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『THE映画評論:日本ホラー2作品』

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私は結成当時から日向坂46のファンで「お日様」(ファンの呼称)なんですけど、昨夏にシングル4作品連続センターを務める【小坂菜緒】さんがグループ初の映画主演をすると公式サイトで発表がありました。肝心のタイトルは『恐怖人形』。

 

 

「恐怖○○」というタイトルですと世代的には楳図かずお先生の『恐怖新聞』を真っ先にイメージします。欅坂もけやき坂もグループでTVドラマに主演した時は、劣化版『あなたの番です』みたいなクオリティーの作風が多く、脚本家のイメージ先行型のサスペンスドラマでしたからハッピーオーラはなかったですね。

 

 

日向坂に改名したのだから、もっと明るい企画で世の中を照らして欲しいなと思うこの頃。それだけの魅力が個人個人にあるグループなのだから。まぁ公開したら記念すべき映画ですから鑑賞するのは確定なんですけどね。

 

 

それにしても・・・どこで上映しているのか本作?

TOHOシネマズ以外のシネコンの公開作はチェックしないようになったのでこういう場合は大変です。

ちなみに私にとって身近なのは、TOHO・MOVIX・ユナイテッド・シネマの3シネコンです。

 

 

年が明け三が日。自宅でアザラシのように寝転んでいた時。「そう言えばコサカナの主演映画っていつ公開なんだろう?」とふと思いました。お恥ずかしい話、忘れていたのです。実際、もっと先の公開だと思い込んでいました。

 

 

日向坂46のオフィシャルサイトを開くも記載がない。

続いてGoogleで検索してみると、衝撃事実、すでに上映終了しているらしい・・

 

 

・・・まじかΣ(・□・;)

 

 

申し訳ないけれど、いつの間にか公開して、いつの間にか上映終了していた感覚。

 

 

後悔先に立たず。そう思うと無性に劇場鑑賞したくなって、どうにかならないのかー!?

 

 

と喚いていたら助け船( ゚д゚)

新宿の『シネマート新宿』という小劇場で、正月明け1週間限定で『恐怖人形』を上映するようなのです。

 

 

1週間限定。上映時間は1日1回。しかも夜21時の回のみ。

 

 

私にとっては海で遭難して、もうダメだと意識が霞んできた時に、陸が見えた想いです・・「助かったぁぁ」。

 

 

記事にする現在は完全に上映終了している作品ですが、主演がコサカナなので初夏にはディスク化になるのでしょう。

 


この映画評論内で長年書き続けていますが、例え上映する劇場が少なくてもディスク化・配信化すれば全国上映です。

 

 

映画館で観る意識が強いのは、鑑賞者のコダワリであり意地ですからね。

 

 

 

・・というわけで鑑賞して参りました。

 

 

____

 

 

 

『恐怖人形』

 

 

 

 

 

監督🎬

【宮岡太郎】

 

 

出演者

【日向坂46・小坂菜緒】

【萩原利久】【黒羽麻璃央】【水上京香】【石川瑠夏】【劇団4ドル50セント・福島雪菜】【黒沢あすか】【萩原聖人】

 

 

 

このキャスティングを知った時に、明らかに「出演者格差」が分かるので、個人的に好きな男優【萩原聖人】さんの出演料がこの映画の大半を占めるだろうなんて現実的に思って鑑賞に望みました(^◇^;)

 

 

映画の流れや脚本は、ありきたりといえばありきたりですが、それよりも気になったのが冒頭からのカメラワークが・・手振れで揺れてること(^◇^;)カメラマンの腕でしょうか?予算の都合でしょうか?

 

 

これだと映画同好会とか自主映画が製作した作品に観えてしまうので、せめて固定カメラにして欲しかったです。

 

 

1時間20分ほどの上映時間。物語文を書きづらい。

 


パンフレットを購入しました。そこに書かれているSTORYの部分を参照にし、簡単なあらすじを紹介します。

 

 

 

主人公は女子大生の平井由梨。19歳。ちなみに小坂菜緒の実年齢は17歳。

成人を超えた出演者の中に同級生の設定で入ると、やっぱり幼く見えます。

 

 

由梨の趣味はカメラ。幼馴染の真人を被写体にしたり、助手にして撮影旅するカメラ女子です。

 

 

 

 

 

2人其々の元に差出人不明のパーティーの案内状が届きます。

怪しすぎるので警戒するも、パーティーに参加すると10万円を贈呈しますとあって・・参加を決意。

 

 

記載されていた集合場所と集合時間に到着。そこは山梨県にほど近い東京都西多摩郡にある人里離れた「アメリカキャンプ村」。

 

 

アメリカキャンプ村と言えばホラーの王様『リング』のロケ地として有名です。この作品も仲間入りですかね。

右にホームページを貼っておきます→『アメリカキャンプ村』

 

 

現地到着後。招待状を贈られたメンバーは6人が全員集合。6人は約束通り報酬の10万円を受け取ります。

 

 

管理人の女性に案内されますが、パーティー内容など詳しいことは伏せられ、とりあえず男女別の部屋でまったりしたり、川遊びなどして親交を深めます。

 

 

10万円もらってキャンプ場でパーティー??絶対におかしいだろʅ(◞‿◟)ʃ

年齢は19歳。まだ子供ですから、そこまで警戒も不審がりもしません。勿論ホラー映画ですから、この後は惨劇です!!

 

 

川遊びの途中。主人公の由梨にデジャブが起こる。「あれ?私、この風景なんか知ってる」。私ここに来たことがある。

 

そしてこの川で「一緒に遊ぼう」と手を引っ張った女の子がいた。

 

 

由梨は他のメンバーに確認。そして全員が思い出す。「僕たち(私たち)は10年前にこのキャンプ場に来たことがある」ことを。

 

 

10年前。ここに集められたメンバーは同じ日にサマーキャンプに参加していた。

 

その時の記憶を10年間どうしてか忘れていた。そして段々と思い出してくる「あの日のこと」。

 

 

偶然の再会ではないことに気付き戸惑う一同。

 

 

一同にはもう1つ気掛かりなことがあった。それは日本人形の存在。

頭だけが異様に大きい日本人形。最近、メンバー各自の前に現れることが多発し怯えていた恐怖人形。

 

 

ソファーでスマホを見ていたギャルがギャー!!

SNSに投稿したこの日の写真に、その巨大な日本人形がバッチリ映っていた。コメント欄は心霊写真だ!!とお祭り騒ぎ。

 

 

メンバーは葬式のような静けさに包まれる。

 

 

その瞬間。突然電波が圏外。人里離れたキャンプ場。街に出るには歩いて2時間。熊も出る。

ホラー映画的に助けは呼べなくなる状況が作られた。

 

 

ピンポーン。玄関を開けると噂の日本人形。

 

そして1人。また1人とこの人形の標的にされて逝く。

 

 

____

 

 

 

こんな感じでしょうか。80分映画なので半分までの筋を書きました。

 

 

怪しげなキャンプパーティーに集まったメンバー(大学生とオジサン)は、10年前にサマーキャンプ(小学生と引率者)に参加していて記憶をなくしていたが、その時に何らかの事件を起こした事により恨みを買い呼び戻された。という感じです。

 

 

映画は早い段階でタイトルになる恐怖人形が頻繁に出現します。

 

この人形は直立不動で立っていますが、そのうち動き出すのはセオリーかな。

 

 

 

 

 

小さい通常サイズの市松人形だったらホラー映画的に怖さを感じると思いますが、

 

私としては怖いのか怖くないのか?全く分かりません。

 

だって・・・・もう見るからに着ぐるみじゃないですか。

 


中に誰か人間が入っていること、明らかじゃないですかΣ(・□・;)ゆるキャラですよ。

 

 

小さな人形が襲って来たら怖いけど、ふなっしーみたいな着ぐるみが襲って来たら、怖さ半減じゃないかな??

 

 

 

 

(この人形に、まばたき、とか表情を変えられるクオリティがあったら、多分ヒットしただろうな。。。一応、涙を流す演出はありました。しかし、お漏らししたぐらいの量の涙なので引く(笑))

 

 

顔の部分が大きすぎる事でアンバランスに感じますから、例えば、テレビのバラエティ番組やイベントに番宣の時期になると出演する「コナン君」とか「しんちゃん」などのサイズ感を連想しました。

 

 

鑑賞中は、どうすれば心理的に怖くなるんだろう?と人形の見た目の改良ばかりを考えてしまいました。

 

 

もう少し幽霊感を出せたら良かったのかな?と思いますけど、モンスターのジャンルで言ったら13日の金曜日のジェイソンみたいなキャラクターに近いかな。この映画は無差別殺人ではありませんがアメリカのキャンプと言えばジェイソンです。

 

 

___

 

 

 

主演の【小坂菜緒】さんの女優としての可能性ですが、彼女の一番いいところは、その色に染められるという柔軟性だと思います。

 


映像に飲まれるとより、映像に受け入れられる。

 

 

顔立ちはやはり主役です。純日本人でこんなに可愛らしい女性が脇役だったら逆に目立ちますので、女優としては主役でハマる。ショートケーキのイチゴです。

 

 

強いて苦言を呈すなら、演技自体に「声質」が一緒なのが気になります。

 

 

例えて説明すると、歌を歌う時に、普段喋る声と違う人っているじゃないですか。

おっとりとした喋りなのに、歌うとパワフルなんて方もざらにいます。

 

 

これを演技面に置き換えると、コサカナは喋る声も演じる声も基本の声質の地が一緒なので、女優としてはあまり器用なタイプではないように思えます。

 


今後の伸びしろ面を考えると、セリフの言い回し・「映像映えする表情」は天性のものをすでに持っていますので、あとは「場数の経験」のみになるはずです。

 

 

この映画の撮影時期は、日向坂主演のドラマ撮影と新曲の振り入れとライブ、早朝からはモデルのお仕事など、本当過密スケジュールの中よくやっていましたし、出来上がってきた作品を拝見すると彼女の素晴らしい成長力を感じます。人見知りで大人しい性格の彼女が今後どう化けるのか本当に楽しみです。

 

 

 

他に気になった女優さんが2人います。

 

 

【黒沢あすか】さん演じるキャンプ場の責任者。

集まったメンバーの世話係ですが、登場から退場シーンまで、かなり癖のあるキャラクターでした。

 

セリフに独特の間をつけていて、顔で演技もしますし、私の中ではラジー賞の大賞です。

演出なのか分かりませんけど『楽園』で魅せたカタコトのアジア人の演技は日本アカデミー賞レベルだったんですけどね。今作はなんだか気持ち悪くて、喋るトーンの意図も分からないので、一転して評価を下げました。

 

 

もう1人は、大学生メンバーの一人である【石川瑠夏】さん[22]

 

 

 

 

鑑賞中は普通に映像映えする方だなぁと見惚れていましたが、結構大胆な濡れ場(下着姿・キスシーン)も披露していました。失礼ながら、この映画のクオリティで濡れ場を用意する必要性はそこまでないと感じますが、彼女は曲線的に美しいし、いい園でしたね。昨年TOHO系で公開した『イソップの思うツボ』の主演女優でしたので、その時からかなり気になる存在でした。

 

 

写真で見るとそうでもないけれど、映画を鑑賞中は「桜井日奈子さんの妹」という感じに思って観ていました。セリフを喋る時に顎を前に出す仕草も似ています。

 

 

演技としての魅力は目の力ですね。「目力」と書くより「目の力」で伝えたいです。

猫系の目に塩顔という素朴な顔立ちですけど、色気もあるし妹感もある。主役よりも準主役で輝き、坂を登っていくように視えます。「mAbの一推し女優」でこれからも書いていきたいです。

 

 

__

 

 

 

特に「これを語りたい!」と意気込む熱量はないので、作品について書き残したことはないです。

 

 

映画鑑賞直後にスマホに書き残したメモをそのまま表記します。

 

 

「ちゃんと演技が出来る役者を揃えた自主映画のようだった」

 

「発想やアイデアをどんどん前倒しで描いているのに、結局回収できていない。それなのに、すごく上手く見せようとしているセンス先行型」

 

 

この2つを記していました。

 

 

鑑賞後。1人客は無言ですけど、グループは感想を言い合うのが映画鑑賞後の光景。



エレベーター待ちの間、若い3人組の男子グループが感想を言い合っていましたが、ほとんどが作品の矛盾点でした。



ホラー映画で原則一番してはいけないのが理屈っぽく描くことなので、消化不良感は否めないですが、、

 

 

・・・矛盾点ばっかりですよ。面白かったけど。

 

 

 

 

 

 

脚本 13点

演技 14点

構成 12点

展開 13点

完成度13点

 

 

[65]点

 

 

 

余談話。

 

 

今回上映された劇場がテアトルグループ系列の映画館。過去に数回TCG会員になった経験があります。

 


私はTOHOシネマズ・フリークなので、結局会員になっても観に行く機会は少なく、おまけに有効期限が1年間ということなので、結果的には毎回損をしています。

 

 

自宅にあった会員カードは有効期限が切れていた。裏面記載2014年6月に失効って6年前(^◇^;)

 

 

でもまぁ・・お得な会員サービスとか知っちゃうと、学習もせずに会員になってしまうサガ。

 

 

テアトル会員権。新規会員料金は他の映画会社に比べると高い1000円。大手シネコンのメンバーカードは300円とか500円(新規・更新)なので、倍近くだΣ(・□・;)。

 

 

そのぶん会員DAYは映画を1100円で観れるサービスとなるようだ。さて、何回鑑賞できるのかな?

 

 

この日は丁度、会員DAYだったので映画料金は1100円。カード発行の料金が1000円。

 

 

1週間限定公開の最終日ということもあってパンフレットも購入しようと思った。主演小坂菜緒さんの直筆メッセージ付き。という売り込みに惹かれた。

 

 

「900円です」。ずいぶん高いな。まぁしゃーない。合計3000円

安く観ようと会員になったのに( ゚д゚)

 

 

 

パンフレットをパラパラめくり一言!「え?これで900円?」。主演のコサカナの写真が多めの、ただのメイキング冊子。

これは文句の気持ち。映画のパンフレットとは言い難い代物。でもコサカナのファンは嬉しいだろうな。

 

 

ちなみにTOHOシネコンの全国公開系の映画パンフレットの相場が820円。ファン心理につけ込んだ、ちょっとした商法だなと思いました(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

 

 

肝心のパンフレットの売り込み材料となった「直筆メッセージ」は・・・・コピーでした。そりゃそうか。

 

 

 

image

 

 

 

 

_______

 

 

 

 

その翌日。

 

 

待ちに待った新年最初の新作公開日(1月10日)。

 

 

都内のTOHOシネコンを調べると、邦画『カイジ』Hollywood映画『フォードvsフェラーリ』韓国映画『パラサイト』の3作品が先頭で名を連ねるが、基本どのTOHOシネコンもラインナップは同じでした。

 

 

その3作品以外はないのか??

続いて千葉県を検索します。東京の下町(東東京)に在住なので、TOHOシネコンの東京の次点の検索は千葉です。

 

 

するとTOHOシネマズ市川で、ホラー映画の新作が上映されているではあ〜りませんか!!

日本のホラー映画がTOHOのシネコンで上映されるなんて事自体、年に2・3回くらいですから、テンション上がります。

 

 

ちなみにこれから書きます本作品。東京の上映はなく、現在関東で上映しているのは市川・海老名・小田原の3つです。

(TOHOシネマズのみの情報です。他のシネコンの上映状況は知りません。)

 

 

TOHOシネマズ市川・・・最寄駅は本八幡駅から歩いて10分ほどにある市川コルトンプラザの商業施設内にあるシネコンで、個人的にTOHOシネマズの中でも5本の指に入るお気に入りのシネコンなんです。

 

 

mAbのお気に入りの理由を述べます。

劇場側には不本意だと思いますが、以下の通りです。

 

 

1、基本的に空いている

平日の夕方に鑑賞することが多いのですが、基本的にいつも空いていますので、指定席を選びやすいです。

 

 

2、音響がいい

音響がいい劇場は沢山ありますが、完全好みの話で、聞こえがいいんですよね。

 

 

3、セキュリティーがしっかりしている

シネコンは中に入ってしまえば基本的に野放しです。他の作品の上映時間を調べておけば紛れ込めます。途中からシアターに入ってきて、前の空いている席に座るタダ見の人を何度となく目撃しています。この劇場は各シアター前にスタッフが立っていてチケットを確認するので、そういう意味で安心です。

 

 

皆様も近くにお越しで「映画でも観ようか」と思いましたら、オススメのシネコンなので是非。

ただ、コルトンプラザの自転車置き場で、過去2度も自転車のライトを盗まれましたから、映画館のセキュリティーはしっかりしていますが、施設内のセキュリティーは甘いと思っております(^◇^;)

 

 

・・というわけで鑑賞して参りました。

 

 

_____

 

 

 

『シライサン』

 

 

 

監督🎬

【乙一】

 

 

出演者

【飯豊まりえ】【稲葉友】

【忍成修吾】【谷村美月】【江野沢愛美】【染谷翔太】他

 

 

公開日[1月10日]

 

本編[99分]

 

 

 

今作を観たのが『恐怖人形』を鑑賞した翌日だったので、こんなにも「映像の質」が違うんだなと思ったし、私自身がクリアな画質に慣れすぎていることに気付いた。

 

 

主演には【飯豊まりえ】〔22〕。彼女の出演映画で記事にしたのは昨秋『惡の華』以来です。

小さい頃から知っていますが、意外にもこれが映画初主演とのことオメデタイ!。以前は「若手女優の登竜門」と言われた「ホラー映画」で初主演となりますが、「初」という感じではなかったですね。演技がどっしりしているので。

 

 

 

 

(どことなく顔立ちの凹凸がテロんとしているので、髪型的にも欅坂46の松田里奈さんに見える時間がありました)

 

 

相手役には仮面ライダー出身【稲葉友】さん〔26〕。

Wikipediaで過去の出演作品を確認しましたが、どうやら映画では初見の俳優のようです。

正直なところ、この場合(ホラージャンル)の男性役って引き立て役に徹するのが通例なので、印象的な演者か?と問われれば、あまり印象に残っていません。

 

 

大学生に怖い話を聞かす語り部役には中堅俳優【染谷将太】さん〔27〕。

主演経験のある男優をこの番手で起用することにも驚きですが元々オールマイティープレイヤー。普通にセリフの言い回しが怪談師ぽくて優れているし、パーマのかけ具合から演技は上手いが野暮ったい松本潤似って感じがしました。

 

 

謎の怪死事件に目を付け主人公たちと行動を共にする記者役に【忍成修吾】〔38〕。

忍成君の魅力といえば「声」ですよね。読者モデルをしていた頃から彼を知っていますが、いつまでも見た目が変わらないのも凄いです。染谷翔太さん同様、俳優の中でも声質のいい2名が出演しているので耳心地が良かったです。

 

 

その記者の妻役に【谷村美月】さん〔29〕。

かつては様々な映画でヒロインを張っていた女優もお母さん役ですので感慨深い。過去に心に大きな傷を負い、外出せずに自宅でパソコン作業することの多い人物。主人公たちと別行動になるので、もう少し出演シーンが見たかったキャラクターでもあります。

 

 

以上の主要キャストの他に、mAbが大注目している【江野沢愛美】さん〔23〕も序盤の怪死女子大生役で出演。

飯豊まりえと同じavex俳優部の所属で、すでに鑑賞した作品にも出演されていました。記事にはしておらず待機記事作品です。

映画の見せ場は前半で終わり、以降は驚かしで登場します。個人的に思うのが、主演より顔立ちが目立つ女優さんは印象に残る。

 

 

ホラー映画は出演者切り捨ての展開の印象がありますが、今作はゲスト出演感がなく、各俳優がそれぞれの持ち味を出して好演しているので演技点での評価は私の中で高いです。

 

 

___

 

 

 

この映画で私が一番良かったと思うのは、悲鳴の声がリアルだったことです。

特に夜勤の看護師さんが変死体を発見して、尻もちついて仰け反りかえり「ギャー!!」と叫ぶシーンは素晴らしかったです。

演技をする上で「自分を捨てる」ことは非常に難しいですが、これだけのリアクションをした方が「リアル」だと思いますね。

 

 

他に一人息子の死体を自宅で発見する母親役の、音声だけの悲鳴も臨場感があったし、主役・飯豊まりえの悲鳴も見事です。親友が目の前で殺され血吹雪を浴びた時の悲鳴、素晴らしかったです。

 

 

そういう点では相手役の稲葉友さんの恐怖の演技は、どこか気の抜けたキョトン顔なので、ここはもう少し緊張感を出して欲しかったかな。気の抜けた平岡祐太って感じ。男優の悲鳴って難しいですよね。男って悲鳴をあげないから、どうしても慣れてない感が見えてしまいます。

 

序盤に彼の弟がシライサンに殺害されるのですが、その時の電話でのやり取りは緊迫感があって先を楽しみにしたんだけどな。

 

 

 

 

 

 

もう1人。

シライサンに殺害された大学生の父親が登場するのですが、とてもフンワリしていたので、自分としてはアンガイです。

 

 

妻は既に他界。子供は息子2人。

 

次男が若くして亡くなってしまったのに、霊安室でやけに落ち着いている。

 

 

 

 

(長男も父親の頭皮が遺伝するのかな?なんて目線でも観ていました。)

 

父親の出演シーンは映画の上映時間を考えると、割と多めですし、深いことも中盤に入っていましたが、悲しみの描写も欲しいところです。次男は父親のところにも現れたのだろうか?

 

あと、このシーンで布を少しだけで動かせた方が、映画的には良かったかな。

 

 

___

 

 

 

簡単に物語の筋書きを語ります。

 

 

3人の大学生が温泉旅行に行き、その夜、旅館のロビーで怖い話をしています。青春ですねぇ( ◠‿◠ )

 

 

そこに染谷将太さん演じる酒屋のセガレが、俺の怖い話聞きたい?と輪に入ってきます。

 

 

旅館のバイト君も耳を攲て怖い話を聞くことになるので計5人。

 

 

それからしばらくして、3人の大学生は相次いで亡くなります。いずれの死体も両目がくり抜かれていますが、警察は事件性はないと判断。(この映画に警察の協力はないので、規模は狭いなぁと思いました。遺体処理とかどうしたんだろう?)

 

 

犠牲者の男子学生の兄は、亡くなる直前に弟から電話で会話していました。

その時の弟の様子から只事ではないと独自の調査を始める。

 

 

そして飯豊まりえさん演じる女子大生に行き着く。彼女も数日前に親友を同じ死因で亡くしました。

カフェレストランで食事中、親友が急にひどく怯え尻餅。どうしたの?大丈夫?あまりのパニック状態に手を離してしまい、親友の両目が破裂。店内に血吹雪が舞いました。彼女はその後、手を離したことをひどく後悔しています。

 

 

2人は死の原因と真相を探るべく行動をし、決定的な話にたどり着きます。

 

 

大学生3人が温泉旅館で染谷将太さん演じる酒屋から聞いた「怖い話」の内容です。

 

 

暗い夜道で鈴の音が聞こえ、振り向くと髪の長い女がいる。気味が悪くてその場から立ち去ろうとするが、女との距離は縮まらず、むしろ近づいてくる。「来ないでくれ」「あなたは私を知っている。私を知っている者は殺す」。そうした会話をする。

 

 

男は聞く「お前は誰なんだ?」。

そして名前を伝えた女は、名前を聞いた聞き手(大学生)に「次はお前(の番)だ!」と指をさす。

 

 

__

 

 

 

この映画のバケモノは最恐。

まぁ・・ジャパニーズホラーに登場するバケモノなんて、アベンジャーズも手に負えないくらい最恐最悪なんですけどね(^◇^;)

 

 

名前を知っただけで殺しにくる。口頭で伝えた瞬間に呪いにかかります。「シライサン」。これだけであなたも呪われた。

 

 

映画では、上の「怖い話」をいちいち聞かなければオチに辿り着かないので、怖い話➕呪いで「セット」なのか、あらすじを聞かなくても「名前を知っただけでやってくるのか?」イマイチ分かりません。ここは説明が欲しいところです。

 

 

全国公開となるまでのホラー映画は数が少ないゆえ、年に数本、自分としては毎回同じ展開を辿るお決まりのパターンに視えます。

 

 

身近な人が亡くなって原因解明の旅に出かける。基本的に2人行動、男と女。そして自分たちにも呪いがかかり、より一層解決策を探す行動を起こす。今後のホラー映画も基本的には同じパターンだと思います。

 

 

そして最近多いのが民俗学。日本のホラーはグリム童話系に向かうのでしょうか。

 

 

 

 

__

 

 

 

こういう映画でお決まりなのが、なかなか現実を受け入れないキャラが「嘘だ〜」「呪いなんてあるわけないじゃん」などと言って焦らしますが、この映画は比較的早い段階で自分の状況を受け入れるので、尺的にも素敵です。飲み込みの速さが丁度いい。

 

 

異様に目が大きい女性が『シライサン』。

 

確かに大きい・・・っていうか黒目しかないΣ(・□・;)

 

ただのグレイだ!こんなの(^◇^;)

 

 

 

 

こういうホラー映画ってやたらと目がグリグリしているバケモノ像にしますけど、

 

日本が世界に誇る2大巨頭のバケモノ【貞子】&【伽倻子】を思い出してください。

 

2人とも白目がきっちりあります。最近の貞子は派手なので初期を連想してね。

 

 

白目がきっちりあるホラー映画って、人間の面影があるので、自分の中ではヒットしている気がします。

 

 

そしてシライサン。遠目だとスゴイ雰囲気があります。私自身も怖いと思いましたもん。

 

 

最初は2・30メートル離れた場所にいます。

 

そして瞬きをするたびのタイミングでユラユラと近付いてきます。

 

 

後半は日中に現れますけど、前半は夜に現れます。

 

暗い夜道で鈴が鳴り、振り向くと、浴衣姿の髪の長い女が座っている(←中腰の姿勢の時もある。歪な姿勢で登場です。)

 

それで近づいてきて、最終的に顔のドアップ・・・ただのグレイだ!こんなの(^◇^;)

 

 

遠目のシライさんがちょうどいい怖さなので、そのクオリティを保ったまま近づいてきて欲しかったです。

 

 

私が思うに一番の課題がここですね。でも中盤にシライサンと見つめ合っている時間が長く合って、その映像がシュールでかなり面白かったです。もしシライサンが現れたら、目線を逸らさずに見続けていれば回避できます。しかし半日以上の時間です。

 

 

 

1月期のシネコンはアカデミー賞候補の洋画が続々と公開されます。

これから毎週新作が入ってくるので、シネコンの入れ替えは激しいです。

 

 

今作品は2週・・持って4週間くらいだと思います。

鑑賞意欲を持たれた方はお早めに呪われに入ってください。

 

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [13]点

完成度[13]点

 

 

[67]点

 

 

 

フォローしてね

 

 

 

【mAb】

 

 


THE映画評論『5作品+3作品』

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日本映画

『羊とオオカミの恋と殺人』

 

 

 

 

監督🎬

【朝倉加葉子】

 

出演者

【杉野遥亮】【福原遥】

【江野沢愛美】【江口のりこ】

 

 

 

本編⏰[103]分

 

公開日[11月29日]

 

 

自分の「鑑賞条件」の一番である「TOHOシネマズ系列のシネコンで公開」されていた本作。他のシネコンだったら間違いなく観なかった作品なので、これも縁だと考えます。

 

 

キュートな声質が特徴の女優【福原遥】さんを銀幕で視てみたいと思ってはいました。ほんわかな喋り方なのに強気な表情をするギャップがいいんですよね。

 

 

初めましての女流監督

 

 

ジャンルは殺人鬼スリラードラマ。もっとホラー感を出してもいいように思いますが、ほとんど表れていないように感じました。作風や描写のわりに緊迫感が出せていないのが、この作品のマイナスポイントかな。

一応のジャンルがチラシに「ラブコメ」と表記されていますが、笑える技量が少ないので、この記事ではラブスリラーにします。

 

 

フリも弱くオチも浅い。

描いている描写は過激なのにリズム感がないことで、凪のような鑑賞時間となり長く感じてしまった約2時間。

 

 

 観やすさはありますが、鑑賞する人の気持ちを考えて、気分の高揚がもう少しあったらもっといい作品になったでしょうね。

 

 

無気力のニートが一人暮らししているアパートで首吊り自殺を図ります。それが失敗し、その衝動で壁に穴が開き、隣の部屋が筒抜けに。覗いてみると美しい女子大生が住んでいることが判ります。青年は覗き穴で隣人の生活を観察する日々を過ごし、いつしか生きる楽しみになっていきます。しかしある夜、隣人が連れ込んだ男性に覗き穴を通し嫉妬していると、女性はその男の頚動脈を刃物で切りつけ一瞬で殺害したのです。

 

 

何かの嘘だ。青年はパニックになりますが、それ以後、隣人の女性と知り合い、ご飯を作ってもらったり恋人関係になっていきます。彼女の正体も劇中では早々に紹介されています。若き最強の殺し屋で、依頼を受けると仕事は早い。そして殺害すると外出する。彼女が家に戻る頃には死体回収屋が「何もなかったように」部屋を掃除しておきます。まるでCIAの処理のようです。

 

 

カッター1つで首をシュパッパッ!!まるでジョニー・デップの『スウィーニー・トッド』。

そんな危険な彼女と交際することになった青年ですが、普通に現場に同行したりしますので、一度でも死のうとした人間の吹っ切れ方って凄いなと思いました。

 

 

犯罪者のみを抹殺していくので無意味な殺生はしてこなかった彼女でしたが、青年と交際することになり、口では「殺しちゃうよ」と言っていても強い情が芽生えていきます。

 

 

青年が同じアパートの住人(←ターゲット)である悪人の妹(←健康的な善人)と仲良くしているのを見て、殺そうとする描写は普通に「やめて!!」と鑑賞中に思ってしまいました(゚o゚;;)

 

 

あ💡個人的な目線ですけど、鑑賞中に少々混乱したのが、その青年に恋する妹役の女優【江野沢愛美】さん。non-noモデルですけど、女優としては全くの初見だった江野沢愛美さんという方が、欅坂46のフロント【小林由依】さんに視えて、鑑賞中は「違うよね。でもそうかも。でも声質違うじゃん。でもそうかも」と頭の中で独り言。かなり気色悪い独り言。

 

 

それでエンドロールで「あっやっぱり違うよね」と思ったくらい私の中では似ていました。画像などで見ると違いが分かるのですが、私の中で藤田ニコルさんを見ていても小林由依さんに見える時があるから・・どれだけ坂道グループに関連付けるんだよと自分に苦笑しました。

 

 

(話の筋道それてないΣ(・□・;)??)

 

 

新鋭の監督作品に【江口のりこ】さん[39]が出演されると、自分としてはそれだけでミニシアター系の日本映画に思えてくるんですよね。ちなみに江口さんが演じるのは、殺し屋の主人公が殺った遺体を処理する裏稼業の清掃屋。

どことなくアメリカ映画で描くCIAの処理班を彷彿とさせるキャラクター。ニュースにならないのは、彼女たちの組織が「何事もなかった状態」に掃除工作するからなんですけど・・都市伝説的には実際にもありそうですね。

 

 

 

青年役を演じる【杉野遥亮】さんにも期待したのですが、ちょっとリアクションが大きすぎることで、演技が嘘っぽく視えてしまいました。演出なのでしょうけど、隣の部屋の住人を覗く際に「声が大きすぎて」観てるこっちが「声が大きい」と注意したくなるから、気が散ります(^◇^;)

 

 

相手は殺人鬼ですし、大前提に覗きをしているので、覗くならもっと静かで冷静な演技プランにして欲しかったです。

 

 

今は世代交代で20代の新しい風がドラマ・映画に吹いております。世代交代は10年に1度くらいのペースで起こります。学園ドラマや若手メンバー主体の作品が多くなったらその合図です。数年前までは特にそういう動きがなかったですよね。

 

 

約10年前は小栗旬や山田孝之らが台頭し、当時の30代の主役俳優と交代しました。既に女優は30代を境に世代交代となっていますね。男優は年をとって味が出るので、そういう意味では息が長いですが、今後は『3年A組』などの学園ドラマなどに出演していた俳優が世代交代を起こすはず。この映画で主演していた杉野遥亮にも伸びしろを期待しております。

 

 

上映終了になるまでのスピードは速かった作品になりますが、主人公とヒロインの恋はゆっくり進んで欲しいものです。

いい意味で、自宅のテレビでポテトチップスでも食べながらリラックスした体勢で鑑賞できる手頃な映画だと思います。

 

 

 

 

 

 

脚本 〔14〕点

演技 〔13〕点

構成 〔13〕点

展開 〔14〕点

完成度〔14〕点

 

[68]点

 

 

 

______

 

 

 

『THE INFORMER』

 

 

 

 

 

監督🎬

【アンドレア・デイ・ステファノ】

 

 

出演者

【ジョエル・キナマン】

【ロザムンド・バイク】

【クライヴ・オーウェン】

【コモン】【アナ・デ・アルマス】

 

 

公開日

[11月29日]

 

本編

[113分]

 

 

基本はカタカナ表記だが、日本で英字タイトルのまま公開される作品は、生々しくクールな映画の確率が高い。

 

特徴的な洋画のポスターを見ればわかると思うが、2つの翼(組織)に分かれている。

 

右か左か、どちらの「ガワ」に付くかと迫られるが、翼は両方なければ・・・飛べない。

 

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [14]点

完成度[14]点

 

 

TOTAL[69]点

 

 

 

_____

 

 

 

日本映画

『屍人荘の殺人』

 

 

 

 

 

監督🎬

【木村ひさし】

 

 

出演者

【神木隆之介】【浜辺美波】

【中村倫也】【古川雄輝】【葉山奨之】【矢本悠馬】【佐久間由衣】【山田杏奈】【池田鉄洋】【柄本時生】【ふせえり】【ドランクドラゴン:塚地武雅】

 

 

公開日

[12月13日]

 

本編

[119分]

 

 

 

原作の小説は読んでいないので、まっさらな気持ちで鑑賞する。予告編から「名作誕生」などと言う製作陣の自信満々なキャッチコピーがあったので、謎解きアクション映画という新ジャンルに自分自身も期待し、結果、その強気の売り文句を買って良かったと思わせてくれたのでオールOK。

 

 

体感的には少々ウダウダ長く、後半は飽きが来たが、全体的のクオリティは高い。

 

 

ゾンビたちの演技は日本の演出らしく「あー」とか「うー」など唸っているだけだったが、日本は「ゾンビの国」ではないからこれでいいと割り切って鑑賞していた。昔、役所広司さんの『キツツキと雨』という映画で、作品の中でゾンビ映画を撮っていたが、その時のゾンビと基本は同じ。日本人が撮り・日本人が演じるゾンビは、行き着く演技がほぼほぼ同じになるのだろう。

 

 

同じ大学に通う推理オタクの男子生徒2名と警察の捜査にも協力する天才女子大生の3人が、大学サークルの夏キャンプに招待される。このサマーキャンプは、金持ち学生の別荘屍人荘で行われる恒例行事だが、昨年は参加した女子大生が失踪。主催者は女好きで女性の参加者にセクハラなどやりたい放題。

 

 

初日。近くで開催されている夏の野外フェスで突然ゾンビ化した人間が人を襲い繁殖を始める。命からがら屍人荘に戻ったメンバーだったが、内部感染し1人また1人と毒されていく。

 

 

ヒロインの【浜辺美波】さん[19]は10代ナンバー1女優として、現在、演技力・器用さが求められる作品に引っ張りだこ。「真面目にふざける」という演技スタイルも面白い。先日の『しくじり先生』で白目剥いて授業中(収録中)に居眠りした天然映像がそのままオンエアされたが、それを見て大物だと思った(笑)

 

 

お会いすると普通の若い女優さんという印象しかないが、相当映像映えする顔立ちなのか、銀幕で観ると輝いてしか見えない。女優としては華奢すぎると感じるので、『君の膵臓を食べたい』の時のような良い意味でイモっぽい素朴さが懐かしくなる。

 

 

個人的に残念で仕方ないのは【中村倫也】さん[33]の存在感。いまいちパッとしない。

ドヤ顔の表情が川越シェフのようで、原作は読んでないのでイメージが湧いてこないがキャスティングに疑問を持つ。その生じた理由を説明します。

 

 

原作は大学3回生らしいが俳優の年齢に合わせ、大学を留年し「7回生」に設定を変更したとのこと。

 

 

なので若い世代の俳優に混ざって大学生役を演じていると老けて見える。大学生活7年目って、単純に勉三さんじゃんΣ(・□・;)その中でも最もダメ出ししたいのが「後ろ姿」。基本、この映画は役者を下アングルから映しているので、背もあまり高くないから衣装のズボンがピチピチに映って画面と合っていないように私には視えました。

 

 

主演の【神木隆之介】[26]もヒロインの浜辺美波も、役者としては非常に「タイプ」が近いです。

セリフを言う時も、次のセリフを頭に思い浮かべながら口が動いているので、よく口が回るし、上を向いて喋る。その都度に状況に応じて表情を変える器用さがある。なので何の違和感もなく映像映えの相性がいい。演技質が近いので、兄妹役などでもハマるのではないか。

 

 

それに対して中村倫也さんは、どちらかと言うと下向きに表情を作り感情的な役作りをされる方なので、上記の2人とタイプが違う。例えるなら、お正月に集まった「兄妹と親戚のお兄さん」と言った感じがするので見る分に違和感が生じた。

 

 

中村倫也さんと同型の俳優だったら、新田真剣佑さんだったり、今作にも出演している矢本悠馬さんを明智役に起用した方が、面白みの質が向上したのではないか?と勝手に想像しています。

 

 

乃木坂46主演の映画『あさひなぐ』で出てきたという印象が強いですが、最近の妙にカッコつけたり色気付いた演技・演技プランよりも、あの映画の時のようにハツラツとして少々おバカな役柄の方が、中村さんには合っていると思うんですよね。今回はバツ、次回作に期待です。

 

 

脇を固める出演陣は

 

 

 

 

この言葉が適しているかは観た人の判断に任せるが、可もなく不可もなしというキャスティングか。

半数以上がゾンビ化して、その時点で俳優の見せ場は終了するが、おそらく「この人だから映画が良くなった」と結果論で思える存在感のある方は特にいない。個人的には池田鉄洋さんの演技が昔から好きなので、いい「縁の下の力持ち」具合を楽しんだ。

 

 

私が大学生の頃(2002年頃)。東京の名門私立大学に通う数校の生徒が、サークル活動と題し、女子大生を酔わせたり薬漬けにして強姦するという悪質卑劣な乱交サークルの実態が世に暴かれ大問題になりました。被害にあった女子大生は100人以上いるとされます。

 

 

当時の私はこのニュースに腸が煮えくり返るほど怒りと憤りを覚えました。

この映画を見ていて、その時のニュースと重なり、その時の感情を思い出したので、正直あまり気分のいいものではありませんね。

 

 

演じた俳優も人間が腐ったような悪い顔してるや←(俳優としては合格点)

 

 

推理映画になるのかな?と思って見ていくと、ゾンビが出て来て、繁殖するために人間を襲いにかかる。

結末(エンドロール入り前)は消化不良感が否めないが、映像のクオリティは高いしスタイリッシュでもある。意識高い系の映画。大満足!とはならないが満足な気分を味わえた。

 

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [13]点

完成度[14]点

 

 

TOTAL[68]点

 

 

 

_____
 
 
 

『ジュマンジ2:ネクスト・レベル』

 

 

 

 

 

監督🎬

【ジェイク・カスダン】

 

 

出演者

【アレックス・ウルフ】【マディソン・アイズマン】【サーダリウス・ブレイン】【モーガン・ターナー】/【ドゥエイン・ジョンソン】【ケヴィン・ハート】【カレン・ギラン】【ジャック・ブラック】

 

 

公開日

[12月13日]

 

本編

[123分]

 

 

前回に比べると格段に「迫力が増している」。しかし「迫力」と「派手さ」は映画を語る上での意味合いとしては違う。

続編となる今作品では、ゲームの世界観は変わらないが登場人物が追加され、なぜだか同じゲームの世界がバージョンアップしている。機械が意思を持ちアップロードでもしたのか?。

 

 

ハリウッドの花形ジャンルであるアクションでスーパースターとして君臨する主演の【ドウェイン・ジョンソン】はいつも通りの演者。こうした「筋肉コメディ」の役柄を演じることも多いので、芸の幅が大きいなと普通に尊敬します。

 

 

前回最高のキャラクターだった博士役の【ジャック・ブラック】が目立たない。それが残念でした。

なぜなら私は彼の大ファンだからです。

 

 

 

 

 

元々の『ジュマンジ』はmAbの神様である故【ロビン・ウイリアムズ】が主演の作品でした。リメークとなった前作品。ジャック・ブラックの立ち位置はロビンのコメディアン要素を継いだ演技派。

 

 

ロビンのようにドラマを演じることが少なく、ジャック・ブラックは態度で下ネタを表現するタイプなのでコメディアンのイメージが強い。ロビン・ウィリアムズのオゲレツ版といったところ(笑)ファンである自分には前作が最高だったぶん、もっと神がかって欲しかったですね。

 

 

前作(前回)あれだけ大冒険を行い命からがらゲームコンプリートした主人公が、現実社会に戻ると「こんなはずじゃない」未来を進んでいる。ゲームの中では大冒険で大活躍したが、リアル世界では気弱なオタク系大学生のまま。

 

 

壊したはずのジュマンジのゲーム機だったが実は壊してなかった。そして1人でゲームの世界へ入る主人公。まさに現実逃避。

 

 

ゲームの世界に入ると完全制覇するまで現実社会には戻ってこれない。ゲームの中で死ぬと現実でも死ぬ。同窓会で集まったメンバーは主人公がいないことで自宅訪問。彼がジュマンジの世界に入ったことを知ると、救出するために再びジュマンジの中へと入り込む。そして大冒険が始まる。

 

 

新しい設定がジュマンジのゲームの世界で継ぎ足されている感が強いけど、もし3が製作されるなら原点回帰して欲しいな。

古いゲーム機のゲームソフトでここまでの世界観があるのなら、現代のゲームだったらどんなことになるのか?

今度は日本を代表する格闘ゲーム『ストリートファイター』のソフトに入って欲しい。もしくは『スーパーマリオメーカー』のようにゲームの世界に入った主人公が自分でカスタマイズして突破する脚本にした方が若者に受けるのではないかなと思いました。

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [15]点

構成 [14]点

展開 [13]点

完成度[14]点

 

 

TOTAL[69]点

 

 

_______
 
 

 

 

Frozen2

 

『アナと雪の女王2』

 

 

監督🎬

【クリス・バック】

【ジェニファー・リー】

 

 

公開日

[12月20日]

 

本編

[142分]

 

 

 

公開前・公開後。日本版の声優を務める【神田沙也加】さんに離婚報道が出されました。

さらにジャニーズ事務所所属のJr(後に解雇)との不倫スキャンダルも同時期、報道されました。

 

 

最もスキャンダルを嫌うディズニー。子供に夢を与える存在ですので、離婚に不倫は最悪ですね。

彼女が数年後の続編「frozen3」に続投するかは不明だが、無事に公開されて良かったと思います。

 

 

・・・ちなみに初回も今回も「字幕版」のみを劇場鑑賞しているので、吹き替え版は1度も見ていないんですけれどね(^◇^;)

 

 

前作公開以降の社会現象は記憶に新しいです。どこに行っても「レディゴー」が街の音楽で流れていましたし、運動会で、何かの発表会で、コンサート会場で、テレビをつけても「ありの〜ままの〜」が聞こえてきました。

 

 

私自身が前作を映画館で観てアナ雪を気に入ったから良かったものの、映画を観ていない人の身になって考えてみると、ちょっと怖いぐらいエンドレスリピートしてましたね。

 

 

話は脱線しますが「子供を中心に社会現象」になった『パプリカ』がレコード大賞を受賞したのだから、この時期同じ現象になった『Let It Go』と『妖怪体操』はどうして大賞にならなかったのだろうと疑問に思います。

 

 

話を戻します。

 

 

今回はアクションもあり背景も壮大・脚本やセリフも手が込んでいましたので、鑑賞中は小さいお子様に理解ができるのかな?と気にはなりました。

 

 

『劇場版ドラえもん』も近年は大人向けに話の内容やセリフが作られていますし「子供向け」というアニメの考えは古いのかもしれませんね。「大人も子供も楽しめる」というよりは「大人が楽しめる」作品に仕上がっていると思います。

 

 

 

 

 

 

____

 

 

 

The Rise of skywalker

 

『スター・ウォーズ:エピソード9』

 

 

 

 

監督🎬

【J・J・エイブラムス】

 

 

出演者

【デイジー・リドリー】

【アダム・ドライバー】【ジョン・ボイエガ】

【オスカー・アイザック】【マーク・ハミル】

【ビリー・ディー・ウイリアムズ】【キャシー・フィッシャー】他

 

 

公開日

[12月20日]

 

本編

[142分]

 

 

 

採点を付けようとは考えることもなく、ただただ大好きなスターウォーズを堪能した。

 

 

しかし本作の評価は過去9作品の中でもワーストに入るとアメリカの映画批評サイトが出していた。

日本は「壁に耳あり障子に目あり」で映画を酷評することは出来ませんから、こうして海外の素直な評価を見るのは時として興味深い。

 

 

女性(レイ)が主人公になってからの2作目(8)・そして3作目(9)はコケている印象が残念ながらある。

ヒットメーカーのJ・J・エイブラムス作品も絶賛と思える作品が近年なくなっている感覚。

やはりシリーズなので、好きな人が好きな映画を観る、という形でいいだろう。

 

 

__

 

 

 

今回は本作を「MX4Dシアター」で鑑賞した。椅子が揺れたり水飛沫や空気が観客を直撃する。

 

 

以前からスターウォーズが公開されたら4D上映で鑑賞しようと決めていたのだけど、正直な感想、作品と椅子の動きが連動していないからガタガタ落ち着かないし、無意味な場面で椅子が揺れるから不必要にも思えた。

 

 

これがアメリカやヨーロッパだったら、鑑賞中に椅子が動けばアトラクション感覚で客が声を上げるだろうから、楽しみ方も違うと思う。映画を観終わった後の興奮した様子が眼に浮かぶ。

 

 

日本は椅子が動いても空気がかかっても水がかかっても無言。劇中、何度か確認したが多くの観客がノーリアクションだった。

そう考えるとシュールで鑑賞マナーを守る鑑賞人種だなぁ(笑)

 

 

 

鑑賞料金は4D座席の追加料金が別途かかり、おまけに「3D上映」の追加料金400円も追加され、映画2本分くらいの料金を支払った。

 

 

公開2週目の夕方。師走の年末に鑑賞。映画館は老若男女大変な賑わいでした。

 

 

しかし、ほとんどのシネコンで混雑していた本作品も、現金なもので追加料金のかかる4D上映は観客が半分くらいしかいなかった。そりゃそうか1作品の鑑賞料金で3000円以上かかるとなれば通常版を鑑賞しますよね。経験上、鑑賞料金に追加料金がかかる劇場(ペアシートやプレミアムシート)は基本的に空いています。

 

 

一つのシリーズの終わり。ハリポタもロードも、その度に「一つのシリーズの終わり」を味わってきました。さよならもいいものです。

 

 

何年後になるか分かりませんが、エピソード10が公開される頃には、もっと科学が進化して・・・自分の最終的な理想形を語ると、ディズニーシーの「タワー・オブ・テラー」が最も理想的で、こういうSF系の映画を映画館で観るときは、椅子だけで真上に登ったり真下に落下するような感覚になりたいです。場内が明るくなると何人かが失神・失禁しているようなクオリティで(笑)・・失礼しました。

 

 

 

 

 

 

採点不能。

 

 

 

____

 

 

 

『男はつらいよ おかえり寅さん』

 

 

 

 

監督🎬

【山田洋次】

 

 

出演者

【吉岡秀隆】【後藤久美子】

【賠償美智子】【前田吟】【池脇千鶴】【桜田ひより】【夏木マリ】【浅丘ルリ子】他

 

 

公開日

[12月27日]

 

本編

[116分]

 

 

書くのは無理。作品や作風に対する愛が深いので、書くと「愛が重く」なります。

劇場で鑑賞しても面白いでしょうし、ご家庭でお煎餅をかじりながら鑑賞するのもなお良しです。

 

 

映画を観終わった後に、シアターから出口に向かう際に老夫婦の会話が聞こえてきました。

「満男を演じた俳優、シワだらけだったな」「そうねぇ」。正直それは私も気になっていました。

 

 

全然作品とは関係ないんですけど、吉岡秀隆さんの目のギャロギョロした動きってスリラージャンルに向いていると思うんですけどね。今回は【後藤久美子】さんが出演し、寅さんシリーズでも晩期のキャラクターとなりますが、子供の頃にテレビで見ていたお姉さん・お兄さん俳優なので懐かしかったです。

 

 

あ💡この機会に書いておきたい女優が1人。

満男の一人娘を演じる【桜田ひより】さん[17]が、mAbの今一番の一押し女優です。

 

 

 

 

(佐藤蛾次郎さんの存在感、最高!)

 

彼女が別の芸名で活動していた子役の頃から注目しています。日本のエルファー(【エル・ファーニング】)だと思っています。今回、私が大好きな寅さんに・山田洋次作品に・出演していて本当に嬉しかったです。お祖母ちゃんに甘える様子も可愛らしくて、すれていない所がなお良し。日本風で純粋な少女の役柄が多いですが、第二の杉咲花!!間もなく主役級の女優さんになる器です。

 

 

 

最後に。

 

 

山田洋次監督を心の底から尊敬しています。

 

 

1993年。

私が小学生低学年の頃に、父親に連れられて、初めてアニメ以外の映画を映画館で観たのが監督の『学校』でした。

その時に鑑賞した浅草にあった松竹の映画館は時代の波に飲まれ閉館してしまいましたが、近くを通るたびに思い出します。

 

 

いつまでもお元気で、変わらぬ温かさで、人情ドラマを発表し続けて欲しいです。

 

 

 

 

 

_____

 

 

 

 

 

 

 

原題『Extremely Wicked,shockingly Evil and Vile』

 

 

『テッド・バンディ』

 

 

 

 

 

監督🎬

【マイケル・エングラー】

 

 

出演者

【ザック・エフロン】

【リリー・コリンズ】

【カヤ・スコデラリオ】【ジョン・マルコヴィッチ】

 

 

公開日

[12月20日]

 

本編

[109分]

 

 

全米の劇場では公開されずに、Netflixのみのネット配信で視聴された作品だそうです。

 

映画館での劇場公開は日本のみとのこと。

 

 

この作品とは関係はありませんが、

世界中にサイコパスとされる殺人鬼がいるように思われますが、犯人の多くがアメリカ合衆国に集中しているとのことで、殺人鬼の国別数はアメリカがダントツです。ちなみに一番多いのはワシントンD.C.とのことです。

 

 

今作品の主人公【テッド・バンディ】は1946年に生まれ1989年に電気椅子で処刑された人物です。

殺人容疑で逮捕された後に自分の弁護を自分で行った人物としても有名であり、甘いマスクに殺人鬼でありながら女性のファンが多かったという非常に稀な犯罪者でした。

 

 

過去に映画化もされたので、その時にテッド・バンディのことを知りました。日本では無名の殺人鬼でしょうけど、こうして映画のタイトルが人名になると知名度も上がると思います。

 

 

この映画はテッド・バンディが、接触した女性の中で唯一「殺さなかった女」とされるエリザベスの視点を元に当時のエピソードを映画化したようで、エリザベス目線とバンディ目線で描かれています。

 

 

彼が犯行を行ったクロであることはWikipediaや雑誌などから情報を仕入れられますが、この映画を観ていると、時々「本当に彼がやったのかな?」とクロ前提で鑑賞しているのに分からなくなる時間が自分にやって来たんですよね。

 

 

作品がそういう(擁護的な)描き方をしていることもあるのでしょうけど、若い女性を狙い、約30名の命を奪った殺人鬼の映画としては、ショッキング&グロテスクなシーンもないので非常に観やすく、映画として楽しめる出来に仕上がっていました。

 

 

先ほど、タイトルが人名になると知名度も上がる、と思いを書きましたが、『テッド・バンディ』は邦題であり、アメリカでの原題タイトルは『Extremely Wicked, shockingly Evil and Vile』です。

 

これは実際に死刑宣告を受けた時に読まれた判決文の一部の言葉で、訳は「極めて邪悪、衝撃的で凶悪で卑劣」となります。

 

 

この作品は私としては非常にオススメの秀作に思えます。

 

 

一番は【ザック・エフロン】[32]の演者としての存在感が素晴らしく、アイドル俳優と呼ばれた映画スターの面影は今作にはなかったです。一昨年の『グレイテスト・ショーマン』での好演で演技派としてのキャリアが花開いてきた俳優。

 

 

相手役の【リリー・コリンズ】[30]は、2012年『白雪姫と鏡の女王』でブレイクした太い眉毛が特徴的な女優さん。

今作の役はシングルマザー役。冒頭バーでバンディと知り合うのですが、乳飲み子の我が子を置いて酒場で男と知り合う様子を観ていて、少し嫌悪感を抱きました。

 

 

朝起きると子供がいない。慌てて探すと、キッチンでバンディが子供をあやしながら料理をしている。

彼女は彼の優しさに触れ「幸福感」を覚える。そのシーンのリリー・コリンズの表情の変化が素晴らしかったです。

 

 

そして最後に。もう1人気になる役者が出演しています。

 

 

バンディは逮捕後も何度も脱獄しては何とかして彼女にコンタクトを取ろうとしますが、彼女も彼への愛はあるけれど、心労で精神的にまいってしまいます。そんな時期に知り合うのが会社の小太りな同僚ジェリー。

 

 

 

 

・・・この瞳、見覚えがあるな。映画を鑑賞中に、思わず「あっ!」と声を上げてしまいました。

 

 

天才子役【ハーレイ・ジョエル・オスメント】君です。

 

 

 

 

『シックスセンス』そしてスピルバーグの大作『A.I.』の主演。当時は彼の作品が好きで映画館に足を運びましたよ(^ ^)

 

 

アメリカの人気子役はカルキンがいい例で成長期に入ると表舞台から消えることが多いですが、ハーレイ君も18歳の時に飲酒運転で逮捕、マリファナ所持などが報道されています。

 

 

久しぶりに銀幕で観て、率直に思ったのは、とにかく瞳が優しい。ヘンテコな言い方ですけど、アメリカの太っちょ俳優に、こんなに泣きそうな瞳をしている俳優はいませんよ。バンディに愛し愛され心労のシングルマザーのことが好きで、ゆっくり時間をかけて彼女にアピールしていく役。適任でした。

 

 

2019年の大晦日。この作品を私の1年のシメの映画に選んで鑑賞しました。

アメリカの中でも最も稀なシリアルキラー。殺人鬼テッド・バンディ。

 

 

 

 

この幸せな家族の様子のどこに、殺人鬼のシグナルがあるのでしょうか?

 

 

素晴らしいドラマ映画でした。

 

 

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [17]点

構成 [15]点

展開 [13]点

完成度[14]点

 

 

TOTAL[73]点

 

 

___

 

 

 

昨年下半期の劇場公開作・鑑賞作品はほぼ記事で書きましたが、もう1作品あります。

 

 

最初はこの記事の中で書こうと書き始めました。

 

そして5000文字くらい書いたところで、「他の作品の文字数がなくなるから」と手が止まり、次の記事で別書きしようと判断して複製して移しました。それだけ熱くなってしまった作品と出会いました。季節は冬なのにホットホット。

 

 

最低1万文字。さらに文章を足しますが下地はできているので、あまり間隔を空けずに(今週中には)記事を更新できると思います。

 

 

 

フォローしてね

 

 

 

【mAb】

 

 

THE映画評論『Doctor Sleep』

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『ドクター・スリープ』

 

 

 

 

 

監督🎬

 

【マイク・フラナガン】

 

 

出演者

 

【ユアン・マクレガー】

【レベッカ・ファーガソン】

【カイリー・カラン】(子役)

 

【クリフ・カーティス】

【エミリー・アリン・リンド】

【ジャック・トランス】

 

 

公開日

[11月29日]

 

 

本編

[152分]

 

 

 

この作品が2019年度。mAb最高得点となります。現在は公開を終了している劇場が殆どだと思いますので、ディスク・配信化しましたら是非とも自宅鑑賞してくださいね。

 

 

原作者【スティーブン・キング】[72]。

若き日のキングが描いた不朽の名作映画1980年『シャイニング』。

アメリカ人が大好きな2つの組み合わせ。

 

 

この作品を「映画館で鑑賞する」となると予告を入れて3時間になります。最初は長いと思いました。基本的に私の映画鑑賞の体力・集中力は120分前後で切れるよう(体質)になっているからです。アドレナリンが出ているボクサーが3分後に体力・集中力が切れるのと同じ。

 

 

そして鑑賞から2日後。私は再びこの作品を鑑賞していました。何度も書いているが劇場公開作品を2回以上観にいくことは珍しい。基本的に1回で十分。そうやってこれまで18年間の劇場生活をやってきた。

 

 

それだけ魅力的な作品に仕上がっていたし、そもそもの前提として私は【ユアン・マクレガー】[48]が出演する映画のファンだ。俳優のファンというより、彼の主演する作品のファンである。自分好みの映画にたくさん出演している。

 

 

2000年代初期、丁度自分が映画を観始めた頃に、2001年『ムーラン・ルージュ』でブレイクした俳優なので、思い入れ(情)も強くある。

 

 

 

 

 

初めて映画館で観てから18年。いつも思うこと。

・・・見た目が全く変わらないのが凄い。ユアン・マクレガーの新作映画は定期的に日本で上映されるため劇場鑑賞できるのが有難いけれど、トム・クルーズみたいにいつまでも顔立ちが変わらないし、シワも少ない。2005年公開『アイランド』のクローン人間が現実でも替え玉しているんじゃないかって疑うほど(笑)

 

 

本作品の上の場面写真を、仮に2008年の作品と言っても、そこまで違和感がないだろう。

 

 

_____

 

 

 

上映時間は2時間半。

シャイニングの続編になりますが、「シャイニングを観たことがない・・」と鑑賞の選択肢に入れなかったそこのあなたに朗報!!

冒頭の部分以外は、そこまで過去の作品の知識を必要としませんから、続編というよりは新作として鑑賞できるので大丈・・V。

 

 

そして映画終盤。映画が始まり実に2時間が過ぎてから、往年ファンお待たせしました!と言わんばかりに、シャイニングの代名詞である例のホテルを舞台に移しクライマックス。

 

 

その終盤のシーンでは、あの頃子供だったダニーが、亡き父親の面影や亡霊を追うようにこのお姿になるのです。

 

 

 

 

 

おっ。ユアン・マクレガーの顔つきが変わった!!これだからハリウッド俳優の変化能力って凄い。

一気に年相応のイギリス人(スコティッシュ)の顔立ちになった。蠟人形感もある。しわも多い・・・肌にハリはあるけど。

 

 

___

 

 

 

久しぶりに物語文を書きながら、映画についてを語っていくスタイルで書こうと思っています。

先に断っておきますが普通の物語文(あらすじ(レヴュー))ではなく、癖のある書き手の「節」がありますので、解釈や発想など色々とご了承くださいませ。書いている本人が楽しくないと、読んでいる方も楽しくないでしょうからね。

 

 

さぁ楽しい映画の時間だ!←この書き出しのフレーズ、数年ぶりに書いた。

 

 

 

冒頭は1980年。

雪山の幽霊ホテル・・オーバールックホテルから逃げた母と息子の生活風景。

その後は、もう雪は見たくない!という理由で南国フロリダに移住しています。

しかし息子で霊感体質(シャイニング=特殊能力を持った人間の呼称)のダニーには、ホテルの亡霊たちが今なお大量に取り憑いているのです。(現場から離れられない地縛霊ではなかったんだΣ(・□・;))

 

 

 

この冒頭は名作『シャイニング』の惨劇後すぐの母子の生活を描いたものですが、何しろ40年前の映画ですから『シャイニング』自体を見た事がない人も多いのではないかと思います。アメリカ映画は続編の場合、作品の中で前作のあらすじを観客に説明しない強気の作風になるので、未鑑賞の方には少々描いている背景や説明が分かりづらいかもしれませんね。文字数に限りがあるので『シャイニング』紹介はしませんm(_ _)mとりあえずこの四行で3回のタイトル連呼をしてみました(笑)物語に戻します。

 

 

ダニーには悪い霊達が取り憑いていて、四六時中なにかしらのアクションで恐怖を煽ってきます。

特に厄介なのは風呂場で腐敗した中年女性の霊ですね。ホテルの「237号室出身」の亡霊。この映画内で度々登場します。お風呂場の扉が開いて、バスタブの中から晩年の小野小町みたいな痩せこけた裸の老婆がニョキと起きてきて手招きする。一見弱そうですけど掴まれたら最期、きっと同じ世界へ引き摺りこまれると思います。もちろんあの世に。

 

 

母親には話せない。また心配をかけてしまう。彼女も夫を亡くしたばかりのホテルの被害者だ。

そんな少年ダニーの前に度々現れては、生きる方向性を指南する黒人紳士ハロラン。懐かしい!!例のホテルで料理長をした重要キャラ。彼は同じ能力者なので子供の頃からダニーを気にかけてきました。

 

 

ハロランはダニーに生きていく術を教え、心に寄り添い、進む道を教えてくれる善きバケモノです。以降は人生のターニングポイントとなる場面で登場するキャラクターになります。

 

 

そして、ここが私が思うこの映画で一番大事な設定です。紐解くならばここに刮目せよ。

怖がるダニー。このままだと彼の心が壊れてしまうと思ったハロランは、「心の中に虚構の箱を作り、その中にホテルの亡霊達を封印せよ」という術を教え、解決法を導きます。ハロランの親心が優しく映るシーンです。

 

 

特殊能力を使って心の中に悪いモノを閉じ込めて鍵をするわけです。自分の中に閉じ込めて封印するという術(業)。

 

 

ダニーはまず手始めに例のバスタブの地縛霊女性を心の中の箱に閉じ込めます。

 

 

 

 

 

他の亡霊達も同じように封印。同じ力を持った能力者がダニーの心の中を覗くと沢山の箱(棺桶)が出現。開けてはなりません。

 

 

ダニーはそれを行った事で、とりあえずは普通の少年時代を過ごしていく筈・・と思いました。

映画は一気に飛んで30年後へ。そこには幸せには見えないダニーが映ります。

 

 

30年もの間、そこからの彼がどう生きてきたのかを映画内で知りたいところですが、完成品である映画の進行に従います。こういうテロップだけで説明なしの年数経過の展開はいつも残念に思うんですよね(;_;)。

 

 

 

2011年

 

 

 

40代。オッちゃんになったダニーボーイは、亡き父親と同じようにアルコール中毒者となっていて、酒が入ると我を忘れて暴力的になる日々を過ごしていました。数年前に母親ウェンディを亡くし、現在・独身・職なし・孤独な日々。

 

 

その背景には自分の能力(シャイニング)を抑制するストレスから酒に走ってしまったように想像できますが、見ているぶんにはヤサグレた汚らしい中年英国人にしか見えません。

 

 

一夜限りの関係を持った女の家で目を覚ます。財布の中身が空っぽ。女がドラッグを買うために俺の金を盗んだ。ダニーは寝ている女の財布から札💲を抜く。

 

 

その時に現れる黒人幽霊ハロラン。お金を返しなさい。「だって・・」この時のダニーの反応はまるで子供みたいでした。ダニーにとってハロランは甘えられる大人の存在なのでしょうね。

 

 

彼の出現により本来の優しいダニーに戻ると、このままではダメだと新天地を求めて長距離バスに乗り、ニューハンプシャー州の小さな町にたどり着きます。スティーブン・キングの小説はこういう田舎町を舞台に日常と非日常を混ぜ合わせて描かれるのが特徴。

 

 

偶然か必然か。降り立ったダニーは最初に出会った親切な町民ビリーと大親友になります。

ハロランのように死者の親友はいても、生者の親友(友人)はこれまでのダニーにはいなかったと想像します。

 

 

ビリーはとことんいい奴で、出逢ったばかりのダニーに、自分が住んでいるアパートの空き部屋を大家に仲介し紹介。さらに依存症を抱える者達が集まるセミナーに連れて行き、ダニーはそれ(親友)をキッカケにアルコール依存症を克服するのです。

 

 

そのセミナーがキッカケで職も見つかる。老人ホームのホスピスの従業員(受付・雑用など全般)。

 

 

死を間近に控えた患者の不安な気分を落ち着かせるために、長い間封印していたシャイニング(相手の脳に(テレパシーで)話しかける)を使う。彼は患者に言われた「ドクター・スリープ」(良き眠りを導く医者)と。持つべきものは友!ビリーとの出逢い以降、いいことづくし✌︎('ω'✌︎ )

 

 

 

(訪問するハロラン)

 

 

 

同じ時期。2名の能力者が登場する。

2011年以降は、ダニーを入れて3名のキャラクターを軸にし映画は展開。交互に描きながら進行します。

 

 

1人は黒人幼女の【アブラ】。誕生日パーティーのシーン。

 

 

黒人の父と白人の母という組み合わせ。

見た目が黒人なので、白人の母親と一緒に画面に映るシーンは、未だに私の中で違和感が生じます。

 

 

アブラの能力(シャイニング)は桁違いで、家中のシルバー(ナイフ・フォーク・スプーン)を天井に浮かせたり、「私凄いでしょ」と言わんばかりに興味本位で両親を驚かせます。ちなみに能力の遺伝性はないようです。

 

 

もう1人は、今作品の敵です。

 

黒いシルクハットがトレードマークの【ローズ・ザ・ハット】という女性のバケモノ。

 

 

 

 

彼女は分かりやすくいうと吸血鬼ヴァンパイヤみたいな化け物です。

 

ヴァンパイヤと違うのは人間なら誰でもいいわけではなく、能力者の生気を吸うことによって不老不死状態を維持する種族であるということになりますかね。

 

 

ローズの年齢は分かりませんが何百年も生きているヤバい奴。

 

 

団体ではなく少数精鋭でキャンプ。

獲物(食材)にするのは能力者なので手強い為、仲間を増やしてチームプレーで捕獲をしているのだと想像します。

 

 

 

この時期にショートカットがよく似合う若い金髪女性アンディを儀式を行い仲間に迎え入れます。

 

 

 

 

 

「トワイライト」と同じく、一度死んでから転生するようです。人間やめまして・・バケモノ始めます。

 

 

その以降のシーンで顔ぶれが変わりませんから、頻繁には新メンバーを追加しないようです。

 

 

____

 

 

 

それから8年後の2019年。年数経過のワープもこれで終わり。

 

 

いよいよ3キャラクターが接触する展開になります!

