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THE映画評論『2月公開5作品:後期』

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シリーズPART2

『スマホを落としただけなのに』

 

 

 

 

監督🎬

【中田秀夫】

 

 

出演者

【千葉雄大】【成田凌】【井浦新】 【鈴木拡樹】

【白石麻衣(乃木坂46)】

【音尾琢真】【高橋ユウ】【飯尾和樹(ずん)】【平子祐希(アルコ&ピース)】他

 

 

本編[118]分

公開日[2月21日]

 

 

 

サイコパス系犯罪映画が近年の日本で増えていますが、基本は1話完結。

今作品のように捕まえた犯人が脱獄するサスペンスアクションは、続編だから描けるネクストステージですし、いよいよ製作するようになったんだなぁ・・とハリウッド映画好きの自分としては日本映画に対して感慨深く思います。

 

 

ただ天才殺人鬼の脱獄展開は小説や漫画ではたくさん描かれていても、映画としてはまだまだハリウッドの真似事に感じます。

 

 

今作品にはまだ「手をつけた感」があるので、こうした作風が増えていって今後「経験を積んだジャンル」となれば、日本の映画シーンの未来は明るいかもしれないなと思った如月の月夜の晩でした。

 

 

続編は名作『羊たちの沈黙』をモチーフにしたような作り方で、超難事件を前に特例で天才犯罪者に協力(助言)を求める警察や前作で犯人を逮捕した主人公の刑事の心理戦に発展していました。

 

 

 

 

浦井が捕まった後、新たに見つかった白骨化した若い女性の遺体。

 

浦井の死体遺棄現場から程近い山中で見つかったことから、警察は同一人物の犯行と考える。

 

しかし、その遺体は浦井が愛した「黒髪でロング」(母親の面影)ではなかった。

 

新・連続殺人鬼を警察は未だ特定できずに、ネットを介し更なる殺人が起きる現状に、捜査本部の空気は殺伐としている状況だ。

 

 

___

 

 

主人公の刑事・加賀谷は、前作で命を救った「麻美&誠」の結婚式に、恋人の美乃里を連れて参列する。

 

 

 

 

加賀谷は叩き上げではなくIT会社から刑事に転職した経歴。

恋人の美乃里は縁あって、加賀谷が以前立ち上げたIT会社に現在は勤務している。

 

 

式の帰り、将来の話を露骨に避け続ける加賀谷と口論になった美乃里は別れを切り出し立ち去る。

幸せな結婚式の流れには乗れなかったというわけだ(^_^;)

 

 

傷心の美乃里は友人に愚痴を聞いてもらうためにカフェへ入店。

店のFree Wi-Fiを見つけ繋ぐ。しかしそれはダミー。その瞬間、近くに座っていた「謎の男」に携帯の情報を全て盗まれてしまう。

美乃里の個人情報は全てその謎の男に開示されてしまう。以後、スマホのカメラを通し着替えなども覗き見される。

 

 

新たに始まった連続殺人事件の手がかりを得るべく、警視庁の管理官は断腸の思いで、大量殺人罪で服役中の浦井に頼ることにする。その役目は逮捕した加賀谷が担うことに。

 

 

獄中で再会した2人。「子供時代の境遇」が似ている加賀谷は、彼のトラウマを想起させる心理口撃に度々錯乱状態になる。

 

 

 

 

 

連続殺人鬼である浦井と、脱サラ刑事の加賀谷には、母親からの育児放棄(ネグレクト)を受けて育った共通点がある。

 

 

そのため浦井は加賀谷に過去を思い出させ刺激をするのが恒例的。

洗脳しやすい刑事の反応を見て面白がっているようにも・共感しているようにも視える。

 

 

浦井は捜査に協力する条件にパソコンと甘菓子を要求。警視庁は特例でそれを飲むことにする。

 

厳重なセキュリティーを施した檻の中で、浦井は犯人「M」(えむ)の存在を話し始める。

 

最恐のブラックハッカーのMは、浦井に裏社会のノウハウを教えてくれた恩師(死)である。

 

