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THE映画評論『Judy』

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「私だって生身の人間よ」

 

 

劇中のジュディー・ガーランドのセリフを借りれば、この顔も見えないブログという対話で自分の素顔を貴方に晒せるだろうか?

 

 

顔が見えないからいくらでも着飾れるし見栄も晴れる。性別だって変えられるだろう。ブログってそういうものだね、何を今更。

 

 

まぁそんなタイプではないので、読み手の方は画面越しに書き手の私をイメージして戴けたならば、これ幸いと。

 

 

___

 

 

 

私には理由を説明できないくらい、強烈(無性)に好きな「外国の物語」が3つあります。

 

 

よく作品を好きな人同士が「私の方が好き」「いや私の方が好きだ」「じゃあそれよりももっと好きだ!」と好きのアピールを張り合う会話がありますけど、そんな感じで張り合える作品が3つあります(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎(←この顔文字好き。ほどよくムカつくから。)

 

 

誰の特にもならない情報を今から伝えますけどね。

 

 

私が特別的に好きな作品は、

 

 

 

『ピーターパン』

 

『不思議の国のアリス』

 

そして『オズの魔法使い』です。

 

 

 

 

(時点『ジャックと豆の木』)

 

 

全てDennysで映像化された作品なので、子供からお年寄りまで「私の方が好き!」と手を挙げる可能性は高い。

 

 

(Disneyのスペル間違ってる。それデニーズΣ(・□・;))

 

 

『ピーターパン』が一番実写化は多いかな。

私の神様ロビン・ウィリアムズの『フック』が最もお薦めです。

 

 

『オズの魔法使い』は『オズ』。『不思議の国のアリス』は『アリス・イン・ワンダーランド』で実写化。

 

冒険物だったり、ファンタジーアクションの作風が好きな傾向なんだと思います。日本の昔話ではあまりこういう作風は(ファンタジー要素は)ないですね。

 

 

ちなみに5番手に好きな作品は・・・『ピノキオ』です。

でもだからと言ってDennys大好き人間ってわけでもないんですけどね。

即座に思いつく外国の物語が、アンデルセンやグリムではなくDennys。貴方はどうでしょうか?

 

 

 

(だからスペル間違ってるってΣ(・□・;))

 

 

 

『ジュディ』

 

 

 

 

 

3月7日から全国公開している作品で、主演の【レネー・ゼルウィガー】[50]が今作品の演技でアカデミー賞の主演女優賞を初受賞されました㊗️。17年前に公開された『コールドマウンテン』で助演女優賞を受賞。これで女優賞完全制覇となりました。

 

 

 

 

自分が映画館で新作映画を観始めた頃に『ブリジット・ジョーンズの日記』などで頭角を現した女優さんなので嬉しいです。

厚みのある唇を突き出して喋るプリティ系の女優さんと言うイメージがありましたが、ブリジット・・で英国人の女性を演じましたし、当時から演技派だったんですよね。

 

 

ちなみに「レニー」という名前表記で浸透しましたが、本人によって名前の表記が「レネー」に訂正されてました。しばらくの間、女優業から離れていたこともあり、ついつい当時の名残でレニー・ゼルウィガーと言ってしまいます。

 

 

では少し語ります。文量が少しになるか、多いになるのか自分でも分かりません。

 

 

 

監督🎬

【ルパート・グールド】

 

 

他キャスト

【ダーシー・ショー(回想期)】【ルーファス・シーウェル】【マイケル・ガンホン】【ファイン・ウィットロック】【ジェシー・バックリー】

 

 

 

本編[118]分

 

 

 

レネーが演じる(タイトルにもなる)『ジュディ』(・ガーランド)は、代表作『オズの魔法使い』の主演ドロシーを演じた女優です。

 

 

 

 

※ 一応の試みです。可能な方は下の『Over the Rainbow』を再生していただき、以下の文章を音読で読んでみてください。

音符に合わせて1000文字くらいを書いてみます。

 

