「犬猿の仲」という言葉があって
辞書で引くと「何かにつけていがみ合うような仲の悪さ」とあります。
あいつとあいつは犬猿の仲だ。
よく政治にも絡めますよね。一番代表的なのは、アメリカとロシアが犬猿の仲って具合に。
日本の今だったら・・安倍総理と朝日新聞とかかな。鬩ぎ合ってますけど。どちらかが折れないとね(^◇^;)
それを血縁関係である兄弟で表すのがこの映画『犬猿』なのですが、非常によく出来た日本映画だったので、私情を挟みながら記事にして紹介します。
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まず、早速雑談です。
今作品は、松竹系のシネコンMOVIXで鑑賞しました。
私mAb。
TOHO-CINEMASでの劇場鑑賞が年間98%強になりますので、気にしなければ通り過ぎてしまう・観ないで終わった作品です。レンタルビデオ屋の新作コーナーで初めて知るかもしれません。
実は、TOHOのポイントカードの最高の特典である「1ヶ月フリーパスポート」を取得しようってーのに、
1月末の時点でTOHOシネコンで上映している殆どの作品を鑑賞してしまい、そもそも新作も入って来ない時期でしたから、2月は映画を見ないでおいて、フリーパスのために未鑑賞新作を貯めておこうと思いました。
このパスポートは取得日から1ヶ月間の間、映画を無料で見放題と言う神特典です。
基本、1つの作品を何度も観ない私は、常に新作を観続けていたいです。
そう言うわけで2月は、1ヶ月の間、TOHOシネコンで映画を観ないと言う、自分史上初のNG東宝を過ごしました。
今の悩みは、1月27日付けで公開した作品の殆どが・・上映終了してしまったか、午前中1回しか上映しない扱いになっていること。
(『彼女は嘘を愛している』とか『リバース・エッジ』とか、地元のシネコンでは客入りが悪く、もう上映終了してしまったΣ(・□・;))
ホント、シネコンが「当たり前」になってから、上映する作品は増えましたし、日本映画も上映する場が増えたので製作されるようになりましたけど、それゆえに、ロードショーの寿命って短くなりました。
待ちに待った寝かせた、フリーパスを取得。
上映スケジュールを確認したら・・・ヤッバ!?早いとこ観ていかなきゃ!2週間ぐらいで、上映終了という名の打ち切りになっちゃう(・Д・)
まぁまぁこの話は追い追いね。
というわけで、未鑑賞の新作を貯める目的で2月を送っていましたが
私の劇場鑑賞に対するヘキは抑えていても無くならないので、この期間中、TOHOシネコンで上映しない作品を調べて鑑賞していました。
それが上にも書いた松竹系シネコンのMOVIXです。
いいから早く映画を書いてよ!
まぁまぁそう言わないで下さいよ兄さん姉さん。
長くグダグダ書こうとは思っていませんが・・・やっぱり長くなるかな。性分なのでね。
だけど、読み終えた時に、「よし、この映画を観よう!」と思っていただけるように熱量と気持ちを込めて紹介したいです。
昔の自分のスタイルで(ガラケーで1万文字打ってた頃(笑))
チラシやネットなど、参考とするものを要さずに、自分の知識と観点だけで、語ってみます。
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『犬猿』
本年度劇場鑑賞作品vol.15
(日本映画鑑賞作品vol.3)
監督【吉田恵輔】
【窪田正孝】【新井浩文】
【江上恵子】【筧美和子】
東京郊外。西東京の方かな。
同じ地域に住んでいる2つの兄弟&姉妹の物語です。
それぞれ2人兄弟で、表の面は容姿も性格も違う。裏は似てます兄弟ですから。
主人公カズナリは、年齢は20代後半あたりかな、物静かなサラリーマン。物腰も柔らかい。覇気はないけど、親を大事にしているのがまず1番で、誰かと会話している様子などから好青年に感じます。
登場シーンはチンピラに絡まれます。車が擦ったと言いがかりで慰謝料を請求されている模様。
この言いがかりをつけてくる輩。私が大好きな井筒監督の『ヒーローショー』で、生き埋めにされたチンピラ役を演じていた俳優さんでした( ´ ▽ ` )