 

 

成長したアブラは中学生に。

かねてから同じ能力者であるダニーにはメッセージを交信し合っていました。

ダニーの部屋の壁に、時々アブラのメッセージが浮かび上がり、交換日記みたいなやり取りをしています。

 

 

そのダニーの部屋の壁に、ある夜、壁が割れる程のメッセージが届きました。

 

 

同時進行。

 

 

ローズが能力者の野球少年を誘拐し、その子供を深夜の人気のない工場で殺害しようとしています。

 

 

ローズ率いるバケモノ集団「トゥルーノット」は主に子供の能力者を襲い、その生気を吸うことによって生き続けてきましたが、ここ数年でその食事が満足にできていない危機的状態に陥っています。

 

 

私としては、そのままくたばってしまえばいいのに、と思いますがそれだと映画になりませんね(^◇^;)

 

 

彼らの食事は「能力者の生気」です。描写は非常に残酷。

 

 

ナイフを刺して口の中から白く煙のような生気が出る。それを吸うチーム・トゥルーノット。

 

 

特に生きたいと必死に足掻く生気が非常に美味らしく、ゆっくりゆっくり最後の一息まで搾り取るため、時間をかけて拷問していきます。

 

 

少年が虫の息となり息絶えると、その場に穴を掘り埋める。

 

 

少年の苦しみの感覚とLIVE中継のホラーを体感するアブラは「やめてーーーーー!!!」と泣き喚きます。

ノーマルな両親が娘の部屋に飛んできて、抱きしめる。

 

 

餌の少年を貪り中のローズは、そのアブラの強いエネルギーに気付き、驚きのあまり食事を忘れて検索にかかる。仲間が言います「どうしたローズ?」。「能力者を見つけたわ。とてつもなく強い能力を持った少女よ」。

 

 

一方で、アブラの我を忘れた悲鳴に、寝ていたダニーが飛び起きます。メッセージボード化している壁にはアブラの文字が浮かび、野球少年が殺されたと伝えられる。

 

 

 

 

___

 

 

 

数日後。

 

 

アブラは学校のパソコンで全米の「行方不明児童」の一覧を閲覧しています。

 

 

顔写真とパーソナル情報が表示されています。

SNSの普及により誘拐事件が増えた日本もいつかそうした情報公開の日が来るんですかね。

 

 

アブラには人の心の声が読めると言う能力があるので、学校の中では色んな雑念や雑音を拾うことになります。「あの子が好きだ」の自分とは関係のない声から、「うわアブラがこっち見てるキモい」などストレスになる声など。

 

 

行方不明の児童・・その中にあの時の野球少年を見つけハッとなり、少年の名前などをメモに取る。

 

 

自宅に戻ったアブラは能力を使用し、少年を襲った犯罪集団の追跡を始める。

そしてスーパーで買い物中のローズを見つけ監視する。

 

 

 

すぐに気付いたローズは向こうから接触してきたことに喜び、冷蔵のガラスケース越しに対面。

 

 

 

 

特定しようとするローズですが、次の瞬間、アブラの高い能力によって吹っ飛ばされます。

 

 

スーパーの店員や客が集まって来る映像がシュールで面白かったです。

 

 

鼻血ブーのローズは、仲間の元に戻り、アブラを次のターゲットにすることを仲間に伝える。

 

 

 

翌日。

 

 

アブラは学校には行かずに、長年カベでやり取りをしていたダニーに会いに行きます。

 

 

初対面ですがお互いテレパス。出会って3秒でダニーは気付きました。

 

 

 

 

 

アブラにとっては初めての能力者。そして信頼できる大人。

野球少年を掘り起こして、彼が身につけていた野球グローブを手掛かりに、トゥルーノットを追跡すると伝え、協力を願う。

 

 

 

しかしダニーは少女の協力を拒み、今後は能力を隠した方が賢明だと家に帰す。こういう能力者を襲う集団がいることは人生の師ハロランを通し知ってはいるが、彼らと戦うのは無謀だとダニーは思っている。

 

 

なので能力を発動すれば、彼らに気付かれてしまうのではないか。そういう風に能力を封印して、生きて生きて生きて生きて生きてきたんだよなぁ・・何故かあいみょん風に描いてみました。(本当に何故?)

 

 

このアブラ役の子役女優【カイリー・カラン】は、結構ニヤニヤする口元と自信に満ちた瞳が印象的でした。

男の子のように見える時もあるし、年相応の少女に見える時もある。とにかく流石ハリウッド!子役の演技質が高かったです。

 

 

その夜。2人の元に2人の訪問者が。

 

 

ダニーの元にはハロランが現れます。「これが最後の訪問になる」と言うハロランは、かつて自分が君にしたように、今度は君が少女を守ってあげなさいと指南する。子供が進むべき道を教えるのは、やはり大人の役目なのでしょう。ハロランの温かな思いやりの心に私の胸は温まりました。

 

 

 

アブラの元には再びローズが現れます。捕獲本番まで取っておけばいいのに、ローズもローズで冷静さを欠いているんでしょうね。

 

 

ローズはキャンピングカーの上であぐらをかき瞑想状態に入り、自分の魂を幽体離脱で飛ばすという能力の使い方。

幽体離脱したローズは全米中を飛び回り、『X-MEN』のプロフェッサーXみたいに能力者の居場所を突き止め、接触します。

 

 

(ここで思うのは、幽体離脱中のローズの肉体はキャンピングカーの上にありますので、もしローズを倒すのならその状態になったところを銃か何かで撃てば近道なんじゃないかなぁ)

 

 

難なくローズの住む土地・住んでいる家を見つけ、部屋の中に侵入するローズ。しかしそれはアブラのトラップで、何百年も生きているローズは、人生13・14年目の少女にあっけなく返り討ちにされてしまう。

 

 

さらにアブラに心の中を覗かれ、重傷を負わされ、命からがら幽体離脱した魂を定位置のキャンピングカーの上で座っている肉体に戻す。

 

 

肉体に入るとゴロゴロドスンと地面に落ち、近寄った仲間にアブラを捕まえることを命じる。相手は最強の能力者。捕獲は困難だが、捕獲できた場合は史上最高のご馳走になる。

 

 

___

 

 

 

ローズ撃退後、アブラはテレパシーでダニーに報告する。「ダニーおじさん!あいつを倒したよ!」アブラの声弾む、嬉しそう。

 

 

必ずトゥルーノット集団がやって来る。アブラを殺しにやって来る。助けられるのは自分だけ。命をかけて君を守る。

ダニーはハロランの気持ちを受けて、アブラに協力することを決める。

 

 

ダニーはその足で下の階に住む大親友ビリーに車を出して欲しいと懇願。目的地は野球少年殺害現場だ。

長距離移動中。ダニーは親友ビリーに、自分の能力を告白し、敵の存在を説明する。

 

 

アブラは映画の展開が進むごとに、どんどん自分の能力を向上させていて、この頃になると、テレパシーだけではなく車の後部座席に座って話をするようになっています。

 

 

これは前日に撃退したローズの十八番である幽体離脱。実体は自宅で瞑想状態中。1日でローズの能力を習得してしまうのですから、この能力をいい方向に使えば世界は平和になるかもしれませんね。ローズの能力を習得したと言っても、アブラは転生していませんから人を襲いませんし、普通の食事で構いませんので♪( ´▽`)いけるぞアベンジャーズ入り。

 

 

半信半疑だった普通の人間ビリーも、少年の遺体を掘り起こし確信。親友の窮地を助けるために行動を共にします。

アブラの自宅へ行き、こちらも普通の人間である父親に事情を話し協力を願う。

 

 

最初は中年の大人とペアで行動することに不審がっていて大激怒していた父親ですが、そう言う相手には能力を見せれば一発ですね。

 

 

 

アブラ捕獲のために最大限の警戒をしたほうがいいと、負傷中のローズをキャンプに待機にさせ、トゥルーノットはリーダー不在の状態でアブラ宅へと車を走らせます。

 

 

アブラは現場から発掘した少年の野球グローブを使い、彼らの居場所(現在地)を突き止めると、先回りしてトラップを仕掛ける。

 

 

ーーーー

 

 

 

・・・そして物語は佳境に入る。

ローズとの最終決戦地に選んだのは、かつてダニーが滞在したトラウマの場所オーバーリックホテルだ。

題して「目には目を化け物には化け物を」作戦だ!!

 

 

ホテルに入ると亡霊たちを呼び起こすために行動するダニー。車の中にはアブラが待機している。

 

 

懐かしきバケモノたちが再訪問を歓迎する。

 

 

 

 

アブラがテレパシーで伝える、ローズが到着したと。

迎え撃つダニーとアブラ。解放せよオーバーリックホテルの亡霊たち!

 

 

 

 

________

 

 

 

映画を見ていて気になった点・気に入った点をいくつか。

 

 

私にとってこの映画で最もショッキングな描写が、子供を拷問して殺害するシーンです。

能力者といえど普通の子供。ちょっと人より特殊というだけで、普通の子供です。

 

 

犯罪集団は能力者の生気を吸い込むことで生き延びてきましたし、それを頻繁に取り込むことで半永久的な命を手にしているのでしょう。

 

 

しかし長い年数、能力者を捕食しすぎたのがアダになったのか?現在は見つけるのさえ困難な状況に陥っています。

 

 

仲間たちはお腹をすかせていて、仲間の中で一番の長老はフラフラしてる。親玉のローズは食料調達に内心必死。

 

今回の野球少年は「栄養補給」と言った感じの殺害です。とりあえずそれを行えばメンバーの士気は高まりますからね。

 

 

少年の口から、気体状の生気が吐かれるシーンは圧巻です。

メンバーが少年の周りを取り囲んで、空気を吸う要領で吸い込んでは、喘ぐような声で食事を楽しんでいる。

 

 

まるで肉に群がるハイエナみたいな光景ですが、苦しむことで吐かれる生気は、食料が苦しめば苦しむだけ美味になるため、何度も何度もナイフなどで刺しては、完全に息の根が途絶えるまで食事を楽しんでいきます。

 

 

・・・子供を殺害する映像描写がある映画。

 

 

ギリギリまでのフリの流れは多くあっても、実際に映像にする表現法は倫理的に少ないし、感心なのは演じた子役の男の子の演技・表現力の高さです。

 

 

「やめてー」とか「助けてー」などの泣き叫ぶ子供の演技はよく見る程度ですが、虫の息になっていく流れの表情や声色を見ていて、よくこんなリアルな表情が出来るなと心底驚きました。

 

 

次に。

 

 

ヴァンパイア集団はキャンピングカーで生活し、森や荒野や海辺などを転々とし野宿をします。

1960年代のヒッピーのような生活を現代でも行なっているので、最初は時代遅れな気もしましたが、都市部には行かないので風景とマッチするんですよね。

 

 

映画の中で仲間を増やす儀式を行いますが、新メンバーは金髪ショートヘアーのティーン・アンディのみ。

 

 

それ以降のシーンで「どうする?仲間に加えるか?」と右腕が尋ねるシーンがあるも、ローズはすぐに否定。多くは語りません。

 

 

自分が想像するのは、上でも少し書きましたが、「食料」の調達は今の時代とても難しく、能力者を捜すのも一苦労。現状のメンバーさえも十分な食事を与えられていないので、ローズは仲間を増やさないのだろうな。

 

 

仲間に加える条件も映画内で紹介して貰いたかったのですが、こうした想像を各自でして作品を解釈することも良しでしょう。

 

上の文章でも書きましたが、長い年数アメリカ中の能力者を食い漁ってきたから、食糧難になっている現状。自業自得だな。

 

 

ローズ役を演じたのは、スウェーデン出身の【レベッカ・ファーガソン】[36]

大きな話題作といえば『ミッション・イン・ポッシブル』でのイルサ役でしょう。今後が楽しみな女優さんです。

 

 

___

 

 

 

続いてアブラ。名前の由来も、日本人にもお馴染みの呪文、アブラカダブラのアブラです。

 

 

幼女の頃から両親の前で能力を見せていましたが、アメリカ映画でよくあるように病院に連れていくなどではなく、両親は見て見ぬ振りをしてきました。そして映画進行、アブラ中学生。能力をコントロールし幼少期のようにアピールもしません。テレパシーの能力に長けています。

 

 

そして事件発生。遥か遠くで起こった野球少年殺害に気付きます。

 

 

例えば、普通の子供が「同時刻」にアメリカ国内で犯罪に巻き込まれていることも現実的にはあるでしょうけど、アブラが反応(リンク)したのは同じ能力者の子供の悲鳴です。

 

 

このシーンで思ったのが、この時の惨劇をリアルタイムで感じ取っているのはアブラ「ただ1人」なので、他にはいないのかな?という見方。

 

 

国内であり、カナダや南米とか、海を越えてヨーロッパやアジアなどの能力者が、子供の惨殺中に反応しても良さそうだけどな。まぁそこまで追求したり(能力者探しまで)広げようとするとアメコミ映画みたいになってしまうので、一点集中の描き方で構わないのですが(^◇^;)

 

 

ローズにしても意識(幽体離脱)では全米中を大移動できますが、肝心の獲物の「捕獲」は素手で行うので、移動手段は車。

それゆえにアメリカ規模でしか描いていないので、映画で描いていること以上の想像の膨らましを考えてしまいました。

 

 

 

アブラ役の子役は随分肝が座っていて、達観しているというか、黒人の演者特有のオデコを上下動しながら喋る表情筋の使い方だったり、肩をすくめる動作も大人相手には効果的。

 

 

(白人の演者はオデコを左右に動かしながら表情筋を使いがちです。)

 

 

相手役のマクレガーが優しい(柔らかい)ので、どの作品でも、共演する女優はからかい甲斐があるような感じでSっ気を見せます(笑)

 

 

黒人の子役って男女とも成長期に入ると見た目の変化が大きいので、一番いい時期に撮影したんでしょうね。

 

 

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[好きなシーン]

 

 

ダニーの元に、長年自宅の壁を使って交流していた女の子が現れます。

 

 

ダニーを見てアブラは「おじさんなのね」と言いますので、相手の顔や年齢までは能力で分からなかった事を知ります。

 

 

助けを求めるアブラ。野球少年の殺害現場が判った。その現場まで行き少年のグローブを持ってきて欲しい。そのアイテムを読み取って奴等の居場所を特定するから!と。

 

 

ダニーの答えはノー。彼は彼でそういう集団がいることは前々から知っているようで、必要以上に能力を使わなかった理由も奴等に感知されては平穏な暮らしができなくなると警戒していたのでしょう。これは私の作品の解釈なので、実際は違うかも知れません。

 

 

アブラの元には遅かれ早かれ奴等がやってきて、拉致をして、そして野球少年と同じように残虐に殺害されるのだろう。

それを予想できてもダニーは断ります。

 

 

そして現れるハロラン。子供の頃から悩んだ時に現れて、進む道を指南してくれるホテルの優しきバケモノです。

 

 

その昔(映画『シャイニング』にて)ハロランが子供のダニーに寄り添ったように、大人になったダニーが同じように自分の能力に苦しむアブラに寄り添って救ってあげてくれ。

 

 

一方のアブラは、桁違いの能力を使い、案の定現れたローズを罠にかけ、「おとといきやがれ!」と言わんばかりにダメージを負わせ追い返す。けれどまだまだ荒削り。そして子供。「やったよ、ダンおじさん!」とウキウキで報告テレパシー。

 

 

ダニーは「君に協力するよ」と伝え、喜ぶアブラはやっぱり子供の反応。

 

 

下の階に住む親友で相棒のビリーに頼み、少年の殺害現場に向かう。

 

 

同じような内容の文章を記事の前半でも書きましたが、このダニーとアブラの初対面からビリー協力までの一連の流れが、私としてはこの映画で一番好きです。

 

 

ビリー役の俳優【クリー・カーティス】[51]は数多くのアクション映画で活躍するニュージーランド出身の名脇役。

 

 

ビリーのどこか切ない表情が印象的でした。

 

 

 

 

___

 

 

 

私はこの映画の評価を感情論で「とにかく面白かった!」で伝えます。

細かい箇所は上に書いたようにありますが、一番に感覚で伝えたいです「とにかく面白かった!」と。

 

 

3名の主人公の主観で約3時間、映画は展開していきますが、たとえ天秤にかけたとしてもバランスが取れているし、もう少し多めで・もう少し短めで、という注文も特にないです。

 

 

主人公はユアン・マクレガー演じるダニーですが、アブラにしても、敵役のローズにしても、それぞれに主役としての方向で観れるため、今誰を描いているのか?で迷わなくて済みます。

 

 

脚本で考えても「超能力者」が主人公になるので、普通はヒーロー映画みたいに構成しそうなところで『シックスセンス』のようなスリラーの要素が入っていたり、ダーク・ファンタジーにも、ホラーにもスリラーにもその都度上手な変化を魅せるので観ていて飽きがこなかったです。

 

 

長くなりましたので、そろそろ終わりにしたいと思います。

 

 

最後に。

 

 

アメリカの批評家の評価をWikipediaで読むと「長すぎる」と書いてありましたが、私は言いたいですね。please sit down「座っててお願い」と。

 

 

まぁ強いて言えば、ローズのシルクハット姿が、私には微妙に映りました。

 

 

 

 

 

シルクハットって男性のイメージがあるので男前な顔立ちの女優を起用したのでしょうけど、あまり似合っていないように思えました。女性だとダンサーとかマジシャンのイメージです。でもまぁ彼女がそういう被り物をしている理由はちゃんと設定にありますので。

 

 

長く読者を続けて頂いている方はご存知かと思いますが、mAbは世界のバケモノの中でヴァンパイアが一番好きです。

 

 

ローズというバケモノがどの部類に入るのか選別は難しいですが、Wikipediaでヴァンパイアと表記されていたのでそれに従いました。

 

 

女性のヴァンパイヤとしては正直「気品」という美しさが容姿に足りないので、自分としては主人公をティーンのヴァンパイヤ・アンディにして欲しかった気持ちもあります。アンディがローズの後継者になれば、最強だと思うのだけどなぁ。。前半部分では主人公的なアンディメインのシーンが多いのに、中盤以降はサブキャラになっていました。このキャラは鑑賞中の期待が大きく四番目の主人公にも捉えられるように映画冒頭は描いていたぶん、消化不良を感じる中盤の描写になってしまいましたね。

 

 

アンディ役を演じた女優は【エミリー・アリン・リンド】[17]。

ダコっちゃんが主演を務めた2008年の『リリー』で映画デビューを果たしたティーン女優さん。

「あの時の!?」となるようなインパクトのある役ではなかったけれど、丸顔で可愛らしく美形の顔立ちなので、是非とも「エミアリ」旋風が来て欲しいです。(エミアリと呼ぶことにします(^ ^))

 

 

とにかく1年間映画を劇場鑑賞してきて、一番楽しい気分になれた劇後でした。

 

好きな作品・自分に合った作品を紹介するのは心が弾むので、今回はそれでいいと思います✌︎('ω'✌︎ )

 

 

スティーブンキング原作の映画に多いけれど、身近に潜む恐怖を描くことで、そこまで「ホラー映像」を見せずに、人の気持ちを掴むのが巧い。アメリカ人作家の作風なので、日本人の自分としては文化の違いで良作・駄作を分けがちになるけど、好きな作品はとにかく好きになります。

 

 

怖さという感覚がこの映画にも少ないのだが、何しろ話の物語やアクション性が面白いし、記事の中の流れで書いてきたようにアベンジャーズやエックスメンなどを彷彿とさせたり、ダークなヒーロー映画でもあるから、私は鑑賞中に何度もワクワクしました。

 

 

という事で2019年度の最高得点をつけたい。

 

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [14]点

構成 [16]点

展開 [17]点

完成度[15]点

 

 

TOTAL[76]点

 

 

_____

 

 

 

次回から2020年に日本公開された作品を順次書いていきます。

 

 

シネコンの時代となり、新作上映の寿命は2週間〜4週間程という短命です。

 

 

早く記事にすることが出来れば、公開期間中に新作を載せられることになります。

 

久しくリアルタイムでの更新が出来ていないので意識したいと思います。

 

 

いつもながら長い記事となり、読んでくださった方には感謝ですm(__)m

 

 

2017年以降の2年間、まともに記事を更新していませんでしたが、昨年秋の再開以降、のんびりではありますが段々と映画を描くことが習慣になってきています。

 

 

ということで昔の記事のシメで、この記事を締めくくります。

 

 

 

LIFE IS NOW

 

 

一期一会の2020年を

 

 

 

フォローしてね

 

 

 

【mAb】

 

 

THE映画評論『1月公開6作品:洋画』

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Downton Abbey

『ダウントン・アビー』

 

 

 

 

監督🎬

【マイケル・エッグラー】

 

 

出演者

【ヒュー・ボネヴィル】【エリザベス・マクカヴァン】

【ローラ・カーマイケル】【ジム・カーター】【ペネロープ・ウィルトン】【ミシェル・ドッカリー】

【マギー・スミス】

 

 

公開日

[1月10日]

 

本編

[122分]

 

 

 

本作品は、全6シリーズ(2010年〜2015年)5年間で計52話、放送された英國ドラマの映画版となります。

 

 

作品の存在は存じていましたが、存じている、唯それだけのことで、何一つ語れません。

 

 

肝心の英國ドラマを観ておりませんが、TOHOシネコンで公開していたので、英国という国の風が好きな身としては、とりあえず鑑賞しておきたいと今年の劇場鑑賞1作品目に選びました。

 

 

結果として、この映画の鑑賞は非常に苦労しました。正月早々スタートダッシュに失敗です。

 

 

昨今『劇場版なになに』と前題に付いて公開される映画が増えました。基本はドラマやアニメが多いですね。

 

こういうのはドラマやアニメのファンが劇場に観に行くものですから、初見の方の鑑賞率は10%くらいかなと私は思っています。

 

 

英国ドラマ『ダウントン・アビー』も5年間で全52話も続いたシリーズですので、やはり作品のファンが観にいくものだと鑑賞を終え私は痛感しました。もう完全に「流れ」が生じていたからです。

 

 

映画は流れが最も重要です。

然し乍ら私も20年近く劇場鑑賞を重ねてきました。ある程度、臨機応変に対応できる自信はあります。

 

 

勿論、初見の方にも何不自由なく鑑賞できる作品は沢山ありますが・・・この作品は違いました。

 

 

なぜなら初見で観るには登場人物の数が多すぎるΣ(・□・;)からです。

 

 

 

もう一回、英語版のポスターを貼らせていただきますが、

 

 

 

 

 

 

初見でこんなに「はじめまして」がいるなんてΣ(・□・;)

 

 

作品のファンなら「懐かしい顔ぶれ!」。私にとっては「キャラクター多すぎる!」。どうもすみません(>人<;)

 

 

オープニングで簡単な物語の紹介と、登場人物の名前の紹介があります。

ホテルの外見・内見を滑らかなカメラワークと共に各キャラ持ち時間約10秒で自己紹介していく。

その流れ作業で各キャラクターを「よし覚えた!」と把握できる自信を私は持てませんでした。

 

 

ここからは初見の者の見解として読んでください。

 

 

時代設定は1927年のイングランド。老舗高級ホテルのダウントンアビー。そこで働く者たちが主人公のドラマ。主役というポジションを立てずに、各キャラクターの目線でその都度物語が進行していく作りのようです。

 

 

ホテルに英國王室からジョージ5世とメアリー王妃が宿泊することになりました。ホテルで働く者達は名誉あるその準備に励みますが、一方で暗殺を目論む者も現地入りをします。

 

 

観ていて面白かったのが、「緊張と緩和」と「誇り」の描き方です。

英国王室が移動や宿泊するとなると、非常に多くのスタッフがお世話係として帯同しますが、誰もがスペシャリストです。

 

 

ホテル側はホテルマンとしてのプライドがありますが、ホテル業務(料理・配膳など)も王室スタッフがするもんですから、ホテルマンはやりきれません。

 

場所を提供するだけとなったホテルマン達はストライキ。やってらんないよ!

そして本番。王国スタッフを監禁したり口止めしたりして、自分たちが直接国王をもてなしたいと動きます。

 

 

勉強不足は書き手として失格ですが、最後にチョット気の利いた表現でも描こうかな。

 

 

私は映画中心ですので、映画俳優(基本的にアメリカ映画)に関しては詳しいと自負しています。

しかしドラマに出演する俳優の名前と顔の知識がないので、「完全初見」となり「知っている顔(人)がいない」という心境となり心細かったです。職場でも学校でも知っている顔がいるといないとでは安堵感が違いますよね。

 

 

そこにハリポタ以来のマギー・スミスを銀幕で観れたことが、ホッとしましたし、嬉しかったです。

 

 

ドラマのファンの方々、このような紹介で申し訳有りませんm(__)m

 

 

 

 

 

採点不能。

 

 

____

 

 

 

Teen Spirit

『ティーン・スピリット』

 

 

 

 

 

監督🎬

【マックス・ミンゲラ】

 

 

出演者

【エル・ファニング】

【ズラッコ・ブリンチ】

 

 

公開日

[1月10日]

 

本編

[92分]

 

 

子役の時から追っていた親愛なる【エル・ファニング】[21]。

 

気持ちの悪い話だが、彼女が5才辺りから、ファンとして劇場に足を運んでいた。

 

この『mAbによる映画一期一会』を始めてから10年近く経つが、やはり10才くらいから書いていると思う。

 

 

ティーン期の出演作品の多くは日本ではミニシアター系の上映になることが多いので、色々な劇場に足を運びました。

 

全国で1館・数館しか上映していない作品もザラにありました。

 

今回も作品を上映する千葉県にあるTOHO-CINEMS流山おおたかの森まで電車に揺られて鑑賞してきました。

 

 

この時の出来事は、私mAbの映画以外の出来事や事柄を描いたブログで紹介していますので、お時間があれば、【レインマン】のブログにも足を運んでくださいね(^人^)リンクを貼っておきます→「最終電車インフェクション」

 

 

___

 

 

 

物語&流れは非常にありきたりな作品です。こういうティーンのコンテスト映画は展開が毎回同じになるので、そこは大好きなエルファーを観に来ているという楽しみ方で鑑賞します。

 

 

舞台は英国のワイト

 

 

 

 

主役は島民の女子高校生。英国は日本と同じ島国ですけど、島があることを忘れていました(^◇^;)

その「島の少女」は歌が好きで、自立をするための資金のためにも、夜は酒場のステージで歌うバイトをしています。

 

 

 

 

年齢をごまかしてバイトをしているため化粧もケバめです。

 

 

彼女の歌声は酒場の一部、誰が褒めるでもなく、歌い終わっても特に拍手を送る客もいません。彼女もそれに慣れているようで無愛想。

 

 

ある夜のバイト終わり。ステージで拍手を送った1人のお爺さんに声をかけられました。

 

その正体は世界的オペラ歌手なのですが、今はこの島で1人暮らしをしています。

 

 

僕に君を指導させてほしい。どうやら「金の卵」を見つけたようで熱心に誘います。

 

 

最初は警戒するエルファー・・・いや(役名)ヴァイオレットでしたが、近々開催される全英放送のテレビ番組のコンテスト「ティーンスピリット」の地方予選にエントリーするためには保護者の承諾が必要。現実的に未成年の夢追い人が一番ひっかかるのが保護者の同意ですよね(^◇^;)。

 

 

シングルマザーの母親には頼みづらい。そもそも彼女はこのオーディションを期に親元から離れ、島から脱出したいと思って歌っています。そこで昨夜声をかけてきた彼に頼みます。彼はマネージャーとして基礎を教え、歌唱レッスンを行い、予選を通過し、いよいよ本番に望みます。

 

 

コンテスト番組、わかりやすく言えばスター誕生の全英版。その規模や注目度は非常に大きい。本戦はまるで『ハンガーゲーム』のような演出の仕方です。

 

 

各都市でオーディションが行われ、本戦がロンドンとなります。

数ある各都市の中で「島」が予選会場になるのですから、そりゃぁ島民にとっては画期的ですよね。21世紀枠みたいな者です。

彼女は順当に勝ち上がっていき、勝ち上がっていくことで島の超有名人になっていきます。

 

 

これがロンドンとかマンチェスターなどの大都市がオーディションの舞台だったら普通すぎて味気ないので、島の女子高生という設定がいいですよね。それに大都市だったら、おそらくこの少女は予選で敗退しますよ。

 

 

この後も沢山の作品を書くので、文字数的もそろそろ記事を締めたいと思います。

 

 

これだけは紹介しておきたいのですが、

私がエルファーを凄いと思う理由の1つが適応力です。

 

 

8年前になりますが『ジンジャーの朝』という作品は衝撃でした。若干13才の子役が、役作りのために完全にイギリス英語をマスターしたからです。この子は本当にすごい女優になると思いました。因みに当時の記事のリンクです→[2013年9月29日『ジンジャーの朝』]←7年前の文章は只々素直でした(笑)。

 

 

演技力で言ったら姉のダコっちゃんが上ですが、適応力や柔軟性で言ったらエルファーの方が上だろうなぁ。。

 

 

今回も習得したイギリス英語は健在ですし、そこにプラス歌唱(生歌)というある意味、失敗できないアクション映画とパフォーマンス映画を同時に行っているわけで、相当レベルが高くなければできない芸当だと私は思います。

 

 

 

 

 

 

(エルファーは犬顔ですし、将来は二コール・キッドマンを柔らかくした大人の女性の顔立ちになっていきそう)

 

 

エルファーの歌唱シーンは素晴らしかったけれど、特別歌が上手いわけではないので「魅せ方」を知っているだけです。

 

 

洋画のWikipediaを開きますと、下の方に海外の批評に書かれていますが、「楽曲にメジャー感がない」は同感。そこまでノリきれないのが残念。初めて聞く曲で「いい歌だな」と思いたかったな。

 

出来れば世界的に知られているメジャーな曲をチョイスしたり、ノリのいい曲調の楽曲にして、座りながら体をシェイクしたいものです(笑)そうさせることで魅せ方を知っているエルファーですから、楽曲さえ良ければ「歌姫」にまで評価されたはずです。

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [15]点

構成 [14]点

展開 [12]点

完成度[14]点

 

 

TOTAL[68]点

 

 

 

____

 

 

 

Long Shot

『ロング・ショット』

 

 

 

 

 

監督🎬

【ジョナサン・レヴィン】

 

 

出演者

【シャリーズ・セロン】

【セス・ローゲン】

【オショア・ジャクソンJr】【ボブ・オデンカーク】

【ジェーン・ダイアン・ラファエル】【アレクサンダー・スカルスガルド】【ラヴィ・パテル】

 

 

公開日

[1月3日]

 

本編

[125分]

 

 

この作品は・・・・マジで面白い。

 

鑑賞中は声を出して何度も笑い声をあげました。

 

何より【シャーリーズ・セロン】[44]が美しいしスタイルも抜群。

 

後半はキャラがブッ飛びすぎていたから点数的には伸びなかったけれど、全体を通して、マジで面白かったです。

 

 

__

 

 

 

物語は、ちょっとありえないですが、そこは自由の国アメリカということで👋。

 

アメリカ発の女性大統領候補の政治家と帯同スタッフとなる元記者のラブコメディドラマです。

 

 

無職になった記者フレッド。

職場がメディア王の暴君によって買収されたと知り、上司に啖呵を切って自ら退職する立ち上がり。

 

勢いで憤慨し、会社を辞めてしまったけれど・・・すぐに無職になったことを呪います。

そこでその足で再就職の斡旋を頼むため経営者である親友ランスの会社を訪ねます。

ランスはとにかく童心さを持った男友達で、親友を励ますために自社をその日1日臨時休業にし連れ出します。

 

 

 

 

遊びに連れ出した後は、気晴らしにボーイズIIメンがゲストで歌うチャリティーイベントに連れて行きます。

普通のパーティじゃありません。政治家や有名人が集う席です。まさに持つべきものは友。

 

 

そこには「美人すぎる政治家」で合衆国初の女性総理大臣誕生に一番有力とされるシャーロット・フィールド国務長官も出席していました。するとなぜか落ち着きがないフレッド。ランスが理由を聞くと、国務長官は子供の頃の自分の元子守りで、初恋の相手だったことを告白。

 

 

そして再会。シャーロットも覚えていましたが、公の場では政治家の顔、プライベートでは青春時代を懐かしむ竹馬の友の顔。後者の方が生き生きしているので見ていて楽しいし、政治家としてのピシッとした顔も、表情の切り替えが映像に視えて楽しいです。

 

 

再会後、彼の過去の記事を読み、スピーチの原稿を書くライターとしてオファーを出す。

嘘や汚い政治の世界に関わりたくない正義感を持つフレッドですが、他に仕事もないし、何より初恋の相手と行動を共にできる喜びに仕事を引き受けることにする。契約後はすぐに専用機に乗り世界中を飛び回り、彼女を大統領にするための名誉ある原稿を執筆していく。そして海外出張中に二人は結ばれる。

 

 

【セス・ローゲン】[37]演じるフレッドはヒゲで小太りという見た目+よく喋るし声も大きいので、最初は、アメリカ映画によくある下ネタ発言の多い下品なキャラクターなのかなと思いましたが、政治や社会情勢に詳しいさすがジャーナリストと思える箇所が多いので、好感だったり信頼が映画を見ていくうちに彼に対して芽生えてきます。

 

 

特に初恋の人であるシャーロットと再会してからは、純粋で可愛げが出ますから、多少下ネタに走っても微笑ましいです。

 

 

シャリーズ・セロン演じる国務長官は現大統領直々に次期総裁選に立候補しないと報告され、自分を推薦すると伝えられます。

遂にここまで登り詰めた。女性ですから大変な苦労もおありだったでしょうね。喜びもひとしお、気を引き締めてハチマキを締めます。

 

 

彼女は国民の高感度も高く支持率も高い、このまま順当に行けば大統領になれる。

しかし念には念を入れなければなりません。1%でも多く票を手にしなければ、戦況は何が起こるか分かりません。

トランプ現大統領のような大番狂わせが起こるかも知れません。

 

 

(後、この映画の現大統領は元俳優です。国民からは大根役者と言われています(^◇^;))

 

 

票を確実に取るために、彼女に足りないのは「ユーモア」でした。

そこで堅物な文章を書くだけではなく、そこにユーモアを持てるスピーチライターを捜し・・フレッドが適任となるわけです。

 

 

 

 

まぁ・・公務で世界中の国を回るのに、いつもこの一張羅みたいなジャンバーを羽織って、各国の要人の前でも緊張感がないので、普通だったらありえないなぁと思ってしまうのですが、それが気にならなくなるくらい映画のチーム内の雰囲気がいいので、大吉。

 

 

後半の方は・・少しだけ内容を書きますが、公務先で暗殺されそうになったり、普通にドラックを現地調達しラリってディスコで踊ったり、ラリった状態で敵国のテロリストとの電話交渉を行ったり、国務長官としては考えられないんですけどね(^_^;)

 

 

とにかく青春映画でもあり、多少の下ネタもあり、ちょっと変わった政治コメディドラマでもあります。

幼馴染同士なので、政治家としての仮面が外れると彼女の素の表情が表れて、その表裏一体感が面白い。

 

 

ここ5年間くらいのシャリーズ・セロンといえば『アトミック・ブロンド』のバキバキなアクションや『ワイルドスピード』シリーズ、『スノーホワイト』の白雪姫の魔女役などで怪演を繰り返してきましが、やはり普通の・・普通って言っちゃ失礼かも知れませんが、ドラマを演じた方が美しさが際立つ気がします。今作なんて劇中何度美しいと思ったことか。まさにバービー人形。

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [15]点

構成 [14]点

展開 [13]点

完成度[14]点

 

 

TOTAL[69]点

 

 

____

 

 

 

韓国映画

『パラサイト 半地下の家族』

 

 

 

 

監督🎬

【ポン・ジュノ】

 

 

出演者

【ソン・ガンホ】【チェ・ウンク】【チャン・ヘジン】【パク・ソダム】

【イ・ソンギュン】【チョ・ヨジュン】【チョン・ジソ】【チョン・ヒョンジュン】

 

 

公開日

[1月10日]

 

本編

[132分]

 

 

韓国映画が全国公開で放映されること自体が最近は少なくなったけれど、カンヌ国際映画祭で受賞、さらに世界一の祭典アカデミー賞にノミネート。しかも外国語映画賞ではなく、本賞でのノミネートという大風呂敷を広げて日本で公開された。

日本の映画界の将来的に目指す頂点がアカデミー賞だと思うが、それを先に韓国が達成してしまうのか?

 

 

(上の文面はアカデミー賞前に書いたものです)

 

 

鑑賞中の気分としては・・正直、気持ち悪いなって(^◇^;)

 

 

韓国映画は日本で全国公開される機会が殆どないので、15年前くらいの韓流ブームの時以後は鑑賞した作品も10作品程度です。

あくまでTOHOシネコンの話ですけどね。ミニシアター系などでは公開されるので好きな方は足を運ぶのでしょう。

 

 

韓国映画に免疫があまりないので、毎回「地面が汚いな」と思います。若者が屋台で酒を飲んで騒いでいたり、大人に文句を言ったり、まるで日本映画でよく見た戦後の日本の風景みたいだなとも重ねて思います。

 

 

半地下という地上から少し窪んだ住居に住む4人家族(全員無職)が、それぞれ他人として、同じ家にお手伝いとして潜入し荒稼ぎをする。さらには『パラサイト(寄生)』というタイトル通り、雇い主の家族から甘い汁を吸い、この寄生虫(人)たちは徐々に棲み着いていくのです。

 

 

緻密に計算されている脚本は抜かりがなく、そして気持ちが悪い。

前半は脚本の面白さと寄生していく流れの勢いにやられて本当に興奮するように鑑賞したが、中盤以降は豪邸を自分の家のように扱う様子や、第3の登場人物などの登場により、韓国特有の泥臭さが映画に出てしまい、正直気色悪かった。最初から最後まで同じテンションで遂行できなかったのが悔やまれる。

 

 

自分がこの映画で一番気に入ったのは、貧富の差は隠せないという描写です。

 

お金持ちの家族が、半地下住人の匂いを「地下鉄の匂い」と表現します。

 

 

半地下家族はそれなりの身なりで職場に行きますし清潔にしていますが、生まれながらに染み付いた貧乏臭というものは一日二日では取れないようです。雇い主から「なんだか臭いな」と言われた父親が自分の体の匂いを嗅ぐシーンは本当リアルでしたし、いたたまれなかったです。

 

 

韓国の地下鉄に降りた経験がないので「臭い」と言われても分かりませんが、自分としては下水(ドブネズミ)の匂いを想像します。金持ちの「臭いの例え」が「地下鉄」とは非常に分かりやすくて、そりゃ言われた本人は傷つくだろうなと思いました。

 

 

長男役の俳優も良かったですね。

日本でいうと「もう中学生」さんに雰囲気が似ているニヤケ顔の俳優ですが、最初に家庭教師で邸宅に入り込み、「いい人がいますよ」と自分の家族を紹介していく咄嗟の機転の利き方を視ていると、この長男は本当に頭がいいんだろうな。一重まぶたが特徴的な長女も良かったですし、元重量挙げの選手という母親も韓国のお母さんのイメージそのものでした。

 

 

相手宅の若妻は、韓国映画を見ているとよく出てくる「突然大きな声を出す女性」。喋っていると急に声のトーンが甲高くなるんですよね。中国語は喧嘩しているみたいと表現されますが、韓国語はカ行が強いので声がよく通ります。最初は耳障りでしたが、金持ち相手に貧乏人が悪知恵を絞って搾取していく様子の引き立て具合に相当相性がいいキャラクターになっていました。

 

 

日本映画でも『パラサイト』と似たような脚本が探せばあると思いますが、いざこういう作品を日本で作ろうとなると、どうしても暴力性やグロテスクな方向に描いてしまいます。ゆえにジワリジワリと余裕を持った作品が作れないんですよね。韓国映画の人間描写って「相手の心をエグる」ように描かれるので、60年代辺りの日本映画のようです。亡き深作監督のような生々しい役者の演技と泥臭さ。そして表現力が詰まった2時間でした。

 

 

アカデミー賞は、アメリカのアメリカによるアメリカのための映画祭です。

例外はありますが、アメリカ中心の賞レースになるので、監督賞は獲れても作品賞は無理だと予想しました。

ほら作品賞って、文学賞と同じで、決して面白い・万人受けするわけではないでしょ。なので個人賞で選ばれたら名誉かなって。

 

 

正直、初めてのアカデミー賞は「10年後くらい」に日本映画がノミネートを果たす予想をしていましたので・・悔しいなって。悔しいという気持ちを持ちます。もうそういう「初」がなくなるのは悔しいけれど、作品としては素直に賞賛したいです。ブラボー。

 

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [15]点

構成 [14]点

展開 [13]点

完成度[15]点

 

 

TOTAL[71]点

 

 

 
______

 

 

 

Richad Jewell

『リチャード・ジュエル』

 

 

 

 

 

監督🎬

【クリント・イーストウッド】

 

 

出演者

【ポール・ウォルター・ハウザー】

 

【サム・ロックウェル】

【キャシー・ベイツ】

 

【オリビア・ワイルド】【ジョン・ハム】

 

 

公開日

[1月17日]

 

 

本編

[131分]

 

 

 

アメリカで有名な事件や人名を、自分は知らないことが多い。

アトランタ五輪の最中に国内でテロが起きて、第一発見者の警備員が容疑者として捕まって、冤罪だと裁判で闘っただって!?・・・・・・知らないな。あなたは知っていましたか?

 

 

アメリカ国内では殆どの人が知っている人名であり事件だそうです。

まぁ日本も例えば毒入りカレー事件とか、日本人なら知っているけど、果たして海外の人が知っているのか分かりませんからね。スケールは違いますが、言いたいことは似ていると思います。

 

 

私が映画界で一番崇拝するのが、今作の監督【クリント・イーストウッド】[89]です。

監督作品として今作は予想を下回る不名誉な興行収入を記録してしまったようですが、アメリカの歴史や風土を映像に描く人物ですし、今作品も例外ではなく、鑑賞して本当に良かったと思える作品に仕上がっていました。是非お薦めします。

 

 

主演【ポール・ウォルター・ハウザー】[33]は昨年『アイ、トーニャ』に出演していたので2回目の拝見。

大柄で太った警備員リチャード。テロが起きたライブ会場の警備員をしている際に、プラスティック爆弾の入ったリュックサックを発見する。処理班到着後、警察とともに観客をなるべく遠くへ避難させ、最小限の被害に済んだことで一躍全米で時の人となる。

 

 

その後、テロリストを捜査する中で警察が目をつけたのが第一発見者であるリチャード。色々と前科があり、自分の正義感からいく先々でトラブルを起こした過去を持つ。

 

 

この映画で本当に凄かったのが【ポール・ウォルター・ハウザー】の演技力です。観客はリチャードが犯人でないのは百も承知で映画を見進めますが、妙に自信に満ちていたり、危険な発言をしたり、反対に凄く相手のことを診ている善人だったりと、冤罪なのに観ていてハラハラする主人公の言動なのです。実に自然な演技でしたし、素晴らしかったですね。

 

 

一方、【ジョン・ハム】[48]演じる警察の捜査部長トムは、色仕掛けが得意な女性新聞記者キャシーにその極秘情報を流し、まだ容疑の段階で新聞の一面で報道する。

 

 

キャシーを演じる女優【オリビア・ワイルド】[35]は、この時代に「一匹狼の女性記者」という姿勢を貫くジャーナリストで、スクープのためなら女を売るし、使えるものは使っていく。枕を交わし警察の極秘情報をゲットし、編集長のゴーサインで新聞に掲載。自分のスクープでアメリカ中が大騒ぎになりました。気持ちがいいでしょう。しかしリチャードは冤罪です。

 

 

一躍時の人から数日後の報道。マスコミはこぞってリチャードを徹底マークし、テレビは悪人として報道。国民の態度も一変。

 

 

リチャードは母親と2人暮らし。母、息子、どちらも溺愛しています。

 

 

勿論母親も注目の的となりますが、息子を信じる母バーバラ。

母親役【キャシー・ベイツ】の存在感は圧巻。キャシー・ベイツの瞳って、物悲しいんですよね。

 

 

任意同行で警察署に入ったリチャードは、警察から書類にサインを書くように求められます。

これにサインをしたら警察の思う壺です。警察は報道が出てしまった以上、何としても彼を犯人にする手段を取ります。

 

 

寸前で「サインはしたくない」と伝えたリチャードは、唯一の知り合いである弁護士ブライアントに電話をかけ、自分の弁護を依頼します。【サム・ロックウェル】[51]演じる弁護士は頼もしいです。警察に強気の姿勢を見せ、彼を解放させます。警察は弁護士の折り返し電話に「彼はここには居ない」と全くの嘘を伝えました。もうこういう嘘は大嫌いです!

 

 

そうして容疑者リチャードと弁護士ブライアントの長い裁判が始まるのです。

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [15]点

構成 [14]点

展開 [14]点

完成度[15]点

 

 

TOTAL[72]点

 
 
 
______

 

 

 

Jojo Rabbit

『ジョジョ・ラビット』

 

 

 

 

 

監督🎬

【タイカ・ワイティティ】

 

 

出演者

 

ジョジョ【ローマン・グリフィン・デイビス】

ユダヤ人の少女【トーマシン・マッケンジー】

 

【レベル・ウイリアムス】【サム・ロックウェル】

【スカーレット・ヨハンソン】

 

 

公開日

[1月17日]

 

本編

[109分]

 

 

 

どう言っていいのか難しいですけど、映画を通してですが、人情的に描かれるヒトラーに自分のイメージが覆りました。

この映画はヒトラーという人間を独裁者や冷酷者として描いていないからです。

 

 

ドイツ人の少年ジョジョが、冒頭に自宅の部屋で話している人物はヒトラー総帥です。

すぐにこのヒトラーは幻影であることに気付きますが、少年は総帥と会話することで活気立っていきます。

 

少年が作り出した空想上の人物像、それがヒトラー。会話もしているし、ヒトラーの言葉は大人であり理にかなっていて重みがあるので、子供が作り出したキャラクターとしては設定に無理がありますが、そうすることで映画に深みが出ています。

 

 

その後も至る所でヒトラーが現れては、彼の話し相手や相談相手、時には戦意高揚の役目を担います。

 

 

 

 

映画でヒトラーの評価が変わるのだから、私も洗脳されやすいのかもな(^◇^;)

 

 

__

 

 

 

時代は第二次世界大戦後期のドイツ。

ドイツ軍の少年兵に入隊したジョジョですが、訓練中に自爆し重傷を負い、自宅に戻ります。

 

ドイツのための奉仕をする一方で、自宅の隠し扉を発見し、その中にユダヤ人の少女を発見します。

 

母親は反ナチスだったのです。ジョジョはそのことを知りません。

 

ユダヤ人を匿うことは死刑。ジョジョはすぐに軍に報告しようとしますが、少女はナイフで脅すなど、彼を制圧しようとする。

 

母親がどうしてユダヤ人を隠し部屋で匿っているのか?戸惑うジョジョ。

 

そうしてユダヤ人の少女と過ごしていく中で、亡き姉に重ねたり、恋心が生まれたり、教育されてきた「ユダヤ人像」は間違いで、自分と同じ人間であることを知ります。

 

 

時代は1945年。ヒトラーが自害しました。

 

 

____

 

 

ヒトラー青少年団は戦況が悪化すると国民突撃隊として大人も子供も関係なしに戦争に参加します。

映画の後半は終戦時期となりますので、その様子が描かれていますが、残酷な描写ではなく子供のジョジョの目線を通し客観的に歴史を伝えるようにユニークに描かれています。

 

 

戦争というのはある意味洗脳ですから、弱気で心の優しいジョジョには、ヒトラーの言葉(ナチス式敬礼)がかなり影響しています。自宅の部屋で空想のヒトラーに説得され、ハイル、ヒトラーと家を飛び出して街を走り回るオープニングは強烈。

 

 

ヒトラーユースキャンプに参加し、ナチスの少年兵になるための訓練を受けます。

まだ小学生の男の子たちしかいませんから、この風景も衝撃的ですよね。

 

 

 

 

ちなみに少女は「ドイツ少女団」に属します。

 

 

先輩のヒトラーユーゲントによる訓練では、生き物を殺す免疫を子供達に付けさせます。

この時はウサギさんでした。指名されたジョジョは「首をへし折れ」という指示に従えずに、逃げ出します。

ということでタイトルが『ジョジョ・ラビット』になるのです。

 

 

落ち込んでいたところに現れる空想ヒトラー。みるみるうちに元気になったジョジョは、手榴弾の訓練をしている現場に突入し、手榴弾を奪い、そして自爆します。

 

 

 

 

一命を取り留め、障害も残りませんでしたが、顔は抜い跡、ブラックジャック。

 

家に帰ってきたジョジョに母親のロージーは喜びます。その喜びにも2週類の感情があるんですよね!!映画を見て確認してください(^ ^)

 

やがて留守の多い母親の外出時に、部屋の壁の扉に気付いたジョジョ。中に入ってみるとユダヤ人の少女と対峙するのです。

 

これが大人だったら少女も為す術もないでしょうけど、ジョジョは女の子みたいな悲鳴をあげて飛び出しますので状況が一変。少女は力技で口外禁止を願う。この時のジョジョの「ナチス男子」としての義務の揺れ方が繊細に描かれていて、演じた俳優の素晴らしい演技に惚れ惚れします。

 

___

 

 

個人的には【レベル・ウィルソン】のキャラクターが好きです。

役柄はユースキャンプの女性インストラクターで、少年たちを指導しますが、とにかく強烈なんですよね。

あの睨む表情と口元・・まさしく「ハリウッドの渡辺直美」でしょう。

 

 

全米で大ヒットした(日本ではそこまで(^_^;))『ピッチ・パーフェクト』で一躍人気になった実力派女優。この映画に欠かせない個性強目のキャラクターでした。

 

 

1月の日本公開『リチャード・ジュエル』と『ジョジョ・ラビット』に出演する【サム・ロックウェル】も非常に素晴らしい。

役柄はジョジョが参加するヒトラーユースキャンプのナチスの大尉(キャプテン)ですが、どことなくロックスターのような見た目の雰囲気があるし、軍服姿も似合うし、頭の中でイメージするナチスの組織が朗らかに描写されることで見易さに変わります。

 

 

父親のいないジョジョにとって、この映画の中ではヒトラーと、そして大尉が、至る所で大きな愛で包む父親のような存在感を出しています。何度観ても新しい発見がある映画だと思います。

 

 

母親役の【スカーレット・ヨハンソン】も演技力は健在ですね。全てを知った上で演じた役柄を考えると感動します。

以前は存在感で評価されていた女優だと思いますが、今作品の演技でアカデミー賞助演女優賞にノミネートしましたし、来年再来年と脂が乗ってくると大賞の受賞の可能性も高くなると思います。

 

 

 

 

 

国籍の異なる俳優陣がドイツ人として出演していますし、使用言語もドイツ語ではなく英語ですけど、最初から違和感がなかったんですよね。

 

 

こういう一枚一枚の作品の「絵」を見るだけで、この映画が名作の部類に入るのは確かだと思います。

 

 

 

 

終わり方も洒落が効いていて、非常に素晴らしい作品だと思います。

まだまだ公開中ですので、お近くの劇場で上映されていましたら鑑賞のお薦めを致します。

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [15]点

構成 [16]点

展開 [16]点

完成度[14]点

 

 

TOTAL[75]点

 

 

______

 

 

 

アカデミー賞が大好きでアメブロネームの一部にも使用する私は、賞レースを意識した作品が多く公開される1月2月の映画鑑賞が1年で一番充実します。

 

 

この記事を載せる頃はもう既に結果が出ていますが、今年は「当たり年」だと予感のできる2020年の映画鑑賞の始まりでした。

 

 

 

フォローしてね

 

 

 

【mAb】

THE映画評論『1月公開4作品:邦画』

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『カイジ ファイナルゲーム』

 

 

 

 

 

監督🎬

【佐藤東弥】

 

 

出演者

【藤原竜也】【福士蒼汰】【関水渚】【新田真剣佑】【吉田鋼太郎】【天海祐希】【伊武雅刀】他

 

 

公開日

[1月10日]

 

 

あれ?こんなにワザとらしいセリフの言い回しをしていたっけ?

今年の夏に開催予定の東京オリンピック。その後は日本国民全体がオリンピック症候群に陥り不景気となる想定で発想された脚本ですが、大阪万博、そして2030年の招致を目指す札幌冬季オリンピックへと先を先を見据えて盛り上がっていけたらいいな。

 

 

 

 

 

 

脚本 [15]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [13]点

完成度[13]点

 

 

TOTAL[68]点

 

 

 

________

 

 

 

『太陽の家』

 

 

 

 

監督🎬

【権野元】

 

 

出演者

【長渕剛】【飯島直子】

【瑛太】【山口まゆ】【潤浩(ユンホ)子役】

【広末涼子】

 

 

公開日

[1月17日]

 

本編

[123分]

 

 

 

「今年はいい映画が多いなぁ」(心の声)

 

 

長渕剛さんの癖は強め。しゃべりも表情も。それを消して俳優として観ることは少々困難だろうと予想した。

 

 

私が持つ長渕さんの俳優としてのイメージは・・ど直球で書きますが「もろヤクザ」(^◇^;)

 

 

なかでも1989年放映の『オルゴール』という映画を小学生の頃に俳優をしていた叔父がビデオレンタルで借りてきて、自宅で見た時はホラー映画よりも衝撃的でした。後半の結婚式のおめでたい席でヤクザが日本刀を持って乱入し斬り殺すというシーンは子供の私は震え上がりましたね。

 

 

当時はR指定という制度がなかったので、アダルトビデオ以外は(笑)なんでも借りられましたけど、その作品を観て以降は結婚式に参列すると、出入り口から現れるのがダスティン・ホフマンではなく、日本刀を持った長渕剛さんと想像してしまう時期がありました。完全にトラウマです。

 

 

【長渕剛】さん[63]。20年ぶりの映画主演として1月17日に全国公開された本作品。しかしTOHOシネコンでは、公開初週の時点で2週目(翌週)での上映終了の表記が出ていました。限定上映という表記はなかったのでTOHO系では短期上映となった模様です。

 

 

 

 

え?どうして?

・・こういう作品こそ、ロングランすべきなんだと腹の底から申します。

 

 

それも若い世代が映画館で映画を観る時間帯「16時〜21時」に調整すべきです。

 

 

シネコン時代。客入りが悪いとその作品の1日の上映数を減らしますが、基本的に午前中の1回上映となる傾向です。この1日1回が午前中ではなく、夕方や夜に変われば、多少、日本は変わると思う。

 

 

それだけ今作品に可能性を感じましたし、私が今作品を見て想ったのは、文部科学省指定の映画にして欲しい作品だなぁ・・って。

中学校のレクリエーションや道徳の授業で、この映画を上映して欲しいですね。そう思うくらい愛に満ちた作品です。

 

 

少しだけ映画を語ります。今回の1月期の邦画記事では4作品を語りますが、文字量を多く使うのはこの作品と次の作品の予定なので文字量は気にせずに・・書きまくります(笑)!!

 

 

長渕剛さん演じる大工の棟梁は、職人気質で強面な見た目で、筋を通した性格です。

 

 

家族構成は、しっかり者で夫を支える元ヤンの妻と、高校生の長女。そして一番弟子である長男は訳あって家を飛び出し、現在は近くのアパートを借りて一人暮らしをしています。その4人家族の川崎家の元に、この度1人の男の子が加わることになります。

 

 

冒頭。仕事中の棟梁は、通りかかった生保レディのシングルマザーをナンパします。

 

 

女優は女優業でセカンドブレイク中の【広末涼子】さん[39]。自分の学生時代のスーパーアイドル女優なので、最近のご活躍は嬉しい限りです。

 

 

生保レディのシングルマザーということで、生活は決して楽ではなく、仕事に育児と体も精神も限界の状態を迎えています。

 

 

この日の仕事終わり、帰り道。契約のキャンセルでメンタル最悪。建設中の一軒家を眺めていたところ、棟梁に話しかけられる。

積極的で人見知りのない棟梁は、数分後、初対面の生保レディのアパートの一室にお邪魔しています。

 

 

正直、随分、「警戒心のないシングルマザー」だとも思いました。出会ったばかりの強面の男を自宅にあげるんですからね。

 

 

棟梁も棟梁で、女好きなのか?人との交流が好きなのか?動機が見えづらいです。

 

 

しかし、したたか!と思います。家にあげて数分後、保険の契約をしています(笑)なるほどフリとオチ。捨て身で怪我の功名。

 

 

そして小学生の息子・龍生が帰宅。もじもじ君です。声が小さく、元気もない。そんなんで母ちゃん守れんのか!!

 

棟梁は、こいつを強い男にするため特訓する!と母親に伝えます。

 

 

翌日から仕事の合間を縫って龍生の面倒を見る棟梁。

 

 

 

 

生保レディ芽衣も「すみません、ありがとうございます」と子供を任せます。

悪い人ではなさそうという理由で息子を任せますが、それだけ頼れる人がシングルマザーの彼女にはいないのでしょう。

 

 

そうして過ぎていったある日のこと。以前から体調の不調を感じていた生保レディ芽衣は、自分の検査結果を知り愕然とします。病名は劇中で知らされませんが、おそらく余命宣告をされたのでしょう。のちのシーンで主治医に病状を聞いた長渕さんが「そりゃぁないぜ先生!!」と理性を失い項垂れるくらいですから、残酷な現実に直面し、その様子に観ているこちらの胸も痛くなります。

 

 

芽衣は病状を伏せ、検査入院という事にし、息子の龍生をしばらくの間棟梁の家で預かってもらうことになります。

 

 

棟梁の自宅の一軒家は現在3人暮らし。【飯島直子】さん[51]演じる妻と、【山口まゆ】さん[19]演じる女子高生の長女。

 

旦那の性格や生き方を理解している妻は、何も言わずに受け入れますが、長女にとっては龍生の存在が気に入らない。

 

棟梁は龍生の最高の遊び仲間となり、そして家業の手伝いを体験させる。

 

 

家業を継げずに家を飛び出した【瑛太】君[37]演じる長男の例がある。長女も同様、父親への尊敬や感謝で家業を継ぐべく建築家になるため勉強をしています。そこに現れた「男の子」。長女のメンタルも行き場のない不安に崩壊していきます。

 

 

その事を父親に告げ、頬を叩かれ家出。果たして家族は元に戻るのか?芽衣の回復は?清く正しく不器用な愛の物語。

 

 

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自分が好きなシーンは、自分の病気を知った日、気が張っていた広末涼子さん演じる母親が、一人息子を送り届けた棟梁に対して、「他人のくせに」という表現を使い感情的になります。棟梁の目的が分からないからでしょう。

 

 

すると「他人じゃねぇよ!」と一歩も引かない棟梁の言葉が返ってきます。

 

 

一見感情的な言い合いかな?とも思いましたが、この台詞っておそらくかなり計算されて描かれていると思います。

「他人じゃない!」これってこの映画を表現する一番の深み。

 

 

だって家族間で使用する他人の定義は「血の繋がり」で使い分けますよね。

 

 

棟梁の、その場で解決して、腹を割って話す。決して逃げない。その姿勢が、職人気質が、私にとっては懐かしい。

 

最初は不純な動機が目的にあったのかもしれませんが、子供に会ってからは母子共々、家族のように接っする棟梁。とても「縁」を大切にする人間なんだなと思います。

 

 

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長女の柑奈の心情が、演じた女優を通してとてもよく伝わりました。

 

 

長女は父親に対して言葉にできないくらいの感謝を持っています。言葉に出来ないぶん、建築士という資格を取って恩返しをしようと勉強に励んでいる。大工になるのは主に男性という事で家業を継げない無念さも長女は持っています。

 

 

そんな時に、後継候補ともとれる小学生が家にやってくるんですから、長女は龍生に対し強烈な嫉妬心を覚えます。居場所がなくなっていく圧迫感みたいな被害妄想を味わいます。それだけ長女は心のどこかで孤独を感じていたのです。

 

 

パパは私のことが好きじゃない! (そんなことある訳ないじゃん)

思いを吐き出して、家出して、仲直りして、そうしてこの家族のあり方を映画を通して見せてもらいます。

 

 

柑奈という名前は、大工の方が木を削る時に使用する工具カンナから来ているでしょうから、シャレが効いているし、棟梁が毎日木を削る時に愛娘の事を思って働いているんだろうと想像すると胸がジーンとなります。

 

 

 

 

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中盤。

 

 

棟梁は闘病中の芽衣ちゃんのために、龍生と暮らせる家を建てようと実行します。

 

すごい行動力です。柄本明さん演じる友人の美容整形院長に土地代や建設費用を融資させるべく、女ネタの弱みを元にユスリに行くシーンも楽しいです( ◠‿◠ )

 

 

そして芽衣ちゃん。アパート暮らしから、一軒家になるので、これって見方によっては贅沢な話ですよね。

 

建設中の家の名前は「太陽の家」。タイトルです。一軒家に名前が付くことで、施設みたいにも感じます。

 

太陽の家を、太陽のように明るく直向きな棟梁と家族が団結してトントントン。建築関係トントントン。関係ないけどりゅうちぇるさん元気かな?(ほんと関係ないΣ(・□・;))

 

 

このシーンに涙がこぼれました。

 

 

80年代90年代に、この作品や作風が公開されれば、抵抗のない時代なので、多分これほどの感動はないと思うのです。

むしろ昔は今作品と似たような作品が制作されていたと思います。

 

 

他人の子供と接するのが自然に出来なくなった今の時代にこのような人情味があったり、ヤクザ風な強面主人公だったり、家族の形のドラマを観れて幸せだ。まぁ長渕剛さんの筋トレシーンはイメージビデオを見ているようだったが(笑)

 

 

余所余所しさがなく、ある程度年齢を重ねてきた自分としては、人との関わりや人の優しさに沁みる描写が多くあった。

 

 

棟梁は昭和の人間かもしれないし、目つきは鋭く言葉は乱暴だけど、「このバカ」と叱ってくれるその根底に愛があるから、甘えられるし、厳しくも出来る。こういう作品が今の時代に必要だ。

 

 

鑑賞前は長渕剛さんの「癖」の強さや特徴的な口調(言い回し)の予想がつくぶん正直後回しにしていた日本映画でしたが、観ていくなかで「思ったより面白いぞ」となり、さらに「面白い!面白い!」と自分の感情が変わっていきました。

 

 

ただただ観て欲しい作品です。

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [13]点

構成 [14]点

展開 [14]点

完成度[14]点

 

 

TOTAL[68]点

 

 

 

余談を2つ書きます。

 

 

今作品に出演する瑛太が改名されました。

次回の作品から本名の【永山瑛太】で表記できるのが凄く嬉しいです。

個人的な話ですが、彼のことをずっと永山君と呼んでいましたので、これからの活躍が楽しみです。

 

 

私の地元である東京の下町は工務店が多く大工が多かったです。

子供の頃、小学生のクラスメイトには大工の家系の息子がいたし、家に遊びに行くと、ヤクザの組事務所なんじゃないかと子供心に思ったほど大きな熊手と神棚があって、強い柏手を打っていたし、帰るときにはメノウの火打ち石を鳴らしてくれて、その際に出来る切り火が子供心にカッコ良かったです。

 

 

銭湯に行けば、お客の背中に桜吹雪や龍のモンモンを見るのは普通の光景でした。

銭湯に行けば壁には富士山、洗い場には昇り竜。前方後方に見えた「絵」。慣れていない方には恐ろしい話かもしれませんが、今作品の大工の棟梁の生き様を見ていて、懐かしい気持ちになれ清々しい映画鑑賞でした。

 

 

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『ラストレター』

 

 

 

 

 

監督🎬

【岩井俊二】

 

 

出演者

【福山雅治】

【広瀬すず】【森七菜】【松たか子】

【庵野秀明】【中山美穂】【豊川悦司】【神木隆之介】

 

 

公開日

[1月17日]

 

本編

[120分]

 

 

非常に・・・矛盾点の多い作品でした。評価も分かれると思います。

 

予告編の紹介文で、「岩井俊二ほどロマンチックな男を私は知らない」と紹介されていましたが、それがアダになったかな。

 

多分・・ロマンチックさだけなら・・私の方が上です(笑)

 

 

矛盾点・違和感は私にとってマイナスの見方ですが、この映画は良い点と悪い点をハッキリ分けて紹介できるので、正直に書きます。

 

 

物語を流れで書いていきます。

 

 

映画は徐々に(馴染むように)良くなっていくので、前半の大半は自分には耐える時間帯でした。

 

 

宮城県に住む姉妹の物語です。

 

 

姉の遠野未咲が亡くなり、弔いで実家に帰ってきた妹の裕里と2人の子供。中学生の長女と小学生の長男。

 

 

この弔いの冒頭のシーンがよく分からなかったのでWikipediaで確認しました。

 

>お弔い(初七日か四十九日かどうかは不明、通夜、葬式当日ではない)、と紹介されています。映画では悲しむ様子が見れなかったり、緊張感がないんですよね。ちょっと不満を持つ映画の立ち上がりでした。

 

 

このことを書く際に知ったことで納得したのが、妹の主人が式に参列せずに自宅のアトリエで仕事をしていたことです。

てっきり葬儀だと思っていたので、なんで妻の姉が亡くなったのに参列しないんだこの義弟!と書こうとも思っていました。(結果として書きましたけど(^◇^;))

 

 

夏休みがまだあるということで、裕里の娘・颯香は、おじいちゃん家に残ることになります。

亡くなった叔母の高校生の娘・鮎美がここに住んでいるからです。

 

 

とても仲のいい従姉妹のようですが、葬儀の前はどんな頻度で会っていたのかな?作り手さん。

 

 

映画は、これを機会に2方向になり展開していきます。

 

 

仙台の我が家に戻った【松たか子】さん[42]演じる裕里は、姉の訃報を知らせるために、市内のホテルで開かれる「姉の同窓会」に出席します。

 

 

受付で姉の同級生たちから、姉に間違えられます。そして誰も疑うことなく会は進んでいく。タイミングをつかめず本当のことを言い出せずに、途中で同窓会を退出。

 

 

ここで思うのが・・間違えますか?(^◇^;)

女優は、松たか子さんと広瀬すずさんですよ。顔の系統が違うじゃないですか。

 

 

姉の未咲は、高校時代に生徒会長を務めた皆の人気者です。

卒業してから20年近く経っていますが、普通に考えて体型は変わっても面影は残りますし、そこまで顔立ちって変わらないでしょう。

 

 

目立たない生徒だったら分かります。おそらく姉妹ということで=似てるだろうという間違え探し発想でしょうけど、間違い探しにもなりません。そういう設定にするなら、姉妹の顔立ちや面影は最低でも似せて欲しかったです。

 

 

同窓会会場を抜け出しバスを待つ裕里の元に、【福山雅治】さん[51]演じる乙坂が追いかけてくる。

 

 

小説家の乙坂は東京在住で独身で子供なし。劇中では説明されていませんが、おそらく運命の女性を思うあまり、この歳になっても独身を貫いているのでしょう。劇中で見るにあまりいい暮らしはしていません。

 

 

乙坂は亡くなった未咲のことが高校時代から忘れられない存在なので、わざわざ仙台まで新幹線を使って同窓会に出席したのでしょうし、再会できたことで浮き足立っています。グイグイ口説いてきます。

 

 

ここでも思いますね。運命の女の顔、間違えるか!?Σ(・□・;)って。

 

 

私は妹、ということを伝えられずに連絡先を交換し、この日は解散。

 

妹の裕里にとって乙坂は初恋の男性です。しかし乙坂は学生時代から姉のことが好きでした。

 

 

家に帰ってからも携帯には乙坂からのアプローチが止まりません。ノンストップ乙坂です!

