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THE映画評論『Last Christmas』

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『ラスト・クリスマス』

 

 

 

 

昭和の少女漫画家が脚本を書いたのか!?と思ってしまうほどありきたりな脚本ですし、絶賛!というわけではないですが、久しぶりに1記事を書きたくなったので書きます。

 

 

監督🎬は『ゴーストバスターズ2016』の【ポール・フェイグ】。

 

 

英国(ロンドン)が舞台で英国にゆかりのある俳優が出演なので、てっきり英国映画かと思って観ていましたが、アメリカ映画となります。

 

 

劇中歌はワムの名曲『ラスト・クリスマス』。クリスマスになると日本でも国中の繁華街で流れますね。

 

 

自分の耳の記憶の中では、小学生だった90年代に街に流れるクリスマスソングといえば、『クリスマスイブ』と『ラストクリスマス』の二曲になります。子供心にバブルの都内の街並みにワムは豪華絢爛で、30年以上の時が流れた現代の街並みにも変わらず二曲とも流れていますから抜群の安定感があります。逆に寂しいことを言えば、それ以上(以降)に愛される王道のクリスマスソングが日本ではまだないということでしょう。

 

 

 

主役の女優は【エミリア・クラーク】〔33〕。

遅ばせながら『ゲーム・オブ・スローンズ』を半分ほどDVD鑑賞しましたので、デナーレス役という認知があります。

2015年の『ターミネーター』のヒロインでもありますので、世界的な女優さんになるのでしょう。

 

 

個人的に、劇中のエミリア・クラークを観ながら、自分の好きな女優さんを思い浮かべていまして・・・

 

それが【レイチェル・マクアダムス】。アダムスのような「金髪」+「犬系」の顔立ちの女優さんが好きです。劇中は何度も可愛いなぁと思いながら鑑賞できたので、感情移入もしやすかったし目の保養にもなりました✌︎('ω'✌︎ )

 

 

公開日は[12月6日]で、本編の上映時間は[1時間43分]です。予告を入れてちょうど2時間かな。この記事を読んだ方が今作品に少しでも興味を持っていただけるように描きたいと思います。

 

 

___

 

 

 

あまり長く書く予定はないので、さっと読んで気になりましたら映画館へ。

 

 

舞台は英国はロンドン。私の大好きな街です。

 

 

クリスマスの時期です。

 

 

やはりクリスマスはカトリック圏のお祭りですから、「ヨーロッパ=クリスマス」というだけで、とてもしっくり来るのは私だけかしら。

 

 

主人公のケイトは心配になる生き方をしています。

 

 

彼女の一家は旧ユーゴスラビアからの移民で、内戦の中、海を渡って英国にやってきたという過去があります。

裸一貫で私財もなく英国にやってきて、現在は一軒家に住んでいます。それを考えるだけでもグッときます。

 

 

そのぶん家族の絆は強いと思うのですが、表面上ではバラバラです。

 

 

ヒステリックな母。そんな妻が苦手で避けるように生活している父。レズビアンを告白できない姉。そして主人公の次女。

 

 

この時期、イギリス国内で移民排除の運動が行われて、連日テレビではその様子を報道しています。

特に母親は強制送還されるのではないか?と気が気ではありません。

 

 

主人公のケイトは「帰る家」はありますが、(冒頭の時期は特に)あまり帰ろうとしません。実家はロンドン市内からバスで行ける距離なのに、まるで家出少女のような日々を過ごしています。

 

 

お酒が好きなようです。

 

 

パブ(イギリスの酒場)で一人飲みをしていると、かなりの確率で男にナンパされます。

 

 

ケイトはその知り合ったばかりの男の家に泊まります。もちろん体の関係はあるでしょう。

 

 

別に男目的で一人飲みしているわけではないのでしょうけど、そう思われても仕方はないので、心配になるし、正直なんでこんな生き方をしているんだろう?と印象は悪いです。

 

 

今夜の宿が確保できない時は、友達の家に転がり込みます。

 

 

しかし彼女は毎回、粗相をします。粗相といっても「ドジっ子」を想像してください。

 

 

相当な天然さんで、友達の家で、くつろぎすぎて、転んで家のものを壊したりするなど、何かしらのハプニングを起こします。

 

 

冒頭の女友達の家では、泊めてもらっている身分で一人飲みにいって酔っ払って「行きずりの男」を連れて帰ってきて行為に及ぶ・・友達にしてみれば知らない男を自分の家に連れ込んでいる・・さすがに「もう来ないで!」ですよね(^◇^;)

 

 

彼氏はいないようです。そりゃそうでしょう。恋愛映画のオープニングなんですから(笑)