「あん、テメェ、どうしてくれんだよ」と舐めるように脅す輩。
すると助手席に座っていた輩の連れの一人が、慌てて車から降りてきて耳打ち。「あの人の弟さんだよ」「このことは言わないで下さい」・・と逃げていく。
服役中の兄タクジは、地域では有名な、悪党です。刑期を終え出所したようです。
主人公はその「兄」から何度も携帯電話に着信が来ていますが、それに気付きながら表情を変えずにスルーしています。
居留守を決め込むその様子を見ていて、きっと関わり合いたくないんだろうな、と単純に思いました。この弟は真っ当に生きているもの。。
だけれど家に帰ると玄関前にいる「兄」。
「よう!」目を丸くして「兄ちゃん!?どうやってここ知ったの?」「ババァ(お母さん)から聞いたんだよ」「電話ごめんね、折り返そうと思ったんだけど」(部屋に上がり込み)「とりあえずここに泊めてくれ、それから10万貸しといてくれや」
記憶違いがあるとは思いますけど、まぁ大体はこんなやりとりがあって、それぞれの人間性的なものを想像できるかと思います。
この後も、兄からの着信には、出ないことが多いです。
そういう時に限って、兄はその様子を見ているものです。野生の勘がとても鋭いです。
バレた時は、ごめんね電話に気付かなかったんだ、掛け直す予定だったんだと、必ず弁解をします。
こうして兄弟の共同生活は始まり、弟にとっては厄介者で生活を乱す兄との暮らしが始まりますが、
この兄に、弟は結構、告げ口をするんです。末っ子の怖さでしょうか。
多分、子供の頃から何かあると「お兄ちゃんに言いつけてやる」と最終手段に使ってきたのでしょう。なんだかんだで兄のことを頼りにしつつ、利用していますこの弟。
冒頭に「このこと、お兄さんには言わないで下さい」と頭を下げて退散したチンピラのことも兄に伝え、次の日には、探し出してボコボコにして、携帯でパシャ、それを弟に送って「そこまでしなくていいよ兄ちゃん!」「あん?お前、俺に話せばどうなるかってこと知ってて言ったんだろーが?」
確かに。
この流れを観ていて、私は「えっ?それは告げ口しなくていいんじゃない?」と弟に対して思いました。
兄は根っからの悪人であると見ていて分かりますけど、時々優しさを見せれば、観客の印象もよくなるから、良い役割だなと思います。
対して弟は、見るからに真面目でこの若さで老後のことも考えている性格ですが、展開が進む中で深く接する人との会話の様子を探って見ると、ははぁ〜こりゃ血筋だなって思います。
こういう人ほど切れると何するか分からないタイプの人間。うちに秘める狂気。もし犯罪を犯したら、世間からは犯罪者の血筋みたいに思われるのでしょう。
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もう一つの兄弟は姉妹です。年齢設定が分かりませんが、小学生時代を回想シーンで紹介していますので、大体5・6学年は離れているでしょうか。30代と20代の姉妹だと思います。
まずはお姉さんから。
子供の頃から体が大きくて、だけど頭が良くて、「お母さん」みたいな子供。
学校に一人はいたでしょう。私の通っていた学校にもいました。
本人からすればコンプレックスなんでしょうけど、子供は残酷。デブでブス。そんな大きな子供がそのまま大人になると、中傷的な見た目いじりは減りますが、社会の大人達はそんな彼女をオブラートに包みながら接します。褒めるところは性格など内面となるでしょう。
この長女は、寝たきりになった父親から印刷会社を引き継いだ二代目社長。朝から晩まで働いて、従業員達の生活も考えなければいけないし、父親の介護と、家庭の仕事もこなす独身女性です。本当に凄いと思います。
対象的に妹は、子供の頃から可愛くて周りに容姿を褒められて成長してきました。
頭の出来とかはよくありますけど、容姿を比較される姉妹って、残酷だと思います。
現在は社長となる姉の下で事務職をしていますが、男性から喋りかけられるのは決まって妹。とても分かりやすいです。生れながらにちやほやされて来た人あるあるで、異性に対してフランクに接します。