 

 

裕里は既婚者ですから、スマホの画面を見た夫は激昂。妻の携帯を水没させます。

夫役はアニメ界の巨匠【庵野秀明】監督。『風立ちぬ』の棒読みな声優ぶりが正直私は苦手だったのですが、今回は動画ということで期待しました。優しい口調なので、ちょっとオネェっぽくて面白かったです。今度は狂気的な役柄を演じてほしいな。

 

 

携帯の水没を機に、裕里は乙坂に手紙を書きます。

 

番号が分からなくなり、彼に貰った住所に手紙を書いたのです。そして交換日記が始まりました。

 

見ようによっては不倫関係にもなりますので、途中から、知り合った近所の一人暮らしのお爺さん(義母の恋人)の住所を手紙の投函先に指定します。

 

 

___

 

 

 

一方。

 

 

裕里の娘の楓華と、亡き未咲の娘・鮎美は、田舎の地でのんびりとした夏休みを送っています。

 

 

乙坂の手紙は、最初の頃は実家に届きますので、夏休み中で暇なこの従姉妹が手紙を読みます。

 

 

それで母になりすまし返事を書くことになります。従姉妹は乙坂との手紙のやり取りを短い夏の楽しみにします。

 

 

と言うことは、松たか子さんは、返信の手紙が来ないのに一方的に乙坂へ思いの丈の手紙を送っていたことになるのかしら・・・うーん。よく分からない。

 

 

乙坂は、手紙の相手だと思い込んでいるので、2人の出会いを事細かく手紙に描写します。

 

 

それを読んで、従姉妹はキュンキュン。

 

 

___

 

 

 

手紙のやり取りをしていくと、突然、裕里の元に乙坂が訪ねてきます。

 

仙台の(送り先の)住所に訪ねてくるのですが、すごい行動力ですし・・・

 

・・・この男は、既婚者の女性を最終的にどうしたいんだろう?という疑問を私は持ちました。

 

まだ好き、今も好き、という気持ちはわかりましたけど、かなりグイグイ来ますので、恐怖みたいな感情を私は乙坂に対して持ちます。

 

 

そして乙坂が追求します。「君、本当は妹の裕里さんだろ?未咲はどこにいるの?」

 

乙坂は分かっていました。そりゃそうですよね。好きな人を間違えるなんて恥なことはしませんよ。

 

そう考えれば、妹宛に、姉との青春時代の馴れ初めを赤裸々に送り続けていたということか。これもある意味では恥ずかしいと思うのですが、彼の職業は小説家ですから、小説の延長線上の手紙ということで解釈できます。

 

 

裕里が重たい口を開きます。姉の未咲が亡くなっていることを乙坂に告白するのです。

 

乙坂は呆然とし狼狽。

 

 

私もこの時、同じ同性として乙坂の気持ちになって、一緒に狼狽しました。

 

 

(あくまで私の想像ですが)そりゃないよ・・・。20年近く忘れられなくて、君が運命の女性だと信じ込んでいたから、僕は結婚もしなかったし、もちろん子供もいない。今でも独身の一人暮らし。それで再会のきっかけとなる同窓会に参加したんだ。でも君はもう死んでいるんだって・・・そりゃないよ。

 

 

私が儚く思うのは、やはり年数の重みですね。一途に初恋の人を想った乙坂は40過ぎで独身のまま。対して裕里や亡くなった未咲は結婚して子供がいます。この先からの乙坂の描写には「たられば」が多く含まれます。ナイーブなんです、この男。

 

 

前半が終わり、福山さんメインのシーンから、違和感たっぷりで退屈だった映画が急に面白くなりました。

 

 

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妹の裕里から真実を知った乙坂は、傷心旅行と執筆のヒントに、当時通っていた学校を訪ねます。

 

 

そこには思い出は詰まっています。青春の思い出。君に恋した学生時代。

 

 

写真を撮ったり物思いに浸っていると、犬の散歩をする2人の少女を見かけドキッ。

 

 

 

 

あ💡この犬も意味が分からないです。

前半、乙坂からのメールに激昂した漫画家の旦那が、次回作のアイテムだとうたって犬を買って来ます。

世話をするのは専業主婦の奥様ですから、おそらく不倫の気配を察した奥様を外出させない狙いで買ってきたんだと想像します。

 

 

で、この犬、買って来た当初は2匹でした。おそらくツガイで購入したのでしょう。犬種はボルゾイだと思います。ロシアの狩犬という歴史を持つ大型犬。値段だって結構するはずです。数十万の買い物を妻に黙って・・そういう描写は一切ないです。

 

 

飼育が始まるとこの母親、直ぐに1匹を実家の両親に預けます。1匹を実家で飼い、1匹を我が家で飼う。

 

 

「2匹だと散歩などが大変だから」と預ける時に理由を言っていますが、犬にとってみれば一緒に飼われた方が幸せなはずだし、なんだか別々に飼っていいのかな?という疑問も、犬好きの身としては感じてしまいました。運命共同体であるツガイの犬種を離すということで、何か深読みの設定でも頭で描いていたのかなぁ?

 

 

妻の独断で1匹いなくなったことを知った旦那の描写なども絶対に必要だと私は思うんですけどね。やはり一切ありません。

 

 

話を戻します。

 

 

乙坂は2人に話しかけますが、2人(特に未咲の娘鮎美)は直ぐに彼の正体を見抜きます。夏休みの間ずっと彼と手紙のやりとりをして来たので直感で気付きます「もしかして乙坂さんですか?」。

 

 

一番好きな人が住んでいた家に上がり、彼女の遺影を見ながら仏壇に手を合わせる。

 

そして泣くのです。おいおいと。

 

 

帰る際に、乙坂は写真を撮ります。パシャりと。

 

 

 

 

 

この後半の【広瀬すず】さんと【森七菜】さんの2人の女優のカットが、神がかって純粋無垢な美少女に映っていると感じます。

近年稀に見る美少女ショット目も心も奪わる時間帯が15分ほど私に続きました。

 

 

これもあくまで私の想像なんですけど、映画の冒頭で夏休みの間しばらく泊まることになった中学生の楓香は、その間の着替えなどは持って来ていないと思います。それで劇中の衣装を見ていると毎回違うので、じゃあ・・高校生の鮎美の服(お下がり?)を借りてるんだな。そう思ったわけです。

 

 

これにより双子コーデ・姉妹コーデみたいになって、かなり映像の見た目が素晴らしいです。洋服のセンスもいいですね。

ノースリーブのワンピースが健康的ですし、2人とも色白なので透明感も強く出る。

 

 

まぁ、宮城県でも田舎町という舞台の設定ですし、こういうお洋服、どこで買っているのか?は気になりました。もしくは生前のお母さんの趣味かな。

 

 

広瀬すずさんは姉妹だと妹のイメージが強いと思いますが、今回、落ち着きのある鮎美役は相当ハマっていました。

 

冒頭は東南アジア系のハーフに視えましたが、経験則も最大の強みだし、それを感じさせる【森七菜】さんの妹キャラが【広瀬すず】さんを引き立てていて、どちらの女優もプラスに働いています。

 

 

単純に、この二人の女優の相性がとてもいいのかもしれません。是非とも違う作品でも共演して欲しいです。

 

 

森七菜さんは幼い顔立ちのわりに憂いがあるんですよね。まだ18歳とのことなのでオファーはできませんが、成人以降はしっとりとした恋愛映画で輝きを放ちそうな予感がします。

 

 

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映画の直後に今作の評価を箇条書きしたスマホのメモを載せます。

今まで描いたことと同じ部分があると思いますが、ご理解ください。

 

 

こんなに極端な映画をあまり知らない。

前半と後半の映画の質、映像の雰囲気、見易さ、役者同士のコミュニケーションの取り方、こんなにも違うんだってほど極端すぎる。

 

 

躍動感のない平坦な会話のシーンでも、カメラが揺れているから気になるし、正直気が散る。

カメラワークも真正面ではなく、斜めに撮ったり、手ブレなのかグラついているのが、いちいち気になる。

 

 

福山さん演じる独身中年小説家も、ずっと会いたかったと言っても、何も行方不明なわけでもないし実家の住所も知っているのだから、「だったらなんで行動しないの?」と疑問に思ったし、それなのに同窓会で再会してからの行動力は相当な積極性を見せるから、描き方に統一性がなく矛盾を感じる。なぜに会わなくなったのかの理由も作中で紹介すべき。

 

 

小学生の長男も見せ場は用意されているが印象に残らず、松たか子さんと息が合っていないように思えた。

 

 

つがいで飼った犬も、すぐに片方だけ実家に送るし、義母のボーイフレンドの一軒家に入り浸って、気色悪かった。

旦那の職場は自宅なので、普通に家を開けている専業主婦になるし、それなのに旦那は嫉妬しぃな性格。矛盾している。

 

義母役と旦那役、親子には見えないし余所余所しい。この家族自体が息が合っているようには見えない。家族ってたとえ演技だとしても「雰囲気」が絶対に必要になると私は思っているので、前半部分は偽装家族のようで気持ち悪さが勝ってしまった。

 

 

中盤以降に、メインが交代し、広瀬すず・森七菜・福山雅治・回想シーンとなると、それまでの映画の雰囲気がガラッと変わった。

各50点満点だとして、前半20点、後半45点となるような極端に良くなった。

 

 

・・・色々と書きましたm(_ _)m

 

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [13]点

構成 [15]点

展開 [12]点

完成度[13]点

 

 

TOTAL[67]点

 

 

 

 

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『シグナル100』

 

 

 

 

監督🎬

【竹葉リサ】

 

 

出演者

【橋本環奈】

【中村獅童】他

 

 

公開日

[1月24日]

 

本編

[88分]

 

 

最近、邦画の作品紹介で語ることが多くなりましたが、

 

現在は役者の世代交代の時期です。周期でいうと5年・10年で訪れます。

 

特徴としてはその時期、学園モノのドラマ・映画が多く制作されます。その中から何人かが活躍すればメッケモンです。

 

この学園モノ制作は2年ほど続きます。おそらく2022年以降は、2年前と同じで学園モノは少なくなるはずです。

 

主演男優・主演女優を先頭に置き、そこから各事務所の一押しの俳優(分かりやすくセリフ量多め)を前列に並べ、残りをオーデションで選出。

 

 

こういう学園モノをなるべく観るようにしています。あと何年かしたら「シグナル100に出てた俳優」になるでしょうから。

 

 

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原作は漫画のようです。

 

 

洗脳殺人なのでR15に指定されています。

こういうサブリミナル効果を利用した洗脳は90年代に日本でも問題になりました。

 

 

物語は【中村獅童】さん演じる高校教師が受け持つクラスの生徒全員を洗脳し、自殺に追い込むという、いかにも「漫画らしい」残酷な発想です。

 

 

ある放課後。クラス全員を視聴覚室に集めて、1つの映像を鑑賞させます。

 

 

そこには悪魔系のビジュアル系バンドが制作しそうなグロテスクなカットが何シーンも編集されている映像で、それはこの担任が仕掛けた集団催眠でした。

 

 

この映像を見たことによって、催眠状態・洗脳状態に陥った生徒たちは、以後、あらかじめ取り決めていた「100の行為」を行った時点で自殺を図る仕組みになっています。1度、自殺を図ったら、誰が止めに入ったとしても絶対に死にます。

 

 

この展開はジャンルは違いますが『リング』と全く同じですね。ビデオを観たら無条件で死と隣り合わせになるのですから。

 

 

100の信号(シグナル100)は、日常の些細な行為で発動してしまいます。

携帯電話をかけるとか、校門から出る、泣く、喧嘩する、などがドクロスイッチ。

 

 

助けてと携帯電話で助けを求めたら、逃げようと校門を出たら、怖かったり友達が死んで泣いたら、言い合いになったら等・・その時点で自制が効かなくなり、自殺をします。死に方は飛び降りたり、頭を壁に叩きつけたり、文房具で自らを刺したり様々です。

 

 

主人公は大ブレイク中の【橋本環奈】さんが演じます。

 

 

「橋本環奈さんは主人公(主役)だし死ぬことはないんだろうなぁ」と思いながら、この自殺の演出映像だけに特化させたような映画を観ていました。

 

 

 

 

 

『今日から俺は』の名コンビ。元乃木坂46の【若月佑美】さんが引き続き親友役。

 

 

若チュキは映画開始の早い段階で自殺をしてしまいます。私としては「視ていたい女優」が1人いなくなったので寂しい気持ち。

 

 

この映画の出演者の顔ぶれを最初に観た時に、期待したのは上の若チュキと、注目しているアミューズ女優【恒松祐里】さんの2人。恒松祐里さんはブレイク間近なので、作中もメインシーンが用意されていました。

 

 

恒松祐里の今作の演技について1つ苦言を呈します。彼女の役は気管支喘息を持った女子高生で、吸入器を常備しています。ミステリーやホラー映画で喘息のキャラクターは時々見かけますが、恒松さんの演技は酷かったですね。正直観ていてイラっとしましたもん(^_^;)実際に小児病棟や呼吸器内科を訪れて役作りするとか、極論・・私に聞くとか、して欲しいです。

 

 

女優以外には男優の生徒たちが、なんなら男優のほうが熱演していましたが、正直あまり印象に残りませんでした。

 

 

私の学生時代はやはり『バトルロワイアル』で今作と似たようなシーンが沢山ありますので、バトロワだったら最強の敵・安藤政信さんvs塚本高史のバトルシーンみたいな感じかな。漫画原作→映画化=高校生同士の殺し合いアクションは大体先駆作品の似たり寄ったり。

 

 

1人また1人とクラスメイトが死んでいく。

「泣くこと」はシグナルなので誰も泣きませんが、集団生活をすると必ず出てくる策士が登場。

もともとクラスでも孤立をしていた自殺志願者なので怖いものはなく、冒頭も屋上から指鉄砲でクラスメイトを妄想殺害している闇多めのキャラクター。

 

 

彼は集団催眠を利用して絶対優位に立つ王様になります。担任は最期に1人になれば生き残れると言い渡し自殺しましたが、それだけではなく必ずヒントがある筈だと、図書室にて今回の集団催眠の全容が書かれた本を見つけました。学校の図書室にこんな黒魔術的な著書があるわけがありませんから、きっと担任が愛読書を図書室に置いておいたのでしょう。

 

 

本の中には催眠をかけた場合は、やはり最後の1人になると生存できるという情報と、催眠が発動してしまう50の事項が記されていました。クラスに戻った彼はその情報を全て教えずに、自分だけが知り得た自殺発動事項を誘導し、クラスメイトを1人1人殺していくのです。

 

 

あいつはおかしい。そうなれば今度は仲間割れや派閥作りです。純粋にチームプレイを大事にする仲間思いの奴等は犠牲になりやすい。正直者が馬鹿を見る。

 

 

そうこうして全ての項目が出揃った100の禁止事項。残りの50個は展開の中で探し出します。

黒板に書いて各自が禁止事項を行わないように気をつけますが、やはり犠牲者が次々と。

 

 

最後の1人になれば助かる模様。果たして誰が生き残るのか?

 

 

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橋本環奈さんの映画初主演作『セーラー服と機関銃』を2016年に映画評論で書いたことを昨日のことのように覚えています。

 

 

今ではバラエティも出来るコメディエンヌ女優として大車輪の活躍を見せています。

 

 

映画初出演となった是枝監督の2011年公開『奇跡』も当時ここで書いていますので、そう考えると彼女が小学生の頃から・・感慨深い。

 

 

「女子高生のカリスマ」などとも言われていますので、私が観た平日の夕方も、女子高生の観客が5割くらい入っていました。

 

 

個人的に思うのは・・ファンの人には申し訳ありませんが、もうそろそろ制服姿がキツくなってきたかなと、アゴ・クビ周りのお肉がつきすぎかなって。こういう学園モノは男子も一緒に撮影しますから、その場合は上アングルで背の低い女性は特に可愛らしく映ります。逆にピンのシーンは身長の問題でカメラマンは低い体勢で撮影となり見上げるように撮ります。そうすると首回りのお肉が気になってしまうんです(^_^;)

 

 

お酒が大好きで若いのに酒豪みたいだという噂をよく耳にします。そういうプライベートのエピソードを聞くと、どんどん未成年の役柄のイメージがキツくなってくるように思えます。

 

 

女優としては器用なタイプではないので、表現力の高さと、一番は癒しキャラを求められていると思います。

 

 

どの作品も驚く時や叫く時は、首をしゃくって鼻の穴を広げるように演じるので、どんなジャンルでも同じパターンは見飽きてしまう。このままだとピークが来てしまいそうですから、そろそろもう1つステージが上の演技を磨いて欲しいです。

 

 

内容よりもクオリティー重視。ラストシーンは必要なのかな?

 

 

映画が終わり、席を立ち、自分の前を歩いていた女子高生達が「結局どうなったの?」と頭にハテナマークを浮かべながら言い合っていたのが、作品よりも印象に残っています(^◇^;)

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [13]点

構成 [13]点

展開 [12]点

完成度[12]点

 

 

TOTAL[63]点

 

 
 
________

 

 

 

早いもので、1月に公開された日本映画が、各シネコンで既に上映終了となっている模様です。

 

 

次回は「2月期」のTHE映画評論を予定していますが、なるべく3月1日に載せられるように私自身も時間を作りたいと思っています。好きな映画に出会ってくださいね。

 

 

 

フォローしてね

 

 

 

【mAb】

 

 

THE映画評論『2月鑑賞5作品:前期』

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日本映画

 

『AI崩壊』

 

 

 

 

監督🎬

【入江悠】

 

 

出演者

【大沢たかお】

【賀来賢人】【岩田剛典(三代目J SOUL BROTHERS他)】【広瀬アリス】【玉城ティナ】【高嶋政宏】【芦名星】【松嶋菜々子】【三浦友和】他

 

 

本編[131]分

 

公開日[1月31日]

 

 

主演【大沢たかお】さんの魅力は「良品質」の「安定感」だと思います。映画の格が上がる俳優です。

俳優を離れている時期は復帰を心待ちにしていたし、昨年の『キングダム』以降は体が大きくなり、アゴ周りの脂肪が年齢を感じさせます。これから徐々にシャープな体に戻していくのでしょうね( ^∀^)

 

 

では少し書きます。タイトル通り『AI崩壊』の近未来想定映画です。崩壊後は対義語となる『AI再建』出来るようにラストを締めてくるのかな?と期待して鑑賞に臨みました。

 

 

10年後。

2030年令和12年度の日本は国民の実に4割強が高齢者や生活保護者となります。という映画の背景です。

 

 

高齢者が全国民の半数になるということで、現実問題、人手不足が深刻となりますね。

そこで科学(機械)の出番です。医療人工知能「AIのぞみ」が利用者のデーターを管理するようになります。

 

 

大沢たかおさん演じる桐生博士は【松嶋菜々子】さん演じる妻と、この「のぞみ」を共同開発しました。

 

 

病死した妻の逝去後。桐生は会社を【賀来賢人】さん演じる義理の弟に託し、幼い娘を連れてシンガポールに移住。科学者ですが、海岸を走ったりしているので、その後の逃亡劇に備えて体力作りをしているようにも思えます(笑)

 

 

桐生の渡星後。AIのぞみは日本国民に広く普及し、非常に多くの国民にとって「なくてはならない存在」になりました。

病床で妻と話した希望の未来が実現したわけです。

 

 

利用者の身体を管理してくれる人工知能。病気の発覚も早期発見でき、多くの人の命を救い、健康を保つことを可能にしたAIのぞみ。

 

 

本社の前では機械の導入により職を失った者達や団体などが連日デモを行なっています。近未来SFドラマに有り勝ちな設定ですが皮肉なものですね。(明日は我が身かな(^◇^;))

 

 

そのAIが突如暴走を始めます。もちろん人間の仕業です→人工知能が勝手に暴走をするならば2100年ぐらいの設定になります。

 

 

記念式典に参加するため数年ぶりに開発者の桐生が娘と帰国したタイミングを見計らっての犯行でした。

 

 

式典には警察が警備にあたります。デモ隊が紛れ込んでいる情報が入っていたからです。

 

 

暴走を始めたのぞみ。国民の管理を行っている人工知能の暴走に多くの国民が混乱に陥ります。中でも心臓にペースメーカーが入っている現役総理大臣の急死はトップニュースです。

 

 

総理役は【余貴美子】さんが演じます・・女性初の総理大臣です!

 

 

2030年・・どうなっているんでしょうかね。関係ないけど、与党はどっちかな??なんて考えてしまいます。

 

 

EXILEグループの【岩田剛典】さん演じるエリート理事官が指揮をとり、超最先端の警視庁サイバーAIを駆使し、このAIテロの犯人を警察は桐生と断定。桐生の行動や言動は全て筒抜けになります。

 

 

もちろん、桐生は犯人ではないですから(^◇^;)そりゃぁ必死に逃げますよ!冤罪でも捕まれば死刑確定ですもん。

さらに本社地下にある「のぞみの心臓」には愛娘が逃げ遅れて閉じ込められる。社員一同で凡ゆる手を使っても扉が開きません。(頑丈なのはいいことだ)

 

 

機械ですから冷やす必要があります。室内の気温はどんどん下がっていく。娘の生命のカウントダウンが始まっている。

女性従業員達の「心ちゃーん」と呼びかける声が個人的に普通すぎて良かったです。

 

 

AIのぞみの暴走は利用停止だけに止まらず、「生死の選択」を始めるのです。

寿命や存在価値などを判別して、生か死を選ぶのです。娘の心は小学生と若いですが現在瀕死の状態中ですから、存在価値として死亡を選択されるわけです。

 

 

選りすぐりの技術者もお手上げ。修復できる人物は開発者の桐生のみ。しかしその桐生は警察に追われています。

 

 

追う警察は2パターン。

岩田剛典さん演じるサイバー課の理事官は分かり易くメガネを指でクイっと上げるワンパターンさが目立つ演技プラン。警察AIを駆使し何としてでも桐生を捕まえに動きます。

 

 

【三浦友和】さん【広瀬アリス】さんは足で動く青島タイプ。定年間近の刑事と新米刑事の即席コンビ。やはり青島タイプの刑事の方が人情(ドラマ)的には見易いですよね。

 

 

亡き妻と共に作った未来の日本人のための医療系人工知能。その妻が残してくれた最愛の一人娘。この2つの宝物の存在が桐生を突き動かします。全国指名手配。警察の完全監視の捕獲作戦。桐生は真冬の太平洋に飛び降り、AIのぞみの修復と娘救出のため突き進んでいく。

 

 

___

 

 

 

この映画で一番演技が光っていた俳優は賀来賢人さんです。

 

 

賀来賢人さんはクネクネした表現で人気俳優の仲間入りを果たしましたが、クネクネは器用でなければ出来ませんから、動きにキレがあるという「俊敏系俳優」になると私は視ています。それよりも、今回の作品を視ていて、40代や50代の実績も実力も兼ね備えた兄貴肌な先輩俳優が主役にいて、脇を固める2番手で演技をされる方が彼は評価されると視えます。主役よりも弟分的なキャラクターが合うと思うのですが。

 

 

総括としましては、中の中の中の日本映画でしょうか。映像や演出のスケールは大きいけれど、全てを見終わった後にバラシの犯人だったり物語の表現法に定番を感じすぎて、驚きも感動も少ない。

 

 

盗撮や盗聴をする警察の捜査員の中に、桐生が犯人ではないと疑う者がいないのも、逆に警察なにやってんだとも思いました(^_^;)桐生がテロや逃亡をする意味を警察や第三者目線で描かなければ映画としての深みは一切なくなってしまいます。

 

 

警察の徹底的な追跡と桐生の中盤の逃亡劇がこの映画の最大の見せ場になると思いますが、行く先々で警察の包囲網が万全にある様子が、これはもう完全に総理大臣暗殺テロ映画の『ゴールデンスランバー』越えの映像・迫力だと思ったし、その包囲網を掻い潜って、再三の九死に一生を得る主人公の様子は、まさにトム・クルーズみたいだなって目で見てました(笑)

 

 

とても迫力のある映画だなと思った反面、子供が閉じ込められるシーンや、黒幕の展開や用意されたセリフ(台本)の言い回しはワンパターンなので、まだまだ日本映画の枠に留まっている作風にも思えました。

 

 

追っ手が警察だけなので、もう1方向くらい謎の組織を登場させたら構成点は高くなったのかなと思います。

 

 

映画とは関係ありませんが、未来で頼りになるのは政府よりも企業や個人の方かもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [13]点

構成 [14]点

展開 [14]点

完成度[13]点

 

[68]点

 

 

 

_____________

 

 

 

 

『ペット・セメタリー』

 

 

 

 

監督🎬

【ケヴィン・コルシュ】

【デニス・ウッドマイヤー】

 

 

出演者

【ジェイソン・クラーク】【エイミー・サイメッツ】【ジュデ・ローレンス】

【ジョン・リスゴー】

 

 

本編[101]分

公開日[1月17日]

 

 

 

原作は【スティーブン・キング】。

新作映画を書いてきた私にとって、語る頻度・機会の多い作家さん。

 

 

『ペット・セメタリー』の映画化は2回目。

1989年製作の映画を鑑賞していないので、見比べることなく真っ新な状態で鑑賞できました(^ ^)

 

 

まずタイトルを見て、セメタリーのスペルが1文字違いますから、これは映画のメッセージなんだと察し「ペットのお墓」と頭で訳せます。作中でスペル違いの理由をしっかり紹介していました。これも初見の醍醐味でしょう。原作小説や1989年版を見たよー!という人にとっては「何を今更」となるのでしょうから、探せる楽しみが1つ増えたという初見の利点。

 

 

S・キングの特徴は、都会ではなく田舎町の何気ない日常の中で起こっていく狂気になるので、今作もその世界観の中を浮遊しながら鑑賞に臨みます。

 

 

ボストンの都会からメーン州の田舎町に引っ越してきたクリード家は4人家族。診療医の主人公、妻、小学生の娘、幼児の息子。

 

 

クリード家の新居となる土地は曰く付きでした。家の周りの山も全部あなたのものです。

広大な土地付き物件とのことで羨ましい限りですが(笑)そこはやはり事故物件Σ(・□・;)

 

 

引っ越してきて早々。転校前で暇を持て余していた娘のエリーが山道から降りてくる(背丈)子供達を見かけます。

 

 

 

 

彼等(化け物たち)は何かの儀式を行なっているようで、楽器を鳴らしながら、手押し車に動物の死体を運んでいます。

 

(これが仮に老人の外見だったら、更に怖くなったはず。腰が曲がった老人って映像で見ると怖くないですか?)

 

 

彼等が去った後、興味を持ったエリーが足跡を辿っていくとお墓を発見。居合わせた隣宅の老人から「ペットのお墓だよ」と教わります。

 

 

展開が進み。飼っていた猫が亡くなります。父親は、上の老人から「埋めるのを手伝う」と言われ、その夜にこの土地に古くから起こるウルトラスーパーハイパースピリチュアル的なチカラの存在を知らされます。(例えが小学生Σ(・□・;))

 

 

かつて先住民族インディアンが土地を捨て逃げ出したほど、強力なチカラを宿した土地があるとのこと。

 

 

老人は「それを行うのはタブー」と前置きで伝えながら、父親にそのタブーを教えます。死者を生き返させる儀式です。

 

 

死んだ生き物を、その場所に連れていき、埋葬すると、翌日には自分の元に戻って来るというのです。

 

しかし戻ってきた者が何者なのか?は誰にも分かりません。

 

 

父親は死んだペットの猫をその場所に埋めます。

 

すると翌朝。埋葬したはずの猫は自宅に戻っていました。鋭い目を父親に向けながら。。。

 

 

___

 

 

 

この作品をノンビリ(広々)観たくて、私がTOHOシネコンで一番美しいと思っているTOHO日比谷の21時台の回を鑑賞しました。

 

 

通常TOHO日比谷はどの作品でも混んでいますが、21時や22時台の遅い最終回も上映されますので、ジャンルによっては貸切状態で鑑賞できます。JRは終電が24時台なので、終電ギリギリまで上映されているんでしょうけど、大抵の人は余裕を持って帰宅しますもんね。なので比較的空いています。こういう時間帯に大都会の中心で劇場鑑賞できるのは、ロードバイカーの特権かな(^◇^;)

 

 

S・キング映画で私が常に抱くのは、前半の入り方とか発想はいいんですけど、中盤以降は似たり寄ったりの作風が目立つんですよね。面白いけど最後までその気持ちを持続させてくれない、という感じですかね。今回も転入前のエリーがペットの死骸を運ぶ集団に出くわした時の雰囲気は大物作品の誕生を期待しましたが、やはり鑑賞後は「まぁこんなものかな」で終わってしまったのです。

 

 

少々残念なのは・・ここは重要。ヒロイン役の【ジェデ・ローレンス】という子役さんに、そこまでの演技力がなかったことでしょうか。子供らしい表現力はありますが演技力はそこまでと視ます。私は子役の「俳優としての成長」を視ていくことが趣味であり、それを映画冥利と思っているので、子役さんをしっかり視ます。小動物系の顔立ちで、可愛らしい子役さんですが、そこまでの可能性を感じなかったのが残念です。怖い顔(別人格)の演技をするので、ジュデさんだとハマりすぎて顔付きがきつくなる。もう少し丸顔の子役さんを選出した方がギャップは出るかも。

 

 

アメリカンホラーの特徴である「驚かし」が多めの作風で、お化け屋敷な仕掛けが随所にありますが、すごく怖いとか、すごく驚くなどの展開は少ないので、S・キングの深層心理的な発想力を冷静に観れる作品でもありました。

DVDなどで是非とも鑑賞ください(๑╹ω╹๑ )

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [13]点

構成 [14]点

展開 [13]点

完成度[13]点

 

[67]点

 

 

 

_____________

 

 

 

日本映画

『ヲタクに恋は難しい』

 

 

 

 

監督🎬

【福田雄一】

 

 

出演者

【高畑充希】【山崎賢人】

【斎藤工】【菜々緒】【賀来賢人】

【若月佑美】【今田美桜】【ムロツヨシ】【佐藤二朗】他

 

 

本編[114]分

公開日[2月7日]

 

 

人気漫画の映像化作品のようです。以前は漫画大好き人間でしたが、漫画の読書を完全に断ってから5年以上経つので、今となっては全然分からないです(^◇^;)でも流行作品は分からなくても音楽や俳優の知識は十分にありますので( ^ω^ )そこは語れます。

 

 

映画を観ている最中に少々疑問に思ったのが、方向性は完璧か?という抑のこと。

この主人公2人は、それぞれにキャラが立って独立性が十分ですから、そこまで恋愛方向に固執させなくても成立しているんじゃないかな?逆に恋愛描写に持っていくことで俳優の存在感(誰でもいいんじゃないのか?感)が低くなっているように思えます。

 

 

監督はポップ映画で現在最もお客を呼べる監督【福田雄一】氏ですし、監督作品にゆかりの強いムロツヨシ君や賀来賢人さん、佐藤二朗さん等の常連組は今作品も健在。

 

 

 

もはや女優は可愛い・無口だけではなく、面白さ・ユーモアもなければ生き残れない「今の時代」を作った監督と言っても過言ではないでしょう。今の時代は殆どの女優(主に10代・20代)が白目を剥きます(笑)。なので清純派の女優が熱演したとしても「殻を破った」という見方にはなりにくいんですよね。時代のせいでΣ(・□・;)

 

 

女優だけではなく男優もそうですね。2枚目だけでは生き残れない時代です。

 

 

山崎賢人さんもその1人。『斉木楠雄の災難』で男性人気も獲得しましたし、私も斉木楠雄からアイドル俳優のイメージを脱却しました。上から目線になってしまいますが、見直しましたしプチファンになりました。イメージとしては山崎賢人・福士蒼汰がセットとして一時代を席巻しましたが、コメディ要素の殻を破ることができた山崎賢人さんは今後も安泰でしょうね。1作1良質タイプの佐藤健クラスになると予想します。

 

 

無駄話ばかりですみません。話を戻しますが、別にこの作品を恋愛映画にする必要性は感じませんでしたし、そこは福田作風の色に染め通して欲しかったです。恋愛映画にするなら、あえて笑い控えめに持っていけばギャップになるだろうし、結局は福田作品や常連俳優目当ての観客を喜ばせる方向に作風を持って行っているので、好きな人は好きの評価で収まる。

 

 

佐藤二朗さんやムロ君が喋るだけで、一部の観客席から笑い声が聞こえてきますが、そういうファンの方は売り手には有り難いですよね。

 

 

ヒロインの【高畑充希】さんは、10年ほど前に『ピーターパン』を観劇したことがあり、映画に出始めの頃の映画評論ではミュージカル女優として紹介していました。しかし今作品のミュージカルは私の気持ちとしてはクオリティが低いと思いました。主人公が話の途中にいきなり歌い出すという所謂「ミュージカルの演出」が苦手な方には不向き?

日本語の歌詞は日本人の声帯的にミュージカルには合いませんが、もう少し彼女の背丈や音域に合った曲調にして上げてほしかったかな。

 

 

 

映画の進行を止めてまでミュージカルを差し込む必要性はあったのだろうか?和製ララランドは見窄らしく観えてしまいます。

それに対して男性陣はヲタ芸を見せたり、躍動感もあるから男女比で高低差が激しくなる映画でした。

 

 

福田雄一作品は面白いけど「一緒くた」なのでメイン料理ではないんです。

 

 

例えば、座席に座った観客の自分の前には、大きな中華テーブル(回るアレ)があって、それを挟んでスクリーンを観ると想像してください。食事をしながら映画を見るという感じです。

 

 

スクリーンに本編が映し出されました。

そのタイミングで、次々に色とりどりバレエティ色豊かな・・中華料理が運ばれてきます。フレンチではないかな。

 

 

私は油ギトギトの肉の塊にかぶり付いたり、飲茶をフーフーしたりして、ついつい食事に夢中になるんですけど、本当の目的がテーブルの向こうの映画だと知りつつも、目の前のものにばかり気を取られてフェニッシュに。でもお腹一杯になって帰る(笑)という感じです。

 

 

 

 

面白いは面白いし、出演者の華(オーラ)は視えるのですが、逆に演技が下手な俳優が少なくて残念です。それはいいことに思えるかも知れませんが、どの映画でも集団演劇だと1人は下手はいるものですが、今作品はいませんね。

 

 

強いて言えば菜々緒さんと若チュキが低音を強めに発声する女優なので声だけ聞けば下手の部類に入りますが、今作はそこまで気になりませんし、それゆえ全体的に手慣れた感がとても分かり易く感じてしまう仕上がりに。

 

 

日本の文化カルチャーを愛する外国人は多いでしょうから、その観点から考えると外国受けする作品になると思います。

日本の最近のコミカルでシュールな作風は正にアニメの中の世界観が立体的に動き出しているし、世界的に観ても独特でしょう。私がインド映画を見てカルチャーショックを受けるみたいな感じなのかな。全然違うか(^^;;)

 

 

とりあえず『フクダ(監督)に恋愛映画は難しい』と言った感じでしょうか。最敬具。

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [13]点

構成 [14]点

展開 [13]点

完成度[14]点

 

[67]点

 

 

 

_____________

 

 

 

ジャパニーズホラー

『犬鳴村』

 

 

 

 

 

監督🎬

【清水崇】

 

 

出演者

【三吉彩花】【坂東龍汰】

【奥菜恵】【石橋蓮司】【高嶋政伸】【高島礼子】他

 

 

本編[108]分

公開日[2月7日]

 

 

「犬鳴村」は福岡県にかつて実在した集落で、ダムに沈んだ村として地図からは消されています。

ダムに沈んだ村発信のホラー映画ですと『のぞきめ』を思い浮かべます。

 

 

個人的にもとても興味がありまして、旅行先でダムを訪れるたびにコーディネーターの方に「ダムが建設される前」の様子を聞くことがしょっちゅう。そこには村や町やお墓があったでしょう。

 

 

信じるか信じないかは貴方次第、の都市伝説であり、九州地方最恐の心霊スポットとして有名なのは「犬鳴村」。

 

 

名前はもちろん知っていましたが詳しい知識はありません。私は関東の人間なので関東の心霊スポットの知識はあります。

職場には九州出身のスタッフが数人いるので尋ねてみると、九州の若年層なら殆どが知っているそうです。

 

 

今回の映画を観た後に、犬鳴村伝説をWikipediaを読んでみると、映画の劇中に登場する描写の殆どが表記されていました。 → Wikipedia

 

 

ということは九州の人にはお馴染みの話なんでしょうね。

 

 

主演の【三吉彩花】さん[23]をメインで初めて銀幕で見たのは大泉洋さん主演映画の『グッモーエビアン!』でした。約8年前のこと。昨年の『ダンス・ウィズ・ミー』も鑑賞しましたけど、自分の中では特別視する女優とは思いません。顔立ち的に成海璃子さんを彷彿とさせるので、未だに間違えてしまいます(^◇^;)モデルとしては日本のトップクラスですので、課題は表現力の成長ですかね。演技力はあると視ているので、繊細な表情(顔のパターン)を映像に表れるように研究して欲しいです。あとは割と内々から

込み上げるようにセリフを言うタイプの女優ですので、地団駄を踏むような身振りだとキレが悪く見えるので直した方がいいです。

 

 

私がこの映画で一番面白かったのは、心療内科の女医である主人公の設定です。

霊感のある女医✖️病院勤務って最強の組み合わせ!!

 

 

霊感のない主人公よりも霊感のある主人公の方が話が早いのでいいですよね。

幽霊なんか居ないよ〜というキャラの人間だと論より証拠の幽霊映像をシーンで用意しなければなりませんが、主人公は霊体質なので生者と死者の区別・状況察知が早くて楽。

 

 

 

そんな主人公ですが、1人の患者の男児に手こずっています。

「あの子の担当変わりたい」と口にするほど、その子には常に女性の霊が憑いています。

それで少年の目線の先を追うと、案の定バーンと登場!!そんな風に事あるごとに感知してしまう霊感体質の持ち主です。

 

 

幼少期から幽霊は沢山見てきたでしょう。見て見ぬ振りをしながら、過ごしてきたのしょう。

 

 

でもここで思うのが、そういう設定なのに、バケモノを見るたび、こんなにヒッ!やワーキャー言うなら、病院勤務の女医に向いてないんじゃないの主人公??Σ(・□・;)と思ってしまうのです。

 

 

これで悪霊退散などの能力が備わっていたり、数珠などのアイテムを身につけていればいいのですが、主人公は霊が視えて、時には対話できる程度です。なーんだつまらないと思いました(中盤まで)。これが逆に幽霊が登場してもガンガン突き進むドS(アメリカンホラー)の主人公像にした方が斬新かも知れませんね。

 

 

物語の起点となる映画冒頭。心霊スポットで動画撮影しているバカップルが、案の定なにかに遭遇し命からがら帰宅。それで彼女の精神がおかしくなってしまいましたよ、という紹介から始まります。

 

 

翌日カメラを回していた彼氏は、実家に帰ってきた心療内科医の妹に彼女を診せます。彼女は聞き覚えのない民歌を歌いながら、フラフラしています。そして目を離している間に、外に出て行き、探しに出た主人公の目の前で飛び降り自殺をします。死因はなぜか溺死です。

 

 

この死因は公表されず【石橋蓮司】さん演じる医者と【高嶋政伸】さん演じる2人の父親だけがそれを知ります。

高嶋政伸さんということで演技の癖は強めになっています。ここ最近の高嶋兄弟の癖の強さは凄いですね。

 

 

2人の会話。かつて同じ死因の変死体がこの町から発見され、その当時のことを知るのはもう俺たち2人だけだとヒソヒソ話をしています。(犬鳴村の存在を知る老人は沢山いても、変死体を知る人は上の2人しか生き残っていない、という会話の意味です))

 

 

田舎の町の葬儀の様子も他の低予算ホラー映画だと作れない規模です。さすが日本が誇るホラー界の大御所・清水崇監督。

 

 

彼女が亡くなったことで失意の中にいる主人公の兄。動画投稿のために心霊スポットで撮影して呪い殺された、という流れですから、自己責任でしょう(T ^ T)

 

 

さらに彼女の荷物の中から母子手帳を発見。悲しみが狂気に変わり、後輩を連れて犬鳴村に再訪します。

上下関係のしっかりある福岡ヤンキー。先輩の「行くぞ」に巻き添えを食った田舎の後輩、なんだか可哀想だったなぁ。

 

 

 

 

(マジやってやんよ!で突入して返り討ちに)

 

 

そして兄がいなくなった、おまけに兄に憑いて行った小学生の弟もいなくなった。

 

 

 

 

(高島礼子さんの内股が気になります)

 

 

子供が行方不明になりパニック状態でトンネルの向こうに行こうとする【高島礼子】さん演じる母親が、止めに入った警察官や夫に獣のように牙を剥く。それ以降、おかしくなり、食事の姿勢は四つん這い。こんな高島礼子さんは見たことない!!

 

 

元々寡黙で秘密主義の父親は電気も点けずに薄暗い家の中に引き篭もる。家族バラバラ。ココロバラバラ。

 

 

真相解明にこそ兄弟を救える手があるんではないかと動く主人公。これぞ清水崇監督作品。

そんな時に主人公の前に現れる犬鳴村の幽霊ボーイ!

 

 

真相の先に見えてくるものとは何か?生きて往く意味を知れ!!

 

 

主人公は完全に取り憑かれ心身とも疲弊していきます。まぁこんなの目の前に現れ続けたら、誰だって頭おかしくなっちゃいますよね(^◇^;)

 

 

 

 

(彼女の上着はサーモンピンク!!)

 

 

私のホラー映画の物語文は毎回こんな感じでイカれてますが、ネタバレを書くつもりはないので、そのぶん多少の含みを文面の中にもたせます。正確な描写を気になった方は鑑賞されてください。

 

 

____

 

 

最後。

 

 

私が好きな日本のホラー映画は優香さん主演の『輪廻』という作品です。2005年の作品なので、もう15年前になりますが、20代になりたてだった私はこの作品の想像性に夢中になりました。

 

 

この映画『犬鳴村』も描写的には『輪廻』と同じですが、と言っても日本のホラー映画の脚本は神道ではなく、基本は仏教に通じるように描かれるので似るんですよね。

 

 

(神道ホラーだと陰陽師や祟りなど、少々歴史の重さで描かれることが多い)

 

 

もう1度載せさせて頂きますが、映画以上に、この心霊写真風のチラシが一番センスあると思います。

 

 

 

 

(ちょっとアゴがシャクれてる心霊写真だな(笑))

 

 

犬鳴村トンネルの犬鳴村側から心霊写真の向きにしているのもベリーグッドです。入ったら飲み込んでしまうってか!!

 

 

もう少しだけ注文するなら、合成にはしないで、本物を撮影してきて使用して欲しいです。

 

 

実際の犬鳴トンネルの前に霊感の強いスタッフを1週間くらい放置させて、写真を撮らせまくれば最低でもオーブくらいは写るだろうし、それか1週間後のスタッフの表情を写した姿をチラシにすればリアルじゃない??・・・ってそんなの無理か。

 

 

昔は本物の心霊写真や心霊映像を使用しているとかで、それを流したテレビ局に抗議が殺到したなどありましたよね。こういうホラー映画はお祓いもしっかりした上で撮影しているし、多少攻めてもいい気がします。

 

 

余談に。例年、TOHOシネコンで公開される日本のホラー映画は年に1・2本でしたが、今年は『シライサン』に憑いで既に2作品目。上にも書きましたが私のホラー映画の物語文は毎回こんな感じでイカれてますが・・実は一番描いてて楽しいジャンルですから、今年も残り9ヶ月。多く書きたいです。

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [13]点

構成 [13]点

展開 [14]点

完成度[13]点

 

[66]点

 

 

 

_____________

 

 

 

英米映画

『1917 命をかけた伝令』

 

 

 

 

 

監督🎬

【サム・メンデス】

 

 

出演者

【ジョージ・マッケイ】【ディーン=チャールズ・チャップマン】

【マーク・ストロング】【コリン・ファース】【ベネディクト・カンバーバッチ】

 

 

本編[119]分

公開日[2月14日]

 

 

 

結果論ではございますが。

韓国映画の『パラサイト』が歴史的快挙の作品賞受賞を成し遂げましたが、私は声(文字)を大にして、『1917』が作品賞だと書きたい

 

 

正直、ここまで言葉に詰まるほどの感動興奮を覚えた映画は、自分史上ないです。

 

感動は、作品内容よりも、技術力に直面できる映像の中で終始感じることが出来ました。

 

この映画を映画館で見ることが出来て、非常に満足感・幸福感を得ています。

 

 

『1917』の最大の売り込みは、全編ワンカット撮影です。名伯楽サム・メンデスも凄い試みをしましたね。

最初から最後までカメラを回し、大きな編集もなく、119分の本編中119分がワンカットということ。

 

それ故に「絶対に失敗できない」「失敗したらやり直し」という重圧が作品内に漂うはずですが、今作品を見ていてそういったワンカット撮影の風景というものを感じないことがとにかく素晴らしいです。

 

 

クライマックスシーンになりますが指揮官の下に伝令を届ける主人公の総攻撃する兵隊を横切りながら走る正面カットは、私mAb史上、最も魅了されたシーンとなり、観ている数分間はワナワナと体を震わしました。「なんだこの映像は!?」「すごすぎる!?」こんな言葉しか出てきません(笑)。

 

 

脚本は戦争映画としては平均な物語だと思います。

第一次世界大戦下の連合国(英国陸軍)とドイツ軍との陸上戦。戦争の舞台にされるのはフランスです。

 

 

ドイツ軍が後退していることで、前線にいる連合軍はこの機を逃すまいと一気に潰しにかかろうと翌日の進撃に備えている状況。

しかしそれはドイツ軍の戦略であり、進撃してきたところを狙って1万以上の連合軍の命を罠にかけているのだと、英国の航空偵察によって発覚する。

 

 

進撃を中止にしなければ連合軍は壊滅的な被害を受ける。しかし肝心なところで電話線が切れてしまったΣ(・□・;)

 

そこで英軍の将軍は2人の部下に、前線のマッケンジー大佐に直接この作戦中止を伝えよという指令を出します。

 

 

2人は張り巡らされた有刺鉄線を超えドイツ軍側へ足を踏み入れていく。

 

 

 

ワンカットなのにどうして出せる?この緊迫感に緊張感。史上最高の映像が続きます。

日本で公開されたアメリカ(英米)の戦争映画は殆ど劇場鑑賞してきましたが、アカデミー賞を総なめにしたスピルバーグの『プライベート・ライアン』に負けず劣らずの映像が、2人の俳優と画面に映らない大勢の裏方によって表れています。

 

 

負傷を負い気絶し、日が暮れる辺りの映像は、少々飛び飛び(主人公の朦朧さ)の展開になっていましたが、それはワンカット撮影という意識が強くあるから気になるだけで、ハリウッド映画の削ぎ落としだと思えば充分に観ることが出来ます。

 

 

要所要所で登場する将校たちが英国を代表する俳優だったり、その大物俳優たちもワンカット撮影に自分の出番のテンポ・タイミングを完璧に合わせているので、まさに一寸の狂いものない部分出演で役者魂を強く感じます。

 

 

中でも私が好きなシーンは、戦地の舞台にされてしまった地元のフランス民の女性と主人公が出会うシーンです。

戦争映画には地元の外国人と出会い、言葉の通じないやり取りを魅せるシーンを用意することがありますが、これすらも完璧。「ここにいたらいいよ」使命を全うする去り際の一期一会。

 

 

そして戦死した兵隊が川に浮かんでいますが、これがワンカット撮影だとは一縷も思えないクオリティで・・・とにかくビックリしの連続です。この死体がエキストラなのか作り物なのか?は情報を仕入れていませんが、生身の人間だとしたら、「イテッ(アウチ)!」とか踏まれた条件反射で動きそうですもん。全身全霊の119分。この作品に関わった俳優・製作・制作の魂の119分。

 

 

 

作品を観てから1ヶ月ほど経ちますが、気持ちの熱は冷めないまま、

どうしてこの作品がアカデミー賞作品賞・監督賞を受賞しなかったのだろう?と今でも思います。

 

 

(視聴効果賞・撮影賞・録音賞の3部門を受賞)

 

 

 

素晴らしい!素晴らしい!素晴らしい!!

 

 

もう一回書かせて・・・

 

 

素晴らしい!!

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [18]点

構成 [18]点

展開 [16]点

完成度[17]点

 

[82]点

 

 

_____________

 

 

 

現在COVID-19のウイルス感染の対策として、109シネマとイオンシネマでは、1席開けての販売とし並びの席は販売しないことや、レイトショー(20時以降)の上映中止を判断されました。(レイトショーは観客が少ないので、削るならば夕方の回にして、その間4時間ほどを消毒の時間にした方が利口だと思います。)

 

 

私が足繁く通うTOHOシネコンでは、現在そのような処置はないようなので、映画館は春休み並みに混雑しております。

 

 

新型コロナウイルス感染予防対策へのご協力について

ご来館のお客様へ

○ 劇場入口・ロビーに消毒液を設置しておりますので、ご利用ください。

○ 体調が悪くなられた場合は、お近くの従業員にお声がけください。

当劇場におきましては、出勤時の体温検査等、従業員への健康管理の実施、館内衛生の維持に努めております。予防措置として従業員のマスク着用を認めておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。 ← TOHOシネマズ

 

 

もちろん作品によって劇場によって、観客が入っていないシネコンは入っていないです。

 

 

TOHOシネコンは東京に集中していますので、今後もしもが起これば、その時はそうなるのでしょう。

 

 

今年は断言できますが、当たり年です。いい作品が多く上映されています。

指定席や時間帯などを考慮して頂き、あなたの好きな映画に出会ってくださいね。

 

 

 

フォローしてね

 

 

 

【mAb】

THE映画評論『Judy』

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「私だって生身の人間よ」

 

 

劇中のジュディー・ガーランドのセリフを借りれば、この顔も見えないブログという対話で自分の素顔を貴方に晒せるだろうか?

 

 

顔が見えないからいくらでも着飾れるし見栄も晴れる。性別だって変えられるだろう。ブログってそういうものだね、何を今更。

 

 

まぁそんなタイプではないので、読み手の方は画面越しに書き手の私をイメージして戴けたならば、これ幸いと。

 

 

___

 

 

 

私には理由を説明できないくらい、強烈(無性)に好きな「外国の物語」が3つあります。

 

 

よく作品を好きな人同士が「私の方が好き」「いや私の方が好きだ」「じゃあそれよりももっと好きだ!」と好きのアピールを張り合う会話がありますけど、そんな感じで張り合える作品が3つあります(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎(←この顔文字好き。ほどよくムカつくから。)

 

 

誰の特にもならない情報を今から伝えますけどね。

 

 

私が特別的に好きな作品は、

 

 

 

『ピーターパン』

 

『不思議の国のアリス』

 

そして『オズの魔法使い』です。

 

 

 

 

(時点『ジャックと豆の木』)

 

 

全てDennysで映像化された作品なので、子供からお年寄りまで「私の方が好き!」と手を挙げる可能性は高い。

 

 

(Disneyのスペル間違ってる。それデニーズΣ(・□・;))

 

 

『ピーターパン』が一番実写化は多いかな。

私の神様ロビン・ウィリアムズの『フック』が最もお薦めです。

 

 

『オズの魔法使い』は『オズ』。『不思議の国のアリス』は『アリス・イン・ワンダーランド』で実写化。

 

冒険物だったり、ファンタジーアクションの作風が好きな傾向なんだと思います。日本の昔話ではあまりこういう作風は(ファンタジー要素は)ないですね。

 

 

ちなみに5番手に好きな作品は・・・『ピノキオ』です。

でもだからと言ってDennys大好き人間ってわけでもないんですけどね。

即座に思いつく外国の物語が、アンデルセンやグリムではなくDennys。貴方はどうでしょうか?

 

 

 

(だからスペル間違ってるってΣ(・□・;))

 

 

 

『ジュディ』

 

 

 

 

 

3月7日から全国公開している作品で、主演の【レネー・ゼルウィガー】[50]が今作品の演技でアカデミー賞の主演女優賞を初受賞されました㊗️。17年前に公開された『コールドマウンテン』で助演女優賞を受賞。これで女優賞完全制覇となりました。

 

 

 

 

自分が映画館で新作映画を観始めた頃に『ブリジット・ジョーンズの日記』などで頭角を現した女優さんなので嬉しいです。

厚みのある唇を突き出して喋るプリティ系の女優さんと言うイメージがありましたが、ブリジット・・で英国人の女性を演じましたし、当時から演技派だったんですよね。

 

 

ちなみに「レニー」という名前表記で浸透しましたが、本人によって名前の表記が「レネー」に訂正されてました。しばらくの間、女優業から離れていたこともあり、ついつい当時の名残でレニー・ゼルウィガーと言ってしまいます。

 

 

では少し語ります。文量が少しになるか、多いになるのか自分でも分かりません。

 

 

 

監督🎬

【ルパート・グールド】

 

 

他キャスト

【ダーシー・ショー(回想期)】【ルーファス・シーウェル】【マイケル・ガンホン】【ファイン・ウィットロック】【ジェシー・バックリー】

 

 

 

本編[118]分

 

 

 

レネーが演じる(タイトルにもなる)『ジュディ』(・ガーランド)は、代表作『オズの魔法使い』の主演ドロシーを演じた女優です。

 

 

 

 

※ 一応の試みです。可能な方は下の『Over the Rainbow』を再生していただき、以下の文章を音読で読んでみてください。

音符に合わせて1000文字くらいを書いてみます。

 

 

 

 

 

ジュディ・ガーランドの生涯は短く、47歳で睡眠薬の過剰摂取により亡くなりました。

5度の結婚と離婚、度重なる自殺未遂、映画撮影中の度重なるトラブル(規律を守れない)など、光と陰が常にある人物です。

 

 

映画では40代半ば、最晩年のジュディ・ガーランドの生き様を、演じるレネー・ゼルウィガーによって紹介されています。

 

 

女優としての活動時期は1936年〜1963年。女優業引退後はジャズ歌手として多くのステージに立ち1969年に亡くなります。

 

 

自分が生まれる前の映画スターなので、実際に銀幕越しやテレビ越しのお姿やスキャンダルは分かりませんが、映画を観ていると・・知らないはずなのに「ジュディ・ガーランドに似ているなぁ」なんて思ってしまいました(笑)

 

 

 

 

上の比較写真でもよく判りますように、そもそもの顔の作りが似ていないように見えます。

 

 

私が観ていて気になったのは、猫背な姿勢や歩き方と口を窄めたように喋る(日本でいう梅干し口)口元と鼻の下(人中)のシワ。唇と皺がとにかく印象に残りました。

どちらも自分のイメージにある「レネーっぽく」はないので、これは再現で近づけた姿なのだろう、と想像しました。

 

 

それだけレネー・ゼルウィガーがジュディ・ガーランドの特徴を捉えているのでしょうし、体現なさっているのだと疑いもせずに悟れるのも素晴らしいです。近年のオスカーはメイキャップで限りなく本人に近づけたり、本人の特徴を掴んだ俳優が大賞を受賞する傾向ですからね。

 

 

(自分の視点では、大竹しのぶさん✖️叶姉妹のお姉さんの唇➕GACKTさんの口元=レネーのジュディ、の顔立ちの印象)

 

 

それとこの映画を見ていて気になるのは、唇と口元以外にも、オデコに刻まれた深い横ジワです。

 

 

くりーむしちゅーの上田さんもビックリするくらいの深い横皺に、ジャリ銭を数枚は挟めるんじゃないかな?と鑑賞中に想像しました。

 

 

これは再現なのか?レネー・ゼルウィガーの自前なのか? 劇中はとても顔の小じわ・大じわが気になった次第です。

 

 

__

 

 

 

前置きに書いたように、私は『オズの魔法使い』が大好きなものですから、映画の幕が上がるとドロシー役を演じた女の子が「借金まみれでアル中のオバさん」という状況に少々ショックを覚えます。

 

 

20世紀に観た作品って、昭和生まれの方には共感が多いと思いますが、

今の時代よりも作品の世界観にしっかり入れたので「俳優と役名」をセットで覚えていることがマストでした。

 

 

(オードリー・ヘプバーンなら『ローマの休日』のアン王女といった感じで。)

 

 

三度復唱となりますが、この映画は47歳の若さでこの世を去ったジュディー・ガーランドの晩年期が時代背景です。

 

 

ジュディー・ガーランドが亡くなったのが1969年の6月なので、映画はその前年が時代だと思います。

 

 

この晩年という設定は、言い方を変えれば、その人物の死ぬ間際ですので、人生を振り返る・悟るように描写されることが多いです。日本で言う走馬灯ですね。

 

 

彼女の人間性が形成された子役時代の出来事を走馬灯のように場面場面に差し込まれています。

ハリウッドのスター伝記映画には非常に多い構成ですが、劇中は主人公の情緒が安定しないことが多いので、その過去に人格形成のヒントがあると表されるので、子役時代いと現在が点と線で繋がります。人を知るなら探るなら過去を。

 

 

冒頭。

 

 

娘と息子を連れて親子興行を行うジュディー・ガーランド。長期滞在中のホテルに戻るが支配人から強制退去の謝りが。

 

 

宿泊費を滞納し続けた自分が悪いのに、現状(現実)を認めない銀幕の元スターは、少々大人気ない態度で「いいわよ、もう!」とホテルを去る。

 

 

タクシーで宿泊先を捜す。のっけから印象的なシーンだと視ます。

ステージ終わり+夜遅い。幼い長男は車内で眠っていますが、長女は色々と状況を悟れる年齢。

 

 

此の期に及んで高級ホテルを探そうとする母親に「ママ」と言う。

娘の表情で、分かったわよ。と渋々やってきたのは、元夫の自宅。

 

 

プライベートのジュディー・ガーランドは生涯で5度の結婚をしている女性ですが、劇中の二人の子供は三番目の夫であるシドニー・ラフト。ちなみに二番目の夫ヴィンセント・ミゼリの間に出来た子供は歌手でオスカー女優の【ライザ・ミネリ】です。

 

 

(ライザ・ミネリはこの作品の制作に非協力的だったとの情報です)

 

 

超売れっ子だった子役が、大人になって結婚してバツが5回も付いているなんて・・(´⊙ω⊙`)

 

 

何度も結婚を繰り返す原因も、劇中で自己分析的なセリフで語っていました。

 

 

大好きだから一緒にいたい=結婚。

なので相手の好きが見えなくなったら離婚します。忍耐は一切ないです。「1時間に1回愛してるって言ってよ」。

 

 

うわぁ・・と引いてしまいました(^_^;)

 

 

誰にも相談をしないで思い立ったら吉日。子供達の気持ちはどうなんだろう。それで劇中「私はいい母親なのよ」と発言するので、ますますジュディの人格が形成されたティーン時代に注目して鑑賞しようと思いました。

 

 

元夫の家の玄関を叩き、今日泊まる場所がないと元夫に子供を預け、ジュディは夜の街へと出掛けていきます。

 

 

出向いた先はロサンゼルスのパーティー場。そこで娘のライザと会います。

 

 

余談:この頃のライザ・ミゼリは22歳。ブロードウェイのトニー書で主演女優賞を受賞した若き最高峰の舞台女優で、映画の翌年に映画界に入り、『ニューヨーク、ニューヨーク』でオスカー女優になります。

 

 

たとえ大女優だとしても、やはり若者たちの社交場にこの年代の女性が1人でいると目立ちます。

 

 

娘(ライザ)に会いに来たのか?注目を体感したいのか?

この場面の動機は分かり兼ねますが、ジュディは結果この会場でミッキーという若い男性にナンパされ一夜を過ごします。

 

 

娘のライザがガールズトークをしようとニコニコな表情で母親の元に戻ってくると、母親は若い男の前で女の顔になっている、という印象的なシーンでした。

 

 

___

 

 

 

多額の借金を抱えるジュディー・ガーランドは子供達と離れ、歌手として英国のロンドンで長期公演を行うことを決心します。

 

 

前々から「親権が欲しい」と訴えていた元夫の元に子供達を預けことは不安でしたが、その海外公演の出演料で子供達と再び暮らせるようにと渡英します。

 

 

 

 

 

出稼ぎとかマグロ漁船に乗るようなシーンにも見えます)

 

 

公演先のロンドンでは熱烈な歓迎を受けます。アメリカとは大違いです。

 

 

コンサートの興行主出るフォントを演じるのは名優【マイケル・ガンボン】[79]。79歳ですが・・びっくりするほどの現役感!!さすが2代目ダンブルドア校長!!

