『牛首村』
監督🎬
【清水崇】
奏音 & 詩音
【Kōki,】(木村光希)
蓮
【萩原利久】
将太
【高橋文哉】
山崎さん
【松尾諭】
牛首頭の少女
【芋生悠】
父親
【ココリコ・田中直樹】
母親
【堀内敬子】
祖母
【竜のり子】
祖父
【麿赤兒】
配給
[東映]
本編
[1時間55分]
______
主演はKōki,さん。本名の木村光希さんは公表されているので、多分私しか呼ばない呼び方で、時々「キムコー」と書かせていただきます。
(ハマコーみたいだΣ(・□・;))
富山県魚津市にある実際の心霊スポット・坪野鉱泉。ここで起きた怪現象や失踪事件をヒントに、オリジナルストーリーを書き下ろされたそうです。実際に建物内で撮影も行われたそうなので、もう・・そういうのが可能な時代になったんですね。
かつては温泉施設だったそうで、温泉好きな自分としては、どんな湯心地だったんだろうと、この廃墟跡を想い偲びます。
では始めます。楽しい映画の時間です。
_____
ホラー映画ではなくホラードラマといった感じ。
清水崇監督は、ハリウッド映画を撮られてから作風が変わり、エンターテイメントを感じるようになりました。だから今作品はエンタメ傾向のホラー映画かな。
日本ホラー映画は、外国ホラーのような「間を埋める」ために脅かさず、あえて無音・静音で、観客を神経質にさせ恐怖の想像をさせる為、溜め(我慢)を長く作れるのが私は日本映画の作風の魅力だと思っております。
お化け屋敷ホラー(←と勝手に命名している)のアメリカ映画からは一線を置いて、日本らしいドラマ性を大事にしている。その「らしさ」とは日本人の性格だったり風土・風習など。
当たり前ですが、日本人にとって馴染みや共感があるのが日本映画なので、それを全面に描いている脚本は良かったです。
主演のキムコーさんをInstagramやYouTubeで拝見しているわけではないため、全くの初見で今回鑑賞しました。
『キムタクの娘』というメディアの売り出し方のイメージが強いですが、映画を見ているうちに、そのイメージが薄れていきましたよ(^ ^)
物語を紹介。いつものように物語の進行と自分の私感を同時進行で書いていきます。
オープニング。
再生数を稼ぎたいがために命知らずの肝試し配信をする3人。心霊スポットで中継しているシーンから始まります。
富山県魚津市にある坪野鉱泉ホテル廃墟。彼らは富山県在住の高校生です。
(田舎でこんな金髪の女子高生がいたら、目立つだろうなぁ)
シリーズ前作の『樹海村』がそうでした。視聴者は動画中継中に自由にコメントを入れているので、彼女達はコメントも読みつつ、動画撮影と進行の3役を行うので、結構大変な作業を労いたい。
そして、ほらみろ!撮影中に最悪のトラブルが発生。「エレベーターの中に入ると異空間に行く」という都市伝説を実行。
その場で1人の女子高生が忽然と消えて行方不明になってしまう。そして動画はそこで終了しているようです。その後がどうなったのかの追い動画もないままなので、無責任に思います。
清水崇監督の代表作は勿論『呪怨』になりますが、基本的に「無差別殺人」という方法で、登場人物全員に「死」が迫るオチ。
呪怨の場合は呪いの家に一歩でも足を踏み入れたら問答無用で死んでしまう、となるので一応の法則がありますが、少し悪い言い方をすれば、命を粗末にするような展開を好む監督ですね。
所変わって関東。高校3年生(という発言を相手役の男子がいうため断定)のカップル。
男子生徒・蓮は無邪気な性格だが子供っぽい。
女子生徒・カノンは無口なタイプで大人っぽい。
主人公カノンは絹のような黒い髪の毛を腰の長さまで伸ばしている。
シングルファーザーの家庭。特に仲が悪いわけではないが、父親との会話が弾まず、どこかお互いの様子を伺っているような印象。