 

 

 

 

ジュディ・ガーランドの生涯は短く、47歳で睡眠薬の過剰摂取により亡くなりました。

5度の結婚と離婚、度重なる自殺未遂、映画撮影中の度重なるトラブル(規律を守れない)など、光と陰が常にある人物です。

 

 

映画では40代半ば、最晩年のジュディ・ガーランドの生き様を、演じるレネー・ゼルウィガーによって紹介されています。

 

 

女優としての活動時期は1936年〜1963年。女優業引退後はジャズ歌手として多くのステージに立ち1969年に亡くなります。

 

 

自分が生まれる前の映画スターなので、実際に銀幕越しやテレビ越しのお姿やスキャンダルは分かりませんが、映画を観ていると・・知らないはずなのに「ジュディ・ガーランドに似ているなぁ」なんて思ってしまいました(笑)

 

 

 

 

上の比較写真でもよく判りますように、そもそもの顔の作りが似ていないように見えます。

 

 

私が観ていて気になったのは、猫背な姿勢や歩き方と口を窄めたように喋る(日本でいう梅干し口)口元と鼻の下(人中)のシワ。唇と皺がとにかく印象に残りました。

どちらも自分のイメージにある「レネーっぽく」はないので、これは再現で近づけた姿なのだろう、と想像しました。

 

 

それだけレネー・ゼルウィガーがジュディ・ガーランドの特徴を捉えているのでしょうし、体現なさっているのだと疑いもせずに悟れるのも素晴らしいです。近年のオスカーはメイキャップで限りなく本人に近づけたり、本人の特徴を掴んだ俳優が大賞を受賞する傾向ですからね。

 

 

(自分の視点では、大竹しのぶさん✖️叶姉妹のお姉さんの唇➕GACKTさんの口元=レネーのジュディ、の顔立ちの印象)

 

 

それとこの映画を見ていて気になるのは、唇と口元以外にも、オデコに刻まれた深い横ジワです。

 

 

くりーむしちゅーの上田さんもビックリするくらいの深い横皺に、ジャリ銭を数枚は挟めるんじゃないかな?と鑑賞中に想像しました。

 

 

これは再現なのか?レネー・ゼルウィガーの自前なのか? 劇中はとても顔の小じわ・大じわが気になった次第です。

 

 

__

 

 

 

前置きに書いたように、私は『オズの魔法使い』が大好きなものですから、映画の幕が上がるとドロシー役を演じた女の子が「借金まみれでアル中のオバさん」という状況に少々ショックを覚えます。

 

 

20世紀に観た作品って、昭和生まれの方には共感が多いと思いますが、

今の時代よりも作品の世界観にしっかり入れたので「俳優と役名」をセットで覚えていることがマストでした。

 

 

(オードリー・ヘプバーンなら『ローマの休日』のアン王女といった感じで。)

 

 

三度復唱となりますが、この映画は47歳の若さでこの世を去ったジュディー・ガーランドの晩年期が時代背景です。

 

 

ジュディー・ガーランドが亡くなったのが1969年の6月なので、映画はその前年が時代だと思います。

 

 

この晩年という設定は、言い方を変えれば、その人物の死ぬ間際ですので、人生を振り返る・悟るように描写されることが多いです。日本で言う走馬灯ですね。

 

 

彼女の人間性が形成された子役時代の出来事を走馬灯のように場面場面に差し込まれています。

ハリウッドのスター伝記映画には非常に多い構成ですが、劇中は主人公の情緒が安定しないことが多いので、その過去に人格形成のヒントがあると表されるので、子役時代いと現在が点と線で繋がります。人を知るなら探るなら過去を。

 

 

冒頭。

 

 

娘と息子を連れて親子興行を行うジュディー・ガーランド。長期滞在中のホテルに戻るが支配人から強制退去の謝りが。

 

 

宿泊費を滞納し続けた自分が悪いのに、現状(現実)を認めない銀幕の元スターは、少々大人気ない態度で「いいわよ、もう!」とホテルを去る。

 