Mの犯行で間違いない。

 

 

捜査が進む中、浦井の助言により、あえて捜査員の情報を流しMから接触してきたところを捕まえる作戦に出る。

 

そしてすれ違い中の恋人・美乃里が次の標的にされてしまう。

 

 

警視庁はMを捕まえるために一般市民である美乃里に協力を頼む。

あまりに危険なこの捜査協力を必死に止める加賀谷だが、その声は届かない。

彼女は協力することで彼を男にしようとしているのだ。

 

 

美乃里には24h護衛がつく。そしてMが接触してくるタイミングを伺うが・・・。

 

 

___

 

 

 

続編の大ボスのネーミングが「M」と聞いた時は、鑑賞中に「古いな」と思ってしまった。

 

 

英語圏のクライム映画だったら違和感がないですが、日本映画で日本人の発音で聞く「エム」の犯人ネームはとてもダサく感じます。今の時代に犯人ネームがアルファベット1文字なんて。。

 

 

それならバーボンとかウォッカやジンなどの犯人ネームの方がハードボイルド的でカッコいいと思うんですけどね。(別作品のコードネームΣ(・□・;))

 

 

前作【成田凌】君が演じた犯人は、公開中は勿論ネタバレになるので紹介されなかったように思いますが、続編になるとオープンですね。続編公開前にテレビで放送するなど犯人認知の意識付けが狙いかな?と思いました。

 

 

今作はチラシなどで既に初登場のキャストが紹介されていましたので、【井浦新】さんが何らかの「謎の男」の立ち位置でキーパーソンとなるのだと把握した上で鑑賞しましたが、鑑賞を終え、今ひとつ井浦さんが演じた役柄の「総設定」がよく分かりませんでした。個人的にはヒネリは要らないかな。

 

 

今作品の最大の売りはヒロインが乃木坂46の【白石麻衣】ということで、それ以外はないと思います。

白石はレコード大賞受賞曲の通りインフルエンサーで、「まいやん」という愛称が映画館などでよく聞こえて来ました。

少々突っかかるようなセリフの言い回しをしますが、感情表現も素直ですし表情も豊かで演技力もあります。強く見えて本当はとても弱い君に幸あれ。

 

 

他に、この映画で気になったのは芸人の方が数名出演されていること。個人的には少し多すぎですね。

 

 

特に【アキラ100%】さんの芸風である脱ぎ芸が、このクライムサスペンスの作風に必要なのかな?と、一場面の出演ではありますが真面目なシーンなぶん、起用の狙いに首をひねってしまいました。

 

 

一番残念だったのが魅力の欠如です。

前作にあった「スマホを落とした時に悪用される」という恐怖が今作品では薄くなっていたこと。

 

今作品はターゲットを絞って悪用されるので、想定演出の映画脚本になっていて非現実的なんですよね。

 

 

自分の身にも起きるかもしれないと言う身近な恐怖が、この映画の最大の魅力だったはず。

どうしてヒット映画のシリーズ二作目って、内々の相関図だけで構成するのでしょうかね_:(´ཀ`」 ∠):

 

 

前作は2度劇場に足を運びました。読者の方にはお馴染みかと思いますが、自分が公開中の映画を2度見ることは珍しいことです。

 

 

中田秀夫監督は平成のジャパニーズホラー界の中心だったヒットメーカーですが、続編になるとアクション要素の我を強める傾向ですので、シリーズ3は原点回帰で落ち着いた深層サスペンスを期待したいと願います。(次作海外ロケなら更にアクション性を強めると思いますが(^◇^;))

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [13]点

完成度[13]点

 

 

[66]点

 

 

 

_____________

 

 

 

『チャーリーズ・エンジェル』

 

 

 

 

監督🎬と出演

【エリザベス・バンクス】

 

 

出演者

【クリステン・スチュワート】

【ナオミ・スコット】【エラ・バリンスカ】

【パトリック・スチュワート】【ジャイモン・フンスー】【サム・フランクリン】

 

 

本編[118]分

公開日[2月21日]

 

 

 