 

 

彼女が行くところに記者やファンが既にいる。

車を降りればフラッシュが焚かれ、ファンがサインを求める、宿泊先のホテルの扉を開くと従業員が両脇に一列に並び出迎える。

 

 

そうした歓迎とおもてなしを受けるスターですが、部屋に案内されれば孤独。

 

善い人だと思っていたけど、頂点を極めた者特有の煩わしい空気感を出す。

 

 

最初こそ笑顔で対応していた現地の女性担当マネージャーも、上手に笑えなくなっています。

「あなたはいくつ?」「28です」ハァーと溜息。

 

 

この女性マネージャーを通して、彼女の過去とリンクさせています。

 

 

女性マネージャーのロザリンを演じるのは【ジェシー・バックリー】[30]。

 

 

マイケル・ガンボンと同じアイルランド出身なので、劇中の運営側はアイリッシュコンビです。

 

 

 

1935年に13歳でMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)と契約したジュディ・ガーランド。

 

 

 

 

予備知識として。20世紀前半のMGMはハリウッドの頂点の域に達した巨大映画スタジオです。

1924年に、M(メトロ・ピクチャーズ・コーポレーション)G(ゴールドウィン・ピクチャーズ)M(ルイス・B・メイヤー・ピクチャーズ)の三社が合併し、巨大な映画スタジオが設立された歴史を持ちます。20世紀中盤以降は衰退しますが、ジュディ・ガーランドが在籍していた頃のMGMは「星の数より多いスター俳優がいる」と言われたほど人気も実力も兼ねていたそうです。

 

 

特にMGMのMで副社長だったルイス・B・メイヤー氏は「ハリウッドの最高権力者」と呼ばれた大成功者でした。

 

 

ハリウッドの映画会社は契約時に会社と本人との間でルール等を取り決めます。

そのため、近年日本でも取り入れ始めたエージェント契約など第三者が仲介役で入るんですね。

 

 

ジュディ・ガーランドは太りやすい体質だったために、MGMは「スリムでいること」を契約の条件としました。

13歳の少女に対しては厳しいルールでしょうけど、そういう契約をしたのだから仕方がないとは云え、今だったら明らかにコンプライアンスにひっかかるでしょうね。

 

 

とにかく様々なことを制限され、監視され、自由のない労働です。

 

 

回想ジュディはとにかく様々なことを大人たち監視のもとで管理されていて、普通の食事をすることさえも禁止されています。

 

 

ハンバーガーのCMは食べるフリだけ。カットがかかれば取り上げられる。不意をついて食べようとすると真後ろに座る現場マネージャーが物凄い反射神経で立ち上がり、サプリメントを渡す。このサプリメントは覚醒剤(アンフェタミン)です。

 

 

壁に耳あり障子に目あり。この映画を見る限り、ジュディ・ガーランドはMGMの看板(広告塔)というより「商品」でした。

 

 

そして思春期になったジュディは長時間労働に寝る暇さえなく、寝れる時間も眠りに落ちない不眠症に。

 

寝る時間をくれない。眠りたいのに眠れない。精神的にも情緒がおかしくなります。その反動が現在にも如実に表れる。

 

 

映画で描かれている時期は、17歳で演じた『オズの魔法使い』で人気絶頂の10代後期と、晩年の40代後期の2つ。

 

 

その間の20代・30代で彼女は結婚&離婚を繰り返し、女優も休止や復帰を繰り返します。

 

 

そして歌手で成功するなど、世に出す作品の多くが大成功するのですが、

 

兎に角ジュディで問題視されるのは仕事への取り組み方や姿勢です。

 

 

このティーン期の鳥かご生活が影響したことは映画で観ると明らかで、

薬物やアルコール摂取などの反動か?精神不安定で数十回の自殺未遂を繰り返し、映画の現場で度重なる遅刻やボイコットを行う業界屈指のお騒がせ芸能人となります。

 

 

なにかとお酒やお薬のせいにしていますが、仕事に穴を開けるのはプロとして最もダメな行動ですΣ(-᷅_-᷄๑)

 

 

映画に戻ります。

 

 

___

 

 

 

ロンドンのホテル、スイートルーム。

 

 

マネージャーは世話係も担いますが常に行動を共にするわけではないので、ジュディは基本的に独りで部屋にいることになります。

 

 

不安になると余計眠れなくなり、ホテルの外に出ようとしますが、何しろ彼女はVIP。ホテルマンに声をかけられたり、やはり完全な自由がないのかな?とも感じられるシーンが多いです。

 

 

歌手としての練習風景は特にありません。

多少の発声や共鳴はありますが、タバコも吸いますし声も嗄れていて、スタッフに促されながら本番に臨むジュディ。

 

 

こんな精神状態や準備不足でステージが成り立つのかな?と観ている自分も心配してしまうのですが、初日のステージは大成功。

 

 

身一つで舞台に登壇して→歌って拍手喝采されて→ホテルに戻ってくるという1日。これだけで伝えるとかなりの格好良さ。

 

 

しかしその舞台裏では、本番直前まで部屋に引きこもって、本番後は楽屋で腑抜けになって情緒不安定の状態になっている。

 

 

そんな時にアメリカからミッキーが渡英して来る。

 

 

 

 

 

ミッキーといえば・・映画の冒頭、子供を元夫の家に預けた夜に、パーティー会場で知り合った年下の男です。

 

 

(書き方に悪意はありませんΣ(・□・;))

 

 

恋愛体質の女性なのでジュディがミッキーに惚の字なのは分かりますが、ミッキーの気持ちは映画で分かりづらいので、その都度俳優の表情から読み取るようにしました。

 

 

初対面の時のミッキーは、パーティ会場でジュディ・ガーランドを見かけて、ニヤッと笑います。そしてタイミングを見て声をかけました。この最初の笑顔が気になります。

 

 

有名女優をゲットする目的?それともヒモ目的?でも早い段階で彼女は借金苦だと知る。

 

 

このように純粋に「純愛」だと思えないほど、ミッキーの尽くし方の描写がイマイチよく分かりませんでした。

 

 

この時もロンドン公演の成功を聞いて駆けつけた。と思いましたから疑いの目で観ます。

しかしミッキーはジュディを外に連れ出したり(鳥かごの外へ!)、ロンドンの街中でブランドの袋を沢山持って買い物させるなど、自由を与える存在となります。

 

 

ミッキー役を演じたのは【フィン・ウィットロック】。今後が注目される35歳のアメリカの俳優です。

15歳の年の差の恋愛は、申し訳ないけれど母と息子に劇中観えてしまいました。本人たちが幸せならばそれで善いのですが。

 

 

ミッキーがそばにいることで、公演の方にも好影響が。

メンタルの状態が抜群の彼女は分かりやすく笑顔の多いステージを届けるように。

この時の歌声はまるで音符の天使が会場に降り注いでいるようでした。

 

 

しかし好きな男がいても、起きてしまういつもの悪い癖。仕事放棄に怠慢な態度です。

でも、これは明らかにマネージャーの勉強不足だと私は観ていて思いました。

 

 

いつものように公演前のジュディは荒れ気味でステージに上がりたくないと言う。それを宥めるのが謂わば運営側の仕事です。

 

しかしマネージャーは火つけに「じゃあ代役を立てますね」と伝える。冗談じゃないとジュディはステージに向かう。

 

 

実はこの「代役」のワードは、子役時代のジュディがMGM側に何度も言われ来たトラウマのような表現。

 

 

結局。酔っ払った状態でステージに上がったジュディは、客から罵声を浴びせられ、その客に反応しFワードを使って暴言を吐く。

 

スターになればなるほどプライドが高くなり、扱いは難しくなることが多いです。映画のジュディは明らかに情緒不安定なので、特に健康状態や精神的な面を気にかけて欲しかったなと思ってしまいます。

 

 

この映画内では2度、ジュディは客の前で大失態を侵しますが、お客様の態度も如何なものかと(^_^;)

英国紳士のイメージはどこに行ったやら、ステージに物を投げたり・汚い言葉を投げたりと、演者にしたらキツイ現場。

 

 

アメリカの大スターであるジュディ・ガーランドのショーを見に来たロンドンの客が、登場早々に「早く、歌え!」と叫ぶんですからね。ファンの方も、本当のファンならば、ジュディ・ガーランドが精神的に不安定な人間だと言うことを理解した上でライブ鑑賞してほしいものです←これは私の心理的意見になるので映画とは関係ありませんm(_ _)m

 

 

この最初の失態は、翌日に恋人のミッキーと共に、興行主の前でしっかりと謝罪を行い許されました。

2度目はないぞ。しかし二度あることは三度あるという言葉がありますからね。

 

 

その後、ミーキーに求婚したジュディは5度目の結婚をします。逆プロポーズ→承諾→結婚式。テンポの早い展開です。

 

 

求婚を迫られたミッキーの戸惑いの表情にも注目。

段階なんて一切ありません。今好きだから結婚して!!今この場で返事をしてという無言の圧がかかります。

うわぁ・・と引いてしまいました(^_^;)

 

 

____

 

 

 

1960年代後期のイングランド。観客はオールディ。身なりも整う紳士淑女。

 

 

劇中にビートルズやローリングストーンズの名前も登場します。そのビッグネームをジュディから引き出すのは、やはり若いミッキーの役目。夜のパブ(酒場)に連れ出すことで生まれた会話。ホテル内だと生まれなかった会話。

 

 

若者はロックバンドに夢中になりますが、熟年はジュディ・ガーランドのような青春時代の流行歌やジャズ音楽で心を高まらせる。

今も昔も似たようなものです。

 

 

映画の中で1組のファンに焦点をあてていますので紹介します。

 

 

出待ちをしているファンが2人。この2人の男性はゲイのカップルで、英国という国の歴史を物語らせる意味を込めて描かれているのでしょう。アカデミー賞を狙って作られた作品ですから、おそらくそうなんだと思います。

 

 

2人の会話の中から、同性愛のカップルは見つかり次第、逮捕されたり法で裁かれたと知ります。

 

 

英国を代表する同性愛者はコンピューターの父アラン・チューイングや『QUEEN』のフレディ・マーキュリーが有名ですが、一般人の彼らにとって相当理不尽な逮捕だったのだろうと観ていて思いました。

 

 

この話題を書くために参考にした記事のリンクを貼らせていただきますので、興味を持たれた方は是非お読みください。

 

「News Digest」

 

 

実際ジュディ・ガーランドは同性愛に強い理解を示していた当時としては数少ない著名人で、自身もバイセクシャルだったとされます。

 

 

ジュディは劇中、出待ちのゲイのカップルのサインに応じ、時刻は深夜、出待ちは彼らだけ。彼らに「食事でもどう?」。

この提案に2人は有頂天。彼らのテンパリ具合を観ると、本当に心嬉しくなりました( ◠‿◠ )。

 

 

これは私の目線ですが、さすが紳士の国の男性という感じで、女性への気配りを見せていて、ちゃんと境界線を設けた距離感です。

こういう流れだと多少馴れ馴れしくなったりしますが彼らは違います。

 

 

深夜営業している店がなく、自宅に招くことになるのです。大好きなジュディ・ガーランドが我が家に!

 

ジュディも気取ることなく接せれる相手。私も手伝うわ!そんなそんな貴女様にさせるわけには!!こういうやり取りが最高です。

 

とても自然な感じで、演じた役者も相当お上手でしたし。彼のシーンは常に感動している私がいました。

 

壁にはジュディのポスターと、2人の写真が飾られていて、それを眺める彼女の何とも言えない幸福感の表情が印象的でした。

 

 

幼い頃から芸能界一本で、大人たちに管理されルールを設けられて、私生活では結婚・離婚を繰り返し、今は借金苦を言い訳に子供をアメリカに残して別々に暮らしている。そんなジュディ・ガーランドの素顔を視れるのは間違いなくこの場面です。

 

 

本当の意味で彼女を応援しているのはファンだったんですね。とても健気なファンの姿がこの映画にはありました。

 

 

彼女を語る上で、私生活でも仕事場でも、落ち度が描かれている映画の内容ですが、この登場人物があったことで人間力のような真髄が見え、とても観やすい伝記ドラマになったと思います。

 

 

________

 

 

 

指摘点は、どんな時でもジュディー・ガーランドでいなくてはいけないのか、レネー・ゼルウィガーが終始「キメ顔」をして演じていたところです。そのため何をしていても「演じている」ように視え、映画自体が表面的で、作り物に観えました。

 

 

この当時の音楽シーンを見ていると、やはりアメリカで成功することがエンタメの世界では頂点であり、そのアメリカで1度でも頂上に登った成功者は海外では尊敬の眼差しを向けられている。

 

 

アメリカで落ち目になっているジュディー・ガーランドがロンドンに行くと、マスコミやファンから大変な注目を浴びる様子があるので、まずこの差に驚きました。銀幕のスターが舞台に行って脚光を浴びる都落ちのようにも感じました。

 

 

しかし、その自分の見方を払拭させるステージをロンドン公演初日で魅せるので、やはり芸は身を助けます。

 

 

異国の地で5週間という超ロングステージ。約35日間連日のステージです。初日で決まると思うので、初日が大事です。

 

スタートダッシュは成功。しかしステージ放棄をしたり、何かと問題を起こす。映画で描いているのは6公演くらいです。

 

 

劇中は客席の表情をあまり映さないので、私が知りたかったのは、連日盛況だったのか?と客離れはあったのか?

そこも知りたいところですね。上のゲイのカップルの時は出待ちが(深夜という時間帯もあり)彼ら2人でしたが、初日・中日・千穐楽という客やファン・マスコミ報道の流れもぜひ知りたかったです。

 

 

アメリカで落ち目だったジュディ・ガーランドに、35日間コンサートを依頼した理由も、マイケル・ガンボン演じる興行主を通して説明してくれたら、伝記ドラマとしては深みが出たと思うので残念でした。

 

 

素晴らしい映画でしたが、ジュディ・ガーランドのイイところとダメなところしか表現せず、その真ん中の部分に目をつけていないので、全編を通して喜怒哀楽の起伏があっても、中身(映画の心)はスカスカに感じる印象が私には少し生じます。

 

 

最後に。

恒例となりました。鑑賞直後に残したスマホのメモ書きを載せます。

 

 

 

終盤になる頃には2歳からの芸能活動をするジュディの人生観や形成された人間性などを見守るように鑑賞することが出来、クリマックスに歌う「オーバー・ザ・レインボー」ではじんわりと温かい気持ちになれた。

 

 

空気感に重々しさがない作風なので緊張感が作れていない。アカデミー賞としては作品賞ノミネートで納得。個人賞としてはジュディの47歳の生涯のほんのわずかな数ヶ月をレネーが、まるで47年間生きてきた人物のように演じるから、主演女優賞受賞には150%異論はない。

 

 

MGMやマイヤー氏に籠の中で愛でられたり、ステージ上で羽ばたいたり時には苦しんだり、ミッキー・ルーニーなど同世代の男性に誘われても仕事を選ぶ姿勢を魅せる。彼女には芸能界しかないんだろう。←そんな彼女の「最初の結婚」の背景を作中に知りたいところではある。

 

 

Somewhere over the rainbow,way up high

(どこか虹の向こう、ずっと高いところに)

 

There's a land that I heard of onse in a lullaby.

(そんなところがあるって いつか子守唄で聞いたわ)

 

 

(↑記事に載せる時はスペルをチェックすること!!)

 

 

「オーバー・ザ・レインボー」は誰の歌を聞いても、本当に心動かされる自分の中で数少ない震撼曲。

 

でもやはりジュディ・ガーランドの歌は別格に感じます。

 

上手くいかなかったり、社会の厳しさに心の行き場を捜してる時、茜さす夕焼けの空を見上げながら「がんばろう」とこの曲をBGMに流しているソウルソングです。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 15点

構成 14点

展開 14点

完成度14点

 

 

[71]点

 

 

 

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【mAb】

THE映画評論『2月公開5作品:後期』

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シリーズPART2

『スマホを落としただけなのに』

 

 

 

 

監督🎬

【中田秀夫】

 

 

出演者

【千葉雄大】【成田凌】【井浦新】 【鈴木拡樹】

【白石麻衣(乃木坂46)】

【音尾琢真】【高橋ユウ】【飯尾和樹(ずん)】【平子祐希(アルコ&ピース)】他

 

 

本編[118]分

公開日[2月21日]

 

 

 

サイコパス系犯罪映画が近年の日本で増えていますが、基本は1話完結。

今作品のように捕まえた犯人が脱獄するサスペンスアクションは、続編だから描けるネクストステージですし、いよいよ製作するようになったんだなぁ・・とハリウッド映画好きの自分としては日本映画に対して感慨深く思います。

 

 

ただ天才殺人鬼の脱獄展開は小説や漫画ではたくさん描かれていても、映画としてはまだまだハリウッドの真似事に感じます。

 

 

今作品にはまだ「手をつけた感」があるので、こうした作風が増えていって今後「経験を積んだジャンル」となれば、日本の映画シーンの未来は明るいかもしれないなと思った如月の月夜の晩でした。

 

 

続編は名作『羊たちの沈黙』をモチーフにしたような作り方で、超難事件を前に特例で天才犯罪者に協力(助言)を求める警察や前作で犯人を逮捕した主人公の刑事の心理戦に発展していました。

 

 

 

 

浦井が捕まった後、新たに見つかった白骨化した若い女性の遺体。

 

浦井の死体遺棄現場から程近い山中で見つかったことから、警察は同一人物の犯行と考える。

 

しかし、その遺体は浦井が愛した「黒髪でロング」(母親の面影)ではなかった。

 

新・連続殺人鬼を警察は未だ特定できずに、ネットを介し更なる殺人が起きる現状に、捜査本部の空気は殺伐としている状況だ。

 

 

___

 

 

主人公の刑事・加賀谷は、前作で命を救った「麻美&誠」の結婚式に、恋人の美乃里を連れて参列する。

 

 

 

 

加賀谷は叩き上げではなくIT会社から刑事に転職した経歴。

恋人の美乃里は縁あって、加賀谷が以前立ち上げたIT会社に現在は勤務している。

 

 

式の帰り、将来の話を露骨に避け続ける加賀谷と口論になった美乃里は別れを切り出し立ち去る。

幸せな結婚式の流れには乗れなかったというわけだ(^_^;)

 

 

傷心の美乃里は友人に愚痴を聞いてもらうためにカフェへ入店。

店のFree Wi-Fiを見つけ繋ぐ。しかしそれはダミー。その瞬間、近くに座っていた「謎の男」に携帯の情報を全て盗まれてしまう。

美乃里の個人情報は全てその謎の男に開示されてしまう。以後、スマホのカメラを通し着替えなども覗き見される。

 

 

新たに始まった連続殺人事件の手がかりを得るべく、警視庁の管理官は断腸の思いで、大量殺人罪で服役中の浦井に頼ることにする。その役目は逮捕した加賀谷が担うことに。

 

 

獄中で再会した2人。「子供時代の境遇」が似ている加賀谷は、彼のトラウマを想起させる心理口撃に度々錯乱状態になる。

 

 

 

 

 

連続殺人鬼である浦井と、脱サラ刑事の加賀谷には、母親からの育児放棄(ネグレクト)を受けて育った共通点がある。

 

 

そのため浦井は加賀谷に過去を思い出させ刺激をするのが恒例的。

洗脳しやすい刑事の反応を見て面白がっているようにも・共感しているようにも視える。

 

 

浦井は捜査に協力する条件にパソコンと甘菓子を要求。警視庁は特例でそれを飲むことにする。

 

厳重なセキュリティーを施した檻の中で、浦井は犯人「M」(えむ)の存在を話し始める。

 

最恐のブラックハッカーのMは、浦井に裏社会のノウハウを教えてくれた恩師(死)である。

 

Mの犯行で間違いない。

 

 

捜査が進む中、浦井の助言により、あえて捜査員の情報を流しMから接触してきたところを捕まえる作戦に出る。

 

そしてすれ違い中の恋人・美乃里が次の標的にされてしまう。

 

 

警視庁はMを捕まえるために一般市民である美乃里に協力を頼む。

あまりに危険なこの捜査協力を必死に止める加賀谷だが、その声は届かない。

彼女は協力することで彼を男にしようとしているのだ。

 

 

美乃里には24h護衛がつく。そしてMが接触してくるタイミングを伺うが・・・。

 

 

___

 

 

 

続編の大ボスのネーミングが「M」と聞いた時は、鑑賞中に「古いな」と思ってしまった。

 

 

英語圏のクライム映画だったら違和感がないですが、日本映画で日本人の発音で聞く「エム」の犯人ネームはとてもダサく感じます。今の時代に犯人ネームがアルファベット1文字なんて。。

 

 

それならバーボンとかウォッカやジンなどの犯人ネームの方がハードボイルド的でカッコいいと思うんですけどね。(別作品のコードネームΣ(・□・;))

 

 

前作【成田凌】君が演じた犯人は、公開中は勿論ネタバレになるので紹介されなかったように思いますが、続編になるとオープンですね。続編公開前にテレビで放送するなど犯人認知の意識付けが狙いかな?と思いました。

 

 

今作はチラシなどで既に初登場のキャストが紹介されていましたので、【井浦新】さんが何らかの「謎の男」の立ち位置でキーパーソンとなるのだと把握した上で鑑賞しましたが、鑑賞を終え、今ひとつ井浦さんが演じた役柄の「総設定」がよく分かりませんでした。個人的にはヒネリは要らないかな。

 

 

今作品の最大の売りはヒロインが乃木坂46の【白石麻衣】ということで、それ以外はないと思います。

白石はレコード大賞受賞曲の通りインフルエンサーで、「まいやん」という愛称が映画館などでよく聞こえて来ました。

少々突っかかるようなセリフの言い回しをしますが、感情表現も素直ですし表情も豊かで演技力もあります。強く見えて本当はとても弱い君に幸あれ。

 

 

他に、この映画で気になったのは芸人の方が数名出演されていること。個人的には少し多すぎですね。

 

 

特に【アキラ100%】さんの芸風である脱ぎ芸が、このクライムサスペンスの作風に必要なのかな?と、一場面の出演ではありますが真面目なシーンなぶん、起用の狙いに首をひねってしまいました。

 

 

一番残念だったのが魅力の欠如です。

前作にあった「スマホを落とした時に悪用される」という恐怖が今作品では薄くなっていたこと。

 

今作品はターゲットを絞って悪用されるので、想定演出の映画脚本になっていて非現実的なんですよね。

 

 

自分の身にも起きるかもしれないと言う身近な恐怖が、この映画の最大の魅力だったはず。

どうしてヒット映画のシリーズ二作目って、内々の相関図だけで構成するのでしょうかね_:(´ཀ`」 ∠):

 

 

前作は2度劇場に足を運びました。読者の方にはお馴染みかと思いますが、自分が公開中の映画を2度見ることは珍しいことです。

 

 

中田秀夫監督は平成のジャパニーズホラー界の中心だったヒットメーカーですが、続編になるとアクション要素の我を強める傾向ですので、シリーズ3は原点回帰で落ち着いた深層サスペンスを期待したいと願います。(次作海外ロケなら更にアクション性を強めると思いますが(^◇^;))

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [13]点

完成度[13]点

 

 

[66]点

 

 

 

_____________

 

 

 

『チャーリーズ・エンジェル』

 

 

 

 

監督🎬と出演

【エリザベス・バンクス】

 

 

出演者

【クリステン・スチュワート】

【ナオミ・スコット】【エラ・バリンスカ】

【パトリック・スチュワート】【ジャイモン・フンスー】【サム・フランクリン】

 

 

本編[118]分

公開日[2月21日]

 

 

 

このたびの『チャーリーズ・エンジェル』は2000年に公開された大ヒットシリーズの流れを汲んだ続編(シリーズ3)のようです。

 

 

ようです、と書いたのは、続編という感触が私的にはなかったからです。

 

 

当時も映画館で鑑賞しました。

 

チャーリーズEは[1976ー1981年]にアメリカで放送された人気のTVドラマ。

そのことについてもミレニアム(2000年)公開時に勉強して知りました。

 

 

当時は20代だった【キャメロン・ディアス】がとにかく人気絶頂の時でしたし、日本の映画館は洋画中心でした。

そこに『E.T』で世界中を虜にした【ドリュー・バリモア】がいて、3人の中ではネームバリュー的に物足りなさはありましたが、当時のアメリカ映画では異色だった白人映画にアジア系女優【ルーシー・リュー】のトリオです。

 

 

リューさんはアジア系ハリウッド俳優のパイオニアみたいな人物ですね。

 

さすがに20年の時が流れた今、3人の現役出演はないので少々残念です。(ドリュー・バリモアは満45歳)

 

 

女性が活躍する社会への足がかりとして、それを投射する先進国であるアメリカ・ハリウッドが辿り着いた描写は・・男を殴って、蹴る(笑)

 

 

そんな過去のシリーズを見ていた方にとっては、今回のエンジェルを演じる3名の女優が、前作に比べると物足りないかもしれません。

 

 

 

 

 

センターに【クリステン・スチュアート】[29]。(写真右)役名はサビーナ。

彼女も17歳の時に『トワイライト』で一世を風靡した女優ですし、mAbお薦め『パニックルーム』などお子役から活躍してきた人物。キャリアも実力も十分。

 

 

チャーリーズの代名詞であるセクシーでカッコいい、その前者「セクシー」というイメージが彼女には弱いので、男勝りな喧嘩番長という感じの立ち回りで「らしさ」を出していました。カムバック!ベラΣ(・□・;)

 

 

前作はアジア系のルーシー・リューが出演したということで、今回はその枠に黒人を起用したんだと勝手に思っています。

ジェーン役には【エラ・バリンスカ】[23]。(写真中央)白人の父と黒人の母という組み合わせ。将来的に「アメリカの白人」は交配上いなくなるとされるので、アフリカ系ではなく薄めの黒人系の肌の色になって行くのでしょうね。

 

 

日本のウィキペディアにはまだページがない様なので英語版のWikipediaで情報を仕入れました→ [Ella-Balinska]

 

 

この女優は顔立ちがキレイでカッコよくてキュートさもある。おそらく映画を観た女性客の中では彼女が一番人気なんだろうな。三拍子揃ってる!!顔立ち的には、安室奈美恵さんと日向坂46に濱岸ひよりさんを足して2で割った感じがします。

 

 

上の二名は映画の立ち上がりからエンジェルとして諜報活動を行なっています。

そこに新メンバーとして加入するのがエレーナ。

 

 

主役という立ち位置。【ナオミ・スコット】[26](写真左)。

昨年の『アラジン』でジャスミン役に抜擢された今後が楽しみな英国女優さん。(バリンスカと同じで黒人と白人のハーフ。アフリカ系インド移民)

 

 

 

 

アラジンの時は気品の高いお姫様役なので、多少のお転婆さも微笑ましく感じましたが、こうしてハリウッド映画の都市型アクションで彼女を見ると、正直演技の幅も特に広くないので、ありふれた女優さんに映って観えました。

 

 

今回のエンジェル3は格好良さの方が全面に出ている感じがして、「可憐さ」とか「か弱さ」があまりないように思えました(^_^;)そう考えればセクシーシンボルだったキャメロン・ディアスの存在感って凄かったんだなぁ。。心の声。

 

 

天才科学者エレーナは新開発のエネルギー装置に不具合を見つける。公表したいと上司に訴えるが答えはNO!

そこで探偵社(タウンゼント社)に依頼し、不正の証拠を渡そうとカフェで待ち合わせる。そこに暗殺者が現れる。

 

 

エレーナを守る探偵社・・チャーリーズ・エンジェルたち(サビーナ&ジェーン)。

この戦いでボスレー(チャーリーズの各リーダーの呼び名(最高役職))を亡くし、エレーナを仲間に加えた3人となったトリオは新しいボスレーの下でこの任務を続けることになる。

 

 

・・・という諜報系のアクション映画では何度も描かれてきた内容と展開で真新しさは特にないのですが、「完璧なアクション」は求めていないし、そもそものこの映画のコンセプトに←左はないと思うので、いい意味で「描き尽くされたアクション」を演出しているのでしょう。ハリウッドの花形はアクションですから、それを楽しんで観ることです。

 

 

自分の中で1つ発見だったのが。

上でも見た目がキュートだと書いたエラ・バリンスカが演じるジェーンのように、身長が高いモデル体型の方がアクションを演じると、余分な脂肪がないぶんキレがいいし、かなりの映像映えをします。

 

 

ナオミ・スコットの様に訓練をしていない一般人(科学者)役の女性が、急にマフィア相手にアクションをするのも面白くはなりますが、エラ・バリンスカのような見た目も体型も本格的な女性のアクションは面白さよりも見応えがあります。

 

 

個人的な見方ですが、「女性のアクション女優」は「背が低い」(〜160弱)か「背が高い」(170〜)のどちらかがいいです。その中間である160弱〜169弱の女性ですと、敵役の男性と並んだ時にあまり目立たないんですよね。あくまでアクション映画の場合になりますが、背が高いか低いかのどちらか極端な方が私は魅力的に感じます。(日本だと『あずみ』の上戸彩や現在上演中の今泉佑唯さんが理想的。)

 

 

指摘点は良い意味でも悪い意味でも本格的ではないこと。少し前の時代のドタバタ劇みたいな演出は健在ですが、その中で映像だけが進化しているアンバランスさがあるぶん、何だかとても忙しなく感じました。

 

 

下の写真を見て分かるように、どこを切り取っても素晴らしい、ではなく、まるで失敗写真のように、どこか気が抜けてる感じが終始するんですよね。

 

 

 

 

なのでこの雰囲気を楽しめたもの勝ちです。

 

 

話自体は世に出回ったら最悪なことになるアイテムを巡り、正義と悪に分けて繰り広げるアクション映画の王道ストーリーテラーなので、話の筋だけ覚えて鑑賞していれば難しい内容ではないと思います。

 

 

監督兼出演を務める【エリザベス・バンクス】[46]も胡散臭いくて良かったです。

 

 

 

今回『ピッチ・パーフェクト』以来2度目の映画監督兼出演。

チャーリーズの組織にはトップエージェントの役職がボスレーとなり、各ボスレーたちが其々に女の子達を従えて任務を行います。

 

 

この映画では3名のボスレーが登場し、監督のバンクスもボスレー役に参加。

冒頭に引退するボスレーにはX-MENのプロフェッサー役で有名な【パトリック・スチュワート】[79]が出演。安定のツルピカ頭。この年齢でこんなキビキビ動くんですから超人ですよ。

 

 

前作の2から続編の3までの間隔が約20年ということで、生まれた子供が成人して大人になるまでの間の空き方(^◇^;)

 

その背景には深刻なハリウッドのオリジナル作品の不作があると思いますが、個人としては正統な続編でなはなくリメイク作品として発表して欲しかったです。

 

 

作品は「大味」ですが、シリーズ4がもし製作されるならば、トリオの関係性も馴染んでくるのでしょうから、そこに期待したいです。こういう大味の映画だからこそ定期的なシリーズ化が必要だと思います。

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [13]点

完成度[13]点

 

[67]点

 

 

 

_____________

 

 

 

 

 

『Red』

 

 

 

監督🎬

【三島有紀子】

 

 

出演者

【夏帆】【妻夫木聡】

【間宮祥太朗】【柄本佑】他

 

 

本編[123]分

公開日[2月21日]

 

 

個人的にはもう少し濡れ場が多いと予想して鑑賞に臨んだので、多少の拍子抜け感はありました。

 

原作は官能小説のようで、読んだことはありませんが、女性の観客が多い様にイメージしたのでレディースDAYに鑑賞しました。

 

 

官能映画=観客は男性?という古い感覚を持っています。

不倫映画=観客は一変し女性が多いイメージを持ちます。

 

 

レディースDAYを選んだのは、純粋に周りにおじさんがいるより、マダムやお姉様の中で鑑賞した方が自分的には作品に集中できるかなと思ったからです。

 

 

その選択は正解でした。

平日の16時の回を観たので、マダムもシニアマダムも適度に多かったです。

しかし鑑賞中にビニール袋のガサガサ音が聞こえてくるのが盲点でしたが(^◇^;)

 

 

___

 

 

 

【夏帆】さん演じる専業主婦が主人公となる映画で、家族構成は幼稚園児の一人娘と優しい夫、上品で優しい義母だけれど「THE・お姑さん」。閑静な住宅地の一戸建てに暮らすリッチマン。

 

 

義父は海外を飛び回るビジネスマン。正月などに戻って大集合。上流階級の家に嫁いだ主人公は、(劇中に紹介がないので自分の判断ですが)水商売風の母子家庭で育ったのだろう。母親役は【余貴美子】さん。この手の役柄のスペシャリスト。

 

 

夫役は【間宮祥太朗】さん。マザコン気質のお坊ちゃん。後に妻に不倫され泣き言を言う様になる。おそらくドM。

 

 

ある日。夫の取引先のパーティーに同席した際に、会場に来ていた元彼と再会する。

 

【妻夫木聡】さん演じる元彼と再会後は不倫に走り愛の逃避行へ。。。この下にもう少し詳しく書きます。

 

 

___

 

 

 

センテンススプリング!!

 

 

(死語Σ(・□・;))

 

 

不倫は絶対悪!だと騒ぎ立てるこのご時世・社会的風潮にありながら、女性は昔から不倫物のドラマや映画が大好物という矛盾(^◇^;)自分がされるのは嫌だけど、人の噂話や芸能人のスキャンダルがお好き。

 

 

私がこの作品から受けた印象を1行で語るなら、「幼稚園児の一人娘を持つ母親の不倫劇」です。

映画が描いていることとは違う感情論ですけどね。

 

 

できちゃった婚か寿退社か?は説明がないので分からないが、仕事を辞めて家庭に入る。

裕福な家に嫁いで、二世帯同居。肩はコルだろうけど色々と恵まれた環境だ。

 

 

情熱的ではないが優しいマザコンの夫。長男の嫁ということでチクリはあるけれど面倒見のいい義母。何不自由ない生活、家庭環境も人付き合いも上手く付き合っていけば何の問題もない様に思える。

 

 

そんな中で再会するのが唯一愛した男性・鞍田。年齢は一回りは離れているだろう。交際していた当時は彼には妻がいて不倫関係だった。

 

 

鞍田と再会したパーティ会場。彼の姿を追いかけ空き部屋で密会。再会の言葉より先に濃厚接触。

結婚しているとか、子供がいるとか、よぎるもの等いっさい無く、本能のまま抱き合っていた。

 

 

現在の鞍田は独身。当時とは立場が逆転し今度は自分が既婚者の不倫関係となる。

 

 

20代で子供を産んだ塔子はまだ若い。そして性欲の強い女性だと映画を観ていて思った。夫の欲を満たすことはあるが、自分が愛でられる事はない。だから男から見ると物欲しそうにしている様に見える。この厭らしい表情をする夏帆さんを視て凄いと思った。

 

 

空間デザイン関係の職種である彼女は、鞍田が現在勤める会社に面接に行き、仕事復帰する。近年需要の高い空間デザイナーは育児休暇をとった女性も仕事復帰しやすい。

 

 

職場復帰の相談は夫と2人の食事(結婚記念日)にて。夫はもっと嫌がる(理解しない)と思いましたがOKは早いです。

 

彼女の意思は固いので夫に反対されても食い下がるだろうけど、そういう描写は表情のみで少なく、肩透かし感がありました。

 

それよりもこのシーンで、すき焼きに使っていた卵の黄身が濃厚で、まるで政治家の料亭の食事みたい。

あゝ本当にお坊ちゃんなんだなと思えたシーンでもあります。

 

 

仕事復帰をしてからは二足の草鞋を履くが、徐々に仕事優先になって行く。

 

家事・育児・そして仕事。休む暇などないが彼女は充実している。そう思った。

 

 

しかし仕事優先になってからは、映画に娘が登場する機会が減った。

 

 

彼女は優秀で、職場の雰囲気にも馴染むし、積極的に鞍田(妻夫木)の仕事のパートナーにも立候補する。これにより一緒に居られる時間が増えた。

 

 

不倫関係にもどっぷり浸かっていき、今日は遅くなる・今日は帰れないという内容の電話を旦那にしたり、家庭を気にかけたりはするが、段々と後戻りの出来ない自分の優先順位が変わっていく。

 

 

 

 

 

そして鞍田の秘密を知った塔子は彼と共に、北へ北へ向かった。

 

 

(なぜ最後が『とんぼ』の歌詞Σ(・□・;))

 

 

観られる人や性別や年齢によって気持ちが分かれると思うのですが、展開が進むごとに主人公の塔子が「母親」ではなく「女」を選んでいくので、私としては無責任にも感じてしまいますし、育児放棄とも捉えられます。

 

この映画の幼稚園児の娘さん・・大好きなママが、駆け落ちして行くのを涙ポロポロ流して「行かないで」って言ってて・・何だか観ているこちらも辛かったな。罪な女だよ塔子は。

 

 

残業や飲み会が増えて行くと、娘の面倒は義母がみることになりますが、個人的には義母さんのチクチクももっと描写で欲しかったです。この義母さんも最初は愛する息子の嫁としてチクチク意識していましたが、途中から存在感が無くなりますので残念です。もっと知りたいこと・描いてほしいことも多くの残りました。

 

 

「一番好きな人とは結ばれない運命。」

そんな詩や表現がありますけれど、妥協とはちょっと違うけど二番目に好きな人と一緒になりますね。

 

 

その運命に逆らうと、残された者たちは不幸せになる。この映画なら嫁ぎ先の家族や腹を痛めて産んだ娘ですね。

 

ごめんね・ごめんなさいと謝罪しますけど、何に対してごめんなさいと言っているのだろうか?

 

 

そんな一番好きな人と覚悟を決めて愛の逃避行をしているのに、笑顔がないのが印象的です。

 

 

レディースDAYに鑑賞したこともあり、ラストシーンあたりで鼻をすする女性客がいらっしゃいました。

 

花粉症なのか、涙なのか、この時期は鼻をすすっている人が多いので分かりづらいですね。

 

 

不倫ドラマが好きな女性の方にはオススメしますが、お姑さんとして観てしまう方にはオススメしません(^◇^;)

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [14]点

完成度[13]点

 

[67]点

 

 

 

_____________

 

 

 

 

アメリカ&デンマーク映画

『ミッドサマー』

 

 

 

 

 

 

監督🎬

【アリ・アスター】

 

 

出演者

【フローレンス・ピュー】

 

 

本編[148]分

公開日[2月21日]

 

 

 

この映画のどこを切り取って紹介しようかと悩むことが、正直一番の悩みになる。

 

 

「全てが伏線」という作品の紹介を予告でしていた。なので多くは語りません。

 

 

昔々、シネコン時代になる前の銀座(・有楽町・日比谷・東銀座)には沢山の映画館が点在していました。

 

 

ヨーロッパの映画はどこどこの劇場、女性が好きそうな映画はどこどこの劇場、といった具合で、各劇場にはカラーがありました。

ちなみに私でいうと恋愛映画を多く上映していた日比谷の宝塚劇場の向かいにあったみゆき座が大好きでした。(現在はスカラ座の小劇場(元スカラ座2)に名称が移行)

 

 

今ではシネコンの時代なので、そんな劇場巡りの楽しみは残念ながら無くなりましたが、この映画からはそうしたミニシアターの匂いがします。

 

 

TOHOのアプリを開くとトップ画に表示される作品となり、公開後の反響から、現在「3時間を超えるディレクターズカット版」も公開されています。(2000円の特別料金)個人的には観たい気持ちもあるし、もう観たくない気持ちもある半々です(^_^;)

 

 

驚いたのが観客の半数以上が女性なんですよね。自分が観た都心の劇場も公開2週目の夕方で観客の半数以上が女性(ソロ客)でした。

 

 

アメリカの大学生が旅行を兼ねた取材旅行に出かけます。行き先はメンバーの1人の故郷であるスウェーデンの田舎町。その村で90年に1度の夏至の祭りが開催されるそう。

 

 

外国人(部外者)を招いてもいいとのことなので、故郷から各国に留学した学生達が、その国で知り合った若者を数人連れて帰郷してきます。まぁ今の書き方でなんとなく案じが出来るとは思いますが(^_^;)

 

 

夏至祭の間は集団行動が基本です。皆で寝食を共にする。

 

 

外国人たちは郷に入った郷に従え。という言葉のように、村の集団ルールを見よう見真似で付いていきます。

 

 

私も東京の観光地で生まれ育っていますので、外国人旅行者のこの表情を目撃することが多いです。

例えば、飲食店でご飯を食べていて、うまく使えないと隣の席の日本人の「箸の使い方」からヒントを探って真似していたり、異国の地で現地の人の動作を真似る「郷」の様子は共感できるものがありました。

 

 

あとは、これこそアメリカ人だと思いましたが、行く国の言葉を予習しない!

 

 

この映画は言葉も通じない文化も宗教も違う国を訪れた外国人がとんでもない目に巻き込まれる、といった内容の作風なのですが、その夏至祭の情報が表(世)に出ていないことに対しても、あまりに無頓着な学生たち。

 

 

やはり言葉の壁は相当大きいと思いました。スウェーデンの人って背が高くて、白人の中でも色が白くて、目が青い。変な表現ですけど「魂が入っている器(からだ)」にも想像できます。

 

 

主人公の紅一点の女性は彼氏と彼氏の仲間たちと渡瑞しますが、最近精神不安定な妹が両親を道連れに自殺し、大変なショックを受けている状態です。その精神状態で村に到着早々、幻覚剤のようなドラックで歪んでいきます。

 

 

そして何かがおかしいと気づいた頃には、時すでに遅し。儀式の生贄となるのです。

 

 

___

 

 

 

R15指定の映画ですが、大中小で言うならR15指定の映画の中でも「大」の振り分けです。

 

 

そもそもR指定は何のために設けているの?を改めて考えてほしいのですが、R15で考えると義務教育の子供が視聴することを禁止する区分です。私は大人が子供を守るために設けた規定だと思っています。

 

 

作中には人食い、撲殺描写などがあり、それはスプラッター映画のR15だと思えば気になりませんが、問題なのは中盤以降の性交渉のシーンと新興宗教的な演出。男性の性器にはボカシが入っていましたが、女性(熟年が多い)にはボカシがありません。

 

 

ヨーロッパの映画を見ていると、全裸カットがある時がありますが、芸術とはいえ見方によってはアダルトビデオですからね。日本だと性描写が強い作品の場合は、R18にするべきでしょう。

 

 

化学が登場したのは最近の話です。この映画は人類の文明を描いた作品だと思います。

まだ正式な言葉もなかった頃に生贄だとか血や肉を捧げた・・古い古い、悠久の時代を描いたようでした。

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [15]点

構成 [14]点

展開 [15]点

完成度[14]点

 

[73]点

 

 

 

_____________

 

 

 

『影裏』

 

 

 

 

監督🎬

【大友啓史】

 

 

出演者

【綾野剛】【松田龍平】

【筒井真理子】【中村倫也】【安田顕】【國村隼人】

 

 

本編[134]分

公開日[2月14日]

 

 

残り2000文字しか残っていないので、短めで紹介いたします。

 

 

芥川賞を受賞した原作小説は読んだことがないが、主演の2人を想像した場合に私が想像するのは「ゲイの映画」に辿り着く。その予想は・・まぁ大体は正解していた。

 

 

春先の日本映画は東日本大震災を描いたものが数作品ある。

今作もそうだし、現在公開中の『Fukushima50』。公開1週目の『弥生、三月』も被災した主人公をもとに構成された内容だった。

 

 

冒頭。布団の上で目を覚ました人物を足の先から舐めるようなカメラワーク。

 

白くて細い生足。セクシーだと思った。

 

普通の映画だと一夜を共にした行きずりの女性などのカットになるが、すぐに分かる、あ、この足・・男性なんだ(^◇^;)

 

パンツ一丁でベランダに出て植木鉢に水をやる。

 

 

医薬品を扱う会社に勤めている今野は、出向で子会社がある岩手県で生活を始める。独身。優しい性格だが内向的。

俳優は【綾野剛】。

 

ある日。会社の玄関口で喫煙しているバイトの日浅を注意する。独身。社交的だが、身(気持ち)が入ったタイプではない。

俳優は【松田龍平】。髪を肩まで伸ばしていて、龍平も色白なので、こちらも女の人かと思った。

 

 

その後、日浅は今野を気にかけ、飲みに誘ったり釣りを教えたり親友になる。

30代になり出来た親友に今野の日々は充実感を覚える。確かに社会人になってからは仕事仲間以外で同年代の友人って出来にくいですよね。いいところを発想にした脚本だなと思います。

 

 

そんな中で突然仕事を辞めた日浅は音信不通に。今野は彼に教わった川釣りにハマり、趣味や生き甲斐にしていく。

ナヨナヨしかった内向的な都会の男性が田舎の自然の環境でサバイバルしていく変化も多少あります。

 

居なくなるも突然だが現れるも突然。久しぶりに現れた日浅は就職し訪問販売の営業マンに。

また以前のような関係に戻るが、以前と違うのは今野は自分の足で歩いていること。

 

 

そんな中で運命の3月11日を迎える。

 

 

この作品は描写の根底を探れば根は深いと思います。

ただ陰気さが強く、震災後に暗闇で今野に声をかけてくる【筒井真理子】さん演じる会社のパート女性の間の取り方だったり、話の内容に観ているこちらも気鬱な気分になりました。

 

 

松田龍平の口調や淡白な表情は、どの作品でも同じような空気感を作るので安定していますし、綾野剛君の柔らかな口調は昨年の『楽園』で演じた役をさらに柔らかくした感じで、このコンビの相性の良さを窺えます。

 

 

監督は『るろうに剣心』の大友啓史さん。作品の舞台と同じ岩手県出身の監督さん。

 

大友組のスタッフの技術は一流で、映像も綺麗だし魅せ方も上手い。特に大友作品で私が好きなのは、太陽の日が部屋などに差す自然光の映像で、見ていて飽きないです。本当に自然の魅せ方が上手な監督。

 

 

 

 

私にもいますが、同性の親友って本当に心を許せる存在で、いつまでも馬鹿やっていたいんですよね。

 

 

それが

 

 

 

 

こうなるので、「面影」を表す切なさや儚さが銀幕の中から伝わってきました。

 

 

日浅が震災後に消息不明となり、今野は彼の父親や兄の元を訪ねるのですが、行方不明届は役場に出さないと父親は言います。

 

その理由も衝撃的でした。

 

國村隼人さん演じる父親、安田顕さん演じる兄の言葉を通して、この映画に根深く描かれた「曰く」を考える後半で点数がぐっと上がりました。実に映像向きな内容なので今後も同作を映像化や舞台化して欲しいです。

 

 

 

 

 

脚本 [14]点

演技 [14]点

構成 [13]点

展開 [15]点

完成度[13]点

 

[69]点

 

 

 

_____________

 

 

 

お読み頂きまして有難うございます。

 

 

では次回THE映画評論『3月○作品』で。

 

 

I Wish for Peace。

 

 

 

フォローしてね

 

 

 

【mAb】

 

 

 

『手を繋げる日が来るまで』

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ここは映画について語る空間なので、ご自宅鑑賞に選ばれて損はNothingな私のオススメ映画をご紹介致します。

 

 

映画は見終わった後の「余韻」が大事だと思っています。私にとってのいい映画の定義は「余韻」があることなんですネ。


 

観終わり「あー楽しかった。じゃあ次の観よう」と切り替えられる作品というのは、私にとってはあまり心に残る映画ではありません。吸収(学習)するものがないということですからね。

 

 

「余韻を楽しむ」という「余裕」は豊かな心・精神状態を表します。

 

 

今月は1週間に1度のペースで記事を更新しようと思います。

 

 

本来はロードショウの新作映画を書くブログですから、旧作映画紹介は期間限定になると思います。そうなって欲しいです。

 

 

_____

 

 

 

2作品を紹介します。

上記にもありますが「余韻」の雰囲気がとても素敵な映画を選抜します。

 

 

 

1つ目は・・『フック』です。

 

 

 

 

 

 

公開年度は1991年。約29年前に発表された作品です。

 

 

主演は私に映画の魅力を教えてくれた神様であります【ロビン・ウィリアムズ】。

 

当時40歳。2014年に亡くなり、本当の意味で私の神様になりました。

 

ロビンについては今後主演作品をここで紹介していく予定なので、その時々で改めて書いていきたいと思っています。

 

 

 

この作品の何がそんなに好きかと言うと・・・いくつかありますが、まず監督は【スティーブン・スピルバーグ】。

 


スピルバーグとピーターパンという組み合わせ自体が、私にはワクワクが止まりません。

 

 

そして、

 

 

とにかくティンカーベル役の【ジュリア・ロバーツ】が可愛いんです!!

 

 

 

 

当時24歳。

前年の1990年に世界中を虜にした『プリティー・ウーマン』のヒロインで大ブレーク。

当時はヴィヴィアン役を演じたジュリア観たさで映画館を訪れた方も大勢いたでしょう。平成のオードリー・ヘップバーンですよ!

 

 

 

フック船長役には【ダスティン・ホフマン】。

 

 

 

『フック』公開時に既に2度のアカデミー賞主演男優賞(『クレイマークレイマー』『レインマン』)に輝いているダスティン・ホフマンの「悪役」というキャスティングは、当時の映画ファンはどんな反応だったんだろう?。

 

 

 

ではでは。

 

 

子供の頃にネバーランドで大活躍したピーター・パンは現在40歳の弁護士。


 

人間の世界に戻った時点で、ネバーランドの存在やその出来事を忘れてしまうのがこの世界のルールです。

 

 

仕事人間で夢も希望もユーモアもないピーターに、子供たちも父親に冷めていて何の期待も持っていません。


 

そんなピーターが一家でイギリスの祖母ウェンディの家に里帰りした夜、子供達が誘拐されてしまいます。

 


脅迫状にはフック船長の名前が。

 

 

なんのことだか分からないピーターに、お祖母さんウェンディは伝えます「かつてあなたはピーターパンだったのよ」と。

 

 

記憶を失ったピーターは信じません。何言ってるんだ??それよりも子供たちが誘拐されたことで頭が一杯です。

 

そんな時に現れるのです。ティンカーベルが。ピーターパンのことが大好きなティンクが健気!!

 

 

子供たちを救い出すため再びのネバーランドへ。そしてピーターパンの復活へ。

 

 

 

 

などなど。

 

 

童心を忘れてしまった大人が童心を取り戻す。という内容は多分どの時代でも通用する真意であり温かさでしょう。

 

 

この映画で私が特に好きなのは、「妖精はいない」と口にすると、実際に妖精が1匹死んでしまうという言霊的な発想です。

 

 

サンタクロース然り、いつまでも信じることって本当に難しいと思うのです。

特に歳を重ねていくと・・卑屈っぽくもなりますもんね(^_^;)

 

 

それを正確に描いているのが『フック』ですし、『ピーターパン』の続編として非常に優秀なバトンリレーをしている作品です。

 

 

ピーターパンとの戦いで片腕を失くしたフック船長が、ピーターパンとの再戦のために、彼の最も大事な息子を自分側に誘導するという「大人の精神的戦略」も20世紀末の映画の脚本として非常に優秀だと思います。

 

 

映画を見終わると満足感もそうですし「今この時を楽しもう」と自分のハートを奮い立たせてくれるんですね。

 

 

レンタルビデオ屋の営業が気になりますが、レンタルや配信などでこの作品を見つけた方は是非、ご覧下さいませ。

 

そして、映画を観て「とても好きな映画です」と思った方・・是非是非トモダチになりましょう(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

 

 

 

_____

 

 

 

 

2つ目は・・・これは世界中に多くのファンがいるイタリア映画です。

 

 

『mAbによる映画一期一会』というブログタイトル・テーマにもしている作品になります。

 

 

『ライフ・イズ・ビューティフル』です。

 

 

 

 

この作品に出逢わなければ、私の映画人生も違う道を行ったのではないかな?と思うほど分岐点となった作品。

 

 

監督兼主演は【ロベルト・ベニーニ】。公開時の年齢は46歳。

この作品はイタリア映画ですが、アメリカのアカデミー賞で主要部門に7部門ノミネートされ、主演男優賞・作曲賞・外国語映画賞の3部門で大賞を受賞しました。今尚、映画史に燦然と輝く名作戦争ドラマです。

 

 

ではでは。

 

 

1939年の北イタリア。トスカーナ地方。陽気なユダヤ系イタリア人グイドは一目惚れした女教諭ドーラに猛アプローチ。

プッシュ、プッシュ、プッシュ!君こそ僕が探し求めていた運命の女性だ。

 

 

情熱的で、顔に似合わず(ゴメン)ロマンチストなグイドは彼女ドーラをゲットする。

 

 

時は流れ第二次世界大戦下。戦況は悪化し、グイド一家の住む北イタリアにドイツ軍が駐留。

ユダヤ人に対する迫害行為は日に日に濃くなり、やがてユダヤ人は強制収容所へ送られる運命となる。

 

 

グイドは息子と共に強制収容所へ向かう汽車に乗せられる。

 

それを知った妻ドーラ。ユダヤ系ではないが愛する夫と息子を追い、同じ汽車の別の車両に飛び乗った。

 

 

ギチギチの汽車の貨物室の中、大人たちは自分たちの未来(行き先・結末)を案じている。口数は少なく絶望的な表情。

 

 

(私感だが)おそらくユダヤ人は「ユダヤ人には生きる未来がない」ということを、ナチスドイツの出現によって案じるようになったのだろう。この汽車も片道切符。

 

 

この映画の凄い点は父親が息子に対して一切の弱さを見せない事だと思います。

喜「怒哀」楽の喜びと楽しさしか見せません。

 

 

これほど映画の登場人物を尊敬する事はないでしょう。

 

 

家族3人仲良く暮らしていました。付かず離れず病める時も健やかなる時も。

 

 

母と離れ不安でグズる息子ジョズエに、父親グイドは「いいかジョズエ、これはゲームなんだ。泣いたりママに会いたがったりしたら減点。逆にいい子にしていれば得点がもらえて1000点貯まったら勝ち。その時は商品として本物の戦車に乗って家に帰れるぞ」と伝えます。

 

 

息子はゲームに参加。汽車の中の大人たちはその会話を静かに聞いている。

 

 

そして1000点を目指してジョズエのゲームが開始される。

 

 

勿論、ここはナチスドイツ支配下のユダヤ人強制収容所。ユダヤ人に自由はなく、命の保証は一切ない。

 

ある時期からはユダヤ人たちは定期的にシャワー室(ガス室)に集められて、そこで殺害される運命となります。

 

 

収容当初はジョズエの他に子供達がいて、大人が労働している間は、子供同士で遊ぶことが出来ていました。

 

しかし、そんな子供達はシャワーを浴びに行ったきり帰ってこなくなります。

 

 

子供はいないかー 子供はいないかー 子供捜しの軍人。

 

 

見つかれば命はない。

グイドは新ルールを設け息子を必死に隠します。

 

 

この映画の逸脱している点は、息子に対して全てをユーモアで対応するところ。

死と隣り合わせの状況であったとしても微笑ましいのです。

 

 

強制労働でヘトヘトと空腹で集団生活部屋に帰ってきて、皆が言葉数少ない中で隠れていた息子にジョークを交えたエピソードトークで楽しませる。その全てが愛しい。

 

 

ユーモアは希望なんだと、この映画を観て私が心得た感覚です。

 

 

母親のドーラはユダヤ系ではないが、ここに夫と息子がいるということだけで、女子寮で強制労働を行なっています。

 

 

 

 

戦況が悪化するとナチスドイツは強制労働で連れてきたユダヤ人達を、強制的に殺害しようとする。一列に並べてダダダダと撃っていくのだ。「並べ!」と命令されてマシンガンで撃たれるって・・戦争映画でよく見る光景ですけど、なんなんですかねo(`ω´ )o

 

 

ジョズエの得点はもうすぐ1000点に到達する。そして最終ポイントを獲得できる最終課題が父親から追加される。



これをクリアすれば1000点満点となり約束した本物の戦車で家まで帰れるよ。目を輝かせるジョズエ。

 

 

そして終戦。ドイツの敗戦が決まった。ナチスは収容所から撤退するが混乱と混沌の1日になる。

 


その最終課題とは・・・「静かになるまで隠れる事」。

 

 

 

などなど。

 

 

この年(第71回)のアカデミー賞は史上最高の三つ巴と呼ばれ、11部門ノミネートで5部門を受賞したスティーブン・スピルバーグの『プライベート・ライアン』と、作品賞を受賞し特に演技評価の高かった『恋におちたシェークスピア』の三強でした。

 

 

『ライフ・イズ・ビューティフル』が3部門

『プライベート・ライアン』が5部門

『恋におちたシェークスピア』が7部門

 

 

私自身がアカデミー賞にドップリはまる様になったのは、この年からです。こんな当たり年はなかなかないですよ。それに今の様に作品賞のノミネートが10作品ではなく5作品でしたからね。

 

 

戦争映画と戦争ドラマがアカデミー賞を独占したこの年の主演男優賞は【トム・ハンクス】ではなく、今作品主演のロベルト・ベニーニでした。

 

 

何度見ても家族の絆や愛の深さに心を打たれ、『人生は素晴らしい』というタイトルが心に沁みます。

 

 

 

 

生きる事は素晴らしい。生きているだけで素晴らしい。私の映画人生を語る上で外す事が出来ない作品です。

 

 

戦争は悲劇ですが、その局面から喜劇に転じさせる演技力は見事。明らかに変わる空気感は神がかっていて、平和から戦争そして終戦への展開も抜群の出来。

 

 

この映画を観たことがある方は多いと思いますが、まだ観ていないという方や、もう何年も観ていないという人にもオススメです。

 

 

10代20代の頃に観た映画を、30代の頃、40代の頃、と年齢や経験により人生観の変わっていく過渡期等で見直すとまた違った発見があると思います。

 

 

 

____

 

 

 

 

「家族」をテーマにした映画を2作品紹介いたしました。

 

 

これはロビン・ウイリアムズが生前に残した言葉です。

 

 

「辛い時はきっと来る。だけどそれはきっと、今まで気にしていなかった事と向き合う良いチャンスになる」

 

 

今の自分がこの場所で出来る事と言えば、好きな映画を楽しんで書いていく事だと思います。

 

 

文字や言葉には表情があります。

書いている本人が楽しんで書かないと読んでくださる皆様にも良さが伝わらないもの。

 

 

映画は最高の「気晴らし」です。

 

 

日常を過ごす中で、少し休憩したくなった時に、映画を見てくださいね。

 

 

 

 

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mAbの『平成映画100選』

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前回の記事の流れを汲みつつ今回からタイトルを「平成映画100選」とします。

 

 

平成時代に日本公開されたものは年齢的にもリアルタイムで観た洋画が多いので背景として語りやすいです。

 

 

平成=日本の時代じゃない?とは突っ込まないでくださいね(笑)

 

 

それと自分のお気に入りの映画を語るので、1作品ごと思い入れが強くあります。

 

 

タイトルにした100作品も「きちんと」紹介できないと思いますが、そこは「なんとなく」のキリの良さで名付けた定番タイトルだとご理解ください。

 

 

最初に10選に設定した場合、後で「これもあった」「あれもあった」と必ずなるので、100くらいの単位の方が私には丁度いいのです(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

 

 

映画評論としましては約10年間書いてきましたので、ロードショウ映画をココで書いた本数は延べ1000作品を超えてます。

 

読書の足しにもならない書物ブログですが、お時間のある時に再読して頂けたらと思います。(当時は今よりも変換間違い・脱字がありますのでご理解の上でお願い致しますm(_ _)m💦)

 

 

 

ではでは。今回もエピソードトークを交えて紹介致します。

 

 

____

 

 

 

日本で好きな男優・・私には数名しか居ません。

 

そもそも日本人であるゆえ日本人男優(同性)を好きになる条件って「憧れ」や「尊敬」の意識が強い方になると思うのです。

 

 

これがハリウッド俳優の中で好きな男優になると・・三十名ほど用意をしていなくても瞬時に口に出来ます。

 

 

その中から10人限定で告げるとしたなら、必ず入れる男優は【トム・ハンクス】[63]です。

 

 

トム・ハンクスからは『mAb100選』の中に入る映画が5作品あります。

 

 

いつの日か記事に起こすと思いますが、とりあえず前以ってカウントだけをさせてください。

 

 

 

①②は前記事。

 

 

 

『ビッグ』1988年作品(昭和63年ですが、強固として推薦)

 

 

 

『フォレスト・ガンプ』1994年作品

 

 

 

 

『グリーンマイル』1999年作品

 

 

 

 

『キャスト・アウェイ』2000年作品

 

 

 

 

『ターミナル』2004年作品

 

 

 

 

 

トム・ハンクスは日本式で例えると「平成の大横綱」ですよ。レオナルド・ディカプリオやブラッド・ピットやジョニー・デップなどが一級映画に登場する21世紀末頃からイケメン顔が主流の時代になっていきますが、その中で堅実な実力派の路線を貫く俳優。まぁ最近はディカプリオもトム・ハンクスのようになってきましたしね。

 

 

 

全ての主演作品を厚く熱く語れますが、今回はその中から特に思い入れのある『グリーンマイル』を紹介致します。

 

 

 

 

____

 

 

 

1999年のアメリカ映画です。日本での公開は翌年ミレニアム2000年でした。

 

 

この時代の制作にしては全体的にオレンジかかった暖色の画質が特徴的。

 

 

さらに黒人+刑務所+夜間の陽の当たらない場所でのシーンが多いので、画面が真っ暗でよく観えないシーンもあります。

 

 

原作は【スティーヴン・キング】。

監督は【フランク・ダラボン】。

 

 

フランク・ダラボンは『ショーシャンクの空に』で長編映画デビューした監督です。

これまでの監督4作品の、うち3作品がスティーヴン・キング原作小説の映像化という・・・ある意味恵まれた人物でしょう。

 

 

ホラーミステリー作家。アメリカ人が大好きな至宝スティーヴン・キングは、私の記事でも度々登場します。

ちなみに『ショーシャンクの空に』もmAb100選の中にカウントしますのでいずれ書きます。と言う事前報告です。

 

 

__

 

 

 

21世紀に入ったばかりの頃。読売巨人軍の長嶋監督が好調の自軍を「ミレニアム打線」と呼び、世間に浸透した時代。

 

 

アメリカ郊外の老人ホームでは、1人のご老人がホーム内で知り合った恋人の女性に過去の物語を聞かせる、というキッカケのから映画が始まっていきます。

 

 

 

 

老人が語り部になって回想録(本編)を相手に聞かせる。

この当時のアメリカ映画で多く観られた定番の展開移動です。

 

 

時代は1935年のアメリカ。

 

 

1929年にニューヨークで起きた株価の大暴落から始まった世界的大恐慌により、アメリカ全土で失業者が溢れていた時代です。

 

 

 

その混沌とした時代の中、舞台となるのは刑務所です。建物の名前はコールド・マウンテン刑務所。

 

 

映画内で描いていたのか?は分かりませんが、この恐慌下のアメリカの刑務所って収容人数的に賑わっていたのだろうか?

 

失業=治安の悪化をイメージするので、軽犯罪も増えるでしょうし不況ショックで殺人だって起きていたでしょうから、安易な想像ですが気になるところです。

 

 

本映画は基本的に室内(スタジオ)での撮影が多いので、セリフや描写などからもその背景はあまり重要的には描かれていない映画だと思います。などで予備知識などは特に必要としませんので映画と向き合える時間が多くなります。

 

 

刑務所の中で描かれるのは死刑囚の棟

死刑執行日が決まっている囚人を短期間収監し、当日は同じ棟内を移動し裁きを受けさせます。

 

 

この時代の死刑といえば電気椅子ですね。

 

 

(昔、訪れた外国で電気椅子に使われていた椅子を見せてもらったことがあります)

 

 

この棟の死刑囚が歩く廊下の床が緑色ということで、ここは世間で(タイトルにもなる)グリーンマイルという呼称で認知されています。Greenは「緑色」、Mileは「通路」を意味します。

 

 

映画の開始時点では二名の死刑囚が収監されています。この棟に入る条件は既に死刑日が決まった囚人のようです。

 

死刑の施設が整っているということで、この刑務所に重罪人が送られてくるのだと分かります。

 

 

気になったのは、刑務所といえば『ウォーリーを探せ』のウォーリー囚人のように棒線の入った囚人服をイメージしますけど、この独房では囚人の服装は自由だということ。臭いまでは伝わりませんが、死刑日までずっと同じ服なので体臭はヤバいだろうな(^◇^;)

 

 

この棟を担当する看守員は五名。

 

 

看守主任が冒頭の老人の若き日の姿。役名はポール。演じるのは【トム・ハンクス】。

 

ポールの右腕であり親友でもあるブルータルも印象に残ります。俳優は【デヴィッド・モース】。

 

 

5人中、中年が三名。既婚者の若者が一名。独身の若者が一人。

 

 

この五名が死刑囚を死刑執行日まで監視し、当日も自らの手で裁きをかけます。

 

 

___

 

 

 

ある時、新しい死刑囚が収監されてきます。

 

 

ジョン・コーフィー死刑囚。農夫の2人の娘を殺害した罪。

 

 

黒人の大男。身長180cmを超えるトム・ハンクスやデヴィッド・モースが小さく見えるほどです。

 

 

 

 

演じる俳優は【マイケル・クラーク・ダンカン】。残念ながら2012年に心筋梗塞により54歳で亡くなりました。

黒人の大男なのにとにかく優しい瞳や表情が印象的で、私はハクション大魔王みたいに想って好きな俳優でした。

 

 

 

ここに収監される囚人は、とにかく死刑に値する重罪を犯しているのでここにいるわけですが、「本当に極悪人なの?」と思う方々が多いです。

 

 

そう自分が思った理由を考えますと、

 

殺人犯って性根が悪というイメージがあるのですが、

 

死期が近いからか、自分の人生を振り返り過ちを後悔し、表情が柔らかい人物が多いからなのかな、と。

 

そこに観客の情がプラス要素で加われば、死刑囚にも愛着が湧くのでしょう。

 

 

 

それでも遺族にとっては心の底から憎い相手ということを忘れてはいけません。この映画を見ていると看守員を通し死刑囚に感情移入をするので、死刑執行日に会場に集まり「死ね!」と叫ぶ遺族や関係者側に対し怖さや非情さを感じてしまうという不思議な感覚になります。「生きて!」と思ってしまう。

 

 

そして感服するのが死刑囚棟の看守員たちの姿勢です。たとえ殺人犯だとしても人の命を扱う役目。入念にリハーサルをします。そのリハーサルの模様もこの映画では丁寧に描かれています。

 

 

死刑日の前日に本人を別室に移します。

理由は様々。家族の面会、それすらない人物にも何かしら用事を作り外に出すから印象的。

 

 

オツムの弱い囚人をリハーサル役に使います。この囚人の刑期が短くなるのかは不明です。

 

 

グリーンマイルを歩き会場に入ると木製の死刑椅子に座らせ手足を拘束。第一スイッチの電源を入れる。そして事前に剃毛した頭の上に濡らしたスポンジを乗せます。そして第二スイッチ。死刑囚が完全に亡くなるまで電気を流します。

 

 

このシーン。重要な悪役となる新米看守が頭角を現します。

 

 

役名はパーシー。グリーンマイルと言えばパーシーです。

 

 

 

パーシーは喧嘩など弱いくせにイキがっている若造で、劇中にハンクス演じるポールがパーシーという人間について表現します。

「残忍で不注意でバカ」と。この言葉通りのキャラなので、フォローするような、いいところが1つもありませんね(^◇^;)

 

 

一番のペーペーなのだからキツく指導したらいいじゃないか!?と誰もが思いますが、それを出来ない理由は1つだけです。パーシーは州知事の夫人の甥っ子なのです。何かあったら「オバさんに言いつけてやる!」です。ホント子供ですね。

 

 

大恐慌による就職難の時代で、生意気な部下を叱って、クビにされたら堪らない。

郊外の刑務所が舞台ですが、街に行けば明日は我が身の失業者たちを沢山見ているわけですからね。

 

 

他の看守員たちは主任を含め何度も我慢の限界に達しますが、そのたび踏みとどまる。

 

 

そんな厄介者パーシーが、次の死刑で俺に指揮を取らせてくれたらここを出て行ってやるよ、と言います。

 

 

指揮をするのはトム・ハンクス演じるポール主任の役目です。

 

「残忍で不注意でバカ」という三拍子(代名詞)が揃っている新米看守のパーシーに、そんな大役を任せられるのか?