 

タクシーで宿泊先を捜す。のっけから印象的なシーンだと視ます。

ステージ終わり+夜遅い。幼い長男は車内で眠っていますが、長女は色々と状況を悟れる年齢。

 

 

此の期に及んで高級ホテルを探そうとする母親に「ママ」と言う。

娘の表情で、分かったわよ。と渋々やってきたのは、元夫の自宅。

 

 

プライベートのジュディー・ガーランドは生涯で5度の結婚をしている女性ですが、劇中の二人の子供は三番目の夫であるシドニー・ラフト。ちなみに二番目の夫ヴィンセント・ミゼリの間に出来た子供は歌手でオスカー女優の【ライザ・ミネリ】です。

 

 

(ライザ・ミネリはこの作品の制作に非協力的だったとの情報です)

 

 

超売れっ子だった子役が、大人になって結婚してバツが5回も付いているなんて・・(´⊙ω⊙`)

 

 

何度も結婚を繰り返す原因も、劇中で自己分析的なセリフで語っていました。

 

 

大好きだから一緒にいたい=結婚。

なので相手の好きが見えなくなったら離婚します。忍耐は一切ないです。「1時間に1回愛してるって言ってよ」。

 

 

うわぁ・・と引いてしまいました(^_^;)

 

 

誰にも相談をしないで思い立ったら吉日。子供達の気持ちはどうなんだろう。それで劇中「私はいい母親なのよ」と発言するので、ますますジュディの人格が形成されたティーン時代に注目して鑑賞しようと思いました。

 

 

元夫の家の玄関を叩き、今日泊まる場所がないと元夫に子供を預け、ジュディは夜の街へと出掛けていきます。

 

 

出向いた先はロサンゼルスのパーティー場。そこで娘のライザと会います。

 

 

余談:この頃のライザ・ミゼリは22歳。ブロードウェイのトニー書で主演女優賞を受賞した若き最高峰の舞台女優で、映画の翌年に映画界に入り、『ニューヨーク、ニューヨーク』でオスカー女優になります。

 

 

たとえ大女優だとしても、やはり若者たちの社交場にこの年代の女性が1人でいると目立ちます。

 

 

娘(ライザ)に会いに来たのか?注目を体感したいのか?

この場面の動機は分かり兼ねますが、ジュディは結果この会場でミッキーという若い男性にナンパされ一夜を過ごします。

 

 

娘のライザがガールズトークをしようとニコニコな表情で母親の元に戻ってくると、母親は若い男の前で女の顔になっている、という印象的なシーンでした。

 

 

___

 

 

 

多額の借金を抱えるジュディー・ガーランドは子供達と離れ、歌手として英国のロンドンで長期公演を行うことを決心します。

 

 

前々から「親権が欲しい」と訴えていた元夫の元に子供達を預けことは不安でしたが、その海外公演の出演料で子供達と再び暮らせるようにと渡英します。

 

 

 

 

 

出稼ぎとかマグロ漁船に乗るようなシーンにも見えます)

 

 

公演先のロンドンでは熱烈な歓迎を受けます。アメリカとは大違いです。

 

 

コンサートの興行主出るフォントを演じるのは名優【マイケル・ガンボン】[79]。79歳ですが・・びっくりするほどの現役感!!さすが2代目ダンブルドア校長!!