 

 

バイト先はクリスマス用品を扱う専門店。二階使用で大きなお店ですが、バイトは彼女1人です。

 

 

【サンタ】という名前の女店長は在英中国人。女優が【ミシェル・ヨー】〔57〕なので、私は真矢みきさんを思い出し安心感を持ちます。

 

 

 

 

中国人女店主は、メイドイン中国のツテを頼ってか、ヨーロッパでは手に入らないようなクリスマスグッツを店内で販売しています。

 

彼女も主人公同様、独身でクリスマスに過ごす相手はいないようです。

 

 

___

 

 

 

時期は12月に入った辺りかな。ラストシーンがクリスマス本番になるので、約1ヶ月間を描く「クリスマスの奇跡」の恋愛映画だと把握して鑑賞しました。

 

 

店は繁盛しているように見えます。店内の電飾が明るくキラキラしているのでお客が少なくても賑わって見えるのかもしれません。

とても贅沢な空間にも感じます。

 

 

クリスマス商戦でケイトはエルフのコスプレです。エルフとは北ヨーロッパ伝承の妖精のこと。

 

 

 

 

話は変わりますが、最初エルフと言われるまで、緑色のサンタなのかな?と思っていました。

日本で売られる近年のサンタのコスプレでは、色んな色のコスチュームを見るので、「赤いランドセルは古い」じゃないけど「サンタ服=赤い」の常識は私の中で低くなっていました。これがエルフなんだぁぁ。(日本はゴチャマゼだからね)

 

 

 

彼女のキャラ(明るく・感情的でおっちょこちょい)がいいので、お客様受けはよく看板娘になっているのですが、雇い主からすれば手を焼く存在。心ここに在らずだったり、勤務中に携帯をいじったり、店長に無断で店外に出ていったり、かなり自由。

 

 

サンタ店長はいつも彼女を気にかけ、目を光らせて注意に熱心。

 

 

店の鍵を預けていますので、戸締まりをちゃんとせずにデートに出かけたりもされます。預けた店長にも責任ありますね。ミシェル・ヨーの涙をこらえる演技にグッときました。

 

 

でもまぁなんだかんだで上手くやっているお二人です。

まるで『ナースのお仕事』の松下由樹さんと観月ありささんみたいな関係性に思えます

 

 

話は変わりますが、クリスマスが終わったら、日本の場合は翌日からお正月の準備ですけど、欧米は2ヶ月くらいムードが続くと聞きます。こういう専門店ってシーズン以外はどうするのでしょう?海の家の冬みたいな感じなのかな(^◇^;)?

 

 

__

 

 

 

ある日。

 

 

性懲りも無く、自由なバイトスタイルで店外に飛び出したケイトは、一人の男性と出会います。

 

 

長身のアジア系で、ハニ噛んだ笑顔が素敵な好青年。少年のようにはしゃぐ人。

 

 

男性は明らかに気に入られようとアプローチしている。しかしなぜだかケイトはそっけない。

それまでが少し軽い女に映っていたので、彼の善意的で優しい問いかけのわりに、反応が悪いのが気になりました。

 

 

彼の口癖は「上を見ろ」。色々な発見ができますし、おそらく人は下を向くより上を向いた方が心は晴れる。

 

 

その日から彼は彼女の前に現れます。

 

 

2度目の出会いは人生どん底の日。

 

 

歌手志望のケイトは大事なオーディションに遅れてしまい。トボトボと帰宅。バイト先から直行したのでエルフ姿。

 

 

その道で彼は自転車の鍵をかけていました。偶然だね。あなた私を付けてるの?

 

 

彼はなんとか彼女に明るくなってもらおうと励ましたり、おちゃらけたりと、ポジティブに振舞います。

 

 

元々惚れっぽい女性ですから打ち解けるのも早い。(実際はそういう設定ではないとは思いますが、100分台映画のカット割り上、常にケイトには男性がいるように観えました)

 

 

それからはバイト終わりに自分の前に現れる彼のことを楽しみに待つ時間に。

 

 

彼と過ごすことで、温かく穏やな気分で入れて、それまでのように家出娘ではなく実家に帰るようになっているので、単純によかったなぁと(^_^;)

 

 

 

外出時には携帯を持たないと言う彼。連絡手段はないので、しばらく自分の元に現れないことにより不安になり恋心のドキドキは上昇。

 

 

自分としては携帯を家の戸棚に置いて持たないということや、慈善活動をしているという好青年ぶりと、俳優の過去の作品から、大企業の社長さんなのかな?とも思っていました。

 

 

 

アジア人の青年トムを演じる俳優は【ヘンリー・ゴールディング】[32]。

 

