前回の18作品後に新たに鑑賞した劇場公開作を鑑賞順に複数回に分けて紹介致します。(現時点で全て書くなら23作品です)
シネコン時代のロードショウはナマモノ。更新の間隔を空けないよう心掛けますが、ナマケモノの筆者である事情を何卒ご理解くださいませ。ではクセモノの映画評論を書き始めます。
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シリーズ3作品目
『アナベル 死霊博物館』
原題)Annabelle Comes Home
監督🎬
【ゲイリー・ドーベルマン】
出演者
【マッケナ・グレース】【ケイティ・サリフ】【パトリック・ウィルソン】【ヴェラ・ファーミガ】
本編⏰[106]分
公開日[9月20日]
[鑑賞当時の話と「オイラの着眼点」]
初秋。
TOHOシネマズ日本橋にて21時台の回が1日1上映されているのを偶々知り、急遽夜のスケジュールをキャンセルして鑑賞。
すっかり映画雑誌や映画サイトをチェックしないようになり、ロードショウや知識が最寄りのTOHO劇場に偏り、今作が公開していることさえ知らなかったので、今作を知れたのはラッキーだったと思っている。さすがにオフィス街+ホラー映画+平日ということで観客は数人(まばら)だった。
このシリーズはホラーの中でも特に好きな作品。初期の【ジェームズ・ワン】監督作品『死霊館』にハマりにハマった。悪魔祓い、面白い&興味深い!!初期作品に出演したフォイちゃん(【マッケンジー・フォイ】mAb激推しの女優)はその後、『インターセプター』や『不思議の国のアリス』の大作でヒロインを演じるまでに超出世したことで思い入れも強い。
今作品だと【マッケナ・グレース】〔13〕がその(出世の)ポジション。
既に多くのハリウッド作品に出演し演技に定評がある総合評価が高い名子役。自分も過去に出演作を書いたことがある。金髪のイメージが強いが今回は黒髪で雰囲気も一変。第二のフォイちゃんになること間違いない!と視ている。
霊能力者・超常現象研究家の第一人者であるウォーレン夫妻は、依頼者から除霊を頼まれ霊の入った品(災いのアイテム)を引き取り自宅の1部屋に保管しているその世界では有名な人物。基本的に相手宅に行って「曰く付き品」を除霊・(品に)封印して自宅の1室で保管するパターン。
大学で講義をしたり、アメリカ国内のテレビにもよく出演しているから国内の知名度は高い。死霊館に保管されているのは主にアメリカ国内の「曰く付き品」になるが、印象的なのは部屋の入り口に日本の甲冑があるので、日本人なら一番目が行くアイテム。今作はようやくこの甲冑に出番が用意されていて満足。音声もカタコトではなく日本人のイントネーションだった( ◠‿◠ )
映画と関係はない話ですが、甲冑を着て戦で死んだ武士なんてゴマンといますけど、「幽霊」として我が国で有名なのは甲冑を脱いだ落ち武者だと思うんですよね。なので博物館で戦国武士の甲冑を見ても「怖い」とか恐ろしい感覚になりません。ヨーロッパは鎧があるので、鎧そのものがホラーの感覚になるのでしょう。
(日本も80年代あたりは宜保愛子さんや丹波哲郎さんなどが霊界系の心霊番組をやっていたと聞く。ウォーレン夫妻もその類なんだろうと、映画の情報は信じるが実際の気持ちはそう思っています。)
話を戻します。
今回の主役はウォーレン夫妻ではなく上で紹介したマッケナ演じる娘ジュディ。両親の特殊な仕事ゆえ、学校では気味悪がれ友達もいない。そんな彼女だが性格は優しく物静かな少女。そして一番重要な点は、本人は口外しないが母親の遺伝子をしっかり受け継いでいること。ハッキリとした霊が見える。それも悪い者を中心に(^◇^;)よく霊から挑発されている。アメリカンホラーなので「ワッΣ(・□・;)」という驚かし方。
今作のキッカケ作りは両親が除霊依頼のために出張訪問。出張なんでも鑑定団!!