 

 

彼女が行くところに記者やファンが既にいる。

車を降りればフラッシュが焚かれ、ファンがサインを求める、宿泊先のホテルの扉を開くと従業員が両脇に一列に並び出迎える。

 

 

そうした歓迎とおもてなしを受けるスターですが、部屋に案内されれば孤独。

 

善い人だと思っていたけど、頂点を極めた者特有の煩わしい空気感を出す。

 

 

最初こそ笑顔で対応していた現地の女性担当マネージャーも、上手に笑えなくなっています。

「あなたはいくつ?」「28です」ハァーと溜息。

 

 

この女性マネージャーを通して、彼女の過去とリンクさせています。

 

 

女性マネージャーのロザリンを演じるのは【ジェシー・バックリー】[30]。

 

 

マイケル・ガンボンと同じアイルランド出身なので、劇中の運営側はアイリッシュコンビです。

 

 

 

1935年に13歳でMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)と契約したジュディ・ガーランド。

 

 

 

 

予備知識として。20世紀前半のMGMはハリウッドの頂点の域に達した巨大映画スタジオです。

1924年に、M(メトロ・ピクチャーズ・コーポレーション)G(ゴールドウィン・ピクチャーズ)M(ルイス・B・メイヤー・ピクチャーズ)の三社が合併し、巨大な映画スタジオが設立された歴史を持ちます。20世紀中盤以降は衰退しますが、ジュディ・ガーランドが在籍していた頃のMGMは「星の数より多いスター俳優がいる」と言われたほど人気も実力も兼ねていたそうです。

 

 

特にMGMのMで副社長だったルイス・B・メイヤー氏は「ハリウッドの最高権力者」と呼ばれた大成功者でした。

 

 

ハリウッドの映画会社は契約時に会社と本人との間でルール等を取り決めます。

そのため、近年日本でも取り入れ始めたエージェント契約など第三者が仲介役で入るんですね。

 

 

ジュディ・ガーランドは太りやすい体質だったために、MGMは「スリムでいること」を契約の条件としました。

13歳の少女に対しては厳しいルールでしょうけど、そういう契約をしたのだから仕方がないとは云え、今だったら明らかにコンプライアンスにひっかかるでしょうね。

 

 

とにかく様々なことを制限され、監視され、自由のない労働です。

 

 

回想ジュディはとにかく様々なことを大人たち監視のもとで管理されていて、普通の食事をすることさえも禁止されています。

 

 

ハンバーガーのCMは食べるフリだけ。カットがかかれば取り上げられる。不意をついて食べようとすると真後ろに座る現場マネージャーが物凄い反射神経で立ち上がり、サプリメントを渡す。このサプリメントは覚醒剤(アンフェタミン)です。

 

 

壁に耳あり障子に目あり。この映画を見る限り、ジュディ・ガーランドはMGMの看板(広告塔)というより「商品」でした。

 

 

そして思春期になったジュディは長時間労働に寝る暇さえなく、寝れる時間も眠りに落ちない不眠症に。

 

寝る時間をくれない。眠りたいのに眠れない。精神的にも情緒がおかしくなります。その反動が現在にも如実に表れる。

 

 

映画で描かれている時期は、17歳で演じた『オズの魔法使い』で人気絶頂の10代後期と、晩年の40代後期の2つ。

 

 

その間の20代・30代で彼女は結婚&離婚を繰り返し、女優も休止や復帰を繰り返します。

 

 

そして歌手で成功するなど、世に出す作品の多くが大成功するのですが、

 

兎に角ジュディで問題視されるのは仕事への取り組み方や姿勢です。

 

 

このティーン期の鳥かご生活が影響したことは映画で観ると明らかで、

薬物やアルコール摂取などの反動か?精神不安定で数十回の自殺未遂を繰り返し、映画の現場で度重なる遅刻やボイコットを行う業界屈指のお騒がせ芸能人となります。

 

 

なにかとお酒やお薬のせいにしていますが、仕事に穴を開けるのはプロとして最もダメな行動ですΣ(-᷅_-᷄๑)

 

 

映画に戻ります。

 

 

___

 

 

 

ロンドンのホテル、スイートルーム。

 

 

マネージャーは世話係も担いますが常に行動を共にするわけではないので、ジュディは基本的に独りで部屋にいることになります。

 

 

不安になると余計眠れなくなり、ホテルの外に出ようとしますが、何しろ彼女はVIP。ホテルマンに声をかけられたり、やはり完全な自由がないのかな?とも感じられるシーンが多いです。