父親の携帯が鳴る。(多分)「食事中は携帯を見ないこと」という家族ルールがあるからだろう、断って携帯を出ると「あっ!ずるい」と口にする娘。父親は明日から出張に行くと娘に伝える。
場面を移し彼女がバイトをするカフェ。(カメラの写し方かもしれないが)彼女目当ての客がいるらしく、画面中央の男性客がストーカーのような目線を向けているのが気になった。その後、バイト先に蓮がやって来て、今話題の肝試し動画に映っている女性が、自分とソックリだと伝える。
この世界には自分の顔と似ている人間が三人いると言われたり、ドッペルゲンガーの発想だってあり得るけれど、動画を見たカノンの初見の反応(リアクション)は「顔が似ているなぁ」で済ませるほど、この時点ではピンと来ていない表情をしていた。
(動画再生中の下に関連動画みたいな演出も映画の中にあったらリアルっぽかった)
その数日前。つまり肝試し動画が撮影された当夜から、彼女の部屋シーンに人影や視線が映り込んでいるなど、ホラーの定番演出だけれど多くの伏線を張っています。
もう一つ。
カノンは、スマホアプリのキーボードを使い、頭に浮かんでいる曲を鼻歌を歌いながら鳴らしています。現代の女の子が作曲するようなリズムではありません。古いわらべ唄のようなので、この年代の女子高生が口ずさむ音程ではないから少し新鮮。(一応、音楽家なので分かります。)曲の音程は童謡の『おつかいありさん』に似ていると聞いていて思いました。
(名前がカノンなのだから、クラシックのカノンに寄せた作曲をするのかな?と少し予想しましたが、それはなかったみたい)
ここまでを見て。今年最初の邦画鑑賞ということもあるのか、ハリウッドと比べると画質が荒く、学生服で歩く最初のシーンでは、役者を正面から撮るためのカメラワークの揺れ方に少し酔ってしまった自分がいる。きっとカメラマンが後ろ歩きで撮ったんだろうけど、固定にして欲しかったです。
____
自分の顔とそっくりな女子高生が、肝試し動画の撮影中に行方不明になった!?
一番初めの視聴の時はそれほどでもなかった反応でしたが、家での怪奇現象なども経て、動画のことが頭から離れず、スマホで何度も再生するようになります。
関連として、失踪した女子高生が閉じ込められたエレベーターの中で、上から伸びて来た白い腕を、その女子高生が爪で引っ掻くという描写があり、その引っ掻き傷の跡がカノンの手首に現れています。
見ているだけでも痛々しい結構な深傷ですが、簡単な応急処置をしているあたりが安っぽい(^_^;)
「動画の映像」には引っ掻いた映像はありませんが、観客には、この2人に何らかの関係性があると察することが出来る。
エレベーターに乗ると「異空間・異次元」に行く、という都市伝説なので、「どこでもドア」みたいに彼女の部屋と繋がったのかな?と浅はかな推理をしました。
カノンは、(冒頭)「高校最後の思い出に、どこかに行こうよ!」と誘われていた彼氏の蓮に声をかけ、動画の撮影場所である「坪野鉱泉ホテル」を訪ねるために富山県に向かいます。
はい。保護者的な感覚で、少し指摘をします。
富山県には夜行バスで向かうのだけれど、18歳未満だし、保護者の承諾とか、何泊するのとか、色々と疑問(心配)に思います。そこを描いてこその日本映画の謙虚さ・気遣いだとは思うが、ホラー映画は基本こういう行動には「本人たちが良ければいいという考え方」で進んでいくような気がしています。(ここはきっぱり)個人的にはあまり良くは思っておりません!
ちなみに東京から富山間は夜行バスで5、6時間ほど。となると深夜に出発した可能性が高い。
私も一時期夜行バスをよく利用したのでイメージが出来るのですが、高校生のカップルが、夜行バスに乗るまでの間、どうやって時間を潰したのかも気になります。
カノンは父親が出張という状況を前場面で説明しているので想像できますが、彼氏の方は親御さんが登場しないので、どう言って家を出てきているのでしょう?