姉はそんな態度に堪忍袋の尾が切れそう。肩をぶつけたり、邪魔者にしたり意地悪はします。
お客様をお見送りをした後は、いつも「あんた馴れ馴れしくしすぎだよ」と注意。
ニコニコがピタッ。
女優を目指し芸能プロダクションに所属しています。姉からは「真似事」と揶揄され、遠回しに「あんたじゃ無理」と言っている様子が受け取れます。個人的にも胸に突き刺さるなぁ、この言葉(⌒-⌒; )
事務員をしながら芸能活動をしている、そういう方って、私が知っている限りでも現実に沢山います。そういう中から第一線で活躍できるのは一握り中の一握り。
家の中では家事も手伝わずに、ラフな格好でスマホをいじってテレビを見てる妹。
そんな彼女の生き方を観察している姉はイライラが溜まっている。あんたは良いよね。
あんたはいいよね。観ていてすごくそのボヤキに納得する。
けれど、妹も妹なりに頑張って生きていること、やっぱり知ってる。
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姉には密かに想いを寄せてきた男性がいます。それが主人公カズナリ。
仕事で度々姉妹の印刷会社を訪れるカズナリ。彼の前では仲のいい姉妹を装う。
「女性は見た目ですか?」「私お肉好きなんです。好きですか?近くにステーキ屋が出来たんですー」など世間話を話ししながら、彼女なりにアプローチして探っていく。
ある時、カズナリから無理な発注の依頼を頼まれ、なんでもしますからお願いします、と。「なんでもしてくれるの?」「はい!僕にできることであれば!」「じゃあ・・」と、仕事を引き受ける条件に、念願のデートをすることになった姉。
初デートは、富士急ハイランド。
電車で行ったのか車で行ったのかは分かりません。
楽しそうにコーヒーカップに乗って回っています姉ちゃん。
アハハアハハアハハブハハハ・・・こういう笑い声だけの描写、好きですmAb。
そのあと、イカれてるんじゃないかと思うほど、霧吹きの様に嘔吐してます。ゲロの霧吹きΣ(・□・;)。これには劇中声に出して笑ったー。
(コーヒーカップに乗るのは分かるけど、調子に乗ってめっちゃレバーを回すのは大学生までだ!(笑))
ゲロゲロしたけど、オメカシした初デート。告白できなかったけど、次に繋がると思った初デート。
そんな奥手の姉の様子をウォッチングしながら、社会人として負けている腹いせなのか当てつけなのか、姉の片思いの相手カズナリを狙っている妹。
それから何日か経て、彼と付き合う妹。
その事実を仕事の話をするためのテイで入ったファミレスにて、「実は妹さんと付き合っているんです」と彼の口から知った姉は、ドリンクバーのドリンクを吹き出し、以降は情緒不安定に。この時あたりから本当に可哀想だったな・・。
(感情的になってるなmAb)
男性経験も交際経験もないだろうお姉さんにようやく来た春。そんな春一番を妹が木枯らしに変えて吹かせる。不憫じゃのー。
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一方、今度は男兄弟です。
出所し、同居生活をする兄弟。
癪に障る=手を出す、しかも顔。
顔をひっぱ叩いてきます。
弟は兄弟だからタメ口です。ある程度〔扱い〕が分かっているので、癪に障ることを言いますけど、すぐに謝ります。「あん?」となったら「ごめん兄ちゃん」。
余談ですが、
日本の刑務所を出所した者の多くが再犯を犯すと聞きます。
たまたまそこに警察だとかがいなかっただけで、繁華街の路地などで半殺しを行う暴力性。
どうやらこの兄、若気の至りとかではなく、多分30になっても40になっても、尖りに尖った人間性のままだと思います。
窃盗罪。初犯だとは思いません。これまでも少年院などに入ってきたのだと思います。更生もそうだし、反省の色が一切見えないので、本当、なんのために刑務所があるんだろうと、この兄の姿を見ていて思います。