 

 

結果として伝えると任せることになります。そしてそれが大きな悲劇を生むことになるのです。

 

 

「死刑囚棟(グリーンマイル)で起きた出来事は外部に出さない」が暗黙のルール。楽しいことも悲しいことも恥ずかしいことも口外しません。(作内一部の身内には話しています)

 

 

そしてこの「マイルの出来事は外部に出さない」というルールがあるからこそ奇跡が生まれたのです。

 

 

 

___

 

 

 

冒頭から主任のポールは尿路感染症を患っていて、患部に強烈な痛みを感じるなかで生活しています。

仲睦まじい妻の夜の誘いを断り、一番可哀想なのはトイレの時間。寝ている時に尿意と痛みが同時にやってきて、倒れこむように庭で粗相をするというシーンは印象的でした。腎盂腎炎の様子は映画だとしても同性として痛そう辛そう可哀想(^_^;)

 

 

ある日の事です。

 

 

この映画に『グリーンマイル』を代表する2人目の厄介者が登場します。

死刑囚ワイルド・ビル。右腕に「ビリー・ザ・キッド」のタトゥーを掘っています。

 

 

 

 

 

俳優は【サム・ロックウェル】。

 

 

ビリー・ザ・キッドといえば、私なんかはステーキ屋を真っ先に連想しますけど、西部劇で登場するアメリカ西部開拓時代の強盗のことです。

 

 

ドロクロアは「人間として生まれてきてしまったバケモノ」な人間で、それまで死刑前ということもあり穏やかで静かだった死刑囚棟で大騒ぎを繰り返します。映画としてはアクションが生まれるのでメリハリ的な役目にもなります。

 

 

その大暴れ中にポールが金的を膝蹴りされます。ポールのボールが悲鳴をあげるわけです。

 

 

(そんな親父ギャグを言うキャラかΣ(・□・;))

 

 

蹲るポール。そこに「ボス。こっちにきて」と、静かだったコーフィーが呼びかける。

 

 

そして患部を握ると、棟の電球がパアッと明るくなり、助けを呼ぶため騒いでいた囚人も黙り込む。

 

 

しばらくして手を離したコーフィーは酷く体調が悪くなり咳き込むと、大量の黒い塵のような(悪い)ものを口から吐き出す。

 

 

何をした?と聞くと「元通りにした」とコーフィーが言う。ポールはトイレに行き、以前のように普通に用を足す。

 

 

この「元通り」という表現は作品全体を考えられる素晴らしいキーワードだと思います。

 

 

自宅に戻ったポールが奥様にアプローチする様子も面白くクスッと笑えますし、事情を聞いた奥様が旦那へのお礼としてコーンブレッドを焼くという展開も優しいです。

 

 

___

 

 

 

最後に紹介するのは、この映画に欠かせないキャラクター。

 

 

名前はミスター・ジングルス。

 

 

 

自分としては、もしミッキーマウスが本来の姿に戻ったら、ミスター・ジングルスのようになるんだろうな、と想像できるようなネズミです。

 

 

フランス人死刑囚のドロクロア、通り名デルのペット。

 

 

 

 

演じた俳優の【マイケル・ジェッター】は『グリーンマイル』から3年後。エイズ患者・癲癇性発作で亡くなります。享年50歳。

 

 

死刑囚棟でネズミが出たと話題になり、看守員たちは衛生的にも捕まえようと試みるのですが、賢いネズミは「ペット」に一転。

 

 

人間に近づき餌をもらう。肝が座ってるぜ!と言われるような警戒心のなさで愛嬌たっぷり。

囚人デルに可愛がられ、彼のペットとなり「ミスター・ジングルス」と名前をつけられ、芸も見せる。看守員たちも公認。

 

 

女人禁制の現場で唯一の癒しとなるジングルスは、看守員と囚人を繋ぐ糸のように思います。(劇中の芸も糸車を転がしますので)

 

 

そんな中で協調性の無いパーシーだけがミスター・ジングルスを殺傷すると大騒ぎ。

 

 

看守員たちは、せめてデルの死刑が終わるまでは(ミスターと一緒に)と人としての向き合う気持ちで接しています。

 

 

そして2度目の奇跡が起きるのです。

今度は看守員の多くがその瞬間を目撃し、その誰もが思うのでジョン・コーフィーは冤罪だと。

 

 

3度目の奇跡は、ポールの友人である所長の奥様の脳腫瘍を「元通り」にすること。

 

 

死刑囚を外に出すという犯罪を犯してまで、友の妻の命を救おうとコーフィーを連れ出す。

 

 

ちなみに私はこの脳腫瘍の奥様のシーンで毎回涙を流します。

 

 

死刑囚の刑期は軽くなることがない。

ジョン・コーフィーの死刑執行日が迫ります。

 

 

会場にいる遺族は叫びます。「そいつを2度殺せ!」と。

 

 

第二スイッチオン。

 

 

______

 

 

 

マイ・エピソード。

 

 

2002年にアメリカのロサンゼルスに留学していたのですが、アメリカといえばショッピングモールです。

 

 

週末になると大学の友人とサンタモニカのビーチに行ったり、何もすることがないとショッピングモールで出掛けました。

 

 

本屋で見つけたセール品。日本の本屋でセールは中々見かけないので気にして見る。

 

 

その際に購入したのが『グリーンマイル』のスクリーンプレイです。Screen Play=脚本。

 

 

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12ドルの本が4ドルのセールなんてお得だな。

 

 

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私はこの本を使って留学期間中に何度も外国人の友人とセリフの読み合わせをしたり、「グリーンマイルごっこ」をして演劇の真似事をしました。なので思い入れも強いし、今でも日本語字幕より英語台詞で覚えている箇所が多いんですよね。

 

 

あれから10年以上経ち、英会話は忘れてしまったけれど(^◇^;)よき思い出です。

 

 

 

______

 

 

 

この映画で私が最も伝えたいのは、とにかく話が面白いということです。

 

 

ポール役を演じた主演のトム・ハンクスも、コーフィー役の【マイケル・クラーク・ダンカン】も、この映画に限っては名演技とまでは行かない見え方で、だからこそパーシーやワイルド・ビルのような悪役の印象が強く残ります。

 

 

スティーブン・スピルバーグ監督が、この映画を観て「途中で堪えきれずに、4回号泣してしまった」と言う当時のエピソードコメントは有名です。(どれだけ心が優しいんだよスピルバーグ!(◎_◎;))

 

 

記憶の扉をノックするので、誰しもに「強く泣ける」シーンがあるかもしれません。

 

 

そして映画鑑賞最大の難点は本編の時間が3時間を超える長尺だと言うことです。

 

最初は長いなと思って観るのですが、毎回いつの間にか時間が過ぎているんですよね、私の場合だと。

 

 

お時間の取れるこの時期にピッタリかと思いまして、この作品を紹介させて頂きました。

 

 

観て損のない映画とは、この映画のことを言う( ✌︎'ω')✌︎

 

 

レンタルや配信で是非ご覧になってくださいネ。

 

 

 

🎥_______🎥

 

 

 

 

COVID-19・新型コロナウイルス。

現在世界で最も多く感染者数を出している国がアメリカ合衆国。

 

 

おそらく正確な感染者数で考えると発生源である中華人民共和国の方が多いとは思っています。

10分の1で報告する国ですからね。

 

 

アメリカのロサンゼルスで映画監督をしている日本人女性がいます。

 

彼女がロサンゼルスでの状況を書かれた記事に感銘を受けたので、本人の了解を得てリブログさせて頂きます。

 

 

カリフォルニア州はニューヨーク州よりも速くロックダウンを実施し、感染数の少ない現在の状況をニュースで知るのですが、是非読んでほしいと願います。

 

 

 

 

記事の中で私が驚いたのは、彼女の知人にも感染者が出ていて、知人の家族が亡くなっている現実です。

日本のニュースは遺族を報道しませんから、とてもハッとさせられる文章に感じました。

 

 

NYよりも3日間早く対策をしたLA。その甲斐あって感染者数はNYを下回っている結果。

 

しかし家篭りに嫌気がさして外に出る人が続出したため、再びの外出禁止命令が出されたようです。

 

 

最初が肝心と言う言葉が示す通り、日本はユル〜く「お願い」をしてきたわけですから、そのために意識改革に時間がかかっているのでしょう。

 

 

都心や観光地は人がいなくても、商店街や私の住む下町には沢山の人が行き交っている現状を見ると、真面目に言われた通りにしている大半の人が不憫ですし、魔女狩りのように「あいつが悪い」「あそこが営業しているから晒せ」と言うコメントも不憫です。

正直者が馬鹿を見るではなく「正直者が利口なる」未来の日本に。

 

 

誰かが倒れる前に、休んでください、みんなで助け合いましょう、と手を差し伸べる人も公に出てきて欲しいです。

 

 

アベノミニマスクが全国に配布中の首相だって、休日返上大忙しで神経すり減らして働いているのだから、奥様のようにジャニーズを連れてお花見したり、暇だからと言う理由で飛行機旅行されたらたまったものじゃないでしょうね。。。でもまぁ・・一言、「妻が(制御不能で)お騒がせしてすみません」とだけ言って欲しいですけどね(^_^;)

 

 

(いいなぁ宇佐神宮・・個人的に前々から一番行きたい神社なので、状況が落ち着いて平穏が訪れたら・訪れたいと思います)

 

 

 

最後に。

 

 

新型コロナウイルスにより亡くなった文化人・映画人が世界各国で多くいらっしゃいます。

 

 

『E.T』などを撮影されたアレン・ダビューの逝去のニュースは本当に悲しいです。

 

 

この未曾有の世界危機の終息はまだ先になるのでしょうけど、今は1人1人が出来ることをするだけしかないのでしょう。

 

 

『グリーンマイル』のジョン・コーフィーが劇中に言います。

 

 

「慣れないところだと、暗闇が怖いのです」と。

 

 

 

同じ痛みは分け合えませんが心は1つだと思っています。

 

 

 

 

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【mAb】

 

『いろはにこんぺいと』

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前回からだいぶ間隔を開けた更新となってしまいましたm(._.)m

 

 

新しい企画を始動しておいて1ヶ月以上の時が流れてしまったのは情けない。不徳の致すところです。(政治家の平謝りかΣ(・□・;))

 

 

再開いたします。

 

 

距離の間隔はとっても寄り添うような文章を書きたいですね。

 

 

___

 

 

 

アメブロを始めて早10年。

自分の記事を楽しみにされる方が少なからずいらっしゃると思いますので、お久しブリーフだとしても、記事を書くときは紡ぐ言葉を用いて守れるものは護りたいです。

 

 

東京の映画館も6月に入り営業再開をし公開予定だった新作映画も順次公開の運びとなっております。

個人としては昨日。大好きなリュック・ベッソン監督の新作『ANNA』を鑑賞して参りました。

 

 

約3ヶ月ぶりの映画館。TOHO-CINEMASは感染予防も徹底的にしてあって、20m間隔で除菌スプレーが設置されていました。指定席も1席ごと間を開けて売られていますが、それでも私が観た映画の回は観客が3人しかいませんでした。私が好んで行くのは元々がTOHOの中でも空いているシネコンなのですが、ちょっと深刻ですよね。

 

 

「月に12本以上映画館で映画を観る」という習慣を15年以上続け骨身に染み付いていたので、3ヶ月のブランクはやはり自分史の中で前例がなく、いつもよりワクワクドキドキしましたよ。

 

 

mAbの読者の方へ。

 

 

映画以外の記事はレインマンのアカウントで週1の頻度で更新しておりますので、今回の記事が気に入りましたら、そちらのチェックもお願いいたします。

 

 

 

 

 

 

___

 

 

 

今回の記事は久しぶりに映画以外の話を書きます。

 

 

テーマはズバリ「除菌グッズ」です。

 

 

 

「マスクが出回っていなかった頃」という話の書き始めに「頃」をつけるほど、市場に出回らなかった混乱期から「1・2ヶ月」程しか経っていないのに、少々昔のことのように感じます。

 

 

 

天下の国会中継では未だにアベノマスクはアベヒトリボッチマスク。副総理は面倒なのでおいといて、せめて部下がつけなきゃ格好がつかないように思えてしまう。未来の社会科の教科書に「アベノマスク」は記載されるのでしょうか?もしそうなったらテスト勉強でこの滑稽な税金の使い道をどう教師は子供たちに教えるのでしょうか?(記載されることは先ずないのでブラックユーモアとして捉えてくださいね)

 

 

 

私には少し潔癖の気があるので、普段からマスクの着用や手洗い等を小まめに行い、衛生面に気をつける習慣を持っていました。なので2月以降・春先のパニック時には普段使いのマスクのストックもあったし、困ることは少なかったです。

 

 

ただ1つ。アルコール消毒液が手に入らないことにはあぐねました。

 

 

飲食店や商業施設の入店時に、設置された消毒液のスプレーをワンプッシュしますが、

 

 

その本体を薬局では3月4月の時点で見かけることがなかったです。

 

マスクのストックがあったので薬局には行かず、そうだ消毒液を買っとかなきゃ、と思った時には既に遅し。

 

 

転売品には絶対に手を出すものか!と思っていましたが「残り1点」と記された1万5000円の消毒液を、Amazonでポチッとしそうなほど欲っしていました。思い止まってよかった。現在は同じものが980円で売られています(^◇^;)

 

 

 

___

 

 

 

緊急事態宣言時は自宅とデニーズを往復⇄していました。

 

 

仕事で行う書き物は自宅ではなかなか捗らず、仕事場である音楽スタジオは当面の間使用できないという状況だったので、大変助かりました。それ以外の外出はしていないし、ましてやGWにモデルと沖縄旅行にも行っていないので、ご理解の程お願いいたします。

 

 

(最後は余計Σ(・□・;))

 

 

デニーズは讃えたいほどちゃんとしていました。

 

 

換気は勿論、私が行っている店は対策がしっかり取られていたし、こういう時だからこそ1人のお客様を大事にする姿勢を感じました。そして何よりいつ行っても店内はガランとしていました。

アルバイトの方が3名くらい働いているのに対して、お客の数が数名でしたから、自分としても普段はドリンクバーの注文ですが、客の単価を上げようと食事をするようにしましたよ。

 

 

お店の人には悪いけれど、ここまで安全対策を取ってお客が入らないので、私に取っては最も安心できる仕事場として利用させていただいています。

 

 

 

オーマイガー3部作。その壱。

 

 

 

そんなマスクが出回らなかった4月頃の話です。

 

 

最初の頃はドラッグストアの店内に入ってマスクや消毒液コーナーを見に行くという行動パターンがありましたけど、

 

 

まもなく入口に「本日マスクの入荷はありません」という手書きのお知らせを貼るドラッグストアが基本となりました。3〜5月にかけて、手書き→プリント→看板。そして現在は在庫があるので知らせを貼るドラッグストアも少なくなりましたね。

 

 

もうこの時期はドラッグストアの店員さんは可哀想でしたね。

なんでないんだ!と怒鳴れる・責められる等をYahoo!ニュースで読んでいましたが、バイトじゃなく、せめて社員に言えよ!と思いました。話を戻します。

 

 

私は自転車移動なので、走行中にドラッグストアを見かけると、店頭の張り紙で在庫「あり・なし」を確認する、という作業が体に染み付いていました。

 

 

そしてある駅前のドラッグストアで「マスク・消毒液入荷しました」という張り紙を見つけ、思わず二度見してしまいました。

 

 

その時期は、まだまだ入荷未定の貼り紙が主だったので、何かの間違いかと思いましたよ。「在庫ない」を100以上連続で見ていましたから。

 

 

上に記した通りマスクは不足していなかったし、なんなら「手作りマスク」をミシンで縫えるので必要はなかったのですが、消毒液が欲しい。喉から手が出るほど欲しかった。もし喉から手が出たなら、その手にも消毒液を塗りたくるくらい欲しかった。

 

 

(表現がキモいΣ(・□・;))

 

 

 

自転車を脇に止め入店すると、マスク&消毒液が段ボールから出さずに、箱の上部分を開いた状態で10箱ほど積まれていました。

 

 

私が入店した時は人が疎らでしたが、どうやら商品を店頭に出したタイミングと重なったらしく、気付けばどんどん人が集まってきていて、慌てて店員さんが入場制限を行なっていました。

 

 

 

多分、この時期は衛生グッズが何処にも無いというのが当たり前の状況だったし、食品も買い溜めなどをする人が多かったので、殺気立っていたように思います。

 

 

マスクは「お一人様1箱」までと記してありました。確か50枚入りで2980円だったかな。税別。

 

 

今では半額以下で買えますね。いつか思い出話になるでしょう。もう既にココでしていますが。

 

 

 

目的の消毒液には制限が書かれていません。でも完売するのは時間の問題。

 

 

こういう時に何個も買える図々しさがないところが、私の弱点かもしれませんね(⌒-⌒; )

 

 

値段は1800円。税別。

少々お高いけど、まぁ10倍近くの値段で売られていた転売の異常値を考えれば妥当。

 

 

 

消毒液を1つ購入して、そのあとはデニーズに行き、依頼されていた執筆の作業に入りました。

 

 

その作業中に妹から電話がかかってきましたので、消毒液はある?と聞いてみると残り少しだと返答が。

 

 

ということで妹夫婦の家にも1個買ってあげようと、作業を早めに切り上げて先ほどのドラッグストアに再入店します。

 

 

 

先ほどと同じ工程で自転車を脇に止め入店。目的のブツは残り10個ほどになっていました。

 

 

同じものをもう1つ購入しました。

税別なので合計4000円近くの出費でしたが、念願の消毒液を2つゲットできました。

 

 

驚いたのはあれだけあったマスクが既に完売していたこと。福山雅治のコンサートのチケットくらい速い完売です。

 

 

やった!ようやく消毒液をゲットしたぜ!

 

 

なんだか・・子供の頃に少年ジャンプを買って、家に帰って読むぞ!と書店から家までの道が凄く楽しかった、その時の気分に近いです。

 

 

 

しかし思いも寄らない結果に。

 

 

 

家に帰り、手洗いした後、早速ポンプを押して手のひらを受け皿にして落として塗りこむ。

 

 

 

・・・・・ん?

 

 

・・・・・なんだこの消毒液?香り付きか?

 

 

購入した消毒液は香料が入っていたのです。

 

 

いや。多少の香料だったらいいのですが、なんということでしょう!チョコレート系の甘い香りです。

 

 

・・・・こんなの消毒液じゃない。

 

 

 

分かる方は少数だと思いますが、洋モク煙草のブラックストーンの匂いが一番近いです。癖が強い。

 

 

キッチンで塗った瞬間、リビングにいた両親が「なんだか変な匂いがしないか?」と換気扇を回すレベルで聞いてきます。

 

 

そうです変な匂いなんです。甘い匂いとか臭い匂いではなく、違和感を持つ匂いなのです。

 

 

 

ちなみにこれです。

 

 

(好みの方がいらっしゃいましたら申し訳有りませんがm(_ _)m)

 

 

 

 

image

 

 

 

購入した時の店内は混雑していたし、入場制限の行列が見えたので、即決しました。

 

 

後ろの成分表には・・

 

 

image

 

 

 

確かに「香料」と書かれていますが、その香料が「どんな香り」なのかはテスターもないから「買うまで分からない」し、香り付きだとしても「たかが知れてる」と思い込んでいます。なにより無色透明ですからね。

 

 

 

いや好きな方もいると思いますよ。甘い香りがしますから。でも私は無味無臭もしくは病院で嗅ぐ消毒液の匂いがいい。

 

 

あと。。。どうして気付かなかったMADE・IN・KOREA

 

 

 

いや好きな方もいると思いますよ。女性の方は特にね。サムギョプサルとか。チーズタッカルビとか。

 

 

(それは食べ物Σ(・□・;))

 

 

 

そして悩まされたのは、洗っても匂いが取れないんです。

この消毒液を塗って、やはり自分には苦手な臭いなので、消臭目的でキレイキレイで手を洗うのですが、まさかまさかキレイキレイが負けるという我の強さ。下手な香水より持続性がある。

 

 

 

後日。

 

 

自宅に来た妹に、何も言わずに消毒液を試してもらうと、第一声が「なんか変な匂いしない?」でした。

 

 

(血のつながりの強さを実感するコメントΣ(・□・;))

 

 

 

「もう1個買っておいたから持って帰る?」の問いかけに「大丈夫よ」の返答が。気持ちだけ貰って帰って行きました。

 

 

 

それからというもの。

出先の飲食店には有難いことに必ず消毒液がありましたので、外出時にはお店のものを利用し、自宅に帰ると消毒液を見て見ぬ振りして、キレイキレイで手指を念入りに消毒。。。それのみ。

 

 

念願だった消毒液は、結局10回ほど使用したところで、パンダのフィギュアの横でインテリアの1つとなってしまいました。

 

 

気になっているのは、あの日、同じドラックストアで同じ消毒液を購入された方が100人以上はいたでしょう。

 

 

その方達は今でも使っているのか?

私のように買ったことを後悔しているのか?

 

 

分かりませんが気にはなります。

 

 

成分に「香料」があるものは、「テスター」を置いて欲しいです。

 

 

まさかの念願の消毒液を購入したらチョコレートの匂いがする物だった!というアイタタなお話です。

 

 

 

___

 

 

 

 

オーマイガー3部作。その弐。

 

 

 

それから2ヶ月後。現在。

 

 

誰もが予想したように、マスクはほぼ定価で売られるようになりました。

 

 

一難去ってまた一難。続いてはマスク着用問題となり、どう酷暑を乗り切るか?についてに関心が移っていきます。

日本の夏は高温多湿ですからね酸素不足。特に東京は、五輪マラソンを札幌に変更したくらい身の危険を感じる都市。

 

 

そんな夏を乗り切るためのグッズとして先日、「冷感マスク」を買うことにしたのですね。

 

 

私は自転車に乗るので呼吸が楽な普段使いのピッタのマスクが一番我が身に馴染んでいるのですが、さすがにこの時期、冷感商品が欲しい。

 

 

色々な場所で見かけるようになって気にはなっていたけれど、どれがいいか分からない。

そう思っていた時に、地元の下町の商店街で売られていた冷感マスクを直感で購入しました。

 

 

上野のアメ横や新大久保のコリアン街ではマスクを値引きしても売れない模様ですが、この下町の商店街は高齢者も多いのでマスクや除菌グッズを中心に売るウィークショップは終始繁盛していました。言い方は悪いけれど、いい場所に目をつけたと思います。

 

 

値段も安かったです。3枚入りの冷感マスクで洗濯OK、298円+税。

 

 

 

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着け心地が良さそなパッケージ( ͡° ͜ʖ ͡°)

 

 

それで次の日から早速使ってみたのです。初体験の冷感マスクに期待(ルンルン)しながら。

 

 

ところが封を開けてマスクを取り出し、思わず口に出た言葉は「なにこれ?」

 

 

 

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なにこの雑な作業??

 

 

 

image

 

 

左右対称じゃないからズレてて揃わないし(^◇^;)

写真では伝わらないかもしれませんが、網目も粗い。

 

 

仕方ない。装着すれば気にならないだろう。

そもそもこのマスクに期待しているのは冷感素材なのだから、最悪それをクリアしてくれればいいかな。

 

 

ちなみに僕のマスクのサイズは男性用だと大きいので、女性用やMサイズを選んでいます。

 

 

装着。。。。まぁヒンヤリはするかな。。。オゴッΣ(・□・;)

 

 

 

口を動かすたびに、口の中にマスクが入ってきて、むせてオゴッ。

 

 

口を動かすたびに口の中に布が吸い込まれる。。。呼吸も苦しいから、苦しくなって逆に体温が上がる。

 

 

あぁこれハズレだ。

 

 

裏面記載。

 

 

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だいたい小さく明記しているMADE IN CHINA

 

 

中国産・中国製のイメージは元々良かった訳ではありませんが、この数カ月で回復できないほど悪くなりましたね。

 

 

でも本来日本で売られている国産マスクの大半は中国で作られていたという事実を先の報道で知った方も多いでしょう。私もその1人です。

 

 

マスクが出回るようになると、値段が高くても国産メーカーが販売されてものを買うという思考が一般的となり、先ほども書きましたが、上野や新大久保などでは中国・韓国産のマスクが山積みになって売られている状況のようです。

 

 

ちなみに私が愛用しているのはPITTAのマスク。揺るぎない信頼があります。

 

 

 

 

 

PITTAは国産ですが、中国産も多く出回っているそうで、最悪それでもいいかなと思っていました。

 

 

でも今回のように切り方も縫い方も甘いマスクが商品としてられているのに当たった場合は、信用できなくなってしまいます。

 

 

ほんと困っチャイナ。信頼を失った時にこそちゃんとした物を輸出するべきなんじゃないかな。お得意様に。

 

 

それに。これがマスクではなく、食品だったら、大変なことになります。

 

 

大金をつぎ込んだアベノマスクも欠陥品が多く回収の運びになりましたが、焦ってもいいことはないので、深呼吸をして落ち着いた上で、ちゃんとした普通のものを売り物として売って頂きたいです。

 

 

 

____

 

 

 

オーマイガー3部作。その弎。

 

 

 

ダイソーに来店しました。

やはり冷涼グッズが売り場の目立つところに置かれるようになっています。

 

 

春の記憶 あまり少なく 外出たら 梅雨と夏だね あゝ2020年。

 

 

ダイソーは便利ですね。収納グッズをよく買います。

 

 

今回買ったのは い草のマクラ。

 

 

家は全部屋洋室なので和の代表するアイテムが部屋に合うか分かりませんが、私は竹細工だとか畳が好きです。

 

 

「畳=旅館」をイメージできるから、アイテム1つで旅行に行った気になれます(笑)

 

 

値段は300円でした。

 

 

そこで問いたいのですが、

 

 

私は百円均一ショップが都内で流行し始めた20数年前(世紀末あたり)の時に「え?これ全部が百円なの!???」と興奮を隠せなかった世代です。100均に初めて行った時の衝撃は凄まじかったです。

 

 

なので未だに100均で「200円」とか「300円」の商品を見つけると、少々気持ちが冷めてしまうのです。

 

あゝ100円のこだわり止めたんだな、、、なんて思ったりもします。

 

 

なので100円以外の商品をダイソーで購入したことは殆どありません。これいいなと思い値札を見て数百円って買いてあったら、優しく元あった場所に商品を戻します。300円なら3コインSHOPの方が質はいい、と思ってしまう消費者のタイプなのです。

 

 

でもこの夏のアイテムとして一目惚れしたし、300円だったら、100円の3倍なので、商品の材質も3倍になる、というよく分からない確信を持って(笑)買ってみました。

 

 

 

image

 

 

それで家に帰って、タグを切って、ソファーに置き腰当てにしました。

 

 

座る時に腰が浮いてしまう癖があるので、その隙間に挟むのに丁度いいサイズで気に入りました。

 

 

それから数分して、「なんだか臭くない?」と異臭を感じて、部屋を嗅ぎます。

 

 

立ってみると、異臭はTシャツからしていて、生ゴミ臭かったです。

 

 

え?でも自分は加齢臭は愚か、匂いには人一倍気をつけている人間だと自負している・・。

 

 

もしや。。とソファに戻ると、犯人を知る。

 

 

その匂いの正体は1時間ほど前に購入したばかりのイグサのマクラだったのです。

 

 

マクラに鼻を近づけてクンクン。数秒後。声に出して「クサっΣ(・□・;)」

 

 

このイグサくさっΣ(・□・;)

 

 

 

あれ?でも、ダイソーの商品棚に積まれていた時は、嫌な匂いなんてしなかったはず。

 

 

知識がないのでネットで検索してみました。。。ハァー。

 

 

 

深くため息を吐きました。

 

 

音楽イベントが全中止になったと上層部から報告された際もここまでのため息は吐かなかったぞ。

 

 

これも難しい判断だと思いますが、ダイソーで売られている商品の製造元は中国製が多いです。

 

タグにはやはり「Made in China」のラベル。

 

 

 

タグは切ってしまったけど、レシートがあるから手間だけど返品返金してもらおうかな。。。

 

だけども、ここまで臭いのか?と購入した自分に非があるんじゃないのか?と思ってしまいます。

 

 

もしかしたら、自分が購入したのが偶々ハズレの商品なだけで、別のものは臭くないかもしれない。。

 

 

それでファブリーズをかけてみたり、晴れた日に干してみたりしましたが、やっぱり臭う。臭すぎる。

 

 

例えるなら。昭和の苦学生の六畳一間のアパートみたいな生活感のある臭さがある。六畳一間のアパートが梅雨時で雨漏りして畳が濡れた次の日の臭い。

 

 

いずにせよ、ファブリーズをかけた時点で返品は無理ですね(^◇^;)

次の可燃ゴミの日に出そうと思います。

 

 

中国産のい草を購入して失敗された方は多いようです。

下に読んだ記事のリンクを貼らせて頂きます。

 

 

https://new.shuno-oshieru.com/chinese_igusa_carpet/

 

 

 

アメーバのアプリを開くたび「Amebaトピックス」に「買ってよかったダイソーの何々」「神アイテム」的な見出しが1日1件はあります。

 

 

この類は何度も読んで後悔していますが、「見出し」に興味を持ち記事を開いてしまいます。私は男性ですので参考になった事はないのですが(⌒-⌒; )今回ここに追加したいのは、中国産のイグサはやめた方がいいと思いますというネガティブトピックス。

 

 

 

100円の商品が全体の大半を占めるお店で300円の品を買うって、それだけで多少の高級感を味わえるので、リトルショック。

 

 

100円なら仕方がないと思ったかもしれないな。でも300円だと見る目がなかったと自分を責めたくなる( ´Д`)y━

 

 

アルコール除菌ジェル、冷感マスク、そしてい草のマクラと、実用性があると判断して購入した商品がいずれも自分には合わず(←ここ強調したい)に買い物に失敗したという話です。

 

 

気にならないという方・むしろ好きという方もいらっしゃると思いますので、私個人の意見として参考にしてくだされば有難いです。

 

 

全ては自分の無知さが招いた結果。

多少、値段が高くてもいいので、国産い草のマクラを手に入れよう。

 

 

 

お読み頂きありがとうございます。

 

 

次回からは映画関連ブログに戻ります。

 

あなたのお身体が大事です。ご自愛くださいませ。

 

 

 

 

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『サイレント』

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今から15年ほど前のことだったと思う。

随分と昔のことだが、今は昨日のことのように思い出せる。

 

 

私は共通の友人を介して、当時高校生だった彼と知り合った。

 

 

第一印象は物静かだけど爽やかな子。

例えば花がフワッと咲いている様子。

男の子に対して「花のようだ」と感じたのは後にも先にも初めてだった。

 

 

10代20代の俳優は「俺が一番だ」とギラギラして見せることが多いのだけど、彼にはそういうものは無く、かと言って野心がないわけではなかった。内に秘めた野心は誰よりもあったと思う。

 

 

私自身が子供の頃から芸能の世界に憧れてきて、大人の方々と仕事をしていたので、友人にも年上の方が多かった。

なので年下の弟分が出来たことが単純に嬉しかった。

 

 

放課後に待ち合わせて何度かご飯に連れて行った。

奢ったと言っても、ラーメンや牛丼などの男メシ。

 

 

彼は私のことを「アニキ」と呼んで、慕ってくれていたように・・思っている。

今は亡き彼に、聞いてみなければ分からないので、そう思うようにしたい。

 

 

訃報に接した後、業界人たちの思いの丈を綴った追悼文をSNSやYahoo!ニュースで読む中で、仲間や兄貴分・弟分と言った声が上がっていた。あの人懐こさは天性のもの。

 

 

特に城田は5つも年下の彼を、弟分ではなく「親友」と呼ぶほど信頼していた関係性を知る。

 

 

会う時は毎日のように会っていたけど会わなくなると疎遠になる、そういう友人が貴方様にもいるでしょう。

 

 

気付けば、最近会ってないなぁ・・が続くようになった。

 

 

しかし連絡を取り合っていなくとも私の気持ちは誇らしかった。

 

 

テレビや銀幕越しでは見る機会が増え、着実にキャリアを積んでいく彼の活躍を心の底から喜んでいる自分がいたからだ。

 

 

アメブロで映画評論を書くようになってから、彼を書くたびに他の俳優の時と熱の入れ方が違ったのは、私自身が年下の彼のことを一目も二目もおいていたからだと思う。

 

 

 

2012年のこと。

 

 

知人に招待して頂いた地球ゴージャス主催舞台『海盗セブン』で、観客席から数年ぶりに彼の姿を見た。

 

 

赤坂ACTシアターで確か前から3列目の席だったと思う。

 

 

(この時は本当に驚いたなぁ・・)

 

 

登場シーンで舞台下手から現れた彼は、舞台上から私が目に入ったのだろうか、本番中にも関わらず私の目を見てお辞儀をする。

 

 

当然ながらこれにより、満員の観客の視線は客席に座る私に集まることになり、暫くの間「誰?誰?」と、点となった私に線を伸ばしてくる興味の視線糸がビシバシ伝ってきた。擬音で伝えると正に数分間はザワザワしていた。

 

 

あゝ舞台を観にきた芸能人って、普段こういう視線を客席の一般人から浴びているんだなぁと体感した。

 

 

帰宅路で「舞台に集中しろ!お疲れ様!」と二つ折り携帯でメールを送ったのだが、アドレスが変わっていて戻ってくるオチ。5年以上前の連絡先だから変わっているのも当然か、と思いながらも、それでも覚えていてくれて唯々嬉しかった。

 

 

それっきり。

三浦春馬とはそれっきり。

 

 

 

___

 

 

 

私はこの場所で10年近く映画を語ってきた。

 

 

役者を語る時は、その俳優の少し先の未来を想像しながら文章を起こすようにしている。

 

 

俳優としての彼の未来が楽しみで仕方なかった。

 

 

35歳・40歳と脂が乗ってきた時には、間違いなく「日本を代表する俳優」として「世界で活躍するのだろう」と勝手に予想していた。

 

 

他に代わりが利く俳優ではない。

誠に勝手な意見だけれど、撮影前のものは代役を立てずに幻で終わらせたほうが追悼の意になるのかもしれない。

 

 

 

「あの時こうしておけば」「もっと彼をみていれば」と後悔の念が後を絶ちませんが、情を持って彼と接した友人の1人として、ただ今はこの悲しみに心を痛めるばかりです。

 

 

 

もう1つだけエピソードを話します。

 

 

彼が高校生の頃に、私が映画に詳しかったこともあり、俳優の勉強のために観ておく映画はありますか?とよく質問されました。

 

 

その際に、やはり私はロビン・ウイリアムズの映画を薦めて、特に『パッチ・アダムス』と『奇蹟の輝き』を視よ!とDVDを貸しました。ロビンのマシンガントークと状況に適した心見のある表情を会得して欲しいと勝手に思っていたのです。

 

 

mAbの神様であるロビン・ウイリアムズが主演した1998年の映画『奇蹟の輝き』が私の人生のバイブル。

 

 

奇蹟の輝きの最も大きな設定が、自殺をした者の魂は、天国でも地獄でもない別の場所に行く、というもの。

 

自分が何者かさえ忘れ、一人きりで延々と時間を過ごすだけ。

 

 

先に天国で妻を待っていた主人公は愕然とする。

 

 

映画は、ソウルメイトである愛する妻と再会すべく、魂の消滅を恐れずに奈落の底へと妻を捜しにいくという展開を辿る。

 

 

そんなロビンも2014年に同じように縊死した。どうして私が最も愛する俳優は自ら死を選ぶのだろう。

 

 

 

自殺したものは天国へも地獄へも行けない。そして生まれ変わることも出来ない。

 

 

この映画に出逢って以降、それを強く信じるようになりました。

お前もあの時、感動しましたって言ってたよな。

 

 

彼の魂は天国にも地獄にも行けずに、今頃は親御様の周りを浮遊しているのかな。

 

 

だけれど神様仏様、何とか彼は天国へ行って欲しいと願います。

花のように蓮の花のように飾らない本当に優しい笑顔だったから。

 

 

追悼文としての長さではないと思いますが、それだけ思い出が溢れてくるのです。

 

 

心よりご冥福をお祈りします。

 

 

 

『君に届け』

 

 

 

 

 

『東京公園』

 

 

 

 

 

 

『永遠の0』

 

 

 

 

 

『進撃の巨人』

 

 

 

 

 

 

『アイネクライネナハトムジーク』

 

 

 

 

 

 

【mAb AcAdemy】

 

THE映画評論『劇場再開:5作品』

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東京でシネコンが再開されて早3ヶ月が経過しました。

その間で私が観た新作映画の中から数作品を紹介致します。

 

 

以前のように何も考えずに劇場に足を運ぶことは出来なくなりましたが、体温と同じで、現在は熱が上がりすぎるのも良くないと思いますので、ゆっくり落ち着いて映画を楽しんでいこうと考えている所存です。

 

 

 

_________

 

 

 

『ANNA』

 

 

 

 

監督は『ニキータ』『レオン』『LUCY』など女性アクションの第一人者で、フランスを代表する【リュック・ベッソン】。

 

 

本編時間[119]分。配給会社キノフィルムズ。フランス=アメリカ映画。

 

 

時代背景は1990年のロシア首都モスクワ。以下はmAbの記憶頼りの物語文。

 

 

モデル捜しのために訪露したパリの敏腕スカウトマンが、モスクワの市場で金の卵を発見する。

彼女の名前はアナ。マトリョーシカの売り子をしていた女子大生だ。スカウトマンはアナを口説き落とし来仏させる。

 

 

モデル事務所の女子寮で共同生活。到着早々から大きな仕事を任されるアナは、トントン拍子に出世。その後、事務所の顔として様々な業界人の集まるパーティーに同伴。そこで紹介された実業家と交際に発展する。

 

 

彼女の魅力にスッカリぞっこんラブな男。男は惚れた女に弱いもの。

 

 

キスから先を頑なに拒むアナの信頼を得るために、自身の素性である裏稼業を告白する。

 

 

「裏向きでは武器商人をしている」。男からその告白を聞いた瞬間、アナは隠し持っていたピストルで男を射殺するのだった。

 

 

(暗殺後、時系列巻き戻し)

 

 

ホームレスのアナは小悪党の男に拾われ、長らく彼の家で施しを受ける代わりに奉仕をする日々を送っていた。

そしてある夜、事件が。彼の仲間たちと一緒に強盗に付き合わされるも、失敗に終わり逃走。

 

 

荷物をまとめてトンズラしようと自宅に戻ってきたところ、部屋には正体不明の男が座っていて彼を射殺する。

そして謎の男はアナに尋ねるのだ。「KGBに入らないか?」と。

 

 

旧ソビエト連邦国家保安委員会:現ロシアの対外諜報機関[KGB]。

 

 

「軍事訓練1年、現場勤務4年、その後は自由」という口約束を信じ、KGBの暗殺者候補生となったアナ。

 

 

過酷な訓練を経て、女性上官のオルガから不可能に近い暗殺ミッションを与えられながら、それらを次々と達成しプロの暗殺者となる。

 

 

そして次なるターゲットが武器商人となったために、KGB総出で長期に渡る武器商人の暗殺計画が進行する。

 

 

(時系列テロップ「5年後」暗殺後〜)

 

 

計画通りフランスのモデル事務所にスカウトされ、ターゲットに近づき、暗殺を果たしたアナ。

 

 

ここで約束の5年の歳月が流れた。

 

 

しかしKGB長官から「KGBから解放される唯一の方法は死ぬことだ」と伝えられ、騙されていたことを知る。

 

 

絶望の淵に落ちながらも、アナは生き残るための手段として諜報活動を続けていた。

 

 

そんな中で彼女に秘密裏で接触してきた外国の諜報機関が現れる。アメリカ中央情報局・CIAだ。

 

 

CIAに拘束されたアナは死ぬか二重スパイになるかの究極の選択を迫られ、生きることを選択する。

 

 

___

 

 

 

リュック・ベッソン監督は私にとって大好きな監督の1人ですので、ハナから良作の期待をして鑑賞に望んでいます。

 

 

鑑賞時間が経過するたび何度も思うのは、この作品の特徴でもあると思います「巻き戻し編集」が多い事。

最初はいいです、初見なので。しかし何度も同じパターンが続くと「またかぁ・・」と少量のため息を吐くことに。もちろんマスクの中で。

 

 

スパイアクション映画ですから、現在進行形の主人公の行動には「裏」があると思って観ていきますが、それらの行動を遂行するたび「実はコレ、仕組まれていたんですよ。ビックリしたでしょ!?」とアカラサマなドヤ顔な時間帯に入るので、少々飽きが来てしまいました。

 

 

個人的には最後に大どんでん返しみたいなスパイ映画の展開が理想的なんですけどね。作中内の巻き戻しは1度でいいよ、多くて2度で。

 

 

__

 

 

 

主演はロシア出身のスーパーモデル【サッシャ・ルス】[28]。

 

 

劇中ロシア人スパイとして潜入する国フランスでは「ロシアからやって来たスーパーモデル」という設定になるので、いい意味で本業の地の利がある印象です。ただ演技面では特に表情にあどけなさは感じます。女優としてのキメ顔がないのか、ふとした瞬間に綻んで(緩んで)しまうのでKGBぽくはないかな。

 

 

しかし今伝えたように、ドラマ演技になるとあどけなさが出てしまいますが、今回は本業のモデル業を劇中で披露しますので、178cmというスーパーモデルの身長美から見下ろす表情は「ヨッ!モデル屋!」と思わず屋号を叫びたくなるような「顔の変化」を魅せます。

 

 

 

 

まるでマダム・タッソーの蝋人形館に展示されているような芸術品。

 

 

スパイ映画の女諜報員。女性は男社会で生きていくために、女を売ったり、男を立てるための行動に徹したりする。

 

 

特に今作はロシアの諜報機関ということで、国のイメージに冷酷さがあると思います。

普段日本で上映されるスパイ映画は9割が米英もしくは英語圏の製作です。

 

 

その米英のスパイ映画が華麗に描きすぎているのでしょうけど、ロシアや旧ソは柔らかいイメージがないですよね。

 

 

そしてこれも女性スパイの人物像だと思いますが、女を売るにしても、肝心のターゲットが彼女に惹かれなければ意味ないですよね。

 

 

美人なだけではダメ。知的なだけでもダメ。(思いつくだけでも)美人➕色気➕品➕頭の回転がなければダメ。そして絶対条件として戦闘スキルが圧倒的でなければ論外!相手にするのは屈強な男たちで、マフィアに殺し屋!

 

 

そういう基準を全てクリアし、見た目も中身もスパイとしての総合的なスキルを兼ね備えた女性。

 

 

その全てをクリアしている女優を演じるのも難しいと思いますが、サッシャ・ルスのアクションやロシア人女スパイという役柄は、立ち姿や姿勢が美しいので気にはなりません。彼女の演技を視るのは監督の前作以来ですが、178cmという高身長を活かしたアクションは本当に綺麗。身長の高い女性のアクションは特に股下ですね。かかと落とし的なキック大好き(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎

 

 

男性ほどの身長がありながら、線が細くスラっとした足で直角なキック。これホント女性だからこその美!!

 

 

ただし冒頭でも書いた、時々見せる「あどけなさ」。これは映画鑑賞に完璧を求める方には気になる点かもしれません。

KGBの潜入スパイだと考えて観ると、素の表情を見せがちだし、随分と人間的な見え方で描写されているんですよね。

 

 

KGBに所属したアナはセミプロ状態。プロになるために常人では考えられない訓練を積み、最終試験には超過酷な内容の暗殺課題を与えられます。レストランに出向き写真のターゲットを射殺する任務です。しかしいざ本番、渡された拳銃の銃弾は抜かれていて空砲。その瞬間、レストランの至る所にいたターゲットのボディーガードが襲いかかり、超大乱闘を繰り広げる・・・というシーンです。

 

 

この時のアナの風貌が、私が持つロシア人女スパイのイメージです。

 

 

 

 

この白のコサック帽、可愛いですよね。

 

(今日本は真夏だけどねΣ(・□・;))

 

 

真っ白なフワフワのコートに大量の血が付着。もちろん返り血。任務完了・・・(上官)合格。

 

 

___

 

 

 

共演者⬇︎。

 

 

英国が誇るオスカー女優の【ヘレン・ミレン】[74]。演技派ドラマ女優を経て、老人の年齢を迎えてから『RED』などのアクション映画に精力的に出ている印象がありますが、今回はKGBの伝説の女暗殺者オルガ役。同じ孤独な女スパイとしてデビューするアナを厳しくもどこか親目線で見守っている印象があります。

 

 

70代を超えてこれほどキレのある動きをなさるので、見せ場という見せ場は少ないですが存在感がありました。

 

 

そしてヘレン・ミレンが演じる諜報機関の国設定が、CIA(アメリカ)ではなくKGB(ロシア)なのにも意外性があります。

 

 

ヘレン・ミレンは「イギリス女優」という印象が強いのですが、母親はイギリス人で、父親はロシア革命時にイングランドに亡命したロシア帝国の貴族だったそうです。ロシアとイギリスのハーフ・・それを知れば作品の設定といえ深みを感じた私です。

 

 

主要男性キャストから【ルーク・エヴァンス】[41]←露、と【キリアン・マーフィー】[44]←米、の中堅俳優がご出演。

 

 

ルーク・エヴァンスが演じるのは主人公アナの上司アレクセイ。彼女をKGBにスカウトしたのも彼ですし彼女を心から愛しています。俳優はイギリスはウェールズ出身。役柄の設定はロシア人スパイ。

 

 

今回のルーク・エヴァンスが演じたアレクセイは、KGBのイメージとはかけ離れていて、何かと隙があるし、主人公に熱を上げてからは油断の多さが気になります。この映画をもしプーチン大統領が鑑賞されたら「なんだこれ?」と呆れて帰っちゃうんじゃないかな(^◇^;)(そもそも遅刻して劇場に入りそうだ)

 

 

キリアン・マーフィーが演じるのはCIAエージェントのレナード。

俳優はアイルランド出身。主役も出来るし脇役で存在感を出す名バイプレーヤーという印象です。上と同じで、CIAのエージェント役としては隙が多いかな。

 

 

ロシアKGB・アメリカCIA。両国2名の屈強な男が、主人公である女スパイを愛してしまう。

この映画の最大の大売りがココ。2人の男が虜となることで主人公のアナが引き立つ

おそらく続編を意識しているのでしょう。

 

 

 

___

 

 

 

この映画で最も面白いのは「設定」で、私にはそれ一択。

 

 

アナはCIAエージェントのレナードに捕まり、二重スパイを行うことで生かされます。詳しい作戦の内容については書きませんが、その後、上のKGBアレクセイ、CIAレナード、二重スパイ先である両名と恋仲になるのです。つまり二股を掛けるわけですね。

 

 

これも女スパイ映画の醍醐味ですが、男性の気持ちは本物でしょうけど、女性の「本当」の気持ちは最後まで分からない。

 

 

主人公のアナと、ロシア・アメリカ両国の諜報機関エージェント、この三角形。勿論、ピラミッドの頂点はアナ。頂点が揺るがなければ続編は作れます。

 

 

CIAとKGBをフランス人のリュック・ベッソン監督が撮りますから、どこか中間の視点でwin-winに描いこうとしているのは視て取れるのですが、自分としてはやはりアメリカ寄りのハリウッド映画で売り出すためCIAに有利な描写に感じます。

 

 

作品の冒頭に書きましたように、巻き戻し系の展開をメインとしますが何度も続くと流石に飽きが来ます

 

 

逆算に次ぐ逆算。仮にその逆算を感じ取れれば秀作なのですが、私はそれを感じ取ることが出来ず、もう少し段階を踏んだ上で次に進んで欲しかったです。

 

 

それともう2つ。アナはパリのモデル事務所に所属し、所属タレント達との共同生活を送ることになりますが、その施設の描写をもう少し多めに描いて欲しかったのが1点。その共同生活を経てパートナーになる同性の描き方(裏のなさ)がもう一点。

 

 

 

 

相手の女性は感情描写を分かりやすく描いているので安易に理解できますが、アナに対してはレズビアンなのかバイセクシャルなのかが、この映画を見ていて分かりません。プライベートで一緒にいるから前者かなとは単純に思いますが、個人的には恋人となる女性にもう少し設定の深みがあればこの作品はもっと「誰も信用できないスパイ映画」になったのかも知れません。

 

 

ロシア人スパイ映画といえば『ソルト』の【アンジェリーナ・ジョリー】が私には印象に残っていますが、新たなシルエットを思い浮かべる選択肢が増えました。

 

 

 

最後に。

 

 

興味深く思ったのはモスクワ時代の話(きっかけ)。

 

 

身寄りがないホームレス状態だったアナが、男の家に転がり込み自堕落な(生きているのか死んでいるのか解らない)生活を送っている。

 

 

そんなある日。自立をしようとパソコンから海軍のホームページにアクセスして志願をします。中途に父親像も描かれるので、前から考えていたと思いますが、劇中の冒頭ではそんな素振りは見せません。自堕落な生活から抜け出して自立するにしても、アルバイト募集のサイトではなく、いきなり軍隊ですからね。やはり素振りは映像で魅せるべきだと思います(^◇^;)

 

 

そうして彼女の元に現れたのがKGBです。

 

 

例えば、この記事を読んでいる貴方様のパソコンやスマホ。その画面の上に当たり前に付いているカメラは某国の某人によって盗撮(監視)されている。などの都市伝説があります。長者番付けに載るような人物は電子機器のカメラにテープを貼っている。実話を元に描いた映画『スノーデン』より。

 

 

アナは海軍に履歴書を送ったはず。しかし現れたのは秘密警察・スパイ機関。

「軍隊=秘密警察」なのか、そもそも彼女が見ていた海軍のホームページがフェイクなのか?映画とはいえ想像の奥は深そうです。

 

 

これから本作品を鑑賞される方は、その点にも注目して『ANNA』を楽しんでください。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 13点

構成 15点

展開 12点

完成度13点

 

 

[67]点

 

 

 

____________

 

 

 

 

『ストーリー・オブ・ライフ  若草物語』

 

 

 

 

 

監督【グレタ・ガーウィグ】

 

 

主演

長女【エマ・ワトソン】

次女【シアーシャ・ローナン】

三女【エリザ・スカンレン】

四女【フローレンス・ビュー】

【ティモーシー・シャラメ】【ローラ・ダーン】【メリル・ストリープ】

 

 

配給[ソニー・ピクチャーズ]

本編[2時間15分]

 

 

 

今までの古典文学小説:若草物語に、新しいストーリーや新解釈を加えた新作。

 

 

若草物語の原題は『Little women』。

そもそもがティーンや20前後の女性を「若草」と表す表現は深みがあると思います。

 

 

今回の邦題は『ストーリー・オブ・ライフ』

 

 

邦題に「オブ」や「イズ」って多いですね。

変にカタカナ邦題で名付けずに原題をそのまま訳した方が深みがあると思うのは私だけかな?

 

 

これまで何度となく映像・舞台化されてきた『若草物語』。

1860年代のアメリカ合衆国マサチューセッツ州を舞台に女性の生き方を描いた人間ドラマ。

私にとってはウィノナ・ライダーが人気絶頂だった『若草物語』が最も思い出に残っています。

 

 

アメリカではアカデミー賞に合わせて昨年の12月に公開され、本番では6部門(主演・助演・作品・脚色・作曲・衣装デザイン)がノミネートされ、衣装デザイン賞でオスカーを獲得しています。

 

 

日本での公開は当初3月27日・全国128館での上映でしたが、新型コロナウイルスにより公開は延期に。

 

 

ご存知のようにシネコンは新作映画が最も旬です。6月の劇場再開後はスクリーンを埋めるために、3月公開以前の作品や過去のリバイバル映画を上映していました。

 

 

そうした状況下(新作不足)で劇場再開。その真っ先の作品が『若草物語』となったのですが、なんと当初128館の3倍近くとなる340館での公開となりました。

 

 

シネコンは47都道府県で合計3165館ありますが、ざっくりと「どこでも上映している作品」の状態に。

 

 

公開前の作品が増えることは珍しいと思います。

 

 

怪我の功名と言いますか、6月中に新作公開出来ればウチだって・・と砂を噛んだ配給会社もたくさんあるのでしょう。

特に今作品は良質な映画でしたので、このタイミングで映画公開出来て、通常よりも多くの方が鑑賞することになり良かったと思います。

 

 

____

 

 

 

製作段階からアカデミー賞を狙いに造っていることは明らかだった。

 

 

ティーンの頃から演技力の評価がズバ抜けて高い【シアーシャ・ローナン】[26]や

 

ティーンの頃から世界的人気と存在感を誇った【エマ・ワトソン】[30]の2大スターの共演が売り。

 

 

特にシアーシャは出演する作品のほとんどが賞レースに絡む女優だし、そういう星の下に生まれたんだと思います。個人的には外見のタイプは違いますがケイト・ウィンスレットに似た演技域だと視ています。

 

 

さらに公開順で先に日本公開された衝撃作『ミッドサマー』で主演を演じた【フローレンス・ビュー】[24]は今作エイミー役でアカデミー賞助演賞にノミネート。出始めの頃のアマンダ・セイフライドを彷彿とさせる容姿で、今後間違いなく大活躍する若手女優です。

 

 

時代は1860年代のアメリカ。ちなみに本国での歴史的事件といえば、リンカーンが奴隷解放宣言を出したのが1862年です。

日本でいうと、1860年は桜田門外の変が起きた江戸時代です。1860年代は後半に薩長同盟、そして戊辰戦争の流れ。日本ではチョンマゲの武士がいた時代ですから、そう考えますと所変われば品変わるですね。

 

 

四姉妹を中心とした物語で、主役は小説家志望の次女。この時代の女性の幸せは家庭に入ること。

四姉妹は姉妹愛の絆で結ばれていて、性格や考え方は其々ですが、喧嘩をしても互いが互いを労わりあって優しさがある。

 

 

家族の優しさとは許すことだと私は思う。これは他人とは違うところ。

 

 

アメリカが世界に誇る女性を主軸にした古典文学の傑作。

 

 

今回の『若草物語2019』は

随所に拘りが織り込まれていて、例えば、女性が編み物をするように、じっくりと作られた温かみのある仕上がりです。

 

 

 

 

 

 

脚本 13点

演技 16点

構成 15点

展開 15点

完成度14点

 

 

[71]点

 

 

 

 

_____

 

 

 

『エジソンズ・ゲーム』

 

 

 

 

 

監督【アルフォンソ・ゴメス=レホン】

 

 

主演【ベネディクト・カンバーバッチ】

【マイケル・シャノン】【ニコラス・ホルト】【トム・ホランド】

 

 

 

原題は『the current war』「カレント・ウォー」。この場合のカレントはファイル装置を指します。

 

 

邦題『カレント・ウォー』では日本のお客様は入らないでしょう。

 

 

邦題は『エジソンズ・ゲーム』

 

きっとタイトルに発明王エジソンの名前を入れた方がお客が入ると判断したんじゃないかと私は思っています。

 

 

エジソンの名前が有るのと無いのとでは鑑賞の期待値が違うと思います。

 

 

子供の頃に「世界の偉人」の本で読んだ代表的な人物。ナイチンゲールにヘレンケラー、そして今作品の主人公エジソン。

 

 

 

主演は今やイギリスを代表する俳優となった【ベネディクト・カンバーバッチ】[44]

 

 

私の初見は10年前。小規模上映だった『僕が星になるまえに』でベネディクトが映画初出演してからは、物凄い勢いで駆け上って行った印象です。

 

 

そして、エッグ・ベネディクトを注文するたびに彼のことを1度意識するようになりました(笑)

 

 

 

 

 

伝記ドラマの主人公を演じるイメージがあります。

戦時中ドイツ軍の暗号機エニグマを解読するためにコンピューターの基礎を作った『イミテーション・ゲーム』のアラン・チューリング役。

 

 

チューリングとエジソン、どちらも世界を変えた偉人。

同俳優が演じるのは相当名誉なことだと思います。

 

 

 

 

 

今作品は公開される前の製作段階が非常に話題になった作品です。

 

 

プロデューサーのH・ワインスタインによるパワハラ・モラハラで、思うように映画製作が出来ず、監督のゴメスは心労のために体重が10キロ以上痩せてしまったそうです。作りたいものを一切作れなかった、この映画はそうした経緯があります。

 

 

本来の目的だったエジソンの人間性も、ワインスタイン氏によって「ただの善人」として書き替えられたそう。

 

 

ただの善人として描くなら、わざわざ映画化することはないんじゃない?と思ってしまいますよね(^◇^;)

 

 

だからじゃないけれど、今作品のエジソンは期待したほど深みがなかったです。

 

 

米俳優【マイケル・シャノン】[46]や、ベネディクトと同じく英国俳優の【トム・ホランド】[24](←スパイダーマン)と【ニコラス・ホルト】[30](←『X-MEN』ビースト)など英国を代表する俳優が揃っているので、役者を見るだけで楽しめる作品でした。

 

 

ワインスタインは告発され、逮捕起訴などされ、現在は「この作品に携わったことを誇りに思うなど」とコメントしていますが、エンドクレジットからは削除されています。名前を記すのも精神的に嫌って、結構すごいことですね、日本的に考えると。

 

 

映画以外の面で注目が集まった作品ですが、世界の偉人の伝記映画として鑑賞すれば多くの発見や真相に気付く内容になっていると思います。

 

 

最後に。

 

 

毎月毎週、金曜日になると、沢山の新作映画が日本で公開されますが、監督や演者、製作陣はその数ある作品のうちの1つを長い時間をかけて創り出しますので、鑑賞者である私自身もそれを忘れないでいたいですね。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 14点

構成 13点

展開 14点

完成度13点

 

[68]点

 

 

_____

 

 

 

『一度も撃ってません』

 

 

 

 

 

監督【阪本順治】

 

 

主演【石橋蓮司】

【大楠道代】【岸部一徳】【桃井かおり】

【佐藤浩市】【江口洋介】【妻夫木聡】他

 

 

 

 

 

 

小説を描くためだけに間接的に殺人を依頼し、その殺し屋から一部始終を伝えられ、作家は事細かくその描写を自らの小説で説明する。

 

あまりに実際の殺人事件と酷似しているため、警察は作家を疑うが証拠不十分。

 

作家には二面性がある。昼の顔と夜の顔。日中は売れない小説家の老人で妻と2人暮らし。夜はまるでギャングのボスのように薄暗いBARで編集者や仲間たちと落ち合う。

 

 

___

 

 

 

何を描きたいのかは明確に分かるが、それと面白さは別。

おそらく何度も観ていけば深みはあるが、初見だと正直退屈な時間が多い。

大御所俳優たちによる趣味の延長線上の映画のような気もする。

 

 

ゲスト出演する俳優陣は実力的に申し分がない。

したがって「いい映画ですよ」と肯定しなければいけないような重厚感もある。

 

 

最近はタイトルでストーリーを伝える日本映画が多い。どういう意図のネーミングかは分からない。

映画が産業であるアメリカでは、観客に想像させるため、このようなタイトルを名付けないと思うので、理解しがたい。

 

 

他のジャンルならば特別気にはならないが、今作のジャンルでこのタイトルには首をひねる。

タイトル(映画鑑賞前から)で『一度も撃っていません』と前以って真相を伝えてしまうのは、果たしてどうなのだろう?

 

 

撃つと書けば、真っ先に銃を連想する。

主人公の小説家はタイトル通り一度も銃を撃ったことがない。

しかしそれを作中で判明させるのは映画中盤になる。

 

 

もう少し先(前半)に判明させて欲しかったと思うが、2度目の鑑賞だったら気にならないかも知れない。

 

 

主演は【石橋蓮司】さん[78]

名脇役として沢山の映画で拝見してきましたが、この年齢で活動できるってカッコいいです。

身長も180cm近くはありますし、追い詰められた時に魅せる目を見開く表情が個人的に好きです。

 

 

失礼かもしれませんが、脚本だけで観るとワクワクする作品でした。

 

 

過去に出版歴があるハードボイルド小説家の市川。

現在は担当者とのやりとりだけの売れない小説家。

 

 

妻の年金を頼りに生活する。おそらく自分の年金は取材費に充てているのだろう。

殺し屋を雇ったり、その殺し屋から本物の銃を仕入れたりしているので、この老人作家の収入源・資産も知りたいところです。

 

 

主人公が書いている「ハードボイルド小説」を辞書で開くと、

 

 

>感情をおさえた行動的な主人公の登場する探偵小説の一ジャンル。D =ハメット R =チャンドラーなどがその代表的な作家。

 

と出てきます。

 

 

市川の小説は、とにかく状況説明が中心で、特に小説の中で被害者となる人物の臨終シーンの描写が至極リアルなのが特徴。

 

それ以外の例えばストーリー性だったり人物描写の評価は低い。

 

コアなファンはいるのだろうけど出版しても売れない。

 

 

 

映画の前半部分で描かれているのは、市川という主人公の老人作家が、物凄いポリシーと二面性を持っていること。

 

 

日中は『日本のリアル老人』という絵姿で、ゴミ出しをする様子はお爺ちゃんですし、しっかり売れない作家に見える。

 

 

夜中になると反転し、薄暗いBARに足蹴なく通い渋めにキメる。半グレの人間とも付き合いを持ち、自身の小説を描くために殺人者に依頼する。小説家としての彼のリアルな臨終描写が書けるのは、そのためだ。

 

 

どちらの姿も市川の素なのだろうけど、生き生きしているのは紛れもなく夜。

 

 

専業主婦の妻の1日は家事で終わる。収入のない夫を自分の年金で食わせている状態だが、それが夫婦だと割り切っている感じに見えた。夜になると家を出て行く夫のことは知っているが、これまで一度も追求はしなかった。

 

 

市川の描く小説と、実際の殺人事件とが酷似している為に、警察は市川を事情聴取したことが過去にあると本編にある。

 

 

タイトルで示すように、市川自身は『一度も撃ってません』なので、殺人には手を染めてはいない。

ただ銃は所持しているし、売人との繋がりなど、前科こその無いがかなりグレーな道を進んでいる。

 

 

警察が当時の彼を解放した理由も映画内で警察目線として知りたいところです。

 

 

夜になるとハードボイルドな男のモードになるため、夜の街の薄暗い場所にも怖がることなく足を踏み入れ、街の裏にも精通している主人公なのだけど、本業の小説家としては、完全に自己満足に見えるので、主人公に渋さを求めるように鑑賞された方がいいかもしれません。

 

 

___

 

 

 

登場人物と演じた俳優を。

 

 

主人公市川の妻役は昭和のスター女優【大楠道代】さん[74]。

中盤、長年の疑問だった外出問題を夫に問い詰めた瞬間から、殻を破った主婦の演技に変化します。

出かけていくことは知っていたけれど、外で何をしているのかは知らない。例えば興信所を頼ることもない。夫に仕える昭和の夫婦像。そんな妻は後半、お酒の力も相成って開放的(吹っ切れる)になるという映画の中でテンションが変わっていくキャラクターです。

 

 

市川が夜な夜な通うBARで落ち合う旧友は2名。

 

 

【桃井かおり】さん[69]と【岸部一徳】さん[73]。

 

 

桃井さんのねっとりとした喋り方と、岸部一徳さんのジメジメした喋り方に、石橋蓮司さんは感情的な喋り方ですから、そのお三方が揃うと・・なんだか生々しいです(⌒-⌒; )

 

 

同BARで打ち合わせる担当編集者・児玉役に【佐藤浩市】さん[59]。

mAbが日本人俳優の中で特に大好きな男優さんです(^ ^)

 

 

児玉は間も無く定年を迎えるということで、後任となる編集部の若手を連れて、市川と打ち合わせを行います。

児玉と市川には数十年の付き合いになる関係性があるのでしょう。しみじみと語り合います。

 

 

正直、ヒットを見込めない小説家相手に、担当編集者といえ、ここまでの経緯を払う必要性はないと思うのですが、彼らにしか分からない絆があり、そして「男として惚れている」のだと感じました。(打ち合わせはいつも夜の酒場ですが、担当の児玉が日中の作家の姿を知っているのか?という疑問は映画内で描いていませんでした。)

 

 

私が驚いたのは、児玉が連れているゆとり世代の新人編集者。

 

 

態度も悪いし敬意もない「イヤな若者」を演じています。

 

 

その役者は【寛一郎】さん[23]。

 

・・・まさかの親子共演Σ(・□・;)

 

 

ドラマや映画などで見る機会が多くなった新人俳優さんですが、佐藤浩市さんの実子さん。

 

親子共演で考えると三國連太郎さんを思い出すので、感慨深かったです。

 

 

 

 

他に市川のペンネーム【御前零児】を暗殺する為に、登場する敵キャラ。

 

御前零児が伝説の殺し屋という情報を得たヤクザが、殺し屋を雇い本名・市川進の暗殺にかかります。

 

 

ヤクザの組長には【柄本明】さん[71]

 

殺し屋には【豊川悦司】さん[58]

 

 

角刈りにサングラス、アジア系マフィアという役柄でセリフも少ないので、エンドクレジットで「豊川悦司さんだったんだ!?」と知った感じです。

 

 

続いて、前半部分に登場されますので紹介します。

 

 

小説を描く為に市川自身が雇う殺し屋役に【妻夫木聡】さん[39]。

 

 

標的にするのは善人ではなく悪人。悪を成敗。だからって小説家が個人的に殺し屋を雇うなんて・・それを小説にした方が発想力豊かなんじゃないかな。実際ノンフィクション作家なのだから。

 

 

冒頭に地下駐車場で殺害されるのは【堀部圭亮】さん[54]。

 

中盤のメインは詐欺社長【江口洋介】さん[52]。

 

 

そして個人的には、劇中に市川とヤメ検役の岸部一徳さんが通うBARのシーンで、女性バーテンダー役で出演されていた女優に懐かしさが込み上げました。

 

 

自分の世代ではアイドル的人気だった【前田亜季】[35]。

 

 

約20年ほど前のこと。ジュニアアイドル女優、通称チャイルドの代表格だったなぁ。お姉様の前田愛は梨園の妻になりましたが、当時の人気は妹の亜季の方が圧倒的でした。姉はボーイッシュ、妹は健気でガーリーな女の子、という対照的な姉妹像でした。

 

 

バーテンダーということで手際とか佇まいくらいしか視れる箇所がない役ですが、演者としては、元々演技の上手いタイプではないし、相手の目を見て演じる女優さんだったから、今作品の役は合わないと言い切ります。もっとバーテンダー役を習得してから演じて欲しかったけど・・これだと当時を知らない世代には「怖いイメージ」が付きそうで少し心配。

 

 

「豪華俳優陣」

この売り込みの邦画が年に10作品以上あります。

 

 

知名度のある俳優の量が増えている昨今の事情もあるでしょうけど、今作に限っては演技レベル的にも錚々たるメンツがご出演なので、【阪本順治】監督[61]のもと集われた名優(盟友)たちの作品を観るだけで、満足できました。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 14点

構成 14点

展開 13点

完成度13点

 

[68]点

 

 

 

_____

 

 

 

『水曜日が消えた』

 

 

 

 

 

監督【吉野耕平】

 

 

主演【中村倫也】

【石橋菜津美】【深川麻衣】【中島歩】【きたろう】他

 

 

 

公開時は新作が少なかった事も多少あり、この作品の上映回は、シネコンで上映された作品の中で最も観客の入りが多かった。

 

 

この時期、特に私は東京なので、観客は少ないに越したことはない。

 

 

日中と夕方は観客の入りが多かった。

ならばとレイトショー料金(一部のTOHOシネマズで実施するサービス。20時以降は大人1900円→1400円)が適応しない通常料金のTOHOシネマズ日本橋で今作品を鑑賞する。

 

 

観客は私を含めて3人だった。繁華街ではない都会の夜の街は空いている。時に今の時期は。

 

 

個人的な話だけれど、以前に比べてだいぶ観る作品を選ぶようになっている。

 

 

元乃木坂の【深川麻衣】さんの名前があったことが鑑賞の決め手。

 

 

 

 

前半の1時間は『世にも奇妙な物語』で既存してそうな発想の話と話の展開で拍子抜けする。

日本のサスペンスやミステリードラマ系の作品の発想は、全てが『世にも奇妙な物語』と漫画の『アウターゾーン』に繋がる、これが私の持論だ。

 

 

若い世代ならば今作品は新鮮かもしれないが、ある程度ファンシードラマ物に通じてきた比較対象が多くある鑑賞者は、ありきたりな物語を見せられると思います。

 

 

描きたいことが分かるからこそ平凡な作風で退屈でした。だがしかし!後半の1時間で「ようやく」と言いましょうか、役者の演技を試される魅せ場が表されて、私自身が楽しめた結果となった。

 

 

前に書いた『一度も撃っていません』と同じく、最近のタイトルにありがちな風潮。今作品もまさしくそう。

 

『水曜日が消えた』とタイトルが出落ち(ネタバレ)で、最初からその物語の設定を伝えているわけだし、こうなるとハードルも上がる。

 

 

冒頭。主人公には1週間それぞれ7名分の人格が存在していると紹介されます。

 

 

月曜日の人格・火曜日の人格・水曜日の人格・木曜日の人格・金曜日の人格・土曜日の人格・日曜日の人格。

 

 

幼い頃の自動車事故により、両親と兄弟を亡くしました。

その後遺症から?または幼い脳が現実逃避をしたからか?