仮に「彼女と2人で数日間旅行に行ってくる」と親に言ってから出てきたとして、普通の親御さんなら承諾しないと私は思うんですけどね。男友達と旅行だと嘘をついてたとしても、やはり高校生というのが引っかかります。『樹海村』みたいに設定を社会人や大学生にすれば問題ないけど(^_^;)
こういう現実的じゃないなど、あーだこーだ言う批評家が一定数はいると思います。
いちいち説明していたら先に進まないだろ!と清水崇監督の声が聞こえて来そうですが(^◇^;)
___
到着した2人は、魚津にある道の駅に行き、そこで富山湾の名物である蜃気楼を見ます。
「蜃気楼」という自然現象が、この映画のキーポイントになっているので、鑑賞後にウィキペディア先生で用語を調べました。関連ワードから想像力を広げるのは多分私の得意分野なので、想像するだけで様々な発想をしてしまいます。劇中の防波堤を越えないためにもあまり深追いはしないようにします。
道の駅・蜃気楼。
Backする車に気づかずに、駐車場枠でウンチング座りをしている彼。幽霊以外でハラハラする場面です。
彼氏のリュックサックがクッションになって、軽い接触をしただけで済みます。
どちらもよそ見をしていますが、こういう不注意って、運転手側の気持ちになるので見ていて嫌です。ってか本当に不注意なのか?結果的に、その運転手と仲良くなり、心霊スポットまで車で送り迎えをしてもらえるので。。。展開を助けるキッカケになるのかな。
地元民のオッチャンの車で坪野鉱泉に向かいます。
魚津駅から現場までは10kmほどですが、山道なのでタクシーだと相当かかるし、バスだってそんなに本数がないでしょう。
行き当たりばったりなのか?それらの計画性が映画で描かれていないので、説明不足を残念に思います。
高校生カップルが富山にやってきたのはいいけど、所持金は少ないと思うし・・富山に着いて足もそうだし・・泊まる場所はどうするんだと思っていました。
足は解決です。地元のオッチャンの車で目的地まで送り迎えしてもらって、おまけに入り口まで誘導してももらえるんだから、ある意味ラッキーな巡り会いだと思いますよ・・ある意味ではアンラッキーか。
地元民の「山崎さん」と心霊スポットに向かう。山崎は運転しながら、後部座席に座る2人に、その地に伝わる「牛首伝説」を話します。
二人の反応を確認しながら話をするので、志村うしろうしろ!じゃないけど、山崎まえまえ!って思わず叫びたくなりますね(^_^;)
(ほら、お約束の展開にΣ(・□・;))
トンネルの途中に窪みがあって、そこに頭が牛のお地蔵様が祀られていると伝えられ、この話を聞いたものは生きては帰れないと脅かすように語るのです。まぁ話を聞くと死ぬと言うホラー映画は、謎を解く主人公以外は大抵その通りになるので、このワードが出た時点でハッピーエンドはないと思う鑑賞体質になっています。
草をかき分け、立ち入り禁止テープを無視し、最恐の心霊スポットと呼ばれる鉱山ホテルに到着。
立ち入り禁止のルールを無視して侵入するって、土地勘のある地元民ならではの行動だな、と思いました。
彼氏「えっ!?入っていいんですか?」
地元民山崎「いいんだよ」。
(未成年の子供に悪さを教える大人に感じる描写)
坪野鉱泉ホテル跡は、暴走族や北陸の不良達の溜まり場という、ある意味、心霊スポットよりも、そっちの方が怖くて有名な場所です。この山崎も「昔はよく行った」と2人に伝えているから、元ヤンなのかもなぁと感じました。
山崎は外で待っているからと、タバコに点けて待機。
中に入る二人。肝試し&ホラー映画のお決まりである夜の時間帯ではなく、日中の探索なので、内観がよく映って良かったです。
廃墟の中は落書きが沢山あって、建物の老朽化や残穢の記憶というよりも、単純に無法地帯と化している様子が映し出されていました。
話は変わりますが、Yahoo!ニュースで、鬼怒川温泉の廃墟ホテルに若者が不法侵入している記事がよく出ます。地元住民や自治体は本当に困っているようですが、不法侵入は後を絶たないようです。