そんな兄は出所後、なにやら「痩せるサプリメント」とかそう言った類の「儲け話」の誘いに乗って起業します。
ここで凄いのは、かなり儲けるんですね、お兄ちゃん。
普通なら「凄い」でしょうし、立派になったね、おめでとう!って感じですけど、
この商売には裏があって、いつか捕まるのは、冒頭から人間性を見てきて、観客なら予想できると思う。
何はともあれ、兄弟で実家に帰省し、家族団欒の一時。
高級車に乗って、最高級のホテルに泊まって、何万もするワインを飲んで。
弟が毎月、もう何年間も、コツコツと返していた親の借金も、一括で返します。
これには弟だって立場ないですよね。
羽振りが良くなると、元々偉そうだった性格が更にドギツクなり、全ての物事で上から物を言う様に。
親孝行の形をお金や物で表す兄。
親からすれば、たとえ汚いお金だと勘付いていても、借金が全てなくなり、家族が揃っているんですから、ようやく訪れたこの束の間の家族団欒を楽しんでいるように思えます。
ただ親にとっても、長男は怖い存在のようで、ビクビクしています。
このシーンが印象的でした。
再び帰省中の兄は、最新のマッサージ機をプレゼントし、届いたばかりの椅子に年老いた父を座らせます。
お父さんは、しばらくして座椅子に移動。
父は次男(弟)からプレゼントしてもらった「腰が痛くなりにくい座椅子」が良さそう。
「カズナリ(次男)がプレゼントしてくれたんだよ」と母親。
それを聞いて、キレた兄は「てめぇこっちに座れよ」と癇癪。父はヒェーと怯えて、慌ててマッサージ機に戻ります。
どちらもプレゼントなんですけど、心、それも「真心」が篭っているのは、やっぱり座椅子でしょうね。
親に対して、産んでもらった母親に対して、こうした口の聞き方をする。私は個人的にこっちのほうが許せませんけど。
こうして
いつ何を仕出かすか分からない兄と、回避するのが上手で平穏に暮らす弟が描かれて行きますが、タイトルにもある様に「犬猿」ということは忘れてはなりません。
この映画の素晴らしい点は、「犬猿」ということを、忘れてしまう時が多くあることです。
犯罪者にも当然ながら親がいるわけですよね。
やはり「血」って争えないと思うんです。
こんな犯罪者を生んだ親・育てた親はどんな人なんだろう?と私は思っていて、
劇中に登場した親御さんは、人が良さそうな夫婦です。お父さんは他人の借金の保証人になって、借金を返しているような人。
ちょくちょくですが、劇中のいたるところで、登場する双方の兄弟・姉妹の親。
あくまで主役は4人で、もちろん親は「主役」ではないですし、映画のアクセント的な出場の仕方ですけど、私にとってはインパクトは十分で、探り甲斐もありましたし、丁度いい尺でした。
これがもう数分、親の出番を増やしていたら、少々説明が押し付けがましくなったことでしょう。
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劇中の展開は少々残念でした。
映画を観た感じの進行だと、
兄が刑務所から出所し、何日かして、事業を始め、成功し、容疑者になる。
季節は少なくとも1つは変わっていると思います。
ならば背景などで時の経過を知らせる工夫があっても良かったし、主人公の描写は随分スローに描いているのに対して、兄の時間の描写はうどんみたいにツルッとしていたので、ここは自分が思う残念な点です。
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男は暴力、女は僻みや嫉妬。そんな双方の兄弟像。
中盤。
末っ子同士が付き合うことになって、映画は2人のデートのシーンを多く描く様になる。
互いの兄・姉のことを知っている2人は、
「僕のお兄ちゃんはさ」「私のお姉ちゃんはさ」と話の種に語る。
だけど身内のことを悪く言われたら気分を害す。自分だから(愚痴を)言っていいのです兄を、そして姉を。他人に言われたら腹が立ちます。そういう些細な真理、よく書けています、この映画の脚本。
デートの場所は、皮肉にも姉と行った富士急ハイランド。
普通に考えて、気持ち悪くないですか?