 

この俳優のデビュー作を劇場鑑賞しています。(記事には書き残していませんm(._.)m)シンガポールの貴族を演じた『クレイジー・リッチ』という作品です。TOHOで上映されたので鑑賞しました。

 

 

 

Wikipediaの情報では、本人は英国人の父親とマレーシア人の母親との間に生まれたハーフで英国育ち。20代前半でマレーシアで芸能活動を始め、昨年クレイジー・リッチでアメリカ映画デビュー。現在今後が最も注目されるアジア系俳優です。

 

 

 

気になったのは、彼のマレーシア人の母親が先住民族のイバン族の家系であること。イスラム教徒でもマレー人でもないダヤク族(イバン族)はボルネオ島の先住民族で、最も有名なのは「首刈り」と呼ばれる別の集落の敵の首を刈る殺人で、その首を煮て乾燥させを繰り返し、干し首にして小さくして持ち歩いていたという民族です。今は流石にコンプライアンス的にもないと思いますが(^◇^;)マレーとかパプアなど、この辺りの先住民族って怖いですよね。

 

 

___

 

 

 

そろそろ記事を〆ますよ。

 

 

トムとしばらく会えていないことで不安になったケイトは、トムがホームレス達相手にボランティアをしているという教会を訪ね、それ以降、現れない彼に変わって炊き出しや職員の手伝いをしたり、クリスマスパーティの主催をしたり、彼「きっかけ」で自分自身が変わっていく、心の成長に◉。

 

 

元々、人間性は柔らくて優しい主人公ですが、自分が一番いいなと思ったシーンを紹介します。

バスに乗っている際、英国人が旧ユーゴスラビア移民の夫婦に「国に帰れ!英語以外を話すな!」と凄い剣幕で怒鳴りバスを降りていきます。その後、他の乗客が後に続かなかったのでホッとしましたが、車内の空気は最悪。

 

ケイトは夫婦の隣に駆け寄り、自分も同郷だと同じ言語を話し微笑みかけます。そこには、普段のおっちょこちょいで、ドジで悪気のない天然娘の面影はありませんでした。

 

 

オスカー女優であり今作の脚本家でもある【エマ・トンプソン】[60]演じる母親がテレビで移民差別のムードが高まっているというニュースを見ながら、強制送還を恐れて家から外出できないでいるので、ただの恋愛映画ですけど、歴史的背景や状況を勉強したいと意欲的に思えるテーマも描かれていました。

 

 

 

もう1つ。今度は気になった話です。

中盤で紹介されることですが、ケイトは心臓移植をしていて、手術前の人生は恐らく色々なことが制限されてきたのでしょう。それゆえに命のありがたみみたいなものは人一倍知っているのでしょう。

 

しかしそれを描かれると正直首を捻りたくなってしまうのが、前半部分では毎夜、酒場で知り合った男の家に転がり込んで、ナンパ男達と一夜を過ごす生活をしていますが、彼女は胸のところに結構な手術跡があるはずなのに、行きずりの男はそれを見て「引かない」のでしょうか。

 

 

なんだかそれまで普通の体の女性みたいに描かれていたので、途中(告白後)から取って付けたような脚本だと思いました。

 

 

出だしでも書きましたが、非常にありきたりな脚本で、既存の作品を真似たのではないか?と疑いの気分にもなりますけれど、

 

2人の男女の主役は「愛くるしい」しロンドンの冬の町並みにもとても合っていて「好感」を持てます。

 

 

 

 

こんなに幸せそうに笑ってくれると観ているこちらも幸せな気分になります。

 

 

 

それとこうも考えました。

 

 

この作品を中高生が観たら「思い出の映画」になるのではないか?と。

 

 

映画鑑賞歴が長くなると比較対象数も増えて、「これはあの作品に、あれはあの作品に、」と偉そうにも雑念が働き、どうしても完全には純粋な気持ちで鑑賞できなくなります。

 

 

自分が中学生の時に、こういうラブストーリーを観たら、帰り道は気持ちホクホクになるんだろうな。

 

 

それで付き合いたての彼女に「手・・繋いでいい?」なんて聞いたんだろう。

 

 

心の中に温かい思い出があると、きっと人はそれだけで幸せだと言えます。

 

 

書くのが遅くなってしまったことで現在は1日の上映回数が少ない状況かと思いますが、愛嬌のある映画なのでオススメ致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脚本 12点

演技 14点

構成 13点

展開 13点

完成度13点

 

追加項目

 

優しさ+1点

温かさ+1点

 

 

[67]点

 

 

 

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【mAb】

 

 


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