その記事を読むたびに悲しくなりますが、この映画のホテル跡地を見てもそう。スプレーやマジックで壁に書かれた落書きや主張は人為的で、ホラーの怖さとは別に感じるかな。そういう人間は問答無用で悪人なので、正式にバチが当たればいいと思います。
(せめて描いてよ、バンクシー)
例えば、江戸時代などの怪談話の背景には壁の落書きはないですからね。
心霊スポットで実際にロケを行うのは、話題性も売れるしリアリティが生じるので、セットよりはいいと思いますが、深層心理を謳う「日本のホラー映画」に「壁の落書きは必要ない」と思います。
物語に戻ります。
主人公のカノンは、怖がりつつも、どんどん歩みを進めていくので、まるでアメリカ映画のヒロインのようでした。
途中途中、携帯で動画を確認し、動画と同じ撮影ポイントを見るとミーハー気味に興奮してアドレナリンが出ています。
そして例の動画で自分と同じ顔をした女子高生が閉じ込められて消えたエレベーター前に到着。
動画ではエレベーターの鉄扉がありましたが、規制テープとベニア板で扉を封鎖されています。その数日前に失踪事件が起きているので、おそらく警察が来たのだと思います。こういう些細な背景の配慮は良いですね。
立ち入り禁止の黄色テープをビリビリ剥がして、ベニヤ板も細い指で力技で剥がして、オープンザドア。
壁や物質に触れた瞬間に、過去の記憶を伝承するフラッシュバックが度々起きています。
都市伝説では、そのエレベーターに乗ると「別の次元」に行くとされています。
一方。
どうして心霊スポットで彼氏彼女が別行動をしているのか?よく分からないけれど、彼氏の蓮は屋上に上がり、見晴らしのいい廃ビルから立ちション。THE罰当たり。
そのお小水を真下にいた山崎にドンピシャで命中するというハプニング。これは清水監督がホラー映画にユーモアを入れたとインタビューで語っています。
彼の後ろには女性の霊が現れて、道連れにしようと近づいて来ます。ここは屋上。自殺の名所。こんなとこに立つもんではないです。
(真面目かΣ(・□・;))
____
場面は飛びます。
砂浜で海を見ているカノン。彼女の瞳に浮かぶ蜃気楼はよく変化をします。瞬きをするたびに1人また1人と人影がコッテに向かってやってくるように映っていたり、今回は、例の動画で失踪した女子高生が浮かんでいたり。。
目を外らすのではなく、目を凝らしている様子は、やはりアメリカ映画のヒロインのようです。
カノンの真横を、一人の男子高生が「シオン」と呟きながら、ヨロヨロと歩き、海に入っていこうとする。
「おい!おいΣ(・□・;)!おーい!」
このままじゃ入水自殺。
慌てて蓮と二人で海に入り、彼を砂浜に引き戻します。
するとその男子高生が、カノンの顔を見て抱きついて来ます。
慌てて、蓮が「俺の彼女に何すんだ」と引き離します。
普通の映画なら何とも思わないシーンですけど、それよりも「木村拓哉さんに消されんじゃないか・・この俳優の子」と思いました。
(彼氏役の男の子なんて、今時のカップル設定なのに、手も繋がないし接触さえさせてませんもん(^_^;))
彼もカノン同様、海の向こうの蜃気楼に、女子高生が見えていました。
その女子高生は、行方不明中のシオン。彼・将太の恋人だったのです。
将太は冷静さを取り戻し、間違えた事情を説明するのです。
男子高生に連れられて、行方不明中のシオンの実家に出向くと、そこにいたのは出張に行くと言って出かけた父親。そして、死んだと聞かされていた母親でした。
彼女は過去を知らされます。自分には双子の妹がいる。行方不明になった女子高生は双子の妹シオンで、カノン自身も幼少期はこの地で育ったこと。しかし何らかの経緯で、その記憶を喪失していたことを。
記憶の鍵を差し込むと、扉の向こうには恐怖の世界が待っている。
__________
中盤辺りまでを書きました。
立ち上がりこそイマイチに感じたものですが、展開を追うごとに俳優の演技に抑揚感が出てきたり、物語の面白みが顕著に現れます。