数日留守にすることで、能力者不在の家に残された娘に悪霊たちが襲いかかる。
この設定の時点で定番すぎて新鮮味はないが・・まぁいいだろう(^◇^;)
自宅に留守番となるジュディ。近所の女子高生メアリーがシッターのバイトで放課後(夕晩朝)はウォーレン家に来てくれる。
留守番させるのは慣れていると言っても、小さい子供を1人モンスターハウスに残し、高校生のシッター1人に娘を任せ出張に出かける親もどうかと思ったが(^◇^;)気味悪がられている家なので働き手も見つけづらいのだろうか!?
そして留守番初日、高校生シッターの親友ダニエラが遊びに来て、関係者以外絶対立ち入り禁止の死霊室に入室し曰く付きの品をイジクリ、あろうことか一番霊力の強い最恐最悪のアナベル人形の扉を誘われるように開けてしまうという展開になる。
黒髪のダニエラ。観客はこの元凶を作る親友にイラつくはず。おいアンタ!何してくれてんだΣ(・□・;)
興味本位なのか?何なのか?前半は分からないが(後半で分かる(印象が変わる)のでご安心を)、それにしても人の家にお邪魔して勝手に家中を物色したり、書斎(仕事場)を物色したり、挙句には最も危険な死霊館に無許可で侵入するトラブルメーカー。
まぁ押すなよ押すなよ!と言って押すのが日米の伝統芸なので・・まぁいいだろう。
作品の脚本・展開などは、よくあるアメリカの「お化け屋敷型ジェットコースターホラー」(←mAbの造語)
右回ればバケモノが驚かし、左を向けばバケモノが驚かし、観客を飽きさせないために内容よりも衝撃重視に作ってある。
とはいえ、自分的には余計な演出が多く、正直見応えがなかった。ジェームズ・ワン監督は悪魔祓いがテーマであっても深層ホラーに近く深みがあったし、私は彼の作品で『死霊館』シリーズにハマったわけだから、次の作品では再びメガホンをとることを願う。
脚本 〔13〕点
演技 〔14〕点
構成 〔14〕点
展開 〔13〕点
完成度〔13〕点
[67]点
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英国映画
『イエスタデイ』
監督🎬
【ダニー・ボイル】
出演者
【ヒメーシュ・パテル】【リリー・ジェームズ】
【ジョエル・フライ】【エド・シーラン】
本編⏰[116]分
公開日[10月11日]
ロンドン五輪の開会式で芸術監督を務めた英国を代表する映画監督ダニー・ボイルの新作。
地球上に一斉に起きた12秒間ピッタシの大停電により、「何か」が起き、その「何か」によって全人類に表れた影響とは、
なぜか多くの歴史的人物の存在や功績が元々「なかったこと」になったことだ。
この作品は英国映画なので、英国を代表する物事がメインになる。例えば『ハリーポッター』がなかったことになっている等。となれば著者のJ・K・ローリング女史もハリポタを書き上げていないのだろうし、小説家になっていないのかな。
英国にゆかりのある人物が歴史から無くなった映画。
これがアメリカ版ならアメリカ、日本版なら日本で描写すればいい話。
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズがもしいなかったら・・・実は書いてみてこっちの方が興味あるけど(^◇^;)
日本だったら坂本龍馬がいなかったら?ペリーが横須賀に来航しなかったら?という感じかな。
英国版なのでそれは勿論、【The Beatles】がもしいなかったら?が今作品。
その人物がいてこそ、作品が誕生し、そうして影響を受けて目標にして世に出て来た人物も多くいる。
今作のビートルズなんて特にそう。非常に多くの音楽人・文化人がビートルズに刺激を受けているでしょう。
ビートルズがいなければ、笑点の山田君は座布団を運んでいなかったかも知れない。
(この例えが分からない方はお父さんお母さん、お爺ちゃんお婆ちゃんに聞いてね。)
大停電によってビートルズそのものが「ないもの」になった。ただし安心してくれ誕生はしている。
ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリソン、リンゴ・スターの4人は存在する。
しかし4人はバンドを結成せずにすれ違う。おそらく同じ町(リヴァプール)に住む同世代という程度の関係性だろう。
(例えバンドを組まなくても、ポールなんて特に個人の能力で名をあげるほどの星の下に生まれていると思うが・・4人がイコールでなければ成功しないという表現で果たしていいだろうか?という疑問は今作に感じます)
そう考えれば、人が出会い、チームを結成するということは、偶然や運命ではなく、ただただ「奇跡」なんだと思えるのだが、今作には関係ない考えだと思う。映画の描写はもっとあっさりしたものだった。
大停電の後、売れないミュージシャンのインド系イギリス人の青年だけがビートルズを覚えていて、恋人や友人の前で名曲『イエスタディ』を弾き語りすると、皆口をポカーンとして「その曲いつ作ったの!?素晴らしいわ!!」と大興奮。
いやいやこの曲はポールが作った・・ビートルズの曲でしょ(^◇^;)
なにビートルズって?カブトムシの事?・・えっ?
