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THE映画評論『A Mermaid In Paris』

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2月11日公開の外国語映画。

 

上映終了になる前に紹介したい洋画なので、他作品前倒しで書きたいと思います。

 

 

TOHO系のシネコンでは今作品を上映しておらず、松竹系シネコンであるMOVIXで今作を見ました。

 

 

読者の方にはおなじみの前書きですね。

私は映画鑑賞の実に9割をTOHO-CINEMASで鑑賞してきました。

 

 

その為TOHO系以外のシネコンやミニシアターで公開される作品には大変疎い次第です。

 

 

系列館が異なると、予告もチラシも情報を仕入れられない➕このご時世で洋画新作の公開有無がハッキリしません。

 

 

10年以上のTOHO生活が体に染み付いていました。

 

 

しかし、不幸中の幸いか、そんなご時世が逆に功を奏し、今年に入りTOHO以外の劇場もアプリに登録しチェック。アンテナを張るようになりました。単刀直入に申せば、東宝で公開される新作の日本映画で興味のある作品が少なくなったからです。(邦画の青春ラブコメには興味がなくなった。以前はよく見ていたのだけれども・・。)

 

 

スマホのアプリに各シネコンを入れておくと、何気ない暇な時間に「携帯いじり」で見たりできます。

 

 

そして「SMT」(ショウチク・マルチプレックス・シアターズ)の作品検索で、「カタカナのタイトル」を発見。

 

 

日本映画の題名は大概、漢字とひらがなです。

 

 

『マーメイド・イン・パリ』という題名の映画。

 

 

 

 

この私好みのタイトルに惹かれて劇場に足を伸ばしました。

 

 

『〇〇・イン・地名』の英題名は日本で沢山上映されてきたため、タイトルに新しさは感じません。

 

 

『〜・イン・パリ』で思い出すのは、ウディ・アレン監督の2011年作『ミッドナイト・イン・パリ』!!

 

 

この作品が大好きで、ウディ・アレンは大衆受けしないのか日本で公開する際は劇場数が少なく単館扱い。その時も足を運んで遠征しました。

 

 

(MeToo運動で言葉の砲弾を投げ込まれている御年85歳の大監督。高齢ですし色々と心配。作品には罪はないと思います。)

 

 

上映時間を調べる際に作品情報を読み、そこで初めて今作品はフランス映画で自国を舞台に撮られた「ロマンチック・ラブストーリー」だということを知ります。

 

 

(鑑賞前に仕入れるのはジャンルと俳優のみ。公式サイトは記事を書くときに初めて読むパターンが多いです。)

 

 

・・考えてみれば、私はこれまでの映画館映画(ロードショウ)人生のうち、実に9割の洋画がハリウッド(アメリカ)映画でした。

 

 

イギリスは兎も角、映画の舞台がフランスだとしても、ドイツだとしても、「ハリウッド製作・言語は英語」が当たり前という概念になっていて、それを普通に受け入れて来ました。

 

 

おかげさまで英語は自然と聞き取れるようになったので字幕は要りません。(弁護士や科学などの専門用語が頻繁に出てくるハリウッド映画は字幕を読みながら鑑賞します。)

 

 

年に数回。MOVIXやユナイテッド・シネマを訪れると「英語以外の外国語映画」が上映されていたりするので、そこで映画館映画人生の残り1割を埋めます。

 

 

ヨーロッパ映画で、主人公がその国の俳優で、その国の言葉を話しているのを観ると、毎回ちょっと新鮮になって、何より字幕を読むという作業にも集中力を使わなければなりません。

 

 

フランス映画がパリを舞台にすることなんて当然のことなので、こんなに新鮮に感じてしまうのも、おかしな話ですけどね(^_^;)

 

 

___

 

 

 

ショッピングモール内で今作品のポスターを見かけた際に、2018年に日本公開された魚人と人間の恋を描いた『シェープ・オブ・ウォーター』を連想しました。その年のアカデミー賞4冠。当時の記事のリンクを貼っておきます。

 

 

 

 

 

 

まぁ、美女と野獣もそうですし、種族の違う男女の恋愛映画は大きな話題になるかもしれませんね。

 

 

日本で2月に公開されるヨーロッパ映画は、アカデミー賞を意識した作品に違いない!