このたびの『チャーリーズ・エンジェル』は2000年に公開された大ヒットシリーズの流れを汲んだ続編(シリーズ3)のようです。

 

 

ようです、と書いたのは、続編という感触が私的にはなかったからです。

 

 

当時も映画館で鑑賞しました。

 

チャーリーズEは[1976ー1981年]にアメリカで放送された人気のTVドラマ。

そのことについてもミレニアム(2000年)公開時に勉強して知りました。

 

 

当時は20代だった【キャメロン・ディアス】がとにかく人気絶頂の時でしたし、日本の映画館は洋画中心でした。

そこに『E.T』で世界中を虜にした【ドリュー・バリモア】がいて、3人の中ではネームバリュー的に物足りなさはありましたが、当時のアメリカ映画では異色だった白人映画にアジア系女優【ルーシー・リュー】のトリオです。

 

 

リューさんはアジア系ハリウッド俳優のパイオニアみたいな人物ですね。

 

さすがに20年の時が流れた今、3人の現役出演はないので少々残念です。(ドリュー・バリモアは満45歳)

 

 

女性が活躍する社会への足がかりとして、それを投射する先進国であるアメリカ・ハリウッドが辿り着いた描写は・・男を殴って、蹴る(笑)

 

 

そんな過去のシリーズを見ていた方にとっては、今回のエンジェルを演じる3名の女優が、前作に比べると物足りないかもしれません。

 

 

 

 

 

センターに【クリステン・スチュアート】[29]。(写真右)役名はサビーナ。

彼女も17歳の時に『トワイライト』で一世を風靡した女優ですし、mAbお薦め『パニックルーム』などお子役から活躍してきた人物。キャリアも実力も十分。

 

 

チャーリーズの代名詞であるセクシーでカッコいい、その前者「セクシー」というイメージが彼女には弱いので、男勝りな喧嘩番長という感じの立ち回りで「らしさ」を出していました。カムバック!ベラΣ(・□・;)

 

 

前作はアジア系のルーシー・リューが出演したということで、今回はその枠に黒人を起用したんだと勝手に思っています。

ジェーン役には【エラ・バリンスカ】[23]。(写真中央)白人の父と黒人の母という組み合わせ。将来的に「アメリカの白人」は交配上いなくなるとされるので、アフリカ系ではなく薄めの黒人系の肌の色になって行くのでしょうね。

 

 

日本のウィキペディアにはまだページがない様なので英語版のWikipediaで情報を仕入れました→ [Ella-Balinska]

 

 

この女優は顔立ちがキレイでカッコよくてキュートさもある。おそらく映画を観た女性客の中では彼女が一番人気なんだろうな。三拍子揃ってる!!顔立ち的には、安室奈美恵さんと日向坂46に濱岸ひよりさんを足して2で割った感じがします。

 

 

上の二名は映画の立ち上がりからエンジェルとして諜報活動を行なっています。

そこに新メンバーとして加入するのがエレーナ。

 

 

主役という立ち位置。【ナオミ・スコット】[26](写真左)。

昨年の『アラジン』でジャスミン役に抜擢された今後が楽しみな英国女優さん。(バリンスカと同じで黒人と白人のハーフ。アフリカ系インド移民)

 

 

 

 

アラジンの時は気品の高いお姫様役なので、多少のお転婆さも微笑ましく感じましたが、こうしてハリウッド映画の都市型アクションで彼女を見ると、正直演技の幅も特に広くないので、ありふれた女優さんに映って観えました。

 

 

今回のエンジェル3は格好良さの方が全面に出ている感じがして、「可憐さ」とか「か弱さ」があまりないように思えました(^_^;)そう考えればセクシーシンボルだったキャメロン・ディアスの存在感って凄かったんだなぁ。。心の声。

 

 

天才科学者エレーナは新開発のエネルギー装置に不具合を見つける。公表したいと上司に訴えるが答えはNO!