 

 

歌手としての練習風景は特にありません。

多少の発声や共鳴はありますが、タバコも吸いますし声も嗄れていて、スタッフに促されながら本番に臨むジュディ。

 

 

こんな精神状態や準備不足でステージが成り立つのかな?と観ている自分も心配してしまうのですが、初日のステージは大成功。

 

 

身一つで舞台に登壇して→歌って拍手喝采されて→ホテルに戻ってくるという1日。これだけで伝えるとかなりの格好良さ。

 

 

しかしその舞台裏では、本番直前まで部屋に引きこもって、本番後は楽屋で腑抜けになって情緒不安定の状態になっている。

 

 

そんな時にアメリカからミッキーが渡英して来る。

 

 

 

 

 

ミッキーといえば・・映画の冒頭、子供を元夫の家に預けた夜に、パーティー会場で知り合った年下の男です。

 

 

(書き方に悪意はありませんΣ(・□・;))

 

 

恋愛体質の女性なのでジュディがミッキーに惚の字なのは分かりますが、ミッキーの気持ちは映画で分かりづらいので、その都度俳優の表情から読み取るようにしました。

 

 

初対面の時のミッキーは、パーティ会場でジュディ・ガーランドを見かけて、ニヤッと笑います。そしてタイミングを見て声をかけました。この最初の笑顔が気になります。

 

 

有名女優をゲットする目的?それともヒモ目的?でも早い段階で彼女は借金苦だと知る。

 

 

このように純粋に「純愛」だと思えないほど、ミッキーの尽くし方の描写がイマイチよく分かりませんでした。

 

 

この時もロンドン公演の成功を聞いて駆けつけた。と思いましたから疑いの目で観ます。

しかしミッキーはジュディを外に連れ出したり(鳥かごの外へ!)、ロンドンの街中でブランドの袋を沢山持って買い物させるなど、自由を与える存在となります。

 

 

ミッキー役を演じたのは【フィン・ウィットロック】。今後が注目される35歳のアメリカの俳優です。

15歳の年の差の恋愛は、申し訳ないけれど母と息子に劇中観えてしまいました。本人たちが幸せならばそれで善いのですが。

 

 

ミッキーがそばにいることで、公演の方にも好影響が。

メンタルの状態が抜群の彼女は分かりやすく笑顔の多いステージを届けるように。

この時の歌声はまるで音符の天使が会場に降り注いでいるようでした。

 

 

しかし好きな男がいても、起きてしまういつもの悪い癖。仕事放棄に怠慢な態度です。

でも、これは明らかにマネージャーの勉強不足だと私は観ていて思いました。

 

 

いつものように公演前のジュディは荒れ気味でステージに上がりたくないと言う。それを宥めるのが謂わば運営側の仕事です。

 

しかしマネージャーは火つけに「じゃあ代役を立てますね」と伝える。冗談じゃないとジュディはステージに向かう。

 

 

実はこの「代役」のワードは、子役時代のジュディがMGM側に何度も言われ来たトラウマのような表現。

 

 

結局。酔っ払った状態でステージに上がったジュディは、客から罵声を浴びせられ、その客に反応しFワードを使って暴言を吐く。

 

スターになればなるほどプライドが高くなり、扱いは難しくなることが多いです。映画のジュディは明らかに情緒不安定なので、特に健康状態や精神的な面を気にかけて欲しかったなと思ってしまいます。

 

 

この映画内では2度、ジュディは客の前で大失態を侵しますが、お客様の態度も如何なものかと(^_^;)

英国紳士のイメージはどこに行ったやら、ステージに物を投げたり・汚い言葉を投げたりと、演者にしたらキツイ現場。

 

 

アメリカの大スターであるジュディ・ガーランドのショーを見に来たロンドンの客が、登場早々に「早く、歌え!」と叫ぶんですからね。ファンの方も、本当のファンならば、ジュディ・ガーランドが精神的に不安定な人間だと言うことを理解した上でライブ鑑賞してほしいものです←これは私の心理的意見になるので映画とは関係ありませんm(_ _)m