アカデミー賞フリークの自分はそう信じてやみません。

 

 

因みに今年のアカデミー賞は現地時間で4月25日に行われます。ノミネート発表は3月15日。殆どが日本で上映されていない状況で迎えることになりそうなので、何も気にせずにテレビで見ようと思っています。

 

 

 

 

 

昨年から日本映画ばかりで・・外国語映画に餓えていた為、公開を見つけた時点で第1週目に鑑賞することは決定です。しかし土日は避けます。

 

 

(土日しか映画を観に行けない方には本当に申し訳ない気持ちですm(__)m)

 

 

緊急事態宣言下といえ、土日の東京のショッピングモールは、地方の方からすれば驚くほど人が集まっています。

 

 

鑑賞は週明けの平日一択。

土日は、目の前に大好きなエサを見せられて「待て!」と言われた犬のように、我慢しました。

 

 

昨年の春先に中国から世界に飛び火した新型コロナウイルスは、世界中の人々の命を燃やし、現在も消化活動が続いていますね。

 

 

ここ日本でも、誰もが火の粉を持って歩いているような状態ですから、映画館に行く時も席の選択は重要で、極力「ぼっち」になる席を選んで座っています。

 

 

では改めて始めさせて頂きます。さぁ楽しい映画の時間だ!

 

 

_____

 

 

 

『マーメイド・イン・パリ』

 

 

 

 

 

 

 

監督🎬

【マチアス・マルジウ】

 

脚本🖋

【マチアス・マルジウ】

【ステファン・ランドスキ】

 

 

ガスパール

【ニコラ・デュヴォシェル】

 

 

人魚ルラ

【マリリン・リマ】

 

 

隣人ロッシ

【ロッシ・デ・パルマ】

 

 

女医ミレナ

【ロマーヌ・ボーランジェ】

 

 

オーナー・カミール

【チェッキー・カリョ】

 

 

 

本編[1:42]

 

配給[ハピネット]

 

 

 

_______

 

 

 

描写と合わせて本編の物語を紹介していきます。

 

 

舞台はフランスのパリ。

 

 

セーヌ川に浮かぶ老舗の水上酒場「フラワーバーガー」。

そこで夜な夜な行われるエンターテイメントショー。

 

 

憧れが強いもんで(^_^;)舞台設定だけでもオシャレだなと感じます。

 

 

何より「パリ」「セーヌ川」というパワーワードがあるから、それだけで「いい映画だ」と疑わない自分がいます(笑)

 

 

「フラワーバーガー」。花とハンバーガー??2つの単語を組み合わせた造語。

 

 

ユニークな「仕掛け」があるお店。表向きは船上レストランです。

 

 

店内で「合言葉」を唱えれば、ウエイトレスが近寄ってきて「こちらにどうぞ」と奥に案内されます。

 

 

ウエイトレスに通された客は秘密の扉をくぐる。

ドキドキ感はまるで秘密結社フリーメイソンの秘密の扉。

 

 

店の奥にはダンスフロアがあって、ステージでは「サプライザー」と呼ばれるパフォーマンス集団が歌や踊りでお客様を楽しませています。

 

 

船上レストランとして恋人や連れと食事を楽しむ場所であり、合言葉制で酒場に入場しエンターテイメントショーを楽しむ場所でもある。この二面の仕掛けが面白い。

 

 

ステージでは歌や踊りが行われ、それをテーブル席で観る客。

船はそこまで大きくないのに、レストラン内に演奏が漏れませんから不思議。

 

 

映画的な都合の良さなのか or 例えば麦わら海賊団のフランキーみたいな船大工が完全防音に設計したのか。

後者と思えば夢があるので、そう思うことにします(笑)