いやいや信じないぞ(^◇^;)僕を騙してるんだろう。
帰宅しネットで検索しても、ビートルズは一切出てこない・・ってことは💡
主人公はその後、状況を知り、ビートルズの楽曲を楽譜に起こし、披露し続け、テレビ出演やアメリカ進出とビートルズの楽曲を引っさげて世界的に大成功する。自分自身が作ったものではないので心は晴れないが、ビートルズの楽曲を世間に残すためにも彼は歌い続ける。地位や名誉を掴んでも、単なる金儲けや私欲のためではなく、音楽人として尊敬の意を表しているのがいい。
そして好都合な脚本だが、ギターやピアノが弾けて楽譜が読める主人公でよかったと思う。あとは程々に歌唱力があって、インド系という事で見た目はイマイチだが、ビートルズのコピーシンガーとしてはかなりいい感じなのではないだろうか。
やがて多くのメディアでビートルズの楽曲を歌い続ける主人公を見て「謎の人物たち」が世界中から彼の元を訪ねてくる。分かっているのは彼らがビートルズを覚えているという事。メディアの前で「その曲、本当は誰が作ったのー??」。ビートルズの曲を自分が作った楽曲であると歌い続ける主人公は気が気ではない。
謎の人物たちの表情は一様に皆真顔で、白人なので、まるで奴等こそ停電を起こしたITで、ハリウッドのパニック映画によく出てくる人間に紛れた宇宙人みたいに観えて私は恐怖を感じました。
近年、英国初の流行となっているQUEENやエルトン・ジョン伝記映画のようなライブシーンを今作にも期待したが、前者の伝記映画ではなく、今作は第三者が歌うライブになるので「いい歌だな」くらいの感覚で終わった。
まぁ主人公が元々崇拝していたビートルズを世界中の人が知らない。という設定だし、その楽曲を自分の手で残したいという考えでステージに上がっているので、「いい歌だな」という感覚に私がなったのは、映画の感想としては主人公の望むことを代弁しているようで、それでいいと思う。
だけれど、ビートルズが其々の人生に無くても、人々は普通に生活していて世界は何も変わっていないので、寂しいと思ったし、もっと各設定を掘り下げて深みを付けてもよかったのではないか?替えの効かない存在みたいな描き方も敬意を込めてして欲しかった。
高額な著作権が発生するビートルズに手をつけるとは流石ダニー・ボイルといった感じだし、ビートルズ本人ではなくコピー歌手が歌えば安くなるという裏事情を『I am Sam』の制作秘話で観たのを思い出します。
最後に。
「誰を消すか?」という選択は制作側は難しかったと思います。劇中の数場面で、主人公はスマホやパソコンを使って検索していますが、最初の文に例で出したスティーブ・ジョブズを今作で消していたら、主人公はスマホで検索はできなかったでしょう。
もし私がアイデアを出せるなら、あえてスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツを消してしまいます。
その意図は、ビートルズが現役で活躍していたのは、人は雑誌やテレビや人伝や噂で妄想を広げ、そういう思いが昂ぶって本人に見たときに発狂や失神をした時代です。今作品の主人公はあまりに条件が揃っているので、携帯や電子機器がない時代に戻して今作品を作った方が魅力はあるのかも知れないと思ってしまいます。
ドラえもんの無敵アイテム「もしもボックス」を使った発想の映画。
脚本 〔13〕点
演技 〔14〕点
構成 〔14〕点
展開 〔13〕点
完成度〔14〕点
[68]点
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監督🎬
【チャド・スタエルスキ】
出演者
【キアヌ・リーヴス】【イアン・マクシェーン】【アンジェリカ・ヒューストン】
【ローレンス・フィッシュバーン】【ハル・ベリー】他
本編⏰[131]分
公開日[10月4日]
演技 〔14〕点
構成 〔15〕点