 

 

この最初の失態は、翌日に恋人のミッキーと共に、興行主の前でしっかりと謝罪を行い許されました。

2度目はないぞ。しかし二度あることは三度あるという言葉がありますからね。

 

 

その後、ミーキーに求婚したジュディは5度目の結婚をします。逆プロポーズ→承諾→結婚式。テンポの早い展開です。

 

 

求婚を迫られたミッキーの戸惑いの表情にも注目。

段階なんて一切ありません。今好きだから結婚して!!今この場で返事をしてという無言の圧がかかります。

うわぁ・・と引いてしまいました(^_^;)

 

 

____

 

 

 

1960年代後期のイングランド。観客はオールディ。身なりも整う紳士淑女。

 

 

劇中にビートルズやローリングストーンズの名前も登場します。そのビッグネームをジュディから引き出すのは、やはり若いミッキーの役目。夜のパブ(酒場)に連れ出すことで生まれた会話。ホテル内だと生まれなかった会話。

 

 

若者はロックバンドに夢中になりますが、熟年はジュディ・ガーランドのような青春時代の流行歌やジャズ音楽で心を高まらせる。

今も昔も似たようなものです。

 

 

映画の中で1組のファンに焦点をあてていますので紹介します。

 

 

出待ちをしているファンが2人。この2人の男性はゲイのカップルで、英国という国の歴史を物語らせる意味を込めて描かれているのでしょう。アカデミー賞を狙って作られた作品ですから、おそらくそうなんだと思います。

 

 

2人の会話の中から、同性愛のカップルは見つかり次第、逮捕されたり法で裁かれたと知ります。

 

 

英国を代表する同性愛者はコンピューターの父アラン・チューイングや『QUEEN』のフレディ・マーキュリーが有名ですが、一般人の彼らにとって相当理不尽な逮捕だったのだろうと観ていて思いました。

 

 

この話題を書くために参考にした記事のリンクを貼らせていただきますので、興味を持たれた方は是非お読みください。

 

「News Digest」

 

 

実際ジュディ・ガーランドは同性愛に強い理解を示していた当時としては数少ない著名人で、自身もバイセクシャルだったとされます。

 

 

ジュディは劇中、出待ちのゲイのカップルのサインに応じ、時刻は深夜、出待ちは彼らだけ。彼らに「食事でもどう?」。

この提案に2人は有頂天。彼らのテンパリ具合を観ると、本当に心嬉しくなりました( ◠‿◠ )。

 

 

これは私の目線ですが、さすが紳士の国の男性という感じで、女性への気配りを見せていて、ちゃんと境界線を設けた距離感です。

こういう流れだと多少馴れ馴れしくなったりしますが彼らは違います。

 

 

深夜営業している店がなく、自宅に招くことになるのです。大好きなジュディ・ガーランドが我が家に!

 

ジュディも気取ることなく接せれる相手。私も手伝うわ!そんなそんな貴女様にさせるわけには!!こういうやり取りが最高です。

 

とても自然な感じで、演じた役者も相当お上手でしたし。彼のシーンは常に感動している私がいました。

 

壁にはジュディのポスターと、2人の写真が飾られていて、それを眺める彼女の何とも言えない幸福感の表情が印象的でした。

 

 

幼い頃から芸能界一本で、大人たちに管理されルールを設けられて、私生活では結婚・離婚を繰り返し、今は借金苦を言い訳に子供をアメリカに残して別々に暮らしている。そんなジュディ・ガーランドの素顔を視れるのは間違いなくこの場面です。

 

 

本当の意味で彼女を応援しているのはファンだったんですね。とても健気なファンの姿がこの映画にはありました。

 

 

彼女を語る上で、私生活でも仕事場でも、落ち度が描かれている映画の内容ですが、この登場人物があったことで人間力のような真髄が見え、とても観やすい伝記ドラマになったと思います。

