りのお肉がつきすぎかなって。こういう学園モノは男子も一緒に撮影しますから、その場合は上アングルで背の低い女性は特に可愛らしく映ります。逆にピンのシーンは身長の問題でカメラマンは低い体勢で撮影となり見上げるように撮ります。そうすると首回りのお肉が気になってしまうんです(^_^;)

 

 

お酒が大好きで若いのに酒豪みたいだという噂をよく耳にします。そういうプライベートのエピソードを聞くと、どんどん未成年の役柄のイメージがキツくなってくるように思えます。

 

 

女優としては器用なタイプではないので、表現力の高さと、一番は癒しキャラを求められていると思います。

 

 

どの作品も驚く時や叫く時は、首をしゃくって鼻の穴を広げるように演じるので、どんなジャンルでも同じパターンは見飽きてしまう。このままだとピークが来てしまいそうですから、そろそろもう1つステージが上の演技を磨いて欲しいです。

 

 

内容よりもクオリティー重視。ラストシーンは必要なのかな?

 

 

映画が終わり、席を立ち、自分の前を歩いていた女子高生達が「結局どうなったの?」と頭にハテナマークを浮かべながら言い合っていたのが、作品よりも印象に残っています(^◇^;)

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [13]点

構成 [13]点

展開 [12]点

完成度[12]点

 

 

TOTAL[63]点

 

 
 
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早いもので、1月に公開された日本映画が、各シネコンで既に上映終了となっている模様です。

 

 

次回は「2月期」のTHE映画評論を予定していますが、なるべく3月1日に載せられるように私自身も時間を作りたいと思っています。好きな映画に出会ってくださいね。

 

 

 

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【mAb】

 

 


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