事情があったにせよ、お姉さんと行った遊園地に、妹と行くなんて。
この辺から、主人公のことを私は気持ち悪く感じました。
後、姉妹とも富士急のロゴが入ったビニール袋を片手に持って自宅に帰って来ますけど、膨らみもないし、一体何買ったんだろ?なんて気になりました(⌒-⌒; )厚さからみてハンカチ的なものかな。
弟・妹がよろしくやっている時、
兄・姉は、自分のことで精一杯です。
姉はたった1つの恋の終わりを認められずに、軽くストーカーみたいになって、妹は「彼、お姉ちゃんのこと気持ち悪いって言ってたよ、もう近づかないで」と、あえて傷つけようと口撃。
本当に働き者で、自分の私生活も犠牲にして仕事も介護も家業もこなす偉すぎる女性なので、彼女の味方にもなりたい。けれどプッツンするとめちゃ怖い。そのギャップもこの映画の見せ方だと思います。
兄は、案の定、警察に追われて、身を隠すのに必死になっています。もうとにかくカウントダウンが近づいています。兄ちゃん自首してくれ。うるせー。
悪いことをしているのだから早く捕まって欲しいという心境で観ていましたけど、追い詰められれば哀れに思うし、こういう感情移入になれるも、この映画の見せ方なんでしょうね。
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物語の中盤までを私なりに語りました。
記憶だけで書いているので、間違っているかもしれません。このまま続けます。
ここからは見解と加点部分を語ります。
この映画で一番、私的に収穫だったのは【筧美和子】さんです。
筧美和子さんは、グラビアタレントで、ドッキリ番組の仕掛け人などバレエティーでもご活躍されている方、というのが私の印象です。モデル業も熟すモグラ女子。
そんな彼女が演じるマコは、
女優の卵で、卵から孵化するために、殻を破るため揺れて、胸も揺れて、グラビアをする。
やはり目立つバストから、男性向けの仕事中心になる。
服を脱いで、水着になって、隠す面積が段々と小さくなって、行きゆく先はアダルトビデオか?
この絶妙なラインを攻めてきているのでリアル。売れないタレントの妹。子供の頃は街で一番可愛かったけれど、組織に入ったら、この子くらいのレベルは大勢いる。
そうならないために、立ち直れなくなる前に、早く夢を諦めなさい。きっと姉の優しさなんでしょうけど、意地になる。
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女優としては初見ですが、ニッチェの【江上敬子】さんが姉役を演じます。
ニッチェさんのコントはよく観てましたし、芸人さんって普段から壇上で演技していますから、これが映像演劇になった場合でも、どういう演技をされるのか?ある程度予想がついていますし、ハマれば上手いことも知っている。
醜女の役を演じられるのも、女芸人さんだからこそ、感服の至りです。
私の古い友人でもある新井浩文くんの、魚が死んだような目で、ドラマ的な悪党を演じるのも、安定感があるだろうと、観る前からイメージできましたし、
主演の窪田正孝さんも、私的には結構観てきた俳優なので
伸びしろというよりは、低姿勢の弟キャラなので、どの役にでも合う、「宮崎あおいタイプ」の俳優に思えます。
(余談に、アクション映画で鍛えた筋肉質な体は、この映画(ドラマ)では不向き。脂肪をつけるか、それが無理なら体を大きくしていった方がいい)
そんな予想できる3名の中に、筧美和子さんってどうなのかな?と、私はそっちの方に興味があって、今作品を鑑賞しました。
キャスティングに意外性があった。これが理由です。TOHO以外で映画を観るのは、私には理由が必要なんです。
それで鑑賞中・鑑賞後に・・なかなかないyo、身を乗り出して見てたmAb。
正直、グラビアやタレントとしての彼女には興味がなかったのですが、
女優としての筧美和子さんには、本気で興味を持つ結果になりました。
丸みのある体とは対照的に顔の輪郭は四角くて、熱演するとゴリラ系に。興奮(熱演)すると顎を突き出して言葉を発するタイプでしょう。
透き通る白い肌にはソバカスがあって、そして憂いを感じるMっ気。
劇中で、パワハラ気味の姉に「ごめんなさい」と、常に受け手になる妹のシーンがあります。
それでも仕事場では「姉を立てて」いて、姉妹になったら常に啀み合う。
男兄弟にはこれがないけど、服の趣味も一緒だったりする。
本当に良かったです。絶賛。
ラストシーンは筧美和子の迫真の演技に泣かされました!!