 

 

入店への切符となる合言葉は他言無用で、劇中では、独り言のようにボソッと呟き成立する。

 

 

(映画を語る上で、私が知りたかったのは)常連の客は顔パスなのか?どうなのか?映画の中では描かれていませんけど、とにかく初めてのルールは上記の通り。

 

 

祇園のお座敷みたいに「一見さんお断り」ではなくて、紹介者の名前もいらないし、同伴も必要ではない。言葉1つでいい。

 

 

ただ・・合言葉さえ仕入れてしまえば「容易く入場出来る」という弱点も、この映画内で露呈されています。

 

 

___

 

 

 

「人間と人魚の恋愛映画」を総じて「ラブストーリー」で括るのが一般的だと思います。

 

 

先に書きますけど、この映画は恋愛映画として、「ありふれている」と私は思うので、B-RANK評価です。

 

 

それ(恋愛)を「可能」にする主人公(人間)の純朴な性格、育ってきた環境などの舞台設定が秀逸で、カオス空間とファンタジー要素がよく合っているので、この映画はまるで水彩画。

 

 

「ラブストーリー」としてはB-RANK。「ロマンチック・ラブストーリー」としてはA-RANKです。

 

 

後半は恋愛映画になるのでまったりしますが、出会いから恋に落ちるまでの前半は環境説明と背景がメイン。

 

 

そのプラス評価である設定を集中的に書いていきます。

 

 

___

 

 

 

歴史ある「サプライザー」と呼ばれるパフォーマンス集団は、入店したお客様を喜ばせる高い技術力があります。

 

 

冒頭の歌唱シーンでは、おそらく日本人(アジア系)の女性キャスト3名が主人公のバックコーラス隊で参加していて、息の合ったパフォーマンス。

 

 

 

 

「ブラボー!!」と手を叩きたかった程、その美声のハーモニーに引き込まれました。

 

 

サプライザーという呼称は、この作品の中だけで使われる造語ですが、例えばサーカス団とかマジックショー団などで、どこかで聞いたことがありそうな言葉ですね。耳馴染みがあります。

 

 

そんなサプライザー。限られた客しかステージを見れないので、世間的な認知はされていないように視え、特別有名でもないし、裕福ではありません。

 

 

主人公のガスパールも有名人ではありません。パリで働く1人の社会人という感じです。

 

 

ガスパールを演じる男優は、フランスを代表する俳優【ニコラ・デュヴォシェル】[40]

 

 

見た目や体型からは素朴なフランス人に見えますが、ファッションブランド「ヒューゴ・ボス」のモデルを務めるなど、モデルとしても活躍する人物です。

 

 

(プロフィールに書いてあった情報を、知ってる体で紹介してみた)

 

 

_____

 

 

 

時代設定はいつなんだろう・・2020年?

 

 

水族館などの映像から現代劇だと思いますが、60年・70年代の20世紀と言われても全然成立する時代に囚われない全体図。

 

 

それはパリの景色が古都であって、映像で見るだけで、観客にノスタルジックやタイムスリップの感覚を与えてくれる魅惑的な要素があるからだと私は勝手に思っています。

 

 

(ヨーロッパの古い建造物や住宅を大事にする文化がそうさせるのでしょうか)

 

 

ステージのあるクラブや、主人公の一芸性・感性などからイメージしたのは、作る側も見る側も夢の世界に居られる場所。

 

 

そうまさしく、映画創世記に活躍したフランス人監督で、映画の父である【ジョルジュ・メリウス】が思い浮かぶのです。

カラクリ人形だったり「意外性で溢れている」そんな場所に思えました。

 

 

(mAb・・パリに相当憧れがあるんだな)

 

 

___

 

 

 

冒頭。

 

 

(3000文字使って まだ冒頭部分かーいΣ(・□・;))

 

 

(一番語りたかったフラワーバーガーやサプライザーの話は書きましたので、それを踏まえて本編を紹介します( ✌︎'ω')✌︎)