Kōki,さんの演技は、初めてとは思えない、と他の人のコメントで読みましたが、私からすれば十二分に初めての演技に観えました。一人の演技の際は割と自然なのですが、「相手」がいる時は棒読みだったり、表情が硬かったりして。
お母様に似たネットリとした喋り方に、お父様に似たお顔立ちと肌の色。左右の眉毛が上下に動く様子は工藤静香さんっぽいなと思いました。
さらに失礼ではありますが、これは特徴でもあると思います。
おでこにシワが多く、眉間には縦の三本じわが出来ます(4本の時もある)。
この「タテ3本の皺」はアンガールズの田中さんの自虐ギャグの1つであるWi-Fiのマークや、「携帯の電波」📶を連想しました。
シワの多い女優さんは日本であまり思い浮かばないのですが、やはり海外向きなのでしょうね。
インターナショナルスクールのご出身との経歴を読んで納得することもあります。
幼少期から英語を喋って成長したぶん、一般的な日本人とは違うネイティブな表情筋が作られ、皮膚が柔らかくなるのだと思います。
また、映画を前後半で分けた場合に、演技の成長が見て取れます。若手の方には割とよくある現象ですが、Kōki,さんの場合は、前後半でまるで別の人?と思うほど、後半は表情が豊かになっているから感心しました。
前半は横顔が松嶋菜々子さんのように見えました。
後半は目を見開く演技が多かったので、また違った印象に感じましたし、撮影の順番は分かりませんけど、スンとした顔よりも、笑った顔の方が「あどけなさ」を感じるので印象良く微笑ましいです。私的には後者の表情の方が断然好きです。
他の男優二人も、若手らしい青春ぽい絵でした。主演女優のお姫様に華を持たせるW助演の位置が板についていました。
だがしかしです。ホラー映画なので「動き」があるシーンはそこまで演技面は気になりませんが、止まるシーンだと・・劇中の「駅のホーム」での会話のシーンがそれに当たりますが、退屈な舞台を見ているような感じがして、つまらない演技でした。
そうは書きますが、10年20年前の日本人男優のレベルも似たようなものでした。
ここから伸び代のある俳優は垢抜けていくし、進化していくのでしょう。
そして、ホラー映画は女優が主役です。
10年・20年ほど前の日本のホラー映画は、若手女優の登竜門とも呼ばれていたので、そこまで演技力は求められませんでした。今見ても黒歴史のような演技をしている女優がたくさんいます。だけれど今の時代は違います。ホラー映画でも演技力を求められているような気がします。
そういう意味では、両脇の男優も、主演のキムコーさんも、演技力としては特に気にならずに観ていられます。
富山編で出会う双子の妹の彼氏役を演じる男優の【高橋文哉】さんは、前髪が目深まで伸びていて、私なんか「前髪うっとしい」だとか「前髪、分けるか切るかしなよ」と心の中で思いましたが、スマした目の表情などから【吉沢亮】さんみたいな雰囲気があるので、今後跳ねそうな予感がします。
ただ彼。歩き方がカクカクしていて、カメラを意識し過ぎていて変です。
お尻を残して、上半身前かがみで足を前に出し歩いているので、例えば、進化論の猿人と人類の間みたいな歩き方になっています。
そこは今後、修正してほしいですね。
カメラの前で「ただ歩く」だけのシーンって、本当に難しいのです。それこそ、緊張すると右手と右足が一緒に出たりなんて、緊張の度合いが体の姿勢に現れるもの(^_^;)
Kōki,さんもモデル歩きをしているのと、走り方が男前です。
やはり「普通(普段・自然体)」を演じるのが一番難しいのでしょう。
____
ホラー映画は観客を飽きさせない為にスピード重視の展開となるので、他のジャンルよりも状況説明の不足だったり、「んっ?」と思わず首を捻りたくなるような疑問点が多くなります。
特に清水崇監督作品は、いい意味でも悪い意味でも、そうなる頻度が多い気がします。