 

 

________

 

 

 

指摘点は、どんな時でもジュディー・ガーランドでいなくてはいけないのか、レネー・ゼルウィガーが終始「キメ顔」をして演じていたところです。そのため何をしていても「演じている」ように視え、映画自体が表面的で、作り物に観えました。

 

 

この当時の音楽シーンを見ていると、やはりアメリカで成功することがエンタメの世界では頂点であり、そのアメリカで1度でも頂上に登った成功者は海外では尊敬の眼差しを向けられている。

 

 

アメリカで落ち目になっているジュディー・ガーランドがロンドンに行くと、マスコミやファンから大変な注目を浴びる様子があるので、まずこの差に驚きました。銀幕のスターが舞台に行って脚光を浴びる都落ちのようにも感じました。

 

 

しかし、その自分の見方を払拭させるステージをロンドン公演初日で魅せるので、やはり芸は身を助けます。

 

 

異国の地で5週間という超ロングステージ。約35日間連日のステージです。初日で決まると思うので、初日が大事です。

 

スタートダッシュは成功。しかしステージ放棄をしたり、何かと問題を起こす。映画で描いているのは6公演くらいです。

 

 

劇中は客席の表情をあまり映さないので、私が知りたかったのは、連日盛況だったのか?と客離れはあったのか?

そこも知りたいところですね。上のゲイのカップルの時は出待ちが(深夜という時間帯もあり)彼ら2人でしたが、初日・中日・千穐楽という客やファン・マスコミ報道の流れもぜひ知りたかったです。

 

 

アメリカで落ち目だったジュディ・ガーランドに、35日間コンサートを依頼した理由も、マイケル・ガンボン演じる興行主を通して説明してくれたら、伝記ドラマとしては深みが出たと思うので残念でした。

 

 

素晴らしい映画でしたが、ジュディ・ガーランドのイイところとダメなところしか表現せず、その真ん中の部分に目をつけていないので、全編を通して喜怒哀楽の起伏があっても、中身(映画の心)はスカスカに感じる印象が私には少し生じます。

 

 

最後に。

恒例となりました。鑑賞直後に残したスマホのメモ書きを載せます。

 

 

 

終盤になる頃には2歳からの芸能活動をするジュディの人生観や形成された人間性などを見守るように鑑賞することが出来、クリマックスに歌う「オーバー・ザ・レインボー」ではじんわりと温かい気持ちになれた。

 

 

空気感に重々しさがない作風なので緊張感が作れていない。アカデミー賞としては作品賞ノミネートで納得。個人賞としてはジュディの47歳の生涯のほんのわずかな数ヶ月をレネーが、まるで47年間生きてきた人物のように演じるから、主演女優賞受賞には150%異論はない。

 

 

MGMやマイヤー氏に籠の中で愛でられたり、ステージ上で羽ばたいたり時には苦しんだり、ミッキー・ルーニーなど同世代の男性に誘われても仕事を選ぶ姿勢を魅せる。彼女には芸能界しかないんだろう。←そんな彼女の「最初の結婚」の背景を作中に知りたいところではある。

 

 

Somewhere over the rainbow,way up high

(どこか虹の向こう、ずっと高いところに)

 

There's a land that I heard of onse in a lullaby.

(そんなところがあるって いつか子守唄で聞いたわ)

 

 

(↑記事に載せる時はスペルをチェックすること!!)

 

 

「オーバー・ザ・レインボー」は誰の歌を聞いても、本当に心動かされる自分の中で数少ない震撼曲。

 

でもやはりジュディ・ガーランドの歌は別格に感じます。

 

上手くいかなかったり、社会の厳しさに心の行き場を捜してる時、茜さす夕焼けの空を見上げながら「がんばろう」とこの曲をBGMに流しているソウルソングです。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 15点

構成 14点

展開 14点

完成度14点

 

 

[71]点

 

 

 

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【mAb】


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