 

 

フラワーバーガーでパフォーマンスに酔いしれた中年男が、一人夢見心地の気分で川沿いを歩いていると、「ンンン♬」とハミングのような歌声が聞きえてくる。

 

 

男はその声に呼び寄せられるように川の中に入って逝き・・・次のシーン。

 

 

同じように歌声に呼び寄せられた中年男が、躊躇うこともせずに川の中へと入って逝きます。

 

 

 

・・・私が人魚という西洋のバケモノの存在を詳しく知ったのは『ドラえもん』です。

 

 

(脱線します!宣言)

 

 

『映画ドラえもん『のび太と魔界大冒険』』。魔界に入って大ボスの城へと向う途中のワンシーンで、それは登場します。

 

 

野比のび太率いる仲良し5人組が海上の「難攻」とされる人魚のいる小島をタケコプターで通過するシーン。

 

人魚の歌声を聴くと男は不可抗力で呼び込まれ、バケモノの餌にされてしまう。

 

 

 

男性陣(小学生)はあまりの魅惑的な歌声に呼び込まれます。

 

この時、源静香女史には効きません。男性という性別が人魚に呼ばれるという条件を貫いています。

 

 

近づいたらthe endのタイミングで、俺の方が(歌は)上手い!と強烈に嫉妬した剛田武ジャイアンさんが正気を取り戻し、歌い、人魚を撃退したというオチが付きます。

 

 

(画像はお借りしました)

 

 

 

人魚は船乗りの男たちを、歌や美貌で誘い寄せ、食べてしまう。とありました。

 

 

記憶だけで書いているので、正確な解説は違うと思いますが、その後も映画や欧州の伝記などで人魚の話が出てくる際は必ず『魔界大冒険』のワンシーンが頭に浮かぶほど、私の意識に強烈な迄に定着したのです。

 

 

ドラえもんの劇場版は私の発想の発育書であり辞書です。子供時代の培う創造性に多大に影響されました。

 

 

例えば、映画の王道であるゾンビは、基本的な設定に追加項目を加えて今日でも進化し続けています。

しかし人魚映画は少ないし、基本的に上半身はヌードだし、ディズニーアニメのイメージも強く夢を与えてきたから、そこまでリアル劇は追求してこなかったと思います。

 

 

子供時代に『魔界大冒険』を熟読し、子供心に「人魚=男殺し」という印象が植え付きました。

 

なので『リトル・マーメイド』のアリエル姫も、実のところ、ちょっと怖いです(笑)

 

 

元々人魚は欧州のバケモノなので、天才【藤子・F・不二雄】先生もその設定を仕入れたうえで書かれたのでしょう。

今回の映画で似たような設定だったのが、嬉しかったし、童心に返ったような感覚になりました。

 

 

(脱線終了。本線に戻ります)

 

 

 

___

 

 

 

ある夜。

 

 

主人公のガスパールは、川辺に打ち上げられた(という表現でいいのか?一応半分魚なので)人魚を発見します。

 

 

「えー!?人魚!?」というリアクションはしません。そこはパフォーマンス集団サプライザーの主軸メンバーだからなのかな?と測って読みました。

 

 

意識を失っているようで、よく見ると怪我をしている。

 

 

お腹から下は魚、お腹から上は人間の女性。

自分の着ていたジャケットを彼女に着せて、担ぐ。

 

 

タクシーは乗車拒否。そこで東南アジアでよく見かけるトゥクトゥクを停車。

 

 

主人公は移動手段でローラーブレードを履いているので、運転手にローラーブレードを渡し、引き換えにトゥクトゥクと交換。

 

 

人魚を後部座席に積み込み、自分で運転して病院に運んで行く。

東南アジア系の運転手にフランス人がトゥクトゥクと交換してくれ!・・って「わらしべ長者」みたいな物々交換だなΣ(゚д゚lll)

 

 

訳も分からずポツンと立ち尽くす元運転手のワンカット。

 

 

ここら辺はコメディにしたいのか、ヨーロッパの劇場ではここで笑い声が聞こえるのかな?