そこで探偵社(タウンゼント社)に依頼し、不正の証拠を渡そうとカフェで待ち合わせる。そこに暗殺者が現れる。

 

 

エレーナを守る探偵社・・チャーリーズ・エンジェルたち(サビーナ&ジェーン)。

この戦いでボスレー(チャーリーズの各リーダーの呼び名(最高役職))を亡くし、エレーナを仲間に加えた3人となったトリオは新しいボスレーの下でこの任務を続けることになる。

 

 

・・・という諜報系のアクション映画では何度も描かれてきた内容と展開で真新しさは特にないのですが、「完璧なアクション」は求めていないし、そもそものこの映画のコンセプトに←左はないと思うので、いい意味で「描き尽くされたアクション」を演出しているのでしょう。ハリウッドの花形はアクションですから、それを楽しんで観ることです。

 

 

自分の中で1つ発見だったのが。

上でも見た目がキュートだと書いたエラ・バリンスカが演じるジェーンのように、身長が高いモデル体型の方がアクションを演じると、余分な脂肪がないぶんキレがいいし、かなりの映像映えをします。

 

 

ナオミ・スコットの様に訓練をしていない一般人(科学者)役の女性が、急にマフィア相手にアクションをするのも面白くはなりますが、エラ・バリンスカのような見た目も体型も本格的な女性のアクションは面白さよりも見応えがあります。

 

 

個人的な見方ですが、「女性のアクション女優」は「背が低い」(〜160弱)か「背が高い」(170〜)のどちらかがいいです。その中間である160弱〜169弱の女性ですと、敵役の男性と並んだ時にあまり目立たないんですよね。あくまでアクション映画の場合になりますが、背が高いか低いかのどちらか極端な方が私は魅力的に感じます。(日本だと『あずみ』の上戸彩や現在上演中の今泉佑唯さんが理想的。)

 

 

指摘点は良い意味でも悪い意味でも本格的ではないこと。少し前の時代のドタバタ劇みたいな演出は健在ですが、その中で映像だけが進化しているアンバランスさがあるぶん、何だかとても忙しなく感じました。

 

 

下の写真を見て分かるように、どこを切り取っても素晴らしい、ではなく、まるで失敗写真のように、どこか気が抜けてる感じが終始するんですよね。

 

 

 

 

なのでこの雰囲気を楽しめたもの勝ちです。

 

 

話自体は世に出回ったら最悪なことになるアイテムを巡り、正義と悪に分けて繰り広げるアクション映画の王道ストーリーテラーなので、話の筋だけ覚えて鑑賞していれば難しい内容ではないと思います。

 

 

監督兼出演を務める【エリザベス・バンクス】[46]も胡散臭いくて良かったです。

 

 

 

今回『ピッチ・パーフェクト』以来2度目の映画監督兼出演。

チャーリーズの組織にはトップエージェントの役職がボスレーとなり、各ボスレーたちが其々に女の子達を従えて任務を行います。

 

 

この映画では3名のボスレーが登場し、監督のバンクスもボスレー役に参加。

冒頭に引退するボスレーにはX-MENのプロフェッサー役で有名な【パトリック・スチュワート】[79]が出演。安定のツルピカ頭。この年齢でこんなキビキビ動くんですから超人ですよ。

 

 

前作の2から続編の3までの間隔が約20年ということで、生まれた子供が成人して大人になるまでの間の空き方(^◇^;)

 

その背景には深刻なハリウッドのオリジナル作品の不作があると思いますが、個人としては正統な続編でなはなくリメイク作品として発表して欲しかったです。

 

 

作品は「大味」ですが、シリーズ4がもし製作されるならば、トリオの関係性も馴染んでくるのでしょうから、そこに期待したいです。こういう大味の映画だからこそ定期的なシリーズ化が必要だと思います。

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [13]点

完成度[13]点

 

[67]点

 

 

 

_____________

 

 

 

 

 

『Red』

 

 

 

監督🎬

【三島有紀子】

 

 

出演者

【夏帆】【妻夫木聡】

【間宮祥太朗】【柄本佑】他

 

 

本編[123]分

公開日[2月21日]

 

 

個人的にはもう少し濡れ場が多いと予想して鑑賞に臨んだので、多少の拍子抜け感はありました。

 