正直、制作側の目線で観ると、
こういう役(売れないタレント)(枕営業系)を演じていると、イメージが付くので、他の役幅の使い勝手は悪くなりそうですが
年齢もまだお若いですし、今後女優として活躍するなら、これ以上の濡れ場は演じて欲しくないですね。戻れなくなるので。
きっと素晴らしい女優さんになると思います。
今後は正統派路線で、同じくグラビアで活躍していた【綾瀬はるか】みたいになってほしいです。
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そしてタイトル『犬猿』。
まるで優れたアメリカ映画のタイトルみたいに、根本が考えられていて、話の筋がしっかりしている。何を描いているか?劇中に分からなくなったら、タイトルに戻ればいい。そこに答えがあるし、作者や監督の狙いがある。
見た目的には「似ていない」2つの兄弟ですが、顔の別系統をカバーするように根本の性格が似ているように感じさせてくれるので、結果、兄弟(姉妹)に視えました。
劇中にほっこりする部分とか、和やかなムードに包まれる瞬間が訪れるたび、このままがいいなぁ・・なんて気持ちになっていたけど
どこに導火線があるのか分からず、長年の付き合いの兄弟だから(これを言ったら怒ると分かっていても)つい口を滑らせて、イライライラ。険悪。
そんな
ピリピリ・イライラムードの中で、ありがとうとか笑顔があるから、帳消しになるくらいにホッとします。
これぞ
緊張と緩和。
普段アメリカ映画を見ていて、感情激しく大喧嘩とかした後に、ハッピーオーラを出している流れがよくありますが、
そういう欧米人の陽気さに比べると、日本映画は人種から個性的ですし、派手じゃなくて、限られた予算の中で、上手い役者を上手に起用した緊張と緩和の映像演劇。
これぞ日本映画の醍醐味だと改めて思いました。
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長々と語りました。すみません。
2月10日の公開ということなので、絶賛公開中かと思います。
ただこのシネコンのご時世ですから、ロングランする可能性も低いです。
今年は他にも日本映画を観ましたが、書きたい!と思ったのは今作が初だったので、前倒しで書きました。
騙されたと思って観てみなよ!なんて本当は書きたいんですけどね。
(書いてるじゃん)
おそらく巨大な銀幕で観るほど味がある作品だと思っています。
ここまで読まれたお兄ちゃん!お姉ちゃん!妹さん!弟さん!お母さん!お父さん!あとなんだ?オジさん!オバさん!一人っ子も!
この映画がお近くのcinema complexで上映されていた場合は
是非ともGOで御座います。
⏬YouTube
脚本 14点
演技 14点
構成 15点
展開 13点
完成度14点
〔70〕点
無事にTOHOフリーパスを取得し、先月あえて観なかった新作映画も十分貯まっています。今月は映画日和が続きそうです。
LIFE IS NOW
一期一会の三月を。桜と弥生と別れの季節を。
【mAb】