 

いまひとつ自分にはユーモアセンスの価値観が違うと思った展開になります。

 

 

(人間の病院ではなく、魚を扱う動物病院に連れて言ったらいいのに・・って現実的な見方)

 

 

救急病院は混み合っていて、受付の中年女性の応対も片肘ついて宜しくない。

 

 

(外国だったら店員の方が態度大きいのは普通だけど日本だったらクレーム(^_^;)文化が違う)

 

 

受診するために保険証の提出をせよ!など言われて、主人公がカバンの中を漁ってテンパっている。

 

 

その間、病院の正面に止めたトゥクトゥクには、怪我をしている金髪女性が横になっている状態。男性医が近づいてくる。

 

 

「大丈夫ですか?」手当てをするために近づくと、人魚は目を開き、続いて口を開く。

 

 

間もなく、その男性医は放心状態で病院に戻り、死亡する。

 

 

死因は心臓破裂。この病院で2名の男性が同じ死因で急死する。

 

 

(善人が急死するのは可哀想に感じてしまいます)

 

 

その男性医の婚約者は、同じ病院に勤める女医ミレナ。

 

 

婚約者の突然死に戸惑い苦しむミレナは、彼が死ぬはずがない、何か原因があるはずだと、翌日、彼のその夜の痕跡を辿る。

 

 

受付で忘れ物をしたという男の本を入手。その男が乗ってきて、病院前に停めていたとされるトゥクトゥクに移動。

 

 

そこで青い液体を発見。医者と女の勘が働く「これは血液よ」。

 

 

(恋人を失った女医のミレナ。以降は主人公・時々・ミレナの2主軸で展開していきます。)

 

 

___

 

 

 

病院での治療を諦めた主人公ガスパールは、トゥクトゥクを走らせ、人魚を自宅に連れて帰る。

 

 

「外国はシャワー」という文化がありますが、今作品の主人公は「お風呂好きなフランス人」で良かったなと思います。

 

 

バスタブに人魚を入れて、水槽の魚のように、水を貯める。

 

 

ジャケット姿のままもアレですから、自前のTシャツに着替えさせる。

 

その着替えシーンも、人魚の胸を見ないように顔を背けていて、体への接触も必要最低限。

 

 

純粋なのか、紳士的なのか、奥手なのか、幼稚なのか・・とガスパール像を考えたほど描写は丁寧でした。

 

 

そこで初めて見つめ合う。

 

 

目を開いた人魚が歌った。いつものように私に恋をして死になさい

 

 

だけどガスパールはビクともしない。「ん?」と微笑んでいる。

 

口をパクパクして歌う人魚。「何。なんか言った?」と微笑むガスパール。

 

 

こんなの初めてだ。虚をつかれた人魚。尚も歌うが、この男には何故か効かない。

そして、怪我をした箇所の応急処置を始める。擬音通りポカーンと見ている人魚。

 

 

 

 

この男は可笑しな男だ。だが自分に危害を加えることはない。

 

 

「・・・ルラ」

 

 

自分の名前を名乗る。

 

 

「宜しくルラ。僕の名前はガスパール。」

 

 

それから暫くの間、この2人の同棲生活が続くのです。

 

 

_______

 

 

 

ガスパールの部屋の隣に住むロッシは、彼のことが大好きなマダム。独り身。

 

 

元同僚のサプライザー。常にガスパールのことを気にかけています。

 

 

玄関の覗き穴から彼の出入りを見ていたり、シャワー中に歌う習慣があるガスパールを、薄い壁1枚を隔てて聞いていたりするので、

 

最初はちょっとストーカー気質が見えて気持ちの悪い中年女性だなと思いましたが、それはすぐに「善い人」「味方」に印象が変わるキャラクターです。

 

 

元サプライザーということで物怖じしませんし、潜入はお手の物・後半活躍します。

 

 