原作は官能小説のようで、読んだことはありませんが、女性の観客が多い様にイメージしたのでレディースDAYに鑑賞しました。

 

 

官能映画=観客は男性?という古い感覚を持っています。

不倫映画=観客は一変し女性が多いイメージを持ちます。

 

 

レディースDAYを選んだのは、純粋に周りにおじさんがいるより、マダムやお姉様の中で鑑賞した方が自分的には作品に集中できるかなと思ったからです。

 

 

その選択は正解でした。

平日の16時の回を観たので、マダムもシニアマダムも適度に多かったです。

しかし鑑賞中にビニール袋のガサガサ音が聞こえてくるのが盲点でしたが(^◇^;)

 

 

___

 

 

 

【夏帆】さん演じる専業主婦が主人公となる映画で、家族構成は幼稚園児の一人娘と優しい夫、上品で優しい義母だけれど「THE・お姑さん」。閑静な住宅地の一戸建てに暮らすリッチマン。

 

 

義父は海外を飛び回るビジネスマン。正月などに戻って大集合。上流階級の家に嫁いだ主人公は、(劇中に紹介がないので自分の判断ですが)水商売風の母子家庭で育ったのだろう。母親役は【余貴美子】さん。この手の役柄のスペシャリスト。

 

 

夫役は【間宮祥太朗】さん。マザコン気質のお坊ちゃん。後に妻に不倫され泣き言を言う様になる。おそらくドM。

 

 

ある日。夫の取引先のパーティーに同席した際に、会場に来ていた元彼と再会する。

 

【妻夫木聡】さん演じる元彼と再会後は不倫に走り愛の逃避行へ。。。この下にもう少し詳しく書きます。

 

 

___

 

 

 

センテンススプリング!!

 

 

(死語Σ(・□・;))

 

 

不倫は絶対悪!だと騒ぎ立てるこのご時世・社会的風潮にありながら、女性は昔から不倫物のドラマや映画が大好物という矛盾(^◇^;)自分がされるのは嫌だけど、人の噂話や芸能人のスキャンダルがお好き。

 

 

私がこの作品から受けた印象を1行で語るなら、「幼稚園児の一人娘を持つ母親の不倫劇」です。

映画が描いていることとは違う感情論ですけどね。

 

 

できちゃった婚か寿退社か?は説明がないので分からないが、仕事を辞めて家庭に入る。

裕福な家に嫁いで、二世帯同居。肩はコルだろうけど色々と恵まれた環境だ。

 

 

情熱的ではないが優しいマザコンの夫。長男の嫁ということでチクリはあるけれど面倒見のいい義母。何不自由ない生活、家庭環境も人付き合いも上手く付き合っていけば何の問題もない様に思える。

 

 

そんな中で再会するのが唯一愛した男性・鞍田。年齢は一回りは離れているだろう。交際していた当時は彼には妻がいて不倫関係だった。

 

 

鞍田と再会したパーティ会場。彼の姿を追いかけ空き部屋で密会。再会の言葉より先に濃厚接触。

結婚しているとか、子供がいるとか、よぎるもの等いっさい無く、本能のまま抱き合っていた。

 

 

現在の鞍田は独身。当時とは立場が逆転し今度は自分が既婚者の不倫関係となる。

 

 

20代で子供を産んだ塔子はまだ若い。そして性欲の強い女性だと映画を観ていて思った。夫の欲を満たすことはあるが、自分が愛でられる事はない。だから男から見ると物欲しそうにしている様に見える。この厭らしい表情をする夏帆さんを視て凄いと思った。

 

 

空間デザイン関係の職種である彼女は、鞍田が現在勤める会社に面接に行き、仕事復帰する。近年需要の高い空間デザイナーは育児休暇をとった女性も仕事復帰しやすい。

 

 

職場復帰の相談は夫と2人の食事(結婚記念日)にて。夫はもっと嫌がる(理解しない)と思いましたがOKは早いです。

 