 

 

主人公は7つの人格を交互に所持するという多重人格障害になります。

多重人格だと、いつどこで誰が出てくるのか判断に困る時がありますが、この映画の主人公はハッキリしていて判りやすくていいです。

 

 

各曜日ごとに、性格、気質、職種、生き方などが異なります。

主人公は「火曜日の人格」。火曜日は穏やかで几帳面・世話好き。医学の研究材料として施設に出向くのも火曜日の仕事(日課)です。

 

 

 

 

 

この冒頭の時点で、翌日の水曜日の人格が出てこなくなるのだろう・・とタイトルでネタバレしているからこそ、分かってしまいます。個人的にはファンシードラマ物でネタバレタイトルはダサいと思って白けてしまうので、『水曜日が消えた』というより『ウォーリーをさがせ』みたいだなと思って観ておりました(笑)

 

 

タイトル通り火曜日の人格が「おやすみなさい」。寝るまでは火曜日です。睡眠時に翌日の人格に引き継ぐのでしょうけど、翌朝目覚めると「何かがおかしい」。本人は1週間後の火曜日だと思っています。

 

 

前日の人格である月曜日はバンドマンでモテ男。火曜日が目をさますと隣に前日一夜を共にした女性や時には男性が寝ていたり、灰皿に吸い殻が溜まっているパターン。

 

 

火曜日にとって密接な関係は前日の月曜日。何しろ上記のような後処理をしなければなりませんから。

対して翌日の水曜日は間接。部屋を綺麗にして引き継ぎノートに出来事を記すのみ。

 

 

何年もの間、火曜日のみを生きてきた人格は、1人(格)だけ2曜日分を生きれる喜びを得る。

恋もする。水曜日といい感じだった図書館の職員。この役を演じるのが深川マイマイ麻衣だ。

 

 

その地域では図書館は火曜日が休みで、水曜日の人格は読書好きなのに可哀想だ。

 

 

(文字数が13000を超えました。途中ではありますが、〆に入りますm(_ _)m)

 

 

個人的に思うのが、今作のタイトルのネーミングセンス。

 

 

水曜日が消えた、というネタバレタイトルを名付けるよりも、例えば主人公は火曜日ですから『火曜日が増えた』とか、逆にして『消えた水曜日』などにすると鑑賞前の段階で観客に「謎」を感じさせ、想像させると思うので、いい気がします。

 

 

___

 

 

 

スマホのメモ機能に、鑑賞後に箇条書きした今作の私の見方があったので以下はペーストします。

 

 

水曜日が消えた

 

 

前半の1時間は世にも奇妙などで「ありそうだな」と思える話の展開で、後半の1時間でようやく役者の演技を試される・楽しめるように切り替わる。水曜日が消えたと、出落ちで設定を伝えているわけだし、最近の邦画はタイトルでハードルを上げるのが好きだなと風潮を思いながら鑑賞していた。

 

 

これ以上は「設定的に無理がありそう」なので、2時間が限界、ちょうどいい尺。深川とのデートシーンでレイトショーを観るという場面があるのだが、どこが映画館?と思うような公民館や役所的な背景だったのは日本映画の典型的な安っぽさを感じた。今時、映画の映画館デートでシネコンを使用しない映画を久しぶりに観た。

 

 

曜日ごとに人格がある設定なので、役者の演技力が最も試される設定だが、こちらは見事に中村君が七変化していた。他の曜日の出会いや生き方など制作はもっと描きたかっただろう。それとなく匂わせていたが、匂わせるなら描いて欲しかった。人格隔離発生からの16年間。その最初の頃にも興味がある←削ぎ落としのハリウッドを真似ずに、邦画は丁寧に経過段階を描写してほしい。

 

 

それ以外の脳外科であったり役者に見せ場がないので特に印象に残らない。映画を見る前、「水曜日が消えた」というタイトルから、このブログで書く際は〆の文言に「レディースデイが無くなっちゃいますね」と書いて「mAb」で終わろうかと思ったが、ちゃんと映画内のセリフで言ってた。そんなもん。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 14点

構成 13点

展開 13点

完成度14点

 

[68]点

 

 

 

フォローしてね

 

 

 

【mAb】

 

 

 

THE映画評論『邦画7作品:前編』

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引き続き宜しくお願いいたします。

 

 

最近は鑑賞順に和洋ミックスしていますが、溜まりに溜まり数が多いため洋画・邦画を分けて書きます。

 

 

洋邦どちらを先に書くか悩みましたが、

やらしい話、日本映画を優先させた方が需要も多そう(°▽°)。

 

 

書きやすいのは間違いなく、そもそもの書きの原点である洋画ですけどね。

 

 

今回は、劇場再開から現在ロードショウされている日本映画の新作を7作品描かせて頂きます。

 

 

洋画の最新作を記事にするのは9月の終盤か10月中になってしまうと思います。好みの方がいらっしゃいましたらすみません。

 

 

 

_________

 

 

 

 

『八王子ゾンビーズ』

 

 

 

 

監督🎬【鈴木おさむ】

 

主演【三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE:山下健二郎】

【久保田悠来】【藤田玲】【丘山晴己】【劇団EXILE:小澤雄太】【E-girls:坂東希】

【RIKACO】【SOPHIA:松岡充】他

 

 

配給[東映ビデオ]

 

 

 

劇場再開後、6月・7月の2ヶ月間は、新作の公開がどの延期作品も様子見の状態でした。

 

 

通常ならば1週間に2・3作品は新作が入っていたシネコンも、1本、多くて2本ほどに。

もちろん私も対策と警戒を充分にした上で映画館に足を踏み入れていました。

 

 

TOHOシネコンでの新作を鑑賞し尽くしてしまったことで、他系列のシネコンを検索し、この作品に辿り着いたのです。

公開された劇場数は少なかったと思います。

 

 

7月17日、公開初日での鑑賞となりましたが、午後の鑑賞・観客は私を含め8人という状況。新興勢力LDH所属のタレントさんが多数出演なので、イケイケの若者が鑑賞者に多いのかなと予想しましたが、ふたを開けると空席が目立ち、安心して席を確保できたのです。

 

 

現在はサマームービー効果もあって映画館にも人が戻りつつありますが、6月7月はたとえ人気作でもシアターの中に入ればガラガラという状況だったんですよね。いつか思い出になるのかな。

 

 

『八王子ゾンビーズ』という演目名を私は初めて聞いたのですが、2018年の夏に上演された舞台ということです。上演された劇場はTBS局のお隣にあります赤坂ACTシアター。赤坂ACTシアターは東京を代表する商業演劇の聖地的なホールなので、集客が見込めるキャストが出演しているイメージが強いです。

 

 

観客動員数は2週間で2万2千人という記録。イケメン集団とダンスが売りの舞台ですから、何度も観に行かれた方も1人にカウントされているのでしょう。

 

 

主演はEXILEグループの筆頭株J SOUL BROTHERS所属【山下健二郎】さん[35]。

 

 

他の出演者様は誠に申し訳ありませんが、殆どが初見です。私と接点があるのはゾンビ役の藤田玲君。角ばった輪郭が特徴的です。

みなさま程よくイケメンですが、「お顔」と「役名」が一致しないので、まずは劇中にある自己紹介の歌を聞きながら、其れを覚える努力をしました。舞台を観に行くと初見の方は沢山いますが、近いようで畑違いとなる映画(映像)を観に行くと初見の方は少ないんですよね。

 

 

舞台発の映画版。舞台でヒットした作品の映像化ということで、「演劇」の意識を持って鑑賞できます。なのでこのコロナ渦で東京まで舞台を観に来られない方には、今作はもってこいの作品だと思います。

 

 

映画というよりは、まさに「舞台を観ているよう」でした。

 

 

俳優のセリフの声量は大きく、聞き取りやすい。まさに舞台の出し方そのままでした。小さい声だと客席のお客様に届きませんから舞台役者の声量は映像役者よりも張る傾向です。でもボソボソ喋るよりは気持ちがいいです(^ ^)大きな声で演じると滑舌もよく聞こえますし。

 

 

1人1人順番にセリフを言っていくのもまさしく舞台といった感じ。映画というよりは映像演劇

 

 

そして「舞台ならでは」なのが、「舞台といえば」多少の笑い(コミカル)。合間合間に必要です。

劇中にキャストがボケますし、天ドンする残念なゾンビもジワジワ面白くなるのですが、観客席は実に静かなものでした。

 

 

(観客8人のせいかもねΣ(・□・;))

 

 

だけれどこれが、生の舞台の場ならば、観客席に座るのはファンですから、笑い声を出してくれているはず。

例えば好きな俳優が適当なギャグを言って最後に「なーんちゃって」とハニ噛めば、観客席は誰かしら笑うし、連鎖的に笑います。

それが映画になると座席には俳優を知らない方も多くなるので、「映画」を観に来ているだけだと無反応になるのではないかなと、この映画を見ながら舞台と映画の違いも垣間見れた次第です。

 

 

___

 

 

 

東京都八王子市。

 

 

ダンサーの夢を諦めた20代半ばくらいの青年が、自分探しのために八王子の山奥にある寺院で生活することになるのですが、そこには「八王子ゾンビーズ」というチーム名を掲げた死に人が地縛霊と化して成仏できないでいます。ゾンビの生前は八王子のヤンキーグループでした。

 

 

ゾンビはゾンビでも、このゾンビは人間を食わない襲わない。なので「屍人=幽霊」で分類して観ていました。

 

 

ゾンビ共はダンサーである彼にダンスの教えを請います。

何故ならば満月の夜にダンスを完璧に踊ることにより、成仏できるとされていたのです。

彼らは成仏したいのです。

 

 

ダンスを諦めてここに来た主人公なので、なかなか首を縦には振りません。

しかしゾンビ達の熱意により指導を開始。教えるからには成功(合格)を目指し熱血指導。

 

 

やんちゃな若者グループが集団でゾンビになったということは、大きな事件が起きて死んだという他考えられません。

 

 

映画はゾンビ共の死の真相が描かれ、主人公とリーダーゾンビ(生前ヤンキーのリーダー)の熱い友情も芽生えます。

 

 

ゾンビにダンスを教えるうちに、主人公のダンスに対する熱も再燃してくる。俺、やっぱりダンスが好きだ!

 

 

本番を翌日に控え大問題が発生。センターで踊る主人公が監禁されるΣ(・□・;)

黒幕は・・映画の前半から紹介されていますお寺の茶髪の住職。八王子なのに何故か関西人。果たしてゾンビは成仏できるのか!?

 

 

___

 

 

 

サッと語るとこんな感じ。

 

 

感覚的には面白い作品で、玄人向きではないけれど、程よく気持ちのいい劇後の気分でした。

 

 

ゾンビーズのキャストも、「ゾンビメイク➕ヴィジュアルメイク」をされているので、最初は誰が誰なのか、その把握が難しかったけれど、後半は馴染んできました。

 

 

監督は鈴木おさむさんです。悪いようには書けません。

 

 

なので指摘点という意見でいくつか書きますね。

 

 

「集団劇」になりますが、主人公と主役ゾンビが演技している時に、後ろの方の後方ゾンビの集中力のなさが気になりました。

 

 

セリフのないシーンで役に入っていない方が数名いらっしゃいます。

学芸会ではないので、ここは徹底してほしいなと思いました。

 

 

八王子のチーマー達のダンススキルも知りたいところです。

生前にダンスチームだったのなら話は分かりますが、ただの八王子のヤンキーチームです。

 

 

ダンスが苦手なメンバーもいるはずですから、先生の指導によってダンスが踊れるようになって行く、仮にダンス音痴なゾンビが踊れるようになるまで、をドラマで描いたら、この映画はもっと面白くなると思うのです。青春要素があるので、スポ根要素も上手に描いて欲しかったです。

 

 

そして肝心のクライマックスのダンス。これが期待したほど(全体が)揃ってはおらず、個人的には韓国のグループくらいのレベルを想像(期待)していたので物足りなかったです。でも生で見る舞台だと想像するなら、視線は板の下から見上げる形になりますから、満足したんじゃないかな、と贔屓目でも視ておりました。

 

 

 

俳優陣からは、

 

主演の山下健二郎さんは今回初めて演技を視させてもらいましたが、バラエティ番組で拝見するキャラと同じ等身大という感じでした。背筋というよりは「首の姿勢」がいいダンサー体系。演技の伸びしろが分からないので今後の役柄を視て語りたいです。

 

 

住職役のSOPHIAの松岡充さんは、『今日から俺は!』の【磯村勇斗】君に似ているなと劇中何度も思って観ていました。私にとっては学生時代によく聞いていたバンドですし、元SMAPの香取慎吾さんと共演された月9『人にやさしく』は青春時代に大ヒットしたドラマです。ロックバンドのボーカルが俳優業をすることが当時は珍しかったので、今回は懐かしさの方が強かったです。

 

 

演技面はどうなのかなぁ・・全然お寺の住職に映っていないから、どういう基準で演技力を視ればいいのだろう。

悪役セリフの際に顎を上に上げ、見下す目線で演じるので、「わざとらしい」という見方が強いです。

ただ松岡さんはこの映画の主要キャストで唯一、映像(向き)の演技をされていました。

 

 

ゾンビ共を成仏させないよう共謀する街の権力者役の【RIKACO】さんも、声量が大きく表情の起伏も激しい演技プランなので、やはり舞台向きでしたし、他のキャストも観客に向けて感情表現の少ない声量の大きさ。まるで昔の遊園地のヒーローショーで見た演劇みたいだったな。

 

 

そうですね、自分で書いておいて勝手に納得していますが、ヒーローショーとか忍者ショーとか、演劇やミュージカルというよりは屋外ショーという印象で伝えた方がしっくり来ます。

 

 

集団の舞台は2パターンあると思います。

集団ですから、勿論、主役という花形がセンターですね。

 

 

個を目立たすか、個が目立つか、です。

 

前者がチームプレイ、後者が個人プレイ。

 

 

この映画は多少、後者の感じがありましたが、中盤以降は後ろの方の俳優にもスポットが当たり、バランスが良くなっていきます。

 

感動はしたし台詞の面白さはあった。ただ映画作品としては高得点を出しづらい。

 

 

満月のダンスシーンに辿り着くまでのドタバタ劇では、背景が安定しないので、自主映画のような安っぽさを感じたが、気持ちが入っているぶんしまいは良く感じる。故に劇後の気分はいいのです。

 

 

____

 

 

 

公開初日。プチハプニングに遭遇しました。

 

 

上映終了後に主演とメインゾンビの俳優による映画紹介映像が流れました。

 

 

人気の舞台を観に行くと、上演後に出演者が日替わりで登壇するなんて光景に時々遭遇します。

 

撮影秘話を話したり、失敗談を話されたり、そのたびにファンが笑うという展開を、いつも客観的に観ています。

 

今回は映画館なので観客も少ないですし誰も笑いません。これが舞台だったら大笑いなんでしょうね。

 

 

一頻りトークを終える流れになったので、床に置いたリュックサックに手を伸ばし帰り支度を始めました。

 

 

普通ならば「映画を見てくださってありがとうございます」で明るくなりますよね。

 

 

しかし真逆。

 

 

「それでは映画をご覧ください」と主演の山下さん等が振って・・場内が明るくなったのです。

 

 

鑑賞した劇場(ユナイテッド)側のミスなのか、本来は本編が始まる前に流す映像を、エンドロール後に流した形になっていました(^◇^;)

 

こういうハプニングも珍しいから新鮮でした。

 

 

 

__

 

 

 

最後に

 

 

舞台はナマモノで、俳優をナマで観れるのも観劇の大きな魅力。

しかし舞台を上演する劇場は東京都心だったり各県庁所在地となるので点Pに集結。今の時期の都心移動は躊躇う方が多いことでしょう。

 

 

舞台はナマモノですが、映画は完成版。

そういう意味で今回の映画は「可能性」という意味でも観れましたし、舞台を映画館で上映するという新しい取り組みもアリではないかなと思えた希望的な作品です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脚本 13点

演技 13点

構成 13点

展開 13点

完成度14点

 

[66]点

 

 

 

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『今日から俺は!!劇場版』

 

 

 

 

 

監督🎬【福田雄一】

 

主演【賀来賢人】

【伊藤健太郎】【清野菜名】【鈴木伸之】【橋本環奈】【磯村勇斗】【仲野太賀】【矢本悠馬】【若月佑美】

【ムロツヨシ】【シソンヌ】【佐藤二朗】【吉田鋼太郎】他

 

 

【泉澤祐希】【山本舞香】【栄信】【柳楽優弥】

 

 

 

一時期までは苦手な監督でした。

 

 

監督の作品が注目されるようになった頃、映画のストーリーを無視してアドリブ(自由演技)をきかせたり変顔をするなんて、それまでの日本映画をずっと観てきぶん呆気にとられて、これを肯定すると何かが壊れてしまうのではないか?と不安になり抗うようにしました。日本映画はこうあるべき、という概念がそういう気持ちにさせたのでしょう。

 

 

しかしこれもまぁ、例えば「優しくされると好きになる」みたいな感じです。

私が大好きなジャンプ漫画の『斉木楠雄のΨ難』の実写版を見て心境が一転。

 

 

ほら、好きな原作の実写化なんて殆どの方が複雑じゃないですか。主演の山崎賢人さん始め、勿論燃堂役の方も、キャラクターの見た目に寄せた俳優とが合っていて、原作愛が再燃しました。苦手が好きに逆転したのです。それからは何の抵抗もなく福田作品を楽しんで見れるようになりました。

 

 

そんな数ある福田雄一作品の中でも、『今日から俺は!!』は最も好きなドラマだったので、公開は楽しみだったし、公開後数週間はシネコンの中で一番大きいスクリーンで上映されていたので、時間帯によってはガラガラになります。高齢者向きのドラマではないですからね、昼間は空いていました。

 

 

「ヤクザ役は無理でも、ヤンキー役ならば、男なら誰でも演技可能」これが私の持論。

 

 

今の時代、暴力団の家で寝泊まりして取材した家田荘子先生じゃあるまいし、ヤクザ役って役作りどうするの?となる感じなので、結局Vシネに頼るのでしょうけど、ヤンキー役なら学校に1人はいますし、見た目からでも入れますし、お手本が沢山ありますからね。

 

 

私だってタンクトップ姿で金ネックつけてセカンドバックを持てば、それらしくなりますから。

 

 

(普段はリュックサックですけどΣ(・□・;))

 

 

映画の内容については特に触れません。

福田作品って、本筋を軸にするだけで、あとはアドリブや調子のいいコメディとなりますが、映像のクオリティーが高いので、ドラマ版と劇場版のクオリティーに大差がないように思えます。

 

 

今回は、卒業したら暴力団入りする生徒がほとんどだという、木更津の札付きのヤンキー高校に

 

 

校舎を失った隣町のヤンキー高校が間借りしにきます。

 

 

 

 

というヤンキー漫画ならでは!!ですが、現実ではありえない設定。

 

 

(ロケ代より俳優の出演料(+人数分の食費)と衣装代の方に制作費がかかってそうだな)

 

 

 

【賀来賢人】君[31]演じる主人公・三橋が通う軟葉高校は原作だとヤンキー高ですが、ドラマだと多少のツッパリがいる程度の普通の平和な学校になっているので、『湘南純愛組』でいうところの鬼爆が転校した初期の辻堂高校みたいな感じがして良い。今日から俺は!は自分の学生時代の作品ではないので、純愛組に例えさせてもらいました。

 

 

学園物ドラマでヒットした作品は要チェックです。多くの人が視聴しますが、特にティーン層の記憶に残っていることで、俳優の知名度が上がるからです。朝ドラに出演すれば国民的知名度を得て、学園物だと若い世代を中心に知名度を得る。

 

 

ドラマ版から2年の歳月が流れたとはいえ【橋本環奈】さんの安定感はすごい。キャラというか演技パターンに磨きがかかり見事な「鼻の穴全開」。鼻の穴を魅せるって、女性はすごく恥ずかしいと思うのですが、福田雄一監督作品でコメディエンヌとしての才能が開花しましたね。

 

 

当時は透明感があったので落ち着いた高校生に見えましたが、人妻となられた【清野菜名】さんは女子高生役が厳しく見えてきます。このドラマが出世作品となりましたが、彼女には特技にアクションという武器があるのでグローバルに活躍してほしいです。

 

 

 

映画版:新キャスト4名のうち2名に注目します。

 

 

 

 

【山本舞香】さん[22]というお名前が私の頭に浮かんだのは映画の中盤でした。

それまでは二階堂ふみさんとばかり思って観ていて、「あれ、出てたってけ?」と「ひとりパニック」になりました。

特攻服に竹刀というスケバンですけど、だいたいこの映画の規模は同じ町内・市内の話だから、歩けば出会うんですよね(笑)

 

 

鈴木福君が大人になったらこんなお顔になるのかな?と思わせる。【泉澤祐希】さん[27]。

私がハマった2015年のテレビドラマ『表参道合唱部』で部長役を演じていました。そのドラマに出演されていた女優・男優さんは、放送から5年が経った今でも贔屓にしたいほど気になる方々でございます。個人的にイチオシしている男優さんなので、メインに近い役柄で嬉しいです。

 

 

採点は難しい。今作なんて特に好きな人が観に行くわけだし、いい意味で映画規模ではなく(公園での撮影など)安っぽい背景で、役者の演技や演出だけで勝負している感じだし、ドラマの延長線上の気持ちで鑑賞出来る。減点材料は無い!

 

 

あ💡佐藤二朗さんは今回もスベっていました!

 

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 14点

構成 14点

展開 14点

完成度14点

 

[70]点

 

 

 

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『事故物件 怖い間取り』

 

 

 

 

 

監督🎬【中田秀夫】

 

 

主演【亀梨和也】

【奈緒】【瀬戸康史】【江口のりこ】【木下ほうか】他

 

 

 

現在2週連続で映画興行ランキング一位という快挙です。

 

 

主演は3人組グループとなったKAT-TUN【亀梨和也】さん[35]

 

 

映画は映画、個人は個人の問題ですが、世間を騒がせた故、どうしてもスルー出来ない時事ネタを先に書きます。

 

 

映画公開直前というタイミングで、夏休み中の女子高生らとの飲酒報道が週刊誌で報じられました。

この作品は世界にも売られるでしょうし、映画公開直前という事情もあり、謹慎とはせず始末書で手を打った。という大人の事情が大方の見方です。

 

 

ジャニーズ主演の映画はドル箱。ファンとは純粋な者。好きな人の為ならなんだってするのでしょう。

 

 

亀梨さんとは間接的な接点しかありませんが、とても好壮年だと思いますし、悪い噂を聞きません。

 

 

今は裏では謝罪行脚、表では御礼行脚でしょうけど、誠意を持って頭を下げられるので、関係者は文句の一つも言えない状況だそうです。

 

 

子供に酒を提供した店が悪いとか、女子高生が悪いとか、仲介したタニマチが悪いなど言いますが、結局は本人達の危機管理能力の低さが悪いと思います。

 

 

しかし、この映画は面白かったし、いい出来栄えだったので、なんとなく見る前と観た後では「もういいんじゃないか」という心境の変化に私はなってしまったんですよね。人の噂も七十五日。テレビでのニュース報道は今後(でき)ないでしょう。

 

 

とにかく興行収入10億円という大方の予想以上のヒットを記録しています。

映画は1人では作れません。この映画がもし主演の不祥事により飛んでしまっていたら?大変なことだったでしょうし、それを考えるだけで映画よりゾッとします。かしこ。

 

 

____

 

 

 

松竹映画ということで松竹芸能所属のお笑い芸人さんが多数出演されています。

 

 

【中田秀夫】監督[59]

1998年『リング』の大成功で世界的ホラー監督に。18・20年『スマホを落としただけなのに』シリーズが大ヒットしたことも記憶に新しいミステリー・ホラー界を代表する日本人監督です。(個人的に好きなのは15年『劇場霊』)

 

 

売れない関西芸人の主人公が、売り込みをかけて訪れたテレビ局(地方局)で知り合いのプロデューサーから、事故物件に住んで怪奇現象をカメラに収めてこいと使命を受ける。もちろんヤラセはなしが条件。芸人の仕事がない主人公は躍起になる。そして霊現象を収めたことにより、テレビで注目され、その後は事故物件を転々としながら、怪談師として有名になっていく。

 

 

 

 

主な主要登場人物は4名。テロップ調で書きます。

 

 

【奈緒】さん[25]演じるヒロイン(劇中の呼び名は「梓ちゃん」)。

 

 

もともと主人公が組んでいたコンビのファン。コンビ解散後、テレビ局のメイクアシスタントとなった梓は、主人公ヤマメと局内で再会する。非常に霊感が強く、(おそらく死者を)呼びやすい体質。両想いなのは明らかだが、言葉にはせずに互いを気にかける。

 

 

ヤマメに頼まれ事故物件での撮影(出演)を受け、そこで過去に殺害された亡霊(悪霊)と遭遇。ヤマメが事故物件を転々としていくたび、彼女も新居を訪問する流れがパターン化。ヤマメに憑く死神を逝く先々で目撃する。

 

 

奈緒さんという女優は監督の前作『囚われの殺人鬼』が初見。今回はヒロインとして拝見して、実に魅力的な演技スタイルだなと思いました。池脇千鶴さんのような柔らかさの中に芯があるタイプの女優さんになっていくのではないかな。

 

 

何かを目撃して驚く表情の際にいくつか特徴が見えます。首から下は姿勢良く(胸を張る感じ)、首から上は軽く仰け反り、次の瞬間に顎をガクガク震わせる。

 

 

ホラー映画だからと言ってしまえばそうなのですが、恐怖の瞬間に目はあえて瞑りません。怖い時は目を瞑るのが現実的ですよね。

この映画の演出でも、女優はカッと目を見開いて、バケモノの方を見ています。

 

 

(目を閉じて、開いた瞬間、目の前にバケモノがいた方が怖いと思うのですが・・)

 

 

この映画で奈緒さんは、怖がる際、目の動きで目蓋を真上に上げています。目を丸くではなく、真上に上げるタイプは珍しい。

この目をひん剥く演技をなさるのは、同郷で活躍中の今田美桜さんと同じ。今後が楽しみな女優さん(^ ^)

 

 

 

【瀬戸康史】さん[32]演じる主人公の元相方・中井くん。

コンビに限界を感じ解散を申し入れ、放送作家として再出発。コンビ仲は良く同志の絆も強い。解散後もヤマメのことを気にかける。作家の仕事が上手くいかずに、好調なヤマメにあやかり事故物件に同居。すると最初の家で交通事故に遭い、続いて田舎の両親にも災難が被る。彼は事故物件に棲んだことが原因だと確信している。

 

 

中井君は「コンビ愛」という言葉が良く似合う好青年。人間的にも真面目でトコトンいいヤツです。同性が選ぶ男友達ランキングならNO.1ですね。

 

 

もっとギスギスしていてもいいと思うのですが、コンビ解散後は常にヤマメを気にかけているし、仕事がない時はお互い様で元相方に頭を下げるし、相方の恋路をさりげなくサポートしていたり「大親友」なんだなと見ていて思いました。そして後半は大活躍します。

 

 

 

上の2名がメインキャスト。

 

下の2名はバイプレーヤー。

 

 

 

【木下ほうか】さん[56]演じるマツオ。

 

 

地方局によく見かけるタイプの制作会社のプロデューサーだと思います。とにかく数字、己の功績を大事にするPですが、これも地方局の人情なんでしょうね。売れない芸人であるヤマメや作家に転向した中井を気にかけるので、そこに愛があることを教えてくれる。映画的に見ていると、このプロデューサーにも何かしらの霊障があってもいいと思うのですが、描いてはいません。電話越しにバケモノの声を聞いているのだから、逆算(オチ)があってもいいと思います。

 

 

 

【江口のりこ】さん[40]演じる不動産屋の横水さん。

 

 

おふざけが過ぎると思う態度(シーン)もありますが、大阪のイメージらしい町の不動産屋のお局様。主人公が来店し「事故物件ありますか?」で呼ばれる担当者が横水さん。社内の「事故物件担当」として以後ヤマメの引っ越し先を紹介します。横水さんで印象に残っているのは、お客であるヤマメに「お得意様」と伝えるセリフです。普通、お客に面と向かって「お得意様」とは失礼になるので言いませんよね。

 

 

不動産屋には事故物件を記載する義務がありますが、次の住民が住むことで、その記載は取れ情報告知をしなくてもいい。なので私たち不動産屋にとって(それを承知で棲んでくれる)あなた様のような方はお得意様と言えるのです。アマテラスのオフダが印象的でした。

 

 

____

 

 

 

怖くて観に行けない方がいると聞きましたので、よろしければ頼ってください空手柔道有段者です。なんちゃって(笑)

 

 

この映画は面白いと思います。

怖がらしのタイミングも絶妙で、特に主人公が東京進出して移り住む千葉県千葉市稲毛区の木造アパートの部屋の内装は、理想的なジャパニーズホラー。

 

 

向かいの戸建て宅の人感センサーが反応したり、木造の扉がギーと音を立てて開く様子などホラー要素が詰まっていて完璧です。

 

 

東京進出後の住居探し。しかし東京は事故物件といえども家賃が高い。そんな主人公の事情を察して例の不動産屋が紹介したのが千葉県の事故物件。

 

 

都内ではなく千葉というのもいいですね。それも稲毛。昔よく夜の海で遊びましたよ悪友と(笑)

 

映画には移動の様子はないですが、総武線は黄色い電車。黄色の色は危険信号。。。と勝手に連想ゲームして、この映画の脚本を深いものにしております٩( ᐛ )و

 

 

では指摘点を書きます。

 

 

第一に冒頭のテロップで実話と書かないでほしい。劇中では生者も犠牲になるし、どこからどこまでが体験談なのか混乱します。

 

 

(もし実話だったら相方の活躍、ゴーストバスターズとして映画化できるぞ。)

 

 

心霊体験談は、分類すれば「夢」と同じで、本人しか語れないから、説得力がないんですよね。

 

 

第二に

 

 

一軒一軒のホラーはワクワクしたし、曰くに合わせた事故物件のリンクさにホラーを感じることが出来ました。

ですが、この映画は一軒一軒の終わり方が消化不良で、バケモノたちに失礼だなと私は激おこぷんぷん丸です。

 

 

事故物件に住み、そこで体験したことを文章に起こし、怪談師として壇上で発表する。

そして次のシーンでは次の物件にお引越し。

 

 

私が知りたいのは契約期間もそうですし、「どうやってアパートを引き払ったの?」という「その後」の展開です。

 

 

特に首吊りの家は、本編尺も短いですし、結局、事故物件にどのくらいの期間棲んでいたの?という疑問が一切描かれていないです。

 

 

事故物件なので家賃は安い。それが一番の魅力です。おそらく敷金礼金も安いか、もしくは省かれるのでしょう。

キャリーバッグと自転車で大阪府内の事故物件を転々としていく。

 

 

事故物件にも色々種類はありますが、どうしても心霊映像が撮りたい主人公が選ぶのは、自殺や殺人が起きた部屋。

そこで起きた霊障やイメージで見た追体験をテレビや舞台上で話す。

 

 

もはや「事故物件=話の種」という映画の描き方ですが、前の住人の死の真相や無念さを描いておいて、棲みつくバケモノに食わせてもらっておいて、供養もしないで次に行くという展開は失礼すぎませんかね。真面目過ぎる見方でしょうか?

 

 

幽霊に対して失礼な主人公だなと思いました。そりゃあ、こんな顔にもなるよ。

 

 

 

仏の顔ならぬ、死神の顔も3度まで!!

 

 

 

それと主人公の周りの濃厚関係者に危害の矛先が向きますが、相方に行くならば、梓ちゃんや彼女の身内にも危険が迫ってもよさそうですし、何より、私が描ききれていないと思った人物は主人公の両親です。

 

 

ヤマメの両親は無事なのか?一緒に棲んでいた相方の両親は悲惨な目にあったのに。ここが何1つ触れていません。

 

 

調子に乗るのは分かります。芸歴10年目にしてようやく売れ始めた芸の道。幽霊様様です。

しかし相方の両親が自分のせいで不幸に遭ってしまったのに、どうして主人公は平然としているのだろう?

そう思うと薄情に思いますし、事故物件ず・ハイになりすぎているので、何かあったら次に移り住むではなくて、せめて一軒に長く住んで幽霊と盃でも交わしてほしいな。

 

 

これは芸人の仕事なのか?と自問自答はしているのだろうけど、とにかく関西地方での知名度は上がっていき話題の人気芸人となり、東京のテレビにも呼ばれるようになったそうです。

 

 

主人公のように、周囲が気にかけてくれたり、ピンチの時に駆けつけてくれる友人がいるなど、周りの人に恵まれているのは、実際に考えれば至極幸せな環境だと思うんですよね。

 

 

 

最後に。

 

 

劇後にスマホのメモに残したコメントを載せます。

 

 

ドラマとしては面白いしホラー感も優れているが、

まるで『アベンジャーズ』のキャラクター・ビジョンを連想させるような死神のメタル感と、昭和のキョンシーみたいな悪霊退散部分は、違う映画を見ているようで少し白けてしまいました。

 

 

それと上京したばかりの主人公が歩く上野駅のシーン。(昭和通り上の歩道橋。路上生活者が寝ているので、早朝ロケだったのでしょう)神主兼霊媒師に声をかけられるけれど、このシーンは明らかに「じゅん散歩」でロケ中の高田純次さんにしか観えなかったです(笑)

 

 

と、色々とゲスト出演者は出てきますが、ワンシーンのみなのでゲスト感がより消化不良感を誘う。この映画におけるキーパーソンが欲しかった。

 

 

1作品の中で引越しの繰り返しなので、余裕を持って紹介する尺が少ない事情はお察ししますが、サブタイトル・怖い間取りの「間取り」をもう少し具現的に表現できれば良かったと思います。

 

 

エンディングシーンに歩く自転車置き場。

24時間100円という大阪料金に羨ましくなったのは私だけかな。

 

 

面白くて2回鑑賞してしまいました。自分には珍しいことです。

 

 

 

 

 

脚本 13点

演技 14点

構成 13点

展開 12点

完成度14点

 

ジャパニーズホラー加点2

 

 

[68]点

 

 

 

_____

 

 

 

邦画7作品を1記事に書く予定で書き始めましたが、あまりに1作品ごとが長くなったことで、前後2記事に分けます。

初期から鑑賞順に書くスタイルを貫いています。

 

 

続きは来週中には載せられたらと思っております。私なりになるべく早く書きたいし載せたいです。

なぜなら絶賛したい日本映画があるからです。後編に語る邦画作品を下に記しておきますね。

 

 

 

後編紹介作品

『ぐらんぶる』A

『糸』B+

『青くて痛くて脆い』B+

『宇宙でいちばんあかるい屋根』S

 

 

 

フォローしてね

 

 

【mAb】

 

 

『鬼の映画紹介1作品』

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お久しぶりです。間隔空いての更新になりましたm(._.)m

 

 

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映画館で映画を見るようになってから今年で19年目となりました。

今年は世界的な厄年として歴史に刻まれるのでしょうけど、それでも19年連続で劇場鑑賞作品数100本以上の自己レコードは更新できそうです。

 

 

この習慣を始めて19年目。ショッピングモールの建設ラッシュブームによりシネコンが普及→映画をシネコンで観るようになる、そして約10年目。

 

 

現在は不定期になりましたが、ロードショーをアメブロで書くようになって、同じく10年目になるので、節目の年に思っています。

 

 

そんなmAbにとって生き甲斐の主戦場としているのが映画館。中でもこれまでの人生で1500作品以上を鑑賞してきたのがTOHOのシネコン。TOHO-CINEMAS。

 

 

TOHO-CINEMASでは、毎週金曜日に約2作品の新作映画が公開されている現状です。

TOHO以外のシネコンにはあまり行きませんが、どの系列劇場も殆ど同じだと思います。

 

 

私が最も愛を込めてきたアメリカ映画及び英語圏の映画(洋画)の日本公開がCOVID-19によって延期となり、現在シネコンで公開される新作は日本映画がメインとなっています。

 

 

プロモーションも来日も自由に出来ませんから、洋画の完成品やこれから製作する新作の公開も、まだまだ先のこと。

 

 

年間の劇場鑑賞の7割強が洋画だった私にとって、観たい気持ちは喉から手が出るほどですが、今後のエンタメ界の為にも世界のためにも、ここは入国制限の緩和を早めようとしている印象がある日本国には慎重になっていただきたいです。

 

 

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(この記事は10月17日に書き記したものです。)

 

 

今年の春。

ステイホーム期間にアマゾンプライムビデオで『鬼滅の刃』のアニメーションを全話鑑賞しました。

 

 

時期も時期でしたし、現実逃避するための選択肢として娯楽に没頭するタイプでは私はないので、心から楽しめたか?と考えると正直分かりません。しかし、こういう機会でもないとアニメーションには手を出さないので、知識を得ることが出来てよかったと思っています。

 

 

コロナのステイホーム月間で『鬼滅の刃』を視聴してファンになったという方は物凄く多いと思いますし、私も「アニメから入った」その中の1人です。

 

 

正直に申せば、エンタメ界最大のヒットとなる『鬼滅の刃』に対して「どハマり」はしませんでした。

 

 

ただ、どハマりはしませんが、「ど」が前に付かないだけでハマりはしました。話の内容・筋書きはもちろん、アニメーションに登場するキャラクターは全て記憶しているつもりです。

 

 

___

 

 

 

元々、私は漫画が大好きな子供で、小学低学年から20年近く1度も欠かさずに毎週必ず購読してきた『少年ジャンプ』。

 

 

当時の私の信念は「お年寄りになってもジャンプだけは読み続ける!」でした。

 

 

それを辞めた理由は、大人になるにつれ、子供向けに感じている少年誌を誤魔化して読むのがしんどかったからです。

 

 

当たり前にも、私自身が小学生の頃から読めたわけですから、小学生と30歳が同じ物差しや感覚で読めるはずがありません。

 

 

そうして30代を期にしジャンプ及び漫画断ちを決めました。そのことに関して一切の後悔はありません。

 

 

鬼滅の刃の漫画版は読んでいませんが、アニメで十分満足しました、多分。

「努力・友情・勝利」がコンセプトの少年ジャンプの中で異色の主人公像だとは思っても、そこはやはりジャンプコミックスのアニメーションという観点で見ていた次第です。

 

 

春、腑抜けな格好でアニメ鑑賞をしながら。

 

 

列車に乗り込むと昨年の紅白歌合戦で披露された大ヒット・テーマ曲『紅蓮華』が銀河鉄道999のエンディングのように流れてエンドクレジット。「えっ。ここで終わりなの?」。

 

 

無知識だったので、アニメの最終話を知らず、もう少し続くと思っていたから驚く。

続きが見たいとは思ったが、気持ち的には消化不良だった。

 

 

『ホビット 竜に奪われた王国』のラストシーンを思い出す。あの時も続きを見せてくれと思った。

 

 

その後、少年ジャンプでの連載が終了したことをニュースで知り、同時にアニメーションの続きが劇場版で10月に公開されると知る。

 

 

映画を長年観続けていると、半年先・1年先の公開作品の予告を観ることが多いです。だからなのか時間の錯覚により「公開が早く感じる」時があります。30を過ぎると1年が早く感じるようになるとよく言いますが、それと同じなのかな(笑)

 

 

それよりも(当時)劇場版の公開日までにコロナが収束しているのかな?

 

 

まぁ収束していなくても、その頃(半年後)はエンタメ界が暗く落ち込む時期だと思うから無理してでも公開させるんだろうな。そんな先のことをぼんやりと思っていました。

 

 

以下は『鬼滅の刃』絡みで、別件でショート映画評論を途中途中に差し込みます。

 

 

___

 

 

 

(この記事は10月17日に書き記したものです。)

 

 

公開前から混雑するのは分かり切ったことでしたが、私個人が酷く心配する状況があるので文字に起こします。

 

 

冒頭に書いたように、シネコンで公開されている新作映画は毎週2作品ほどですが、

 

 

丁度『鬼滅の刃』公開前の週、TOHO-CINEMSでは1週間限定で鑑賞料金が一律1200円というキャンペーンをしていました。

 

 

TOHOは他のシネコンと差別化を図るために、鑑賞料金を100円値上げし1900円にしました。それを考えると一律1200円の鑑賞料金は消費者として、大変お得に感じます。

 

 

でも・・今考えてみると、このキャンペーンって「ご迷惑おかけしますキャンペーン」じゃなかったのかなって。

 

 

『鬼滅の刃』が上映されますと劇場は人で溢れることを予想できましたし、10スクリーンのうちの殆どのスクリーンで上映することも決定事項だったと思います。

 

 

実際「他の作品は観れないの?」という質問も劇場にあったそうですから、せめてもの気持ちで、鬼滅の刃公開前に安価な料金で他の映画を見てくださいという、TOHOなりのゴメンねだったんじゃないかと憶測で考察します。

 

 

___

 

 

 

私は同じ作品を劇場公開中に複数回鑑賞するということは、昔からしないので、基本は1度観れば満足。

振り返ればリピーターが続出した昨年の『ボヘミアン・ラプソディー』も1度のみの鑑賞でした。

 

 

この状況になってみて分かったのは、そういう姿勢が自分の鑑賞体質になったキッカケは、新作の本数が毎週多くあったからなんですよね。今思えば贅沢な話です(^_^;)

 

 

新作が公開される金曜日の初日に観ることで、土曜日からの1週間が非常に退屈でした。

 

 

一度観た作品を観てしまうと、私にとっては「見る作品がない」という状態になります。

 

 

だから毎週金曜日が楽しみで、金曜日は映画を観る日とルーティンみたいに体が覚え込んてる。しかし10月16日の金曜日だけは勝手が違いました。

 

 

鬼滅の刃の公開日。TOHOアプリを起動し馴染みのシネコンにアクセスすると一面に鬼の文字。

 

 

混むとはわかっていたけど・・・・ナンジャコリャΣ(・□・;)

 

 

全10スクリーンのうち7スクリーンで上映し、他の作品は残り3スクリーンを譲り合うよう・分け合うように上映していました。

 

 

『シン・ゴジラ』『君の名は』『カメラを止めるな』『スターウォーズ』そして『ボヘミアン・ラプソディー』。『ドラゴンボール』に『ワンピース』。大ヒットでスクリーン数を増やした作品は過去にいくつかありますが、ここまで劇場が推すことは記憶にありません。

 

 

混雑する初日を観る気は一切なかったので、この日に同シネコンで観る作品を捜します。

 

 

よっぽど気に入った作品がない場合は同じ作品をもう一度鑑賞することはないと伝えましたが、この日は映画を観る日と決めている金曜日。

 

 

ラインナップを見て、もう一度鑑賞するなら『映像研には手を出すな!』かな。

 

 

席はネットで事前に購入。席の選択画面を開くと予想通り白席(空席)ばかり。

 

 

劇場の券売機で直前に購入すると私の指定席(映写機の下)が確保できなかったりしますし、今は出来るだけ人との間隔を空けて座りたいです。

 

 

映画が始まってしまえば、マスクを外す人もいますので、「座席選び」は拘りたい。

 

 

TOHOはこの鬼滅公開の金土日の三日間に「3密を廃止します」と発表されました。

実際にはそんな直接的には書きませんが、劇場再開後からそれまで、1席ごとにスペースを空けて販売してきたのに、これを機に全席販売するあたりは、そう言っているのと同じように感じませんか?

 

 

image

 

(上の写真は翌週です)

 

 

 

誤解されないように伝えますが、混雑状況が怖いだけで、作品を否定するつもりは一切ございません。

でも、スポーツ観戦やイベントのように試験的に段階的に観客人数を増やしていくなら分かりますが、これじゃまるでXデイだもんな(^_^;)

 

 

感情に任せて文章を書くのは、私の主義ではないので、客観的な見方で冷静に描きます。

 

 

席は事前にネットで購入しているので、あとは上映時間に劇場に行き、チケットを受け取るだけ。

 

 

いつものようにシネコンの自動ドアの前に立ち、開ききった後に入場する。

 

 

混むとはわかっていたけど・・・・ナンジャコリャΣ(・□・;)

 

 

10月かぁ・・・半年ぶりだなぁ。

 

 

私はイベント関係の仕事をしているので、こうした人でごった返す光景を見るのは半年ぶりになります。

 

 

だけど懐かしい(戻って来た)という気持ちにならなかったna。むしろ危ない心理状態が先頭に来たyo。

 

 

レイト(20時以降)の時間に鑑賞に来たのに、かつてないほどの芋洗い。

 

 

入り口に置かれた消毒液を使用する人は、その中で半数にも満たない。せめて芋は洗ってから食べよう。

 

 

そもそもショッピングモールの入り口に設置された消毒液さえ使う人は少なくなった。

飲食店みたいに係員が「消毒お願いします」と促せば、その指示には従う。言われなければ出来ない。なんだか悲しいな。

 

 

 

これから書くのは私の私感で、多少嘆いた気持ちで情景を綴ります。

 

 

 

夜の9時にも関わらず小さいお子様が沢山いて、「楽しかったね」と帰っていくなら問題ないけど、これから鑑賞するお子様もシアターの廊下には沢山居る。

 

 

あれほどレイトショーの18歳未満のお子様のご鑑賞は保護者同伴であってもお断りします、と謳ってきたTOHOが、もはや中に誘導する始末。

 

 

ロビーのグッツ売り場にも、パンフレットやグッズを買い求めるために出来た客の長蛇の列。

私が馴染みのシネコンは、ロビーが広くないから、かなり密着して並んでいました。

 

 

中高生たちの集団がテンション高めに大騒ぎ。それを注意する者もいない。

 

 

床下にはソーシャル・ディスタンスのテープが貼ってありますが役には立っていません。

 

 

もちろん昨年までなら構いませんよ「うわっ。すごく混んでるな」と思ったでしょう。

でも今は「うわっ。危険だな」となる危機感しか思いません。

 

 

大混雑&大混雑

 

 

そして劇場スタッフ、パニック。

 

 

私はそのスタッフの様子を見て思います。「どうして?」と。

 

 

こうなることは安易に予測できたことなので、公開から暫くは、TOHO側は劇場スタッフを増員して、各所にスタッフを配置し、グッズ売り場なら3密を避けるために50・100cmの距離をとるシールを足元に貼るなど徹底していると・・・思ったからです。

 

 

鬼滅の刃という確変状態でドル箱が積まれる商品。採算は確実に取れる商品のワケなのに、対応するスタッフの数が明らかに少ない。

 

 

例えば「鬼滅月間」として劇場スタッフの給料も百円・二百円くらいアップして募集をかけるくらいの計らいを見せて欲しかったです。これで感染拡大したら元も子もないぞΣ(・□・;)

 

 

そして私が目撃した光景ですが、

 

 

入場ゲートに入る前にトイレに行ったんですね。勿論トイレも行列でしたが、男性なので流れはスムーズです。トイレだけに。

 

 

用を足して手を洗っていると、行列に並ぶ1人の男性が、むちゃくちゃ咳をしていて、それも明らかに体調が悪そうな噎せ方をしていました。

 

 

鬼滅の刃のファンはこの日を心待ちにしていたでしょうし初日はプレミアチケット。体調が悪くたって、何が何でも映画を見る気なのでしょう。

 

 

私はその方と出来る限りの距離をとり避けるようにトイレを出たのですが、さすがに他の方も危険を察しているのか、その方の前後だけ距離が出来ていました。

 

 

この話には続きがあります。

 

 

毎回内心では緊張している「検温」が終わり、シアターへの入場ゲートをくぐった後。

 

 

しばらくして振り向くと、先ほどの男性が入場の列に並んでいるのが見えました。

 

 

どうなるのか興味があったので、壁際に移動し遠目から観察したんですね。

 

 

あれほど咳をしていた男性は、瞬間的に咳を止めているからか?顔が真っ赤になっていました。しかし・・大混雑でスタッフも絶え間ない人の波にパニック状態の様子で、その方は異常なしで通過していたのです。

 

 

例えるなら、オートロックの高層マンションと同じです。

 

 

検温さえ済めば、あとは自己責任になるから、隣の人がどんな人なのかは知る由もない。

 

 

私の想像が間違えであって欲しいと願いながら、映像研が上映されるスクリーンの扉を開けたのです。

 

 

___

 

 

 

2度目の映像研は面白かった・・いや、かなり面白かったです。

 

 

乃木坂46が好きなことは、過去の映画評論内でも紹介しましたので、初見でも受け入れ態勢は十分。それに『あさひなぐ』の時もそうでしたが、英勉監督の描くコメディーと乃木坂メンバーの相性がとてもいい気がします。※英勉(はなぶさ・つとむ)監督。

 

 

『映像研には手を出すな!』

 

 

 

 

 

映画評は書きませんが、特に私が一番驚いたのは主演・【齋藤飛鳥】[22]のずば抜けた演技力。憑依力とでも言いましょうか。度肝を抜かれました。

 

 

記事にはしませんでしたが、一昨年上映された台湾映画のリメイク2018年『あの頃、君を追いかけた』で視た彼女の演技は、決して上手いとは思いませんでした。バラエティ番組やミュージックビデオで魅せる表情と同じで、彼女は10代の多感な時期をアイドルに捧げましたので、異性の恋愛映画に対しての透明感を見受けなかったのも、影響しているかもしれませんね。

 

 

乃木中でもリアクションが薄いキャラクターですから、僅か2年で、ここまでの伸び代は想像さえしていませんでした。

 

 

バラエティのタレント(才能)とコメディエンヌは違うと私は思っていますが、自分としてはアイドル出身の橋本環奈さんよりも演技力があると思いますね。映画評論を10年続ける中で、ここまで演技の総合力が成長している女優を視たのは初めてです。

 

 

役柄の翠はアニメ声。彼女が出す高い声は、おかずクラブのオカリナさんがコントで出す声に聞こえます(笑)

 

 

逆に、トリオの両脇を固める【梅澤美波】さんと【山下美月】さんは、私のイメージのままです。

 

 

梅澤美波さんは梅澤美波さん、山下美月さんは山下美月さんですが、齋藤飛鳥は別人(役そのもの)でした。

 

 

キャラが立っているので演技は上手く見えますけど、バラエティ番組で見せるキャラと同じですから、まさに2人も齋藤飛鳥の昔を視ているよう。経験を積んで大成してほしいです。

 

 

他に、私のイチオシ女優である【桜田ひより】さんも映像研の仲間として出演するなど、要所要所で楽しめます。

 

 

 

 

宿敵・生徒会のキャストで注目したのは、生徒会長役の【小西桜子】さん[22]と、【グレイス・エマ】さんの2名。

 

小西さんは、所々、前田敦子さんに似てるなと思いながら観てました。顎を出して目を見開く(仰け反る)という(目で演技する)最近の日本人に多い演技タイプ。

 

 

グレイス・エマさんはハーフなのは分かりますが、見た目が黒人なので、昭和生まれの自分としては黒人の方が片言ではなく流暢な日本語の発音で話されているのを観ると、まるで吹き替え映画のようにも想像でき、そこに違和感を感じます。

 

 

 

 

白人や今作主演の齋藤飛鳥さんのように東南アジア系のハーフの方は芸能界でたくさん活躍されていますが、黒人の方は少ない。

黒人ハーフの日本人はダンサーやスポーツマンに多いイメージです。

 

 

どうしても差別批判がありますけど、度々問題になる黄色い肌から黒塗りメイクはタブーですので、仮に大阪なおみ選手役を未来で演じるなら、彼女しかいないのではないでしょうか。やはり見た目かた意識してしまいますが、生徒会の中で一番目立っていましたし、続編があるなら更に楽しみになる登場人物でした。若干14才とのこと。あどけなさはなく貫禄がありました。月並みですがアクション系に需要がありそう。

 

 

想像力の中で、同じ世界を共有したり、CGとの融合や効果音、その全てのクオリティーが高く、個人的には近代日本映画コメディーの傑作だと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あさひなぐ』が公開された2017年時の出演者は殆どが卒業してしまいましたが、西野七瀬、私の推しメン伊藤万理華など、卒業後も女優として第一線で活躍しているキャストが殆ど。

 

 

この映像研の3名のメンバーは、そういう意味で、今しか見れないベストなのかも。

英勉監督とコラボ映画は主演に乃木坂のセンターを起用しているので、三度目のコラボの際の主演は未来を担う遠藤さくらだったりするのかな。個人的には林瑠奈さんは逸材だと視ているので、将来性に期待してます。

 

 

初見の方でも楽しめる青春学生ドラマ。ロボット研究会の部員が、ロボに擬似するエア演技はよく分かるし、クスクス笑えました。

 

 

 

______

 

 

 

 

(この記事の殆どは10月17日に書き記したものです。)

 

 

 

映像研を鑑賞中。それにも関わらず、そういえば・・と、帰りのエレベーターの心配をします。

 

 

この日の映像研の観客は10名ほどで少人数でしたが、10スクリーンあるうちの7スクリーンで『鬼滅の刃』が上映されているわけですから、どの時間帯に退出しても、確実に鬼滅の刃を見終わった観客と3密になる。

 

 

そう思ったら不安になりました。

 

 

ショッピングモールにあるシネコンですが、22時以降はモール側のシャッターが閉まり映画館の利用者はエレベーターでの帰宅となるのです。

 

 

エレベーター内は基本静かですが、映画を見終わった者同士が小声で感想を言い合っていたりする映画鑑賞後アルアル。

 

 

それに・・上で書きましたが、この日の映像研の観客は10名ほどで、鬼滅を1000人以上が同時刻に鑑賞していますから、それでエレベーターが一緒ってなんだか割に合わないなって(-。-;

 

 

プライベートでも仕事でもこれだけ密の回避を心掛けてきたのに、このエレベーターは確実に密になるだろう。

1度気になってしまったら、例えば・・ガスの元栓閉めたかなと心配になるようにソワソワしてしまって(^◇^;)

 

 

 

鬼滅の刃の漫画連載が終了した時に、近年主流となった「ロス」を語尾に付けて「鬼滅ロス」なんて言われていたけど、

 

 

そんな感じで私が安易に名付けるならば、今回は「鬼滅ミツ」だな。キャラクターにも蜜はいますけどね。

もしくは鬼密の刃とか。

 

 

平日は1席空けて座席を販売しますが、土日祝は全席販売に。

人が集まる時こそ間隔を開けるべきなんじゃないかな??

 

 

週末が来るたびに大混雑。

 

 

 

PS

 

 

入場ゲートで検温。チケットを見せ「『映像研には手を出すな!』ですね。スクリーン(ー)番です」と通されます。

 

 

前も後ろに続く行列も『鬼滅の刃』のチケットを持つ人達が殆どなので、他の作品名のチケットにスタッフも一瞬新鮮な表情になったように見えました。

 

 

ゲートをくぐると、続いて後ろのスタッフが、流れ作業のように、私に冊子を手渡ししました。

 

 

まるで餅つきの揉み手みたいに、腰を低くして「はい。はい。はい。」と。

 

 

私はポケットティッシュを受け取る感覚でそれを受け取りましたが、歩きながらそれを確認すると、鬼滅の刃の入場者プレゼントだったのです。

 

 

「あっ、これ違う!」と振り向いた時には、逆走するのが危険なくらいの人間で溢れていたので、映画が終わったら返そうと思って、行列の流れから逸れて、そこだけ空いている『映像研』のスクリーンに入ったのです。

 

 

(その振り向いた際に、先ほど書いた咳男を見つけたんです)

 

 

映画鑑賞後もスタッフは大忙し。

 

 

グッズ売り場はパンフレットを購入する列が23時にも関わらず100人ほどいる。

 

 

私の心配はエレベーターの混雑なので、仕方がなく、週明け月曜日に別の映画を観るため訪れた際に、事情を説明しました。

 

 

すると、こちらのミスなので差し上げますと言われ、頂くことになったのです。

 

 

この入場者特典の漫画は十分な在庫が用意されていたぶん、多くの人が所有していると思いますが、すでにネットに出品されて高値で売られているくらいなので、得をしたなって。

 

 

漫画自体には執着心がないため、アニメ鑑賞後もコミックスで続きを読みませんでしたが、劇場版は日本の興行収入と観客動員数を、分かりやすいくらい抜こうとしています。日本映画ブームに、洋画が入って来ない現状、コロナ渦の巣篭り生活、そして公開に合わせて人々の「縛り」を解禁。全ての需要が合わさって解放された人々のフィーバー。

 

 

このフィーバーは年末まで収まらず、紅白歌合戦の演出の中にも多用されること確実です。

 

 

日本歴代1位は通過点で目指すは世界レコードかな。

 

 

それでもフィーバーはいずれ落ち着きます。『君の名は』の時もいつまで続くのだろうか?と嫌になったほど映画館が混んでいましたが、やはりいつの間にか一段落していたんですよね。

 

 

来年の春先くらいまでは1日のフルの上映回数と複数スクリーンを維持して上映していると思うので、落ち着いた頃に鑑賞して、そのあとに「ごっちゃんゴール」で頂いた漫画を読もうと思ってます。

 

 

 

_____

 

 

 

 

以下は只今書いています。本当に長くなりましたが、ここまで読んでくださり有難うございます(>人<;)

 

 

 

映像研鑑賞当日に観た光景を記事にしました。

何度も書きますけど私も鬼滅の刃が好きなので、今回書いていることは、あくまで「心配なこと」です。

 

 

心配のタネが花開かないことを祈るばかりです。

 

 

上の内容の記事を書いてから2週間が経ちました。すぐに書き終わったのに2週間投稿しなかった理由は、お分かりでしょうけど、結果論が欲しかったからです。

 

 

あの大混雑ぶりを実際に見て、2週間後から感染者は凄い数になるぞ・・と思いました。

 

 

映画館に来られる方は100人が100人、全員がマスクをされています。

 

だけど、マスクの位置が鼻から下の口だけだったり、映画鑑賞中にマスクを外される方も少なからずいますよね。

 

 

何より、この記事で神経質に書いている、出入り口に設置されている「消毒液」。ここで手指の消毒をされていない方が多いです。

 

 

春の第一波の時は飛沫感染もそうですが、接触感染の危険性も長く報道されていましたね。

 

 

1人でも感染者がいれば拡散してしまうウイルスなので、やはり映画館側には出入り口に消毒を促すスタッフを1人は常置させて欲しいのです。

 

 

2週間が経ち、都内の感染者が急に上がり、全国的に倍増しています。

 

おそらく過去最大になると予想します。

 

 

その原因の1つに「鬼滅の刃フィーバー」があるのは可能性からして非常に高いと思うのですが、なぜかメディアは一切報じません。

 

 

今回のフィーバーに対しては、テレビのコメンテーターは誰もキミツを指摘しないんですよね。そればっかりか、コメンテーターやMCが、満員の映画館の中で観て来ましたよと自慢する始末。

 

 

もしものことを考えれば、業界の方は観に行かない方がいいし、そういう発言をすることがとても不思議。

 

 

映画を見て感染した無自覚症状の若者や壮年が、ご家族や高齢者に移し重症化となる未来が来なければいいけど。

 

 

いや、ちょっと待って。一旦冷静に振り返ろう。

 

 

先日のハロウィンでは、五大都市で多くの若者が集まり、悪目立ちする様子をニュースで見ました。

 

 

その街頭インタビューで「コロナ感染は怖くないですか?」とインタビュアが質問していましたけど

 

 

『鬼滅の刃』の観客インタビューではそんな質問は一切なかったし、多分メディアもハロウィンのせいには出来るけど、鬼滅のせいには出来ないんだろうな。それを考えると、なんていうか日本は個性的な国だなと思うのです。

 

 

 

映画『2012』で世界の終わりをラジオで配信し続けるチャーリーが世間から変人扱いされていて、「パパあの人は変なの?」と我が子に問われたジョン・キューザック演じる父親が「あの人はまともだよ」と伝えるシーンを思い浮かべます。この件に関して私はチャーリーになろうと思います。

 

 

 

記事内に「ショート評論を差し込みます」と書いていたと思います。2作品を記事内で書いたのですが、総文字数が2万文字となったためその部分を切り抜き、後日通常の映画評論記事として書き直します。

 

 

情報の多い、読みにくい文章だったと思いますが、皆様 LIFE IS NOW!!