女の気配を感じて彼の留守中、合鍵(違法)を使って部屋に侵入。そこにいたのは女は女でも人魚。

 

 

このキャラクター性なのでオーバーリアクションを期待したのですが、ギャーともオーマイガーとも言いませんので拍子抜け。

 

人魚のルラともすぐに仲良しになりますから、ガスパールに対してのロッシの気持ちは息子を思うような愛情なんだと思います。

 

 

 

 

(3時のヒロインのゆめっちに見える)

 

 

_______

 

 

 

スペインだったら情熱的、イタリアだったら社交的、とお国毎に恋愛のイメージがついていると思います。

 

 

フランス人が恋に落ちると、その愛情表現や愛情空間は、まったりなんだなぁ。とつくづく。

 

 

ガスパールは人魚ルラに対して、恋愛感情を見せません。

 

 

公式サイトのSTORY紹介から一節を借りれば

 

 

>歌によって人間から身を守ってきたルラは、ガスパールの命も奪おうと歌をうたうが、
過去の失恋の経験から、恋する感情を一切捨て去ってしまったガスパールには、その歌声が全く効かなかった。

 

 

とあります。

 

 

公式サイトは良い様に書きますから(笑)多分そういう設定で作られたんだと思いますが、映画を見ていて、恋する感情を一切捨ててしまった男には観えなかったです。

 

 

私の見方は、純粋というか優男というか「いい人」と言うか・・そう「いい人」としてガスパールを見てました。

 

 

傷の手当てや、上着の着替えさせ、見た目は40過ぎの痩せた髭MANなのに、行動や表情はピュア。

 

 

続いて、別の角度から視れば怖いと思う。

 

 

人魚ルラは仕切りに「(川に)帰して」と伝えているのですが、ガスパールは「傷が治るまで」と引き止める。

 

 

ほとんど監禁状態です!(◎_◎;)

やはり住処は地上ではなく水中ですので、帰して欲しいと私は思って観てます。

 

 

そこには、万全の状態でなければ、また怪我をしたり下手したら命を落としてしまうかもしれない、と案ずる彼の優しさなんだろうな。ルラは人間との闘いで怪我をし、川原に打ち上げられましたからね。外敵は多いです。

 

 

________

 

 

 

一緒に過ごすうちに、彼は彼女に恋をします。

 

 

彼女も彼に恋します。

 

 

だけれど、それは叶わぬ恋だと知っている。知っているのは人魚のルラ。だから泣くのです。人魚の涙は真珠の涙。

 

 

 

 

人魚に恋をする=心臓病で死ぬ。

ニコニコしていたガスパールが胸を押さえて苦しみ始める。

 

 

その瞬間のルラの一言は、映画史に残る出来。

 

 

真顔になって「私に恋をしたのね」

 

 

_______

 

 

 

2日目の朝日が昇る前に海に帰らねば命を落としてしまう。という地上ルールが人魚にはあって、命が続く限りに2人は一緒にいることを選びます。

 

 

この映画が2日間で行われた物語なんだと公式サイトで知りました。感覚的にはもう少し長く同棲していた様に感じましたので。。

 

 

最後の晩餐はフラワーバーガーへ。車椅子に乗せて、ブランケットをかけて入店。

 

 

 

不思議と車椅子と衰弱している人魚の組み合わせは、病人に観えるから、それが愛しく感じました。

 

 

彼女の正体に気付いているのかは分かりませんが、そこはサプライザー。楽しく持て成す。

 

 

じゃあね。フォーエヴァー・ラブ。

 

 

 

 

______

 

 

 

という物語の映画です。

 

 

上の写真をどうしても使用したかったので、どこまで語るかと悩みましたが、

この物語は絵本のようにも感じたので、逆算しても素敵だと判断し、さよなら愛してる、で締めました。

 

 

全体的にはユニークな作風ですし、フランス映画ということで芸術性も高いです。

 

 

あまり良く分からなかったのが、先程から何度もワードにしたトゥクトゥク

 

 

私はタイによく旅行したので、トゥクトゥクは東南アジアの乗り物という印象が相当強くあって、日本人というだけで歩くたびに声をかけられた南国タイ市街の夜を思い出します(゚ω゚)

 

 

なのでパリ市街の道路を主人公がトゥクトゥクで移動している映像は、なんだか違和感を持ちました。

 

 

フランスは移民大国でもあるのでアジア系も多いし、東南アジアの伝統的な乗り物が道路を走っていても普通なのかな?