彼女の意思は固いので夫に反対されても食い下がるだろうけど、そういう描写は表情のみで少なく、肩透かし感がありました。

 

それよりもこのシーンで、すき焼きに使っていた卵の黄身が濃厚で、まるで政治家の料亭の食事みたい。

あゝ本当にお坊ちゃんなんだなと思えたシーンでもあります。

 

 

仕事復帰をしてからは二足の草鞋を履くが、徐々に仕事優先になって行く。

 

家事・育児・そして仕事。休む暇などないが彼女は充実している。そう思った。

 

 

しかし仕事優先になってからは、映画に娘が登場する機会が減った。

 

 

彼女は優秀で、職場の雰囲気にも馴染むし、積極的に鞍田(妻夫木)の仕事のパートナーにも立候補する。これにより一緒に居られる時間が増えた。

 

 

不倫関係にもどっぷり浸かっていき、今日は遅くなる・今日は帰れないという内容の電話を旦那にしたり、家庭を気にかけたりはするが、段々と後戻りの出来ない自分の優先順位が変わっていく。

 

 

 

 

 

そして鞍田の秘密を知った塔子は彼と共に、北へ北へ向かった。

 

 

(なぜ最後が『とんぼ』の歌詞Σ(・□・;))

 

 

観られる人や性別や年齢によって気持ちが分かれると思うのですが、展開が進むごとに主人公の塔子が「母親」ではなく「女」を選んでいくので、私としては無責任にも感じてしまいますし、育児放棄とも捉えられます。

 

この映画の幼稚園児の娘さん・・大好きなママが、駆け落ちして行くのを涙ポロポロ流して「行かないで」って言ってて・・何だか観ているこちらも辛かったな。罪な女だよ塔子は。

 

 

残業や飲み会が増えて行くと、娘の面倒は義母がみることになりますが、個人的には義母さんのチクチクももっと描写で欲しかったです。この義母さんも最初は愛する息子の嫁としてチクチク意識していましたが、途中から存在感が無くなりますので残念です。もっと知りたいこと・描いてほしいことも多くの残りました。

 

 

「一番好きな人とは結ばれない運命。」

そんな詩や表現がありますけれど、妥協とはちょっと違うけど二番目に好きな人と一緒になりますね。

 

 

その運命に逆らうと、残された者たちは不幸せになる。この映画なら嫁ぎ先の家族や腹を痛めて産んだ娘ですね。

 

ごめんね・ごめんなさいと謝罪しますけど、何に対してごめんなさいと言っているのだろうか?

 

 

そんな一番好きな人と覚悟を決めて愛の逃避行をしているのに、笑顔がないのが印象的です。

 

 

レディースDAYに鑑賞したこともあり、ラストシーンあたりで鼻をすする女性客がいらっしゃいました。

 

花粉症なのか、涙なのか、この時期は鼻をすすっている人が多いので分かりづらいですね。

 

 

不倫ドラマが好きな女性の方にはオススメしますが、お姑さんとして観てしまう方にはオススメしません(^◇^;)

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [14]点

完成度[13]点

 

[67]点

 

 

 

_____________

 

 

 

 

アメリカ&デンマーク映画

『ミッドサマー』

 

 

 

 

 

 

監督🎬

【アリ・アスター】

 

 

出演者

【フローレンス・ピュー】

 

 

本編[148]分

公開日[2月21日]

 

 

 

この映画のどこを切り取って紹介しようかと悩むことが、正直一番の悩みになる。

 

 

「全てが伏線」という作品の紹介を予告でしていた。なので多くは語りません。

 

 

昔々、シネコン時代になる前の銀座(・有楽町・日比谷・東銀座)には沢山の映画館が点在していました。

 

 

ヨーロッパの映画はどこどこの劇場、女性が好きそうな映画はどこどこの劇場、といった具合で、各劇場にはカラーがありました。

ちなみに私でいうと恋愛映画を多く上映していた日比谷の宝塚劇場の向かいにあったみゆき座が大好きでした。(現在はスカラ座の小劇場(元スカラ座2)に名称が移行)

 

 