展開 〔13〕点
完成度〔14〕点
[70]点
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監督🎬
【犬童一心】
出演者
【吉永小百合】【天海祐希】【ムロツヨシ】
【満島ひかり】【前川清】【賀来賢人】他
本編⏰[115]分
公開日[10月11日]
脚本 〔13〕点
演技 〔13〕点
構成 〔14〕点
展開 〔14〕点
完成度〔14〕点
[68]点
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監督🎬
【トッド・フィリップス】
出演者
【ホアキン・フェニックス】【ロバート・デ・ニーロ】
【ザジー・ビーツ】
本編⏰[122]分
公開日[10月4日]
脚本 〔16〕点
演技 〔15〕点
構成 〔15〕点
展開 〔14〕点
完成度〔15〕点
[75]点
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監督🎬
【上田慎一郎】
出演者
【大澤数人】【河野宏樹】【淡梨】【小川未祐】
本編⏰[109]分
公開日[10月18日]
12年も前になるけれど、織田裕二さん主演の時代劇『椿三十郎』で、若侍役のキャストを完全オーディション選考にして、封を開けると殆どが無名の新人俳優だった映画が公開され「話題」になりました。
この当時の映画館は、今のような邦画中心のロードショウーではなく洋画が7割の状況でしたが、とてもエネルギーを感じました。
全国公開で上映される日本映画の場合、出演者のネームバリューが「最も大事」だということを幼心に理解した作品です。
ミニシアターで公開した『カメラを止めるな!』が空前のヒットとなり、内容よりもブロックバスターよりも、私が最も嬉しかったのは、出演するキャストが9割方初見の俳優だったことです。個人的には一番新鮮でした。
今回の上田監督の新作『スペシャルアクターズ』も同様で、鑑賞が始まると、まずは顔を覚える作業をしました。初めて見る俳優さんしか出演されていないからです。
ここまで見事に名前も顔も存じない俳優さんが出演されていると、それだけで好感を持てるし、今後もこの信念を貫いて欲しいです。上で名前を入力するときは、一文字一文字、漢字変換していました。
今作は面白いし、手も込んでいるけど、この先も筆頭が『カメラを止めるな!』になるでしょうから、カメ止め以上のヒット作が出ることは生涯ないでしょうね。同じ監督で三度ブームが来るという現象はあまりないと思います。
ラストは余計に思える。色々と見せ場を作ろうと遊び心を魅せる脚本作りは素敵で、何度も言いますが初見の俳優さんが殆どでしたが、それを感じさせないテンポの良さと技術力の高さが魅力的です。劇場・ディスクなどで鑑賞くださいませ。
脚本 〔14〕点
演技 〔13〕点
構成 〔15〕点
展開 〔13〕点
完成度〔14〕点
[68]点
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監督🎬
【アン・リー】
出演者
【ウィル・スミス】【メアリー・エリザベス・ウィンステッド】
【クライブ・オーウェン】【ベネディクト・ウォン】
本編⏰[117]分
公開日[10月25日]
脚本 〔14〕点
演技 〔14〕点
構成 〔13〕点
展開 〔13〕点
完成度〔15〕点
[69]点
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監督🎬
【オットー・バサースト】
出演者
【タロン・エジャトン】【ジェイミー・フォックス】
【ベン・メンデルソーン】【イヴ・ヒューリン】【ジェイミー・ドーナン】
本編⏰[116]分
公開日[10月18日]
脚本 〔15〕点
演技 〔14〕点
構成 〔14〕点
展開 〔13〕点
完成度〔14〕点
[70]点
【mAb】