それともファンタジー要素ということで「それもあり」にしているのかな。

 

 

気になったので「パリ トゥクトゥク」で調べて見ると、実際に観光用に走っているそうです。

お借りした写真を貼らせて戴きます。

 

 

 

 

例えそうだとしても、ノスタルジーとロマンチックなパリの街に、装飾されたアジアの三輪自動車が走っているのは・・自分としてはムードが壊れるかな。

 

 

東京や京都でトゥクトゥクが走っていたら異常な光景に思うし、私が住んでいる東京で言うと、一時期外国人観光客がマリオカート(非公認)で国道を走行している光景を何度も目撃しました。

 

 

ロードバイクを運転する私は車道を走るので、赤信号で隣り合わせになることもシバシバ。

その際、目が合い「イェーイ!」と感情を表現されるのですが、私は戸惑って会釈だけ(^_^;)

 

外国人マリオカート集団に遭遇された通行人は、スマホを取り出し写真を撮ったりしていました。

 

最初は違和感でしたが、何度も見かけるたび「それもあり」にして受け入れるようになったから、トゥクトゥクとそれとを重ね合わせました。

 

 

___

 

 

 

そして婚約者を人魚に殺された女医ミレナの復讐劇。この映画で唯一「脅威」となる存在になりますが、彼女の存在が映画の展開を忙しくしているように感じました。

 

 

これほど幸せな時はない。という程、心の底から愛している男性が突然死んでしまって、それが人魚の仕業だと辿り着く。恨みはらさでおくべきか。

 

 

単独捜査を行いますが、彼女は警察や探偵でもなく、愛する人を奪われた一般人。

協力する助手も劇中いるにはいますが、1人で全てを抱えてしまうのから、ドタバタしている様に感じてしまいます。

 

 

愛する人と会えなくなる

そんな圧倒的な寂しさや儚さが、彼女から伝わってきました。

 

 

ミレナを演じる女優は【ロマーヌ・ボーランジェ】[47]

かつてセザール賞(フランスのアカデミー賞)で新人女優賞を受賞したフランス女優です。

右の目の下にある大きなホクロがチャームポイントな女性だな。

 

 

____

 

 

この映画で自分が一番素晴らしいと思ったのは、人魚ルラを演じる女優の表情です。

 

 

 

 

「世の男は全員が全員、私のことを好きになる」と言う百戦錬磨の経験があるのに、主人公ガスパールには一切効かない。

 

 

1つしかない唯一無二の武器が効かない訳ですから、この状況「オワタオワタ」、一巻の終わりですよね。下半身が魚なので歩けないし、人間界で生きていける筈もないのだから。

 

 

「どうしてこの男には効かないの?」と不思議でしょうがない驚きの表情を魅せるのが、私はたまらなく面白かったです。

 

 

【マリリン・リマ】[25]はまさに私がイメージしているフランス女優・ド真ん中でした。

小顔で頬は痩け、体型はスレンダー。自信に満ちてていて、大きく見せる演技。

物怖じしないように堂々としているのに、意外に打たれ脆く、狼狽するんですよね。

 

 

こういうタイプの女性がキョトン顔をするのも、清純派とコメディエンヌの間を視れるお得感に感じました。

 

 

 

もう1つ、素晴らしいと思った点を挙げます。

 

 

話の流れで触れた話題になりますが、人魚というバケモノは、上半身が人間で下半身が魚。足はなく尾ひれ。

 

 

無論下から上は裸になるのでトップレスですね。

 