今ではシネコンの時代なので、そんな劇場巡りの楽しみは残念ながら無くなりましたが、この映画からはそうしたミニシアターの匂いがします。

 

 

TOHOのアプリを開くとトップ画に表示される作品となり、公開後の反響から、現在「3時間を超えるディレクターズカット版」も公開されています。(2000円の特別料金)個人的には観たい気持ちもあるし、もう観たくない気持ちもある半々です(^_^;)

 

 

驚いたのが観客の半数以上が女性なんですよね。自分が観た都心の劇場も公開2週目の夕方で観客の半数以上が女性(ソロ客)でした。

 

 

アメリカの大学生が旅行を兼ねた取材旅行に出かけます。行き先はメンバーの1人の故郷であるスウェーデンの田舎町。その村で90年に1度の夏至の祭りが開催されるそう。

 

 

外国人(部外者)を招いてもいいとのことなので、故郷から各国に留学した学生達が、その国で知り合った若者を数人連れて帰郷してきます。まぁ今の書き方でなんとなく案じが出来るとは思いますが(^_^;)

 

 

夏至祭の間は集団行動が基本です。皆で寝食を共にする。

 

 

外国人たちは郷に入った郷に従え。という言葉のように、村の集団ルールを見よう見真似で付いていきます。

 

 

私も東京の観光地で生まれ育っていますので、外国人旅行者のこの表情を目撃することが多いです。

例えば、飲食店でご飯を食べていて、うまく使えないと隣の席の日本人の「箸の使い方」からヒントを探って真似していたり、異国の地で現地の人の動作を真似る「郷」の様子は共感できるものがありました。

 

 

あとは、これこそアメリカ人だと思いましたが、行く国の言葉を予習しない!

 

 

この映画は言葉も通じない文化も宗教も違う国を訪れた外国人がとんでもない目に巻き込まれる、といった内容の作風なのですが、その夏至祭の情報が表(世)に出ていないことに対しても、あまりに無頓着な学生たち。

 

 

やはり言葉の壁は相当大きいと思いました。スウェーデンの人って背が高くて、白人の中でも色が白くて、目が青い。変な表現ですけど「魂が入っている器(からだ)」にも想像できます。

 

 

主人公の紅一点の女性は彼氏と彼氏の仲間たちと渡瑞しますが、最近精神不安定な妹が両親を道連れに自殺し、大変なショックを受けている状態です。その精神状態で村に到着早々、幻覚剤のようなドラックで歪んでいきます。

 

 

そして何かがおかしいと気づいた頃には、時すでに遅し。儀式の生贄となるのです。

 

 

___

 

 

 

R15指定の映画ですが、大中小で言うならR15指定の映画の中でも「大」の振り分けです。

 

 

そもそもR指定は何のために設けているの?を改めて考えてほしいのですが、R15で考えると義務教育の子供が視聴することを禁止する区分です。私は大人が子供を守るために設けた規定だと思っています。

 

 

作中には人食い、撲殺描写などがあり、それはスプラッター映画のR15だと思えば気になりませんが、問題なのは中盤以降の性交渉のシーンと新興宗教的な演出。男性の性器にはボカシが入っていましたが、女性(熟年が多い)にはボカシがありません。

 

 

ヨーロッパの映画を見ていると、全裸カットがある時がありますが、芸術とはいえ見方によってはアダルトビデオですからね。日本だと性描写が強い作品の場合は、R18にするべきでしょう。

 

 

化学が登場したのは最近の話です。この映画は人類の文明を描いた作品だと思います。

まだ正式な言葉もなかった頃に生贄だとか血や肉を捧げた・・古い古い、悠久の時代を描いたようでした。

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [15]点

構成 [14]点

展開 [15]点

完成度[14]点

 

[73]点

 

 

 

_____________

 

 

 

『影裏』

 

 

 

 

監督🎬

【大友啓史】

 

 

出演者

【綾野剛】【松田龍平】

【筒井真理子】【中村倫也】【安田顕】【國村隼人】

 

 

本編[134]分

公開日[2月14日]

 

 