ここで指摘するの部分は、現実的な疑問点なので、ホラー映画を語るには適していないと思います。ご了承ください。
まずは父子家庭の娘が、親への連絡なしに同級生の男子と夜行バスに乗って泊まりの旅行をする、という不良行為。私の疑問の大半は、ここ(未成年カップル)の配慮に欠けた説明不足に集中します。ここは父親の感情も表して欲しかったですね。のちの展開で富山の実家で再会した時に、横にいるのは娘の彼氏です、父親はそれよりも他のことで頭が一杯になってはいるのですが、反応の行方が1つだけだったのが気になりました。
高校生カップルが富山県に旅行。夜はどうするんだろう?と心配になりましたが、同い年の将太を登場させたことで、カノンは実家で、彼氏の蓮は、将太の家に泊まる流れの説明が1場面でなされています。
とりあえず良かったです。彼の両親は息子の旅立ちに心配しているだろうな。。書き置きとか残したのだろうか。
あとは肝試し動画で行方不明になったライブ動画を視聴している人は多いけれど、その視聴者が実際に警察に通報したり、興味本位でもいいから撮影場所を訪れたりしなかったのか?という疑問もあります。
主人公たちの都合で映画を進行するのがセオリーですが、心霊スポットで幽霊以外に普通に生身の人間と遭遇する方が、私としては観客が驚くポイントになるのではないかと思います。「うわ誰だ!」「お前こそ誰だ!」みたいな感じで(笑)
坪野鉱泉で1人が消息不明となり、動画撮影者も命を落としたという状況に、テレビは何も報道しないのかな?
映画での進行状況を視るに、動画撮影の後から、主人公の近辺で怪奇現象が起こりますから、被害者が動画をLIVE撮影してから主人公が現場に行くまでは、おそらく数日しか時間が経過していないと思います。
にも関わらず、現場に着くと、警察の捜査も終わっていて、普段の人気のない心霊スポットに戻っています。
警察も規制線を貼るだけではなく、事件発生から数日しか経っていないのなら、現場に捜査中の警察官を用意するだけでも、印象の質が違うと思うし、新聞記事やニュースだったり、もっと分かりやすい風景があったら、映画もリアリティも増すんだけどな。
そこの部分は雑と言いますか・・『リング』の中田秀夫監督とは違うところですね。
他には。将太が恋人の姿を蜃気楼で見て海の中に入っていくシーンですが、それを描くならば将太の視点がどう見えているのかを説明しなければ、分かりにくいですし、海辺のシーンも、駅のシーンも、「どうしてそこにいるのか」の経緯が前後抜けています。
接触事故を機会に知り合う山崎も、まるで最初からアポイントを取っていたかのように、2人と行動を共にしたり、高校生のカップルを見守ったりするのも・・なんだかイマイチどういう縁を描きたかったのかが私には不明でした。
大人の俳優陣は、演技に主張性のないメンツで、主役に華を持たせるキャスティングなのかなと思います。
父親役を【田中直毅】さん母親役を【堀内敬子】さん。お二方とも目力があり、目で語る演技が出来る方。
相手役の俳優のセリフを、割り込むのではなく、ジッと待てる静の演者は、この映画の空気感によく似合っていました。
祖父役の【麿赤兒】さんは、『ルパンの娘』で伝説の怪盗を演じていた俳優さんだったので、親しみがあって良かったです。(麿赤兒=まろ・あかじ/大森立嗣監督・大森南朋さんの御父様。)
村の歴史や風習を語る解説も分かりやすく、語り部のおかげで十分に理解することが出来ました。
_____
富山湾に浮かぶ蜃気楼は、幻想的で神秘的ですが、今後この地を訪れた際、この映画のこの映像を思い浮かべそうです(^_^;)
蜃気楼に人影が浮かび上がり、それが目の前に近づいてくる映像は、映像というよりも心理的に怖いですし、『リング』の伊豆大島で「亡魂がくる」と云う映像と重なり、クオリティが高かったです。
海の向こうから亡霊がやってくる、の「海の向こうから」にしたのには、何か意図があってなのかな?と考えましたが、正直私にはよく分かりませんが、きっと理由があって描いているのでしょう。