 

主人公の男性の視線が、乳房に行くことは、この映画の中でなかったです。

 

 

冒頭の出会いのシーンで、自分の着ているジャケットを「見ないように」と顔を背けて着せるシーンはありますが、

 

この主人公は常に彼女の瞳を見て話しをしているので、そう言うところは純愛ストーリーだなと思います。いや純朴かな。

 

 

人間は動くものに目が行く習性を持ちますので、女性のバストに目が行くのは仕方がないことだと思うし、女性もそんな男性の視線に気付きますよね。

 

 

女優さんは細身なので、バストがもう少し豊満だったら、もう少し違った角度のカメラワークになるかもしれません。

フランス女優のシルエットって本当、芸術的。

 

 

ちなみに、こういうシルエットになります。

 

 

 

 

私が気になったのは、ファンタジーとかロマンチックとか、そういうのを置いておいて・・臭いですね。

 

 

匂いではなく臭いです。だって魚でしょ。それもセーヌ川・・川魚でしょ。

 

 

川魚って泥臭かったり・・生臭くないのかな?

 

 

海で負傷して川に流れ着いたんだっけ?まぁ川でも海でも。

 

 

自宅の風呂桶にいれてるのも、冷静に考えると、すごくない?

 

 

主人公は恋に落ちるけど、漢字違いで、鯉だよ。

 

 

(大きさ的は雷魚だよ)

 

 

それから、彼女をお姫様抱っこする際の手にご注目してください。

 

 

左手は肩。右手で人間で言うところの関節を持っています。

 

これがお姫様抱っこの基本体制ですね。

 

 

だけど、右手から伸びる膝下の長さは異常。

 

絵図的に人間サイズのお姫様抱っこが美しいけど、家に運び込んだ時は肩に担いでいたから、こっちの方がしっくりくるかな。

 

 

なーんてネ。

 

 

映画を観ている最中も、ウロコが体につかないのかな?とか、下半身は持ちにくそうだから、抱き上げた時に滑って落としそうにならないの?など、色々と現実的に考えてしまった私は、ロマンチックな思想を持つロマンチストな書き手だったのに、現実ばかりに気を取られてしまっていることを痛感します。

 

 

世界が落ち着いたら、旅行先はパリを選ぼうと心に決めたのです。

 

 

 

____

 

 

 

最後に。作品観賞後の熱冷めやらぬうちにスマホのメモに殴り書きした寸評を。

 

 

感触としては、名作に感じる雰囲気が全体から出ているのに、独特の編集がそれを邪魔する。フランス映画を見慣れていない為、ハリウッド映画を観る感覚でいつも見てしまうけれど、手応え・見応えがすり抜けていく。人魚はヌメリがないのか?とかそういう情報も鑑賞中に知り得たい。展開がサクサクしているのはいいのだけど、「このキャラいいなぁ」と思うような役柄のしっかりしている配役が次のシーンでは死んでいたりする作り方が不思議でしょうがなかった。

 

 

彼らに捨て駒(斬られ役)感がないので、異国の映画なんだと解釈する。フランスの童顔系だとパイレーツ・オブ・カリビアン・シリーズ生命の泉で人魚を演じた[アストリッド・ベルジュ=フリスべ]を思い出す。人魚はスレンダーで顔もシュっとしている感じが理想なのかな?。リーズ・ウィザスプーンの出ているアゴを減らしたお顔立ち。後半は女医がまるで刑事や名探偵になって行動するぶんドタバタ劇にも感じて忙しい。3役ほどの役割を1人で担っているので、そこはまとめて欲しかった。いい映画だと思う。気分が晴れた。

 

 

 

好きな人を楽しませたい。

 

そんな一番大切な「相手を思う気持ち」を教えてくれる心温まるファンタジー・ラブストーリーでした。

 

 

 

 

 

 

 

脚本 14点

演技 15点

構成 14点

展開 13点

完成度13点

 

 

[69]点

 

 

 

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【mAb】

 

 


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