残り2000文字しか残っていないので、短めで紹介いたします。

 

 

芥川賞を受賞した原作小説は読んだことがないが、主演の2人を想像した場合に私が想像するのは「ゲイの映画」に辿り着く。その予想は・・まぁ大体は正解していた。

 

 

春先の日本映画は東日本大震災を描いたものが数作品ある。

今作もそうだし、現在公開中の『Fukushima50』。公開1週目の『弥生、三月』も被災した主人公をもとに構成された内容だった。

 

 

冒頭。布団の上で目を覚ました人物を足の先から舐めるようなカメラワーク。

 

白くて細い生足。セクシーだと思った。

 

普通の映画だと一夜を共にした行きずりの女性などのカットになるが、すぐに分かる、あ、この足・・男性なんだ(^◇^;)

 

パンツ一丁でベランダに出て植木鉢に水をやる。

 

 

医薬品を扱う会社に勤めている今野は、出向で子会社がある岩手県で生活を始める。独身。優しい性格だが内向的。

俳優は【綾野剛】。

 

ある日。会社の玄関口で喫煙しているバイトの日浅を注意する。独身。社交的だが、身(気持ち)が入ったタイプではない。

俳優は【松田龍平】。髪を肩まで伸ばしていて、龍平も色白なので、こちらも女の人かと思った。

 

 

その後、日浅は今野を気にかけ、飲みに誘ったり釣りを教えたり親友になる。

30代になり出来た親友に今野の日々は充実感を覚える。確かに社会人になってからは仕事仲間以外で同年代の友人って出来にくいですよね。いいところを発想にした脚本だなと思います。

 

 

そんな中で突然仕事を辞めた日浅は音信不通に。今野は彼に教わった川釣りにハマり、趣味や生き甲斐にしていく。

ナヨナヨしかった内向的な都会の男性が田舎の自然の環境でサバイバルしていく変化も多少あります。

 

居なくなるも突然だが現れるも突然。久しぶりに現れた日浅は就職し訪問販売の営業マンに。

また以前のような関係に戻るが、以前と違うのは今野は自分の足で歩いていること。

 

 

そんな中で運命の3月11日を迎える。

 

 

この作品は描写の根底を探れば根は深いと思います。

ただ陰気さが強く、震災後に暗闇で今野に声をかけてくる【筒井真理子】さん演じる会社のパート女性の間の取り方だったり、話の内容に観ているこちらも気鬱な気分になりました。

 

 

松田龍平の口調や淡白な表情は、どの作品でも同じような空気感を作るので安定していますし、綾野剛君の柔らかな口調は昨年の『楽園』で演じた役をさらに柔らかくした感じで、このコンビの相性の良さを窺えます。

 

 

監督は『るろうに剣心』の大友啓史さん。作品の舞台と同じ岩手県出身の監督さん。

 

大友組のスタッフの技術は一流で、映像も綺麗だし魅せ方も上手い。特に大友作品で私が好きなのは、太陽の日が部屋などに差す自然光の映像で、見ていて飽きないです。本当に自然の魅せ方が上手な監督。

 

 

 

 

私にもいますが、同性の親友って本当に心を許せる存在で、いつまでも馬鹿やっていたいんですよね。

 

 

それが

 

 

 

 

こうなるので、「面影」を表す切なさや儚さが銀幕の中から伝わってきました。

 

 

日浅が震災後に消息不明となり、今野は彼の父親や兄の元を訪ねるのですが、行方不明届は役場に出さないと父親は言います。

 

その理由も衝撃的でした。

 

國村隼人さん演じる父親、安田顕さん演じる兄の言葉を通して、この映画に根深く描かれた「曰く」を考える後半で点数がぐっと上がりました。実に映像向きな内容なので今後も同作を映像化や舞台化して欲しいです。

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [15]点

完成度[13]点

 

[69]点

 

 

 

_____________

 

 

 

お読み頂きまして有難うございます。

 

 

では次回THE映画評論『3月○作品』で。

 

 

I Wish for Peace。

 

 

 

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【mAb】

 

 

 

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