 

 

今を大切になさってください(๑╹ω╹๑ )

 

 

 

フォローしてね

 

 

 

【mAb】

 

 

THE映画評論『邦画3作品』

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前記事からの間隔が再び空いてしまって申し訳ないです。

最初に。この下で紹介する2作品は、11月に載せた記事の中で作成したものを文字数が多くなり切り抜いたものです。文章の流れがおかしくなっていると思いますがご了承くださいませm(._.)m

 

 

___

 

 

 

長年劇場に通い詰めていますと、日本映画の場合に限り、作品を観なくても大体の内容も全体の完成度も分かるようになりました。

 

 

その作品のキャストの俳優名や予告の内容のみで「客入り」まで想像出来たりします。趣味の病気という名の能力を取得。

 

 

さらに東京都・近郊のTOHOシネコンに関しては、どの劇場が[混んでいるかor空いているか?]を把握しております。

 

 

コロナ渦の中、私は変わらずに映画館での映画鑑賞を再開しましたが、その背景では徹底除菌の上、密を気にし周囲の間隔がある座席を選び、透明バリアを張るように距離感を取っています。あと半年間はこのスタイルの意識を貫こうと思っていますので、しつこく伝えることをご了承下さい。

 

 

11月の記事の中で、文字数量がパンクしそうだったので切り取ったと書いた作品は『望み』と『星の子』になります。

 

 

この2作品は上記の経験から、通常時でも満席にはならない筈だと失礼ながら予想が出来ました。予想通り私が通うシネコンでは、映画館の稼ぎ時とされる「夕方の回」で2割ほどのお客様しか入っていませんでした。

 

 

劇場側には申し訳ありませんが、このご時世ほど空いている映画館が有難いと感じることはありません。

 

 

いつ映画評論を書けるか分かりませんので、この機会にもう1作品を足して計3作品、少しだけ多分少しだけ紹介いたします。

 

 

 

____________

 

 

 

『望み』

 

 

 

 

監督🎬

【堤幸彦】

 

 

主演:

 

【堤真一】【石田ゆり子】【岡田健史】【清原果耶】

 

【松田翔太】【三浦貴大】【加藤雅也】【竜雷太】他

 

 

 

アメブロで『mAbによる映画一期一会』を書き始めて約10年。年に1人は注目する俳優を紹介します。

 

 

mAbが今最も注目している日本人女優は【清原果耶】さん[18]。

中学生の時期から活躍してきた方だけど、この点が一番→「素直」に成長したなと思うポテンシャルの高さを感じます。

視た感じでは「孤より対」のほうが現状では持ち前の演技力を発揮しています。

 

 

対人演技で、相手がセリフを言った際、一瞬飲み込んだ表情を見せた後に自分のセリフを放つ、その反射神経がとてもいいんです。

 

 

 

 

今作品で石川家の長女・雅を演じる清原果耶さん。役所は名門お嬢様高校を目指す中学3年の受験生。

 

 

受験勉強真っ只中、家に帰って来なくなった高校生の兄が行方不明になると、警察が家にやってきて「殺人事件の容疑者」であると伝えられる。

 

 

殺人事件の容疑者です。

 

 

この瞬間。石川家はマスコミやSNSの標的にされてしまう。

 

 

平穏で幸せな家族←近所からもそういう「家族像」で見られていたと思いますが、きっともう、その家族像は戻って来ない。

 

 

通っていた学校でも予備校塾でも居心地が悪く、家の前にはマスコミが張り付き外に出るたびマイクを向けられストロボが焚かれる。家族には連日連夜、誹謗中傷が降り注ぐ。

 

 

混乱する両親の手前、気丈に振る舞う長女。

映画中盤「私は受験が出来るの?高校には行けるの?」と恐れるシーンが印象に残りました。

 

 

観客にとっても、とても感情移入がしやすい役柄設定だと思います。

憧れの私立高校を目指して勉強に励んできた少女。もし兄が殺人事件の犯人だったら。。。これだけSNSで面を晒されていますから高校さえも行けなくなるでしょうね。

 

 

大人の階段も女優の階段も登っていく清原果耶さん。

映画だと2016年『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』からになるので4年ですが、それより前から見ていた気にさせてくれる雰囲気を感じます。

 

 

 

記事にしていないため説得力がありませんが、私にとっては『望み』公開前月の主演作『宇宙でいちばんあかるい屋根』での好演が印象に残っているので、

 

 

その作品の好演と比較しますと、今作品の演技は「正統派(等身大さ)の役」なので、そこまで過度な表現力が必要とされない見方です。しかし、熱冷めやらぬうちに2作品を見たので楽しめました。

『宇宙でいちばんあかるい屋根』。公開は終了しましたが、是非、DVD・動画配信サイトなどで鑑賞してくださいませ。

 

 

顔立ちは、川口春奈さんを基本ベースに、芦田愛菜さん、乃木坂46の金川沙耶さんを合わせたようです。一押しは、とにかく泣きの演技は今活躍されている女優の中でもトップクラスだと視ます。本人は「カメレオン女優」を目指しているようなので、今後は難役のオファーが来ると思います。もう少し肩の力を抜いてセリフを言って欲しいですが、今後経験を積む中で解消さてていくでしょう。スイッチが入ったら非常に感情の分かりやすい表現をするので、ただただ見惚れてしまいます。

 

 

何より次期朝ドラのヒロインが決定しているので大ブレークは決まったようなもの。

映画畑で実った栄養価の高いリンゴみたいな女優さん(^ ^)

 

 

___

 

 

 

父・母・長男・長女。4人家族のアットホームな家庭像。

建築デザイン会社を経営する父親は自宅隣に個人事務所を構える。

 

 

母親は校正の仕事をするホームワーカー。

 

高校生の長男。中学生の長女は受験生。

 

 

新築戸建ての客には、イメージしやすいよう自宅に招き、内見や子供部屋などを見せる父親(社長)。

来客を意識してか、家の中は空間的に広く、モデルルームみたいに常に綺麗にされている。

 

 

吹き抜けの階段を登り、父親は軽くノックして子供部屋の扉を開け、客に「こんな感じです」と見せる。

 

 

思春期の子供にとってみれば、親の客とは言え部屋を見せるのは自分だったら嫌。おそらく子供の頃から慣れっこなのだろう、子供達は愛想よく「こんにちは」と挨拶している。

 

 

高校生の長男は反抗期なのか来客に対し態度が悪い。サッカー部のエースだったが大怪我をし引退、抜け殻状態。怪我をするまでは、きっと愛想良く「こんにちは」と言っていたのだろう。

 

 

そんなある夜、外出したままの長男が帰ってこなくなった。悪い友達と付き合っているのか?そんな心配をしながら帰りを待っていると警察が訪問してきた。

 

 

長男が通う高校の同級生が殺害され、長男を含めた数名が行方不明になっていると伝えられる。

 

 

 

 

殺人事件の容疑者に浮上した長男。

 

 

明くる日には、家の前にマスコミが殺到し、道路を塞ぐように張り込まれる。

家にはゴミが投げ込まれ、スプレーによる落書き、鳴りっぱなしの脅迫電話。

 

 

少年犯罪では伏せられる(護られる)情報も、SNSでは関係なしに、実家の住所や顔写真、家族構成が晒される

 

 

犯人だと決めつけているから攻撃的になる人間の心理。

これで冤罪だったら、どう責任を取るのだろう?と思いながら、映画を観ていきます。

 

 

息子はやっていないと信じる父親。一方の母親は、加害者でもいいから兎に角無事に戻ってきてほしいと願う。

 

個人デザイン会社の信用はなくなり、冒頭に自宅に迎えた顧客にもキャンセルを伝えられる。

 

 

心身ともに衰弱する日々に一縷の希望を信じる家族を軸に、興味本位だけで冷めた世間(他人)の反応を描く。

 

 

文字数が限られるのでさっと描きましたm(._.)m

 

 

監督がドラマ映画の第一人者である【堤幸彦】氏ということで、作品のドラマ・エンタメ性を通してメッセージを送る存在のイメージがあります。

 

 

おそらく鑑賞者の誰しもがこの映画で最も印象的に思ふは、マスコミによるプライバシーの侵害的報道ではないでしょうか。まるでストーカーみたいに描かれています。

 

 

報道することを正義とするのは分かりますが、仮にも未成年の容疑者の自宅前で張り込み、地域住民の事も考えずに自己中心的に道を塞ぐ様子は図々しいの一言ですし、「今話題の事件の容疑者は、ここの家の長男ですよ」と地域の人に教えているみたいです。

 

 

少年犯罪が起こった時に、インタビューなどのニュース映像は実際にも観たことがあります。記憶に新しい少年犯罪は神奈川県の川崎で起きた中学生の死体遺棄事件。あの事件の時の報道も、SNSでは被害者・加害者のプライバシーが書き込まれていましたね。

 

 

それでも、容疑者の段階で未成年者の自宅前でテレビ中継を行うのものなのか?

 

 

 

 

___

 

 

 

その次に思うのはSNSの怖さ

 

 

この映画は少年犯罪の容疑者家族を描いた物語です。

圧倒的な心配と不安の他に、襲い来るのはマスコミとSNSのプライバシーなど一切ない情報公開。

 

 

この2つは、ドラマや映画の中で何度も描かれてきてはいますが、今回は主人公の「一家側」の気持ちになっているぶん、まるで自分のことのように胸が苦しくなったなぁ。。

 

 

平穏で誰が見ても幸せな家族。

 

 

この映画の内容は、例えば車や自転車のドライバーなど、身近で誰にでも起こりうる未来の出来事を想定して描いているので、自分に置き換えることができるリアルさがあります。

 

 

今から11年前。2009年に公開された日本映画。佐藤浩市さんが刑事役で志田未来が加害者一家役で主演した『誰も守ってくれない』に衝撃を覚えました。兄が殺人事件を起こし、世間の注目は加害者家族に集中。家族3人はそれぞれ警察に保護される。世間の攻撃から守るために担当刑事が長女を匿いながら避難させる展開。我が子が犯した罪に自害する親。当時はかなり衝撃的でした。

 

 

上記の作品から歳月が流れた今作は、携帯電話もネットワークも進化し、高画素数で写真も撮れるし、報道から数時間で住所が特定され一般人が刃物を持って襲ってくる時代に。

 

 

映画を観ていて私が思ったのは、「今が旬」を追うマスコミの態度なのですが、いつも思うことが1つ。

 


この映画の一家は長男が消息不明の間に様々な誹謗中傷や攻撃を受けています。電話や仕事のキャンセルなどは分かりやすいのですが、

 

 

報道陣が日夜自宅前にいて、落書きとか生ゴミの投下など、そういう言ってみれば「どさくさに紛れた犯人」を撮影しないのかなって。私はそちらにも興味があります。



加害(容疑)者の家族を攻撃していいという法律はどこにもありませんからね。器物破損罪などの決定的瞬間なわけですし。マスコミはそれも報道する義務があるのではないかな?

 

 

___

 

 

 

両親役は紅白でW主演。

 

 

母親役を演じた【石田ゆり子】さんは中年になられてもヒロインの立ち位置。良い意味でも悪い意味でも存在感があります。

母性をなかなか感じないので、母親役はどうかな?と思って鑑賞に望みましたが、そこは持ち前の魅力と演技力でカバー。

 

 

対して【堤真一】さんは始まりからお終いまで素晴らしいです。顔をくしゃくしゃにして感情表現を爆発する後半あたりが、「一家の大黒柱」として演じる父親像と合っていて流石、表現者だなと思いました。

 

 

映画で残念に思った点を短く数点書きます。

 

 

この映画の主人公をあくまで4人家族の物語にしたいのか、映画のエッセンスとしてSNSとマスコミの2点を加たいのか、そこのところがハッキリしません。

 

 

家族ドラマとしては秀逸に観れましたが、それ以外のキャラクターには少々物足りなさを感じます。

 

 

特に【加藤雅也】さん演じる担当刑事の中途半端な登場の仕方。冒頭に「加藤雅也さんだ!」と好みの俳優に嬉しくなったものですが、結局この担当刑事と女刑事の2名は、要所要所にチラッと登場しているコマの1人に過ぎなかったです。

 

 

 

それと苦言・・というか、日本映画界に対して、私は度々書いている疑問になりますが、今作のように本格的にリアルを追求しようと視える作品には特に思います。

 

 

どうして片方だけなんだろうな?って・・身内の登場。

 

 

長男が行方不明となり容疑者として報道され、家の前には連日連夜のマスコミが道路をふさぐように待機している。

 

心身ともに疲れきった家族の元に訪ねてくるのは【市毛良枝】さん演じる母方の祖母。娘を想い、孫の安否を願う。

 

 

私が常々思うのは、親戚までは求めませんが、せめて父方母方・双方の親の存在までは役者さんを使って表現してほしいです。

 

 

日本映画の近年のドラマって、家族といえば核家族となり、何かあった時も祖父母が登場しないんですよね。

 

 

その年代の俳優さんが少ないという現実もありますし、祖父母役の俳優さんって殆どがビックネームになりますので、知名度のない俳優さんを起用しづらいんですよね。

 

 

特に今回の映画の内容が、行方不明の長男が殺人を犯したかもしれないと報道が全国でされているので、きっと親戚は関わり合いを避けるでしょうし、逆に味方になる身内もいるでしょう。



行方不明中の長男の「同級生たち」の描写はありますが、それは映画的に作られたキャラクターなので想定ならいくらでも描けたはず。

 

 

ジャーナリズムと犯罪と家族ドラマを掛け合わせる作品は、身の回りの「血」も登場させてほしい。

きっとこれからも、それが私の望みです。

 

 

最後に。

 

 

この映画の主要登場人物として【松田翔太】演じるジャーナリストがいます。彼は単独で行動し、石田ゆり子さん演じる容疑者の母親に接触。父親や子供ではなく、息子の命が何よりも大事な母親に接触するという所がジャーナリストらしいですが、見方を変えれば「やから」ですよね。冷静に判断できない精神状態の人の弱みに付け込むんですから。

 

 

彼は人脈と労力とジャーナリストの勘が非常に働く人間で、自分が持っている息子さんの情報を教える代わりに、独自インタビューをさせて欲しいと条件を付け、母親はジャーナリストと手を組みます。いかにも映画のキャラクターらしく、展開を進めるための「ヒント出し」を機に迫真さを生んでいました。

 

 

演技面からは、堤真一さんの『容疑者Xの献身』を思わせる名演を絶賛したいので演技の総合点は高めに付けます。

妻役・石田ゆり子さん、長男・【岡田健史】さん、そして長女・清原果耶さんのお三方は、平均点以上に視えますが堤真一さん程ではないです。脇を固める【竜雷太】さん、【渡辺哲】さんら熟練バイプレーヤーのレベルが高く、安心して全体を見れました。

 

 

 

観ている時や観終わった後はこの映画の世界観や現実的に起こりうる可能性を想像しゾクゾクする感覚になりましたが、後に引くか?で考えると、骨の髄まで染み渡る完成品ではなかったです。シビアでシリアスな内容であるのに、どこかエンタメ感が消えないので、年末年始などに放送される豪華出演陣の2時間ドラマスペシャルといった観やすさもあります。

 

 

 

 

 

 

脚本 13点

演技 15点

構成 13点

展開 13点

完成度14点

 

 

 

[68]点

 

 

 

______

 

 

 

 

『星の子』

 

 

 

 

監督🎬

【大森立嗣】

 

 

出演:

 

【芦田愛菜】

 

【永瀬正敏】【原田知世】

 

【岡田将生】【黒木華】【高良健吾】【大友康平】他

 

 

 

私はずっと待っていた気がします。ティーンになられた【芦田愛菜 】さん[16]の主演作品を。

バラエティの冠番組なども拝見しますが、やはり彼女の本職は女優一択でしょう!!

 

 

タイトルのように、そういう星の下に生まれた女優さんなんでしょうね。

 

 

さても皆様、さても・・ハァー。。。新興宗教に入信する一家を背景に描いた映画です。

書かないという選択肢もありましたが、個人的に待ちに待った女優さんの作品なのでGO。

 

 

読者を不安にさせないため保守的も兼ね常套的に「普通の日本人」と書く方が多いですが、私も普通の日本人です。

 

 

テーマも内容も、正直どう書けばいいのかと、書き手泣かせ(゚o゚;;)

だけれど不思議と見入ってしまう映画なんですよね。

 

 

作者や監督は実際に新興宗教の集会やセミナーに参加したんじゃないか?と思わせるほど情報収集をされているイメージを持ちます。また役者はどう役作りをしたのか?にも気になりますが詳しいことは仰らないでしょう。

 

 

芦田愛菜さん演じる中学生の主人公。冒頭、赤ん坊の頃を回帰。肌荒れが酷く、吹き出物が出来、延々と泣きじゃくる赤子。

 

 

最愛の我が子のために夫婦は様々な治療を試みる。そして父親は職場の同僚に「水」を薦められ、購入したペットボトルに入ったソレを化粧水のように赤ん坊に塗ったところ改善される。夫婦は感謝をし、その水を信仰し、その主を信仰する。

 

 

まさに噂で聞く宗教の入り方ですね。この「水」の効力で赤子の肌荒れが治ったのか科学的根拠もありませんが、信じるものは救われるという言葉があるように、夫婦は以降1本の柱にしがみついていくのです。

 

 

私が考えるなら夫婦の我が子への「愛」が神様に届いたのでしょう。

宗教が悪だとは必ずしも思いませんが、出来れば関わらないで一生を終えたい、というのは一般的な日本人の真理だと思います。

それを踏まえた上で少しだけ語ります。

 

 

物心ついた時から、両親が信仰していた宗教の信者である主人公。

同じ中学のクラスメイトたちからは「怪しげな宗教」と呼ばれています。

 

 

主人公には姉がいるので次女となります。

親の宗教の影響なのか、長女は縁切りな家出をしたまま帰ってきていません。

 

 

映画で視るに、妹(主人公)が生まれたことで両親が今の宗教に入ったという系図。

赤ん坊に付きっきりの両親。この時、姉は小学生くらいでしょうね。

 

 

この間の、両親の姉に対する「愛情の注ぎ方」が映画では描かれていないので気になるところです。

 

 

 

 

子役の頃の芦田愛菜さんを覚えているぶん、この子役の子の全体の系統が当時の芦田愛菜さんと似ていないのが残念)

 

 

この映画で一番私が気になったのは、上記でも書きました行方知れずとなる姉。両親とは距離を取っていますが否定はしない。おそらく親の愛情を独占していた長女。妹が生まれ病弱なことにより両親が妹につきっきりとなり、気味の悪い宗教に入信する。単純に孤独とか嫉妬などがあるのかな?と姉の雰囲気を見ていて思いました。

 

 

長女(姉)がいた頃は一戸建てに住んでいた一家ですが、現在はオンボロ平屋の木造アパートで暮らしています。これは教団に財産を渡しているからだと安易に想像できますね。貧乏な筈ですが彼らはそんな様子を見せません。

 

 

現3人家族。体に入る水は教団から購入したペットボトルの聖水だけを使用。

 

 

中身はおそらく水道水(劇中のワンシーンより)なので、ミネラルウォーターの天然とは違い美味しいと思って飲んだら不味い。「そういうもの」と思って飲めばいい。信じるものは救われるのだから。

 

 

水とか石とか壺など。価値のないものを高額で売りつけるマインド技術は新興宗教って天下一品で、逆に「神ってる」というイメージを持ちます。

 

 

この水の値段も知りたいところ。きっと高額なんでしょうね。思うに1本2000円くらいかな?

劇中では「会員価格のセット販売だから安く買える」と言ってますけど(^◇^;)

 

 

この映画では【大友康平】さん演じる叔父(母の兄)が(観客の自分にとっては)唯一「普通の人」で救いの存在。

 

 

叔父はちひろ(主人公)が小学生の頃に、妹夫婦を我に返そうと、ある画策を試みます。夫婦が教団から購入している水に値段的価値がないことを伝えるのです。

 

 

ペットボトルの水を水道のカルキ水と入れ替えておく。それをいつもの教団の水だと信じ込む妹夫婦。真実を伝えたシーンはこの映画の最大の見せ場(アクション)。絶叫!絶叫!絶叫!!

 

 

「なにを言っても無駄なのは分かっている。だけど目を覚まして欲しい。」

居心地が悪いうえにフワフワしている作品の空気感に突然の起伏が入るので、退屈だなと思いながら映画を観ていた私自身の目も覚めました!


 

君たちは騙されているんだ。

その水はただの水なんだ。



普通の人ならハッとなり、ありがとう兄さん。になる筈だけど、この夫婦はその瞬間にワナワナワナ・・ふざけるな!帰れ!!と半狂乱。現実社会に戻そうとしたところの半狂乱。この映画で一番、「合戦」をしていました。

 

 

それから数年経ち、ちひろは中学三年受験生。叔父とはあれ以来、疎遠状態。

妹夫婦はもう現実社会に戻ってくることはない。それならせめて姪っ子だけでもと、宗教から引き離そうと必死。

 

受験を機に、親元から離れて叔父さんの家で暮らそう、そう提案。喫茶店にて、妻(叔母)も息子(いとこ)もそれを願う。

 

 

多感期のちひろは周りの子と育ってきた環境が違うことを知っているし、何かを悩んでいる様子。姉も若いうちに家を出て行きましたから姉妹の似方にも注目します。この叔父や叔父一家の気持ちに触れた時表情は、芦田愛菜さんではなく、完全にちひろになっていると思いました。

 

 

 

___

 

 

 

【永瀬正敏】さん演じる父親が、中学3年になる娘のことを「ちゃん付け」で、まるで幼子や親戚の子供を呼ぶように話しているのが気になりましたが、ここにも作品的意味(意図)があるのでしょう。

 

 

 

 

田舎町の錆びれた公園で、聖水を頭にかける毎夜の儀式。

このカットは映画の笑わしどころですけど、送ってもらった憧れの先生に「なんだあれ?(変質者だ)」と観られてしまい、それどころではない見応えのあるシーンになっていました。

 

 

終盤のシーンになりますが、新興宗教団体の集会とかセミナー旅行の様子は噂でしか聞かなかった内容なので、まるで本物のような映像を見て、映画を見ていることはわかっていても、(精神が)帰ってこれないんじゃないか?という真理状態に一瞬なりました。

 

 

この映画の中にサブリミナル効果でも差し込んだら、コロッと行く観客もいるのではないかと思わせるほど。

 

 

ただ、この映画の新興宗教団体の教えがイマイチ分からないし、信者は穏やかで、例えば政治活動なんかもしていないだろうから、本当なにをテーマにした集まりなのかな?とも思わざるを得ません。無農薬とか無駄な殺生を禁ずみたいな、よくある団体なのかなとも思えます。

 

 

一番分からなかったのが教団の歴史。

 

 

現中学三年生の主人公が、赤ん坊の時に職場の同僚から父親が「特別な水」を買い治癒したことで教団の信者になっているので単純計算で15年くらいかな。

 

 

【高良健吾】君が演じる、この宗教の教祖が若すぎるので、彼が開祖なのか?それとも2代目なのか?など、ここのところは作中で知りたいところです。【黒木華】さん演じる教団のマザーテレサは、スピリチュアル・パワーがあるそうです。ここは実際にあるのでしょう。どこか浅田真央さんのような親しみやすい素朴な見た目で、母性的な女優である黒木華さんはこの役がハマるので、もう少し登場して欲しかったです。

 

 

 

 

このセミナー合宿で、主人公のちひろが、広い宿舎内で両親を捜すというシーンがあります。すれ違ってばかり。なにやら不吉で不穏な雰囲気があり、気持ちの悪い空気感も生じます。その気持ちの悪さが教団に対しての不穏さに私は直結しました。

 

 

最後に。

 

 

信じるものは救われるというのが宗教の前提ですが、この家族が劇中の宗教団体の信者になるキッカケが、藁にもすがる想いだったので、それは分かる気もします。結果それで我が子の命が救われたのだから、命の恩人への感謝は計り知れない。

 

 

結局は答えがない、それぞれの解釈で見る映画だということ。

 

 

私が最も加点をしている場面は、中盤、イケメン先生がプッツンした3分間です。

 

 

私の周りにも中学教諭・高校教師の知り合いがいるので話を聞きますけど、今の教師は、ハーフや外国人、隠さないor隠れ新興宗教の生徒、生徒以外にもモンスターペアレンツなど、様々な人と関わらなければならないので大変な職業だと思います。

 

 

主人公からは授業中に自分の顔の似顔絵を描かれていたり、常に机の上にペットボトルが置かれていたり、戸惑いが蓄積されているようでした。

 

 

ついにある時。おい!!とプツン。

 

 

それまでの単純な恋心のように描かれていた空間が割れます。

 

 

「固まる」とはこういう事。「崩れる」とはこういう事。ワナワナワナ・・何かを達観した少女。

 

 

このワンシーンで「あゝやっぱり上手だな」と思わせてくれる。

 

 

 

 

ものすごい事件が起きたような表情だもん。

 

 

岡田将生vs芦田愛菜のシーンが大変印象的だったが、この表情が出来るのは現状、日本で彼女しかいないんだろうなと刮目しました。子役の頃から黒目の動きが非常に上手な女優でしたけど、当時、後に続いた子役ブームの俳優陣で一線で残っているのは彼女だけだもんな。

 

 

親が怪しげな宗教に入っている。仲のいい同級生は一緒に帰り、大人や先生は若干の距離をとっているように映る。


 

子供同士の方が対人間を見て接している感じがするけれど、きっともう少し大人になった時には、この同級生達も距離を取るんだろうなと勝手に想像しました。同じ学校に、同じ宗教の子がいるので、その子はどういう感じなんだろう?と気になりました。

 

 

新興宗教の集会やセミナー合宿は噂話でしか聞かなかったが、内容を映像で見てやはり自分が住んでいる現実世界とは違う空間なんだと思った。

 

 

信じるものは救われる。甘いと信じこんで飲む水は甘くなる。泣いている我が子を元気になってと心を抱きしめれば、愛が奇跡を起こすはず。

 

 

 

 

 

 

脚本 [13]点

演技 [15]点

構成 [13]点

展開 [13]点

完成度[13]点

 

[67]点

 

 

 

_____

 

 

 

『朝が来る』

 

 

 

 

 

 

監督🎬

【河瀬直美】

 

 

 

CAST:【永作博美】【蒔田彩殊】【井浦新】【浅田美代子】他

 

 

 

メジャー映画なのにインディーズ映画を見ているような感覚になる不思議な空気感の日本映画でした。

 

 

内容よりも作り手側に注文を付けたい。そんな気持ちが鑑賞中に渦巻く。

 

 

よく言えば、お母さんのお腹の中から、外の声(様子)を聞いているような浮遊感。

 

悪く言えば、いくつもの箇所で「これは完成品なのか?」と疑問に思うような編集の仕方に消化不良を感じた。

 

 

養子縁組・代理出産。

代理出産を行うのは女性は基本訳あり。

水商売の女性や、中高生で孕んでしまった女性が多い。

水商売の女性は家庭環境が複雑だったりする。

 

 

10代や20代前半の若い女性がこの世界に産み落とした子供を、子宝に恵まれなかった30代・40代の中年夫婦が譲り受けるという、非常に生みの母親と育ての親に年齢差のある光景や背景を、この映画で視る。

 

 

原作は女性人気が高い作家で映像化が続く【辻村深月】先生。

 

ベテランの女流監督【川瀬直美】氏がメガホンを取る。

 

 

作品は「育ての親」と「生みの親」をW主演に、交互に主人公として進行する。

作品の内容は、養子縁組をした中年夫婦の元に、当時中学生で妊娠した生みの親が「子供を返して」と訪ねてくる、というシビアでデリケートな内容。

 

 

息子を手続きを経て譲り受け、来年は小学校入学となる時期。

【永作博美】さんと【井浦新】さん演じる夫妻。高層マンションに住み、息子と三人、何不自由なく暮らす幸せな日々。

 

 

息子を産んだのは奈良県の田舎町に住む女子中学生。付き合った同級生との間に子供が出来てしまう。大好きな人との間に子供が出来た。これって素敵なことだけどね、ちょっとね。。

 

 

きっとリアルに日本で多い出来事なのでしょう。堕胎する時期も過ぎてしまい、これからお腹も目立ってくる。

元々反抗期だった本人は何を考えているのか分からない。産むも堕ろすも、田舎町で生きていくには一生後ろ指を指されることになるだろう。両親は生まれる子供を特別養子縁組団体に引き渡すことを提案。団体の施設がある広島の小島で出産し、何もなかったかのように学校に復学すればいい。

 

 

そうして出産した我が子。誕生の瞬間、育ての親になる夫婦は控え室で待つ。

どんな事情があるにしても、子供が子供を育てるには無理がある。

引き渡しの瞬間。溢れる涙。この子はこの子で・・いや、このお母さんは偉いと思った。

 

 

成長する赤ん坊に手紙を書く。それを渡す。多くは語らないが、目での意志の会話に目蓋が熱くなった。

 

 

 

 

(ビジネスマンの私服リュックサック姿に好感を持つ)

 

 

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恥ずかしながらドラマ版があったことを、鑑賞後に検索して初めて知りました。

2016年。今から4年前にフジテレビの深夜帯(23:40-00:35)で放送されたそうです。

ドラマ版の母役は安田成美さんと川島海荷さん。全く存じませんでした。

 

 

原作の小説は読んだことがありませんが、劇中のセリフや展開を頭の中で纏め辿ると、抑揚があり繊細に書かれていますから、おそらく感動的な女性のドラマなんだろうなと想像します。

 

 

脚本と演技には平均点以上(13.5点〜)を付けます。それ以外の項目は申し訳ないけど平均点以下です。

 

 

ある意味で日本映画らしい内容ですが、今作は出演される方に(演技の)素人さんを起用していたりと、言い方は悪いですが、そこにリアリティさは個人的には必要ない気がします。

 

 

出演される素人さんは、実際に特別養子縁組を組んで育てられた方だったり、病気や年齢などで子供を授かることが難しく悩まれている夫婦だったりが出演されているので、今の時代に顔出しは勇気がいることだと思います。

 

 

子供が大好きなのに、子供を授かれなかった方々ですからね。その表情や涙は奇跡が起きた時に見せる歓びのもの。

 

 

しかし伝え方は難しいけれど、演技経験のない「重い素人さん」の演技はドキュメント映画を見ているようで、俳優の中に混同するから私には違和感が強かった。

 

 

そう云う混合描写を生かすも殺すも監督や技術者のセンス次第だと思いますが、この映画は私には「無駄に長い」と感じるシーンばかりでした。

 

 

こちらは素人さんではなく、俳優同士のやり取りですけど、劇中に旦那と友人が男二人で飲むシーン。自分は無精子症で子供が出来ない原因は自分にタネがないからだと告白。

 

 

酔いがまわる。この映画で唯一、本音を漏らすシーンです。私はここが同性として非常に・・・もったいない!!

 

 

そのシーンでの編集の切り方。告白を聞き、どう返していいか戸惑う友人は歯切れが悪い。「まぁ・・それは・・あれだな・・・」急に演技が雑になる。基本的に長回しし過ぎている印象でテンポが悪く感じる。



リアルを追求したいのか?それならば逆にその編集点が不自然な演技になっていると感じないのか?玄人好みなのか?



こうしたシーンが何箇所もあるので、シネコンで商業映画の邦画ばかりを見てきた私には無しです。

 

 

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【永作博美】さん[50]も年相応のお顔になられたんだなぁと映画を見ながら思いました。

 

 

童顔で妹キャラのイメージが強いけれど、子供のいない中年夫婦役ということで、かなり年相応に老けて見えた。

 

 

この映画で夫婦の年齢設定の紹介が記憶ではなかったと思いますので、勝手に40代半ばに設定して鑑賞しました。

 

 

幼稚園の年長になる息子役とのシーンは、「若いお母さん」ではないから、苦労の跡も見えて来てなんだか切ない。

 

 

それでも説明会に来られた同じ境遇の出演者の中では「女優」であるし、やはり1組だけ俳優が加わった感じが強い。例えるなら笑点のオープニングで、司会者が観客席の真ん中に座っているような、芸能人と素人さんの差。

 

 

こういう状況もよく映画の中で見るけれど、もう1組か2組は垢抜けた方を配置して欲しかったかな。

 

 

 

 

 

続いて、もう一角の女優。

 

 

注目せずにいられない。中学生で同級生の子を妊娠し出産する難役を演じた女優。

 

 

 

『星の子』で芦田愛菜さん演じる主人公の姉役を演じているのを見て「この子は雰囲気あるなぁ」なんて思ったですが、それが彼女でした。

 

 

【蒔田彩殊】さん[18]と言うお名前で、下のお名前は、これでアジュと読ませるそうです。「文殊の知恵」の殊ですね。仏教のお名前、文殊菩薩。まだ18歳とのこと。

 

 

ちなみにカタカナで始まる名前でア・三文字だと、私の世代はアジャコングのアジャを連想します(笑)

 

 

一言で言うと「雰囲気がある」。

 

 

プロフィールを拝見するとキャリアも積まれていますので、女優として今後の活躍が楽しみでなりません。

正に新星という言葉がよく似合うし、女優だと小松菜奈さんが『乾き。』で出て来たミステリアスさに近い。

 

 

未成年の妊婦役を演じたことでフレッシュ(純潔)さは無くなってしまうが、大きな経験を得たことは間違いないですし、この映画を機に演技力が必要とされる作品のオファーが続くでしょう。

 

 

髪型一つで、どんどん見た目の雰囲気や印象が変わる女性で、魅力的だなと思いながら視ていました。

 

 

最初は門脇麦さんみたいだなと柔らかそうな顔の皮膚の系統で観ていましたが、映画が始まると反抗期の中学生編は【平手友梨奈】を彷彿とさせるキャロ顔と鋭い目力。平手とは是非今後、姉妹役で共演して欲しいと願います。

 

 

中盤以降は中学生で出産した「田舎の少女」の「その後」が描かれます。心優しき中学生は完全に不良少女に。

 

 

以降は作品の中核となるため多くは語りませんが、髪を染めて毛量の多い見た目は、まるで深田恭子さん(『下妻物語』)。髪を束ねると南明奈を連想させ、もうそこには中学生編の彼女から醸し出していた平手友梨奈感は薄れていた。

 

 

髪型で印象が変わるのは「女性の特権」だと思うが、それにしても髪型一つでこうも変わるのかと毎シーンで驚くから、この女優を見ていて単純に楽しかった。演技面は多少の幼さが残る。この記事の最初に『望み』に出演の清原果耶さんを「孤より対」と書いたが、彼女は逆で「対より孤」。ソロの演技の方が上手に視えます。

 

 

思春期の時期は「私は独りぼっちだ」という演技が無意識に出来るもの。蒔田さんは孤独の雰囲気を出すのは上手いのでうってつけ。中学生の時期から成人辺りまでの6年間を演じていますが、やはり反抗心のある思春期の時期が一番演者として「鋭かった」です。

 

 

作品と関係ない話題で、1つだけ。

 

 

この映画を見ていて思ったのは時代のジェネレーションギャップ。

 

 

劇中にラブシーンがあり、未成年の濃厚な接吻と絡みシーンを見せられます。

体当たりの演技だし、多分この年齢ですから相手役のことを好きになったりするのでしょうね。

 

 

それよりも時代は変わったなと思うのが、私の学生時代の学生映画のラブシーンの定番はフレンチ・キスでしたから、こう言う唾液を絡ませるような濃厚なラブシーンだと未成年者の場合は特に描かれることはなかったと思います( ゚д゚)

 

 

映画評論を10年以上書いていますので初期の頃はよく書いていました。フレンチ・キスはリアルじゃないってね。



近年、そのリアルが実現しているわけですが、実現したら実現したで、昔が懐かしいって書くんですから面倒臭いねオイラは(笑)

 

 

でも唯一変わらないのが、日本の映画ってラブシーンの時には無音で、何より欧米みたいに激しくなく(笑)ゆっくり丁寧ですから、観ている側が気恥ずかしくなるんですよね。

 


よりリアルを追求するなら必要な描写ですけど、それだったら映画では薄い出産シーンとか、そういう方面でのリアリティも追求して欲しかったかな。

 

 

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この映画は、長年の不妊治療を断念しこれから先は2人で人生を楽しもうと決めた中年夫婦が、旅行先の温泉旅館のTVで見た特別養子縁組の団体の番組を介し我が子を授かるという運命と、

 

 

田舎に住む女子中学生が同級生の男子と恋に落ち妊娠。両親の勧め(懇願)で代理母になることを決断し、特別養子縁組の施設に行き出産。出産から夫婦へ受け渡すという運命。それから6年後。若くして子供を産んだ女性の、その後の6年間の転落人生。

 

 

その2パターンの主人公を交互に描きながら進行する展開です。

 

 

冒頭、幼稚園でお友達が怪我をし、親同士が揉めるシーンがあり、それが今作で一番印象に残っています。

 

息子は「やっていない」と言う。母親は「わかった」と信じる。

 

血の繋がりだとか、そう言う描写を想像する私は浅はかでした。

 

 

被害を訴える相手の母親とは電話でやり取り。おそらく彼女よりヒト周り以上年の離れたお母さんでしょうね。

 

母親同士の呼ばれ方は「朝斗ママ」。電話越しの声ですが、クレーマーぽくって性格が悪そう(⌒-⌒; )

 

 

最終的には慰謝料を欲しがっています。朝斗ママは電話で戸惑います。我が子が怪我して相手親に怒るのは理解できますけど、私もそうですけど、なんとなく昭和生まれの感覚ではないんですよね。

 


 

もう1つ、同じタワーマンションに住む相手ママが、いびってる理由が、御宅の方が階数が高いから、と。

 

 

真実が分かるまで彼女は相手ママに頑なに謝りませんし、相手ママはママ友に促し「総シカト」しますが、彼女は前を向く。強い信念を持って過ごす覚悟がしっかり見えるこの冒頭のシーンは秀逸でした。

 

 

そうして、今ある生活や息子が自分たちの元に来た回想(経緯)が始まるのです。

 

 

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養子縁組を組む夫婦は、絶対条件があります。映画で見るに年齢制限はないようです。

夫婦仲が良く、子供が好きで、一番に、子供を育てられる経済力や環境があること。

 

 

【浅田美代子】さん演じる団体の代表が面談などを通じて慎重に判断するのでしょう。

 

 

迎え入れる夫婦がいれば、対照的に、上の条件が揃わなかった産みの母親が必要で、代表は双方の仲介もします。

 

 

産みの母親は、訳ありの女性たちで、風俗や水商売で孕んでしまったり、主人公のように中高生で妊娠してしまった例もあるのかな。産んだとしても育てられない状況の女性が、運命にも団体に出逢いやって来ます。

 

 

描いてはいませんので想像で書きますが、きっと出産の費用や出産までの滞在費などは、育ての親側が支払うのでしょうね。

 

 

女子中学生は親元を離れ、広島駅で代表と待ち合わせ。一緒に連絡船に乗り込み、駆け込み寺のような団体の施設に数ヶ月間過ごす。島の一軒家で、島民たちも温かく迎え入れています。

 

 

生まれた場所も違うが、育てられない子供を産むという決断をした同志たちとの共同生活。

 

 

この映画で最年少の彼女ですが、一番しっかりしているように見えました。親の前では常に反抗期なので、こういう顔があるから安心します。

 

 

いつもながら長く書きそうなので、キリのいいところで〆ます。

 

 

現実的に違和感があったのが、このNPO法人を特集したテレビ番組を放送する時間帯です。

 

 

夫婦は不妊治療を諦め、夫婦で生きていこう決意し、週末は旅行に出ます。治療のために毎月、羽田空港から飛行機に乗り北海道の病院に行っていますので、高額な治療費の他にも多額の出費があったのでしょう。これからはそのお金を2人のために使おう。空港の待合室で涙をこぼし嗚咽する旦那。素敵な夫婦愛、いや人間愛が沁みます。

 

 

そうして数場面、旅行で観光地を巡る旅のカットが数コマ続いたある旅先の温泉旅館。

 

 

テレビでNPO法人を特集した番組を見たのをきっかけに説明会に参加するのです。

養子縁組という選択肢に気付き、説明会に参加し実際の方々から話を聞くと、夫婦の気持ちは固まる。

 

 

その流れに行くきっかけの導入シーン。

 

 

自分でも細かいと思います。実際のテレビ番組で養子縁組の法人を特集する番組を見たことがないので、導入部分は無理やりだと思いました。二人が浴衣姿で、永作さんは広縁の椅子に座っていて、井浦さんはテレビ前のソファーだったかな。

 

 

私も旅行が趣味なので、旅先でテレビを点けると、その地域だけで放送されている番組をボーッと観ていたりする経験はありますけど、こういう内容の番組をテレビ放送するなら夕方のニュース番組での特集コーナーになる気がします。

 

 

劇中は食事を済ませて、まったりしている時間帯を想像しましたので、そんなゴールデンの時間帯にこういう内容の番組が放送されるのかな?この法人の本拠地があるのが広島県の離島になるので、夫婦が近畿や山陰を旅行していたのなら納得ができます。リアリティを追求するために実際の養親様方が撮影に参加していますが、やはりその導入部分に突っかかってしまいます。

 

 

そして最後に。

 

 

特別養子縁組を組んで子供を育てている家族の元に産みの母親が現れ「子供を返して!」という、育ての親にとっては非常にショッキングな事態が起こりますが、相手先の個人情報を知り得るのは普通では考えられないし、そもそも公にしない案件なだけに大問題になるでしょう。

 

 

生みの親は出産時「ワケアリ」の女性が殆どなので、その女性自身が5年10年を経て、大人になったり経済面が落ち着いた場合、養子に出した子供に会いたくなると思うのは充分考えられる母性心理だと思います。

 

 

この法人団体の絶対ルールで、子供には自分が養子であると伝える義務があるということは、少々衝撃的でした。ドラマの見過ぎか、大きくなって役所で住民票や戸籍謄本を受け取る際に実子でないことを知る、みたいな感覚でしたので(゚ω゚)

 

 

劇中では広島の離島で浅田美代子さん演じる代表が、一軒家の事務所でパソコン以外に、自室に個人データーの詰まったファイルを管理されていました。他のスタッフなども登場させて欲しかったな。

 

 

トロント国際映画祭に出品されたそうです。

 

 

 

 

私は日本人ですから日本映画を日常の風景のように見ることができますし、冒頭から書いて来たように今作品を演技の素人さんだったり、演技が臭かったり編集の切り方がダラダラと無駄尺に感じてしまうのですが、

 

 

逆に考えてみれば、外国の方がリアクションはオーバーですし日本はこじんまりと小さくまとまっているので、こういう作調の方が受けはいいかもしれない。

 

 

それに、こういった海外用ポスターを見ると、とても賞レース向きの作品に思えてきませんか?

 

 

 

 

 

実際には赤ん坊との出会いのシーンって・・このワンシーンだけなんですけどね。

 

 

生まれたての乳飲み子を長いこと撮影に借りられなかったのかな?なんて勝手に事情を想像していますが、永作博美さんは9年前の映画『八日目の蝉』で実績がありますし、10年後くらいには孫とお祖母ちゃんの役とかでハマりそうな予感。

 

 

トロント国際映画祭や近年の外国の映画祭なら何かしらの賞を受賞すると思うので、海を渡ったこの作品が今後ハリウッドでリメイクされる筈だと、想像を膨らませています。(個人的には二コール・キッドマンが育ての親役でオスカー候補になって・・という妄想)

 

 

 

この作品の文章を書き始めた時は、それこそ指摘する箇所がたくさん頭に浮かんでいたし書き出しから攻めたのですが、

 

1描写1コマを執拗に洗っていくと、あれ?言うほど悪くないんじゃないかな?と自分で自分の評価が変わって来ました。

 


もう一度観たり何度も鑑賞すると、次は大きな波のような感動があるかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 13点

 

蒔田彩殊 1点

 

構成 13点

展開 13点

完成度13点

 

 

[67]点

 

 

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年内に1記事・・いや2記事は載せる予定でパソコンを開こうと思います。

 

 

 

フォローしてね

 

 

 

【mAb】

 

 

 
 

THE映画評論『きみの瞳が問いかけている』『ドクター・デスの遺産』

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鬼はソトに逃げたのかしら?

 

また襲ってくるのでしょうか?

 

 

福はウチに居るのでしょうか?

 

 

どうぞごゆっくりなさってください。

 

 

 

2021年度 初回の記事になります。

 

 

更新頻度も悪く、読み直せば誤字変換ミスの多さに毎回焦る、未だ未熟な書き手ではありますが、本年もどうぞご贔屓に宜しくお願い申し上げます。

 

 

2010年の初夏に初めた『mAbによる映画一期一会』も、早いもので今年で11年目になります。

20代の自分みたいに「一期一会」という言葉は乱用しなくなりましたが、今でもとても大切にしている言葉です。

 

 

これからも細々と更新していきますので、読者の方は更新されたら読んでやってくださいませ。

 

 

私はアメーバブログでのその11年の間。劇場で公開される新作映画を記事にしてきました。

 

 

シネコンが主流となった今、「ロードショーはナマモノ」だと自分自身が記事で繰り返し書いています。

早く観に行かないと上映が終了してしまうよ。映画館の巨大なスクリーンで観れるチャンスを失ってしまうよ。

 

 

公開の平均寿命は1ヶ月。成績の伸びない作品は2週間ほどで区切りをつけられる短命。

 

 

その1ヶ月以内に記事を作成しなければならないと分かりつつ、ここ数年は公開当時(数ヶ月前)の記憶を振り返りながら語る記事を書いています。ただのナマケモノ。

 

 

今年は出来るだけ記事を更新して(上半期中には)リアルタイム(公開中)に戻すのが目標。戻した後は、それを維持できる様にするのが、mAbのアメブロ最大目標です。

 

 

今回から暫くは、昨年中に公開された日本映画で前回の記事にて載せ切れなかった作品をご紹介致します。

 

尚、今は我が国にとって大事な時期ですので、ご自身の判断で劇場鑑賞の参考にしてくだされば幸いですm(_ _)m

 

 

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『きみの瞳が問いかけている」

 

 

 

 

監督🎬

【三木孝浩】

 

 

CAST:【吉高由里子】【横浜流星】

【やべきょうすけ】【田山涼成】【野間口徹】【岡田義徳】【風吹ジュン】【劇団EXILE:町田啓太】他

 

 

 

 

 

目は不自由だが明るく愛くるしい明香里(吉高由里子)と、罪を犯しキックボクサーとしての未来を絶たれた塁(横浜流星)。小さな勘違いから出会った2人は惹かれあい、ささやかながらも掛け替えのない幸せを手にした──かに見えた。
ある日、明香里は、誰にも言わずにいた秘密を塁に明かす。彼女は自らが運転していた車の事故で両親を亡くし、自身も視力を失っていたのだ。以来、ずっと自分を責めてきたという明香里。だが、彼女の告白を聞いた塁は、彼だけが知るあまりに残酷な運命の因果に気付いてしまっていた──(公式サイトより抜粋)

 

 

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本作品が韓国映画のリメイクで、その韓国版が元にしたのは英国の喜劇王【チャールズ・チャップリン】の名作『街の灯』。

 

 

 

その情報を鑑賞後に検索して初めて知りました。

 

 

「近くて遠い国」のキャッチフレーズ(揶揄的愛称)でお馴染みの韓国・・ご承知の通り日本とは現在とても仲が悪い状況です。元凶は我が国ですが、時代を越えてもなお、度重なる言いがかりを付けられている時代の代償の言い分は筋違いで残念に思います。

 

 

腹のなかではよく思っていないであろう、見せかけの握手を交わす機会が政治の世界ではあると思いますが、今作品のように音楽やエンタメだけは両国を行き来し仲良くしていきたいですね。

 

 

先の国会中継でも日韓エンタメの交流を引き合いに出されていましたが、大韓民国の国民反日感情により、全メンバーが日本人だという理由で韓国デビューが困難な状況を強いられている2020年度紅白出場ガールズグループNiziU。韓国でデビュー出来ないということは世界(欧米)を目指せないということですからね。そういうの振り払ってくれないと・・実力もあって魅力的、日本を代表するアーティストに韓国発のロケットで飛ばして欲しいです。脱線しました。

 

 

 

では始めます。

 

 

改めて『きみの瞳が問いかけている』

 

 

劇場鑑賞後の熱冷めやらぬうちにiPhoneのメモアプリに箇条書きした今作品に対する私のレーティングは低かったです。

 

 

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>ありきたりな物語とありふれた構成

筋書きだけを追ったシーンの繰り返し、展開の速さ

純愛ストーリーなゆえに作り手側の技術が表面上で悪目立ちをする。

 

 

低評価だがW主演の俳優は見所があった。

【吉高由里子】の存在感・演技力が光り、【横浜流星】氏の高い身体能力の様子が観ていて楽しい。

キャリアを積んだ「演技派天然女優」に、最近の男優に多い運動神経のいい「スポーツマン俳優」。男女の年齢差はあるが面白い組み合わせだった。

 

 

___

 

 

 

(物語を振り返りながら、今作品に対する私の見解を語ります)

 

 

日当たりのバイトで生きるその日暮らしの生活をする青年。横浜流星さんの横浜降臨。

 

 

例えば、品川庄司の品川ヒロシ監督が品川駅を舞台にした作品を撮るみたいな感じで、

 

横浜の苗字を持つ男優が、舞台地を横浜にするとは・・・あえて狙っているのだろうけど、個人的にはあまり面白くはないかな。隣の川崎市だったり、コメディ映画だったらいいけど・・でも、ここを広げても意味ないからスルーします。

 

 

 

 

見た目の印象:売れないバンドマンみたいな髪型。頬がコケていて色白。小顔で少しアゴが前に出ている。

 

 

無気力で無口だけれど物腰は柔らかく、性格は優しい。

 

 

しかし、キレると何をするか分からない若者、「何を考えているか分からない」現代の若者像を連想する。細身な見た目なのにゴツゴツした手は、素人目にも沢山の人を殴ってきた跡が見える。

 

 

冒頭。その日暮らし・住所不定の宿無し(上の写真の)青年は立体駐車場の管理人の仕事を得る。

前任の老人が飛んでしまったそうで、その老人の残骸部屋にそのまま住む。

 

 

(仕事を飛ぶ=トンズラする)

 

 

住み込みのアルバイトということだが、荷物もなく着の身着のままなので、若いのに寂しい人生だなと思った。

 

 

面接は遅刻。愛想も愛嬌もない若者。

履歴書ペラいち・住所不定の若者に管理人を任せるぐらいだから、結構いい加減な管理会社だなぁとは思った。

 

 

(単純に描き切れていないだけなのかもしれないが・・)

 

 

その老人と仲良しだったのが、この映画のヒロイン、盲目の女性。

年齢は20代後半くらいか。健常者が働く職場でテレホンアポインターをしている。

視覚障害者の彼女は【野間口徹】さん演じる上司にアプローチをされている。真剣交際か性目的か?普通の会社で働くことは大変なことなのよ、あなたに分かる?確かにそうだと説得力しかなかった。

 

 

坂の中腹に建つアパートで一人暮らしをしている。親とは一緒に住んでいない。

「障害を持ったまま自立している主人公像」を日本ではあまり見ないので、そこは少し気になる部分でした。中盤に「一人」で生活する理由が紹介されますが、せめて親族の存在は出して欲しかったですね。

 

 

テレアポの仕事帰りに駐車場の管理人室に立ち寄り、老人警備員の隣でテレビドラマを見て帰る、という平日の習慣のようだ。

 

この女性がどういう経緯で、一応は仕事中の管理人室に足を運ぶようになったのか?は謎。こういう箇所は怒涛(内容よりも展開重視)を好む韓国映画のリメイクぽいと思った。

 

 

アルバイト初日。何も言わずに管理室に入って来て、慣れた様子でテレビを見始める女性に戸惑う主人公の青年。

 

青年はとにかく無口で言葉数が少なく自己主張がない。普通なら「えっ、誰?」とか「どうされましたか??」くらい言葉を発してもいい状況。管理室に侵入してくるんだもんね。

 

 

正直、じれったいと思うほど、コミュニケーション能力が低い。

 

いつもの管理人が老人でないことを知った彼女は、新たな管理人と知り合い打ち解ける。

 

そして二人は恋仲になっていく・・・。

 

 

彼と出会う前の管理人室で、隣り合わせで座っていた老人とは恋愛関係にならなかったわけですから・・これが恋愛映画ですよね(笑)

 

 

一般の企業に勤める盲目の女性と施設育ちで前科者のキックボクサー。

 

 

出会うまでは、なんとか生きている、といった状態です。

出会って出逢って恋をして、生きていることへの幸福感を知る。

青年にとっても女性にとっても、互いに信頼できるパートナーを得た幸せが銀幕越しから伝わってきます( ´∀`)

 

 

だが、そんな彼に近づいてきたのは、児童養護施設で兄貴分だった半グレのリーダー。

 

 

幸せを掴むと無理くりにでもハプニングを起こすのが映画というもの。

 

彼女は目に障害がありますが、彼は交友関係に障害・・いや毒があるのです。

 

 

腐れ縁同士。切っても切れない縁。お互い親がいないor親に恵まれない境遇で施設に入所し兄弟の様に過ごしたのでしょう。

悪い友達と付き合うな!とは現実的に思いますが、血が繋がっていないとは言え兄貴分が悪道に染まっているなら止められない真理条件なのかもしれませんね。

 

 

彼女と出会うまで主人公の青年は、この男に頼まれ大金蠢く地下格闘技で闘ったり、闇金業で借金の取り立てなどをしていた過去を持っている。そしてその時期に起きたある事件の傷を今も心に負って生きている。

 

 

前半から【やべきょうすけ】君演じるジムのトレーナーは彼の才能に惚れ込んでいて現役復帰の説得を続ける。

彼女と恋をした彼は、所属していたジムに頭を下げて戻り、再びキックボクシングのリングに戻る。

 

 

全てが順調。まさしく順調。1日ごとに好きの気持ちが強くなるんだ、愛おしい人よ。格闘技も連勝街道を進む。

 

そんな中、半グレ反社の幼馴染が「戻ってこいよ」と近づいて来た。思った通りだ。なんて予想通りの展開だ(・Д・)

 

 

足を洗った、もう勘弁してほしい。そう願っても、彼らには通じない。今の世の中、反社会よりタチが悪いのが半グレだ。

 

 

アパートの玄関を落書きされたり、嫌がらせを受ける日々。彼女は目が見えない。だから落書きも見えない。だが、次はどうなる?拉致されるのではないか??半グレのリーダーは幸せをつかもうとする弟同然の彼を容赦なく追い詰める。

 

 

彼に日の目を浴びる未来はない。表舞台に上がることは許さない。お前は俺と同じちかで生きていくんだよ。さぁ俺と一緒に来いよ。(書いている文言は私の想像(解釈)です)

 

 

一方で、ずっと迷っていた視力の回復手術を受けることを決断した彼女。

彼女の目は事故によるものだが、手術を受ければ昔の様に見える可能性がある。

 

 

難しい手術なんだろうけど、個人的にはその情報は最初に知りたかったですね(^_^;)

 

 

地下に戻る決心をした彼。杖のいらない生活を取り戻そうと決めた彼女。

 

 

だけれども、彼女の目が見える頃には、彼は彼女の前から姿を消している。

 

 

彼の顔を見たことがないままで。

 

 

 

 

 

___

 

 

 

自分はデビュー当時から女優:吉高由里子のファンなので、今回の難役には期待したが、感触としてはそこまでだった。

 

 

【三木孝浩】氏は『アオハライド』や『僕は明日、昨日のきみとデートする』などで知られる監督で、10代20代の旬(ブレイク中)の俳優を起用した青春映画を撮られる方と認識しています。

 

 

恋愛のドキドキを描く(表す)空間認識能力がとても高い人物だと思いますが、日本の恋愛映画に多い典型的な突進型の人物構成で、「主役の両名以外」のキャラクターに幅を広げないため、特に印象に残らないのが残念です。作品と主演俳優は覚えているけれど、内容はどんなだっけ?と思い出す間が必要。

 

 

前半終わり、回復手術を決断するまでを物語文で書きました。その後は可哀想でそれでいて愛おしい気持ちが胸に溢れます。

 

先程も物語文を書きながら、心の声を漏らしてしまいましたが(^_^;)幸せをつかもうとすると邪魔が入る予想通りの展開なので、後半も「そうなるだろうな」と展開に納得しつつ、横浜流星さんの役作りの様子が細長の体躯に表れて素晴らしいと思いました。

 

 

___

 

 

 

W主演の2人は印象に残るが、逆に、もっと印象に残って欲しいのに・・・印象に残らなければならないのに・・と残念に思った俳優は、半グレ社会のリーダー役を演じた【町田啓太】さんです。

 

 

「悪の要素」が俳優から見えなかったこと。

 

 

言い方を変えれば、役柄にある「育ちの悪さ」が見えずに鋭さがない。残念ですが、この俳優にはこのような役が全く似合いません。目の奥に人間味があるんですよね。よく「目の奥が笑っていない」という人の評価がありますが、彼はその逆に感じます。

 

 

演じる役は施設育ちの孤独な少年で、ハングリー精神でこの地位まで上り詰めた悪党です。

 

 

 

 

劇団EXILEの町田啓太さん。苦労人ですし、昨年初春、深夜帯の連続ドラマ『女子高生の無駄遣い』をキャスト目当てで毎週見ていて、彼が演じるオタク教師役がハマっていたので、今作でチラシに名前を見つけて楽しみにしていたんですけどね。

 

 

顔の作り的に柏原崇さんのような爽やかだけどクールさも兼ねそろえた俳優になって欲しいと願っています。

 

 

主人公と同じ児童養護施設で兄弟のように育ち、今でも兄弟分として付き合っている絆。善の道に戻す説得はしない。切っても切れない絆らしい。ただでさえ180cmを超える半グレのリーダーって目立つと思います。日本の警察は何やってるんだ。

 

 

最後に。

 

 

少しだけ現実に重ねて、この映画を観ていました。

 

 

児童養護施設で育った子供が、半グレになり、人を騙し、脅し、恐喝し、それで得たお金で生活をする大人になっている。

 

 

逆に、そういう環境で育った子供が、逆境に負けずに太陽の下を歩いていく物語の方が、素敵ですけど・・それだと映画のネタにはなりづらいですからね。

 

 

何不自由なく育ち、一般的な家庭で悪いものは悪いと叱られて育った環境の子供が、将来犯罪を起こしたり半グレ・反社会の人間になるイメージはあまりないので、ハングリーな環境で育った子供が悪人になる方が納得はできる。

 

 

しかし・・こういう内容の映画を見ると「児童養護施設からの出身者のイメージ」を悪くしていないか心配にもなる。

 

 

今回の映画もカトリックの児童養護施設で育った2人の男の子が、施設を飛び出して悪事を繰り返しながら、裏社会でのし上がって行っておる。この逆で社会に出て真っ当な道で成功していく卒園者もたくさんいるだろう。

 

 

施設育ちの人間は真っ当には幸せになれないという「印象・括り付け」が根底にあるような気がして、そこに韓国映画のキナ臭さみたいなエッセンスも加わっている。

 

 

冒頭に書いた様に、韓国映画のリメイクというのは鑑賞後に知ったことなんだけれど、それを知って「あぁ、だからなんだかしっくり来なかったんだ」とモヤモヤしていた違和感に納得がいった。

 

 

1つ1つの設定をより丁寧に描いたり・膨らましながら展開して行くドラマが「自分の好み」になるので、それで言うと今作品は色々と情報不十分に進めていルノで、映画という2時間ドラマではなく連ドラ(11時間)向きの物語に思います。

 

 

 

 

 

 

脚本 13点

演技 14点

構成 13点

展開 13点

完成度13点

 

[66]点

 

 

____

 

 

 

『ドクター・デスの遺産』

 

 

 

 

 

監督🎬

【深川栄洋】

 

 

CAST:

 

【綾野剛】【北川景子】

 

【柄本明】【木村佳乃】

 

【岡田健史】【前野朋哉】【石黒賢】他

 

 

 

 

 

 

「苦しむことなく殺してさしあげます。」ある闇サイトで依頼を受け、人を安楽死させる連続殺人犯ドクター・デス。その人物の存在が明らかになったのは、「お父さんが殺された。」という少年からの通報がきっかけだった。警視庁捜査一課のNo.1コンビ犬養(綾野剛)と高千穂(北川景子)は、さっそく捜査を開始。すると似たような事件が次々と浮上する。捜査チームのリーダー麻生(石黒賢)、新米刑事の沢田(岡田健史)、室岡(前野朋哉)、青木(青山美郷)と共に事件の解明を急ぐが、被害者遺族たちの証言は、どれも犯人を擁護するものばかりだった。ドクター・デスは本当に猟奇殺人犯なのか?それとも救いの神なのか?そして、驚愕の事実と更なる悲劇が犬養と高千穂に降りかかる。(公式サイトより抜粋)

 

 

___

 

 

 

こちらの作品も上記紹介の作品同様、個人的に期待していた作品でしたが、蓋を開けてみればイマイチだった。

 

 

それを感じさせた原因の一番は(この映画に限って)主役の2人に華がないから。

 

 

どちらも好みの俳優です。

 

 

【綾野剛】君は同世代(昭和50年代生まれ)きってのカメレオン俳優だと思いますし、昔の彼を知っているぶん下積みから主役という頂点に登っていったことを大変嬉しく思っております。

 

 

私情は切り離し。こういう悪態をつく破天荒な刑事役を演じさせた場合には毎回、わめき散らして物に当たる演技プランをするのが私にとっては、どうも感情的・暴力的に感じてしまい、熱演・好演にも関わらず若干引いてしまうのです。

 

 

いきなりワーと大声を出したり、カッとなって物に当たったりするタイプが苦手な方だと、この映画を「やかましく感じる」かも知れません。

 

 

熱血漢や情に厚い表現方法も「昭和生まれ」俳優の特権ですが、刑事という役柄、冷静になる場面は落ち着いて、メリハリをつけて欲しい。

 

 

綾野君は静(シリアス)と動(アクション)どちらの演技性質も兼ねそろえている男優なので役の幅は広い。

 

役に入り込む熱演系なので、彼に商業映画のイメージは付いてないけれど、そろそろハマり役・代表作が欲しいと願います。

 

 

男女コンビで犯人を追う物語です。見た目的に年齢差はあるはずですが、ため口で話し合い格差なく同等な関係性。

 

 

主人公の刑事とバディを組む女刑事役で主演されている【北川景子】さんは、国民的女優でイメージも人気も安定して高いけれど、この映画を見ているとシルエットに芸術性がないのが気になりました。

 

 

演技力どうこうよりも一番に体型です。

刑事役を演じるには体の線が細すぎるし、男勝りな女刑事役だとしても、あえてサラシでも巻いて胸を目立たなく見せているのではないか?と思ってしまうほどバストが目立たないから、中世的に見えてしまう。

 

 

「ぴっちり目の服を着るなら、出るとこ出たボディラインが欲しい」という要求は今の時代違うと思うけれど、オジさんの目線で書いていないのは読者の方ならわかると思います。

 

 

あくまで個人的な見方では、この映画の北川景子さんは、終始キリッとしていて色気がなかったと感じた次第であります。やはり彼女の良さだと私が思う「優しさ」が表面から滲み出てこないので、彼女の良さが出せなければ、他の女優でも今役は良かったのじゃないのかなと思ってしまうのです。

 

 

ちなみに、事あるごとにクワッ!と眉間に皺を寄せるのは、昔からこの女優の癖で初期からここでも書いています。

コメディでもサスペンスでも、目力を意識するとシワが寄るのが北川景子さんの特徴。いい意味で表情はワンパターン。

 

横の線(オデコのシワ)より縦の線(眉間ジワ)なんですよね。

 

 

 

 

 

でもまぁ・・この映画の原作も内容も知りませんでしたが、チラシで綾野剛君と北川景子さんの両名の名前を見て、泥臭くてテンションの高い作風になることはまず間違い無いだろうと予想していたんです。続編を作るテイでキャスティングしているのかな。

 

 

___

 

 

SNSで依頼を受けた患者を「安楽死」させるという、巷で話題の「ドクター・デス」という通り名の闇医者。もちろん日本では安楽死(尊厳死)は認められていないので「犯罪」です。

 

 

ある遺体の出棺に立ち会うことになった綾野剛君演じる刑事は、父親の死を警察に通報した遺族の子供の一言から勘ぐり、火葬を中止させ、その遺体を鑑識に回します。

 

 

解剖の結果、遺体から異常値のカリウム濃度が発見される。安楽死という「殺人事件」が判明。警察は捜査の中で安楽死業を行うドクター・デス(以下・デス)と、デスに帯同する助手の女性看護師を捜索する。

 

 

安楽死を行なったことは確実なのだが、遺族たちは頑なに口を割りません。刑事は何度も足を運び、彼らに訴えることで話を聞こうとする。そして僅かな映像のヒントから看護師の居場所を突き止め任意同行。続けて医者も確保するが、そう簡単にはことは進まない。

 

 

一方。主人公には一人娘がいて、冒頭から娘との描写が展開ごとに描かれていきます。

 

 

妻と死別して以降は男手一つで娘を育てている。しかし運命とは残酷なものですね。

 

 

最愛の一人娘は病弱で小児病棟で入院生活を送る。学校は行っていない。自分用のスマホを持つ。

職場と病院を往復する日々を過ごしていた主人公。疲弊しているが一人娘を心の底から愛している。

 

 

これまで(映画前)はきっと大きな犯罪がなかったから娘のことを気にかけていられた。

安楽死業を行うデスを追う様になってからは、職務に全うする様になるから娘への愛の描写が弱めになる。子供は繊細だし敏感だ。そして何よりも無垢で優しい。

 

 

取り調べ室で、私情を例に話す主人公。そうして「娘の存在」を知ったデスは病院に潜伏し愛娘に接触。あなたはお父さんのお荷物なのだと子供の精神を揺さぶり、子供自らからデスに安楽死の依頼をさせるように仕向ける。依頼をする。依頼を受ける。双方が合意した。

 

 

主人公の携帯電話が鳴る。

愛娘がデスに誘拐され、刻一刻と安楽死へのカウントダウンが始まる。

 

 

___

 

 

 

公式サイトには捜査本部など刑事たちの様子が特集されていますが、主役2名が常にセンターにいるため特別目立ちません。

 

 

【岡田健史】さんなど大ブレイク必至の若手俳優も出演されていましたが、引き立て役に回っていて、2人を囲む刑事役のキャストさん方は皆、いぶし銀のようでした!