日本ホラー映画は投稿数の割に自分はよく書きます。
『のぞきめ』の際に日本の集落の風習についてを書きましたが、民俗学というものに私は興味があります。
ダムに沈んだ村だったり、祟りを鎮めるための生贄だったり、その地の住人が何世紀も守って来た風習だったり・・描写的には恐ろしいけれど、日本という国は神道の世界だから、それらを考えるとなんとなく意味がある気がするのです。
この映画も、まさに「集落に培われる風習」が背景にあるのですが、伏線回収の部分になるため多くは語りません。
ただ、双子というキーワードが出て来て、それを昔の日本(田舎)で考えれば、ある程度、推理が出来たし、それが繋がった映像は見応えがありました。
「何かがおかしい?」という違和感の繰り返しが、ホラー映画の描写になります。
近年の清水崇作品はエンタメ性もあるので、アメリカ映画のように間違え探しみたいに、悲しいバケモノ(生き霊含む)を忍ばせたりしますが、根底にあるテーマは大変に面白いと思います。
まずは今作品、キムコーさんの女優デビュー作という宣伝が一番に来ますが、思いの外演技派なので驚きました。
前半は硬さが見られましたが、感情を爆発させる中盤以降は、開放的な表情でとても良かったです。
今後はお父様のように、脇を固める俳優に演技派が並ぶと思いますし、しばらくは色眼鏡で見られるのでしょうけど、強い可能性を感じます。
前半部分は霊の登場が多く、「驚かし」も多く展開されますが、中盤以降は伏線を回収する脚本を楽しめると思うので、驚かしよりもネタバラシに重きを置いている映画でした。怖がりの方も鑑賞しやすいと思います。
都市伝説に奇々怪界。ハリウッドだと、カルト映画になったり、アドベンチャー映画になりがち。
自分の知る限り、この組み合わせをしてホラー映画で成功出来ているのは日本だけなので、今後はこのジャンルの新鋭の登場にも期待したいですね。
日本のことわざに、「三つ子の魂百まで」があります。
3歳頃までに人格や性格が形成されて、それは100歳になっても変わらないという意味ですね。
この映画の中で「昔は双子を忌み子と呼んで嫌っていた」とあります。双子は不吉と考えられていたとのこと。
6歳までは神の子で、それ以降は人間の子、という日本古来の考え方も紹介されます。
「三つ子の魂百まで」というコトワザから、双子を考えたり、人格形成を考えたりするなど、色々と自分の興味に収穫がある映画でした。
私の祖母の時代も、障害を持った方を家から出さないように閉じ込めていたり、そういう話をよく聞きました。
今の時代はそういう描写は全て差別の対象となってしまいますし、この映画でもエンドクレジットで時代背景によるものと説明が書かれていましたが、その時代を丁寧に描くのが許されない時代になるのは、映像業界にとってマイナスだと私は思っています。
東映のシンボルである岩に打ち付ける荒波。そこに血吹雪がピシャ。
ハリウッド映画でも、20世紀フォックスのドラム音、ディズニーのシンデレラ城もそうですし、伝統的なオープニングのロゴ画面に、各作品の主張を加える近年の演出が、個人的に大好物です。
実際の「曰くの名所」をテーマに描かれるシリーズ計3作品。
『犬鳴村』『樹海村』そして『牛首村』。
怖がらせるだけではなく、考えさせられるドラマもあったので、内容は3作の中で一番濃かったと思います。
牛の頭のお地蔵様がある、そう映画の中で説明がなされていましたが、タイトルが「牛」なので、丑の刻だったり、もう少しタイトルに捻りや関連性があっても良かったのかな、とは少し思いますが、それは4作・5作とシリーズのクオリティが上がっていく中で期待していきたいと思います。
その地の「地名の由来」を辿っていくのは、日本ミステリー探検みたいで面白いです。
下に貼らせていただく予告編を見て、ピンと来られた方は、映画館にラン。
脚本 13点
演技 13点
構成 13点
展開 14点
完成度13点
[66]点
【mAb】