 

 

この映画の見所を選ぶなら、合法化されていない安楽死という選択を完全に否定できないこと。

安楽死は尊厳死とも言いますが、この映画では「安楽」で統一されていて、映画を見ながら何か意味があるのでは?と考えました。

 

 

劇中。デスに依頼し死を選ばれた方は、投与前にビデオカメラを回し、生前最後のインタビュー撮影に応じるのですが、

 

その様子はまさしく漢字の言葉通り、「安らか」に「楽しく」「死」んで逝っています。

 

 

尊厳死と聞くと、とても厳かに感じますが、この映画のそれは安楽死。「楽しく死ぬ」という言葉の発想は素晴らしいと思います。個人の見解なので、捉え方が違うかもしれませんけど、私は安楽という言葉がこの映画のメッセージなんじゃないかと想像します。

 

 

ルールはルール。犯罪は犯罪。だけど「死を選ぶ」という選択をしたのは本人であり、家族です。その心理も分かるぶん、デスの言っていることが綺麗事や自己満足だとも思いきれない自分がいました。

 

 

安楽死を選ぶ本人や遺族は、ネットを介しデスに依頼するのですが、介護疲れだったり、迷惑をかけたくないと家族に対しての優しさもあるんですよね。

 

 

年配の方が、どういう経緯でインターネットでも闇サイトみたいな扱いとなるデスの存在を知ってコンタクトを取ったのか?は、描かれていないのでよく分かりませんが、幸せな人生だったと、満足そうに死んで逝った者もいるので、一概にデスを「悪」だとは思えず、それも個人の終わりの在り方なのかな、と。

 

 

ハードルは富士山級に高いですけど、もし近い将来、欧米のいくつかの国の様に、日本でも安楽死が容認される様になった場合は、

選択肢の1つになるのではないかな?と本気で考えてしまった次第です。

 

 

でも・・いいや違う違う、と。そこにはやはり「安楽死は日本では認められていない」が大前提に有るので首を振るのです。

 

そもそも映画だからね。犯人はもちろん、自分を正当化した悪魔みたいな輩だよ(^_^;)

 

 

主人公は現在1人で暮らしていて、病院で入院生活を送る娘がいます。娘が元気になったら父娘2人で暮らすのでしょう。

 

 

冒頭。娘の小児病棟階の広場。娘と親しい喘息で入院していた男児が急逝してしまいます。

 

主人公の心は乱れる。昨日までいた子供が亡くなった。死を身近に感じる。

 

最初にチラッと紹介するくらいの出演なのですが、個人的にはとても印象に残っています。

 

なぜなら、私も子供の頃は小児喘息で、それも重度の喘息で成人するまでは入退院を繰り返していたからです。

 

なので他人事では無い気持ちでした。

 

 

(大人になった現在は元気100倍です)

 

 

その娘さんの事情があるので、この刑事像、子供に対しては敏感で勘が働くように演出しています。最初の安楽死に気付いた映画のキッカケの入り口も子供の通報からで、お医者さんがアパートに来て、その後すぐにお父さんは死んだ。それにピンと来た刑事は火葬中の遺体を引きずり出すのです。

 

 

 

 

この刑事は情緒の起伏が激しく、冷静さを失うと物に当たったりするので、見ていてとても不安定でメンタル面が心配になる。

 

 

昼も夜も薄暗い背景が多いです。

女刑事とバディを組んでハードボイルド風に見せたいのなら、もう少し決めるところは決めるなり、落ち着いて欲しかったです。

 

 

先ほども少し書きましたが、後半デスが本来の筋から逸れて若干、暴走し始めます。

 

せっかく・・安楽死という言葉に唸ってフォローしたんだけどな。。これだとただの計画殺人。

 

 

主人公の弱みに付け込んだり精神的に追い込んだりする展開は暴走に見えますし、これによりよくある刑事物やサスペンス物になってしまうので、後半の展開は残念でした。

 

 

それまでデスの考える正義や主張には依頼者遺族の感謝も込められていたので、肯定される気持ちにもなりましたが、「結局こうなるのか・・」と相変わらず「刑事vsサイコ犯」の似たり寄ったりの展開になるのは、まだ日本映画自体がアクション系に慣れていないからでしょう。独自路線を開拓する様な冒険もして欲しい気持ちも若干あります。

 

 

____

 

 

 

題名に注目します。

 

 

「遺産」(レガシー)という言葉が使われていますので、その意味を踏まえてメッセージ性のある作品になっているのではないでしょうか。遺産とは後世に残す事柄だったり、受け継がれて・語り継がれていくものですよね。題名が深い

 

 

遺産をMacBookの辞書で検索すると

 

 

 

① 死んだ人の残した財産。所有権債権などのほか,債務も含まれる。

 

② 前代の人が残した業績。「文化―」

 

 

とあります。この場合は②になるのでしょう。興味深いです。

 

 

この記事を書く際、キャストを調べるためにWikipediaのページを開きましたら、今作品に原作小説があったことを知ります。

 

 

 

 

 

 

原作がある場合、映画版は最後に表示されるので、ページの一番下までスクロールする必要がありますが、せっかくなのでWikipediaに書かれている小説のあらすじも読んでみました。

 

 

その後、映画版を読んでびっくり。

原作と映画には変更点があるそうで、一番大きな違いは、原作とは異なる設定で主役の刑事2人のキャラクター性を変更したそうなのです。

 

 

この小説を読んだことはないけれど、個人的には記事の冒頭から描いてきた違和感がまさにそれでしたから、原作をいじって面白くなるパターンも中にはありますけど、今作の完成品を見るに、とにかく男女コンビが2人とも同じ様なキャラクターで、耳にも喧しかった。こういうジャンルの映像化は、原作に忠実で映画を作って頂けたら良かった・・と勝手に思いました。すみません。

 

 

最後に。

 

 

鑑賞後にiPhoneのメモアプリに箇条書きした今作の劇後の見解・感想です。

今しがた新規で書いた点と被っているところは、その点を強く押したいのだろうと解釈なさってください。

 

 

 

既に出来上がっている男女バディの関係性に初見では違和感を感じる。警察の捜査本部の主本部以外も知りたいところ。主要キャスト以外の視点がないことで、よくあるテレビのNEWSなどを用意しても、近年は他の邦画もこぞって同じことをしているわけだから規模が狭く見える。北川景子のアクションは魅力的だが、胸の膨らみがなく女性らしさ、母性をあまり見受けず「カッコいい男子」とも取れる。現場叩き上げの女性刑事なので、役作りなのかも知れないが、それにしても北川景子の演者としての良さがこの映画にはほとんど出ていなかった。

 

 

綾野が演じる感情的な刑事。刑事は私情を犯人に話してはダメと実際にも言われるが、人情的な主人公ゆえに、犯罪心理学的に精神を揺さぶりたくなる。おそらく「次回作」も身内が巻き込まれていく様に創るのだろう。劇中にたびたび不安になるような「編集点の長さ」があり、個人的にはきりの良いところで切ってほしいシーンの切り替えがいくつもあった。余韻を残したいのかもしれないが、無駄な尺が多い。木村佳乃さんの水気がないガイコツみたいな輪郭の形がこの映画のタイトルとよく合っていた。キャスト名を見た時からこのメンツの中だと大御所になるので、格が上がった感じ。敵役の登場人物は二人しかいないので的を絞りやすく、それがあえて深みのなさを感じさせるかな。

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 14点

構成 13点

展開 13点

完成度14点

 

 

[68]点

 

 

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長年定期購読していた映画雑誌も読むのをやめ、海外のタブロイドもチェックしていないので、映画に関する情報はミジンコです。

 

現在各国の映画製作状況がどうなっているのか?また、どうなって行くのか?等、個人的に知り得ていませんが、おそらく来年2022年の夏頃には新型コロナも落ち着くでしょうから、長い目で見て、各自心の平穏を探しましょう。

 

 

私の今年の目標は記事を多く書き投稿するですから、拙い文章と熱い文面を読んでいただいて・・・心の拠り所は言い過ぎでしょうけど・・ほんのひと時でも気晴らしになれたらいいなと思っています。

 

 

 

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ご存知の読者様もおられると思いますが、

私mAbによる映画以外の内容はこちらのブログに書いております。

同じく不定期更新ですが、AcAademyよりは頻度が多いです。宜しければお訪ねくださいね。

 

 

 

 

 

 

【mAb】

 

THE映画評論『サイレント・トーキョー』

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『サイレント・トーキョー』

 

 

 

 

 

監督🎬【波多野貴文】

 

 

CAST:

【西島秀俊】

【石田ゆり子】【佐藤浩市】【井之脇海】

【広瀬アリス】【中村倫也】【加弥乃】

【勝地涼】【金井勇太】【白石聖】【財前直見】【鶴見辰吾】他

 

 

 

 

 

 

 

 

栃木県某所に巨大セットを組んで総工費3億円という日本の商業映画級の予算で渋谷のスクランブル交差点を再現したそうです。(奇数の予算額は縁起がいいと個人的に思っています)

 

 

その情報を私は知らなかったので、今作品を鑑賞中は、「これ、どうやって撮影したのだろう?」と思いながら観てしまうほど、セット((良い意味で)作り物)だとは思えぬリアルさで、採点の完成度項目では大きく加点。とてもリアルでした。お見事!

 

 

昨年までは渋谷に行けば外国人がスマホやビデオを片手にスクランブル交差点を渡っていたので、外国の方が自国に帰って、今作とその時の映像を見比べても「同じところだ!」と疑わない気がします。

 

 

またテロ映画は世界では沢山ありますし、お隣の国の『シュリ』なども当時は衝撃でしたが、日本は別です。

 

軍隊を持たない日本で、こう云うシネコンで放映されるような本格的なテロ映画は初めてに近いです。世界でも十分、評価される出来栄えだと思います。

 

 

しかし細部の状況説明、登場人物の役割分担の部分には疑問が残りましたので、この記事は高評価と低評価が入り混じる評文になるでしょう。

 

 

おしゃれなテロ映画。

個人的には2020年度の日本公開邦画で五指に入った作品。

 

爆破テロが起きるのは映画の前半終わりになるので、そこまでを紹介します。

 

 

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12月24日、東京。恵比寿に爆弾を仕掛けたとTV局に電話が入る。半信半疑で中継に向かった来栖公太は、そこにいた主婦・山口アイコとともに犯人の罠にはまり、実行犯へと仕立てられてゆく。その様子を朝比奈仁が静かに見つめるなか、爆発は起きた。そして次の犯行予告が動画サイトに上げられる。「標的は渋谷・ハチ公前。要求は首相との生対談。期限は午後6時」。独自の捜査を行う刑事・世田志乃夫と泉大輝、不可解な行動をとるIT企業家・須永基樹、イヴの夜を楽しみたい会社員・高梨真奈美、そして一帯を封鎖する警察、事件を一層煽るマスコミ、騒ぎを聞きつけた野次馬たち。様々な思惑が交差する渋谷に“その時”が訪れる。それは、日本中を巻き込む運命のXmasの始まりだった。(公式サイト:ストーリーより抜粋)

 

 

 

時代設定はおそらく2020年前後。東京の街が舞台です。

 

1つだけ明らかに違う部分があるので、「パラレルワールドの日本」と言った感じで視ていました。

 

 

今作品を鑑賞する前は、「日本でテロが起きたらどうなるのか?」という現実を映画で見せてくれると予想していまして、その通りに見せてくれた「テロ想定映画」に仕上がっていますが、「日本で」という部分はパラレルワールドでしたね。

 

 

その1つとは、この映画の総理大臣が、まるでアメリカのような姿勢を崩さず、自らの信念を貫き通す人物で、この総理だったら(日本人テロリストが発生して)納得と思わせます。

 

 

この映画の与党がどの政党なのか?分かりませんけどね(^_^;)

ここだけは現実的ではないので、フィクション性が増します。

 

 

【鶴見辰吾】さん演じる総理大臣が独裁的で、軍事力のある日本という設定が背景にありそう。

 

 

 

だけれど劇中にテロが起きた際は、現場にいた警察は殆ど機能せず、1人の刑事だけが活躍しているので、軍事力とかそこまでの想像を伸ばす必要はないのかも。国民の防衛は警察がメイン。まぁアメリカではないんだからね。

 

 

国民⇄警察⇄テロリストの映画。ここはアクション映画。

劇中には海外派遣先での自衛隊ドラマが大きな起点となっており、その隊員の目の鋭さは日本軍のようにも感じるため軍事ドラマ。

 

軍事ドラマとアクション映画、この映画は2つのジャンルの魅せ方で観れます。

 

 

テロリストが爆破予告。日本はテロリストに屈さない!それ見たことか!?とマスコミ。私は間違っていない!と総理大臣。

 

 

国のトップがここまで強いのは、失礼ながら自国民としては非現実的に思いますが、軍隊を持つということは=テロリストが生まれるということに繋がると思うので、この点は現実的に考えられると思います。

 

 

「所詮映画だから」とも観る人はいますけど、最近の社会情勢から考えても、必ずしもありえない話とは言い切れなくなってきましたから、少々映画の世界と現実の世界とを重ねながら鑑賞する自分もいます。

 

 

___

 

 

 

総理大臣以外は割とごく普通の現代劇です。

 

 

仇がいなければ戦争は起こらない。

映画の物語を作成するにあたって、憎むべき相手がいなければテロを起こせないので、そうした設定にしたのだと推測します。

 

 

そもそもこの映画。総理大臣を主要ではなく、サブ役として登場させているのが実にいいです。

 

 

先ほど書いた図です。

 

 

国民⇄警察⇄テロリスト

 

 

国民が主役の話。

警察が主役の話。

テロリストが主役の話。

 

 

この3方向を主役視点で組み合わせた物語です。

 

 

いい意味で「警察が主役の物語」は単純です。

警察は単純、犯人は巧妙、この二つが相成って複雑になる。これこそ日本のドラマ。

 

 

映画の主要キャストは、テロリストとその関係者と一般人、そして警察がメイン。

警察を舞台にはしていますが、その上や根っこの組織までは広げて描いていないので、いち警察官を主役にして、犯人を追っていくという、ドラマでも映画でも散々描かれてきた展開です。

 

 

そこは『アンフェア』の小説家と『SP』の監督。警察を題材にしたアクションドラマに長けたタッグを組んでいるので、複雑ではなく見やすいドラマに仕上がっていると思います。

 

 

___

 

 

 

上映時間はエンドクレジットを含めて90分台と日本映画にしてはかなり短い本編時間になります。予告を入れても100分ほど。

 

 

普通は110分〜120分くらい。日本映画で3億円も制作費がかかっているなんて聞くと、私なんか勿体無いお化けが出そうで、130分くらいの上映時間を予想するんですけどね。

 

 

三度、この図を用います。

 

 

国民⇄警察⇄テロリスト

 

 

前半は3方向から主に4人の主人公を視点にしていき、後半部分で犯人の視点も(テロリスト視点の追加キャストで)メインに加わり展開します。

 

 

___

 

 

 

「ショッピングモールに爆弾を仕掛けた」「中継カメラを持って現場に来て欲しい」という匿名の連絡を受け、報道番組の制作スタッフが2名、現場に駆けつける。どうせイタズラだろうな、と会話しながら。

 

 

現場に到着すると【石田ゆり子】さん演じる中年女性に声をかけられた報道カメラマンが、ベンチに座るよう誘導される。

 

言われるがまま、その中年女性が座っていたベンチに身代わりで座らるカメラマン。

 

 

「離れないで!」

 

 

ベンチの真下に仕掛けられた爆弾は、一定の重力(30kg)が無くなれば爆発する仕組みになっている、と説明された。

 

 

後輩の契約社員・来栖が、ベンチの下を確認する。

 

 

 

 

(役を演じた男優さん。お名前は存じ上げませんでしたm(._.)m お名前が【井之脇 海】とあったので、キャスト一覧を見た時に女優さんだと思い込んでいました。カイさんと読むそうです。ジャルジャルの後藤さん系統のお顔立ち(^ ^))

 

 

顔面蒼白になったカメラマン。この所定の位置から動くことが許されなくなった。

 

 

中年女性は座るカメラマンに「この状況の映像を放送して」と指示し、彼の後輩である来栖の手を引き「あなたは一緒に来て」と、警備員室に駆け込む。

 

 

 

 

昼下がりの平和なショッピングモール。平和な日本ということで警備をする側も気を張った状態ではない。

 

 

母親と息子くらい年の離れた2人の男女が、必死の形相で警備室に入って来て「爆発するから避難するよう、今すぐに館内にアナウンスしてくれ!」と大騒ぎしても、即座に「はい、分かりました」で対応できないと思う。そもそも現実的に、今の時代は迷子のアナウンスだって館内放送で聞かなくなったでしょ(⌒-⌒; )

 

 

この警備員の対応の仕方も、この場面だけの登場でしたが、リアルで良かったです。

 

 

映画では、この頃の東京で爆発物が見つかったり、大規模テロの前兆がしっかり起きて(描かれて)いるのだが、前述の通り総理大臣はテロリストには屈しない姿勢を見せ、一切の要求には応じないため、それほど大きく報道されていません。

 

 

(作中に爆発物騒ぎが起きた舞台地は浅草寺なので・・・私の地元なのだが_:(´ཀ`」 ∠):)

 

 

映画の最初の見せ場となる、恵比寿のショッピングモール爆破テロが起きるまでの間。このモール内で不審な動きをする男たちが登場している。犯人は現場にいる。王道こそ正義。

 

 

【佐藤浩市】さん演じる黒の革ジャン紳士。モールを見渡せる喫茶店に入店。ウェイトレスへの当たりは柔らかい。

 

 

時間を前後し【中村倫也】君演じるIT社長は、同じくモールを見渡せる喫茶店にて、【野間口徹】さん演じる謎の人物から、頼んでいた秘密のブツを渡される。ウェイトレスへの当たりは素っ気ない。

 

 

日本の映画作品では知名度の低い俳優を重要な役に起用することはまずない。

従って、この2名が今回の爆弾テロに深く関わっていることは、想像などしなくても安易に分かる。

 

 

___

 

 

 

ショッピングモール内で発生した爆発騒動事件により警察の登場だ!!

 

発生場所が恵比寿なので渋谷署の管轄。

 

 

(東京23区。どこの区も事件が多くて大変そうだけど、渋谷署に配属されたら・・腹の中では何を思うのかな。毎年ハロウィンの時期は署員総出なのかな?と気の毒に思ってニュースを見てます。)

 

 

刑事役を演じるのは【西島俊秀】さんと【勝地涼】の2名。

見た目40代と30代。先輩後輩の間柄。基本バディで行動する。

 

 

最近の刑事物は単独行動の突っ走り系が目立ちますが、ちゃんと2人で行動するのがいいですね。

 

 

恵比寿の爆発物騒ぎ後、2人は現場を離れ、周辺の聞き込み調査に出かける。

 

 

国道の喧騒から離れた閑静な高級住宅街。刑事はスレ違った通行人・中村倫也君演じるIT社長・須永を追いかける。

 

 

刑事の勘ってやつなのか?

刑事は全ての人物を疑ってかかると言うけど、この映画に関しては、最初からあいつ怪しいなという空気感で職務質問。

 

 

爆発騒ぎ→刑事が区内を歩き、人通りの少ない道で通行人男性(主役)に声をかける・・・まるでヤラセみたいな展開(^_^;)

 

 

たとえ昼下がりの住宅地だとしても、もう少し通行人のエキストラがいる中で、ピンポイントで声をかける方が刑事ドラマを描くなら現実的。でもまぁ・・平日の午後に働き盛りの男性が住宅地を歩いていたら不審に思うかな。

 

 

刑事の質問にも表情1つ変えず、冷めた目をして対応するその様子からは、怪しさがビシビシ伝わってくる。

 

 

私が前々から書いている西島秀俊さんのハ行の発音の際に息が漏れたように聞こえる滑舌は今回、気にならなかった。

 

 

この刑事も、恵比寿爆破騒ぎ後、他にも聞き込みをしているのだろうけど、劇中では中村君以外に声をかけている様子が描かれていないので、なんだか本当にピンポイントで的を絞りすぎて描きすぎ。刑事の描写は加点が少ないです。

 

 

___

 

 

 

IT企業家・須永は、若くして成功し、経済誌の一面を飾るような人物。

 

 

 

 

劇中には上京した母親が再婚相手と東京旅行に来ていて、ホテルのカフェで膝を突き合わせてお茶をします。その様子から母親思いの好青年なんだな・・と彼のギャップを感じる場面が用意されています。

 

90分台の短い上映尺の中で、この場面を入れるのですから、どうしても必要(重要)な場面なんだと思いながら鑑賞しました。

 

 

テロが起きる現場の近くには必ず彼がいて、「冒頭」から心ここに在らず状態に意味深な行動を起こしているから、彼がこの映画の中心なのは間違いない。

 

 

その冒頭、社長と合コンで知り合うのが【広瀬アリス】さん演じる都内のOL・マナミ。

 

【加弥乃】さん演じる同じ職場の同僚とOL・アヤノと2人で参加している。

 

 

目の前の席が社長。

 

3人ってことはないだろうなぁ・・。

複数人で同じテーブルに座っているのだろうが、画角に引きの絵がないので、3人で三角のように会食になって見える。

 

 

どういう集まりなのか、何人で食事会しているのか、全く分からない。

 

リアルを考えれば、彼は銀座の社会人ナンパスポット・コリドー街で名刺を配る様な人物でもないし、そこまでの社交性はない。

 

一般のOLがヒルズ族の様な男性と合コンしている状況なので、経緯や幹事も知りたい。

 

 

男性はスーツ姿でなくても、カジュアルな服装で高級レストランに入れているので、おそらく会員制なのだろう。

男があんな軽装で高層階のレストランで食事しているのだから、普通に考えて、店側が存じていて顔パスできる有名人だと考えるのが妥当だろう。

 

 

こういう些細な箇所に私は拘る。

 

 

___

 

 

 

テロリスト、怪しい人物、政治家、警察。

 

 

これだけでサスペンス・アクション系のジャンルは成立するはずですが、そこはやはり日本映画の性。

 

 

ここに付け加えるのが、事件に巻き込まれるヒロイン女優。この非現実的な存在(キャラクター)が映画の醍醐味です。

 

 

この映画のヒロインは先ほども紹介しましたが、【広瀬アリス】さんが演じるOL・マナミです。

日本人離れした鼻筋が気になりますが、演技力だけなら妹さんを超えています。口を縦ではなく横に開くので演技が大きく視えるのでしょう。映画の番宣でバラエティ番組によく出演されるので、リアクションの大きな女優さんの印象も私にはあります。

 

 

OLマナミかぁ・・・個人的に違和感が凄かったのが、このキャラクターです。

 

 

彼女の役割こそ分かりますが、正直役割以外は、なんだかよく分かりませんでした。

映像化の前に、原作となった小説や舞台版もあるそうですから、そこではもう少しヒントがあるのかな?

 

全くの所見で映画を見ると、彼女が演じた役柄は「駄作の域」でした。説明します。

 

 

 

【中村倫也】君演じる社長がテロ事件のキーパーソンになることは、映画の冒頭から匂わせ続けているので、映画が進むうちに必ず見せ場があり、伏線を回収していく事が予想出来ます。

 

 

OLマナミは友人のアヤノと参加した合コン先で、ハイスペック男子であるIT社長・須永の前に座りトーク。

 

親友アヤノが彼のことを気になっていると直感したマナミは、この席で徹底して間を取持ちます。

 

 

新進気鋭のIT社長・30代・都内高級マンション住み・塩系イケメン。

マナミは見向きもしない。タイプじゃなかったのかな?女の顔もしない。

 

女性同士だから嫉妬とかあるのかな?と思いながら見ていたのですが、自身は恋活をしていないので、人数合わせの合コンなのかな?とも(^_^;)とにかく純粋に親友アヤノの恋路を応援する。

 

 

翌日、合コンの帰りにお持ち帰りされ、彼の家でまったりしたよ、と報告を受ける。

 

 

え!それでそれで!?と女子トーク。

 

 

お家には行ったが、それ以外の進展はなかった。

 

 

それを聞いたOLマナミは、プッシュあるのみ!と、すぐさま渋谷にある予約の取れないレストランを思い浮かべ、これから電話して当日予約が取れたら彼を誘うべし、取れなければ誘わないでおこうと提案。わかりました。

 

 

(自宅まで招かれたんだから、そっと親友の恋路を見守ればいいのに・・とは思うけど(^_^;))

 

 

予約の取れないレストランですが、この日の渋谷の街にはテロ予告が出ているので空席が出た模様です。こういうところは現実的ですね。

 

 

それきっかけに須永をデートに誘いますが、電話口で用があるからと断られ「そうですか・・」。

 

 

クリスマスイブに誘って、用があると断られたのだから、ガックシ。

 

 

せっかくだからと私達で行きましょうよ!と、女2人で仕事終わりに渋谷に向かう。

 

 

(マナミも予定ないんかーいΣ(゚д゚l)!!)

 

 

___

 

 

 

渋谷駅に到着。大混雑する東京メトロ駅構内。

渋谷の街はセットという事なので、地上のJRは本番で使うため、ここは地下鉄を選んだのかな。

 

 

地下鉄の改札・通路は大混雑。「すごい人だね」

この人混みの流れが、渋谷の街に行くのか、渋谷から離れるのか?は分かりません。

 

 

こういう箇所も会話なりなんなりで描いて欲しいところ。

 

 

ねぇ。本当に爆発が起きたらどうするの?怖いよ。

 

 

彼女はめっちゃ怖がってます。そりゃあそうですよ。

昼間に恵比寿で爆発が起きて、同一犯が同日に爆破テロを起こしますと宣言し、ニュースで報道されているのにも関わらず、あえて渋谷にやってくるなんて。

 

 

好奇心と怖いもの見たさは紙一重で違います。

この2人の女性、人間の感覚や価値観がハッキリ分かれて、描かれています。

 

 

テロが発生する時刻は予告されているので、その時間にその場所にいなければ大丈夫だ、とOLマナミは手を引いて地上に上がる。

 

 

 

 

(このお二人が並ぶと、【広瀬アリス】さんが彼氏、【加弥乃】さんが彼女に見える。)

 

 

怖がっている親友を、大丈夫大丈夫と強引に連れて行くこのOLは、男前というか・・本当に社会人なのか?と「若者のノリ的」に感じてしまいます。

 

 

地下鉄の通路内。人混みの中でIT社長・須永を発見し尾行。「横浜に行くって言ったのに、どうして渋谷にいるのよ!」親友の誘いを嘘をついて断った男。激おこぷんぷん丸。嘘を付かれた本人はショボン。

 

 

映画を観ながら「IT社長なのに車ではなく地下鉄を使うんだ・・」と映画を見ながら思うところがあったが(笑)彼を尾行していくうちに地上に上がっていく2人。

 

 

 

 

 

(エキストラの容姿が渋谷系じゃないΣ(゚д゚lll))

 

 

2人のOLは彼を尾行しながら、気が付けばスクランブル交差点周辺にいて。。

 

 

「その時間までに離れるから大丈夫よ」と言っていたのに、どうしてまだいるのでしょう??

 

 

そして定刻。テロリストの宣言通りテロが発生するのです。

 

 

 

 

___

 

 

 

細かく書き過ぎて長くなりましたが、ここまでは特に問題なく観ていたので、ここから下が私の違和感です。

 

 

JR渋谷駅前大規模テロ事件後、生き残ったOLマナミは、他の犠牲者・負傷者と共に病院に運ばれ、手当てを受けます。

 

 

私が渋谷に行こうと誘わなければ・・・自分の行動を振り返ってガクガクと体を震わす。そして元凶を思い出し、病院を飛び出す。

 

 

(こういう予期せぬ事故やテロの時って、治療費とか手続きってあるのかな?)

 

 

次のシーンでは、IT須永のマンションに押しかけて「さっき渋谷にいたでしょ。私見たのよ!」と詰め寄るシーンになる。

 

須永が自宅のリビングにいるとインターフォンが鳴り部屋の玄関へ。玄関を開けると、爆発のススで顔が真っ黒になり、傷だらけのOLマナミが立っている。

 

 

・・・いやいや、ちょっと待って(^_^;)ちょ、待てよ!

 

 

(なぜキムタクΣ(゚д゚lll))

 

 

よく、ここに来れたなΣ(゚д゚lll)

 

 

家に入ったアヤノなら兎も角、マナミは彼女から話を聞いただけで、おそらく彼の連絡先も知らない。

 

それなのに、どうして彼の住所(&部屋番号)を特定して訪ねられる?のかもこの映画では一切描かれていないし、

 

 

仮に彼女の携帯から電話番号を仕入れたとしても、住所までは分からないはず。

病院→次のシーンで、彼の部屋の前に飛ぶのは絶対に説明が必要だ。

 

 

そもそもセキュリティのしっかりしたマンションなのに、オートロックを突破して、いきなり玄関のピンポンを押して対面なんて、本当に訳が分かりません。爆発後で顔がスス汚れた状態なのに、高級マンション内に入れるの?

 

 

(前半、西島秀俊さん演じる刑事がこのマンションでオートロック機能を介して部屋にいる彼に連絡しているので、伏線になってくると思ったがそれすらない。何、マナミ、火事場の馬鹿力で高級マンションに侵入したの??)

 

 

広瀬アリスさんが迫真の演技を見せるので、映画鑑賞中は誤魔化しが効いて感情移入しながら観れる人がいると思うけれど、

 

映画製作費に3億円かけるなら、このくだりも用意して下さいと心の底から思いました(´⊙ω⊙`)!

 

 

OLマナミは、その足で渋谷署に行き、西島秀俊さん演じる刑事と接触するという流れ。事件解決に向かうための橋渡し的な役目もある一般人(ヒロイン)ですが、せっかくいい映画に仕上がっているのだから、もう少し役柄の設定を固めて欲しかったです。

 

 

原作の小説がある様なので、そこではこのキャラクターが、ちゃんと辻褄が合って描かれていたらいいなぁ。。

映画に関しては、良作を駄作にし兼ねない役柄でした。

 

 

(ということは、須永のマンションは渋谷区になる。)

 

(被害に遭うのがアヤノではなくマナミにして、配役を逆にした方が成立したのではないかな。)

 

 

昨日今日知り合った男女の関係性で、ここまで感情を表すのは無理があるし、凄く他人感に私は感じてしまいますね。

 

 

せめて「合コンで知り合った」という設定ではなく、アヤノと須永はもともと夫婦という設定にして、伴侶には黙って長年計画していたテロを今回起こしたなどにした方が説得力を設けられるかもしれませんね。

 

 

 

____

 

 

 

映画冒頭。

 

 

JR上野駅の歩道橋に立ち、OIOIのテレビモニターを見ながら革手袋で握りこぶしを作る犯人の手だけアップが映ります。

 

総理大臣が記者の質問に答えている映像です。

 

 

映画とは関係がありませんが、革手袋の音って個人的にフェチな音です✌︎('ω'✌︎ )

ギギギのSE・・音だけ別撮りで録音したんだろうなぁ。

 

 

冒頭の映像により、この映画でテロを起こすテロリストは、決して愉快犯や快楽殺人鬼ではなく、今の政治に対して憤りを感じている人物であることが予想出来ると思います。

 

 

テロリストの要求も「総理大臣と話がしたい」「そうすれば爆破は止める」

 

聞き入れない総理。結果ドカン。マスコミ「あなたが悪いんじゃないですか?」

 

 

自分以外の「人のせい」にしたいんだろうな。

 

 

___

 

 

 

テロの主犯も加害者も被害者も警察も、90分台という短い本編時間のわりに描かれていたと思いますが、どうしてもOLマナミの誘導行動には消化不良感を感じざるを得ません。

 

 

仮にこのOLがこのテロを経験したことで、復讐心が芽生えて、映画のテロリストの様に攻撃的な人格に変わる設定にするのならば、高得点をつけたと思います。

 

 

また本編中に爆破が起きるたび、黒画面が現れアナログな文字が浮かび上がります。世代的に『バトル・ロワイヤル』を思い出します。90年代から続く手法なので、この犯人は昭和生まれなのかなと推測。

 

 

ワードセンス的にテロの犯人が中年であることがここから分かりますが、こういう作中の文章って、物凄く心に響くってワケでもないけど、しばらくテロップの文字を読んでしまうんですよね。

 

 

老若男女、劇場の観客すべてがテロップを読み切ったと思われるタイミングで次のシーンに切り替えているので、数秒間の計算は秀逸。

 

 

登場人物たちに都合のいい誘導的な展開や設定など、気になる箇所はございますが、全体的に纏まっていて日本映画として規模が大きいので、A-RANKにしました。

 

 

特に、スピード重視の作風なのに、爆破の瞬間だけスローモーションとなる編集は、緩急を感じたし技術面で堪能させて頂きました。

 

 

文句はあるけど(笑)文句なしです!!

 

 

 

最後に。

 

 

この映画は海外(東南アジア?)で爆弾処理活動を行う自衛隊員に焦点を当てて描く一面もあります。

 

 

時代設定は逆算して25年ほど前。20世紀末辺りです。

どこの国が仕掛けた爆弾なのかは描かれていません。そこを限定して描くと色々とややこしくなりますからね。

 

 

人類が発明した爆弾。それは世紀の大発明です。

日本はその世紀の大発明の集大成とも言える爆弾を2都市に落とされ、1世紀に渡り苦しんできました。心の傷は簡単には治りません。

 

 

この映画の爆破テロの犠牲者は渋谷に集まる若者でしたが、爆破予告が出されているのにも関わらず渋谷に行き、ユーチューバーも挙って中継を始める。自分の身は自分で守る行動も見られず、状況判断も出来ていない。

 

それなのに怪我をしてから、命を落としてから、「行かなければよかった」とひどく後悔している。自業自得の様にも思えますし、悲しむ家族も沢山いるんだろうなと想像しました。

 

 

現実に重ね、見方を変えれば、

コロナ渦の緊急事態宣言下でも繁華街や観光地に集まる状況と、この映画の内容とが酷似しているため、嫌でも連想してしまいます。自粛警察の頭の糸がプツンと切れたら、こういう事件を起こすんじゃないか?と私は少し怖い未来を想像をしています。

 

 

そして、この映画はテロ想定映画とも言えるので

日本でテロが起きるとするならば真っ先に想像するのは五大都市。

 

 

場所を限定すれば、ビジネス街や、若者が多く集まる都心部の街が舞台とされるでしょう。

 

こうしたテロが日本で起きることが、この先ないとは言い切れません。

 

 

「だから警告しただろ。警告したのに、どうして来たんだよ。」

 

 

最後は、映画のエンディングの余韻の様に、文章を作ってみました。

意味深な作品です。

 

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 15点

構成 12点

展開 13点

完成度14点

 

[70]点

 

 

 

フォローしてね

 

 

【mAb】

 

 

THE映画評論『A Mermaid In Paris』

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2月11日公開の外国語映画。

 

上映終了になる前に紹介したい洋画なので、他作品前倒しで書きたいと思います。

 

 

TOHO系のシネコンでは今作品を上映しておらず、松竹系シネコンであるMOVIXで今作を見ました。

 

 

読者の方にはおなじみの前書きですね。

私は映画鑑賞の実に9割をTOHO-CINEMASで鑑賞してきました。

 

 

その為TOHO系以外のシネコンやミニシアターで公開される作品には大変疎い次第です。

 

 

系列館が異なると、予告もチラシも情報を仕入れられない➕このご時世で洋画新作の公開有無がハッキリしません。

 

 

10年以上のTOHO生活が体に染み付いていました。

 

 

しかし、不幸中の幸いか、そんなご時世が逆に功を奏し、今年に入りTOHO以外の劇場もアプリに登録しチェック。アンテナを張るようになりました。単刀直入に申せば、東宝で公開される新作の日本映画で興味のある作品が少なくなったからです。(邦画の青春ラブコメには興味がなくなった。以前はよく見ていたのだけれども・・。)

 

 

スマホのアプリに各シネコンを入れておくと、何気ない暇な時間に「携帯いじり」で見たりできます。

 

 

そして「SMT」(ショウチク・マルチプレックス・シアターズ)の作品検索で、「カタカナのタイトル」を発見。

 

 

日本映画の題名は大概、漢字とひらがなです。

 

 

『マーメイド・イン・パリ』という題名の映画。

 

 

 

 

この私好みのタイトルに惹かれて劇場に足を伸ばしました。

 

 

『〇〇・イン・地名』の英題名は日本で沢山上映されてきたため、タイトルに新しさは感じません。

 

 

『〜・イン・パリ』で思い出すのは、ウディ・アレン監督の2011年作『ミッドナイト・イン・パリ』!!

 

 

この作品が大好きで、ウディ・アレンは大衆受けしないのか日本で公開する際は劇場数が少なく単館扱い。その時も足を運んで遠征しました。

 

 

(MeToo運動で言葉の砲弾を投げ込まれている御年85歳の大監督。高齢ですし色々と心配。作品には罪はないと思います。)

 

 

上映時間を調べる際に作品情報を読み、そこで初めて今作品はフランス映画で自国を舞台に撮られた「ロマンチック・ラブストーリー」だということを知ります。

 

 

(鑑賞前に仕入れるのはジャンルと俳優のみ。公式サイトは記事を書くときに初めて読むパターンが多いです。)

 

 

・・考えてみれば、私はこれまでの映画館映画(ロードショウ)人生のうち、実に9割の洋画がハリウッド(アメリカ)映画でした。

 

 

イギリスは兎も角、映画の舞台がフランスだとしても、ドイツだとしても、「ハリウッド製作・言語は英語」が当たり前という概念になっていて、それを普通に受け入れて来ました。

 

 

おかげさまで英語は自然と聞き取れるようになったので字幕は要りません。(弁護士や科学などの専門用語が頻繁に出てくるハリウッド映画は字幕を読みながら鑑賞します。)

 

 

年に数回。MOVIXやユナイテッド・シネマを訪れると「英語以外の外国語映画」が上映されていたりするので、そこで映画館映画人生の残り1割を埋めます。

 

 

ヨーロッパ映画で、主人公がその国の俳優で、その国の言葉を話しているのを観ると、毎回ちょっと新鮮になって、何より字幕を読むという作業にも集中力を使わなければなりません。

 

 

フランス映画がパリを舞台にすることなんて当然のことなので、こんなに新鮮に感じてしまうのも、おかしな話ですけどね(^_^;)

 

 

___

 

 

 

ショッピングモール内で今作品のポスターを見かけた際に、2018年に日本公開された魚人と人間の恋を描いた『シェープ・オブ・ウォーター』を連想しました。その年のアカデミー賞4冠。当時の記事のリンクを貼っておきます。

 

 

 

 

 

 

まぁ、美女と野獣もそうですし、種族の違う男女の恋愛映画は大きな話題になるかもしれませんね。

 

 

日本で2月に公開されるヨーロッパ映画は、アカデミー賞を意識した作品に違いない!

アカデミー賞フリークの自分はそう信じてやみません。

 

 

因みに今年のアカデミー賞は現地時間で4月25日に行われます。ノミネート発表は3月15日。殆どが日本で上映されていない状況で迎えることになりそうなので、何も気にせずにテレビで見ようと思っています。

 

 

 

 

 

昨年から日本映画ばかりで・・外国語映画に餓えていた為、公開を見つけた時点で第1週目に鑑賞することは決定です。しかし土日は避けます。

 

 

(土日しか映画を観に行けない方には本当に申し訳ない気持ちですm(__)m)

 

 

緊急事態宣言下といえ、土日の東京のショッピングモールは、地方の方からすれば驚くほど人が集まっています。

 

 

鑑賞は週明けの平日一択。

土日は、目の前に大好きなエサを見せられて「待て!」と言われた犬のように、我慢しました。

 

 

昨年の春先に中国から世界に飛び火した新型コロナウイルスは、世界中の人々の命を燃やし、現在も消化活動が続いていますね。

 

 

ここ日本でも、誰もが火の粉を持って歩いているような状態ですから、映画館に行く時も席の選択は重要で、極力「ぼっち」になる席を選んで座っています。

 

 

では改めて始めさせて頂きます。さぁ楽しい映画の時間だ!

 

 

_____

 

 

 

『マーメイド・イン・パリ』

 

 

 

 

 

 

 

監督🎬

【マチアス・マルジウ】

 

脚本🖋

【マチアス・マルジウ】

【ステファン・ランドスキ】

 

 

ガスパール

【ニコラ・デュヴォシェル】

 

 

人魚ルラ

【マリリン・リマ】

 

 

隣人ロッシ

【ロッシ・デ・パルマ】

 

 

女医ミレナ

【ロマーヌ・ボーランジェ】

 

 

オーナー・カミール

【チェッキー・カリョ】

 

 

 

本編[1:42]

 

配給[ハピネット]

 

 

 

_______

 

 

 

描写と合わせて本編の物語を紹介していきます。

 

 

舞台はフランスのパリ。

 

 

セーヌ川に浮かぶ老舗の水上酒場「フラワーバーガー」。

そこで夜な夜な行われるエンターテイメントショー。

 

 

憧れが強いもんで(^_^;)舞台設定だけでもオシャレだなと感じます。

 

 

何より「パリ」「セーヌ川」というパワーワードがあるから、それだけで「いい映画だ」と疑わない自分がいます(笑)

 

 

「フラワーバーガー」。花とハンバーガー??2つの単語を組み合わせた造語。

 

 

ユニークな「仕掛け」があるお店。表向きは船上レストランです。

 

 

店内で「合言葉」を唱えれば、ウエイトレスが近寄ってきて「こちらにどうぞ」と奥に案内されます。

 

 

ウエイトレスに通された客は秘密の扉をくぐる。

ドキドキ感はまるで秘密結社フリーメイソンの秘密の扉。

 

 

店の奥にはダンスフロアがあって、ステージでは「サプライザー」と呼ばれるパフォーマンス集団が歌や踊りでお客様を楽しませています。

 

 

船上レストランとして恋人や連れと食事を楽しむ場所であり、合言葉制で酒場に入場しエンターテイメントショーを楽しむ場所でもある。この二面の仕掛けが面白い。

 

 

ステージでは歌や踊りが行われ、それをテーブル席で観る客。

船はそこまで大きくないのに、レストラン内に演奏が漏れませんから不思議。

 

 

映画的な都合の良さなのか or 例えば麦わら海賊団のフランキーみたいな船大工が完全防音に設計したのか。

後者と思えば夢があるので、そう思うことにします(笑)

 

 

入店への切符となる合言葉は他言無用で、劇中では、独り言のようにボソッと呟き成立する。

 

 

(映画を語る上で、私が知りたかったのは)常連の客は顔パスなのか?どうなのか?映画の中では描かれていませんけど、とにかく初めてのルールは上記の通り。

 

 

祇園のお座敷みたいに「一見さんお断り」ではなくて、紹介者の名前もいらないし、同伴も必要ではない。言葉1つでいい。

 

 

ただ・・合言葉さえ仕入れてしまえば「容易く入場出来る」という弱点も、この映画内で露呈されています。

 

 

___

 

 

 

「人間と人魚の恋愛映画」を総じて「ラブストーリー」で括るのが一般的だと思います。

 

 

先に書きますけど、この映画は恋愛映画として、「ありふれている」と私は思うので、B-RANK評価です。

 

 

それ(恋愛)を「可能」にする主人公(人間)の純朴な性格、育ってきた環境などの舞台設定が秀逸で、カオス空間とファンタジー要素がよく合っているので、この映画はまるで水彩画。

 

 

「ラブストーリー」としてはB-RANK。「ロマンチック・ラブストーリー」としてはA-RANKです。

 

 

後半は恋愛映画になるのでまったりしますが、出会いから恋に落ちるまでの前半は環境説明と背景がメイン。

 

 

そのプラス評価である設定を集中的に書いていきます。

 

 

___

 

 

 

歴史ある「サプライザー」と呼ばれるパフォーマンス集団は、入店したお客様を喜ばせる高い技術力があります。

 

 

冒頭の歌唱シーンでは、おそらく日本人(アジア系)の女性キャスト3名が主人公のバックコーラス隊で参加していて、息の合ったパフォーマンス。

 

 

 

 

「ブラボー!!」と手を叩きたかった程、その美声のハーモニーに引き込まれました。

 

 

サプライザーという呼称は、この作品の中だけで使われる造語ですが、例えばサーカス団とかマジックショー団などで、どこかで聞いたことがありそうな言葉ですね。耳馴染みがあります。

 

 

そんなサプライザー。限られた客しかステージを見れないので、世間的な認知はされていないように視え、特別有名でもないし、裕福ではありません。

 

 

主人公のガスパールも有名人ではありません。パリで働く1人の社会人という感じです。

 

 

ガスパールを演じる男優は、フランスを代表する俳優【ニコラ・デュヴォシェル】[40]

 

 

見た目や体型からは素朴なフランス人に見えますが、ファッションブランド「ヒューゴ・ボス」のモデルを務めるなど、モデルとしても活躍する人物です。

 

 

(プロフィールに書いてあった情報を、知ってる体で紹介してみた)

 

 

_____

 

 

 

時代設定はいつなんだろう・・2020年?

 

 

水族館などの映像から現代劇だと思いますが、60年・70年代の20世紀と言われても全然成立する時代に囚われない全体図。

 

 

それはパリの景色が古都であって、映像で見るだけで、観客にノスタルジックやタイムスリップの感覚を与えてくれる魅惑的な要素があるからだと私は勝手に思っています。

 

 

(ヨーロッパの古い建造物や住宅を大事にする文化がそうさせるのでしょうか)

 

 

ステージのあるクラブや、主人公の一芸性・感性などからイメージしたのは、作る側も見る側も夢の世界に居られる場所。

 

 

そうまさしく、映画創世記に活躍したフランス人監督で、映画の父である【ジョルジュ・メリウス】が思い浮かぶのです。

カラクリ人形だったり「意外性で溢れている」そんな場所に思えました。

 

 

(mAb・・パリに相当憧れがあるんだな)

 

 

___

 

 

 

冒頭。

 

 

(3000文字使って まだ冒頭部分かーいΣ(・□・;))

 

 

(一番語りたかったフラワーバーガーやサプライザーの話は書きましたので、それを踏まえて本編を紹介します( ✌︎'ω')✌︎)

 

 

フラワーバーガーでパフォーマンスに酔いしれた中年男が、一人夢見心地の気分で川沿いを歩いていると、「ンンン♬」とハミングのような歌声が聞きえてくる。

 

 

男はその声に呼び寄せられるように川の中に入って逝き・・・次のシーン。

 

 

同じように歌声に呼び寄せられた中年男が、躊躇うこともせずに川の中へと入って逝きます。

 

 

 

・・・私が人魚という西洋のバケモノの存在を詳しく知ったのは『ドラえもん』です。

 

 

(脱線します!宣言)

 

 

『映画ドラえもん『のび太と魔界大冒険』』。魔界に入って大ボスの城へと向う途中のワンシーンで、それは登場します。

 

 

野比のび太率いる仲良し5人組が海上の「難攻」とされる人魚のいる小島をタケコプターで通過するシーン。

 

人魚の歌声を聴くと男は不可抗力で呼び込まれ、バケモノの餌にされてしまう。

 

 

 

男性陣(小学生)はあまりの魅惑的な歌声に呼び込まれます。

 

この時、源静香女史には効きません。男性という性別が人魚に呼ばれるという条件を貫いています。

 

 

近づいたらthe endのタイミングで、俺の方が(歌は)上手い!と強烈に嫉妬した剛田武ジャイアンさんが正気を取り戻し、歌い、人魚を撃退したというオチが付きます。

 

 

(画像はお借りしました)

 

 

 

人魚は船乗りの男たちを、歌や美貌で誘い寄せ、食べてしまう。とありました。

 

 

記憶だけで書いているので、正確な解説は違うと思いますが、その後も映画や欧州の伝記などで人魚の話が出てくる際は必ず『魔界大冒険』のワンシーンが頭に浮かぶほど、私の意識に強烈な迄に定着したのです。

 

 

ドラえもんの劇場版は私の発想の発育書であり辞書です。子供時代の培う創造性に多大に影響されました。

 

 

例えば、映画の王道であるゾンビは、基本的な設定に追加項目を加えて今日でも進化し続けています。

しかし人魚映画は少ないし、基本的に上半身はヌードだし、ディズニーアニメのイメージも強く夢を与えてきたから、そこまでリアル劇は追求してこなかったと思います。

 

 

子供時代に『魔界大冒険』を熟読し、子供心に「人魚=男殺し」という印象が植え付きました。

 

なので『リトル・マーメイド』のアリエル姫も、実のところ、ちょっと怖いです(笑)

 

 

元々人魚は欧州のバケモノなので、天才【藤子・F・不二雄】先生もその設定を仕入れたうえで書かれたのでしょう。

今回の映画で似たような設定だったのが、嬉しかったし、童心に返ったような感覚になりました。

 

 

(脱線終了。本線に戻ります)

 

 

 

___

 

 

 

ある夜。

 

 

主人公のガスパールは、川辺に打ち上げられた(という表現でいいのか?一応半分魚なので)人魚を発見します。

 

 

「えー!?人魚!?」というリアクションはしません。そこはパフォーマンス集団サプライザーの主軸メンバーだからなのかな?と測って読みました。

 

 

意識を失っているようで、よく見ると怪我をしている。

 

 

お腹から下は魚、お腹から上は人間の女性。

自分の着ていたジャケットを彼女に着せて、担ぐ。

 

 

タクシーは乗車拒否。そこで東南アジアでよく見かけるトゥクトゥクを停車。

 

 

主人公は移動手段でローラーブレードを履いているので、運転手にローラーブレードを渡し、引き換えにトゥクトゥクと交換。

 

 

人魚を後部座席に積み込み、自分で運転して病院に運んで行く。

東南アジア系の運転手にフランス人がトゥクトゥクと交換してくれ!・・って「わらしべ長者」みたいな物々交換だなΣ(゚д゚lll)

 

 

訳も分からずポツンと立ち尽くす元運転手のワンカット。

 

 

ここら辺はコメディにしたいのか、ヨーロッパの劇場ではここで笑い声が聞こえるのかな?

 

いまひとつ自分にはユーモアセンスの価値観が違うと思った展開になります。

 

 

(人間の病院ではなく、魚を扱う動物病院に連れて言ったらいいのに・・って現実的な見方)

 

 

救急病院は混み合っていて、受付の中年女性の応対も片肘ついて宜しくない。

 

 

(外国だったら店員の方が態度大きいのは普通だけど日本だったらクレーム(^_^;)文化が違う)

 

 

受診するために保険証の提出をせよ!など言われて、主人公がカバンの中を漁ってテンパっている。

 

 

その間、病院の正面に止めたトゥクトゥクには、怪我をしている金髪女性が横になっている状態。男性医が近づいてくる。

 

 

「大丈夫ですか?」手当てをするために近づくと、人魚は目を開き、続いて口を開く。

 

 

間もなく、その男性医は放心状態で病院に戻り、死亡する。

 

 

死因は心臓破裂。この病院で2名の男性が同じ死因で急死する。

 

 

(善人が急死するのは可哀想に感じてしまいます)

 

 

その男性医の婚約者は、同じ病院に勤める女医ミレナ。

 

 

婚約者の突然死に戸惑い苦しむミレナは、彼が死ぬはずがない、何か原因があるはずだと、翌日、彼のその夜の痕跡を辿る。

 

 

受付で忘れ物をしたという男の本を入手。その男が乗ってきて、病院前に停めていたとされるトゥクトゥクに移動。

 

 

そこで青い液体を発見。医者と女の勘が働く「これは血液よ」。

 

 

(恋人を失った女医のミレナ。以降は主人公・時々・ミレナの2主軸で展開していきます。)

 

 

___

 

 

 

病院での治療を諦めた主人公ガスパールは、トゥクトゥクを走らせ、人魚を自宅に連れて帰る。

 

 

「外国はシャワー」という文化がありますが、今作品の主人公は「お風呂好きなフランス人」で良かったなと思います。

 

 

バスタブに人魚を入れて、水槽の魚のように、水を貯める。

 

 

ジャケット姿のままもアレですから、自前のTシャツに着替えさせる。

 

その着替えシーンも、人魚の胸を見ないように顔を背けていて、体への接触も必要最低限。

 

 

純粋なのか、紳士的なのか、奥手なのか、幼稚なのか・・とガスパール像を考えたほど描写は丁寧でした。

 

 

そこで初めて見つめ合う。

 

 

目を開いた人魚が歌った。いつものように私に恋をして死になさい

 

 

だけどガスパールはビクともしない。「ん?」と微笑んでいる。

 

口をパクパクして歌う人魚。「何。なんか言った?」と微笑むガスパール。

 

 

こんなの初めてだ。虚をつかれた人魚。尚も歌うが、この男には何故か効かない。

そして、怪我をした箇所の応急処置を始める。擬音通りポカーンと見ている人魚。

 

 

 

 

この男は可笑しな男だ。だが自分に危害を加えることはない。

 

 

「・・・ルラ」

 

 

自分の名前を名乗る。

 

 

「宜しくルラ。僕の名前はガスパール。」

 

 

それから暫くの間、この2人の同棲生活が続くのです。

 

 

_______

 

 

 

ガスパールの部屋の隣に住むロッシは、彼のことが大好きなマダム。独り身。

 

 

元同僚のサプライザー。常にガスパールのことを気にかけています。

 

 

玄関の覗き穴から彼の出入りを見ていたり、シャワー中に歌う習慣があるガスパールを、薄い壁1枚を隔てて聞いていたりするので、

 

最初はちょっとストーカー気質が見えて気持ちの悪い中年女性だなと思いましたが、それはすぐに「善い人」「味方」に印象が変わるキャラクターです。

 

 

元サプライザーということで物怖じしませんし、潜入はお手の物・後半活躍します。

 

 

女の気配を感じて彼の留守中、合鍵(違法)を使って部屋に侵入。そこにいたのは女は女でも人魚。

 

 

このキャラクター性なのでオーバーリアクションを期待したのですが、ギャーともオーマイガーとも言いませんので拍子抜け。

 

人魚のルラともすぐに仲良しになりますから、ガスパールに対してのロッシの気持ちは息子を思うような愛情なんだと思います。

 

 

 

 

(3時のヒロインのゆめっちに見える)

 

 

_______

 

 

 

スペインだったら情熱的、イタリアだったら社交的、とお国毎に恋愛のイメージがついていると思います。

 

 

フランス人が恋に落ちると、その愛情表現や愛情空間は、まったりなんだなぁ。とつくづく。

 

 

ガスパールは人魚ルラに対して、恋愛感情を見せません。

 

 

公式サイトのSTORY紹介から一節を借りれば

 

 

>歌によって人間から身を守ってきたルラは、ガスパールの命も奪おうと歌をうたうが、
過去の失恋の経験から、恋する感情を一切捨て去ってしまったガスパールには、その歌声が全く効かなかった。

 

 

とあります。

 

 

公式サイトは良い様に書きますから(笑)多分そういう設定で作られたんだと思いますが、映画を見ていて、恋する感情を一切捨ててしまった男には観えなかったです。

 

 

私の見方は、純粋というか優男というか「いい人」と言うか・・そう「いい人」としてガスパールを見てました。

 

 

傷の手当てや、上着の着替えさせ、見た目は40過ぎの痩せた髭MANなのに、行動や表情はピュア。

 

 

続いて、別の角度から視れば怖いと思う。

 

 

人魚ルラは仕切りに「(川に)帰して」と伝えているのですが、ガスパールは「傷が治るまで」と引き止める。

 

 

ほとんど監禁状態です!(◎_◎;)

やはり住処は地上ではなく水中ですので、帰して欲しいと私は思って観てます。

 

 

そこには、万全の状態でなければ、また怪我をしたり下手したら命を落としてしまうかもしれない、と案ずる彼の優しさなんだろうな。ルラは人間との闘いで怪我をし、川原に打ち上げられましたからね。外敵は多いです。

 

 

________

 

 

 

一緒に過ごすうちに、彼は彼女に恋をします。

 

 

彼女も彼に恋します。

 

 

だけれど、それは叶わぬ恋だと知っている。知っているのは人魚のルラ。だから泣くのです。人魚の涙は真珠の涙。

 

 

 

 

人魚に恋をする=心臓病で死ぬ。

ニコニコしていたガスパールが胸を押さえて苦しみ始める。

 

 

その瞬間のルラの一言は、映画史に残る出来。

 

 

真顔になって「私に恋をしたのね」

 

 

_______

 

 

 

2日目の朝日が昇る前に海に帰らねば命を落としてしまう。という地上ルールが人魚にはあって、命が続く限りに2人は一緒にいることを選びます。

 

 

この映画が2日間で行われた物語なんだと公式サイトで知りました。感覚的にはもう少し長く同棲していた様に感じましたので。。

 

 

最後の晩餐はフラワーバーガーへ。車椅子に乗せて、ブランケットをかけて入店。

 

 

 

不思議と車椅子と衰弱している人魚の組み合わせは、病人に観えるから、それが愛しく感じました。

 

 

彼女の正体に気付いているのかは分かりませんが、そこはサプライザー。楽しく持て成す。

 

 

じゃあね。フォーエヴァー・ラブ。

 

 

 

 

______

 

 

 

という物語の映画です。

 

 

上の写真をどうしても使用したかったので、どこまで語るかと悩みましたが、

この物語は絵本のようにも感じたので、逆算しても素敵だと判断し、さよなら愛してる、で締めました。

 

 

全体的にはユニークな作風ですし、フランス映画ということで芸術性も高いです。

 

 

あまり良く分からなかったのが、先程から何度もワードにしたトゥクトゥク

 

 

私はタイによく旅行したので、トゥクトゥクは東南アジアの乗り物という印象が相当強くあって、日本人というだけで歩くたびに声をかけられた南国タイ市街の夜を思い出します(゚ω゚)

 

 

なのでパリ市街の道路を主人公がトゥクトゥクで移動している映像は、なんだか違和感を持ちました。

 

 

フランスは移民大国でもあるのでアジア系も多いし、東南アジアの伝統的な乗り物が道路を走っていても普通なのかな?

それともファンタジー要素ということで「それもあり」にしているのかな。

 

 

気になったので「パリ トゥクトゥク」で調べて見ると、実際に観光用に走っているそうです。

お借りした写真を貼らせて戴きます。

 

 

 

 

例えそうだとしても、ノスタルジーとロマンチックなパリの街に、装飾されたアジアの三輪自動車が走っているのは・・自分としてはムードが壊れるかな。

 

 

東京や京都でトゥクトゥクが走っていたら異常な光景に思うし、私が住んでいる東京で言うと、一時期外国人観光客がマリオカート(非公認)で国道を走行している光景を何度も目撃しました。

 

 

ロードバイクを運転する私は車道を走るので、赤信号で隣り合わせになることもシバシバ。

その際、目が合い「イェーイ!」と感情を表現されるのですが、私は戸惑って会釈だけ(^_^;)

 

外国人マリオカート集団に遭遇された通行人は、スマホを取り出し写真を撮ったりしていました。

 

最初は違和感でしたが、何度も見かけるたび「それもあり」にして受け入れるようになったから、トゥクトゥクとそれとを重ね合わせました。

 

 

___

 

 

 

そして婚約者を人魚に殺された女医ミレナの復讐劇。この映画で唯一「脅威」となる存在になりますが、彼女の存在が映画の展開を忙しくしているように感じました。

 

 

これほど幸せな時はない。という程、心の底から愛している男性が突然死んでしまって、それが人魚の仕業だと辿り着く。恨みはらさでおくべきか。

 

 

単独捜査を行いますが、彼女は警察や探偵でもなく、愛する人を奪われた一般人。

協力する助手も劇中いるにはいますが、1人で全てを抱えてしまうのから、ドタバタしている様に感じてしまいます。

 

 

愛する人と会えなくなる

そんな圧倒的な寂しさや儚さが、彼女から伝わってきました。

 

 

ミレナを演じる女優は【ロマーヌ・ボーランジェ】[47]

かつてセザール賞(フランスのアカデミー賞)で新人女優賞を受賞したフランス女優です。

右の目の下にある大きなホクロがチャームポイントな女性だな。

 

 

____

 

 

この映画で自分が一番素晴らしいと思ったのは、人魚ルラを演じる女優の表情です。

 

 

 

 

「世の男は全員が全員、私のことを好きになる」と言う百戦錬磨の経験があるのに、主人公ガスパールには一切効かない。

 

 

1つしかない唯一無二の武器が効かない訳ですから、この状況「オワタオワタ」、一巻の終わりですよね。下半身が魚なので歩けないし、人間界で生きていける筈もないのだから。

 

 

「どうしてこの男には効かないの?」と不思議でしょうがない驚きの表情を魅せるのが、私はたまらなく面白かったです。

 

 

【マリリン・リマ】[25]はまさに私がイメージしているフランス女優・ド真ん中でした。

小顔で頬は痩け、体型はスレンダー。自信に満ちてていて、大きく見せる演技。

物怖じしないように堂々としているのに、意外に打たれ脆く、狼狽するんですよね。

 

 

こういうタイプの女性がキョトン顔をするのも、清純派とコメディエンヌの間を視れるお得感に感じました。

 

 

 

もう1つ、素晴らしいと思った点を挙げます。

 

 

話の流れで触れた話題になりますが、人魚というバケモノは、上半身が人間で下半身が魚。足はなく尾ひれ。

 

 

無論下から上は裸になるのでトップレスですね。

 

 

主人公の男性の視線が、乳房に行くことは、この映画の中でなかったです。

 

 

冒頭の出会いのシーンで、自分の着ているジャケットを「見ないように」と顔を背けて着せるシーンはありますが、

 

この主人公は常に彼女の瞳を見て話しをしているので、そう言うところは純愛ストーリーだなと思います。いや純朴かな。

 

 

人間は動くものに目が行く習性を持ちますので、女性のバストに目が行くのは仕方がないことだと思うし、女性もそんな男性の視線に気付きますよね。

 

 

女優さんは細身なので、バストがもう少し豊満だったら、もう少し違った角度のカメラワークになるかもしれません。

フランス女優のシルエットって本当、芸術的。

 

 

ちなみに、こういうシルエットになります。

 

 

 

 

私が気になったのは、ファンタジーとかロマンチックとか、そういうのを置いておいて・・臭いですね。

 

 

匂いではなく臭いです。だって魚でしょ。それもセーヌ川・・川魚でしょ。

 

 

川魚って泥臭かったり・・生臭くないのかな?

 

 

海で負傷して川に流れ着いたんだっけ?まぁ川でも海でも。

 

 

自宅の風呂桶にいれてるのも、冷静に考えると、すごくない?

 

 

主人公は恋に落ちるけど、漢字違いで、鯉だよ。

 

 

(大きさ的は雷魚だよ)

 

 

それから、彼女をお姫様抱っこする際の手にご注目してください。

 

 

左手は肩。右手で人間で言うところの関節を持っています。

 

これがお姫様抱っこの基本体制ですね。

 

 

だけど、右手から伸びる膝下の長さは異常。

 

絵図的に人間サイズのお姫様抱っこが美しいけど、家に運び込んだ時は肩に担いでいたから、こっちの方がしっくりくるかな。

 

 

なーんてネ。

 

 

映画を観ている最中も、ウロコが体につかないのかな?とか、下半身は持ちにくそうだから、抱き上げた時に滑って落としそうにならないの?など、色々と現実的に考えてしまった私は、ロマンチックな思想を持つロマンチストな書き手だったのに、現実ばかりに気を取られてしまっていることを痛感します。

 

 

世界が落ち着いたら、旅行先はパリを選ぼうと心に決めたのです。

 

 

 

____

 

 

 

最後に。作品観賞後の熱冷めやらぬうちにスマホのメモに殴り書きした寸評を。

 

 

感触としては、名作に感じる雰囲気が全体から出ているのに、独特の編集がそれを邪魔する。フランス映画を見慣れていない為、ハリウッド映画を観る感覚でいつも見てしまうけれど、手応え・見応えがすり抜けていく。人魚はヌメリがないのか?とかそういう情報も鑑賞中に知り得たい。展開がサクサクしているのはいいのだけど、「このキャラいいなぁ」と思うような役柄のしっかりしている配役が次のシーンでは死んでいたりする作り方が不思議でしょうがなかった。

 

 

彼らに捨て駒(斬られ役)感がないので、異国の映画なんだと解釈する。フランスの童顔系だとパイレーツ・オブ・カリビアン・シリーズ生命の泉で人魚を演じた[アストリッド・ベルジュ=フリスべ]を思い出す。人魚はスレンダーで顔もシュっとしている感じが理想なのかな?。リーズ・ウィザスプーンの出ているアゴを減らしたお顔立ち。後半は女医がまるで刑事や名探偵になって行動するぶんドタバタ劇にも感じて忙しい。3役ほどの役割を1人で担っているので、そこはまとめて欲しかった。いい映画だと思う。気分が晴れた。

 

 

 

好きな人を楽しませたい。

 

そんな一番大切な「相手を思う気持ち」を教えてくれる心温まるファンタジー・ラブストーリーでした。

 

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 15点

構成 14点

展開 13点

完成度13点

 

 

[69]点

 

 

 

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【mAb】

 

 

『東日本大震災』

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東日本大震災から10年となる節目の日を迎えました。

 

 

どうしてかなぁ・・10年という節目だからなのかなぁ・・昨年、一昨年前とは気持ちの入り方が違うのです。

 

 

今年は例年よりも多くテレビで「あの日」の特集が放送されています。

 

 

その時の映像をテレビで見るたびに、想いや気持ちも電波に乗って伝わってくる感覚になり、胸が苦しくなります。

 

 

震災の特集は3月の短期間に報道されると思います。おそらく来週には特集が組まれなくなります。

 

 

震災の後に「風化して欲しくない」と被災地の方が仰っていた言葉が残っています。

 

 

10年という節目ですが、区切りにはしないで、11年目、12年目も、同じ熱量で報道していってほしいです。

 

 

忘れられないから、忘れないようにしたい。というのが東日本大震災に対する私の気持ちの信念です。

 

 

2011年。

 

 

現地に足を運んだ際に、見た光景、感じた気持ちは、今も言葉にして表すことが難しいです。

 

 

被災された方と沢山話しました。遺族の方とも話しました。現地では遺体を回収する自衛隊の方も見ました。当時所属していた芸能事務所の方々と炊き出し等に参加しました。東北だけではなく茨城県や千葉県の沿岸部にも行きました。

 

 

そして私にとって何よりも衝撃だったのが、福島県の双葉町に住んでいた父方の叔父夫婦の存在です。

 

 

子供の頃から毎夏訪れていた場所が立入禁止区域に変わって、

 

叔父や親戚が故郷を追われて帰宅困難者になるなんて、夢にも思いませんでした。

 

 

ただ1つだけ、心から感謝をしているのは

 

 

あの日も、そして今も・・私には生きていてくれて有難うと想える人がいることです。

 

 

 

忘れられないから、忘れないようにしたい。

 

忘れられないから、忘れないようにしたい。

 

 

本日は2万2000人を超える方々の命日です。現在も行方不明の方々は2525人いらっしゃいます。

緊急事態宣言下なので現地に行くことは叶いませんが、東京より魂を込めて合掌いたします。

 

 

_____

 

 

 

映画以外を語る目的で開設した別アカウント【レインマン(from mAb)】の企画で、昨年1年間『花が咲けば君は笑う』という題名で、花をテーマにした詩を描いていました。

 

 

昨年の3月11日は木蓮を題材に想いを表現しました。

 

 

 

 

 

10年前。私は震災についての記事や詩をここで載せていました。

 

 

なので今年はこの場所で想いを綴ります。

 

 

レインマンの詩を読んで下さっていた読者方にとっては、昨年末から3ヶ月ぶりの再開となるので、私同士のコラボを楽しんで下さい。

 

 

 

______

 

 

 

 

『たんぽぽ』の花を選びました。

 

 

 

 

 

 

道端や川原に行けば見つかるありふれた多年草なのに、とても人間に大切にされている花だと思います。

 

 

たんぽぽ茶やハーブなど、薬用や食用としても大変人気です。

 

 

英名は『ダンデライオン』Dandelion。漢字は中国植物名で『蒲公英』。

 

 

「ひらがな」の方が可愛い感じになりますが、この記事では読みやすいように、カタカナで表記致します。

 

 

タンポポの最大の魅力は何と言っても、花が散った後の光景にあると思います。

 

 

キク科の黄色い花が散ると、綿帽子に変わり、春風に舞って空に飛び立ち、その綿毛が各地で花を咲かせる。

 

 

まるで幸せを運ぶとされる妖精・ケセランパサランみたいな綿帽子。

 

 

時期になると、顔を近付けてフゥーと息を吹きかけては、綿毛が空に舞っていく様子を楽しむ子供達の光景を目にします。

 

 

花言葉は「幸福」。黄色自体が光や太陽をイメージさせる幸福のカラーです。

 

 

黄色い花は他にも多くありますが、タンポポは足元に気付かず咲いている花。私たちに寄り添っているような強い花です。

 

 

それと、子供の頃、よくお爺さんやお婆さんに、タンポポの綿毛は耳の中に入ったら大変だから注意するように、と言われたのを思い出します。懐かしいな。

 

 

 

______

 

 

 

見上げた空は青く 夜には星が広がった

 

 

僕たちは一日中お話をしていたね

 

 

 

 

 

やがて白い雲が現れて 青い空の中をスイスイ泳いでいく

 

 

もうすぐ君も旅立つのだと 風は僕たちに声をかけて伝えた

 

 

 

 

 

 

次の朝日が昇ったら 僕は行くよ さようなら

 

 

ずっと見ていた あの空に

 

 

 

 

 

出逢ってくれて ありがとう

 

 

 

2021年3月11日

【mAb AcAdemy】

 

 

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